JPH07227314A

JPH07227314A - 行楽用シート

Info

Publication number: JPH07227314A
Application number: JP2170594A
Authority: JP
Inventors: Katsunori Suzuki; 克昇鈴木; Eiji Okumura; 栄二奥村
Original assignee: Unitika Ltd
Current assignee: Unitika Ltd
Priority date: 1994-02-21
Filing date: 1994-02-21
Publication date: 1995-08-29

Abstract

(57)【要約】【目的】機械的特性、寸法安定性、吸水性、ソフトな肌
触り感および柔軟性に富んだ行楽用シートを提供する。【構成】コットン短繊維不織ウェブ層１が合成繊維不織
ウェブ層２に積層されてなる行楽用シートであり、前記
コットン短繊維不織ウェブ層１は構成繊維同士が三次元
的に交絡され、前記合成繊維不織ウェブ層２は部分的に
熱融着あるいは三次元的に交絡されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、機械的特性、寸法安定
性、吸水性、ソフトな肌触り感および柔軟性に富んだ行
楽用シートに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、行楽用シートにはスパンボンド不
織布とフィルム、スパンボンド不織布とスパンボンド不
織布、ビニールとスパンボンド不織布の熱圧接された積
層シートが用いられている。従って、この積層シートは
合成樹脂を主体とし、熱圧接が施されることにより複合
化されて行楽用シートを形成しているため、シート表面
にざらつき感があり、肌触りが悪く、風合いが硬いとい
う欠点を有している。また、スパンボンド不織布の素材
である合成繊維は吸水性に乏しいため、夏場などの使用
の際に不織布が肌に貼り付き、快適性を損なうなどの問
題があった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような課
題を解決するもので、機械的特性、寸法安定性、吸水
性、ソフトな肌触り感および柔軟性に富んだ行楽用シー
トを提供することを目的とするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明は、コットン短繊維不織ウェブ層Ａが合成繊維
不織ウェブ層Ｂに積層されてなる行楽用シートであり、
前記コットン短繊維不織ウェブ層Ａは構成繊維同士が三
次元的に交絡され、前記合成繊維不織ウェブ層Ｂは部分
的に熱融着あるいは三次元的に交絡されてなることを特
徴とする行楽用シートを要旨とするものである。

【０００５】本発明の行楽用シートについてさらに詳細
に説明する。図１は本発明の行楽用シートを説明するた
めの要部斜視図であって、１はコットン短繊維不織ウェ
ブ層Ａ、２は合成繊維不織ウェブ層Ｂであり、これらの
ウェブ層Ａ，Ｂが積層されてなるシートの縁部が合成繊
維不織ウェブ層Ｂ側に折り返され、この折り返し部３に
沿って超音波ウェルダー処理が施され、縁かがりされて
いる。４は超音波ウェルダーによる処理部である。ま
た、前記ウェブ層Ａ，Ｂが積層されてなるシートに部分
的に超音波ウェルダー処理が施され、両ウェブ層Ａ，Ｂ
を一体化している。５は超音波ウェルダーによる処理部
である。

【０００６】本発明の行楽用シートの第１の特徴は、短
繊維不織ウェブ層Ａに構成繊維としてコットンを用い、
短繊維不織ウェブ層Ａを構成する繊維相互が三次元的に
交絡されたいわゆるスパンレース不織布を用いることで
ある。短繊維不織ウェブ層Ａにコットン繊維のスパンレ
ース不織布を用いることにより、吸水性を有し、かつソ
フトな肌触り感を有する柔軟性に富む表面層を形成する
ものである。

【０００７】本発明において、三次元的な交絡とは短繊
維不織ウェブ層Ａを形成する繊維相互が横方向のみでな
く、厚み方向に対しても交絡がなされ、緻密に一体化し
た構造を有していることを意味する。また、緻密に一体
化された構造とは、短繊維の主体的な交絡によってなる
ものであり、カーディングされた短繊維ウェブよりも嵩
密度が高い構造となっていることをいう。三次元的な交
絡を有する短繊維不織ウェブ層Ａの作成方法としては、
ニードルパンチ法およびスパンレース法があるが、本発
明においては、スパンレース法を用いるのが効果的であ
る。

