JPH0724986A - ポリエステル化粧板の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 不飽和ポリエステル樹脂を用いてなるポリエ
ステル化粧板を、少ない設備スペースで能率よく製造す
る方法を提供する。 【構成】基材２の上面に接着剤３を介して、絵柄層５が
設けられた化粧用原紙４が積層され、該化粧用原紙４の
全面に空気乾燥型ノンワックス不飽和ポリエステル樹脂
６を塗布後、合成樹脂シート７を覆って空気乾燥型ノン
ワックス不飽和ポリエステル樹脂６を固化させた後、前
記合成樹脂シート７を剥離し、該合成樹脂シート７を剥
離したポリエステル化粧板を積み上げ、完全に硬化さす
ことによりポリエステル化粧板を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、各種家具類や、建築内
装材等に使用されるポリエステル化粧板の製造方法に関
する。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種の化粧板の製造方法として
は、木目等の絵柄層が形成されたチタン紙等の印刷化粧
原紙が、合板等の基板上に接着剤を介してプレスにより
積層され、さらに、上記絵柄層を有する印刷化粧原紙の
上面全面に不飽和ポリエステル樹脂を塗布後、加温放置
して樹脂を硬化さして化粧板を作製している。しかし、
不飽和ポリエステル樹脂は硬化反応が空気中の酸素によ
って阻害される欠点を有しているために、内部が硬化後
も空気に触れる表面では硬化が遅れ長時間にわたって粘
着性が残ったり、表面硬さが不十分であったり、水にさ
らされると表面が白化したり、熱により粘着性をおびた
り、薬品、有機溶剤に対する抵抗力も大幅に低下する欠
点がある。

【０００３】従来、このような欠点を解決するため、不
飽和ポリエステル樹脂にワックスを添加する方法や、硬
化中に硬化物の表面を空気に接しないように合成樹脂シ
ートでカバーする物理的方法が採用されている。しかし
ながら、前者の方法は成型品の表面にワックスが残るた
め、バフがけ、サンディング等の加工処理が必要であ
り、更に、使用条件によりワックスの添加量及びワック
スの種類を調整する必要もあり多くの手数がかかる難点
がある。また、後者の方法は不飽和ポリエステル樹脂が
硬化するまで表面の合成樹脂シートを剥離する事が出来
ない、従って、合成樹脂シートを剥離するまでに時間を
要するために、合成樹脂シートのシート状支持体を多量
に準備する必要があり、また設備スペースの点でも広い
場所を必要とする等生産効率が悪く、また硬化時間を短
縮する為に加温状態で硬化する方法もあるが、この場合
は、加温設備が必要でありまた加温によって木質基板の
含水率が減少し、化粧板に反りが生ずる等の問題があっ
た。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とする
ところは、不飽和ポリエステル樹脂を用いて作製される
ポリエステル化粧板を、少ない設備スペースで能率よく
製造する方法を提供するものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明のポリエステル化粧板の製造方法は、化粧
板用基板の上に接着剤を塗布し、該接着剤の上に絵柄層
が形成された化粧用原紙を絵柄層を上にして積層し、該
絵柄層の上面に空気乾燥型ノンワックス不飽和ポリエス
テル樹脂を塗布し、次いで合成樹脂フイルムよりなる、
シート状の支持体を、該空気乾燥型ノンワックス不飽和
ポリエステル樹脂に接するように積層して硬化させる過
程において、該空気乾燥型ノンワックス不飽和ポリエス
テル樹脂の表面が固化した時点で前記シート状の支持体
を剥離し、該シート状の支持体を剥離したポリエステル
化粧板を積み上げて硬化させることを特徴とするもので
ある。

【０００６】

【作用】上述の本発明のポリエステル化粧板の製造方法
では、不飽和ポリエステル樹脂として空気乾燥型ノンワ
ックス不飽和ポリエステル樹脂を用いている為に、該空
気乾燥型不飽和ポリエステル樹脂の表面が固化した時点
でシート状支持体を剥離し、化粧板を積み上げることが
できることから、設備スペースも少なく、またシート状
支持体も少量ですむために、小ロット生産に対応し易
い。

【０００７】

【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て詳細に説明する。図１は本発明のポリエステル化粧板
を示す断面図であり、図２は本発明の方法により製造さ
れるポリエステル化粧板の一実施例の積層構造の断面を
示す模式図であって、１はポリエステル化粧板、２は基
材、３は接着剤、４は化粧用原紙、５は絵柄層、６は空
気乾燥型ノンワックス不飽和ポリエステル樹脂、７は合
成樹脂フイルムをそれぞれ表す。

