JPH07288114A - 白熱電球およびこれを用いた照明装置 - Google Patents

白熱電球およびこれを用いた照明装置

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JPH07288114A
JPH07288114A JP6078638A JP7863894A JPH07288114A JP H07288114 A JPH07288114 A JP H07288114A JP 6078638 A JP6078638 A JP 6078638A JP 7863894 A JP7863894 A JP 7863894A JP H07288114 A JPH07288114 A JP H07288114A
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JP
Japan
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bulb
refractive index
infrared
reflection film
film
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JP6078638A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Kamata
博士 鎌田
Akira Kawakatsu
晃 川勝
Tsutomu Watanabe
力 渡辺
Ariyoshi Ishizaki
有義 石崎
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Toshiba Lighting and Technology Corp
Original Assignee
Toshiba Lighting and Technology Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】バルブの外面に赤外線反射膜を形成した電球に
おいて、白濁部が端部に発生するのを防止した白熱電球
およびこれを用いた照明装置を提供する。 【構成】フィラメント6、7を収容した球面または楕円
球面を有するバルブ2の外面に、物理的気相成長法によ
り、多数の低屈折率層および高屈折率層を交互に積層し
てなる赤外線反射膜を形成した白熱電球において、赤外
線反射膜を構成する低屈折率層はSiO2 からなり、高
屈折率層はTiO2 およびTa25 からなり、上記T
iO2 に対するTa25 の混合比を、20モル%以上
で60モル%以下の範囲にしたことを特徴とする。 【作用】赤外線反射膜の耐熱性を保ち、高い屈折率を維
持してバルブ端部の赤外線反射膜に白濁部分が発生する
のを防止して透過率を高くすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フィラメントを収容し
たバルブの外面に、赤外線反射膜を形成した白熱電球お
よびこれを用いた照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、ハロゲン電球を含む白熱電球は
フィラメントの白熱による発光を利用する光源であるた
め放熱量が多く、放電灯に比べてランプ効率が低いとい
う傾向がある。このような白熱電球の放熱を軽減し、ラ
ンプ効率を向上させるため、最近、バルブの外面に、赤
外線を反射して可視光を透過する膜、すなわち赤外線反
射膜を形成する研究が進められている。赤外線反射膜
は、低屈折率を有する透明な酸化物層と、高い屈折率を
有する酸化物層とを交互に積層して多重層膜としたもの
であり、多層干渉作用により赤外線を反射し、可視光を
透過する作用を奏するものである。
【0003】このような赤外線反射膜をバルブの外面に
形成すれば、この赤外線反射膜がフィラメントから放出
される赤外線を反射し、この反射された赤外線はフィラ
メントに戻されるからフィラメントを再加熱し、このた
めフィラメントの加熱が促されるので外部から供給され
る電力を節減することができ、発光効率が向上すること
になる。また、無駄に捨てられていた熱の放出が少なく
なるので、器具等に対する熱影響を少なくすることもで
きる利点がある。
【0004】ところで、このような赤外線反射膜付き白
熱電球、例えばハロゲン電球は、点灯条件にもよるが、
点灯中のバルブ壁温度が500℃以上に達することがあ
る。このような高温に達すると、バルブ壁に形成してあ
る赤外線反射膜が熱劣化する心配がある。よって、耐熱