【０００８】スパンレース法により三次元的な交絡を有
する短繊維不織ウェブ層Ａを作成する工程について詳述
すると、孔径が０．０５〜１．５ｍｍの噴射孔が０．５
〜５ｍｍ間隔で１列ないしは複数列に複数個配設された
オリフィスヘッドより、高圧で柱状に噴射される高圧液
体流を、多孔性支持板上に載置した短繊維不織ウェブに
衝突せしめ、短繊維不織ウェブを構成する繊維相互を緻
密に交絡せしめ一体化せしめる。液体としては常温の水
あるいは熱水を使用することができる。高圧液体流を前
記短繊維不織ウェブに衝突させるに際しては、前記噴射
孔が配設されたオリフィスヘッドを、多孔性支持板上に
載置された前記短繊維不織ウェブの進行方向に対し、直
角をなす方向に噴射孔間隔と同一間隔でオリフィスヘッ
ドを振幅させ、高圧液体流を噴射せしめ均一に衝突させ
ると良い。

【０００９】この高圧液体流の噴射の際、短繊維不織ウ
ェブを載置する多孔性支持板としては、高圧液体流が多
孔性支持板上の短繊維不織ウェブを通過しうる構成のも
のであれば、金属製、ポリエステル製、あるいはその他
の材質のいずれでも良い。

【００１０】本発明に用いられる多孔性支持板の網目
は、３０〜１５０本／２５ｍｍの範囲であり、さらに好
ましくは５０〜１００本／２５ｍｍの範囲である。網目
が３０本／２５ｍｍ未満では、高圧液体流が前記短繊維
不織ウェブに衝突後、短繊維不織ウェブを貫いて鮮明な
孔形状が付与されるため、行楽用シートに加工された
際、素足で座ったときに、表面にざらつき感が生じ、ソ
フトな感触が得られず好ましくない。また、網目が２０
０本／２５ｍｍを超えると、短繊維不織ウェブと多孔性
支持板との積層された部分を高圧液体流が通過する際に
要するエネルギー量が多大となり、生産コスト上好まし
くない。

【００１１】この高圧液体流による交絡処理は、少なく
とも２回以上に分けて行なうと良い。即ち、第１回目の
高圧液体流による交絡処理では、水圧が４０ｋｇ／ｃｍ
² Ｇ以下の高圧液体流により前記短繊維不織ウェブに予
備交絡を施す。この第１回目の交絡処理を行なうときの
水圧が４０ｋｇ／ｃｍ² Ｇを超えると、高圧液体流によ
り発生する随伴気流により前記短繊維不織ウェブの乱れ
が生じ、目付けムラとなり、不織布の品位を保つ上で好
ましくない。予備交絡の施された短繊維不織ウェブは引
き続き、第２回目以降の交絡処理として水圧５０ｋｇ／
ｃｍ² Ｇ以上の高圧液体流により処理が施され、短繊維
相互が三次元的に緻密に一体化した、いわゆるスパンレ
ース不織布とすることができる。

【００１２】また、短繊維不織ウェブの目付けにより、
前記方法により得られた短繊維不織ウェブをさらに反転
し、第３回目の交絡処理として、第２回目で適用した水
圧により交絡処理を施すことにより、表裏共に緻密に交
絡したスパンレース不織布とすることができる。

【００１３】以上により得られた短繊維不織ウェブの余
分な水分を、既知の水分除去装置であるマングルなどに
より除去し、さらにサクションバンド方式の熱風循環式
乾燥機を用いて乾燥処理を施し、三次元的交絡を有する
不織布を得る。

【００１４】本発明における短繊維不織ウェブＡは、コ
ットンを構成成分として用いるものである。このウェブ
層Ａは、その目付けが１０〜１００ｇ／ｍ² のものであ
るのが好ましい。目付けが１０ｇ／ｍ² 未満であると得
られたウェブ層Ａの形態保持性が向上せず、一方、目付
けが１００ｇ／ｍ² を超えるとウェブ層Ａの構成繊維同
士の三次元的交絡が十分に得られず、いずれも好ましく
ない。

