JPH07228828A - プレス成形性、耐食性及び塗装性にすぐれる樹脂塗装アルミニウム材又はアルミニウム合金材 - Google Patents

プレス成形性、耐食性及び塗装性にすぐれる樹脂塗装アルミニウム材又はアルミニウム合金材

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JPH07228828A
JPH07228828A JP6134143A JP13414394A JPH07228828A JP H07228828 A JPH07228828 A JP H07228828A JP 6134143 A JP6134143 A JP 6134143A JP 13414394 A JP13414394 A JP 13414394A JP H07228828 A JPH07228828 A JP H07228828A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】樹脂中にポリエチレンワックス粒子を分散させ
た複合樹脂被膜を形成することによつて、潤滑性にすぐ
れ、強加工のプレス成形を可能とした耐食性にすぐれる
樹脂塗装アルミニウム合金材を提供することにある。 【構成】本発明によるプレス成形性、耐食性(裸及び塗
装後耐食性)及び塗装性にすぐれる樹脂塗装アルミニウ
ム合金材は、分子内に活性水素を有する水性ウレタン系
樹脂に常温架橋型エポキシ系樹脂1.0〜20重量%を含
有させた樹脂を主体として、球形ポリエチレンワックス
粒子0.5〜20重量%及びコロイダルシリカをSiO2
として1〜30重量%含有する樹脂被膜が付着量0.2〜
3g/m2 にてアルミニウム材の表面に形成されている
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車、家庭電気製
品、建材等に用いられるプレス成形性、耐食性及び塗装
性にすぐれる樹脂塗装アルニウム材又はアルミニウム合
金材に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム材及びアルミニウム合金材
(以下、単に、アルミニウム材という。)は、軽量で、
しかもすぐれた耐食性及び意匠性を有しており、且つ比
強度が高いという特徴を有していることから、家庭電気
製品や建材等の分野で広く用いられている。また、近年
では、自動車分野においても、公害防止や省エネルギー
の観点から、軽量化、延いては燃費の向上を目的とし
て、フェンダーやフード等のパネル材にも、アルミニウ
ム材が利用される機会が増えている。
【0003】このような分野においては、プレス成形等
の成形加工が施されることが多いが、アルミニウム材の
塑性変形挙動は、その金属学的特性から、冷延鋼板や表
面処理鋼板とはかなり異なつている。。そこで、アルミ
ニウム材をプレス加工するときには、その加工性を向上
させるために、通常、プレス油が塗布される。しかし、
このようなプレス油を塗布した場合には、プレス加工時
にプレス油が飛散して、作業環境を悪化させ、或いは公
害問題を引き起こし、更には、プレス加工後に脱脂工程
を必要とするので、極めて作業性に劣る。
【0004】また、厳しい加工条件下にプレス加工を行
なう場合には、一般の低粘度の加工油では、変形抵抗力
が増大して、強度不足による割れを引き起こす場合があ
る。但し、このような割れの発生は、粘度の高い固形潤
滑剤を用いることによつて回避することができることが
知られている。
【0005】一方、アルミニウム材は、プレス後にその
ままで用いられる場合と、意匠性及び耐食性の向上のた
めに塗装して用いられる場合がある。前者の場合、油が
付着した状態で製品に組み込んだ場合には、油による汚
れが問題となり、後者の場合、塗膜の密着性を確保する
ために、通常、化成処理として、クロメート被膜をアル
ミニウム材の表面に形成する必要があるが、塗膜密着性
にすぐれたクロメート被膜を形成するためには、表面の
潤滑剤を完全に除去しなければならない。しかし、前記
したような固形潤滑剤を使用した場合には、ブレス成形
品の表面に付着した潤滑剤を完全に除去するのは非常に
困難であり、通常の洗浄法では除去することができず、
より洗浄度の高い脱脂剤を使用した入念な洗浄が必要と
なる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
