JPH0724923B2 - 連続鋳造用ベルト - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、ベルト式連続鋳造機に使用される連続鋳造用
ベルトに関する。

「従来の技術」 この種のベルト式連続鋳造機としては、サウスワイヤー
式およびプロペルチ式として知られるベルト・ホイール
型連続鋳造機や、ヘズレット式として知られる双ベルト
型連続鋳造機がある。

ベルト・ホイール型連続鋳造機というのは、外周面に鋳
造溝が形成されたホイールと、このホイールの外周に巻
回された低炭素鋼製の無端ベルトとによって鋳型を構成
したもので、これらホイールとベルトとを回転させ、ホ
イールとベルトに冷却水を吹き付けつつ、前記ホイール
の鋳造溝とベルトとの間に連続的に鋳造材の溶湯を流し
こみ、これを冷却して連続した金属棒を得る。

一方、前記双ベルト型連続鋳造機は、上下平行に配置さ
れ同方向に走らされる一対の無走ベルトと、これらベル
トの間に左右に離間して配設され、ベルトと同速で動か
される一対のダムを備え、前記ベルトとダムとにより囲
まれる空間を鋳型として使用するものである。

「発明が解決しようとする問題点」 ところで、これらの連続鋳造機にあっては、ベルトが応
力のかかった状態で高温の溶融金属および冷却水に交互
に接触するため、ベルトが熱疲労して表面にクラックを
生じたり、表面が冷却水との接触により酸化されて錆が
発生したりし、これらクラックや錆が剥離した後の凹部
に応力が集中してベルトが破断するおそれがあり、寿命
が短く制限されるという欠点があった。

また、ベルトから剥離したクラック片や錆が溶湯に混入
し、鋳造材の品質を低下させてしまうという問題もあっ
た。

「発明の目的」 本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、鋳造用ベル
トの溶湯との接触面に熱疲労によるクラックや錆が発生
することを防止し、ベルトの長寿命化を図るとともに、
溶湯へのクラック片や錆の混入による鋳造材の品質低下
防止を図ることができる連続鋳造用ベルトを提供するこ
とを目的としている。

「問題点を解決するための手段」 本発明の連続鋳造用ベルトは、銅の連続鋳造に使用され
るものであって、低炭素鋼製の無端状ベルト本体の溶湯
との接触面に、銅あるいはアルミニウムのコーティング
を１μｍ以上の厚さに形成したことを特徴とする。

「実施例」 以下、本発明の実施例を詳細に説明する。

本発明の連続鋳造用ベルトは、ベルト式連続鋳造機を使
用した銅の連続鋳造に使用されるものであって、低炭素
鋼製の無端ベルト本体の溶湯と接触する面に、銅あるい
はアルミニウムのコーティングを形成したものである。
コーティングを形成するに際しては、化学的あるいは電
気化学的なメッキ法や、ベルト材料である鋼材の表面に
銅薄板またはアルミ薄板を貼り付け、これを圧延してベ
ルトを形成するクラッド法、さらには溶融した銅または
アルミニウムをベルト本体に吹き付ける方法等のいずれ
かが用いられる。

前記コーティングの厚さは１μｍ以上であることが必要
であり、より好ましくは１〜40μｍとされる。１μｍ未
満だと、摩擦によりコーティングが容易に脱落するおそ
れがある。また、40μｍより厚いと、コーティング形成
コストが高くなり経済的に不利である。しかし、経済的
に許されればこの限りではない。

このような構成からなる連続鋳造用ベルトにあっては、
ベルト本体の銅溶湯との接触面に銅またはアルミニウム
のコーティングが形成されているので、銅の連続鋳造を
行う際に、高温の銅溶湯が低炭素鋼製のベルト本体の表
面に直接触れることがなく、連続鋳造用ベルトの溶湯接
触面に熱疲労に起因するクラックおよび冷却水との反応
による錆が発生することが防止できる。したがって、ベ
ルトの破断を防ぐことができ、ベルト寿命を延ばすとと
もに、クラック片あるいは錆の混入による鋳造材の品質
低下を防ぐことが可能である。

なお、前記実施例では、低炭素鋼ベルト本体の表面に直
接コーティングを形成していたが、本発明はこれに限ら
れず、前記コーティングとベルト本体との間に、他の金
属のコーティングを設けてもよい。

また、前記ベルトでは、溶湯と接する片面のみにコーテ
ィングが形成されているが、これに限らずベルトの両面
に形成してもよい。

「実験例」 次に、実験例を挙げて本発明の効果を実証する。

低炭素鋼製の無端ベルトの溶湯と接触する面に、電気メ
ッキ法を用いて銅を７μｍの厚さに電着した。

次いで、こうして銅コーティングが形成されたベルト
と、銅コーティングのない従来のベルトとを、それぞれ
サウスワイヤー式連続鋳造圧延装置にセットし、8mmφ
の銅防（荒引線）を製造した。

その結果、従来のベルトでは15時間しか使用できなかっ
たのに対し、本実験例のベルトでは50時間もの長寿命を
有していた。

また、本実験のベルトを用いて製造された荒引線を、ダ
イスを通して50μｍφの銅線に伸線したところ、断線１
回当たりの平均伸線量（＝荒引線全処理量（kg）÷作業
中の断線回数）が35kgであった。この値は、従来のベル
トを用いて製造された荒引線が同20kgであったのに対し
て格段に大きく、伸線作業に要する手間およびコストを
低減することができた。これは、実験例のベルトではク
ラックおよび錆の発生が少なく、クラック片（最小15μ
ｍ程度）や錆の溶湯への混入が抑えられたためである。

「発明の効果」 本発明の連続鋳造用ベルトは、ベルト本体の銅溶湯との
接触面に銅またはアルミニウムのコーティングが形成さ
れているので、伝熱特性の良好なコーティングにより低
炭素鋼製のベルト本体に加わる熱応力を低減し、ベルト
本体の熱疲労を抑制することによって、その溶湯接触面
にクラックが生じることを防止する。同時に、コーティ
ングにより連続鋳造用ベルトの溶湯接触面の耐食性を向
上し、溶湯接触面での錆の発生を抑える。これにより、
銅溶湯へのクラック片および錆の混入を防止し、銅鋳造
材の品質の向上が図れるとともに、クラックや錆に起因
するベルト破断を防いでベルト寿命を延長することが可
能である。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】銅の連続鋳造に使用される連続鋳造用ベル
   トであって、低炭素鋼製の無端状ベルト本体の溶湯との
   接触面に、銅あるいはアルミニウムのコーティングを１
   μｍ以上の厚さに形成したことを特徴とする連続鋳造用
   ベルト。
2. 【請求項２】前記コーティングはメッキ法またはクラッ
   ド法により形成されたことを特徴とする特許請求の範囲
   第１項記載の連続鋳造用ベルト。
3. 【請求項３】前記コーティングの厚さは、１〜40μｍで
   あることを特徴とする特許請求の範囲第１項または第２
   項記載の連続鋳造用ベルト。