【００１５】このコットンとしては、コーマ糸、および
晒し綿などが用いられ、繊度が１．０〜２．５デニー
ル、繊維長１０〜４０ｍｍ程度のものを採用すると良
い。また、本発明でいうコットン繊維からなるウェブ層
Ａは、コットンからなる糸または織物または編物から得
られる反毛により作られる。この反毛とは、単に漂泊し
ただけのものおよび蛍光晒しのものおよび染色したもの
をいう。

【００１６】本発明で効果的に用いることができる反毛
機は、ラッグ・マシン、ノット・ブレーカー、ガーネッ
ト・マシン、廻切機などである。用いる反毛機の種類や
組み合わせは反毛される布帛の形状や、構成する糸の太
さ、撚りの強さにもよるが、同一の反毛機を数直列に連
結させたり、２種以上の反毛機を組み合わせて用いたり
すると効果的である。ここで反毛機による解繊率は３０
〜９５％の範囲が好ましい。解繊率が３０％未満である
と高圧液体流でウェブ層Ａを処理するとき液体流がウェ
ブ層Ａを十分貫通せず、また解繊率が９５％を超えると
十分な表面摩耗強度が得られない。なお、解繊率は下記
に示す式により求められる。

【００１７】解繊率（％）＝（反毛重量−糸状物重量）×１００／反毛重量本発明の行楽用シートの第２の特徴は、合成繊維不織ウ
ェブ層Ｂにコットン短繊維不織ウェブ層Ａを積層するこ
とである。地面ないしは床に接する面側に合成繊維不織
ウェブ層Ｂを用いることにより、地面ないしは床の湿気
を表面に伝えることなく、かつ行楽用シートの強度保持
の点において効果を有するものとなる。本発明における
合成繊維不織ウェブ層Ｂを構成する繊維としては、繊維
形成性を有するポリオレフィン系重合体、ポリエステル
系重合体あるいはポリアミド系重合体からなるものであ
る。

【００１８】ポリオレフィン系重合体としては、炭素原
子数２〜１８の脂肪族α−モノオレフィン、例えばエチ
レン、プロピレン、ブテン−１、ペンテン−１、３−メ
チルブテン−１、ヘキセン−１、オクテン−１、ドデセ
ン−１、オクタデセン−１からなるホモポリオレフィン
重合体が挙げられる。この脂肪族α−モノオレフィン
は、他のエチレン系不飽和モノマ、例えばブタジエン、
イソプレン、ペンタジエン−１・３、スチレン、α−メ
チルスチレンのような類似のエチレン系不飽和モノマが
共重合されたポリオレフィン系共重合体であっても良
い。また、ポリエチレン系重合体の場合には、エチレン
に対してプロピレン、ブテン−１、ヘキセン−１、オク
テン−１または類似の高級α−オレフィンが１０重量％
以下共重合されたものであっても良く、ポリプロピレン
系重合体の場合には、プロピレンに対してエチレンまた
は類似の高級α−オレフィンが１０重量％以下共重合さ
れたものであっても良いが、前記これらの共重合物の共
重合率が前記重量％を超えると共重合体の融点が低下
し、これら共重合体の繊維からなる不織ウェブを用いて
得た複合不織布を高温条件下で使用したときに、機械的
特性や寸法安定性が低下するので好ましくない。

【００１９】ポリエステル系重合体としては、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、ナフタリン−２・６−ジカルボン
酸などの芳香族ジカルボン酸あるいはアジピン酸、セバ
チン酸などの脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステ
ル類を酸成分とし、かつエチレングリコール、ジエチレ
ングリコール、１・４−ブタジオール、ネオペンチルグ
リコール、シクロヘキサン−１・４−ジメタノールなど
のジオール化合物をエステル成分とするホモポリエステ
ル重合体あるいは共重合体が挙げられる。なお、これら
のポリエステル系重合体には、パラオキシ安息香酸、５
−ソジウムスルホイソフタール酸、ポリアルキレングリ
コール、ペンタエリススリトール、ビスフエノールＡな
どが添加あるいは共重合されていても良い。

