JPH07276456A - 機械加工用樹脂素材の製造方法および樹脂加工品の製造方法 - Google Patents

機械加工用樹脂素材の製造方法および樹脂加工品の製造方法

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JPH07276456A
JPH07276456A JP2912895A JP2912895A JPH07276456A JP H07276456 A JPH07276456 A JP H07276456A JP 2912895 A JP2912895 A JP 2912895A JP 2912895 A JP2912895 A JP 2912895A JP H07276456 A JPH07276456 A JP H07276456A
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JP
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resin
mold
machining
thermoplastic resin
resin material
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JP2912895A
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Kazuo Kito
和男 鬼頭
Yoshiyuki Yamamoto
善行 山本
Toru Hiratsuka
徹 平塚
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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  • Processing And Handling Of Plastics And Other Materials For Molding In General (AREA)
  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】可動部位を有する金型内に、溶融した熱可塑性
樹脂を供給しながら、または供給した後、金型の型締力
を上昇させ、熱可塑性樹脂を圧縮、冷却固化させること
を特徴とする機械加工用樹脂素材の製造方法、およびそ
の方法で得られた樹脂素材を機械加工して樹脂加工品を
得る製造方法。 【効果】ヒケ、ボイドがなく外観良好であり、また、保
存時、使用時、機械加工時に変形が小さく、また破損の
ない樹脂加工品がえられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱可塑性の機械加工用
樹脂素材およびその製造方法、およびそれから機械加工
されて得られる樹脂加工品の製造方法に関する。更に詳
しくは、変形の少ない均質な物性を有する機械加工用熱
可塑性樹脂素材の製造方法および樹脂加工品の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、樹脂成形品は、産業機械用の
部品に多用されており、たとえば歯車、軸受け、ローラ
ー、摺動板などに使用されている。
【0003】樹脂の中でも、熱可塑性樹脂は熱を加える
と溶融し冷却すると固化する性質を有するため、この特
徴を利用して種々の成形法が開発され工業的に利用され
ている。成形法としては、射出成形法、圧縮成形法およ
び押出成形法が広く採用されている。射出成形法は、金
型の中に溶融した樹脂を供給し、冷却固化後金型から成
形品を取り出す方法である。圧縮成形法は、予め加熱し
た金型内に熱可塑性樹脂原料を投入し、樹脂を溶融して
加圧成形後、金型を冷却して、金型内の樹脂を冷却固化
して成形品を得る方法である。また、押出成形法は、熱
可塑性樹脂原料を押出成形機に投入し、押出機で可塑化
し、押出機に連結されたダイス内で溶融した熱可塑性樹
脂を冷却固化させて成形品を得る方法である。
【0004】成形法の中でも、射出成形法が、成形の時
間サイクルが短く、量産性に優れるため広く利用されて
いる。しかしながら、射出成形法は一定の形状の成形品
を生産する量産性に優れているが、金型が高価であるた
め、少量の成形品を生産する場合には経済的に不利な成
形法である。
【0005】このため、比較的少量の成形品を製造する
場合には、種々の成形方法を用いて、平板や丸棒などの
形状の、機械加工用樹脂素材を製造した後、この素材を
切出して切削などの機械加工を施して樹脂加工品とし
て、成形品を得る方法が多く採用されている。
【0006】
【発明が解決しょうとする課題】しかしながら、従来か
ら知られている成形方法による機械加工用樹脂素材で