性の赤外線反射膜が必要になる。
【0005】従来において、特開昭58−65403号
公報に記載されているように、ハロゲン電球の赤外線反
射膜として、その低屈折率層をSiO2 (二酸化けい
素)を主成分とする酸化物により形成するとともに、高
屈折率層をTiO2 (二酸化チタン)およびTa25
(五酸化タンタル)を主成分とする酸化物にて形成した
技術が提案されている。
【0006】このものは、赤外線反射膜を構成する酸化
物、つまり、SiO2 、TiO2 およびTa25 がそ
れぞれ耐熱性に優れ、特に高屈折率層を形成するTa2
5は熱に強い酸化物であるから、バルブ壁温度が50
0℃以上に達しても、赤外線反射膜の熱劣化を防止する
ことができる利点がある。
【0007】この場合、高屈折率層を、全てTa25
のみで形成することも考えられるが、Ta25 はTi
2 に比べて屈折率が低いという問題がある。つまり、
高屈折率層を形成する酸化物としては屈折率が高ければ
高い程有効である。しかし、Ta25 はTiO2 に比
べて屈折率が低いから、高屈折率層としての機能を低下
させる不具合があり、これを防止するため、屈折率の高
いTiO2 に熱に強いTa25 を混ぜて使用するよう
にしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者らの研究によれば、低屈折率層をSiO2 を主成分と
する酸化物により形成するとともに、高屈折率層をTi
2 およびTa25 を主成分とする酸化物にて形成し
た赤外線反射膜の場合、次のような問題点があることが
判った。
【0009】すなわち、この種の多層干渉膜からなる赤
外線反射膜は、これをバルブの外面に形成する場合種々
の方法があるが、真空蒸着法やイオンプレーティング法
などのような物理的気相成長法(PVD)を用いる方
が、例えば上記の酸化物の溶液中にバルブを浸漬して引
き上げることによりバルブの外面に酸化物溶液を付着さ
せるようにした浸漬塗布法に比べて、膜厚を高精度に制
御するのが可能であり、精密な膜厚の多層干渉膜を形成
することができる。
【0010】ところが、上記真空蒸着法やイオンプレー
ティング法などのような物理的気相成長法(PVD)を
用いて被膜を形成する場合、その被形成面がフラットな
面である場合は全体に亘り粒子が均等に付着して結晶の
成長が均等になり、膜厚の成長が均等になる。
【0011】これに対し、後でも述べるが、被膜の被形
成面が曲面をなしている場合は、蒸気発生部やイオン放
出部から放出された粒子が曲面に付着した場合にこの被
形成面に対し結晶が斜めに成長し、いわゆる斜め蒸着と
いわれる成長が発生する。この斜め蒸着の場合、結晶の
成長が不均一になり、被膜の表面に微細な凹凸が発生す
る。このような微細な凹凸が、多層干渉膜のそれぞれの
層で形成されると、多層干渉膜全体では、梨地面のよう
に表面が形成されるようになり、この面で透過光が拡散
されるようになり、よって白濁化した被膜が形成される
という問題がある。
【0012】バルブがほぼ円筒形をなしている場合に、
真空蒸着法やイオンプレーティング法などの物理的気相
成長法を用いて被膜を形成するには、バルブをその中心
軸の回りに等速度で回転させてやれば、斜め蒸着の発生
を防止することができる。
【0013】しかしながら、バルブの形状が、例えば図
1に示す通り、少なくとも一部に、球面または楕円球面
などのような曲面、もしくはそれに類する曲面をもつよ
うな非円筒形の異形バルブの場合、バルブをその中心軸
の回りに回転させても、バルブの端部に赤外線反射膜の
白濁部が発生されることがある。すなわち、図1のよう
な球面バルブの場合、端部に形成される例えば角度45
°以下の領域Aでは、バルブをその中心軸で回しても、
蒸気発生部やイオン放出部に対して傾斜面となるから、
このような傾斜部分では、飛来してきた粒子が被形成面
に対して斜めに衝突し、これが滑って跳ね、よって結晶
が被形成面に対して垂直に発生しなくなる。よって、こ
のような傾斜部分では、結晶の成長が不均一になり、被
膜の表面に微細な凹凸が発生する。このような微細な凹
凸が白濁部となり、赤外線の反射性を低下させるととも
に、可視光の透過性を損なう不具合がある。
【0014】本発明者らの研究によれば、このような白
濁部の発生現象は、赤外線反射膜を形成する酸化物の粒
径が大きいほど顕著に発生することが判った。したがっ
て、球面または楕円球面をもつような異形バルブに対し
て物理的気相成長法により多層干渉膜からなる赤外線反
射膜を形成した場合、その高屈折率層を、TiO2 とT
