JPH0768686A - 積層不織構造体 - Google Patents

積層不織構造体

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JPH0768686A
JPH0768686A JP5240547A JP24054793A JPH0768686A JP H0768686 A JPH0768686 A JP H0768686A JP 5240547 A JP5240547 A JP 5240547A JP 24054793 A JP24054793 A JP 24054793A JP H0768686 A JPH0768686 A JP H0768686A
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JP
Japan
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fibers
laminated
nonwoven fabric
woven
area
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JP5240547A
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English (en)
Inventor
So Yamaguchi
創 山口
Shigemitsu Murase
繁満 村瀬
Yoshimoto Miyahara
芳基 宮原
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Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 単繊維繊度が0.2デニール以下の熱可塑性
極細繊維からなる不織布層と天然繊維同士が機械的に交
絡してなる不織布層とが積層され,かつ前記極細繊維と
天然繊維とが融着されてなる点状融着区域とを有する積
層不織構造体であって,前記点状融着区域において前記
両不織布層の少なくとも境界面に位置する天然繊維が前
記極細繊維の融解部に埋設された状態で固定されること
により全体として一体化されてなることを特徴とする積
層不織構造体。 【効果】 剥離強力が高く,柔軟性が優れ,良好なバク
テリアバリア性と吸水性を有し,しかも耐水圧も高く,
医療・衛生材用,衣料用あるいは生活関連材用の素材と
して好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,熱可塑性極細繊維不織
布層と天然繊維不織布層とが積層されてなる積層不織構
造体であって,剥離強力が高く,柔軟性が優れ,良好な
バクテリアバリア性と吸水性を有し,しかも耐水圧も高
く,医療・衛生材用,衣料用あるいは生活関連材用の素
材として好適な積層不織構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から,熱可塑性繊維不織布層と天然
繊維不織布層とが積層されてなる積層不織構造体が知ら
れている。例えば,特公昭54−24506号公報に
は,熱可塑性繊維不織布からなる通気性熱溶着層と天然
繊維等からなる通気性非熱溶着層とが積層され,非熱溶
着層上に熱溶着性物質が点在的に配置され,かつ熱溶着
性物質と熱溶着層との溶融部が非熱溶着層の両面から浸
透して前記非熱溶着層を接着挟持した構造を有する積層
不織構造体が提案されている。しかしながら,この積層
不織構造体は,天然繊維が積層されているため吸水性は
優れるものの,上述したように通気性の向上を目的とす
ることからも明らかなようにバクテリアバリア性を有し
ないものである。しかも,この積層不織構造体は,これ
を製造するに際して通気性熱溶着層と通気性非熱溶着層
とを積層する工程と,非熱溶着層上に含浸用熱溶着性シ
ート層を重合し,超音波融着処理により熱溶着性物質と
熱溶着層との溶融部が非熱溶着層の両面から浸透して前
記非熱溶着層を接着挟持した構造を発現する工程と,前
記含浸用熱溶着性シートをその溶融部を残して剥離する
工程とを必要とするなど製造技術の観点からすれば煩雑
で,経済性にも劣るものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は,熱可塑性極
細繊維不織布層と天然繊維不織布層とが積層されてなる
積層不織構造体であって,剥離強力が高く,柔軟性が優
れ,吸水性を有し,しかも上述した従来の積層不織構造
体が有しない機能である良好なバクテリアバリア性と耐
水圧をも有し,医療・衛生材用,衣料用あるいは生活関
連材用の素材として好適な積層不織構造体を提供しよう
とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは,前記課題
を達成すべく鋭意検討の結果,本発明に到達した。すな
わち,本発明は,以下の構成をその要旨とするものであ
る。 1)単繊維繊度が0.2デニール以下の熱可塑性極細繊
維からなる不織布層と天然繊維同士が機械的に交絡して
なる不織布層とが積層され,かつ前記極細繊維と天然繊
維とが融着されてなる点状融着区域を有する積層不織構
造体であって,前記点状融着区域において前記両不織布
層の少なくとも境界面に位置する天然繊維が前記極細繊
維の融解部に埋設された状態で固定されることにより全
体として一体化されてなることを特徴とする積層不織構
造体。 2)不織構造体全表面積に対する全点状融着区域の面積
の比が2〜40%及び点状融着区域密度が7〜80点/
cm2 であることを特徴とする前記積層不織構造体。 3)通気度が50cc/cm2 /秒以下であることを特
徴とする前記積層不織構造体。
【0005】次に,本発明を詳細に説明する。まず,本
発明における熱可塑性極細繊維不織布層に関してである
が,この不織布層は,例えばポリオレフイン系重合体,
ポリエステル系重合体あるいはポリアミド系重合体等の
繊維形成性を有する熱可塑性合成重合体からなるもので
ある。ポリオレフイン系重合体としては,炭素原子数2
