JPH07227657A - 未凝固大圧下による連鋳鋳片の内質改善方法 - Google Patents

未凝固大圧下による連鋳鋳片の内質改善方法

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JPH07227657A
JPH07227657A JP4178594A JP4178594A JPH07227657A JP H07227657 A JPH07227657 A JP H07227657A JP 4178594 A JP4178594 A JP 4178594A JP 4178594 A JP4178594 A JP 4178594A JP H07227657 A JPH07227657 A JP H07227657A
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slab
reduction
cast slab
rolling
molten steel
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JP4178594A
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Koichi Isobe
浩一 磯部
Yoshiaki Kusano
祥昌 草野
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 矩形鋳片を連続鋳造する際、中心偏析、セン
ターポロシティーの生成を防止する。 【構成】 鋳片1の偏平比を1.1以上にする。(1)
式または(2)式数1を満足する位置yに圧下端子4を
設ける。鋳造速度を調整して圧下端子4入り側における
鋳片1の断面中心部の固相率を0.6〜0.95とす
る。鋳片1を圧下する部分の鋳片軸方向の曲率半径が2
00mm以上の圧下端子4を用い、80〜540mm/
minの圧下速度で鋳片1厚み方向に圧下率で5〜40
%鋳片1を圧下する。 【数1】0≦D<250の場合 0.02×D≦y(m)≦0.06×D
…(1) 250≦Dの場合 0.02×D≦y(m)≦0.067×(D−250)
+15 …(2) ただし、D:鋳片の厚み(mm)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、矩形鋳片を連続鋳造す
る際、中心偏析、センターポロシティー等の内質欠陥の
生成を防止して、熱間及び冷間加工生の優れた連鋳鋳片
の製造を可能とする方法に関する。
【0002】
【従来の技術】連鋳鋳片の偏析を改善する方法として
は、従来より凝固組織を微細化し偏析の分散を図る低温
鋳造法、低速鋳造法や、鋳型内や2次冷却帯等での電磁
攪拌技術が開発され、中心偏析の改善に寄与してきた
が、これら単独またはこれらを組合せただけでは偏析が
激しい鋼種や偏析許容レベルが厳しい偏析厳格材ではそ
の効果は十分と言えない。
【0003】一方、特公昭59−16862号公報、特
公昭59−39225号公報、特公昭62−34460
号公報、特公平2−56982号公報等には凝固末期に
鋳片をロールで圧下し、凝固収縮に基づく濃化溶鋼の流
動を抑えて中心偏析を改善する凝固末期軽圧下の方法が
開示されている。これらの凝固末期軽圧下では中心偏析
の大幅な改善は可能であるが、内部割れや逆V偏析が発
生したりして却って偏析が悪化したりするため圧下量が
制限され、センターポロシティーの圧着は十分とは言え
ない。さらに、軽圧下では理想的な圧下条件が実現され
て中心偏析が無い鋳片が製造できる可能性はあるが、実
際にその条件を安定して実現するのは極めて困難で、成
品までに極めて厳しい加工を受け僅かな偏析も問題とさ
れる場合には軽圧下では対応できないし、素材の断面中
心部に負偏析させたときのように素材中心の延性を高
め、熱間や冷間加工性を大幅に改善するまでには到らな
い。
【0004】また、特開昭61−132247号公報、
特開昭63−183765号公報、あるいは「鉄と鋼」
第60年第875〜884頁や「鉄と鋼」第78年第1
794〜1801頁には凝固末期の鋳片をロールあるい
は金型で大圧下して中心偏析を改善する方法が開示され
ている。しかしながら、これらの方法で大圧下して中心
偏析を改善したり濃化溶鋼を絞り出し中心部に負偏析を
生成させようとする場合、圧下条件によっては内部割れ
