JPH0725004B2 - 工作機械の工具交換装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は、工具の外形状を把持する可動あごを少なく
とも１個配設したハンド部を有する工作機械の工具交換
装置に関する。

（従来の技術・発明が解決しようとする課題） かかる把持爪がドイツ特許公開明細書第3322874号によ
り知られている。

最新の工作機械、特に多数の工作物について順次プログ
ラム制御されて多数の加工行程を実施するいわゆるマシ
ニングセンタにおいて、工具を主軸台付近のマガジン内
に用意して１加工行程から次の加工行程に移る際それま
で使用した工具を１つの把持爪により交換し、次の加工
行程のため新しい工具をマガジンからスピンドル内に装
着することが知られている。このため１本の可動アーム
と１個の前記アームの遊端に配設したハンド部とを有す
る把持爪を使用することが知られている。把持爪の適宜
移動により単に１個の工具をマガジン、スピンドル間で
往復搬送することができる。

例えば、米国特許明細書第4,642,875号に開示された第
１形式の工具は、適当な移送手段を備えるマガジンに配
置されており、スピンドルには、対向移動する２つの把
持爪が設けられて、使用済の工具をスピンドルから取り
除き、次の工具をマガジンから取り上げてこれをスピン
ドルに装着する。

工具の交換を実行するために、上述の移送手段によっ
て、マガジンは、交換される工具のための移送ステーシ
ョンが空となるようにして作動される一方で、使用され
る予定の次の工具を把持爪によって取り上げるために移
送ステーションに配置しなければならない。

この種の機械工具の重要な特徴は、各把持爪が、工作物
の全体の作業サイクルの間に必要とされるすべての工具
の１つずつ取り扱うことである。それゆえ、このような
把持爪のハンド部は、工具の軸線に対して半径方向に移
動することにより、工具が把持され、そして取り外すこ
とができ、さらにスピンドルに移送されるようにＵ字形
の受入れ開口を備えている。

この第１形式の工具は、ハンド部に固定されない状態で
回転できるので、必要な工具取付け時間を最小にするた
めに作業行程中でも、ハンド部が工具上の位置にとどま
ることができる。

しかしながら、この工具は、移動力により、特に、工具
交換時間が非常に短い場合、そして、結果的に非常に早
い把持爪の動作によって、把持爪のハンド部内で位置ず
れを起こす場合があることが判明した。これは、工具が
スピンドルの特定位置内に導かれる場合に、特に、スピ
ンドル上のスライドブロックが工具の外周に設けた嵌合
溝に係合する場合には不利となる。

また、別の工作機械、例えば、米国特許明細書第4,557,
035号に開始された第２の形式のものでは、スピンドル
の回りに多数の把持爪が配置され、各把持爪は、それぞ
れ１つの工具に固定配置されている。このため、工具交
換時には、使用済工具を保持している把持爪はスピンド
ルから使用済み工具を取り出す一方、新しい工具を保持
した把持爪が逆方向に移動して新しい工具をスピンドル
内に装入する。それ故、この形式の工作機械では、全加
工サイクルを通じて同一の工具が同じ把持爪に保持され
る。

したがって、第１形式の工具では、使用者は、加工サイ
クルの始めにまず、マガジンに必要な種類の工具を必要
な数だけ収納し、次に、把持爪により所望の工具を取り
出すのに対し、第２形式の工具では、使用者が、現にあ
る複数の把持爪のハンド部にそれぞれの工具を挿入しな
ければならない。

ところで冒頭挙げたドイツ特許公開明細書第3320874号
により、第二に述べた形式の工作機械に関し、工作機械
のマガジン貯蔵の間可動あごを押ボタンの手動操作によ
って開放させ、工具挿入後に再び緊締することにより、
把持爪のハンド部に工具用外形部固定手段を備えること
が知られている。それゆえ工具は把持爪のハンド部内で
確実に保持されており、今日希望される短い工具交換時
間で把持爪を高速で移動する間も、許されない位置変化
を起こすことがない。この工具は更に把持爪のハンド部
内で回転自在に保持され、ハンド部は工作物の加工中も
工具と接触した状態でとどまることができる。しかし、
工具の外形部を固定するという考えは、すでに述べたよ
うに、把持爪のハンド部が、工具外形部の固定手段を含
んでおり、全加工サイクル中、工具と接触を保っている
場合にのみ可能である。