【０００８】本発明のポリエステル化粧板１の構成とし
ては、図１に示すように、基材２の上面に接着剤３を介
して、絵柄層５が設けられた化粧用原紙４が積層され、
前記化粧用原紙４の全面に空気乾燥型ノンワックス不飽
和ポリエステル樹脂６が積層されている。

【０００９】基板２としては、化粧板として必要な厚み
及び強度を与えるため、木、合板、パーチクルボード、
ＭＤＦ等のものが用いられる。基板２と化粧用原紙４の
接着に用いる接着剤３としては、尿素系樹脂、アクリル
系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等のエマルジョン型の通常の
接着剤で、ホットプレスやラミネーターの装置を用いて
接着される。

【００１０】化粧用原紙４は、基板に対して隠蔽性を有
する着色紙を用いるのが好ましく、通常米秤５０〜１５
０g/m²で２酸化チタン等の不透明顔料を混抄したいわゆ
るチタン紙、又は、必要に応じ隠蔽性を目的としたチタ
ン入りの２０〜５０g/m²の薄葉紙が用いられ、必要に応
じて所望の絵柄が設けられる。

【００１１】絵柄層５は木目柄、抽象柄、石目柄等任意
の模様の印刷が付されており、印刷層の形成法としては
グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセツト印刷等通常
の印刷方式を用いることが出来る。インキとしては、酢
酸セルロース系又は酢酸セルロース・ニトロセルロース
混合系ベヒクルを用いることが好ましい。

【００１２】次いで、印刷用原紙４の上に空気乾燥型ノ
ンワックス不飽和ポリエステル樹脂６を塗布し、含浸、
硬化させて形成する。不飽和ポリエステル樹脂液を塗
布、含浸後、硬化させるにあたり、酸素硬化阻害の影響
がなく、ワックスを用いなくとも表面乾燥可能の、いわ
ゆるノンワックス型不飽和ポリエステル樹脂を適用す
る。手法としては例えば、不飽和アルキド中の酸成分の
変性、不飽和アルキド中のグリコール成分の変性、不飽
和アルキド中のモノマーの変性、熱可塑性樹脂の添加等
の方法が挙げられるが、好ましくは不飽和アルキド中の
グリコール成分の変性によるものである。中でもアリル
エーテル類をグリコールの一成分として、他のグリコー
ルと併用するか、あるいは単独使用した不飽和ポリエス
テル樹脂は、きわめて良好な空気硬化性を示し、しかも
物性的にもかたくて耐磨耗性に富んでおり、耐熱性、耐
侯性、耐薬品性などもすぐれている。樹脂液には重合開
始剤や、必要に応じて重合促進剤を添加して使用する。

【００１３】重合開始剤は、樹脂に対して重量割合で
０．５〜３％添加すれば足り、メチルエチルケトンパー
オキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ハイドロパー
オキサイド等の過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリ
ルのようなラジカル開始剤から適宜に選択して使用す
る。重合促進剤としては、ナフテン酸コバルトなどのコ
バルト化合物、バナジウム化合物、マンガン化合物など
の金属化合物や、ジメチルアニリンなどのアミン系化合
物が挙げられ、樹脂に対し、重量で０．１〜２．０％添
加するのが好ましい。さらに樹脂の架橋、粘度調整を兼
ねて、スチレンモノマーなどのビニル基を有する化合物
を使用し、樹脂液の１０〜４０重量％を占めるように添
加してもよい。

【００１４】樹脂液を塗布、含浸後硬化させるにあた
り、表面に合成樹脂フイルム７を用いて遮蔽する。これ
は樹脂液を塗布後表面を平滑にし、塗膜厚さを均一にす
るためのローラー掛けを容易にすると共に、表面にゴミ
などの異物が付着する事を防ぐ。用いる合成樹脂フイル
ム７は、従来公知のいずれの合成樹脂フイルムでもよ
く、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレート等のポリエステルフイルムやポリエチレ
ン、ポリプロピレン等のポリオレフィンフイルム、エチ
レン・ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニル、ビ
ニロン等のビニル樹脂フイルム、シリコーンゴフイルム
等が使用され、空気乾燥型ノンワックス不飽和ポリエス
テル樹脂硬化物との離型性が良好なものが好ましいもの
である。合成樹脂フイルム７の厚みは、通常２５〜１０
０μｍ位が良く用いられる。尚、該フイルム表面の仕上
がりを艶有り、艶消しにしたもの、更にフイルム表面上
に凹凸模様を形成した物を用いると硬化した不飽和ポリ
エステル樹脂表面に艶有り、艶消し、凹凸模様を賦形す
る事ができる。