が生成したり、濃化溶鋼の絞り出しが不完全な場合は濃
化溶鋼が捕捉され顕著な偏析が生成したりして逆に鋳片
内質を劣化させるといった問題が生じたり、圧下端子を
設置する位置が不適切であると鋳片最終部において濃化
溶鋼の残留で製品として使用できない部分がかなりの量
に及び、歩留りの低下で製造コストの大幅な上昇を招い
たりする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一般に、鋼材はC当量
が低いほど強度は低下し、延性は上昇するため、内部割
れの発生や濃化溶鋼の捕捉を防止しつつ素材中心部を負
偏析にし、あるいは偏析を防止することで熱間及び冷間
加工性が優れた素材の製造が可能となる。本発明は、矩
形鋳片を連続鋳造する際、センターポロシティーを圧着
すると共に内部割れの発生や濃化溶鋼の捕捉を防止しつ
つ、鋳片中心部に負偏析を生成させ、あるいは偏析を大
幅に改善して熱間及び冷間加工性の優れた連鋳鋳片を経
済的に製造可能とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、矩形鋳片を連
続鋳造する際、該鋳片の偏平比を1.1以上にすると共
に、(1)式または(2)式数2を満足する位置yに圧
下端子を設け、鋳造速度を調整して圧下端子入り側にお
ける鋳片の断面中心部の固相率を0.6〜0.95と
し、鋳片を圧下する部分の鋳片軸方向の曲率半径が20
0mm以上の圧下端子を用いて80〜540mm/mi
nの圧下速度で鋳片厚み方向に圧下率で5〜40%鋳片
を圧下することを特徴とする未凝固大圧下による連鋳鋳
片の内質改善方法である。なお、圧下端子として高さH
が鋳片の厚みの5%以上である突起部を有し、しかも突
起部の幅Wが圧下位置における鋳片の固相率0.5で定
義される未凝固幅より大きく、鋳片の幅の80%以下で
ある圧下端子を用いること、連鋳鋳片内の溶鋼に電磁気
力を作用させて鋳片内の溶鋼を攪拌することは好まし
い。
【0007】
【数2】0≦D<250の場合 0.02×D≦y(m)≦0.06×D …(1) 250≦Dの場合 0.02×D≦y(m)≦0.067×(D−250)+15 …(2) ただし、D:鋳片の厚み(mm)
【0008】
【作用】連鋳鋳片の中心偏析は、凝固収縮に基づく溶鋼
の流動に起因して樹間の濃化溶鋼が中心部へ集積するこ
とにより形成される。また、センターポロシティーは、
鋳片中心部で凝固が進行して固液共存相における給湯性
が失われると凝固収縮による体積が補われないために生
成する。
【0009】中心偏析の改善を図るには、従来から行わ
れている凝固末期軽圧下と同様に凝固収縮量に見合う程
度の圧下を付加することで濃化溶鋼の流動を防止すれば
良いが、ロール等で凝固収縮量をかなり上回るような変
形を未凝固部に加えると、濃化溶鋼は絞り出されてメニ
スカス側(上流側)へ向う溶鋼流動が誘起され、その流
れによって樹間の濃化溶鋼も吸出されるため負偏析が形
成される。このように、鋳片中心部に負偏析を形成する
には軽圧下に比べかなり大きな圧下量が必要となり、圧
下ロールの形状や圧下される鋳片の形状、さらに圧下端
子の設置位置や圧下する際の鋳造速度、それに依存する
圧下速度等の圧下条件が鋳片内質に極めて大きな影響を
与える。特に圧下端子の設置位置や圧下速度等の圧下条
件が不適切であると、濃化溶鋼が完全に絞り出されず捕
捉されたり、顕著な内部割れが発生したりする。そこ
で、濃化溶鋼の捕捉、内部割れの発生を防止して負偏析
を得る方法について実機試験あるいは3次元の剛塑性解
析及びプラスチシンを用いた模型実験を用い種々検討を
加え、本発明が有効なことを確認した。
【0010】一般に、湾曲型連鋳機や水平連鋳機では生
成した等軸晶は沈降して特に鋳片下面側へ沈降するた
め、未凝固部の断面形状は特に鋳片幅方向に偏平な形状
となる。このような断面形状の未凝固部を圧下する場
合、鋳片の幅方向に圧下するより厚み方向に圧下する方
が表面の変形が内部に浸透し易く、また、固液界面の圧
着が容易なため凝固収縮の補償や濃化溶鋼の絞り出しを
効率的に行うことができる。また、鋳片の偏平比(鋳片
幅/厚みの比)が大きいほど未凝固幅が増大し、未凝固
部の断面形状は偏平化するため、鋳片厚み方向に加えら
れた変形はより内部に浸透し易い。
【0011】鋳片厚み方向に圧下する場合、偏平比1.