問題を解決するためになされたものであり、アルミニウ
ム材の表面にポリエチレンワックス粒子とコロイダルシ
リカを分散させた架橋ウレタン系樹脂からなる樹脂被膜
を形成することによつて、潤滑性にすぐれ、強加工のプ
レス成形性にすぐれる裸及び塗装後耐食性にすぐれる樹
脂塗装アルミニウム材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によるプレス成形
性、耐食性(裸及び塗装後耐食性)及び塗装性にすぐれ
る樹脂塗装アルミニウム材は、分子内に活性水素を有す
る水性ウレタン系樹脂に常温架橋型エポキシ系樹脂1.0
〜20重量%を含有させた樹脂を主体として、球形ポリ
エチレンワックス粒子0.5〜20重量%及びコロイダル
シリカをSiO 2 として1〜30重量%含有する樹脂被
膜が付着量0.2〜3g/m2 にてアルミニウム材の表面
に形成されていることを特徴とする。
【0008】本発明による樹脂塗装アルミニウム材にお
いては、樹脂被膜を形成する樹脂成分のうち、主たる成
分として、分子内に活性水素、例えば、カルボキシル基
や水酸基等を有するウレタン系樹脂が使用され、かかる
ウレタン系樹脂は、水分散液や水溶液等の水性樹脂とし
て調製され、通常は、水又はアルコールのような水溶性
有機溶剤を少量含有する水を媒体とした水性ウレタン系
樹脂が好ましく使用される。
【0009】このような分子内に活性水素を有するウレ
タン系樹脂は、特に限定されるものではないが、以下の
ような方法により得ることができる。例えば、末端イソ
シアネート基を有するウレタンプレポリマーをアミノ基
又はヒドロキシル基と共に、スルホン酸基又はカルボキ
シル基を有する化合物、例えば、ジアミノカルボン酸の
アルカリ塩又はアンモニウム塩の水溶液と反応させ、鎖
延長と同時に乳化を行なう方法や、或いはポリヒドロキ
シル化合物、分子内に第四級アンモニウム基とヒドロキ
シル基を有する化合物又は分子内にエポキシ基とヒドロ
キシル基とを有する化合物等をポリイソシアネートと反
応させ、これを水と混合する方法等を挙げることができ
る。
【0010】また、テトラヒドロフラン、酸化プロピレ
ン、酸化エチレン等の重合生成物であるポリエーテル、
エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジ
オール、ヘキサンジオール等の多価アルコールと、マレ
イン酸、コハク酸、アジピン酸、フタル酸等の多価カル
ボン酸との脱水縮合反応や、又は環状エステルの開環重
合反応で得られるポリエステル、ポリアセタール、ポリ
エステルアミド、ポリチオエーテル等で代表されるポリ
ヒドロキシル化合物と、ナフタレンジイソシアネート、
ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソ
シアネート、トルエンジイソシアネート等の芳香香族ポ
リイソシアネート、又はヘキサメチレンジイソシアネー
ト、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリ
レンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート等で
代表されるポリイソシアネート並びに上記の多価アルコ
ール及びエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエ
チレントリアミン、ヘキサメチレンジアミン、キシリレ
ンジアミン等の低分子量ジアミン類で代表される鎖延長
剤とをテトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケ
トン、酢酸エチル、トルエン等の不活性有機溶剤中で反
応せしめてウレタンを得、これを適量の乳化剤を含む水
を加えた後、上記不活性有機溶媒を留去する方法を挙げ
ることができる。
【0011】更には、末端イソシアネート基を有するウ
レタンプレポリマーにジエチレントリアミンのようなポ
リアルキレンポリアミンを反応させて、ポリウレタン尿
素ポリアミンを得、これに酸の水溶液を加えるか、又は
上記ポリウレタン尿素ポリアミンにエピクロロヒドリン
を付加させた後、これに酸の水溶液を加える方法等を挙
げることができる。
【0012】上記以外にも、ポリヒドロキシ化合物とポ
リイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーにジ
アミン類を反応させて得られる末端アミノ基の化合物を
乳化剤を使用して水に乳化させた後、ポリイソシアネー
トを加えて高分子化する方法等を挙げることができる。
【0013】本発明においては、分子内に活性水素を有
するウレタン系樹脂としては、特に、JIS K−72
15に準拠して測定した被膜のショアー硬度が30〜7
0であり、鉛筆硬度がH以上であるものが好ましく用い
られる。
【0014】本発明における樹脂被膜は、上記したよう
に、分子内に活性水素を有するウレタン系樹脂と共に、
その架橋剤として、常温型エポキシ系樹脂を含有する。
本発明によれば、このように、樹脂被膜を形成するため
の樹脂成分として、ウレタン系樹脂と共に、その架橋剤
として、常温架橋型エポキシ系樹脂を用いることによつ
て、目的とする被膜強度を有し、強加工のプレス成形に
おける金型の温度上昇や摺動面の極圧に対して、擦り疵
や黒変化が抑制され、更に、耐食性、塗装性にすぐれる
樹脂塗装アルミニウム材を得ることができる。
【0015】即ち、本発明によれば、ウレタン系樹脂が
分子内に活性水素を有する基として、例えば、カルボキ
シル基を有する場合には、エポキシ系樹脂の有するエポ
キシ基が上記カルボキシル基と反応してエステル基を形
成し、かかる架橋によつて、生成する樹脂被膜を緻密強
靱なものとして、プレス成形性と耐食性を向上させるの
である。
【0016】分子内に活性水素を有するウレタン系樹脂
の架橋剤としては、エポキシ系樹脂以外にも、例えば、
メラミン系、イソシアネート系樹脂、アジリジン系等が
知られているが、しかし、これらを架橋剤として使用し
た場合には、十分な塗膜の密着性が得られず、好ましく
ない。本発明に従つて、分子内に活性水素を有するウレ
タン系樹脂の架橋剤として、エポキシ系樹脂を使用した
場合に、すぐれた塗膜の密着性を確保することができ
る。
【0017】本発明において、前記常温架橋型エポキシ
系架橋剤としては、カルボキシル基等の活性水素との反
応性が高く、且つ、ウレタン系樹脂との相溶性がよく、
しかも、球形ポリエチレンワックス粒子の軟化点より低
い温度で架橋反応が起こり、液安定性のよいものが好ま
しく用いられる。このようなエポキシ系樹脂としては、
例えば、デナコールEX−313、EX−314、EX
−321、EX−421、EX−512、EX−521
(以上、ナガセ化成工業(株)製)等を挙げることがで
きる。
【0018】このような常温架橋型エポキシ系樹脂は、
樹脂被膜において、1.0〜20重量%の範囲で含まれる
ことが好ましい。常温架橋型エポキシ系樹脂の含有量が
1.0重量%よりも少ない場合には、樹脂被膜は、ウレタ
ン系樹脂の架橋反応が十分でなく、得られる被膜の硬度
が改善できず、結果として、良好なプレス成形性が確保
できない。しかし、20重量%を越えて含まれるときに
は、得られる樹脂被膜が潤滑性において劣化すると共
に、耐食性が劣化する。これは、未反応のエポキシ系樹
脂が樹脂被膜中に残存することにより、極性基が大量に
被膜中にあらわれるため、被膜自体の耐食性が劣化する
ことによる。特に、本発明においては、常温架橋型エポ
キシ系樹脂は、樹脂被膜において、1〜10重量%の範
囲で含まれることが好ましい。
【0019】更に、本発明による樹脂塗装アルミニウム
材は、樹脂被膜中に球形ポリエチレンワックス粒子を0.
5〜20重量%の範囲にて含有し、且つ、コロイダルシ
リカをSiO2 として1〜30重量%の範囲にて含有
し、しかも、このような樹脂被膜が付着量0.2〜5g/
2 の範囲にてアルミニウム材の表面に形成されてい
る。
【0020】本発明による樹脂塗装アルミニウム材にお
いて、ポリエチレンワックス粒子は、樹脂被膜の潤滑性
やプレス成形性を向上させる。樹脂被膜中の球形ポリエ
チレンワックス粒子の含有量が0.5重量%よりも少ない
ときは、得られる樹脂被膜の潤滑性やプレス成形性の向
上が未だ十分でなく、一方、20重量%を越えるとき
は、潤滑性能の面では特に問題は認められないが、得ら
れる樹脂被膜とアルミニウム合金材との密着性が劣化
し、プレス加工時に被膜が剥離して、加工後の耐食性に
劣るようになる。更に、塗装性についても劣化が認めら
れ、被膜と塗料の密着性が劣化する。