本発明は、ハンド部に設けた一組の機構で一対の可動あ
ごを玉とカムの同じ動作で旋回させて閉鎖位置と開放位
置をとらせ、工具の把持と解除を容易にかつ迅速な操作
で確実に行うようにした工作機械の工具交換装置を提供
することを目的としている。

（課題を解決するための手段および作用） 本発明は、工具を固定保持するための２つの可動あごを
備えるハンド部を有し、該ハンド部は静止ストップによ
ってばねに抗して軸方向に移動可能なピンを有し、この
ピン移動により前記可動あごを軸回りに旋回して、工具
を導入する開放位置と工具を固定保持する閉鎖位置に移
行させる工作機械の工具交換装置であって、 前記可動あごは、各々２つの旋回用カムを有し、前記ピ
ンはその周面にピンの軸線に対して傾斜する４つの案内
斜面を有し、該斜面は対をなして対向配置されて互いに
軸方向逆向きの延びており、各対の一方の案内斜面に可
動あごの各カムが玉を介して交互に係合することを特徴
としている。

これにより、本発明によれば、ピンが工作機械の空間に
固定した静止ストップに突き当ってハンド部内に沈み込
むと、案内斜面内の玉は外に押し出されてカムを押して
各々の可動あごを旋回させ、これと同時にカムに押圧さ
れた一方の玉が案内斜面内に滑り込むので、可動あごは
開く。

また、ストップから離れるとピンが元に復帰するのでカ
ムと玉の反対の動作により可動あごが閉じる。

この結果、１つのピンに設けた４つの案内斜面とこれに
玉を介して対向するカムとにより、一対の可動あごの開
放位置と閉鎖位置を１つの機構で作動でき、小さな構造
体で、かつわずかなピンの軸方向変位により、可動あご
の大きな開閉動作を実現できる。

本発明の更に別の実施例では、１つまたは複数のカムが
軸方向に調整可能である。

このことは、カムに対して特別の利点を与える。すなわ
ち、緊締位置を正確に調整でき、この緊締位置では、工
具があごの中で実質的に摩擦なしで回転できるように工
具を挟むあごと工具との接触が保持されており、他方、
所定の位置でこの係合の位置ずれが生じる危険もほとん
どない。

最後になお、好ましい本発明の実施例では可動あごが固
定あご上を移動可能であり、固定あごが工具の周面に一
致した内のり幅の直線ガイドを有し、可動あごが少なく
とも一部に工具用円弧状保持部を備え、保持部が開放位
置のとき内のり幅の外に位置する。

この措置の利点として把持爪のハンド部はまず半径方向
で工具を把持することができる一方、可動あごはなお工
具お運動路の外に位置する。工具が直線ガイドの最後、
例えば固定あごの半円形受容部内に到達してはじめて可
動あごが閉じ、これにより工具は周面全体又は周面の大
部分にわたって確動式に保持される。

その他の利点は以下の説明及び添付図面から明らかとな
る。

前述の特徴及び以下なお説明する特徴は勿論その都度記
載した組合せにおいてだけでなく、本発明の枠から外れ
ることなく別の組合せ又は単独でも適用できる。

（実施例） 本発明の実施例を図面に表し、以下詳しく説明する。

第１図、第２図において10は把持爪の全体であり、これ
が第２図に概略示唆した工具11を把持しかつ保持する。
第１図、第２図に切欠き図示しただけの把持爪10のアー
ム12は普通第１図、第２図の図示平面からまず斜めに、
そして垂直に張り出す一方、把持爪10のハンド部13は通
常どおり水平面上を延びている。14,14aは心出し部材で
あり、場合によってはこれが上側の傾斜した穴を有し、
この穴が工作機械のスピンドル又はマガジンの当該心出
しピンと協動する。しかし後になお第３図に関連して説
明するように14,14aは旋回軸をともなっている。

15,15aはハンド部13の２個の固定あごである。あご15は
前側が開口し、互いに平行な直線ガイド16,16aを有し、
ガイド間に内のり幅ｄが空いている。アーム12に向かっ
て直線ガイド16,16aは心出し溝18を有する半円形受容部
17に移行している。工具11の側面も案内するため固定あ
ご15,15aの前側遊端に制限コマ板19,19aが設けてある。