1未満では未凝固部の断面形状が半円状となり、特に未
凝固厚みが大きいときは凝固界面をきれいに圧着しにく
く、未凝固部の端部に濃化溶鋼が捕捉される形で残留し
易いが、偏平比1.1以上にすると未凝固部の断面形状
が幅方向に偏平化してその圧着の困難さはかなり緩和さ
れる。
【0012】本発明法において、圧下端子を設ける位置
yを鋳片の厚みDに応じて(1)式または(2)式を満
足するように規定するのは以下の理由による。すなわ
ち、圧下によって鋳片中心部に負偏析の生成を図る場
合、鋳片の厚みDに対し(1)式または(2)式で規定
される範囲外の位置に圧下端子を設けると、圧下端子入
り側における鋳片の断面中心部の固相率を0.6〜0.
95とするためには(1)式または(2)式で規定され
る範囲内の位置に設置した場合に比べて鋳造速度を速く
する必要がある。その場合、圧下量が一定でも圧下速度
は速くなり、それに伴って圧下による絞り出しでメニス
カス側へ流れる濃化溶鋼の流速も増加する。絞り出され
る濃化溶鋼の流速が速くなると、特に湾曲型連鋳機では
鋳片の上面側柱状晶部と等軸晶帯の境界に濃化溶鋼の吐
出圧によって局部的に固相率の低いチャンネルが形成さ
れる。その結果、濃化溶鋼は専らそのチャンネルを通過
してメニスカス側へ絞り出されるようになり、鋳片下面
側に堆積した等軸晶域ではその分流動が不活発となっ
て、等軸晶の結晶間に侵入した濃化溶鋼の絞り出しは不
完全となり、線状の偏析が形成される。この線状偏析の
生成を防止するには、鋳片の固液共存相内で局部的に固
相率の低いチャンネルが形成されるのを防止する必要が
あり、そのためには(1)式または(2)式で規定され
る範囲内の位置に圧下端子を設置し、できるだけ圧下時
の鋳造速度を低下させて絞り出される濃化溶鋼の吐出圧
を下げることが有効である。
【0013】また、濃化溶鋼を絞り出すような圧下を連
鋳鋳片に加える場合、鋳造末期に圧下を継続すると絞り
出された濃化溶鋼が鋳造最終部から外部へ溢れ出すため
に圧下は途中で中断する必要がある。そのため、鋳造最
終部には絞り出された濃化溶鋼が残留する部位が存在
し、その部位は製品として使用できないので、この部分
をいかに少なくできるかが本方法が経済的に成立するか
どうかの根幹に関する問題である。
【0014】たとえば、同じ鋼種を連々鋳することで製
品として使用できない部分の比率を低下させることがで
きるが、生産量が少ない鋼種についてはそのような対策
は採用できない。また、圧下端子を設置する位置が鋳型
から離れているほど、鋳造末期に溶鋼の漏洩で圧下でき
ない領域が増加するため、その意味からも(1)式また
は(2)式で規定される範囲外の位置に圧下端子を設け
ることは好ましくない。さらに、負偏析を形成させるか
否かを問わず、鋳片の厚みDに対し(1)式または
(2)式で規定される範囲より鋳型に近い位置に圧下端
子を設けた場合は、以下の理由でコスト的に不利にな
る。すなわち、圧下端子入り側における鋳片の断面中心
部の固相率を鋳片内質が顕著に改善できる0.6〜0.
95とするための鋳造速度はかなり小さくなり、連鋳の
利点である高い生産性を維持できず、加えて、鋳造末期
に溶鋼温度が低下してノズル詰まりを起こし易くなる。
さらに、鋳造速度が低下すると圧下端子と鋳片の接触時
間も長くなり、熱負荷が増大するため圧下端子の寿命は
大きく低下する。
【0015】圧下により内部割れを出さずに偏析を改善
し、あるいは濃化溶鋼を絞り出して鋳片中心部に負偏析
をつくる上で圧下するタイミングも重要な操作因子であ
る。本発明では、圧下する鋳片の中心部固相率、すなわ
ちストランド断面中心部における固相の重量分率を0.