〜18の脂肪族α−モノオレフイン,例えばエチレン,
プロピレン,ブテン−1,ペンテン−1,3−メチルブ
テン−1,ヘキセン−1,オクテン−1,ドデセン−
1,オクタデセン−1からなるホモポリオレフイン重合
体が挙げられる。この脂肪族α−モノオレフインは,他
のエチレン系不飽和モノマ,例えばブタジエン,イソプ
レン,ペンタジエン−1・3,スチレン,α−メチルス
チレンのような類似のエチレン系不飽和モノマが共重合
されたポリオレフイン系共重合体であってもよい。ま
た,ポリエチレン系重合体の場合には,エチレンに対し
てプロピレン,ブテン−1,ヘキセン−1,オクテン−
1又は類似の高級α−オレフインが10重量%以下共重
合されたものであってもよく,ポリプロピレン系重合体
の場合には,プロピレンに対してエチレン又は類似の高
級α−オレフインが10重量%以下共重合されたもので
あってもよいが,前記これらの共重合物の共重合率が前
記重量%を超えると共重合体の融点が低下し,これら共
重合体の繊維からなる不織布を用いて得た積層不織構造
体を高温条件下で使用したとき,機械的特性や寸法安定
性が低下するので好ましくない。
【0006】ポリエステル系重合体としては,テレフタ
ル酸,イソフタル酸,ナフタリン−2・6−ジカルボン
酸等の芳香族ジカルボン酸あるいはアジピン酸,セバチ
ン酸等の脂肪族ジカルボン酸又はこれらのエステル類を
酸成分とし,かつエチレングリコール,ジエチレングリ
コール,1・4−ブタジオール,ネオペンチルグリコー
ル,シクロヘキサン−1・4−ジメタノール等のジオー
ル化合物をエステル成分とするホモポリエステル重合体
あるいは共重合体が挙げられる。なお,これらのポリエ
ステル系重合体には,パラオキシ安息香酸,5−ソジウ
ムスルホイソフタール酸,ポリアルキレングリコール,
ペンタエリスススリトール,ビスフエノールA等が添加
あるいは共重合されていてもよい。
【0007】ポリアミド系重合体としては,ポリイミノ
−1−オキソテトラメチレン(ナイロン4),ポリテト
ラメチレンアジパミド(ナイロン46),ポリカプラミ
ド(ナイロン6),ポリヘキサメチレンアジパミド(ナ
イロン66),ポリウンデカナミド(ナイロン11),
ポリラウロラクタミド(ナイロン12),ポリメタキシ
レンアジパミド,ポリパラキシリレンデカナミド,ポリ
ビスシクロヘキシルメタンデカナミド又はこれらのモノ
マを構成単位とするポリアミド系共重合体が挙げられ
る。特に,ポリテトラメチレンアジパミドの場合,ポリ
テトラメチレンアジパミドにポリカプラミドやポリヘキ
サメチレンアジパミド,ポリウンデカメチレンテレフタ
ラミド等の他のポリアミド成分が30モル%以下共重合
されたポリテトラメチレンアジパミド系共重合体であっ
てもよい。前記他のポリアミド成分の共重合率が30モ
ル%を超えると共重合体の融点が低下し,これら共重合
体の繊維からなる不織布を用いて得た積層不織構造体を
高温条件下で使用したとき,機械的特性や寸法安定性が
低下するので好ましくない。なお,本発明において,前
記繊維形成性を有する熱可塑性重合体には,必要に応じ
て,例えば艶消し剤,顔料,消臭剤,光安定剤,熱安定
剤,酸化防止剤等の各種添加剤を本発明の効果を損なわ
ない範囲内で添加することができる。
【0008】本発明における熱可塑性極細繊維不織布層
は,前記重合体からなり,かつ単繊維繊度が0.2デニ
ール以下の繊維から構成されるメルトブローン不織布あ
るいはスパンボンド不織布である。この極細繊維は,前
記重合体単独からなるものの他に前記重合体の中から選
択された2種以上の相異なる重合体が各々溶融紡糸性を
損なわない範囲内でブレンドされたブレンド物からなる
ものであってもよく,例えばポリエステル系重合体とポ
リオレフイン系重合体とがブレンドされたものや,2種
の相異なるポリアミド系重合体がブレンドされたものが
挙げられる。また,この極細繊維の形態は,前記重合体
の中から選択された2種の相異なる重合体が芯鞘型ある
いは並列型に配されたものであってもよい。
【0009】メルトブローン不織布は,前述した重合体
を重合体を単独で,あるいは前記重合体の中から選択さ
れた2種以上の相異なる重合体がブレンドされたブレン
ド物を,あるいは前記重合体の中から選択された2種の
相異なる重合体を芯鞘型あるいは並列型に配するように
していわゆるメルトブローン法で溶融紡出し,すなわち
紡糸口金に配設された孔径0.1〜1.0mm程度の紡
糸孔から吐出し,吐出された溶融重合体流を溶融温度よ
り20〜50℃高い温度で幅0.1〜0.5mm程度の
スリツト状ノズルから噴出される高圧気体流により牽引
・細化し,冷却した後,移動する捕集面上に捕集・堆積
させることによって,容易に単繊維繊度が0.2デニー
ル以下の繊維から構成される不織ウエブを得ることがで
きる。メルトブローン法で溶融紡出するに際し,紡糸温
度は用いる重合体の溶融特性に応じて適宜選択するが,
通常は290〜350℃とするのが好ましく,紡糸温度
が290℃未満であると溶融重合体を紡糸孔から吐出す
ることが困難となって吐出溶融重合体流が途切れ易くな
り,一方,紡糸温度が350℃を超えると重合体が熱分
解を生じ,いずれも好ましくない。また,吐出された溶
融重合体流を牽引・細化する高圧気体流は,その温度を
重合体流の溶融温度より20〜50℃高い温度とし,こ
の温度が重合体流の溶融温度より+20℃未満であると
製糸性が低下して極細繊維の形成が困難となり,一方,
この温度が重合体流の溶融温度より+50℃を超えると
重合体の熱分解により紡糸口金の吐出孔が経時的に汚れ
て操業性が低下し,いずれも好ましくない。さらに,高
圧気体流の流速は,通常は80〜300m/秒程度と
し,その噴出方向は,紡糸線方向に対して5〜45度の
角度をなす方向とするのが好ましい。
【0010】スパンボンド不織布は,前述した重合体を
単独で,あるいは前記重合体の中から選択された2種以
上の相異なる重合体がブレンドされたブレンド物を,あ
るいは前記重合体の中から選択された2種の相異なる重
合体を芯鞘型あるいは並列型に配するようにしていわゆ
るスパンボンド法で溶融紡出し,すなわち紡糸口金から