【００２０】ポリアミド系重合体としては、ポリイミノ
−１−オキソテトラメチレン（ナイロン４）、ポリテト
ラメチレンアジパミド（ナイロン４６）、ポリカプラミ
ド（ナイロン６）、ポリヘキサメチレンアジパミド（ナ
イロン６６）、ポリウンデカナミド（ナイロン１１）、
ポリラウロラクタミド（ナイロン１２）、ポリメタキシ
レンアジパミド、ポリパラキシリレンデカナミド、ポリ
ビスシクロヘキシルメタンデカナミドまたはこれらのモ
ノマを構成単位とするポリアミド系共重合体が挙げられ
る。特に、ポリテトラメチレンアジパミドの場合、ポリ
テトラメチレンアジパミドにポリカプラミドやポリヘキ
サメチレンアジパミド、ポリウンデカメチレンテレフタ
ラミドなどの他のポリアミド成分が３０モル％以下共重
合されたポリテトラメチレンアジパミド系共重合体であ
っても良い。前記他のポリアミド成分の共重合率が３０
モル％を超えると共重合体の融点が低下し、これら共重
合体の繊維からなる不織ウェブを用いて得た複合不織布
を高温条件下で使用したときに、機械的特性や寸法安定
性が低下するので好ましくない。

【００２１】なお、本発明において、前記の繊維形成性
熱可塑性重合体には、必要に応じて、例えば艶消し剤、
顔料、防炎剤、消臭剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止
剤などの各種添加剤を本発明の効果を損なわない範囲内
で添加することができる。

【００２２】本発明における合成繊維不織ウェブ層Ｂを
構成する繊維は、繊維形成性を有する前記重合体から構
成されるものであるが、その形態は、前記重合体単独か
らなるものの他に、前記重合体の中から選択された２種
以上の相異なる重合体が各々溶融紡糸性を損なわない範
囲内でブレンドされたブレンド物からなるものであって
も良い。このブレンドでは、例えばポリエステル系重合
体とポリオレフィン系重合体とがブレンドされたもの
や、２種の相異なるポリアミド系重合体がブレンドされ
たものが挙げられる。特に、前者の場合には、溶融紡出
直後で未配向のポリエステル成分の収縮を抑制すること
ができて好ましい。また、この繊維の形態は、前記重合
体の中から選択された２種の相異なる重合体が芯鞘型あ
るいは並列型に配されたものであっても良い。この複合
では、例えばポリエチレンテレフタレート重合体が芯部
に、かつポリエチレン重合体が鞘部に配された芯鞘型、
あるいはポリカプラミド重合体とポリヘキサメチレンア
ジパミド重合体とからなる並列型のような複合形態が挙
げられる。

【００２３】本発明における合成繊維不織ウェブ層Ｂを
構成する繊維は、繊維形成性を有する前記重合体から構
成され、かつ単繊維繊度が１．５〜８．０デニールのも
のである。単繊維繊度が１．５デニール未満であると得
られたウェブ層Ｂの機械的特性が低下したり、溶融紡糸
工程において製糸性が低下し、一方、単繊維繊度が８．
０デニールを超えると得られたウェブ層Ｂの風合いが硬
くなって柔軟性に富む複合不織布を得ることができず、
いずれも好ましくない。従って、本発明では、この単繊
維繊度が１．５〜８．０デニール好ましくは２．０〜
５．０デニールであるのが良い。

【００２４】本発明における合成繊維不織ウェブ層Ｂ
は、前記繊維から構成され、かつその構成繊維間に熱接
着が施された不織ウェブのほかに、三次元的交絡を有す
る不織ウェブを用いることもできる。

【００２５】即ち、合成繊維不織ウェブ層Ｂが長繊維か
ら構成されるとき、部分的な熱接着が施され、短繊維か
ら構成される際は、熱接着ないしはスパンレース法によ
り三次元的な交絡が施されるものである。

【００２６】本発明におけるウェブ層Ｂに用いられる合
成繊維不織ウェブの代表的な不織布として、合成長繊維
からなるスパンボンド不織布、および合成短繊維からな
る熱エンボス処理の施された短繊維不織布がある。