は、変形が進行したり、機械加工の際にしばしば破損し
たり、また得られた樹脂加工品でも、変形が進み、しば
らくするとしばしば破損するという問題があった。
【0007】また、機械加工用樹脂素材を得るための成
形方法に注目した場合、従来の技術には以下のような問
題がある。
【0008】例えば、射出成形法で機械加工用樹脂素材
を得る方法は、目的の素材の肉厚が厚くなると、金型内
での樹脂の冷却固化時に素材の中心部(コア層)が固化
しないうちに金型と接触している素材の表層部(スキン
層)が固化するため、その後の樹脂の収縮により内部に
ボイドが発生したり、射出後の保圧時に樹脂が金型ゲー
ト部で固化して、金型内への圧力伝達が不足するため、
素材表面にヒケを生ずるなどの欠点があった。また、得
られた素材は機械加工する際に破損したり機械加工され
て加工部品となった後も破損に至ることがあった。
【0009】また、圧縮成形法で機械加工用樹脂素材を
得る方法は、加熱したプレス金型に投入された熱可塑性
樹脂からなる原料の溶融と、金型内の冷却固化とに長時
間を要し、生産性が悪く、またその長時間の影響によっ
て酸化分解や熱分解により樹脂が劣化するため、素材の
物性も著しく低下する。更に、発生した揮発分により、
素材の外観が悪くなり、よって機械加工によって得られ
た樹脂加工品は商品価値が著しく低いものになってい
た。
【0010】また、押出成形法で機械加工用樹脂素材を
得る方法は、押出機のスクリューで溶融した熱可塑性樹
脂をダイス内に押出して冷却するため、射出成形法と同
様に、機械加工時または機械加工後も経時的に変形し、
場合によっては破壊に至ることもある。また、成形品内
部のボイドの発生を抑制するために、押出成形の引取り
速度を遅くし、高い押出圧力と長い冷却時間を要し、生
産性が低いことも問題であった。
【0011】
【課題を解決するための手段】樹脂加工品を得るための
これらの課題を解決する手段について検討した結果、機
械加工用樹脂素材の機械的物性の異方性に注目し、以下
に示す機械加工用樹脂素材を製造する方法を見出すに至
った。
【0012】即ち本発明は、(1) 「可動部位を有する金
型の内部に、溶融した熱可塑性樹脂を供給しながら、ま
たは供給した後、金型の型締力を上昇させ、熱可塑性樹
脂を圧縮、冷却固化させることを特徴とする機械加工用
樹脂素材の製造方法。」および(4) 「(1) の製造方法に
よって得られた機械加工用樹脂素材を、機械加工するこ
とを特徴とする樹脂加工品の製造方法。」からなるもの
である。
【0013】以下に、本発明の構成について詳しく説明
する。
【0014】まず本発明の機械加工用樹脂素材は、その
機械的特性の異方性が小さいことが求められる。その異
方性が大きいと、樹脂素材の保管、樹脂素材の機械加
工、加工品の使用の時などにおいて、寸法の変化や、破
損の可能性が高くなることから好ましくない。なかで
も、素材の曲げ強度が重要である。機械的物性の異方性
は、成形時の溶融樹脂の流れの方向とその直交方向とに
おいて、または成形圧力の方向とその直交方向とにおい
て、その異方性の最も差が顕著となる傾向があるので、
それらの方向の機械的特性の差に注目すべきである。
【0015】本発明に使用する熱可塑性樹脂としては、
通常公知の熱可塑性樹脂であり、例えば、ポリオレフィ
ン系重合体(ポリエチレン、ポリプロピレン等)および
その共重合体、(メタ)アクリル酸あるいは(メタ)ア
クリル酸エステル系重合体およびそれらの共重合体、ポ
リスチレン樹脂およびゴムで補強されたポリスチレン樹
脂、AS樹脂、ABS樹脂、ポリフェニレンエーテル系
樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリヘキサメチレンア
ジパミドやポリカプロアミドなどのポリアミド樹脂、ポ
リエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレー
トなどの飽和ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹
脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、熱可塑性ポリウ
レタン樹脂などが好ましく用いられる。なかでもこれら
の樹脂の中でポリフェニレンサルファイド、ポリオキシ
メチレン、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリカプロ
アミドおよびポリブチレンテレフタレートがさらに好ま
しく用いられる。共重合、グラフト、架橋、またはポリ
マブレンドもしくはアロイ化等公知の方法で変成したも
のであっても使用することができる。
