JPH07221509A - マイクロ波帯終端器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】チップ抵抗器のインダクタンス成分を希望の周
波数で打ち消し、マイクロ波帯で良好な入力ＶＳＷＲを
有する終端器を提供すること。 【構成】マイクロストリップ線路５とチップ抵抗器３か
らなり、チップ抵抗器３の一方の端子を入力端とし他方
の端子をスルーホール４で接地した終端部と、チップ抵
抗器３の入力端側に、チップ抵抗器のインダクタンス成
分を打ち消すため容量性を持つ整合回路を設け、入力端
より見たインピーダンスがマイクロストリップ線路の特
性インピーダンスに整合するようにする。 【効果】チップ抵抗器で構成したマイクロ波帯終端器の
入力ＶＳＷＲを改善でき、小型、安価で良好なマイクロ
波帯終端器が実現できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、マイクロ波帯終端器の
入力ＶＳＷＲ特性の改善に関する。

【０００２】

【従来の技術】図５に、従来例のマイクロ波帯終端器の
構成を示す。図中３はチップ抵抗器、４はスルーホー
ル、５はマイクロストリップ線路で、通常線路の特性イ
ンピーダンスは５０オームとなるように設計されてい
る。

【０００３】マイクロ波帯終端器は、誘電体基板の裏面
に接地導体を設け、かつ表面にマイクロストリップ導体
５を設けて、高周波インピーダンス線路を形成したもの
に、マイクロストリップ導体５の特性インピーダンスに
等しい抵抗値を有するチップ抵抗器３の一端をスルーホ
ール４により終端し、接地したものである。

【０００４】ここで、このチップ抵抗器３は、マイクロ
波帯では純抵抗として扱うことができず、その物理形状
にもとずくインダクタンス成分を有する。従って、チッ
プ抵抗器３の入力インピーダンスは、マイクロストリッ
プ導体の特性インピーダンスに一致せず、整合がとれな
いために入力ＶＳＷＲが劣化する。

【０００５】特に取り扱う周波数が高くなるに従い、イ
ンダクタンス成分が大きくなり、所望の入力ＶＳＷＲを
有したマイクロ波帯終端器を得ることができない。

【０００６】また、他の従来例として、特開平３−１２
１６０１に示すように、チップ抵抗器３の入力側にチッ
プ抵抗器でπ型アッテネータを構成し、その減衰量相当
分のリターンロス特性を改善した例もあるが、この場合
においても７ＧＨｚ程度の周波数まででそれ以上の周波
数においては、入力ＶＳＷＲが劣化する。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】このような従来例の終
端器では、その入力ＶＳＷＲは、図３の（Ｂ）に示した
特性のようになり、特にマイクロ波帯では、周波数が高
くなるにつれて、高周波回路に使用する固定抵抗の物理
形状にもとずくインダクタンス成分によりインピーダン
ス不整合が生じ、入力ＶＳＷＲを劣化させるという問題
がある。従ってマイクロストリップ線路を用いた４分の
１波長結合線路形方向性結合器等の終端器として用いる
場合においては、定在波によって方向性結合器の結合度
の周波数特性が劣化するという問題が発生する。

【０００８】本発明は、チップ抵抗器３のインダクタン
ス成分を希望の周波数で打ち消し、マイクロ波帯におい
て良好な入力ＶＳＷＲを有する終端器を、提供すること
を目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明では、マイクロス
トリップ線路５とチップ抵抗器３からなり、該チップ抵
抗器３の一方の端子を入力端とし、他方の端子をスルー
ホール４で接地した終端部と、前記チップ抵抗器３の入
力端側に、チップ抵抗器３のインダクタンス成分を打ち
消すため容量成分を持つ整合回路２を設け、入力端より
見たインピーダンスが、マイクロストリップ線路の特性
インピーダンスに整合する構成にする。

【００１０】

【作用】マイクロ波帯において、チップ抵抗器３の入力
インピーダンスは純抵抗ではなく、抵抗分とインダクタ
ンス分を有しているため、マイクロストリップ線路の特
性インピーダンス５０Ωとの整合がとれない。このイン
ダクタンス成分を打ち消すために線路と並列に容量成分
を付加する必要がある。

