JPH0723262Y2 - ワイヤドット印字ヘッド - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、シリアルプリンタにおけるワイヤドット印字
ヘッドに関するものである。

（従来の技術） 従来、印字ワイヤを駆動し、インクリボンを介して印字
媒体を打撃し、その力で印字を行うインパクトプリンタ
は、印字媒体の自由度が高く、比較的廉価なことから情
報処理システムなどの出力装置をはじめ多方面に用いら
れている。

上記インパクトプリンタは、ワイヤドット印字ヘッド型
式からプランジャ型、ばねチャージ型、クラッパ型に分
けられる。

このうち、ばねチャージ型のものは、印字ワイヤを固定
したアーマチュアをバイアス用板ばねによって揺動自在
に支持し、上記アーマチュアを予め上記バイアス用板ば
ねの弾性力に抗して永久磁石によってコアに吸引させて
おき、印字する際に上記コアに巻かれたコイルを励磁さ
れて上記永久磁石と逆方向に磁束を発生させ、上記アー
マチュアを解放させる構造となっているが、最近印字の
高速化が求められており、高速応答性が良好なこのばね
チャージ型のワイヤドット印字ヘッドが多く採用されて
いる。

第２図は従来のワイヤドット印字ヘッドの構造を示す図
である。

以下、機構及び動作について説明する。

図において、１は印字ワイヤで、その基部はアーマチュ
ア２の先端に固定され、該アーマチュア２はバイアス用
板ばね３の先部に支持される。

さらに、上記バイアス用板ばね３の基部は、第１ヨーク
４及び第２ヨーク５間に磁性スペーサ６と共に挟持され
固定される。７はコア８を包囲して配設される消磁コイ
ルであり、該消磁コイル７を励磁しない状態において
は、永久磁石９が発生する磁束がコア８に流れ込み、そ
の際生じる吸引力によってアーマチュア２がバイアス用
板ばね３を撓ませながらコア８に吸引される。

次に、消磁コイル７を励磁すると、この消磁コイル７自
体が発生した磁束によって永久磁石９の磁束が打ち消さ
れ、バイアス用板ばね３の復元力によってアーマチュア
２が解放される。これにより、アーマチュア２及びその
先端に固定された印字ワイヤ１が駆動される。媒体10へ
の印字は印字ワイヤ１と媒体10間にインクリボン11を介
在させ、プラテン12を打撃することによって行われる。
その後、消磁コイル７の励磁を停止すると、永久磁石９
の磁束によってバイアス用板ばね３及びアーマチュア２
が再びコア８に吸引され、一回の印字動作が終了する。

このように、複数の印字ワイヤ１を選択的に印字動作を
させることによって媒体10上にドット構成の文字などを
印字することができる。

ここで、このワイヤドット印字ヘッドで用いるバイアス
用板ばね３は、エッチングによって加工していたが、最
近はプレス加工によって形成されるようになっている。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、上記構成のワイヤドット印字ヘッドにお
いては、バイアス用板ばね３をプレス加工する場合、第
３図に示すように、切断面にダレ31、バリ32を生じた
り、更に切断面のバリ32の付近にクラック33が生じ、ば
ね折れが発生して印字ヘッドの寿命を低下させてしま
う。

本考案は、上記従来のワイヤドット印字ヘッドの問題点
を解決して、プレス加工したバイアス用板ばねにばね折
れが発生することのないワイヤドット印字ヘッドを提供
することを目的とする。

（課題を解決するための手段） そのために、本考案のワイヤドット印字ヘッドにおいて
は、ばねチャージ型の場合、先端に印字ワイヤを固着し
たアーマチュアと、該アーマチュアに対向して設けられ
るコアと、上記アーマチュアが接合されるとともに片持
ち梁式に支持されるバイアス用板ばねと、磁束を発生し
て該バイアス用板ばねの弾性力に抗して、上記アーマチ
ュアをコアに吸引させる永久磁石と、上記コアに巻装さ
れ、通電によってコアから磁束を発生させ、上記永久磁
石の磁束を打ち消してアーマチュアを解放するコイルを
有している。

上記バイアス用板ばねは、プレス加工によって形成さ
れ、該プレス加工によって発生するバリが形成される側
が上記アーマチュアが固着される側になるように配設さ
れる。すなわち、上記アーマチュアから上記コアに向か
う方向とバイアス用板ばね製造時のプレス方向が一致す
るように配設してある。

また、クラッパ型の場合、アーマチュアと、該アーマチ
ュアの先端に対向して配設される印字ワイヤと、上記ア
ーマチュアに対向して設けられるコアと、上記アーマチ
ュアが接合されるとともに片持ち梁式に支持されるバイ
アス用板ばねと、上記コアに巻装され、通電によってコ
アから磁束を発生させ、上記バイアス用板ばねの弾性力
に抗して、上記アーマチュアをコアに吸引させるコイル
を有する。

そして、この場合も上記バイアス用板ばねは、上記アー
マチュアから上記コアに向かう方向とバイアス用板ばね
製造時のプレス方向が一致するように配設される。

（作用） 本考案によれば、上記のようにばねチャージ型の場合、
先端に印字ワイヤを固着したアーマチュアと、該アーマ
チュアに対向して設けられるコアと、上記アーマチュア
が接合されるとともに片持ち梁式に支持されるバイアス
用板ばねと、磁束を発生して該バイアス用板ばねの弾性
力に抗して上記アーマチュアをコアに吸引させる永久磁
石と、上記コアに巻装され、通電によってコアから磁束
を発生させ、上記永久磁石の磁束を打ち消してアーマチ
ュアを解放するコイルを有している。

