JPH0723662Y2 - ボール止水栓 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、主として水道のメーターボックス内に取付け
られ、逆止弁を内蔵してなる伸縮型のボール止水栓の改
良に関する。

〔従来の技術〕 従来の伸縮型のボール止水栓（以下単に止水栓という）
は、第２図に見られるように、止水栓本体〔イ〕の二次
側にソケット〔ロ〕を摺動自在に内嵌し、該ソケット内
に座金〔ハ〕およびスナップリング〔ニ〕を介して逆止
弁〔ホ〕を一体的に固定したものである。

〔考案が解決しようとする課題〕

一般に、水道のメーターボックスは水道局の規格等で大
きさが決められている。従って、狭隘な配管スペースに
設置されるこの種止水栓は、全長が規制されるので、伸
縮可能な構造として配管への取付け乃至取外しが容易に
行い得るようにする必要があった。また、止水栓の二次
側における配管の凍結や、湯沸器などの流末器具による
水温上昇の他、近時のワンタッチ開閉型のバルブ機構で
はウォーターハンマー現象が発生し易く、これら二次側
での異常昇圧が発生した場合、内蔵される逆止弁が閉弁
することによって内圧が上昇し、そのためメーター自体
が破壊されたり、更には上記逆止弁や二次側配管が破損
する恐れがあることから、これら不慮の事故を防止する
ために、止水栓に内圧上昇を吸収・緩和する機構が不可
欠となるものである。

しかしながら、前項で述べた従来の止水栓は摺動自在に
内嵌されたソケット〔ロ〕によって、その全長が伸縮し
得る構造であるものの、該ソケット内に逆止弁〔ホ〕が
固定されているため、二次側の異常昇圧を吸収・緩和す
ることができないという致命的欠点があった。

而して、メーターボックス内に取付けられるこの種止水
栓は、上述したように全長が規制されるため、内圧上昇
を吸収・緩和する機構を設けるに当たっては、基本的に
全長を延ばすことなく内蔵する必要があり、且つ本体に
摺動自在に内嵌されるソケットの伸縮長は従来と同程度
に確保されなければならないという技術的課題を有する
ものである。

〔課題を解決するための手段〕

上記課題を解決するため本考案は、本体の二次側に摺動
自在に内嵌されたソケット内に逆止弁を内蔵した止水栓
において、上記逆止弁の一次側に圧力緩衝スプリングを
設けて二次側の異常昇圧に対する吸収・緩和機構とし、
該スプリングを上記ソケットに固定したスプリング受け
と座金間で支持すると共に、上記ソケットの摺動に伴っ
て上記スプリング受けが挿入可能な凹陥部を本体側に設
けたものである。

〔作用〕

本考案の止水栓は、これを水道のメーターボックスに取
付けた場合、二次側における異常昇圧の発生時には逆止
弁自体が圧力緩衝スプリングの弾発力に抗して一次側へ
移動して二次側容積が増大するため、二次側の圧力上昇
が吸収・緩和される。

また、止水栓の二次側におけるメーター等の取付け乃至
取外し時にソケットを収縮さた場合、スプリング受けが
本体の凹陥部に挿入されるため、上記ソケットの収縮長
が充分確保される。

〔実施例〕

以下、本考案の構成を図面を示す実施例に従って更に具
体的に述べると、１はボール弁２を備えた止水栓本体、
３は袋ナット４を介して上記止水栓本体１の二次側1aに
摺動自在に内嵌されたソケット、５はハウジング６を介
して上記ソケット３内に設けられた逆止弁であって、案
内筒5aと、これに挿通される弁体5bと、これら両部材間
に挿嵌される内部スプリング5cとからなるものである。
また、７はソケット３端部に螺着されたスプリング受け
を示し、弁体5bを衝止する弁座環８の一次側において上
記ソケット３内を逆止弁と共に摺動する座金９と上記ス
プリング受け７との間に圧力緩衝スプリング10を弾装す
ることにより、上記逆止弁５を二次側へ押圧するように
したものである。更に、上記スプリング受け７は、その
外周面に段部7aを付して一次側を小径とする一方、止水
栓本体のボール押え部1bに凹陥部11を形成し、該凹陥部
に上記スプリング受け７の先端部が嵌入し得る構造とし
たものである。

尚、上記スプリング受け７の取付け手段については、上
例の螺着に限らず、Ｃリングなどの他の公知手段を用い
ても良い。

而して、上記実施例に見られる止水栓は、一次側を給水
管に接続し、次に二次側を流末側のメーター等（何れも
図示せず）に接続するに当たっては、ソケット３を一次
側へ摺動させれば、スプリング受け７が本体の凹陥部11
内に挿入された状態で全長が短縮するものであるから、
狭隘なボックス内での作業性が良好である。

止水栓取付け後におけるボール弁２の開弁時には、一次
側からの通水によって逆止弁の弁体5bは内部スプリング
5cに抗して弁座環８から開離し、ボール弁２の閉弁時に
は上記弁体5bは弁座環８と当接して閉弁する。この場
合、逆止弁５自体は圧力緩衝スプリング10によって、常
に二次側へ押圧された状態となっている。

また、二次側で異常昇圧が発生した場合、上記逆止弁５
の弁体5bが閉弁すると同時に、該逆止弁自体が圧力緩衝
スプリング10の弾発力に抗して一次側へ移動し、二次側
の容積を拡大して昇圧を緩和・吸収するものである。

他方、メーター等の取外しの際には、上記取付け時と同
様にソケット３を本体側へ摺動させれば、スプリング受
け７が本体の凹陥部11内へ挿入され、一定長だけ短縮す
るものである。

〔考案の効果〕

本考案の止水栓は、二次側で異常昇圧が発生した場合に
は、圧力緩衝スプリングに抗して逆止弁自体が一次側へ
移動して二次側容積を大きくし、異常昇圧を吸収・緩和
し得るものであるから、メーターが破壊されたり、更に
は逆止弁や二次側配管が破損する恐れが全くない。

更に本考案の止水栓は上記圧力緩衝スプリングを弾装す
るに当たり、ソケット末端のスプリング受けが本体側の
凹陥部内へ嵌入し得る構造としたため、止水栓の全長を
長くすることなく、従来と同程度に上記ソケットの充分
な伸縮長が確保され、メーター等の取付け乃至取外しも
容易に行うことができるという格別の利点を有するもの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の止水栓の縦断面図、第２図は従来の止
水栓の縦断面図である。 尚、図中１……止水栓本体、２……ボール弁、３……ソ
ケット、５……逆止弁、７……スプリング受け、10……
圧力緩衝スプリング、11……凹陥部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】本体の二次側に摺動自在に内嵌されたソケ
   ット内に逆止弁を内蔵したボール止水栓において、上記
   逆止弁５の一次側に圧力緩衝スプリング10を設けるに当
   たり、該スプリングを上記ソケット３に固定されるスプ
   リング受け７と、ソケット内を摺動可能な座金９との間
   で支持すると共に、上記ソケット３の摺動に伴って上記
   スプリング受け７が嵌入可能な凹陥部11を本体１側に設
   けたことを特徴とするボール止水栓。