25 を混合して形成する場合に、粒径の大きなTi
2 の混合比が大きすぎると、白濁部の発生割合が増大
するという問題がある。
【0015】したがって、本発明の目的とするところ
は、1部に曲面をもつバルブに、物理的気相成長法によ
り多層干渉膜からなる赤外線反射膜を形成した電球にお
いて、端部に白濁部が発生するのを防止した白熱電球お
よびこれを用いた照明装置を提供しようとするものであ
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
請求項1の発明は、少なくとも1面に曲面を有するバル
ブと、このバルブに収容されたフィラメントと、上記バ
ルブの外面に物理的気相成長法により形成され、多数の
低屈折率層および高屈折率層を交互に積層してなる赤外
線反射膜と、を有する白熱電球において、上記赤外線反
射膜を構成する低屈折率層はSiO2 を主成分とする酸
化物からなり、高屈折率層はTiO2 およびTa25
を主成分とする酸化物からなり、かつ上記TiO2 に対
するTa25 の混合比を、20モル%以上で60モル
%以下の範囲にしたことを特徴とする。
【0017】請求項2の発明は、上記電球は、バルブ内
にハロゲンガスが封入されたハロゲン電球であることを
特徴とする。請求項3の発明は、上記請求項1または請
求項2に記載の白熱電球と、この電球を収容し、この電
球から放射される光を反射する反射体と、からなること
を特徴とする照明装置である。
【0018】
【作用】請求項1に記載の白熱電球によると、赤外線反
射膜を構成する高屈折率層は、TiO2 に対するTa2
5 の混合比を、20モル%以上で60モル%以下の範
囲にしたから、高い屈折率を保ちながら、バルブ端部の
赤外線反射膜に白濁部分が発生するのを防止することが
できる。すなわち、屈折率の高いTiO2 の混合比が4
0〜80モル%であるから高屈折率層の本来の機能であ
る高い屈折率を保つことができる。また、耐熱性に優れ
かつ粒径の小さなTa25 の混合比を、20〜60モ
ル%としたから、高屈折率層の耐熱性が向上し、かつ異
形バルブの端部の赤外線反射膜に白濁部が発生するのが
抑えられる。
【0019】請求項2に記載の発明によれば、電球をハ
ロゲン電球に限定したから、ハロゲン電球は白熱電球の
中でもバルブ温度が高くなる傾向にあり、したがって赤
外線反射膜の熱劣化を発生し易いが、上記成分比の赤外
線反射膜を用いることにより、ハロゲン電球でありなが
ら赤外線反射膜の熱劣化を防止することができ、かつバ
ルブの端部の白濁部発生を防止することもできる。請求
項3の照明装置は、上記白熱電球の利点を生かすことが
できる。
【0020】
【実施例】以下本発明について、図1ないし図7に示す
第1の実施例にもとづき説明する。この実施例は、ハロ
ゲン電球を車両前照灯の光源に適用した場合を示し、図
1ないし図3は車両前照灯の光源に使用されるハロゲン
電球を示し、図4は赤外線反射膜の構成を示す断面図、
図5は車両前照灯の全体を示す断面図である。
【0021】図1ないし図3に示すハロゲン電球1は、
発光管バルブ2と鍔付き口金20とで構成されている。
バルブ2は石英ガラスよりなり、基端には圧潰封止部1
5が形成されており、このためこのハロゲン電球1は片
封止構造をなしている。バルブ2には、圧潰封止部18
と反対の先端部に球形部3が形成されているとともに、
この球形部3に連続して基端寄りに円筒部4が一体に形
成されている。
【0022】このバルブ2の外面には可視光透過赤外線
反射膜5が形成されている。上記赤外線反射膜5は、図
4に示す通り、高屈折率層Hと低屈折率層Lとを交互に
積層して多層干渉膜として構成されたものである。
【0023】本発明の場合、高屈折率層Hとしては、T
iO2 (二酸化チタン)とTa2 O(五酸化タンタル)
を主成分とし、その他、ZrO2 (酸化ジルコニウ
ム)、ZnS(硫化亜鉛)などの金属酸化物が微量に混
合されていてもよい。
【0024】この場合、TiO2 に対するTa25
混合比を、20モル%以上で60モル%以下の範囲にし
てある。さらに好ましくは、TiO2 に対するTa2
5 の混合比を、30モル%以上で50モル%以下の範囲
が良く、具体的にはTiO2に対するTa25 の混合
比を、最も屈折率が安定している50モル%対50モル
%、もしくは30モル%対70モル%とした混合物を使
用している。
【0025】また、低折率層Lとしては、SiO2 (酸
化ケイ素=シリカ)を主成分とし、その他、MgF2
(ふっ化マグネシウム)などが微量に混合されていても