【００１５】ポリエステル化粧板１を製造する方法とし
ては、図２に示すように、基板２の上に接着剤３を塗布
し、その上に化粧用原紙４を重ねプレスによって貼合せ
る。次いで前記化粧用原紙４面に空気乾燥型ノンワック
ス不飽和ポリエステル樹脂６を塗布し、更に合成樹脂フ
イルム７を覆いローラーで表面をしごき空気を脱気する
と共に表面を平滑にしたあと暫く放置する。次いで前記
空気乾燥型ノンワックス不飽和ポリエステル樹脂６の表
面が固化した時点で前記合成樹脂フイルム７を剥離す
る。合成樹脂フイルム７を剥離した化粧板を製造ライン
より外して積み重ねた状態で完全硬化させる。

【００１６】この合成樹脂フイルム７を剥離するまでの
時間は、選択した不飽和ポリエステル樹脂の種類、放置
温度等に応じて適宜決められる。通常、樹脂を完全に硬
化させて物性を十分に引き出すためには、表面迄樹脂が
十分に硬化した時点で合成樹脂フイルム７を剥がすのが
好ましく、例えば通常の不飽和ポリエステル樹脂を使用
する場合は、１５〜２０分が一般的であるが、空気乾燥
型ノンワックス不飽和ポリエステル樹脂を用いたとき
は、空気存在下でも十分に硬化が進むため表面が固化す
る７〜８分で合成樹脂フイルム７を剥離することが出来
る

【００１７】実施例１ 秤量８０g/m²のチタン紙の上に、酢酸セルロースをベヒ
クルとするインキを用いて、通常のグラビア印刷機にて
木目模様を印刷し化粧原紙４を得た。次いで、２．５mm
厚の合板２に、酢酸ビニール系接着剤３をロールコート
した後、上記で得た化粧原紙４を貼合せた。この際の接
着剤の塗布量は６０g/m²である。しかるのちに、上記絵
柄層５を有する化粧原紙４の表面に、硬化触媒（メチル
エチルケトンパーオキサイド）１．０重量％を含有する
空気乾燥型ノンワックス不飽和ポリエステル樹脂６を２
３０g/m²の割合で塗布し、更に透明ビニロンフイルム７
でその上を被覆し、ローラーを用いて脱泡、平滑にした
あと、室温の状態で８分間放置した後、透明ビニロンフ
イルム７を剥離し、コンベアラインから外して、透明ビ
ニロンフイルム７を剥離した化粧板を重ね合わせて２４
時間放置し完全に硬化させポリエステル化粧板を得た。

【００１８】

【発明の効果】本発明は、以上説明したように、空気乾
燥型ノンワックス不飽和ポリエステル樹脂を使用し、該
空気乾燥型ノンワックス不飽和ポリエステル樹脂の表面
が固まった時点で表面の合成樹脂フイルムを剥離する方
法を採用した結果、インラインでの製造時間が１／２に
短縮されるため、小ロットに対応する際生産性が向上す
る。

【００１９】空気乾燥型ノンワックス不飽和ポリエステ
ル樹脂を使用し、更に表面にフイルムをカバーし樹脂を
硬化することで、化粧板表面に艶有り、艶消し、又は凹
凸等を賦形した高意匠のポリエステル化粧板を得ること
が出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のポリエステル化粧板の断面図である。

【図２】本発明の方法により製造されるポリエステル化
粧板の一実施例の積層構造の断面を示す模式図である。

【符号の説明】

１ ポリエステル化粧板 ２ 基板 ３ 接着剤 ４ 化粧用原紙 ５ 絵柄層 ６ 空気乾燥型ノンワックス不飽和ポリエステル樹脂 ７ 合成樹脂フイルム

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 化粧板用基板の上に接着剤を塗布し、該
   接着剤の上に絵柄層が形成された化粧用原紙を絵柄層を
   上にして積層し、該絵柄層の上面に空気乾燥型ノンワッ
   クス不飽和ポリエステル樹脂を塗布し、次いで合成樹脂
   フイルムよりなる、シート状の支持体を、該空気乾燥型
   ノンワックス不飽和ポリエステル樹脂に接するように積
   層して硬化させる過程において、該空気乾燥型ノンワッ
   クス不飽和ポリエステル樹脂の表面が固化した時点で前
   記シート状の支持体を剥離し、該シート状の支持体を剥
   離したポリエステル化粧板を積み上げて硬化させること
   を特徴とするポリエステル化粧板の製造方法。