溶融紡出・冷却し,エアーサツカ等の引き取り手段を用
い引取り速度を3000〜6000m/分として牽引・
細化した後,開繊器を用いて開繊し,移動する捕集面上
に捕集・堆積させることによって,単繊維繊度が0.2
デニール以下の繊維から構成される不織ウエブを得るこ
とができる。この場合,前述した重合体から選択された
非相溶性の2種以上の重合体を用いて複合紡出し,前述
したと同様にして不織ウエブを作成し,得られた不織ウ
エブに機械的割繊処理を施して各重合体単独からなる割
繊繊維とする方法を採用すると,より容易に前記単繊維
繊度の不織ウエブを得ることができる。なお,この非相
溶性の2種以上の重合体としては,ほぼ同等の融点を有
するものであってもよいが,相互に融点を少なくとも2
0℃異にする重合体を選択することもできる。スパンボ
ンド法で溶融紡出するに際しては,その引取り速度を3
000〜6000m/分とするのがよい。引取り速度が
3000m/分未満であると紡出繊維の分子配向度が十
分に増大しないため得られるウエブの機械的特性や寸法
安定性が向上せず,一方,引取り速度が6000m/分
を超えると溶融紡糸時の製糸性が低下し,いずれも好ま
しくない。
【0011】本発明における熱可塑性極細繊維不織布層
は,前述したように単繊維繊度が0.2デニール以下の
繊維から構成されるものである。単繊維繊度が0.2デ
ニールを超えると,得られる不織布の風合いが硬くなっ
て柔軟性に富む積層不織構造体を得ることができず,し
かも不織布表面のポアサイズが大きくなって十分なバク
テリアバリア性が発現せず,好ましくない。
【0012】本発明における熱可塑性極細繊維不織布層
は,その目付けが10〜120g/m2 のものであるの
が好ましい。目付けが10g/m2 未満であると,繊維
同士の緻密な重なりの程度が低く,この不織布に天然繊
維不織布を積層・一体化して得られる積層不織構造体の
地合いが低下するため,好ましくない。一方,目付けが
120g/m2 を超えると,バクテリアバリア性は向上
するものの厚みが大きくなり過ぎるため,得られる積層
不織構造体を例えば柔軟性が要求されるような分野に適
用することが困難となり,しかもこの不織布に天然繊維
不織布を積層した後,超音波融着装置を用い融着処理を
施して一体化するに際し,加工速度を遅くしたりあるい
は多大の超音波エネルギを供給するなどの必要が生じ,
好ましくない。したがって,本発明では,この極細繊維
不織布層の目付けを10〜120g/m2 ,好ましくは
20〜100g/m2 とする。
【0013】次に,本発明における天然繊維同士が機械
的に交絡してなる不織布層に関してであるが,この不織
布層を構成する天然繊維とは,木綿繊維や麻繊維等のセ
ルロース系繊維の他に,ラミー等の動物繊維,絹短繊
維,天然パルプ,レーヨンに代表される各種再生短繊維
をも包含するものである。本発明では,この不織布層の
出発原料として,晒し加工の施されていないコーマ糸,
晒し加工された晒し綿,あるいは織物・編物から得られ
る各種反毛を用いることもできる。出発原料として反毛
を用いる場合,効果的に用い得る反毛機としては,ラツ
グマシン,ノツトブレーカ,ガーネツトマシン,廻切機
が挙げられる。用いる反毛機の種類と組み合わせは,反
毛される織物・編物等の布帛形状や構成する糸の太さあ
るいは撚りの強さにもよるが,同一の反毛機を複数台直
列に連結したり,2種以上の反毛機を組み合わせて使用
したりするとより効果的である。この反毛機による解繊
率(%)は30〜95%の範囲であるのが好ましい。こ
の解繊率が30%未満であると,カードウエブ中に未解
繊繊維が存在するため不織布表面にザラツキが生じるの
みでなく,例えば高圧液体柱状流処理により天然繊維同
士を三次元的機械的交絡を施すに際して未解繊繊維部分
を高圧液体柱状流が十分貫通せず,一方,解繊率が95
%を超えると,前記熱可塑性極細繊維不織布と積層・一
体化して得られる積層不織構造体において,十分な表面
摩擦強度が得られず,いずれも好ましくない。なお,こ
こでいう解繊率(%)とは,下記式(1)により求めら
れるものである。 解繊率(%)=(被反毛重量−糸状物重量)×100/被反毛重量・・(1)
【0014】本発明における天然繊維不織布層は,前記
天然繊維からなり,かつ繊維同士が機械的に交絡してな
るものである。すなわち,天然繊維同士が,高圧液体柱
状流処理あるいはニードルパンチング処理により機械的
に交絡したものであり,特に前者の場合,繊維同士が三
次元的に交絡して不織布の嵩高性が向上すると共に柔軟
性も向上するため,例えば前記熱可塑性極細繊維不織布
と積層・一体化して得られる積層不織構造体を衛生材用
あるいは生活関連材用の素材として用いる上で好まし
い。この不織布層は,前記天然繊維素材の中から選択さ
れた単一素材あるいは複数種の素材が混合されてなるも
のを出発原料とし,カード機を用いて所定目付けのカー
ドウエブを作成し,次いで得られたウエブに高圧液体柱
状流処理あるいはニードルパンチング処理により繊維間
に機械的交絡を施すことにより容易に得ることができ
る。このカードウエブは,構成繊維の配列度合によって
種々選択することができ,例えばカード機の進行方向に
配列したパラレルウエブ,パラレルウエブがクロスレイ
ドされたウエブ,ランダムに配列したランダムウエブあ
るいは両者の中程度に配列したセミランダムウエブ等が
挙げられる。また,衣料用素材としての展開を図りたい
場合には,不織布強力の縦/横比が概ね1/1となるカ
ードウエブを使用するのが好ましい。
【0015】高圧液体柱状流処理の場合,例えば孔径が
0.05〜1.5mm特に0.1〜0.4mmの噴射孔
を孔間隔を0.05〜5mmで1列あるいは複数列に多
数配列した装置を用い,噴射圧力が5〜150kg/c
2 Gの高圧液体を前記噴射孔から噴射し,多孔性支持
部材上に載置したカードウエブに衝突させることにより
繊維間に三次元的交絡を付与する方法を採用する。噴射
孔の配列は,このカードウエブの進行方向と直交する方
向に列状に配列する。高圧液体としては,常温の水ある