よい。このような高屈折率層Hと低折率層Lは交互に積
層され、合計20〜60層、具体的には30層の多層膜
として構成されており、これによりな赤外線反射膜5が
形成されている。このような赤外線反射膜5は多層干渉
作用により赤外線を反射し、しかしながら可視光を透過
する作用をもつ。
【0026】上記バルブ2内には、それぞれタングステ
ンからなる2個のフィラメント6および7が収容されて
いる。これらフィラメント6および7は、すれ違いビー
ム用フィラメントと走行ビーム用フィラメントであり、
すれ違いビーム用フィラメント6は上記バルブ2の球形
部3内に、この球形のほぼ中心に配置されており、走行
ビーム用フィラメント7は上記すれ違いビーム用フィラ
メント6よりも上記基端寄りであって上記円筒部4内に
配置されている。
【0027】バルブ2内には図2にも示す通り、3本の
内部リード線8、9および10が配置されており、これ
ら内部リード線8、9および10は途中をビードガラス
12で支持されている。上記すれ違いビーム用フィラメ
ント6は、2本の内部リード線8および9に継線されて
おり、また走行ビーム用フィラメント7は上記一方の内
部リード線8と他の内部リード線10とに継線されてい
る。よって上記内部リード線8は共通内部リード線とな
っている。
【0028】また、すれ違いビーム用フィラメント6の
近傍には、遮光板11が配置されている。この遮光板1
1は、車両前照灯として用いられる場合に前方照射の配
光において右上向きの光(日本の場合)を遮断または減
光するためのものであり、一方の内部リード線9に支持
されている。バルブ2内には、ハロゲンガスが封入され
ている。
【0029】上記各内部リード線8、9および10は、
バルブ2の端部に形成された圧潰封止部15に封着され
た図示しないそれぞれMo箔に接続されており、これら
Mo箔はそれぞれ外部リード線に接続されている。
【0030】上記バルブ2の一端封止部には、前記鍔付
き口金20が被着されている。鍔付き口金20は円筒形
口金本体21にフランジ22を設けるとともに、端部に
3個のレグ端子23〜25を設けたものであり、円筒形
口金本体21は上記バルブ2の圧潰封止部15に被せら
れ、図示しない接着剤により接合されている。
【0031】上記レグ端子23〜25は、上記バルブ2
の封止部より導出された上記図示しない外部リード線に
接続されており、それぞれ前記内部リード線8、9およ
び10と電気的に接続されている。そして、前記共通内
部リード線8は、共通レグ端子23と電気的に接続され
ているものである。
【0032】上記構成のハロゲン電球1は、図5に示す
ように、照明器具としてのミラー形反射体30に収容さ
れている。反射体30は、曲面を有する反射面31を形
成したリフレクタ32と、このリフレクタ32の前面開
口部に取り付けた前面レンズ33とで構成されており、
リフレクタ32の背面頂部には取付孔34が形成されて
いる。この取付孔34には前記ハロゲン電球1が差し込
まれており、このハロゲン電球1は口金20に設けたフ
ランジ22を取付孔34の周縁に固定することにより、
リフレクタ32に対し所定の位置に位置決めして取り付
けられている。
【0033】このような構成の実施例について、作用を
説明する。図5に示すように組み立てられた前照灯は、
共通レグ端子23と他のレグ端子24とを直流12Vの
電源に接続すると、共通内部リード線8と他の内部リー
ド線9との間に電位差が与えられるので走行ビーム用フ
ィラメント7に電流が流れ、よってこの走行ビーム用フ
ィラメント7が発光する。この光は周囲に放出され、バ
ルブ2の球形部3および円筒部4から外部に放射され
る。そして、この光が球形部3および円筒部4の外面に
形成した赤外線反射膜5を透過する時に可視光が透過さ
れるとともに赤外線が反射される。
【0034】バルブ2を透過した可視光は、リフレクタ
32の反射面31で反射されて前方に向かい、リフレク
タ32の前面開口部に取り付けた前面レンズ33により
配光が制御されて前方を照射する。この場合は、遠方に
強いビームが届くような走行ビームとなる。
【0035】そして、上記赤外線反射膜5で反射された
赤外線は、バルブ2の内部に戻され、この帰還した赤外
線は走行ビーム用フィラメント7を加熱する。この場
合、走行ビーム用フィラメント7はバルブ2の円筒部4
に収容されているので、主として円筒部4に形成した赤
外線反射膜5で反射された赤外線が走行ビーム用フィラ
メント7に帰還される。よって、走行ビーム用フィラメ
ント7は電源から供給される電力エネルギーに加えて上
