JPH07265864A - ふっ素イオンの除去方法 - Google Patents

ふっ素イオンの除去方法

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JPH07265864A
JPH07265864A JP6051294A JP6051294A JPH07265864A JP H07265864 A JPH07265864 A JP H07265864A JP 6051294 A JP6051294 A JP 6051294A JP 6051294 A JP6051294 A JP 6051294A JP H07265864 A JPH07265864 A JP H07265864A
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Toshikatsu Sada
俊勝 佐田
Takanobu Yamaguchi
隆宣 山口
Tomonari Todoroki
智成 轟
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Abstract

(57)【要約】 【目的】従来の陰イオン交換膜に比較してふっ素イオン
の選択透過性を増大させ、ふっ素イオンを含む水溶液か
らふっ素イオンを選択的に除去する。 【構成】ふっイオンを含む水溶液から電気透析によりふ
っ素イオンを除去するにあたり、陰イオン交換膜として
膜表面に厚さ10オングストローム〜5μmの負の電荷
の薄層、例えば、ポリビニルスルホン酸塩の層を有する
膜を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】近年、医薬品、農薬、機能性薬
品、高分子などにその特性からふっ素を含んだものが数
多く製造され、また今後益々広く展開されようとしてい
る。また従来から行われている金属表面処理技術の一つ
としてふっ酸が用いられている。このように無機、有
機、高分子といわず、ふっ素を結合した化合物は広く利
用されてきている。しかし同時にこれらの化合物を合成
し、或いは使用したりする場合に、当然何らかの形でふ
っ素イオンを含んだ廃液が排出される場合が多い。ふっ
素イオンは有害なイオン種であり、環境保全のためには
何らかの処理をして排出する必要がある。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】有害な
ふっ素イオンを除去する方法としては各種の方法が提案
されているが、典型的な例はふっ素イオンをふっ化カル
シウムとして不溶化して沈澱させ、除去する方法があ
る。また、金属表面処理に用いた廃酸としてのふっ酸は
陰イオン交換膜を用いた拡散透析法によって回収されて
いる。また、陰イオン交換樹脂に交換吸着させる方法も
行われている。
【0003】しかし、上記のふっ化カルシウムとして不
溶化して沈澱させる方法は、ふっ素イオンを単に除去す
るということでは望しいにしても沈澱物の処理を考慮し
なければならない。陰イオン交換膜を用いた拡散透析法
は酸濃度が濃い場合のみ適用でき、希薄となると駆動力
が小さくなる。陰イオン交換樹脂による除去はふっ素イ
オン単独の場合は別として他に塩素イオン、硝酸イオ
ン、硫酸イオン等の陰イオンが共存する溶液の場合、こ
れらの他の陰イオンに対するふっ素イオンの選択係数は
著しく小さい。そのため大量の陰イオン交換樹脂を用い
なければならない。また、電気透析によってふっ素イオ
ンを含む塩溶液を処理してふっ素イオンを除去する場
合、他の陰イオンに対するふっ素イオンの透過性は極め
て低く、大容量の電気透析槽を用いなければならない。
このような観点から特に電気透析に於いてふっ素イオン
を選択的に透過する陰イオン交換膜、或いはふっ素イオ
ンを選択的に透過させる電気透析方法が求められてい
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、このような
観点から従来の陰イオン交換膜と比較してその電気化学
的性質を著しく変えることなく、ふっ素イオンを選択的
に透過する陰イオン交換膜、或いは電気透析方法につい
て鋭意研究を重ねたところ、陰イオン交換膜の表層部に
負の電荷の薄層を形成することによって、膜の電気抵抗
の上昇は殆んどなく、電流効率の低下を招くこともな
く、意外にもふっ素イオンが選択的に膜透過することを
見出し、本発明を完成するに到った。