【００２７】スパンボンド不織布について説明すると、
前記熱可塑性ポリマを単独ないしは複数を、金型を用い
て溶融紡出し、紡出されたポリマ流を冷却後、エアサッ
カーなどにより引取り、コロナ放電により糸条を開繊し
た後、移動するコンベア上に捕集、堆積した後、部分的
に熱接着を施し不織布とするものである。

【００２８】本発明において、部分的な熱接着とは、加
熱され表面に彫刻模様が刻印されたロール、即ちエンボ
スロールと、加熱され表面が平滑な金属ロールとの間に
前記合成長繊維不織ウェブを通すことにより前記彫刻模
様に該当する部分のみのウェブ構成繊維同士を熱的に接
着させたものである。さらに詳しくは、この部分的な熱
接着とは、合成繊維不織ウェブ層Ｂの全表面積に対して
特定の領域、即ち、個々の熱接着領域は必ずしも円形の
形状である必要はないが、０．１〜１．０ｍｍ ² の面積
を有し、その密度即ち接着点密度が２〜８０点／ｃｍ
² 、好ましくは４〜６０点／ｃｍ² のものであるのが良
い。この接着点密度が２点／ｃｍ² 未満であると熱接着
後のウェブ層Ｂの機械的特性や形態保持性が向上せず、
一方、接着点密度が８０点／ｃｍ² を超えると柔軟性と
嵩高性が向上せず、いずれも好ましくない。

【００２９】また、ウェブ層Ｂの全表面積に対する全熱
接着領域の面積の比即ち接着面積率が２〜３０％好まし
くは４〜２０％のものである。この接着面積率が２％未
満であると熱接着後のウェブ層Ｂの寸法安定性が向上せ
ず、従って、このウェブ層Ｂにウェブ層Ａを積層して得
られた積層不織布の寸法安定性が劣り、好ましくない。

【００３０】また、熱接着を施す彫エンボスロールと表
面平滑なロールの表面温度は、合成繊維不織ウェブ層Ｂ
を構成する繊維成分に、低融点成分の融点により決定さ
れるものであるが、この低融点成分繊維の融点に対し、
−１０〜−５０℃の範囲で行なうと良い。このエンボス
ロールと表面平滑なロール間の線圧としては、５〜１５
０ｋｇ／ｃｍの範囲、より好ましくは、１０〜１００ｋ
ｇ／ｃｍの範囲である。

【００３１】短繊維不織布に用いられる短繊維は、前記
熱可塑性繊維が単独または複数で金型により紡出された
糸条を冷却後、特定の速度により引取り、未延伸糸条を
得、これらの糸条を複数本合糸した後、２段熱延伸機を
用い前記未延伸糸条の破断伸度の範囲内の倍率により、
延伸処理を施し、捲縮および紡績油剤を付与した後、乾
燥処理を行ない、特定の繊維長に裁断を施し得られるも
のである。

【００３２】上記方法により得られた短繊維を、単独ま
たは複数を任意の割合で混合し、カード機によりカード
ウェブとした後、熱エンボスロールにより部分的に接合
し、不織布が得られる。

【００３３】また、本発明においては、短繊維不織ウェ
ブとして、前記熱エンボスによる不織布の外に、熱風処
理によるサーマルスルー不織布ないしは、水流交絡によ
るスパンレース不織布を用いることもできる。

【００３４】本発明のシートの第３の特徴は、前述した
ように、前記合成繊維の不織ウェブ層Ｂにコットン短繊
維不織ウェブ層Ａが積層された後、合成繊維不織ウェブ
層Ｂが重なり合う面を構成する方向に端部が１０〜３０
ｍｍ幅に折り返され、この折り返された部分に超音波ウ
ェルダー処理が施され、縁かがりがされ、かつ、積層さ
れた不織ウェブに部分的に超音波ウェルダー処理を施し
て一体化した積層不織布とする点である。本発明に用い
られる超音波ウェルダーに際しては、下部に超音波発信
機、超音波増幅機、および振動盤が配され、上部に溶着
部として、点状ないしは線状の凸部分が、一列ないしは
複数列、円周状に配されたロールにより構成される。