6〜0.95に規定する。中心部固相率が0.95まで
に中心偏析は形成されており、0.95を越えた時点で
圧下しても圧下は中心偏析の改善に何等寄与しないし、
濃化溶鋼を絞り出して鋳片中心部に負偏析を生成させる
ことはできない。逆に、中心部固相率が0.6以下では
未凝固部が広いことに起因して凝固界面は引張り変形を
受け易く、顕著な内部割れの発生を防止できないため、
圧下される鋳片の中心部固相率は0.6以上に制御しな
ければならない。
【0016】さらに、本発明では、圧下端子で80〜5
40mm/minの圧下速度で鋳片厚み方向に圧下率で
5〜40%鋳片を圧下する。ここで言う圧下率は次式数
3で定義され、鋳片厚は鋳片幅中心部の値である。
【0017】
【数3】
【0018】圧下率が5%以下では圧下による変形が鋳
片の中心部まで十分浸透しないため中心偏析やセンター
ポロシティーの発生を防止できないし、十分な濃化溶鋼
の絞り出しを行えない。逆に、圧下端子で40%以上の
圧下を加えると鋳片が幅方向に広がり、それに起因して
鋳片軸方向に沿った内部割れが発生し、却って内質は悪
化する。
【0019】また、圧下速度が540mm/minを越
えると圧下によって絞り出された濃化溶鋼の吐出圧が大
きくなり、鋳造速度が速い場合と同様に局部的に固相率
の低いチャンネルが形成され、結果的に線状偏析が形成
されて冷間加工性等に悪影響を及ぼすし、固液界面を急
激に変形させるため内部割れも発生し易い。逆に、圧下
速度を80mm/min以下にするには、a)圧下量を
低下するか、b)かなり広範囲を圧下できる圧下端子に
する、即ち接触面積をかなり大きく採るか、または、
c)鋳造速度を小さくする必要があり、a)では圧下量
が小さく、圧下が内部に十分に浸透せず内質の改善が期
待できず、b)やc)では装置が大きくなったり、鋳片
と圧下端子が接触している時間が伸びて、圧下端子に対
する熱的負荷は極めて厳しいものとなり、圧下端子の寿
命が大幅に低下する。
【0020】本発明の内質改善方法では、鋳片を圧下す
る部分の鋳片軸方向の曲率半径が200mm以上の圧下
端子を用いる。未凝固部を有する連鋳鋳片をロール等の
圧下端子で大圧下する場合に発生する内部割れの一つ
に、ロールバイト入り側において凝固シェルが圧下ロー
ルにより鋳片縦断面内で曲げ変形を受け、凝固界面が引
張られて発生する内部割れがある。そこで、中心部固相
率を高め未凝固厚を小さくすると共に、鋳片を圧下する
部分の鋳片軸方向の曲率半径を200mm以上にするこ
とで凝固シェルの曲げ変形による歪を小さくして内部割
れの発生を抑えることができる。
【0021】本発明においては、圧下端子として高さH
が鋳片厚みの5%以上である突起部を有し、しかもその
突起部の幅Wが圧下位置における鋳片の固相率0.5で
定義される未凝固幅より大きく、鋳片の幅の80%以下
である圧下端子を用いるのが好ましい。
【0022】連鋳鋳片の偏平比が小さい場合、鋳片の表
面から加えられた変形は鋳片の先進や幅広がりに消費さ
れ、凝固界面に浸透しにくい。そのような場合に確実に
濃化溶鋼の流動を抑えて中心偏析の生成を抑え、あるい
は濃化溶鋼を確実に絞り出して負偏析を生成させて内質
改善を図るには、圧下による凝固殻の先進や幅広がりを
抑えて、表面から加えた変形をより効率的に凝固界面へ
浸透させる圧下方法を採用する必要がある。鋳片表面で
の変形を効率的に内部に浸透させる方法については、特
公昭48−41132号公報、特公昭50−3750号
公報、特開昭61−132247号公報記載のように未
凝固部が残留する鋳片幅中央部該当位置に突起部を設け
たロール等の端子で圧下する方法が有効であるが、特公
昭50−3750号公報記載のように突起部の高さを開
口部の高さの10〜25%、ローラの直径を開口高さの
3.5〜5倍にするだけでは不十分で、突起部の幅、圧
下率(圧下量)やさらに上述した圧下するタイミング
(圧下位置での中心部固相率)、鋳片形状(未凝固部の
形状)を適正に設定することも必要不可欠である。