【0005】即ち、本発明は、ふっ素イオンを含む水溶
液から電気透析によりふっ素イオンを除去するにあた
り、陰イオン交換膜として、膜表面に負の電荷の薄層を
有する陰イオン交換膜を用いることを特徴とするふっ素
イオンの除去方法である。
【0006】本発明において処理の対象となる水溶液は
ふっ素イオンを含んでいるものであり、他の陰イオン、
例えば、硫酸イオン、硝酸イオン、塩素イオン、臭素イ
オン、炭酸イオン、重炭酸イオンなどの無機イオン及び
場合によっては有機イオンを含んでいてもよい。
【0007】特にふっ素化合物を合成、或いは使用する
工程から生じる廃液が処理対象の水溶液として好適であ
る。ふっ素イオンを含む水溶液の塩濃度については特に
限定はなく、全塩濃度で数100ppmから数規定の範
囲であってよく、目的に応じて選ばれる。水溶液の塩濃
度によって特にふっ素イオンの透過性が変わることはな
い。
【0008】本発明において用いられる陰イオン交換膜
は、膜表面に負の電荷の薄層を有する陰イオン交換膜で
ある。負の電荷の薄層は陰イオン交換膜の両面に存在し
ていてもよく、また、片面のみに存在していてもよい。
負の電荷の薄層の厚みは、あまりに薄いときには本発明
の効果が得られ難く、また、あまりに厚いときには、一
種のバイポーラ・イオン交換膜となって膜の電気抵抗の
上昇や水の加水分解などが生じるため、10オングスト
ローム〜5μmの範囲であることが好ましく、20〜3
μmの範囲であることがさらに好ましい。
【0009】本発明で用いられる陰イオン交換膜の表面
に存在する負の電荷の薄層が、ある程度の厚みを有する
場合はX線マイクロアナライザーによって陰イオン交換
膜断面に関して薄層に存在する特定元素、例えば、イオ
ウの存在強度を観察することによって求めることが出来
るが、薄層が極めて薄い場合は厚みを測定することは難
しい。そのような場合には陰イオン交換膜の表面に負の
電荷の薄層を形成させる前と後の重量増加によってその
重量を求め、厚みを推定することができる。また、FT
IR、ESCA等の分析手段を用いることができる。さ
らに、膜表面層を形成する陽イオン交換基を有する物質
の溶液中に陰イオン交換膜を浸漬して、浸漬前後の溶液
中の陽イオン交換基を有する物質の濃度変化から求める
こともできる。上記の負の電荷の薄層の厚みは、陰イオ
ン交換膜の単位表面積当りの負の電荷の薄層の重量に換
算すると、概ね10-7〜10-2g/cm2の範囲とな
る。
【0010】本発明において用いられる陰イオン交換膜
の表面に形成された薄層は負の電荷を有する。負の電荷
は、通常、陽イオン交換基の導入によって付与される。
陽イオン交換基としては、例えば、スルホン酸基、カル
ボン酸基、リン酸基、亜リン酸基、フェノール性水酸
基、スルホン酸エステル基、リン酸エステル基、チオー
ル基、第三級パーフルオロアルコール基等を挙げること
ができる。
【0011】薄層の有する負の電荷の量は特に制限され
るものではないが、ふっ素イオンの透過性を良好とする
ためには、5.0×10-10〜5×10-5当量/cm2
範囲であることが好ましい。
【0012】負の電荷の薄層の陰イオン交換膜表面での
存在状態は特に制限されないが、次の(1)〜(3)の
状態であることが好ましい。
【0013】(1)膜表面に付着、イオン交換、また
は、吸着している。
【0014】(2)膜本体とは化学結合していないが、
膜表面で絡合い、3次元構造をとっている。
【0015】(3)膜本体と化学結合している。
【0016】以下に本発明の陰イオン交換膜の一般的製
法を示す。本発明の膜表面に負の電荷の薄層を有する陰
イオン交換膜の母体となる陰イオン交換膜(以下、単に
未処理陰イオン交換膜ともいう。)は従来公知の陰イオ
ン交換膜が用いられる。例えば、重合系、縮合系、均一
系、不均一系等の種類、あるいは製造方法、更には補強
材の有無等により種々の未処理陰イオン交換膜が適宜使
用される。また未処理陰イオン交換膜として陰イオン交
換基を容易に導入できる高分子膜状物を用い、これに陰
イオン交換基を導入したものも用いられる。
【0017】本発明で使用される膜表面に負の電荷の薄
層を有する陰イオン交換膜とするため、未処理陰イオン
交換膜の表面に陽イオン交換基を有する物質を存在させ
る。陽イオン交換基を有する物質としては、フェノール
スルホン酸とホルマリンとの縮合生成物、ポリスチレン
スルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリビニルアルコ
ールの硫酸エステル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル
酸およびこれらの塩類等があげられる。これらの陽イオ
ン交換基を有する物質は、未処理陰イオン交換膜の表面
への存在させ易さの点から、分子量300以上であるこ
とが好ましい。
【0018】陽イオン交換基を有する物質のイオン交換
能を調節するために、イオン交換基を含まない物質と共
重合または共縮合させたものを用いてもよく、更には陽
イオン***換基を有する物質をジビニルベンゼン、フェ
ノールなどの架橋性物質によって一部架橋構造を形成さ
せたものを用いてもよい。
【0019】以上に述べた陽イオン交換基を有する物質
を未処理陰イオン交換膜の実質上の表面に存在させる方
法を前述の(1)〜(3)の結合形態別に示せば次の通
りとなる。
【0020】陽イオン交換基を有する物質を未処理陰イ
オン交換膜表面に付着、イオン交換、吸着させる方法
は、浸漬でも塗布でもあるいは噴霧でもよく、更には透
析槽に組立てた後に通液により付着、イオン交換、吸着
させてもよい。陽イオン交換基を有する物質は水溶液の
状態で使用してもよく、有機溶剤に溶解して使用しても
よい。架橋高分子のような不溶性物質の場合には懸濁液
で使用すればよい。また、陽イオン交換基を有する物質
の溶液或いは懸濁液中には、無機の電解質、あるいはそ
の他害とならない物質が存在していてもよい。付着、イ
オン交換、吸着の条件である温度、時間、濃度、溶液、
pH等は陽イオン交換基を有する物質の性質に応じて適
宜選べばよい。
【0021】次に、陽イオン交換基を有する物質を未処
理陰イオン交換膜本体とは化学結合していないが、膜表
面で膜本体とからみ合い、三次元構造となるように形成
させる方法は次の通りである。陽イオン交換基を有し、
且つ反応性官能基を有する物質、例えば、第1、2、3
級アミン等のアミノ基、水酸基、ハロゲン原子、エポキ
シ基、カルボニル基、エチレン系あるいはアセチレン系
の不飽和結合、縮合可能な位置が置換されていないフェ
ノール核、アルデヒド基を有する物質等を浸漬、塗布等
の前述の方法で未処理陰イオン交換膜表面に付着させた
後、これらと反応し得る官能基を有する物質、例えば、
ホルムアルデヒド等のアルデヒド類;ジブロモブタン等
の如きポリハロゲン化アルキル類;エピクロルヒドリン
等のハロエポキシ化合物類;ポリエポキシ化合物類;ポ
リエチレンイミン等のポリアミン類;ポリアクリル酸等
のポリカルボン酸類等を反応させる。また、未処理陰イ
オン交換膜表面に付着させた不飽和結合にラジカル重
合、イオン重合を開始させる放射線照射を施こしたり、
あるいは過酸化物、ルイス酸等を作用させ、膜表面に三
次元構造を形成させることもできる。
【0022】更に、陽イオン交換基を有する物質を未処
理陰イオン交換膜本体と化学結合させる方法は、陽イオ
ン交換基を有し且つ反応性官能基を有する物質を膜本体
と反応させる方法、また、陰イオン交換膜を作る際に陽
イオン交換基を有しているか、あるいは陽イオン交換基
に変換できる表面層を作っておき、内部に陰イオン交換
基を導入した後、表面層を陽イオン交換基に変換する方
法等がある。例えば、スチレン−ジビニルベンゼン系の
膜状物を表面だけスルホン化し、次いで内部をクロロメ
チル化、アミノ化する等の方法等がその例である。
【0023】このような特殊な陰イオン交換膜を用いる
ことによって、例えば、塩素イオンに対するふっ素イオ
ンの透過性は著しく向上し、且つ共存する陰イオン、例
えば、硫酸イオンに対する透過性も著しく向上する。こ
の場合、硫酸イオンが難透過性となる。このとき電気透
析ではふっ素イオンが選択的に膜透過するため、濃縮液
中でふっ素イオン濃度が上り、該濃縮液中にカルシウム
イオンが含まれていると、ふっ化カルシウムの沈澱が析
出する可能性がある。ふっ化カルシウムの沈澱析出を防
止するためには、濃縮液中へのカルシウムイオンの透過
を抑制する方法が好適であり、そのために、陽イオン交
換膜としてカルシウムイオン等の多価イオンに対してナ
トリウムイオン等の一価イオンを選択的に透過させる一
価陽イオン選択透過性膜を用いることが好ましい。
【0024】上記した負の電荷の薄層を有する陰イオン
交換膜は、一般に薄層を有する側が脱塩室側になるよう
に配列されて使用される。