いは温水を用いることができる。噴射孔とウエブとの間
の距離は,1〜15cmとするのがよい。この距離が1
cm未満であるとこの処理により得られる複合不織布の
地合いが乱れ,一方,この距離が15cmを超えると液
体流が積層物に衝突したときの衝撃力が低下して三次元
的な交絡が十分に施されず,いずれも好ましくない。こ
の高圧液体柱状流による処理は,少なくとも2段階に別
けて施とよい。すなわち,第1段階の処理として圧力が
5〜40kg/cm2 Gの高圧液体流を噴出し前記ウエ
ブに衝突させ,ウエブの構成繊維同士を予備的に交絡さ
せる。この第1段階の処理において,液体流の圧力が5
kg/cm2 G未満であるとウエブの構成繊維同士を予
備的に交絡させることができず,一方,液体流の圧力が
40kg/cm2 Gを超えるとウエブに高圧液体流を噴
出し衝突させたときウエブの構成繊維が液体流の作用に
よって乱れ,ウエブに地合いの乱れや目付け斑が生じる
ため,いずれも好ましくない。引き続き,第2段階の処
理として圧力が50〜150kg/cm2 Gの高圧液体
流を噴出し前記ウエブに衝突させ,ウエブの構成繊維同
士を三次元的に交絡させて全体として緻密に一体化させ
る。この第2段階の処理において,液体流の圧力が50
kg/cm2 G未満であると,上述したような繊維間の
三次元的交絡を十分に形成することができず,一方,液
体流の圧力が150kg/cm2 Gを超えると,得られ
る不織布の嵩高性と柔軟性が向上せず,いずれも好まし
くない。なお,ウエブの目付けによっては,第2段階の
処理に引き続き第3段階の処理として,第2段階の処理
側と逆の側から第2段階の処理と同様の条件にて再度処
理を施すことにより,表裏共に緻密に繊維同士が交絡し
た不織布を得ることができる。高圧液体柱状流処理を施
すに際して用いる前記ウエブを担持する多孔性支持部材
としては,例えば20〜100メツシユの金網製あるい
は合成樹脂製等のメツシユスクリーンや有孔板など,高
圧液体流がウエブを貫通し得るものであれば特に限定さ
れない。また,多孔性支持部材のメツシユ構成は20本
/25mm〜200本/25mmの範囲であるのが好ま
しく,20本/25mm未満であると,高圧液体柱状流
がウエブに衝突した際に繊維が柱状流と共にメツシユス
クリーンを通過して繊維の脱落が発生し,一方,200
本/25mmを超えると,高圧液体柱状流がウエブとメ
ツシユスクリーンとを通過するに要するエネルギー量が
多大になって生産コストが上昇し,いずれも好ましくな
い。高圧液体流処理を施した後,処理後の前記ウエブか
ら過剰水分を除去する。この過剰水分を除去するに際し
ては,公知の方法を採用することができる。例えばマン
グルロール等の絞り装置を用いて過剰水分をある程度機
械的に除去し,引き続きサクシヨンバンド方式の熱風循
環式乾燥機等の乾燥装置を用いて残余の水分を除去して
不織布を得ることができる。
【0016】本発明における天然繊維不織布層は,その
目付けが30〜200g/m2 のものであるのが好まし
い。目付けが30g/m2 未満であると,天然繊維の単
位面積当たりの存在量が小さ過ぎて本発明が目的とする
吸水性が十分に具備されず,一方,目付けが200g/
2 を超えると,前記熱可塑性極細繊維不織布との積層
後に超音波融着装置を用いて点状融着区域を形成するこ
とにより一体化して得られる積層不織構造体においてそ
の剥離強力が十分に向上せず,いずれも好ましくない。
したがって,本発明では,この天然繊維不織布の目付け
を30〜200g/m2 とし,好ましくは50〜150
g/m2 とする。
【0017】次に,本発明の積層不織構造体に関して説
明する。本発明の積層不織構造体は,前記熱可塑性極細
繊維不織布層と天然繊維不織布層とが積層され,前記極
細繊維と天然繊維とが融着されてなる点状融着区域を有
し,かつ前記点状融着区域において前記両不織布層の少
なくとも境界面に位置する天然繊維が前記極細繊維の融
解部に埋設された状態で固定されることにより全体とし
て一体化されてなるものである。この点状融着区域と
は,周波数が19.15KHzの通常ホーンと呼称され
る超音波発振器と,円周上に点状又は帯状に凸状突起部
を具備するパターンロールとからなる超音波融着装置を
用いて形成され,前記凸状突起部に該当する部分に当接
する繊維同士を融着させたものである。さらに詳しく
は,この点状融着区域は,不織構造体全表面積に対して
特定の領域と特定の配置とを有し,個々の点状融着区域
は必ずしも円形の形状である必要はないが,不織構造体
全表面積に対する全点状融着区域の面積の比が2〜40
%,好ましくは4〜25%,同区域密度が7〜80点/
cm2 ,好ましくは8〜50点/cm2 であるものがよ
い。不織構造体全表面積に対する全点状融着区域の面積
の比が2%未満であると,前記熱可塑性極細繊維不織布
と天然繊維不織布との積層後に超音波融着装置を用いて
点状融着区域を形成することにより一体化して得られる
積層不織構造体においてその剥離強力が十分に向上せ
ず,一方,前記面積の比が40%を超えると,得られる
積層不織構造体の柔軟性と嵩高性が低下するため,いず
れも好ましくない。また,同区域密度が7点/cm2
満であると,得られる積層不織構造体の接着力すなわち
剥離強力に斑が生じるのみならずバクテリアバリア性が
低下し,一方,同区域密度が80点/cm2 を超える
と,得られる積層不織構造体の柔軟性と嵩高性が低下
し,いずれも好ましくない。
【0018】本発明において用い得る超音波融着装置と
は,公知の装置すなわち周波数が19.15KHzの通
常ホーンと呼称される超音波発振器と,円周上に点状又
は帯状に凸状突起部を具備するパターンロールとからな
る装置である。前記超音波発振器の下部に前記パターン
ロールが配設され,被処理物は超音波発振器とパターン
ロールとの間に通される。このパターンロールに配設さ
れる凸状突起部は1列あるいは複数列であってもよく,
また,その配設が複数列の場合には,並列あるいは千鳥
型のいずれの配列でもよい。融着処理に際しては,ホー
ンに空気圧を印加して加圧する。ホーンとパターンロー