【0016】また、本発明の熱可塑性樹脂には、繊維や
充填材などの強化材を含有した熱可塑性樹脂も使用する
ことができ、強化繊維や充填材としては、ガラス繊維、
炭素繊維、アラミド繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミ
ナ繊維、硼素繊維、窒化硼素繊維、チタン酸カリ、金属
繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラス粉、硫酸
バリウム、炭酸カルシウム、マイカ、水酸化アルミニウ
ム、水酸化マグネシウム、タルク、カーボンブラック、
酸化チタンなどが挙げられる。特に本発明の効果が大き
いという面で、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維な
どの強化繊維を含有させたものが、好ましく用いられ
る。このような繊維や充填材などの強化剤の含有量は、
補強効果の面から、素材中5〜70重量%が好ましく使
用される。
【0017】さらに熱可塑性樹脂は、酸化防止剤、耐候
剤、難燃剤、染料や顔料などの着色剤、離型剤、可塑
剤、潤滑剤、滑剤、結晶化促進剤など公知の添加剤を含
有することもできる。
【0018】次に、本発明の特徴である機械加工用樹脂
素材を得るための成形方法について説明する。
【0019】従来、射出成形では、金型内に樹脂が溶融
流動配向するため、素材の機械的物性の異方性が大きく
なり、本発明の機械加工用樹脂素材を得るのは困難であ
る。また、押出し成形でも同様に、素材の機械的物性の
異方性が大きくなるため、本発明の機械加工用樹脂素材
を得るのが困難である。本発明の方法によれば、機械的
物性の異方性の小さいものを得ることができる。
【0020】まず可動性部位を有する金型内に、溶融さ
れた熱可塑性樹脂の供給を開始する。次に、溶融熱可塑
性樹脂の供給中または、供給終了後に、金型の型締力を
上昇させて、金型内の容積を減少させる。その結果、熱
可塑性樹脂は圧縮され、最終的には冷却固化される。冷
却固化の後、金型を開放して機械加工用樹脂素材を取り
出す。
【0021】ここで、溶融された熱可塑性樹脂の供給方
法としては、押出または射出の供給ユニットを用いて、
熱可塑性樹脂を溶融可塑化した後に供給する方法が好ま
しく用いられる。押出供給ユニットや射出供給ユニット
としては、スクリュー式やプランジャ式など任意のもの
が使用できる。
【0022】供給時の熱可塑性樹脂の温度としては、溶
融できる温度であれば良く、また金型の温度としては、
熱可塑性樹脂が固化する温度とすることが一般的に用い
られる。また熱可塑性樹脂は、最終的に得られる所望の
樹脂素材の容積(すなわち最終的な金型容積)とほぼ同
じ量が供給されるのが一般的である。この場合、熱可塑
性樹脂の冷却にともなう収縮分も考慮にいれて、溶融熱
可塑性樹脂の供給量を決定することが好ましい。
【0023】また、溶融熱可塑性樹脂の供給は、溶融熱
可塑性樹脂の供給開始時の金型内容積(以下、初期金型
内容積と称する)より多くすることができる。その場
合、金型容積の減少操作に入る時には、供給された溶融
樹脂の体積のため、金型内の容積は初期金型内容積より
も、大きくなることがある。[溶融熱可塑性樹脂の総供
給体積]/[初期金型内容積]の関係としては、0.3
以上30以下、さらに1以上20以下、またさらに1.
5以上20以下が好ましく用いられる。溶融熱可塑性樹
脂の供給は、金型内の型締力上昇の開始前に終了してい
ても良く、また型締力上昇開始後も継続させることもで
きる。また[成形終了時金型内容積]/[初期金型内容
積]の関係として0.25以上25以下、さらに0.8
以上16以下、またさらに1.2以上16以下が好まし
く用いられる。[溶融熱可塑性樹脂の総供給体積]/
[初期金型内容積]および[成形終了時金型内容積]/
[初期金型内容積]が特に小さい場合には、得られる素
材の物性の異方性が高くなり、一方特に大きい場合に
は、素材内部にボイドが発生しやすくなるという問題が
あるからである。
【0024】金型の型締力上昇開始時期は、素材の良好
な外観、低歪みを得るために管理することが好ましい。
その開始時期は、溶融熱可塑性樹脂の供給量が、初期金
型内容積の5%、望ましくは20%に達した時以降であ
ることが好ましい。空間体積の樹脂供給量が少ない時点
で、型締力上昇を開始した場合は、金型内で供給通路が
圧縮され樹脂配向の影響を受け易く、実質的に従来の射
出成形法とかわらない樹脂素材しか得られないので好ま
しくない。
【0025】また、前述のように溶融熱可塑性樹脂は初
期金型内容積よりも多く供給することができるが、その
場合、溶融熱熱可塑性樹脂の供給量が初期金型内容積と
同一になった時間の2倍の時間までに、型締力の上昇を