記赤外線反射膜5で反射された赤外線による熱エネルギ
ーが与えられるので、温度上昇が促される。この場合、
発光強度を赤外線反射膜を設けない場合と同等レベルに
しようとすれば、赤外線反射膜5で反射された熱エネル
ギーの分だけ電源から供給される電力エネルギーを少な
くすることができ、よって消費電力を節約することがで
きる。
【0036】一方、共通レグ端子23と他のレグ端子2
5とを直流12Vの電源に接続すると、共通内部リード
線8と他の内部リード線10との間に電位差が与えら
れ、この場合はすれ違いビーム用フィラメント6に通電
され、よってこのすれ違いビーム用フィラメント6が発
光する。この光は周囲に放出される。ただし、すれ違い
ビーム用フィラメント6の近傍には遮光板11を設けて
あるから、この遮光板11の方向に向かう光は遮断され
る。
【0037】このようにして外部に放射された光は、バ
ルブ2の球形部3および円筒部4から外部に放射され
る。そして、この光が球形部3および円筒部4の外面に
形成した赤外線反射膜5を透過する時に可視光が透過さ
れるとともに赤外線が反射される。
【0038】バルブ2を透過した可視光は、リフレクタ
32の反射面31で反射されて前方に向かい、前面レン
ズ33により配光が制御されて前方を照射する。この場
合、前記遮光板11の作用により、前方に向かう光の一
部がカットされ、右上方向に向かう光が遮断または減光
されて対向車に対する眩しさを減じる。また、この場合
は、比較的近い路面を照らすので、明るさは前記走行ビ
ームの場合と比べて低くてもよく、このため、通常は、
走行ビーム用フィラメント7に比べて違いビーム用フィ
ラメント6の定格電力を小さくしてある。例えば、規格
では、4H型式のハロゲン電球の場合、電源電圧12V
に対し走行ビーム用フィラメントは60W、違いビーム
用フィラメントは55Wとされている。
【0039】上記赤外線反射膜5で反射された赤外線
は、バルブ2の内部に戻される。この場合、すれ違いビ
ーム用フィラメント6はバルブ2に球形部3内にそのほ
ぼ中心点に配置してあるから、球形をなす全面で赤外線
が反射されて中心に集光することから、すれ違いビーム
用フィラメント6に効果的に帰還する。すなわち、円筒
部4に配置した走行ビーム用フィラメント7に戻される
赤外線に比べて、球形部3に収容したすれ違いビーム用
フィラメント6に戻される赤外線の方が集光するので帰
還率が高く、よって反射赤外線によりすれ違いビーム用
フィラメント6が加熱される割合が高くなる。
【0040】この場合も、すれ違いビーム用フィラメン
ト6は、電源から供給される電力エネルギーに加えて上
記赤外線反射膜5で反射された赤外線による熱エネルギ
ーが与えられるので、温度上昇が促される。そしてこの
場合も、発光強度を赤外線反射膜を設けない場合と同等
レベルにするならば、赤外線反射膜5で反射された熱エ
ネルギーの分だけ電源から供給される電力エネルギーを
少なくすることができ、よって消費電力を節約すること
ができる。
【0041】しかも、一般に車両は、走行ビームで走行
する場合に比べてすれ違いビームで走行する機会の方が
多い。したがって、すれ違いビーム用フィラメント6を
球形部3に収容すれば、使用頻度の高いすれ違いビーム
用フィラメント6に対するエネルギー効率を高くするこ
とができるので、仮に走行ビーム用フィラメント7を球
形部3に収容する場合に比べて、ランプ全体の電力エネ
ルギーを大幅に節減することができ、効率を高くするこ
とができる。
【0042】このような構成のハロゲン電球1におい
て、赤外線反射膜5が、SiO2 を主成分とする酸化物
にて形成された低屈折率層Lと、TiO2 およびTa2
5 を主成分とした酸化物にて形成された高屈折率層H
とを交互に積層して形成したから、これら酸化物、Si
2 、TiO2 およびTa25 はそれぞれ耐熱性に優
れていることからバルブ壁温度が500℃以上に達して
も、赤外線反射膜の熱劣化を防止することができる。
【0043】そして、高屈折率層Hとしては、熱に強い
Ta25 のみで形成したいが、Ta25 はTiO2
に比べて屈折率が低いため高屈折作用が低下する心配が
あり、よって耐熱性に優れたTa25 に、屈折率の高
いTiO2 を混合して使用している。
【0044】つまり、耐熱性の観点からは熱に強いTa
25 のみを使用したいが、高い屈折作用を発揮するに
は屈折率の高い酸化物を用いるのが有利であり、TiO
2 はTa25 に比べて屈折率が高いので、屈折率の高
いTiO2 と、熱に強いTa25 とを併用し、すなわ