ル間の線圧は,通常1〜10kg/cmとし,線圧が1
kg/cm未満であると,前記熱可塑性極細繊維不織布
層と天然繊維不織布層との積層物に対する押し圧が不足
して融着が生じなく,一方,線圧が10kg/cmを超
えると,点状融着区域に対する押し圧が高過ぎて融着区
域に相当する前記熱可塑性極細繊維不織布層が熱分解し
たり,あるいは極端な場合には穿孔が生じたりして得ら
れる積層不織構造体の接着力が低下し,いずれも好まし
くない。本発明の積層不織構造体は,前記熱可塑性極細
繊維不織布と天然繊維不織布との積層物に前述した超音
波融着装置を用いて融着処理を施すことにより,点状融
着区域において,前記両不織布層の少なくとも境界面に
位置する天然繊維が前記極細繊維の融解部に埋設された
状態で固定され全体として一体化されたものである。図
1は,本発明の積層不織構造体における前記点状融着区
域の断面を示す模式図である。図において,1は点状融
着区域において融解した熱可塑性極細繊維層,2は天然
繊維で,同図から明らかなように点状融着区域において
両不織布層の少なくとも境界面に位置する天然繊維2
は,熱可塑性極細繊維が融解した融解部すなわち1に埋
設された状態で固定されており,両不織布層が点状融着
区域において,このような接着構造を有するため,剥離
強力の高い積層不織構造体となる。
【0019】本発明の積層不織構造体は,通気度が50
cc/cm2 /秒以下のものであることが,例えば医療
・衛生材用の素材等のバクテリアバリア性が要求される
分野では好ましい。この積層不織構造体は,前述したよ
うに天然繊維不織布層に対して単繊維繊度が0.2デニ
ール以下の熱可塑性極細繊維からなる不織布層が積層さ
れているため不織布のポアサイズが小さく,したがって
バクテリアバリア性が向上するのである。
【0020】
【作用】本発明の積層不織構造体は,片面が単繊維繊度
が0.2デニール以下の熱可塑性極細繊維からなる不織
布層から構成されるため通気度が50cc/cm2 /秒
以下と低く,良好なバクテリアバリア性を有し,他面が
天然繊維同士が機械的に交絡してなる不織布層から構成
されるため吸水性を有する。また,天然繊維同士が三次
元的に交絡してなる場合,前記極細繊維と相乗して優れ
た柔軟性が具備される。さらに,前記極細繊維と天然繊
維とが融着されてなる点状融着区域において,前記両不
織布層の少なくとも境界面に位置する天然繊維が前記極
細繊維の融解部に埋設された状態で固定された接着構造
を有するため,剥離強力の高い積層不織構造体となる。
【0021】
【実施例】次に,実施例に基づき本発明を具体的に説明
するが,本発明は,これらの実施例によって何ら限定さ
れるものではない。実施例において,各特性値の測定を
次の方法により実施した。 メルトフローレート値(g/10分):ASTM−D−
1238(L)に記載の方法に準じて測定した。 相対粘度:フエノールと四塩化エタンの等重量混合溶液
を溶媒とし,試料濃度0.5g/100cc,温度20
℃の条件で測定した。 融点(℃):パーキンエルマ社製示差走査型熱量計DS
C−2型を用い,試料重量を5mg,昇温速度を20℃
/分として測定して得た融解吸熱曲線の最大極値を与え
る温度を融点(℃)とした。 目付け(g/m2 ):標準状態の試料から縦10cm×
横10cmの試料片計10点を作成し平衡水分に到らし
めた後,各試料片の重量(g)を秤量し,得られた値の
平均値を単位面積(m2 )当たりに換算し目付け(g/
2 )とした。 引張り強力(kg/5cm幅)及び引張り伸度(%):
JIS−L−1096Aに記載の方法に準じて測定し
た。すなわち,試料長が10cm,試料幅が5cmの試
料片計10点を作成し,各試料片毎に不織布の経及び緯
方向について,定速伸長型引張り試験機(東洋ボールド
ウイン社製テンシロンUTM−4−1−100)を用い
て引張り速度10cm/分で伸長し,得られた切断時荷
重値(kg/5cm幅)の平均値を引張り強力(kg/
5cm幅),切断時伸長率(%)の平均値を引張り伸度
(%)とした。 引裂き強力(kg):JIS−K−7311に記載のエ
ルメンドルフ型に準じて,不織布の経及び緯方向につい
て測定した。 層間剥離強力(g/5cm幅):試料長が10cm,試
料幅が5cmの試料片計10点を作成し,各試料片毎に
不織布の経方向について,定速伸長型引張り試験機(東
洋ボールドウイン社製テンシロンUTM−4−1−10
0)を用いて引張速度10cm/分で天然繊維不織布層
が極細繊維不織布層から積層構造体の端部から計って5
cmの位置まで強制的に剥離させ,得られた荷重値(g
/5cm幅)の平均値を層間剥離強力(g/5cm幅)
とした。 剛軟度(g):試料長が10cm,試料幅が5cmの試
料片計5点を作成し,各試料片毎に横方向に曲げて円筒
状物とし,各々その端部を接合したものを剛軟度測定試
料とした。次いで,各測定試料毎にその軸方向につい
て,定速伸長型引張り試験機(東洋ボールドウイン社製
テンシロンUTM−4−1−100)を用いて圧縮速度
5cm/分で圧縮し,得られた最大荷重値(g)の平均
値を剛軟度(g)とした。 通気度(cc/cm2 /秒):JIS−L−1096に
記載のフラジール法に準じて測定した。 耐水圧(mm水柱):JIS−L−1092Bに記載の
高水圧法に準じて測定した。 吸水性(mm):JIS−L−1096に記載のバイレ
ツク法に準じて測定した。
【0022】実施例1 まず,融点が155℃,メルトフローレート値が600
g/10分のポリプロピレンチツプを用い,ポリプロピ
レン極細繊維からなるメルトブローン不織布を作成し
た。すなわち,前記重合体チツプをエクストルーダ型溶
融押出し機を用いて溶融し,これを孔径0.15mmの
紡糸孔を200孔有する紡糸口金を通して紡糸温度を2
80℃かつ吐出量を30g/分として溶融吐出し,吐出
された溶融重合体流を溶融温度より30℃高い温度の高
圧空気流を速度170m/秒で紡糸線方向に対して25
度の角度をなす方向に噴出して牽引・細化し,冷却した
後,紡糸口金の下方10cmの位置に配設されたサクシ
ヨンドラム上に捕集・堆積させ,平均単繊維繊度が0.