開始させるのが好ましい。ここでいう時間とは、溶融熱
可塑性樹脂供給開始の時を起点としたものである。これ
より遅いと、すでにゲ−ト部の固化が始まりヒケ、ボイ
ド等の防止が困難となるため好ましくない。
【0026】ここで与えられる型締力としては、0.5
MPa〜1×100MPa,望ましくは,1MPa〜1
0MPaが好ましく用いられる。比較的低い圧力で成形
を行なうことができるので、配向などの異方性が緩和さ
れ、また歪みの少ない樹脂素材、さらに樹脂加工品が得
られる特徴がある。
【0027】金型については、少なくともひとつが可動
性を有する二部位以上からなるものが用いられる。また
供給された熱可塑性樹脂が漏れないように密閉できる構
造とする必要がある。金型の周囲を密閉する方法として
は、金型の両者をハメアイ構造とすることや、樹脂もれ
防止駒を金型の固定側もしくは可動側に収納できる堀込
みを設けておき、金型が閉じると共に樹脂もれ防止駒が
堀り込みの中に入っていく構造が例示される。なかでも
金型がハメアイ構造にするほうがよい。
【0028】型締力上昇、熱可塑性樹脂の圧縮の後、熱
可塑性樹脂を冷却固化させて、片締を解放して金型を開
いて樹脂素材を取り出す。冷却固化する場合、樹脂が収
縮するが、その収縮分金型が閉じていくのでヒケやボイ
ドの発生がない良好な樹脂素材品が得られる。
【0029】以上の方法によって、機械加工用樹脂素材
が製造される。さらにこの樹脂素材は機械加工されて、
樹脂加工品となる。機械加工の方法としては、旋削加
工、研削加工、平削加工、中ぐり加工、スラシス加工、
穴あけ加工、ねじ切加工、歯切加工、型彫加工、やすり
加工などの切削加工法、鋸切断、研削切断、ダイヤモン
ド切断、噴射切断、電熱切断などの切断加工法、砥石加
工、砥粒加工などの研削仕上法などが例示される。これ
らの方法によって、変形が少ない、また内部にボイドの
ない良好な樹脂加工品が製造できる。また得られた樹脂
加工品は、産業用機械の部品として好適である。
【0030】以下、図面を参照して機械加工用樹脂素材
の製造法について説明する。
【0031】機械加工用樹脂素材が成形される金型装置
の一例を図1に図示した。金型装置1において2は可動
側取付板であり、3は固定側取付板である。可動側取付
板2には、可動側型板4、5、6が取り付けられてい
る。一方固定側取付板3には、固定側型板7が取付けら
れている。固定側型板7を貫通してスプ−ルが形成され
る。なお、可動側型板6と固定側型板7との間にキャビ
ティ9が形成される。この金型装置1は、一般の金型装
置と同様に、通常の型締め手段により可動側を固定側に
対し相対的に型締め方向に往復運動させることができ
る。
【0032】次に、金型装置1を用いた成形手順を例示
する。金型装置1は、熱可塑性樹脂が固化できるよう適
当な温度に制御する。射出成形機のシリンダ内で加熱溶
融された樹脂10をスプ−ル8を通って金型内のキャビ
ティ9内に所定量射出する。その後、型締力を上昇さ
せ、可動側型板6を移動させ、キャビティ9内の溶融樹
脂を、所定の圧縮しろ分圧縮してキャビティ9の形状に
成形し、所定の冷却時間終了した後に金型を開いて樹脂
素材を取り出す。この操作の繰り返しにより順次製造す
ることができる。上記で圧縮しろ分圧縮を開始するタイ
ミングは、前に説明したように、キャビティ9内に樹脂
10を供給する時から、金型空間内における溶融樹脂の
容積によって決定される。
【0033】
【実施例】さらに、本発明の効果を明らかにするため、
実施例を用いて説明する。なお、実施例において、曲げ
強度については、溶融樹脂の流れの影響を観測するため
に、成形品から、溶融樹脂の流れが長手方向になる形状
と、流れと直角の方向が長手方向になる形状とに切り出
して2種類の試験片を作成し、その両者についてAST
M D790に従って、測定を行なった。またヒケは、
成形品の両端を結ぶ直線からのへこみの最大値で示し
た。またボイドは試験片の切断面を実体顕微鏡で観察し
て、その個数で示した。
【0034】実施例1 インジェクションプレス成形機(コマツ株式会社製IP
1050)に図1に示す形状の金型装置1を取り付け
た。熱可塑性樹脂として、東レ製ガラス繊維強化ポリフ
ェニレンサルファイド樹脂“トレリナ”A504を、溶
融し、射出温度300℃で射出、キャビティ内の形状が
300mm×300mm×15mmである金型に供給し、その
供給量が初期金型容積の50%になった時点で、金型の
型締力を上昇させ、圧力を5MPaとして、圧縮を開始
した。溶融熱可塑性樹脂は、さらに所望の角板の容積と
なるように供給を継続した。溶融熱可塑性樹脂を供給を
停止した後、熱可塑性樹脂を冷却固化させ、所望の30
0mm×300mm×20mmの機械加工用樹脂素材の角板を