内のり幅ｄ又は制限コマ板19,19a間の間隔は、工具11の
外径20又は21が固定あご15,15a間で工具の外形部を把持
する際の軸方向ガイドとなるように選択されている。こ
のため、工具11は、詳細に説明はしないが、図２におい
て、従来知られている形式の軸形状が示されている。

心出し部材又は軸14,14a間に操作ボタン26が設けてあ
り、その機能については以下なお第３図、第４図に関連
して詳しく説明する。操作ボタン26は第１図、第２図の
図示平面に垂直な方向に移動可能である。操作ボタン26
をこのように移動させると可動あご30,30aが軸14,14aを
中心に第１図に示す緊締位置から第２図に示す開放位置
へと旋回する。可動あご30,30aはやはり工具11の周知の
外輪郭に適合した円弧状保持部31,31aを備えている。工
具11を特定の周面位置で固定するため可動あご30aが遊
端に突片32を備え、これがそれに付属した工具11の角形
凹部33に係合する。

前述のことからはっきりわかるように第２図に示す開放
位置のとき工具11は右側からハンド部13内に挿入するこ
とができ、ハンド部13の半円形受容部17に当接する。次
に可動あご30,30aを第１図に示す緊締位置に移動させる
と工具11は第１図、第２図の図示平面で固定されるとと
もにそのｚ軸を中心に回転しないよう固定されてもい
る。

工具11はこの状態で高速でも工作機械のスピンドル内に
運ぶことができ、その際工具11が何らか望ましくない位
置変化を起こす虞もない。むしろ工具11は限定された周
面位置において工作機械のスピンドルに供給され、スピ
ンドル内にある滑りブロックがそれに付属した工具11の
溝の直接係合することができる。

次に第３図と第４図を基に可動あご30,30aと協動する操
作ボタン26の機能様式を説明する。

操作ボタン26は第一の軸方向止り穴41を有するピン40と
して構成してあり、この穴にコイルばね42が格納してあ
るのがわかる。それと同心で逆向きに第二の止り穴43が
ハンド部13に設けてあり、この穴にピン40が軸方向で進
入する。コイルばね42は一端がピン40の第一の底44、他
端が第二止り穴43の第二の底45で支持される。

第４図においてピン40の上方に符号47で静止ストップが
示唆してあり、容易に読み取れるようにハンド部13を二
重矢印48の方向に動かすとピン40は静止ストップ47に当
接し、下方にコイルばね42の力に抗して第二止り穴43内
に押し込まれる。

第３図から、第二止り穴43はピン40の周面全体を案内し
ているのではないことがはっきりわかる。第二止り穴43
はむしろハンド部13の、それぞれ特定の周面部分にわた
って互いに離間した４つの周面部分50,51,52,53で形成
される。この配置の結果、半径方向に延在する通路54,5
5,56,57が、各周面部分50,51,52,53の間に形成される。
そして、これらの各通路は、ピン40の外周面で終端とな
るので、玉58,59,60,61を収納する軸受用レースの役目
を果たす。したがって、この径向き通路54,55,56,57内
を玉58,59,60,61が転動する。

第４図からはっきり、そして一部は第３図からもわかる
ように、ピン40が通路54,55,56,57の範囲の外周面に４
つの案内斜面または案内溝を備え、そのうち、第３図に
は、玉59,60に対応する案内斜面63,64の上部から見た断
面形状が示され、第４図には、玉58,60に対応する案内
斜面62,64の側断面が示されている。

案内斜面62,63,64はピン40が軸方向両端位置にあるとき
各２個の玉が案内斜面に入り込み、そして２個の玉が進
出してピン40の外周面に当接するよう配置してある。ピ
ン40の軸方向摺動時における玉58,59,60,61のこの半径
方向運動は可動あご30,30aを第１図に見られる端位置と
第２図に見られる端位置との間で往復動させるのに利用
される。

このため軸14,14aを中心に回転可能な可動あご30,30aが
第３図にはっきり認められるように軸14,14aに関して左
右の位置に配置されたカム70,71,72,73を備え、カム70,
73はそれを軸方向で付勢すると可動あご30,30aは緊締位
置に旋回させ、軸方向に調整可能である。このことが第
３図に軸線74,75で示唆してあり、第４図はカム70,73を
例えば無頭ねじとして構成することができることを示
す。