1デニールで,目付けが20g/m2 のポリプロピレン
極細繊維メルトブローン不織布を得た。別途,平均単繊
維繊度が1.5デニールで,かつ平均繊維長が25mm
の木綿晒し綿を用い,木綿繊維同士が三次元的に交絡し
てなる不織布を作成した。すなわち,前記晒し綿を出発
原料とし,ランダムカード機により繊維配列がランダム
で目付けが45g/m2 のランダムカードウエブを作成
し,次いで得られたウエブを移動速度20m/分で移動
する70メツシユの金網上に載置して高圧液体流処理を
施した。高圧液体流処理は,孔径0.1mmの噴射孔が
孔間隔0.6mmで一列に配設された高圧柱状水流処理
装置を用い,ウエブの上方50mmの位置から2段階に
別けて柱状水流を作用させた。第1段階の処理では圧力
を30kg/cm2 Gとし,第2段階の処理では圧力を
70kg/cm2 Gとした。なお,第2段階の処理は,
ウエブの表裏から各々2回施した。次いで,得られた処
理物からマングルロールを用いて過剰水分を除去した
後,処理物に熱風乾燥機を用い温度10℃の条件で乾燥
処理を施し,木綿繊維同士が緻密に三次元的交絡をした
目付けが45g/m2 の不織布を得た。次いで,前記で
得られたポリプロピレン極細繊維メルトブローン不織布
と木綿繊維不織布とを積層し,周波数が19.15KH
zの超音波発振器と円周上に点状に凸状突起部が面積比
(ロール全表面積に対する全凸状突起部の面積の比)1
1%かつ密度18点/cm2 で配設されたパターンロー
ルとからなる超音波融着装置を用い,加工速度を30m
/分,線圧を2.5kg/cmとして超音波融着処理を
施して積層不織構造体を得た。得られた積層不織構造体
の特性を表1に示す。
【0023】実施例2 相対粘度が1.36のポリエチレンテレフタレートチツ
プを用い,紡糸温度を350℃とした以外は実施例1と
同様にして,ポリエチレンテレフタレート極細繊維から
なるメルトブローン不織布を得た。次いで,実施例1と
同様にして,積層不織構造体を得た。得られた積層不織
構造体の特性を表1に示す。
【0024】実施例3〜6 超音波融着装置におけるパターンロールの凸状突起部面
積比を5%(実施例3),16%(実施例4),20%
(実施例5)及び33%(実施例6)とした以外は実施
例1と同様にして,積層不織構造体を得た。得られた積
層不織構造体の特性を表2に示す。
【0025】実施例7〜9 超音波融着装置におけるパターンロールの凸状突起部配
設密度を9点/cm2(実施例7),36点/cm
2 (実施例8)及び72点/cm2 (実施例9)とした
以外は実施例1と同様にして,積層不織構造体を得た。
得られた積層不織構造体の特性を表2に示す。
【0026】比較例1 融点が156℃,メルトフローレート値が56g/10
分のポリプロピレンチツプを用い,ポリプロピレン長繊
維からなるスパンボンド不織布を作成した。すなわち,
前記重合体チツプをエクストルーダ型溶融押出し機を用
いて溶融し,これを紡糸口金を通して紡糸温度を250
℃として溶融紡出・冷却し,エアーサツカを用い引取り
速度を4000m/分として牽引・細化した後,開繊器
を用いて開繊し,移動する捕集面上に捕集・堆積させて
ウエブとし,得られたウエブに先端部面積が0.6mm
2 の突起状彫刻模様部が圧接面積率12%かつ密度18
点/cm2 で配設された熱エンボスローラと表面平滑な
金属ローラとを用い,処理温度を125℃,かつ線圧を
50kg/cmとして加工速度10m/分で部分熱圧着
処理を施し,単繊維繊度が3.0デニールで,目付けが
20g/m2 のポリプロピレン長繊維スパンボンド不織
布を得た。次いで,実施例1で作成したポリプロピレン
極細繊維メルトブローン不織布と前記で得られたポリプ
ロピレン長繊維スパンボンド不織布とを積層し,以降は
実施例1と同様にして超音波融着処理を施して積層不織
構造体を得た。得られた積層不織構造体の特性を表1に
示す。
【0027】比較例2 比較例1で作成したポリプロピレン長繊維スパンボンド
不織布と実施例1で作成した木綿繊維不織布とを積層
し,以降は実施例1と同様にして超音波融着処理を施し
て積層不織構造体を得た。得られた積層不織構造体の特
性を表1に示す。
【0028】比較例3 超音波融着処理に代わり圧接面積率が12%の熱エンボ
スローラと表面平滑な金属ローラとを用い,処理温度を
140℃,かつ線圧を100kg/cmとして加工速度
10m/分で部分熱圧着処理を施した以外は実施例1と
同様にして,積層不織構造体を得た。得られた積層不織
構造体の特性を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】実施例1,4,5,8及び9で得られた積
層不織構造体は,表1及び2から明らかなように剥離強
力が高く,柔軟性が優れ,良好なバクテリアバリア性と
吸水性を有するものであった。実施例2で得られた積層
不織構造体は,実施例1のポリプロピレン極細繊維メル
トブローン不織布に代わりポリエチレンテレフタレート
極細繊維メルトブローン不織布を用いたものであり,実
施例1に比べると若干剥離強力が低いものの柔軟性が優
れ,良好なバクテリアバリア性と吸水性を有するもので
あった。実施例3で得られた積層不織構造体は,超音波
融着装置におけるパターンロールの凸状突起部面積比が
5%で,不織構造体全表面積に対する全点状融着区域の
面積の比が低目であるため,剥離強力が実施例1に比べ
ると若干低いものであり,実施例6で得られた積層不織
構造体は,同面積比が33%で,不織構造体全表面積に
対する全点状融着区域の面積の比が高目であるため,剥
離強力は優れるものの柔軟性が実施例1に比べるとやや
劣るものであった。また,実施例7で得られた積層不織
構造体は,凸状突起部配設密度が9点/cm2 で,不織
構造体における点状融着区域の密度が低目であるため,
剥離強力に斑を有するものであった。これに対し,比較
例1で得られた積層不織構造体は,天然繊維を含有して
いないため,表1から明らかなように吸水性の低いもの
であった。比較例2で得られた積層不織構造体は,単繊
維繊度の高いポリプロピレン長繊維スパンボンド不織布
が積層されているため,通気度が高く,耐水圧が低く,
バクテリアバリア性を有しないものであった。比較例3
で得られた積層不織構造体は,熱エンボスローラを用い
た部分熱圧着処理が施されたものであるため,剥離強力
が極めて低いものであった。