【００３５】超音波の発信周波数は１９．５〜２２．０
ＫＨｚの範囲で使用される。また、ウェルダー部の彫刻
部としては、幅０．５〜５ｍｍ、長さ０．５〜５ｍｍの
凸部が０．５〜５ｍｍ間隔で一列ないしは複数列に配さ
れた彫刻ロール、または０．５〜２ｍｍ幅の範囲で直線
状に一列ないしは複数列に彫刻の施されたロールを用い
ることができる。

【００３６】ロールの押し圧としては、０．２〜５ｋｇ
／ｃｍの範囲が用いられる。なお、本発明の行楽用シー
トでは、上記工程の後、必要に応じて、プリントまたは
染色などの後加工を施すことができる。

【００３７】

【作用】本発明の行楽用シートは、三次元的交絡を有す
るコットン短繊維不織ウェブ層Ａを合成繊維不織ウェブ
層Ｂに積層してなるものであるため、コットン短繊維不
織ウェブ層Ａにより優れた吸水性を発揮するとともに、
合成繊維不織ウェブ層Ｂにより適度な撥水性を有し、地
面・床面の水分の吸水を防止する。

【００３８】

【実施例】以下、実施例に基づき本発明を説明する。な
お、本発明における実施例の測定法は、以下の方法によ
り測定した。

【００３９】メルトフローレート値；ＡＳＴＭＤ１２
３８（Ｌ）に記載の方法により測定した。

【００４０】不織布の引張強力（ｋｇ／５ｃｍ幅）；定
速伸長型引張試験機（東洋ボールドウイン（株）製テン
シロンＵＴＭ−４−１−１００）を用い、ＪＩＳＬ−
１０９６に記載のストリップ法に従って測定した。即
ち、試料幅が５ｃｍで試料長が２０ｃｍの試料片１０片
を準備し、各試料毎に掴み間隔１０ｃｍ、引張速度１０
ｃｍ／分で測定して最大引張強力（ｋｇ）を求め、得ら
れた各引張強力値の平均値を不織布の引張強力（ｋｇ／
５ｃｍ幅）とした。

【００４１】圧縮剛軟度（ｇ）；試料長が１０ｃｍ、試
料幅が５ｃｍの試料片計５点を作成し、各試料片毎に長
さ方向に曲げて円筒状物とし、各々その端部を接合した
ものを圧縮剛軟度測定試料とした。次いで、各測定試料
毎にその軸方向について、定速伸長型引張試験機（東洋
ボールドウイン（株）製テンシロンＵＴＭ−４−１−１
００）を用い、圧縮速度５ｃｍ／分で圧縮し、得られた
最大荷重値（ｇ）の平均値を圧縮剛軟度（ｇ）とした。

【００４２】剥離強力；試料幅５ｃｍ、試料長は接合部
より両側１０ｃｍづつの試料片を１０個作成し、各試料
片を、定速伸長型引張試験機（東洋ボールドウイン
（株）製テンシロンＵＴＭ−４−１−１００）を用い、
掴み間隔は接合部を中心に１０ｃｍ、引張速度１０ｃｍ
／分の条件で最大剥離強力を個々に測定し、その平均値
（ｋｇ／５ｃｍ幅）を接合部の剥離強力とした。

【００４３】吸水性（ｃｍ／１０分）；ＪＩＳＬ−１
０９６に記載のバイレック法により、幅２．５ｃｍ、長
さ２０ｃｍの試料を５点作成し、各試験片を２０±２℃
の蒸留水を入れた水槽上の一定の高さに支えた水平棒上
にピンで止めて吊るす。試験片の下端を一線に並べて水
平棒を下げ、試験片の下端の１ｃｍが丁度水につかるよ
うにする。次に１０分間放置後の水の上昇した高さ（ｃ
ｍ）を測り、平均値を吸水性（ｃｍ／１０分）とした。