したがって、コイルに電流が流れて磁束が発生すると、
永久磁石の磁束が打ち消されてコアからアーマチュアが
解放され、印字ワイヤが駆動される。

この場合、上記バイアス用板ばねは、上記アーマチュア
から上記コアに向かう方向とバイアス用板ばね製造時の
プレス方向が一致するように配設してある。したがっ
て、プレス加工時に発生したバリはバイアス用板ばねの
圧縮荷重が加わる側に位置することになるので、バリが
原因となってクラックが発生することがなくなる。

また、クラッパ型の場合にも、アーマチュアが固着され
たバイアス用板ばねは、上記アーマチュアから上記コア
に向かう方向とバイアス用板ばね製造時のプレス方向が
一致するように配設される。したがって、この場合もプ
レス加工時に発生したバリはバイアス用板ばねの圧縮荷
重が加わる側に位置することになる。

（実施例） 以下、本発明の実施例について図面を参照しながら詳細
に説明する。

第１図は本考案の実施例を示すワイヤドット印字ヘッド
の概略図である。

図において、２はアーマチュア、３はバイアス用板ば
ね、５は第２ヨーク、６は磁性スペーサ、８はコア、９
は永久磁石である。

この場合、上記バイアス用板ばね３は片持ち梁を形成し
ているために、Ａ側には引張荷重が、Ｂ側には圧縮荷重
が作用する。

上述したように、プレス加工されたバイアス用板ばね３
の破断面には、第３図に示すようなダレ31、バリ32が生
じ、しかもバリ32付近にはクラック33が発生しやすく、
発生したクラック33には応力集中が加わる。また、応力
集中係数は、バイアス用板ばね３の破断面において、ダ
レ31付近よりもバリ32付近の方が大きくなる。

そこで、許容応力の大きい圧縮応力側、つまりＢ面側に
バリ32が発生した面を、そして、逆に引張応力側、つま
りＡ側面にはダレ31が発生した面を持ってきている。

そのため、プレス加工は、バイアス用板ばね３のアーマ
チュア２と対向する側からコア８の吸引面と対向する側
に向けて行われる。

ところで、上記実施例においては、ばねチャージ型のワ
イヤドット印字ヘッドについて説明しているが、クラッ
パ型のワイヤドット印字ヘッドにも適用することができ
る。

すなち、クラッパ型のワイヤドット印字ヘッドでバイア
ス用板ばねを使用するものにおいては、アーマチュアの
先端に印字ワイヤを対向させて配設しておき、アーマチ
ュアをコアとコイルからなる電磁石によって吸引して印
字ワイヤを駆動するが、この種のワイヤドット印字ヘッ
ドにおいても、上記アーマチュアを復帰させるためにア
ーマチュアに固着させられたバイアス用板ばねにばね折
れが発生する。

そこで、上記バイアス用板ばねを、上記アーマチュアか
ら上記コアに向かう方向とバイアス用板ばね製造時のプ
レス方向が一致するように配設すると、上記ばね折れの
発生を防止することができる。

なお、本考案は上記実施例に限定されるものではなく、
本考案の趣旨に基づいて種々変形することが可能であ
り、それらを本発明の範囲から排除するものではない。

（考案の効果） 以上詳細に説明したように、本考案によれば、バイアス
用板ばねは、アーマチュアからコアに向かう方向とバイ
アス用板ばね製造時のプレス方向が一致するように配設
してあるので、プレス加工時に発生したバリはバイアス
用板ばねの圧縮荷重が加わる側に位置することになり、
バリが原因となってクラックが発生することがなくな
る。

したがって、クラックが原因となるばね折れが発生する
ことがなくなり、ワイヤドット印字ヘッドの寿命を長く
することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示すワイヤドット印字ヘッド
の概略図、第２図は従来のワイヤドット印字ヘッドの構
造を示す図、第３図はバイアス用板ばねの切断面状態図
である。 ２……アーマチュア、３……バイアス用板ばね、５……
第２ヨーク、６……磁性スペーサ、８……コア、９……
永久磁石。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】（ａ） 先端に印字ワイヤを固着したアー
   マチュアと、 （ｂ） 該アーマチュアに対向して設けられるコアと、 （ｃ） 上記アーマチュアが接合されるとともに片持ち
   梁式に支持されるバイアス用板ばねと、 （ｄ） 磁束を発生して該バイアス用板ばねの弾性力に
   抗して、上記アーマチュアをコアに吸引させる永久磁石
   と、 （ｅ） 上記コアに巻装され、通電によってコアから磁
   束を発生させ、上記永久磁石の磁束を打ち消してアーマ
   チュアを解放するコイルを有しており、 （ｆ） 上記バイアス用板ばねを、上記アーマチュアか
   ら上記コアに向かう方向とバイアス用板ばね製造時のプ
   レス方向が一致するように配設したことを特徴とするワ
   イヤドット印字ヘッド。
2. 【請求項２】（ａ） アーマチュアと、 （ｂ） 該アーマチュアの先端に対向して配設される印
   字ワイヤと、 （ｃ） 上記アーマチュアに対向して設けられるコア
   と、 （ｄ） 上記アーマチュアが接合されるとともに片持ち
   梁式に支持されるバイアス用板ばねと、 （ｅ） 上記コアに巻装され、通電によってコアから磁
   束を発生させ、上記バイアス用板ばねの弾性力に抗して
   上記アーマチュアをコアに吸引させるコイルを有してお
   り、 （ｆ） 上記バイアス用板ばねを、上記アーマチュアか
   ら上記コアに向かう方向とバイアス用板ばね製造時のプ
   レス方向が一致するように配設したことを特徴とするワ
   イヤドット印字ヘッド。