【0032】
【発明の効果】本発明の積層不織構造体は,前記特定の
熱可塑性極細繊維不織布層と天然繊維同士が機械的に交
絡してなる不織布層とが積層され,前記極細繊維と天然
繊維とが融着されてなる点状融着区域とを有し,前記点
状融着区域において前記両不織布層の少なくとも境界面
に位置する天然繊維が前記極細繊維の融解部に埋設され
た状態で固定されることにより全体として一体化されて
なるものであって,剥離強力が高く,柔軟性が優れ,良
好なバクテリアバリア性と吸水性を有し,しかも耐水圧
も高く,医療・衛生材用,衣料用あるいは生活関連材用
の素材として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層不織構造体における点状融着区域
の断面を示す模式図である。
【符号の説明】
1:融解した熱可塑性極細繊維層 2:天然繊維
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年6月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【提出日】平成6年6月17日
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】次に,本発明の積層不織構造体に関して説
明する。本発明の積層不織構造体は,前記熱可塑性極細
繊維不織布層と天然繊維不織布層とが積層され,前記極
細繊維と天然繊維とが融着されてなる点状融着区域を有
し,かつ前記点状融着区域において前記両不織布層の少
なくとも境界面に位置する天然繊維が前記極細繊維の融
解部に埋設された状態で固定されることにより全体とし
て一体化されてなるものである。この点状融着区域と
は,周波数が約20KHz程度の通常ホーンと呼称され
る超音波発振器と,円周上に点状又は帯状に凸状突起部
を具備するパターンロールとからなる超音波融着装置を
用いて形成され,前記凸状突起部に該当する部分に当接
する繊維同士を融着させたものである。さらに詳しく
は,この点状融着区域は,不織構造体全表面積に対して
特定の領域と特定の配置とを有し,個々の点状融着区域
は必ずしも円形の形状である必要はないが,不織構造体
全表面積に対する全点状融着区域の面積の比が2〜40
%,好ましくは4〜25%,同区域密度が7〜80点/
cm2 ,好ましくは8〜50点/cm2 であるものがよ
い。不織構造体全表面積に対する全点状融着区域の面積
の比が2%未満であると,前記熱可塑性極細繊維不織布
と天然繊維不織布との積層後に超音波融着装置を用いて
点状融着区域を形成することにより一体化して得られる
積層不織構造体においてその剥離強力が十分に向上せ
ず,一方,前記面積の比が40%を超えると,得られる
積層不織構造体の柔軟性と嵩高性が低下するため,いず
れも好ましくない。また,同区域密度が7点/cm2
満であると,得られる積層不織構造体の接着力すなわち
剥離強力に斑が生じるのみならずバクテリアバリア性が
低下し,一方,同区域密度が80点/cm2 を超える
と,得られる積層不織構造体の柔軟性と嵩高性が低下
し,いずれも好ましくない。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正内容】
【0018】本発明において用い得る超音波融着装置と
は,公知の装置すなわち周波数が約20KHz程度の通
常ホーンと呼称される超音波発振器と,円周上に点状又
は帯状に凸状突起部を具備するパターンロールとからな
る装置である。前記超音波発振器の下部に前記パターン
ロールが配設され,被処理物は超音波発振器とパターン
ロールとの間に通される。このパターンロールに配設さ
れる凸状突起部は1列あるいは複数列であってもよく,
また,その配設が複数列の場合には,並列あるいは千鳥
型のいずれの配列でもよい。融着処理に際しては,ホー
ンに空気圧を印加して加圧する。ホーンとパターンロー
ル間の線圧は,通常1〜10kg/cmとし,線圧が1
kg/cm未満であると,前記熱可塑性極細繊維不織布
層と天然繊維不織布層との積層物に対する押し圧が不足
して融着が生じなく,一方,線圧が10kg/cmを超
えると,点状融着区域に対する押し圧が高過ぎて融着区
域に相当する前記熱可塑性極細繊維不織布層が熱分解し
たり,あるいは極端な場合には穿孔が生じたりして得ら
れる積層不織構造体の接着力が低下し,いずれも好まし
くない。本発明の積層不織構造体は,前記熱可塑性極細
繊維不織布と天然繊維不織布との積層物に前述した超音
波融着装置を用いて融着処理を施すことにより,点状融
着区域において,前記両不織布層の少なくとも境界面に
位置する天然繊維が前記極細繊維の融解部に埋設された
状態で固定され全体として一体化されたものである。図
1は,本発明の積層不織構造体における前記点状融着区
域の断面を示す模式図である。図において,1は点状融
着区域において融解した熱可塑性極細繊維層,2は天然
繊維で,同図から明らかなように点状融着区域において
両不織布層の少なくとも境界面に位置する天然繊維2
は,熱可塑性極細繊維が融解した融解部すなわち1に埋
設された状態で固定されており,両不織布層が点状融着
区域において,このような接着構造を有するため,剥離
強力の高い積層不織構造体となる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】
【実施例】次に,実施例に基づき本発明を具体的に説明
するが,本発明は,これらの実施例によって何ら限定さ
れるものではない。実施例において,各特性値の測定を
次の方法により実施した。 メルトフローレート値(g/10分):ASTM−D−
1238(L)に記載の方法に準じて測定した。 相対粘度:フエノールと四塩化エタンの等重量混合溶液
を溶媒とし,試料濃度0.5g/100cc,温度20
℃の条件で測定した。 融点(℃):パーキンエルマ社製示差走査型熱量計DS
C−2型を用い,試料重量を5mg,昇温速度を20℃
/分として測定して得た融解吸熱曲線の最大極値を与え
る温度を融点(℃)とした。 目付け(g/m2 ):標準状態の試料から縦10cm×
横10cmの試料片計10点を作成し平衡水分に到らし
めた後,各試料片の重量(g)を秤量し,得られた値の
平均値を単位面積(m2 )当たりに換算し目付け(g/
2 )とした。 引張り強力(kg/5cm幅)及び引張り伸度(%):