【００４４】実施例１コットン短繊維不織ウェブ層Ａとして、平均繊度１．５
デニール、平均繊維長２５ｍｍのコットンの晒し綿を用
い、ランダムカード機により、繊維の配列が一様でない
目付け８５ｇ／ｍ² の短繊維不織ウェブを得た。このコ
ットン短繊維不織ウェブを、２０ｍ／分の速度で移動す
る７０メッシュのネット上に載置し、コットン短繊維不
織ウェブの上方５０ｍｍの位置より、噴射孔径０．１ｍ
ｍ、噴射孔間隔０．６ｍｍで一列に配置された噴射孔よ
り、第１回目の予備交絡として、水圧３０ｋｇ／ｃｍ²
Ｇの水により予備交絡を施し、引続き第２回目の交絡処
理として、水圧７０ｋｇ／ｃｍ² Ｇの水により４回の交
絡処理を施した。

【００４５】さらに第３回目の交絡処理として、前記と
同一のネットおよび噴射孔を用い、前記交絡処理の施さ
れたコットン短繊維不織ウェブ層Ａを反転し、第２回目
と同一水圧条件にて、５回の交絡処理を施し、表裏とも
に緻密に交絡の施された不織ウェブを得た。

【００４６】交絡処理に際しては、常温の水を用いた。
得られたコットン短繊維不織ウェブから、マングルによ
り余剰の水分を除去した後、１００℃の温度の乾燥機に
より、乾燥処理を行なった。得られた不織ウェブは、目
付け８３ｇ／ｍ² で、表裏ともに緻密な三次元的交絡を
有するものであった。

【００４７】合成繊維不織ウェブ層Ｂとしては、合成長
繊維フィラメントからなるスパンボンド不織布を下記の
方法により作成した。融点が１５６℃、密度０．９８ｇ
／ｃｃ、メルトフローレート値５６ｇ／１０分のポリプ
ロピレン重合体チップを用い、スパンボンド法により長
繊維不織ウェブ層を製造した。即ち、前記重合体チップ
を溶融し、これを紡糸孔を通して紡糸温度２５０℃で溶
融紡出し、溶融紡出されたポリマ流を冷却した後、エア
ーサッカを用い引取り速度４８００ｍ／分で引き取り、
コロナ放電手段を用いて開繊し、移動する捕集面上に捕
集・堆積させて短繊維繊度が３．０デニールの長繊維か
らなる不織ウェブとし、次いで得られた不織ウェブに熱
接着処理を施して目付けが３０ｇ／ｍ² の合成繊維長繊
維不織ウェブ層を得た。熱接着処理を施すに際しては、
面積が０．６ｍｍ² の彫刻模様が接着点密度２０点／ｃ
ｍ² かつ接着面積率１２％で配設されたエンボスロール
と表面が平滑な金属ロールとを用いた。このエンボスロ
ールと表面が平滑な金属ロールの表面温度を１３５℃、
かつ両ロール間の線圧を１０ｋｇ／ｃｍとした。

【００４８】上記方法で得られたコットン不織ウェブ層
Ａを、合成繊維不織ウェブ層Ｂに積層し、この積層不織
ウェブを超音波ウェルダー処理により縁かがりを施すと
ともに、積層不織ウェブ層に部分的に超音波ウェルダー
処理を施し一体化した。

【００４９】超音波ウェルダーに際しては、超音波出力
周波数１９．７ＫＨｚ、積層不織ウェブの一体化とし
て、溶着部の彫刻ロールを、面積０．３６ｍｍ² 、接着
面積比７．２％、接着点密度２０点／ｃｍ² で彫刻が施
されたロールを用いた。なお、振動盤とロール間の線圧
を１．０ｋｇ／ｃｍとした。得られた積層不織ウェブ
は、引張強力が１５ｋｇ／５ｃｍ幅、圧縮剛軟度が５８
ｇ、吸水性が１８．６ｃｍ／１０分であり、吸水性を有
するとともに、実用に耐えうる不織布強力、およびソフ
ト性を有するものであった。

【００５０】上記で得られた積層不織ウェブをシートサ
イズに裁断し、縁部のかがりとして、超音波ウェルダー
処理を施した。その処理に際しては、溶着部分が機械方
向に長さ３ｍｍ、幅方向に１．５ｍｍの突起部分が２ｍ
ｍ間隔で縦一列に配されたロールを用い、超音波溶着機
により、ロールの押し圧２ｋｇ／ｃｍ² 、超音波発信周
波数１９．７ＫＨｚ、送り速度５ｍ／分にて、複合不織
布の端部から１０ｍｍの幅の折り返し部分の折り目より
５ｍｍ内側部分を凸起部により、溶着加工を施し、シー
ト状不織布を形成した。