【0025】本発明において、ふっ素イオンを含む水溶
液を電気透析するにあたり、陽イオン交換膜と上記した
負の電荷の薄層を有する陰イオン交換膜とが交互に配列
された公知の電気透析槽を好適に用いることができる。
即ち、締付型、水槽型電気透析槽のいづれも用いること
が出来、限界電流密度が出来るだけ高い電気透析槽を公
知の方法によって運転して実施される。また、電気透析
の一種と見做せる陽極と陰極の間に陰イオン交換膜のみ
を配して陰極室にふっ素を含む溶液を流して、陽極室に
ふっ素イオンを回収、濃縮する場合にも用いられ、この
場合の電気透析槽(電解槽)は従来公知のものが何ら制
限なく用いられる。
【0026】電気透析に用いられる陽イオン交換膜は従
来公知の陽イオン交換膜が用いられる。例えば、重合
系、縮合系、均一系、不均一系等の種類、あるいは製造
方法、更には補強材の有無等により種々の陽イオン交換
膜が適宜使用される。また陽イオン交換膜として陽イオ
ン交換基を容易に導入できる高分子膜状物を用い、これ
に陽イオン交換基を導入したものも用いられる。陽イオ
ン交換膜としては、前記したように一価陽イオン選択透
過性膜を用いることが好ましい。
【0027】
【作用】本来、ふっ素イオンは陰イオン交換樹脂、陰イ
オン交換膜に極めてイオン交換吸着され難い性質がある
ため、陰イオン交換樹脂による吸着除去、陰イオン交換
膜を透過させて除く電気透析による除去は極めて困難で
ある。しかし、陰イオン交換膜表面に負の電荷の薄層を
形成することによってふっ素イオンは著しく膜透過し易
くなる。この作用については尚明確でないが、膜表面に
存在する負の電荷の各陰イオン種に対する静電的反撥力
が異なるためと思われる。例えば、塩素イオンに対して
ふっ素イオンはその強い水和力のため水和イオン半径が
大きく、膜表面の負の電荷による反撥が塩素イオンに比
較して小さいために陰イオン交換膜を透過し易くなるも
のと推測される。
【0028】
【効果】従来の陰イオン交換膜に比較してふっ素イオン
の透過性が増大した結果、同一の膜面積を有する電気透
析槽で、より多くのふっ素イオンを含んだ溶液の処理が
可能となり、その工業的意義は極めて大きい。
【0029】
【実施例】以下の実施例によって本発明の内容を具体的
に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制限される
ものではない。
【0030】ふっ素イオンの透過性の測定は、図1に示
すように銀−塩化銀電極を両端に有する四室電気透析槽
によって行った。陽極室1、陰極室4には、脱塩室2お
よび濃縮室3に入れた測定溶液のナトリウムイオン濃度
と同じになるように塩化ナトリウム溶液を満たした。即
ち、脱塩室2および濃縮室3に0.04規定塩化ナトリ
ウムおよび0.04規定ふっ化ナトリウムの1:1の混
合水溶液を満たしたときは、両極室には0.08規定の
塩化ナトリウム水溶液を満たした。脱塩室2および濃縮
室3には濃度の異なる塩化ナトリウムとふっ化ナトリウ
ムの1:1の混合水溶液、またはふっ化ナトリウムと硫
酸ナトリウムの1:1の混合水溶液を満たした。
【0031】Cは陽イオン交換膜(4cm×5cm)で
隔膜として用い、Aは陰イオン交換膜(2cm×5c
m)である。電流密度は濃度に比例して変化させた。電
気透析後、ふっ素イオン、塩素イオン、硫酸イオンの濃
度はイオンクロマトグラフィーによって分析し、陰イオ
ン交換膜Aを透過する塩素イオンに対するふっ素イオン
の透過当量比、硫酸イオンに対するふっ素イオンの透過
当量比を求めた。
【0032】尚、陰イオン交換膜への陽イオン交換基を
有する物質の付着量は、膜を該物質の溶液中に浸漬した
ときの前後の濃度変化から求めた。定量は紫外吸収スペ
クトルを用いて行った。
【0033】実施例1 陽イオン交換膜としてNEOSEPTA CM-2(商品名、徳山曹
達株式会社製)を用いた。陰イオン交換膜NEOSEPTA AM-
1(商品名、徳山曹達株式会社製)を分子量約10,0
00のポリスチレンスルホンの1000ppm水溶液に
25℃で17時間浸漬した後水洗し、膜両面にポリスチ
レンスルホン酸の薄層を有する陰イオン交換膜を調製し
た。これらのイオン交換膜を図1に示した四室電気透析
槽に組み込み、表1に示すような濃度(濃度はナトリウ
ムイオン濃度)の塩化ナトリウムとふっ化ナトリウムの
1:1の混合水溶液を測定溶液として用いて塩素イオン
に対するふっ素イオンの透過性を測定した。