【0023】本発明者が検討した結果では、他の条件が
前記条件を満足する場合に濃化溶鋼を確実に絞り出すた
めには、鋳片の幅中央部に該当する部分に突起部を設
け、その突起部の高さHを鋳片の厚みの5%以上にする
と、圧下による変形を効率的に凝固界面へ浸透させ、中
心偏析の生成を防止し、あるいは濃化溶鋼を絞り出し、
鋳片中心部に負偏析を生成させるのに有効であった。こ
れは、鋳片の厚みの5%以上の高さの突起を設けること
で未凝固部が残留する鋳片の幅中央部を優先的に圧下で
き、鋳片の幅方向で温度が低く変形抵抗が大きい部分の
圧下を回避できると共に、その部分の圧下の回避により
凝固殻の先進や幅広がりが抑えられる結果、変形をより
効率的に凝固界面へ浸透させることができるためであ
る。
【0024】また、突起部の幅Wが圧下位置における鋳
片の固相率0.5で定義される未凝固幅より小さいと、
鋳片幅中央部のみ凝固界面が圧着され、濃化溶鋼が鋳片
短辺側の未凝固部端部に残留しやすく、また、鋳片の幅
広がりや鋳片横断面内の曲げ変形等で延性が低い凝固界
面が鋳片幅方法に引張られることに起因して内部割れも
発生し易い。一方、突起部の幅Wを鋳片の幅の80%以
上にすると、先に述べた理由で凝固殻の先進や幅広がり
が大きくなり、鋳片表面に加えた変形は凝固界面へ浸透
しにくくなる。
【0025】また、図2に示すように、突起部の高さH
を連鋳鋳片1の厚みの5%以上にして、圧下率が10〜
50%の範囲であれば、突起部以外の圧下ロール4部分
が連鋳鋳片1に接触するような大きい圧下率で連鋳鋳片
1を圧下しても構わない。この場合も、未凝固部2が残
留する鋳片幅中央部は突起部によってより上流側から圧
下され始め、また、突起部以外の部分が接触するまでは
かなり圧下による鋳片の先進が抑制されるため未凝固部
2への圧下の浸透性はそれなりに確保され、未凝固部2
の圧着性や濃化溶鋼の絞り出し性はあまり損われな
い。。
【0026】さらに、連鋳鋳片内の溶鋼に電磁気力を作
用させて鋳片内の溶鋼を攪拌することを組合せることが
好ましい。未凝固部が残留する連鋳鋳片を大圧下する
際、凝固組織が柱状晶組織より等軸晶組織の方が割れ感
受性が低く、圧下による内部割れは発生しにくいのに加
え、鋳片断面内のできるだけ広い範囲に等軸晶が存在す
るほど固液共存相の広範囲において均一な濃化溶鋼の絞
り出しを実現し易く、固液共存相内でのチャンネル生成
に起因する線状偏析の出現も防止し易いため、連鋳鋳片
内の溶鋼に電磁気力を作用させ、鋳片内の溶鋼を攪拌し
て凝固組織の等軸晶化を促進するのが好ましいのであ
る。
【0027】
【実施例】湾曲型連鋳機を用いて表1、表2に示す条件
でS45C鋳片を製造し、その鋳片を圧延して得た40
φ成品で平行部5φのJIS4号タイプの引張り試験片
を採取して、成品中心部の延性を絞りで評価した。比較
のため、ほぼ同様の鋳造条件で鋳造し圧下していない鋳
片と、範囲外の条件で圧下した鋳片についても同様な調
査を行った。また、本発明の歩留り向上効果を明確にす
るため、(1)式または(2)式を満足しないメニスカ
スから22.2m位置で圧下した場合と本発明の場合と
の鋳造歩留りの比較も行った。
【0028】
【表1】 注)圧下位置でのfs0.5の未凝固幅:30〜70m
【0029】
【表2】
【0030】表3に、鋳造歩留り、鋳片中心部のC偏析
度について5φドリルで調査した結果、鋳片横断面のサ
ルファープリントで内部割れを評価した結果、X線での
センターポロシティー観察結果、および成品での引張り
試験で成品中心部の延性を評価した結果を示す。内部割
れ評点は、数値が大きいほど内部割れの発生が激しいこ
とを意味する。尚、圧下していない圧下率が0%の場合
については、圧下位置、圧下ロール、中心部固相率及び
圧下速度については各欄に「−」を表示した。
【0031】
【表3】
【0032】表3から明らかなように、実施例では、最
終鋳造部の濃化溶鋼が蓄積する部位を大幅に減少して鋳
造歩留りの悪化を防止し、品質面では内部割れの発生を