【００５１】上記で得られた積層不織布は、目付けが１
１０ｇ／ｍ² で、機械的特性と寸法安定性に富み、積層
不織ウェブ間の剥離強力が１．５ｋｇ／５ｃｍ幅で、耐
剥離性が高く十分一体化されたものであった。

【００５２】実施例からも明かなように、得られた積層
不織布は、行楽用シートとして好適に用いることができ
る。

【００５３】実施例２コットン短繊維不織ウェブ層Ａとしては、実施例１で得
られた不織ウェブを用いた。

【００５４】また、合成繊維不織ウェブ層Ｂとしては、
融点２５６℃のポリエステルからなる短繊維の、繊度２
デニール、繊維長５１ｍｍの短繊維と、融点２５６℃の
ポリエステルを芯成分とし、鞘成分には融点１１６℃の
変性ポリエステルとした複合紡糸・延伸された短繊維
を、重量比６０：４０の割合で混合し、ランダムカード
機により繊維の配列が一様でないカードウェブを作成し
た。

【００５５】短繊維カードウェブの熱エンボス処理に際
しては、下記の方法にて行なった。接着面積が０．６４
ｍｍ² の彫刻模様が接着点密度２０点／ｃｍ² かつ接着
面積率１２．８％で配設されたエンボスロールと表面が
平滑な金属ロールとを用いた。このエンボスロールと表
面が平滑な金属ロールの表面温度を１２５℃、かつ両ロ
ール間の線圧を１０ｋｇ／ｃｍとした。

【００５６】得られたコットン不織ウェブ層Ａを、合成
繊維不織ウェブ層Ｂに積層してなる積層不織ウェブ層の
縁かがり、接着を施す超音波ウェルダー処理は、実施例
１と同一条件として、積層不織布を得た。

【００５７】この積層不織布は目付けが１１０ｇ／ｍ
² 、引張強力が１５ｋｇ／５ｃｍ幅、圧縮剛軟度が５０
ｇ、吸水性が１７．４ｃｍ／１０分であって、機械的特
性と寸法安定性に富み、吸水性を有するとともに、ソフ
トな肌触り感および柔軟性を有し、不織ウェブ間の剥離
強力が１．５ｋｇ／５ｃｍ幅で、耐剥離性が高く十分一
体化されたものであった。

【００５８】実施例からも明かなように、得られた積層
不織布は、行楽用シートとして好適に用いることができ
る。

【００５９】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、機械的特
性、寸法安定性、吸水性、ソフトな肌触り感および柔軟
性に富んだ行楽用シートを提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の行楽用シートの要部斜視図である。

【符号の説明】

１コットン短繊維不織ウェブ層２合成繊維不織ウェブ層３折り返し部４超音波ウェルダーによる処理部５超音波ウェルダーによる処理部

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】コットン短繊維不織ウェブ層Ａが合成繊
維不織ウェブ層Ｂに積層されてなる行楽用シートであ
り、前記コットン短繊維不織ウェブ層Ａは構成繊維同士
が三次元的に交絡され、前記合成繊維不織ウェブ層Ｂは
部分的に熱融着あるいは三次元的に交絡されてなること
を特徴とする行楽用シート。
【請求項２】コットン短繊維不織ウェブ層Ａと合成繊
維不織ウェブ層Ｂが積層されてなるシートの縁部が合成
繊維不織ウェブ層Ｂ側に折り返され、この折り返し部に
超音波ウェルダー処理が施され、縁かがりされてなるこ
とを特徴とする請求項１記載の行楽用シート。
【請求項３】コットン短繊維不織ウェブ層Ａと合成繊
維不織ウェブ層Ｂが積層されてなるシートに部分的に超
音波ウェルダー処理が施され、両ウェブ層Ａ，Ｂが一体
化されてなることを特徴とする請求項１記載の行楽用シ
ート。