【００１１】本発明では、図１に示すようにチップ抵抗
器３のインダクタンス成分を打ち消すため、その入力端
側に容量成分を持つ整合回路２を接続する。本発明にお
いては、この整合回路としてマイクロ波帯でも充分に容
量成分として見えるマイクロストリップ導体によるオー
プンスタブを使い、その長さによって容量の大きさを任
意に可変することができる。そのチップ抵抗器３のイン
ダクタンス成分と等しい大きさの容量となるオープンス
タブの長さの１／８波長とすることによりチップ抵抗器
３のインダクタンス成分が打ち消される。

【００１２】さらにマイクロストリップ線路ではオープ
ンスタブの長さは１／２波長倍ごとに等量の容量を有す
るようになり、同様の効果がある。また１／８波長の近
傍においても実用上問題のないリターンロス特性が得ら
れる。

【００１３】このようにして入力端からみる入力ＶＳＷ
Ｒを、改善することができる。

【００１４】

【実施例】図１は、本発明のマイクロ波帯終端器のブロ
ック図である。図中、１は入力端、２はマイクロストリ
ップ導体による８分の１波長オープンスタブ、３はチッ
プ抵抗器、４は接地部（スルーホール）で、図２は本発
明例の一実施例のマイクロ波帯終端器を示す。図２にお
いて、マイクロストリップ線路５は、入力端１からはい
ってくる高周波信号に対して、ある値の特性インピーダ
ンスを有しており、通常は５０オームである。これに対
してチップ抵抗器３を通してスルーホール４で接地する
回路で、チップ抵抗器３の入力端からみた場合の入力イ
ンピーダンスと、前記マイクロストリップ線路５の特性
インピーダンスとが整合しない。そこでチップ抵抗器３
の入力端側に、チップ抵抗器のインダクタンス成分を打
ち消すため、その入力端側に容量成分を持つ整合回路、
例えばマイクロストリップ導体による８分の１波長オー
プンスタブ２を接続する構成とする。このような構成と
することにより、図３（Ａ）に示す特性となり、従来例
と比較して、入力ＶＳＷＲの大幅な改善ができる。図３
（Ｂ）には、図５の従来例のマイクロ波帯終端器の場合
の特性例を示している。

【００１５】ここでチップ抵抗器には、幅１．２５ｍ
ｍ、長さ２ｍｍ、厚み０．４ｍｍの直流抵抗５１オーム
の抵抗を使用し、スルーホールは直径０．４ｍｍ、マイ
クロストリップ基板として誘電率１０．７、厚み０．６
３５ｍｍのアルミナセラミック基板を使い、その時８分
の１波長オープンスタブの特性インピーダンスを７４オ
ームとした。

【００１６】また、マイクロストリップ線路では、オー
プンスタブの長さは１／２波長倍ごとに等量の容量を有
するようになり、同様の効果がり、また１／８波長の近
傍においても実用上問題のないリターンロス特性が得ら
れる。

【００１７】図４は、本発明の他の実施例で、８分の１
波長オープンスタブ２の代わりにラジアルスタブ８とし
た例である。

【００１８】

【発明の効果】以上の通り本発明によれば、チップ抵抗
器３で構成したマイクロ波帯終端器の入力ＶＳＷＲを改
善でき、小型、安価で良好なマイクロ波帯終端器が実現
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例のブロック図である。

【図２】本発明の一実施例のマイクロ波帯終端器の構成
を示す図である。

【図３】本発明の一実施例のマイクロ波帯終端器の特性
を示す図である。

【図４】本発明の他の一実施例のマイクロ波帯終端器の
構成を示す図である。

【図５】従来例のマイクロ波帯終端器の構成を示す図で
ある。

【符号の説明】

１…入力端、 ２…８分の１波長オープンスタブ、 ３…チップ抵抗器、 ４…スルーホール。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】マイクロストリップ線路とチップ抵抗器か
   らなり、該チップ抵抗器の一方の端子を入力端とし、ま
   た他方の端子を接地した終端器において、前記チップ抵
   抗器の入力端側にチップ抵抗器のインダクタンス成分を
   打ち消す容量成分を持つ整合回路を設け、その入力端よ
   りみたインピーダンスがマイクロストリップ線路の特性
   インピーダンスと整合するようにしたことを特徴とする
   マイクロ波帯終端器。
2. 【請求項２】前記インピーダンス整合部をラジアルスタ
   ブとしたことを特徴とする請求項１記載のマイクロ波帯
   終端器。