ほぼ防止し、センターポロシティーを圧着すると共に材
料の中心部を負偏析させることで成品中心部の延性は顕
著に改善された。
【0033】ロールの曲率半径が200mm以下の圧下
ロール5で圧下した場合には激しく内部割れが発生し、
また、圧下ロールに突起部を設けた場合は圧下により鋳
片内部へ変形が浸透し、負偏析度が大きくなる傾向が認
められた。また、A−4、A−5の比較、またはB−1
とB−2の比較より、電磁攪拌を適用して凝固組織の等
軸晶化を促進するほど鋳造歩留りやC偏析度は良好であ
った。
【0034】
【発明の効果】本発明により、未凝固部が残留する連鋳
鋳片を大圧下して、鋳造歩留りを低下させずに中心偏
析、センターポロシティー等の内質欠陥の生成を防止し
て、熱間及び冷間加工性の優れた連鋳鋳片を経済的に製
造することが可能となる。鋼材中心部の延性不足で生成
していた冷間押出しや引抜き時のシェブロクラックやカ
ッピー断線、中心偏析に起因する熱間鍛造時の割れ等の
発生が防止でき、従来以上に厳しい熱間、冷間加工が可
能となる。更に、鋳片段階での中心偏析やセンターポロ
シティーと言った内質欠陥が消失するので、均熱拡散処
理の省略や、より小さい圧延比で十分な機械的特性を有
する鋼材の製造が可能となり、分塊工程の省略を実現で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により、ロールの突起部のみで圧下を加
える状況を示す図である。
【図2】本発明により、ロールの突起部以外でも圧下を
加える状況を示す図である。
【符号の説明】
1 連鋳鋳片 2 未凝固部 3 固相率0.5の界面 4 圧下ロール W 突起部の幅 L 突起部の径 H 突起部の高さ w 固相率0.5の未凝固幅

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 矩形鋳片を連続鋳造する際、該鋳片の偏
    平比を1.1以上にすると共に、(1)式または(2)
    式数1を満足する位置yに圧下端子を設け、鋳造速度を
    調整して圧下端子入り側における鋳片の断面中心部の固
    相率を0.6〜0.95とし、鋳片を圧下する部分の鋳
    片軸方向の曲率半径が200mm以上の圧下端子を用い
    て80〜540mm/minの圧下速度で鋳片厚み方向
    に圧下率で5〜40%鋳片を圧下することを特徴とする
    未凝固大圧下による連鋳鋳片の内質改善方法。 【数1】0≦D<250の場合 0.02×D≦y(m)≦0.06×D …(1) 250≦Dの場合 0.02×D≦y(m)≦0.067×(D−250)+15 …(2) ただし、D:鋳片の厚み(mm)
  2. 【請求項2】 圧下端子として高さHが鋳片の厚みの5
    %以上である突起部を有し、しかも突起部の幅Wが圧下
    位置における鋳片の固相率0.5で定義される未凝固幅
    より大きく、鋳片の幅の80%以下である圧下端子を用
    いる請求項1記載の未凝固大圧下による連鋳鋳片の内質
    改善方法。
  3. 【請求項3】 連鋳鋳片内の溶鋼に電磁気力を作用させ
    て鋳片内の溶鋼を攪拌することを組合せた請求項1また
    は2記載の未凝固大圧下による連鋳鋳片の内質改善方
    法。
JP4178594A 1994-02-17 1994-02-17 未凝固大圧下による連鋳鋳片の内質改善方法 Withdrawn JPH07227657A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006051511A (ja) * 2004-08-10 2006-02-23 Jfe Steel Kk H型鋳片の連続鋳造方法
JP2011140044A (ja) * 2010-01-08 2011-07-21 Sumitomo Metal Ind Ltd 鋼の連続鋳造方法

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