第３図に示す緊締位置のときピン40は上端位置にあり、
コイルばね42は弛緩している。この位置のとき玉59と60
がそれぞれ付属した案内斜面63,64に進入し、開放用カ
ム71,72は付勢されていない。それに対し玉58,61は付属
の案内斜面62と玉61の図示省略した案内斜面とが逆向き
に構成してあるのでこれらの案内斜面から進出し、ピン
40の外周面に当接する。玉58,61のこの半径方向遊動に
より緊締用カム70,73が操作され、可動あご30,30aは第
１図及び第３図に見られる緊締位置にくる。

次にハンド部13を第４図に記入した二重矢印48に沿って
静止ストップ47に向かって上昇させるとピン40はコイル
ばね42の力に抗して下方に第二止り穴43内に押し込まれ
て突接する。すると玉59と60が案内斜面63,63を斜め上
そして半径方向外方へと転動し、開放用カム71,72が操
作され、可動あご30,30aは第２図に示す開放位置へと開
く。同時に玉58,61が逆向きの案内斜面62及び玉61の図
示省略した案内斜面に入り込み、緊締用カム70,73が解
放される。

上記のことから、本装置により、開放と緊締の動作の強
制制御が与えられ、可動あご30,30aの制御された運動が
両方の動作において保証される。

（発明の効果） 本発明の工具交換装置は、１つのピンに設けた４つの案
内斜面とこれに玉を介して対向するカムとにより、一対
の可動あごの開放位置と閉鎖位置を１つの機構で作動で
き、小さな構造体で、かつわずかなピンの軸方向変位に
より、一対の可動あごを旋回させて大きな開閉運動を生
じさせることができる。

また、開閉動作は、玉による低摩擦の伝動機構であり、
復帰ばねの応答を迅速にして工具の把持と解除を容易に
かつ迅速な操作で確実に行うことができる。

本発明によれば、ハンド部に設けた一組の機構で一対の
可動あごを機械的な玉とカムの同じ動作で旋回させて閉
鎖位置と開放位置をとらせることができ、この機構はハ
ンド部におけるわずかなスペース内に配置できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は緊締位置における本発明による把持爪のハンド
部を上から見た平面図、 第２図は開放位置における第１図と同様の平面図、 第３図は第１図の図を第４図III−III線に沿って見た一
部断面図、 第４図は第３図に示すハンド部を第３図のIV−IV線に沿
って見た一部切欠き側断面図である。 11…工具、13…ハンド部、30,30a…可動あご、47…止め

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭49−116677（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭58−154035（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭53−75886（ＪＰ，Ｕ) 特公 昭60−44101（ＪＰ，Ｂ２)

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】工具（11）を固定保持するための２つの可
   動あご（30,30a）を備えるハンド部（13）を有し、該ハ
   ンド部は静止ストップ（47）によってばね（42）に抗し
   て軸方向に移動可能なピン（40）を有し、該ピンは、前
   記可動あごを軸（14,14a）回りに旋回して、工具を導入
   する開放位置と工具を固定保持する緊締位置に移行させ
   る工作機械の工具交換装置であって、 前記可動あご（30,30a）は、前記軸（14,14a）に関して
   左右の位置に配置される、各々２つの旋回用カム（70/7
   1,72/73）を有し、前記ピン（40）はその周面にピンの
   軸線に対して傾斜する４つの案内斜面（62〜64）を有
   し、該斜面は対をなして対向配置されて互いに軸方向逆
   向きに延びており、各対の一方の案内斜面に可動あごの
   各カムが玉（58〜61）を介して交互に係合することを特
   徴とする装置。
2. 【請求項２】可動あご（30,30a）は、ばねが緩んだ位置
   にあるとき、緊締位置にあることを特徴とする請求項１
   の工具交換装置。
3. 【請求項３】カム（70/71,72/73）は、ピン（40）の軸
   線に対して垂直方向に調整されていることを特徴とする
   請求項１または２の工具交換装置。
4. 【請求項４】可動あご（30,30a）は、各々固定あご（1
   5,15a）上を移動可能であり、該固定あごは、工具（1
   1）の周縁に相当する部分との間に間隙（ｄ）を有する
   直線ガイド（16,16a）を有し、さらに可動あごには、少
   なくともそのあご部の上に工具を支持する円弧状保持部
   （31,31a）が設けられ、該支持体は開放位置において間
   隙（ｄ）の外側に配置されていることを特徴とする請求
   項１ないし３のいずれかの工具交換装置。