【0021】また、本発明においては、ポリエチレンワ
ックス粒子の軟化点は、100〜140℃の範囲にある
ことが好ましい。ポリエチレンワックス粒子の軟化点が
100℃よりも低いときは、プレス加工時の金型温度の
上昇によつて、ポリエチレンワックス粒子が軟化し、液
化することによつて、アルミニウム材と金型間で液切れ
状態となり、加工性が劣化する。他方、ポリエチレンワ
ックスの軟化点が140℃を越える場合には、得られる
樹脂被膜が良好な潤滑性をもたない。
【0022】更に、プレス加工後の製品に塗装する場合
に、その前処理として脱脂が行なわれる場合には、脱脂
によつて、上記ポリエチレンワックス粒子が樹脂被膜表
面から剥離し、樹脂表面に直径が0.1〜3μmのピンポ
ールが多数発生する。このピンポールが塗装の際の樹脂
被膜と塗料との密着性を著しく向上させるアンカー効果
を発揮する。特に、このピンポールは、溶剤を用いる脱
脂によつて、大量に発生し、より効果を発揮する。脱脂
に用いる溶剤としては、トリクレン、トリエタン、アセ
トン等を好ましい例とし挙げることができる。尚、アル
カリ水溶液系の脱脂の場合にも、脱脂液の温度、pHの
調製により、同様の効果を得ることができる。
【0023】上述したピンポールの効果は、プレス加工
後、電着塗装を行なう場合に、一層有用である。即ち、
電着塗装時にアルミニウム材と塗料界面に発生する水素
ガスがこのピンポールから効率的に抜けることによつ
て、塗装外観が大幅に向上するからである。本発明にお
いて、このようなポリエチレンワックス粒子の脱離によ
るピンホールの効果を最大限に得るには、ポリエチレン
ワックスは球形を有することがよく、且つ、その粒子径
が0.1〜3μmの範囲にあることが好ましい。粒子径が
3μmを超えるときは、後述するコーティング剤の調製
に際して、水性ウレタン樹脂中に均一に分散させること
ができず、その結果として、得られる樹脂被膜のアルミ
ニウム材への密着性や塗料との密着性が劣化する。ま
た、ポリエチレンワックス粒子の粒径が0.1μmよりも
小さいときは、ポリエチレンワックスによる前記樹脂被
膜の潤滑性の向上効果を得ることができない。
【0024】本発明において、かかるポリエチレンワッ
クスとしては、例えば、ダイジェットE−17(互応化
学(株)製)、ケミパールW−100、W−200、W
−300、W−400、W−500、WF−640、W
−700(三井石油化学工業(株)製)、エレポンE−
20(日崋化学(株)製)等のような市販品を好適に用
いることができる。
【0025】本発明において、樹脂被膜におけるコロイ
ダルシリカは、樹脂被膜の耐食性及び塗装性を向上させ
る。樹脂被膜におけるコロイダルシリカの含有量は、S
iO 2 として1〜30重量%の範囲である。樹脂被膜に
おけるコロイダルシリカの含有量が1重量%に満たない
場合には、得られる被膜の耐食性及び塗装性が十分でな
く、他方、30重量%を越える場合には、シリカが増摩
剤として作用するようになり、被膜の摩擦係数を高め、
潤滑性を低下させることによつて、加工後の耐食性や塗
装性を劣化させるばかりでなく、プレス加工時には、金
型摩耗量を高め、金型寿命を短くさせる。特に、本発明
においては、コロイダルシリカの効果を最大限に得るた
めには、樹脂被膜における含有量は、5〜25重量%の
範囲とすることが好ましい。
【0026】本発明において、コロイダルシリカとして
は、例えば、スノーテックスSS、スノーテックスX
S、スノーテックス40、スノーテックスO、スノーテ
ックスN、スノーテックスC(日産化学(株)製)等の
市販品を好適に用いることができる。
【0027】本発明においては、このような樹脂被膜の
アルミニウム材への付着量は0.2〜3g/m2 の範囲で
あることが必要である。樹脂被膜の付着量が0.2g/m
2 よりも少ない場合には、強加工において、所要の潤滑
効果及び加工後の耐食性や塗装性を得ることができな
い。しかし、樹脂被膜の付着量が3g/m2 を越える場
合には、アルミニウム材のプレス加工において、樹脂被
膜の剥離量が増大し、例えば、プレス成形において、金
型に剥離した樹脂が蓄積し、プレス成形に支障をきた
す。
【0028】本発明による樹脂塗装アルミニウム材は、
上述したように、樹脂被膜における含有量がそれぞれ前
記所定の範囲になるように、常温架橋型エポキシ系樹