ち混ぜて使用するようにしている。
【0045】一方、上記実施例のハロゲン電球1は、図
1および図2に示す通り、球形部3の端部ではバルブ軸
に対する曲率が大きく変化し、バルブ外面に真空蒸着法
またはイオンプレーティング法などの物理的気相成長法
を用いて赤外線反射膜5を形成する場合、上記球形部3
の端部に、蒸気発生部やイオン放出部に対する傾斜面が
形成される。このような端部では、飛来してきた粒子が
被形成面に対して斜めに衝突し、これが滑って跳ね、よ
って結晶が被形成面に対して垂直に発生しなくなる。よ
って、このような端部では、結晶の成長が不均一にな
り、被膜の表面に微細な凹凸が発生し、このような微細
な凹凸が光を拡散させるので、外見上で白濁部となり、
赤外線の反射性を低下させるとともに、可視光の透過性
を損なう不具合がある。
【0046】これに対し、本発明者らの研究によれば、
上記のような白濁部の発生現象は、赤外線反射膜5を形
成する酸化物の粒径が大きいほど顕著に発生することが
判っった。すなわち、高屈折率層Hを、TiO2 とTa
25 とを混合して形成する場合、屈折率の高いTiO
2 は粒径が大きいため、このTiO2 の混合比を高くす
ると、白濁部の発生割合が増大するということが判明し
た。
【0047】したがって、TiO2 とTa25 の混合
比を設定するには、屈折率と、白濁化現象の2面から検
討する必要があり、白濁程度は高屈折率層Hの透過率を
調べることにより評価することができる。
【0048】そこで、本発明者らは、TiO2 とTa2
5 の混合比を変えて、高屈折率層Hの屈折率およびそ
れを用い赤外線反射膜5を形成した場合の透過率を測定
した。
【0049】表1は、TiO2 とTa25 の混合比を
変えた場合の高屈折率層Hの屈折率、およびこれら高屈
折率層HとSiO2 からなる低屈折率層Lとを用いてそ
れぞれ30層の多重層赤外線反射膜5を形成した場合の
透過率を示す測定データである。なお、測定位置は、表
2に示すランプの傾斜角45°の位置であり、測定値は
各試料を10個づつ測定した場合の平均値である。
【0050】
【表1】
【0051】上記表1に示された高屈折率層Hの屈折率
の変化をグラフに直すと図6のような特性図が得られ
る。屈折率を高いレベルに保つには、表1および図6か
ら、TiO2 に対するTa25 の混合比を60モル%
以下にするのがよいことが判り、好ましくは50モル%
以下にするのがよいことが確認できる。
【0052】また、上記表1に示されたように、外面に
30層の多重層赤外線反射膜5を形成したランプに対す
る透過率の変化をグラフに直すと図7のような特性図が
得られる。透過率を高いレベルに保つには、言い換える
と白濁を防止するには、表1および図7から、TiO2
に対するTa25 の混合比を20モル%以上にするけ
ばよいことが判り、好ましくは30モル%以上にするの
がよい。
【0053】したがって、赤外線反射膜を構成する高屈
折率層Hは、TiO2 に対するTa25 の混合比を、
20モル%以上で60モル%以下の範囲にすれば、高屈
折率層Hの耐熱性が向上し、高屈折率層本来の機能であ
る高い屈折率を安定に保つことができ、しかもバルブ端
部の赤外線反射膜に白濁部が発生するのを抑止すること
ができる。すなわち、TiO2 に対するTa25 の混
合比が60モル%を越えると、屈折率が低下し、また2
0モル%未満であると、耐熱性が低下し、白濁部が発生
して透過率が低くなる。
【0054】また、白熱電球として、図面に示すハロゲ
ン電球1を用いた場合、ハロゲン電球は白熱電球の中で
もバルブ温度が高くなる傾向にあり、したがって赤外線
反射膜5の熱劣化が発生し易い。このため、上記成分構
成の赤外線反射膜5を用いれば、ハロゲン電球でありな
がら赤外線反射膜5の熱劣化を防止することができ、か
つバルブの端部に白濁部が発生するのを防止することが
できる。
【0055】さらに、上記のような白熱電球、例えばハ
ロゲン電球1を反射体30に組み込んで投光照明装置と
した場合は、電球1が反射体30に収容されることによ
り反射体30内で熱がこもり、温度が上昇してバルブの
温度が500℃を越えることがあるが、上記実施例の赤
外線反射膜5であれば赤外線反射膜5の熱劣化を防止す
ることができる。
【0056】なお、上記実施例のおいては、車両前照灯
の場合を説明したが、本発明は特にこれに制約されるも
のではなく、反射体と組み合わせて用いる照明装置であ
れば実施可能である。
【0057】また、バルブ2の形状は、球形部3と円筒