【0034】
【表1】
【0035】透過量比は塩素イオンが一当量膜透過した
ときのふっ素イオンの透過当量数を示す。
【0036】更にこの膜を用いて硫酸イオンに対するふ
っ素イオンの透過量比を0.04規定の濃度で測定した
ところ、通常の陰イオン交換膜では透過量比は0.38
であったが、本発明の電気透析方法では1.8であっ
た。
【0037】尚、この膜の表面に付着しているポリスチ
レンスルホン酸の量は単位面積あたり0.05×10-5
g/cm2であり、この値は薄層の厚み12オングスト
ロームに相当した。また、ポリスチレンスルホン酸の薄
層の電荷量は5.5×10-1 0当量/cm2であった。
【0038】次にこの膜を0.5規定食塩水に平衡にし
て1000サイクル交流によって25.0℃で電気抵抗
を測定したところ、1.7Ω・cm2であり、未処理陰
イオン交換膜は1.6Ω・cm2であった。
【0039】実施例2 実施例1と同じ電気透析槽を用い、陽イオン交換膜とし
てNEOSEPTA CM-2(商品名、徳山曹達株式会社製)を用
いた。陰イオン交換膜としてはNEOSEPTA AM-2(商品
名、徳山曹達株式会社製)を用い、この膜をナフタリン
スルホン酸ソーダとホルマリン縮合物の10,000p
pm水溶液に50℃で10時間浸漬し、膜両面に上記縮
合物を付着させた。膜への上記縮合物の付着量は8.3
×10-5g/cm2でありX線マイクロアナライザーで
硫黄の分布を測定したところ膜表面から約3μmのとこ
ろまで硫黄の存在が認められた。この膜の薄層の電荷量
は3×10-7当量/cm2であった。この膜の0.25
規定塩化ナトリウム、0.25規定ふっ化ナトリウムの
混合溶液の電気透析では塩素イオンに対するふっ素イオ
ンの膜透過当量比は0.35であり、他方、上記処理を
施していない未処理陰イオン交換膜では塩素イオンに対
するふっ素イオンの膜透過当量比は0.013であっ
た。また硫酸イオンのふっ素イオンに対する膜透過当量
比は本発明の電気透析法の場合、11.7であり、通常
の未処理の陰イオン交換膜の場合は0.33であった。
【0040】また、膜の電気抵抗を0.5規定食塩水中
で測定したところ1.7Ω・cm2であった。他方未処
理陰イオン交換膜は1.8Ω・cm2であった。
【0041】実施例3 陰イオン交換膜としてビニルピリジン系の陰イオン交換
膜NEOSEPTA AF-4T(商品名、徳山曹達株式会社製)を用
いて実施した。この膜を塩素イオン型にしてスチレンス
ルホン酸ソーダの5%水溶液に3時間浸漬して膜両面の
表層部にスチレンスルホン酸をイオン交換吸着させたあ
と過硫酸ソーダ2%と亜硫酸ソーダ2%を含んだ水溶液
に8時間浸漬してスチレンスルホン酸を膜表面で重合さ
せた。この膜を用いて実施例2と同様に塩素イオンに対
するふっ素イオンの膜透過当量比、および、硫酸イオン
に対するふっ素イオンの膜透過当量比を測定したとこ
ろ、それぞれ0.42と12.5であった。他方未処理
陰イオン交換膜のそれぞれの値は0.021と0.32
であった。
【0042】また、得られた膜の断面についてX線マイ
クロアナライザーで硫黄の分布を測定したところ膜表面
から約4μmの厚みに硫黄の存在が認められた。さら
に、この膜の薄層の電荷量は1.6×10-6当量/cm
2であった。
【0043】また、膜の電気抵抗を0.5規定食塩水中
で25.0℃で測定したところ表面処理した膜と未処理
の膜で2.4Ω・cm2と2.3Ω・cm2であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施例において使用された電
気透析槽の構造を示す概略図である。
【符号の説明】
C:陽イオン交換膜 A:陰イオン交換膜 1:陽極室 2:脱塩室 3:濃縮室 4:陰極室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C02F 1/58 ZAB M

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ふっ素イオンを含む水溶液から電気透析に
    よりふっ素イオンを除去するにあたり、陰イオン交換膜
    として、膜表面に負の電荷の薄層を有する陰イオン交換
    膜を用いることを特徴とするふっ素イオンの除去方法。
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