脂、球形ポリエチレンワックス及びコロイダルシリカを
水性ウレタン系樹脂に配合して、コーティング剤を調製
し、これを好ましくは素材にクロメート処理等の下地処
理を施したアルミニウム合金材に塗布し、乾燥させて、
樹脂被膜を形成させることによつて得ることができる。
【0029】本発明において、上記アルミニウム材の素
材としては、特に限定されるものではないが、例えば、
樹脂被膜とアルミニウム材との密着性を高めるための下
地処理として、クロメート処理等の化成処理や、或いは
シランカップリング剤等のカップリング剤による処理等
を施したアルミニウム材が好適に用いられる。上記のう
ち、クロメート処理は、既によく知られている処理方法
であるが、本発明においては、基材であるアルミニウム
材の表面は、亜鉛めっき鋼板に比べて、不活性であるの
で、アルミニウムの化成処理において、既によく知られ
ているように、クロメート処理液にフッ化ナトリウムや
フッ化カリウム等のような表面エッチング剤を添加して
なる処理液が好ましく用いられる。クロメート処理法と
しては、いずれの方法によることもできるが、例えば、
反応型や塗布型等の方法が好ましく用いられる。
【0030】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、常温架
橋型エポキシ系樹脂を含有するウレタン系樹脂を主体と
し、ポリエチレンワックス粒子とコロイダルシリカを含
むコーティング剤をアルミニウム材に塗布し、乾燥させ
ることによつて、プレス油の塗布なしに、強加工のプレ
ス成形が可能となり、しかも、加工後の耐食性及び塗装
性(裸及び塗装後塗装性)にすぐれる樹脂被膜を形成す
ることができる。このような高潤滑性、高耐食性及び高
塗装性を有する樹脂塗装アルミニウム材は、プレス加工
後に直接に塗装でき、また、脱脂を行なうことによつ
て、電着塗装が可能になる。
【0031】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではな
い。
【0032】実施例1 クロメート処理(クロム付着量:10mg/m2 )を施
したアルミニウム合金(A5182−0)板を素材とし
て用いた。樹脂被膜のショアーD硬度51の水性ウレタ
ン系樹脂(第一工業製薬(株)製スーパーフレックス)
に常温架橋型エポキシ樹脂を0.5〜25重量%配合する
と共に、ポリエチレンワックス粒子(粒子径1〜2μ
m、軟化点110℃)10重量%とコロイダルシリカを
SiO2 として10重量%を加え、樹脂中に分散させ
て、コーティング剤を調製した。
【0033】このコーティング剤を上記アルミニウム合
金材の表面に乾燥付着量1g/m2となるように絞りロ
ールにて塗布し、80℃で乾燥させ、樹脂被膜を形成さ
せて、樹脂塗装アルミニウム合金材を得た。このように
して得られた樹脂塗装アルミニウム合金材について、摺
動試験、プレス試験、塩水噴霧試験及び塗装試験を行な
い、動摩擦係数、耐型かじり性、耐食性及び塗膜密着性
を調べた。
【0034】比較のために、上記と同じウレタン系樹脂
にメラミン系,イソシアネート系又はアジリジン系の架
橋剤を5重量%配合してコーティング剤を調製し、上記
と同様にして樹脂塗装アルミニウム合金材を得、それら
についても、上記と同様の評価を行なつた。
【0035】動摩擦係数は、摺動試験装置を用いて、加
圧力150kgにおける摺動による荷重から求めた。耐型
かじり性及び耐黒変性は、単発プレス試験機を用いてプ
レス成形後、成形品の摺動面の型かじり及び黒変化を目
視にて調べた。また、耐食性は、JIS Z−2371
に記載された方法に準じ、塩水噴霧試験を行なつた。塗
膜密着性は、アクリル系及びメラミンアルキッド系塗料
を用いて塗装後、碁盤目及びエリクセン試験による塗膜
の密着性を調べた。結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】実施例2 樹脂被膜のショアーD硬度67の水性ウレタン系樹脂
(東亜合成化学(株)製ネオタン)に常温架橋型エポキ
シ樹脂を5重量%配合し、粒子径0.1〜3μmの球形ポ
リエチレンワックス粒子(軟化点100℃)10重量%
とコロイダルシリカをSiO2 として10重量%を加
え、分散させて、コーティング剤を調製した。
【0038】また、比較のために、粒子径0.1μm未満
のポリエチレンワックス粒子と粒子径が4μmのポリエ