成形した。この角板から12.7mm×63.5mm×3mm
の機械加工用樹脂素材の試験片を切り出し、さらに試験
片の特性を測定した。
【0035】曲げ強度を測定したところ、溶融樹脂の流
れ方向が長手になっている試験片ではでは18MPa,
流れに直角の方向が長手になっている試験片では、13
MPaであった。溶融樹脂の流れに起因する異方性が小
さく、かつ曲げ強度が高いものが得られた。またヒケも
0mmであり小さく、ボイドも見られない良好なもので
あった。
【0036】また、上記機械加工用樹脂素材の角板か
ら、内径80mm、外径100mm、高さ20mmのリング
を、旋盤を用いて機械加工したところ、リング外径の真
円度が10μm以下である、寸法精度の良い樹脂加工品
が作成できた。
【0037】比較例1 射出成形機を用いて、実施例1と同様の樹脂、温度で成
形を行ない、実施例1と同じ形状の角板を得た後、さら
に切出しを行ない、試験片を得た。得られた試験片のう
ち、角板の内部ではボイドが多発しており、機械加工用
樹脂素材としては使用できないものであった。また角板
の表層部は、ボイドが少なかったため、その部分から得
られる試験片の曲げ強度を測定した。溶融樹脂の流れが
長手方向になっている試験片では、20MPa、流れの
直角方向が長手になっているのものでは、10MPaで
あった。溶融樹脂の流れに起因する異方性が大きいこと
がわかった。またヒケは1.5mmであり、大きいもので
あった。
【0038】また、得られた機械加工用樹脂素材からな
る角板から、実施例1と同様のリングを加工した。しか
しながら、角板の表層部分のものは、樹脂の流れの直角
方向への機械加工で欠けやすいという問題があり、また
角板の内部のものは、ボイドの影響によって、加工時に
亀裂が入った。
【0039】比較例2 圧縮成形機を用いて、金型中に実施例1と同じ熱可塑性
樹脂の固体チップを供給し、金型温度を300℃、取り
出し時の金型温度を150℃として、実施例1と同様の
形状の機械加工用樹脂素材の角板を成形した。この角板
を得るための時間は、実施例1の3倍の時間を要するも
のであった。
【0040】比較例3 押出し成形機を用いて、実施例1と同じ樹脂を用いて、
幅300mm、厚み20mmの断面形状を有する機械加工用
樹脂素材の板を押出し成形した。樹脂の溶融温度、押出
しのダイスの温度、押出し速度の条件を変えたものの、
成形による残留歪みと配向のために、各条件で得られた
素材には、すべてのものにクラックが見られた。
【0041】実施例2 “トレリナ”A504の代わりにポリアセタ−ル(ポリ
オキシメチレン)樹脂(ポリプラスチックス株式会社製
“ジュラコン”M90−44)を使用して、射出温度1
90℃とした他は、実施例1と同様に300mm×30
0mm×20mmの角板からなる機械加工用樹脂素材を
成形した。この角板から実施例1と同様に試験片の特性
を測定した。
【0042】曲げ強度を測定したところ、溶融樹脂の流
れ方向が長手になっている試験片ではでは9.0MP
a,流れに直角の方向が長手になっている試験片では、
9.0MPaであった。溶融樹脂の流れに起因する異方
性が小さく、かつ曲げ強度が高いものが得られた。また
ヒケも0mmであり小さく、ボイドも見られない良好な
ものであった。
【0043】この角板から実施例1と同様にリングを機
械加工により製作した結果、真円度10μm以下である
寸法精度の良い機械加工品ができた。
【0044】実施例3 “トレリナ”A504の代わりにガラス繊維いりポリブ
チレンテレフタレート樹脂(東レ製1101G30)を
使用して、射出温度240℃とした他は、実施例1と同
様に300mm×300mm×20mmの角板からなる
機械加工用樹脂素材を成形した。この角板から実施例1
と同様に試験片の特性を測定した。
【0045】曲げ強度を測定したところ、溶融樹脂の流
れ方向が長手になっている試験片では12.5MPa,
流れに直角の方向が長手になっている試験片では、1
0.8MPaであった。溶融樹脂の流れに起因する異方
性が小さく、かつ曲げ強度が高いものが得られた。また
ヒケも0mmであり小さく、ボイドも見られない良好な
ものであった。
【0046】この角板から実施例1と同様にリングを機
械加工により製作した結果、真円度10μm以下である
寸法精度の良い機械加工品ができた。
【0047】実施例4 “トレリナ”A504の代わりにガラス繊維いりナイロ
ン6(ポリカプロアミド)樹脂(東レ製CM1011G
30)を使用して、射出温度240℃とした他は、実施
例1と同様に300mm×300mm×20mmの角板
からなる機械加工用樹脂素材を成形した。この角板から
実施例1と同様に試験片の特性を測定した。
【0048】曲げ強度を測定したところ、溶融樹脂の流