JIS−L−1096Aに記載の方法に準じて測定し
た。すなわち,試料長が10cm,試料幅が5cmの試
料片計10点を作成し,各試料片毎に不織布の経及び緯
方向について,定速伸長型引張り試験機(東洋ボールド
ウイン社製テンシロンUTM−4−1−100)を用い
て引張り速度10cm/分で伸長し,得られた切断時荷
重値(kg/5cm幅)の平均値を引張り強力(kg/
5cm幅),切断時伸長率(%)の平均値を引張り伸度
(%)とした。 引裂き強力(kg):JIS−K−7311に記載のエ
ルメンドルフ型に準じて,不織布の経及び緯方向につい
て測定した。 層間剥離強力(g/5cm幅):試料長が10cm,試
料幅が5cmの試料片計10点を作成し,各試料片毎に
不織布の経方向について,定速伸長型引張り試験機(東
洋ボールドウイン社製テンシロンUTM−4−1−10
0)を用いて引張速度10cm/分で天然繊維不織布層
が極細繊維不織布層から積層構造体の端部から計って5
cmの位置まで強制的に剥離させ,得られた荷重値(g
/5cm幅)の平均値を層間剥離強力(g/5cm幅)
とした。 剛軟度(g):試料長が10cm,試料幅が5cmの試
料片計5点を作成し,各試料片毎に横方向に曲げて円筒
状物とし,各々その端部を接合したものを剛軟度測定試
料とした。次いで,各測定試料毎にその軸方向につい
て,定速伸長型引張り試験機(東洋ボールドウイン社製
テンシロンUTM−4−1−100)を用いて圧縮速度
5cm/分で圧縮し,得られた最大荷重値(g)の平均
値を剛軟度(g)とした。 通気度(cc/cm2 /秒):JIS−L−1096に
記載のフラジール法に準じて測定した。 耐水圧(mm水柱):JIS−L−1092に記載の
水圧法に準じて測定した。 吸水性(mm):JIS−L−1096に記載のバイレ
ツク法に準じて測定した。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正内容】
【0022】実施例1 まず,融点が155℃,メルトフローレート値が600
g/10分のポリプロピレンチツプを用い,ポリプロピ
レン極細繊維からなるメルトブローン不織布を作成し
た。すなわち,前記重合体チツプをエクストルーダ型溶
融押出し機を用いて溶融し,これを孔径0.15mmの
紡糸孔を200孔有する紡糸口金を通して紡糸温度を2
80℃かつ吐出量を30g/分として溶融吐出し,吐出
された溶融重合体流を溶融温度より30℃高い温度の高
圧空気流を速度170m/秒で紡糸線方向に対して25
度の角度をなす方向に噴出して牽引・細化し,冷却した
後,紡糸口金の下方10cmの位置に配設されたサクシ
ヨンドラム上に捕集・堆積させ,平均単繊維繊度が0.
1デニールで,目付けが20g/m2 のポリプロピレン
極細繊維メルトブローン不織布を得た。別途,平均単繊
維繊度が1.5デニールで,かつ平均繊維長が25mm
の木綿晒し綿を用い,木綿繊維同士が三次元的に交絡し
てなる不織布を作成した。すなわち,前記晒し綿を出発
原料とし,ランダムカード機により繊維配列がランダム
で目付けが45g/m2 のランダムカードウエブを作成
し,次いで得られたウエブを移動速度20m/分で移動
する70メツシユの金網上に載置して高圧液体流処理を
施した。高圧液体流処理は,孔径0.1mmの噴射孔が
孔間隔0.6mmで一列に配設された高圧柱状水流処理
装置を用い,ウエブの上方50mmの位置から2段階に
別けて柱状水流を作用させた。第1段階の処理では圧力
を30kg/cm2 Gとし,第2段階の処理では圧力を
70kg/cm2 Gとした。なお,第2段階の処理は,
ウエブの表裏から各々2回施した。次いで,得られた処
理物からマングルロールを用いて過剰水分を除去した
後,処理物に熱風乾燥機を用い温度10℃の条件で乾燥
処理を施し,木綿繊維同士が緻密に三次元的交絡をした
目付けが45g/m2 の不織布を得た。次いで,前記で
得られたポリプロピレン極細繊維メルトブローン不織布
と木綿繊維不織布とを積層し,周波数が19.5KHz
の超音波発振器と円周上に点状に凸状突起部が面積比
(ロール全表面積に対する全凸状突起部の面積の比)1
1%かつ密度18点/cm2 で配設されたパターンロー
ルとからなる超音波融着装置を用い,加工速度を30m
/分,線圧を2.5kg/cmとして超音波融着処理を
施して積層不織構造体を得た。得られた積層不織構造体
の特性を表1に示す。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単繊維繊度が0.2デニール以下の熱可
    塑性極細繊維からなる不織布層と天然繊維同士が機械的
    に交絡してなる不織布層とが積層され,かつ前記極細繊
    維と天然繊維とが融着されてなる点状融着区域を有する
    積層不織構造体であって,前記点状融着区域において前
    記両不織布層の少なくとも境界面に位置する天然繊維が
    前記極細繊維の融解部に埋設された状態で固定されるこ
    とにより全体として一体化されてなることを特徴とする
    積層不織構造体。
  2. 【請求項2】 不織構造体全表面積に対する全点状融着
    区域の面積の比が2〜40%及び点状融着区域密度が7
    〜80点/cm2 であることを特徴とする請求項1記載
    の積層不織構造体。
  3. 【請求項3】 通気度が50cc/cm2 /秒以下であ
    ることを特徴とする請求項1又は2記載の積層不織構造
    体。
JP5240547A 1993-08-31 1993-08-31 積層不織構造体 Pending JPH0768686A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0768687A (ja) * 1993-09-02 1995-03-14 Unitika Ltd 積層不織構造体
JP2004323987A (ja) * 2003-04-22 2004-11-18 Kuraray Co Ltd 耐水性不織シート
US8415262B2 (en) 2003-10-22 2013-04-09 E I Du Pont De Nemours And Company Porous fibrous sheets of nanofibers

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