チレンワックス粒子(軟化点110℃)を10重量%加
え、同様にコーティング剤を調製した。これらのコーテ
ィング剤を前記と同じアルミニウム合金材の表面に乾燥
付着量1g/m2 となるように塗布し、乾燥させて、樹
脂塗装アルミニウム合金材を得た。結果を表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】実施例3 実施例1と同様に、樹脂被膜のショアーD硬度51の水
性ウレタン系樹脂(第一工業製薬(株)製スーパーフレ
ックス)に常温架橋型エポキシ樹脂を5重量%配合し、
更に、ポリエチレンワックス粒子(粒子径1〜2μm、
軟化点100℃)粒子を0〜25重量%とコロイダルシ
リカ粒子をSiO2 として0〜35重量%とを分散させ
て、コーティング剤を調製した。このようにして調製し
たコーティング剤を前記と同じアルミニウム合金材の表
面に塗布し、乾燥付着量1g/m2 の樹脂塗装アルミニ
ウム合金材を得た。結果を表3及び表4に示す。
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】実施例4 実施例1と同様にして、樹脂被膜のショアーD硬度51
の水性ウレタン系樹脂(第一工業製薬(株)製スーパー
フレックス)に常温架橋型エポキシ樹脂を5重量%配合
し、更に、ポリエチレンワックス粒子(粒子径1〜2μ
m、軟化点100℃)粒子10重量%とコロイダルシリ
カ粒子をSiO2 として10重量%分散させて、コーテ
ィング剤を調製した。
【0044】このようにして調製したコーティング剤を
前記と同じアルミニウム合金材の表面に乾燥付着量1g
/m2 となるように塗布し、80℃で乾燥させ、樹脂塗
装アルミニウム合金材を得た。この樹脂塗装アルミニウ
ム合金材をトリクロロエタンによる蒸気脱脂及び弱アル
カリ水溶液でのスプレー法による脱脂を行なつた後、電
着塗装を行なつた。結果を表5に示す。
【0045】
【表5】
【0046】電着塗料は、日本ペイント(株)製カチオ
ン電着塗料(U−600)を使用した。塗装条件及び塗
装後の物性評価を下記に示す。 塗装条件 浴温 30℃ カソード/アノード比 1/30 通電時間 2.5分 塗膜膜厚 25μm 焼付条件 170℃×20分 物性評価方法 碁盤目試験:塗装後、2mm間隔でカッターナイフにて碁
盤目を切り、テープ剥離試験を行ない、塗膜の剥離を調
査した。
【0047】エリクセン試験:塗装後、エリクセン試験
機にて6mm押出しを行ない、テープ剥離試験を行なつ
て、塗膜の密着製を調査した。 塩水噴霧試験:塗装後のアルミニウム合金材にカッター
ナイフにてクロスカットを入れ、塩水噴霧時間240時
間後の塗膜膨れ幅を調査した。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分子内に活性水素を有する水性ウレタン系
    樹脂に常温架橋型エポキシ系樹脂1.0〜20重量%を含
    有させた樹脂を主体として、球形ポリエチレンワックス
    粒子0.5〜20重量%及びコロイダルシリカをSiO2
    として1〜30重量%含有する樹脂被膜が付着量0.2〜
    3g/m2 にてアルミニウム材又はアルミニウム合金材
    の表面に形成されていることを特徴とするプレス成形
    性、塗装性および耐食性にすぐれる樹脂塗装アルミニウ
    ム材又はアルミニウム合金材。
  2. 【請求項2】球形ポリエチレンワックス粒子の粒子径が
    0.1〜3μmであることを特徴とする請求項1記載の樹
    脂塗装アルミニウム材又はアルミニウム合金材。
  3. 【請求項3】球形ポリエチレンワックス粒子の融点が1
    00〜140℃の範囲であることを特徴とする請求項1
    記載の樹脂塗装アルミニウム材又はアルミニウム合金
    材。
  4. 【請求項4】アルミニウム材又はアルミニウム合金材の
    表面にアルミニウム材又はアルミニウム合金材の樹脂被
    膜との密着性を高めるための下地処理を施してなるアル
    ミニウム材又はアルミニウム合金材の上に樹脂被膜が形
    成されている請求項1乃至3いずれかに記載の樹脂塗装
    アルミニウム材又はアルミニウム合金材。
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