部4とを備えることには限らず、図8に示す第2の実施
例のように、球形部3のみを備えたバルブであってもよ
く、また図9に示す第3の実施例のように、楕円球形3
aを備えたバルブであってもよい。
【0058】そして、上記図8および図9から明らかな
通り、フィラメントは2個使用することに限らず、1個
のバルブに1個のフィラメント60を使用したランプで
あってもよい。1個のバルブに1個のフィラメント60
を使用したランプも、車両の前照灯や後尾灯として使用
可能である。さらに、電球はハロゲン電球に限らず、単
なる白熱電球であっても実施可能である。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように請求項1の白熱電球
によれば、赤外線反射膜を構成する高屈折率層を、Ti
2 に対するTa25 の混合比が20モル%以上で6
0モル%以下の範囲にしたから、耐熱性を維持すること
ができるとともに、高い屈折率を保ち、かつバルブ端部
の赤外線反射膜に白濁部分が発生するのを防止すること
ができ、よって透過率を高くすることができる。
【0060】また、請求項2に記載の発明によれば、バ
ルブ温度が高くなる傾向にあるハロゲン電球に適用した
から、赤外線反射膜の熱劣化を防止することができ、高
い屈折率および透過率を発揮することができる。請求項
3の照明装置によれば、上記温度上昇し勝ちな光源とし
ての白熱電球の赤外線反射膜の熱劣化を防止することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す車両前照灯用のハ
ロゲン電球の側面図。
【図2】同実施例のハロゲン電球の平面図。
【図3】同実施例のハロゲン電球の斜視図。
【図4】同実施例の赤外線反射膜の構成を示す断面図。
【図5】同実施例の車両前照灯の断面図。
【図6】TiO2 に対するTa25 の混合比と高屈折
率層の屈折率との関係を示す特性図。
【図7】TiO2 に対するTa25 の混合比と赤外線
反射膜の透過率との関係を示す特性図。
【図8】本発明の第2の実施例を示すハロゲン電球の側
面図。
【図9】本発明の第3の実施例を示すハロゲン電球の側
面図。
【符号の説明】
1…ハロゲン電球 2…バルブ 3…球形部 4…円筒部 5…赤外線反射膜 H…高屈折率層 L…低屈折率
層 6…すれ違いビーム用フィラメント 7…走行ビー
ム用フィラメント 11…遮光板 20…口金 30…反射体 31…反射面 32…リフレクタ 33…前面レ
ンズ
フロントページの続き (72)発明者 石崎 有義 東京都品川区東品川四丁目3番1号 東芝 ライテック株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1部に曲面を有するバルブ
    と、 このバルブに収容されたフィラメントと、 上記バルブの外面に物理的気相成長法により形成され、
    多数の低屈折率層および高屈折率層を交互に積層してな
    る赤外線反射膜と、 を有する白熱電球において、 上記赤外線反射膜を構成する低屈折率層はSiO2 を主
    成分とする酸化物からなり、 高屈折率層はTiO2 およびTa25 を主成分とする
    酸化物からなり、 かつ上記TiO2 に対するTa25 の混合比を、20
    モル%以上で60モル%以下の範囲にしたことを特徴と
    する白熱電球。
  2. 【請求項2】 上記電球は、バルブ内にハロゲンガスが
    封入されたハロゲン電球であることを特徴とする請求項
    1に記載の白熱電球。
  3. 【請求項3】 上記請求項1または請求項2に記載の白
    熱電球と、 この電球を収容し、この電球から放射される光を反射す
    る反射体と、からなることを特徴とする照明装置。
JP6078638A 1994-04-18 1994-04-18 白熱電球およびこれを用いた照明装置 Pending JPH07288114A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012256024A (ja) * 2011-05-16 2012-12-27 Dexerials Corp 位相差素子

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JP2012256024A (ja) * 2011-05-16 2012-12-27 Dexerials Corp 位相差素子

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