れ方向が長手になっている試験片では19.0MPa,
流れに直角の方向が長手になっている試験片では、1
7.6MPaであった。溶融樹脂の流れに起因する異方
性が小さく、かつ曲げ強度が高いものが得られた。また
ヒケも0mmであり小さく、ボイドも見られない良好な
ものであった。
【0049】この角板から実施例1と同様にリングを機
械加工により製作した結果、真円度10μm以下である
寸法精度の良い機械加工品ができた。
【0050】実施例5 “トレリナ”A504の代わりにガラス繊維いりナイロ
ン66(ポリヘキサメチレンアジパミド)樹脂(東レ製
CM1011G30)を使用して、射出温度280℃と
した他は、実施例1と同様に300mm×300mm×
20mmの角板からなる機械加工用樹脂素材を成形し
た。この角板から実施例1と同様に試験片の特性を測定
した。
【0051】曲げ強度を測定したところ、溶融樹脂の流
れ方向が長手になっている試験片では20.0MPa,
流れに直角の方向が長手になっている試験片では、1
9.1MPaであった。溶融樹脂の流れに起因する異方
性が小さく、かつ曲げ強度が高いものが得られた。また
ヒケも0mmであり小さく、ボイドも見られない良好な
ものであった。
【0052】この角板から実施例1と同様にリングを機
械加工により製作した結果、真円度10μm以下である
寸法精度の良い機械加工品ができた。
【0053】
【発明の効果】本発明の方法によって、ヒケ、ボイドが
なく外観良好であり、また、保存時、使用時、機械加工
時に変形が小さく、また破損のない樹脂加工品がえられ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 機械加工用樹脂素材を成形する状態を示す説
明図である。
【符号の説明】
1:符号2〜符号9から構成される金型装置 2,3:取り付け板 4,5,6,7:型板 8:スプ−ル 9:キャビティ 10:熱可塑性樹脂
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29K 67:00 77:00 81:00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可動部位を有する金型の内部に、溶融し
    た熱可塑性樹脂を供給しながら、または供給した後、金
    型の型締力を上昇させ、熱可塑性樹脂を圧縮、冷却固化
    させることを特徴とする機械加工用樹脂素材の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 溶融した熱可塑性樹脂の供給が、押出ま
    たは射出の供給ユニットからのものであることを特徴と
    する請求項1記載の機械加工用樹脂素材の製造方法。
  3. 【請求項3】 金型の型締力の上昇が、溶融熱可塑性樹
    脂供給開始時における金型の空間体積の5%に溶融熱可
    塑性樹脂の供給量が達した時以降に開始されることを特
    徴とする請求項1または2記載の機械加工用樹脂素材の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂が、ポリフェニレンサルフ
    ァイド、ポリオキシメチレン、ポリヘキサメチレンアジ
    パミド、ポリカプロアミドおよびポリブチレンテレフタ
    レートの中からから選ばれる少なくとも1種類の熱可塑
    性樹脂であることを特徴とする請求項1〜3記載のいず
    れかの機械加工用樹脂素材の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかの製造方法によ
    って得られた機械加工用樹脂素材を、機械加工すること
    を特徴とする樹脂加工品の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000511351A (ja) * 1996-05-20 2000-08-29 ハイ―ゼット・テクノロジー,インコーポレイテッド ギャップの無い矩形格子を備えた熱電モジュール
JP2007069622A (ja) * 2006-12-06 2007-03-22 Teijin Chem Ltd 射出圧縮成形品の成形方法
JP2014065152A (ja) * 2012-09-24 2014-04-17 Kurimoto Industry Co Ltd 成形品の製造方法
JP2016088073A (ja) * 2014-11-04 2016-05-23 エフテックス有限会社 炭素繊維強化ポリエステル樹脂のボルトナットの製造方法

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