JPH0721666U - エレベータの点検運転装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 保守点検作業時のエレベータ運転の安全性を
高める。 【構成】 この考案のエレベータの点検運転装置は、点
検時上昇運転スイッチあるいは点検時下降運転スイッチ
を操作することによってまず、上昇運転予告装置あるい
は下降運転予告装置が上昇運転あるいは下降運転を予告
する。そして、点検時上昇運転スイッチあるいは点検時
下降運転スイッチを操作し続けることによって、タイマ
が一定時間経過した後に点検時上昇運転あるいは点検時
下降運転の指令を有効とし、点検時上昇運転あるいは点
検時下降運転を開始する。こうして、保守員がエレベー
タかごの点検時運転を行なおうとした場合、まず運転方
向の予告を聞いて自分の意図している方向かどうかを判
断し、意図した方向と逆の運転方向の予告がなされれば
直ちにその運転操作を中止することができ、点検運転操
作時の安全性を高めることができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、エレベータの点検運転を行なう場合に用いるエレベータの点検運 転装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、エレベータの点検時にエレベータかごを強制的に運転し、保守点検操作 を行なうために、エレベータかご上に点検運転装置が設置されており、保守員は この点検運転操作を用いてエレベータの点検運転を行なうようにしている。図３ はこのような従来のエレベータの点検運転装置を示しているが、点検運転操作を 行なう点検運転操作ボタン１と、これに直列接続された上昇運転操作ボタン２と 、これらの点検運転操作ボタン１と上昇運転操作ボタン２の同時投入によって動 作する上昇運転リレー３と、また点検運転操作ボタン１に直列に接続された下降 運転操作ボタン４と、これらの点検運転操作ボタン１と下降運転操作ボタン４の 同時投入によって動作する下降運転リレー５から構成されている。

【０００３】 そして、保守員が点検作業時にエレベータかごを強制的に上昇、あるいは下降 させようとする時には、一方の手で点検運転操作ボタン１を押し、同時に他方の 手で上昇運転操作ボタン２あるいは下降運転操作ボタン４を押す操作を行なうこ とによって上昇運転リレー３あるいは下降運転リレー５を駆動し、これによって 図示されていない駆動モータを上昇方向あるいは下降方向に駆動してエレベータ かごの上昇あるいは下降動作を行なわせるようにしている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、このような従来のエレベータの点検運転装置では、安全上、点検運 転操作ボタン１と上昇運転操作ボタン２あるいは下降運転操作ボタン４とを同時 に両手で操作しなければ点検運転ができないようにしているのであるが、それで も、点検修理作業に夢中になっている保守員は操作ボタンを見ずに勘に頼って操 作してしまい、誤って自分の動かしたい方向と逆方向に操作してしまう可能性が あり、特に検作業を二人で行なう場合、修理作業を行なう保守員と点検運転操作 を行なう保守員とが別々であると、修理作業をしている保守員の意図とは逆の方 向に誤って運転操作してしまうと、思わぬ事故に発展しかねない危険性が残され ていた。

【０００５】 この考案はこのような従来の問題点に鑑みてなされたもので、点検運転操作を 行なう場合に、万一、保守員が誤った操作を行なっても、エレベータかごが動き 出す前に運転方向を予告することにより危険を未然に避けることができ、安全性 を高めることができるエレベータの点検運転装置を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

この考案のエレベータの点検運転装置は、エレベータの点検時上昇運転操作を 行なう点検時上昇運転スイッチと、エレベータの点検時下降運転操作を行なう点 検時下降運転スイッチと、前記点検時上昇運転スイッチが投入された時に上昇運 転を予告する上昇運転予告装置と、前記点検時下降運転スイッチが投入された時 に下降運転を予告する下降運転予告装置と、前記点検時上昇運転スイッチが一定 時間以上継続して操作された時に当該点検時上昇運転指令を有効とするタイマと 、前記点検時下降運転スイッチが一定時間以上継続して操作された時に当該点検 時下降運転指令を有効とするタイマとを備えたものである。

【０００７】

【作用】

この考案のエレベータの点検運転装置では、点検時上昇運転スイッチあるいは 点検時下降運転スイッチを操作することによってまず、上昇運転予告装置あるい は下降運転予告装置が上昇運転あるいは下降運転を予告する。そして、点検時上 昇運転スイッチあるいは点検時下降運転スイッチを操作し続けることによって、 タイマが一定時間経過した後に点検時上昇運転あるいは点検時下降運転の指令を 有効とし、点検時上昇運転あるいは点検時下降運転を開始する。

【０００８】 したがって、保守点検作業中に保守員がエレベータかごの点検時運転を行なお うとした場合、まず運転方向の予告を聞いて自分の意図している方向かどうかを 判断し、正しければそのまま操作を続けることによって意図した方向に運転する ことができ、逆に意図した方向と逆の運転方向の予告がなされれば、直ちにその 運転操作を中止することができ、点検運転操作時の安全性を高めることができる 。

【０００９】

【実施例】

以下、この考案の実施例を図に基づいて詳説する。図１はこの考案の一実施例 の回路図であり、点検運転操作を行なう点検運転操作ボタン１に直列に上昇運転 操作ボタン２が接続され、この上昇運転操作ボタン２に対して、上昇方向予告装 置６と、一定時間のディレイタイマ７と、このディレイタイマ７によって一定の ディレイ時間経過後に動作する操作時間検出接点８と、この操作時間検出接点８ の投入によって動作する上昇運転リレー３が接続されている。

【００１０】 また点検運転操作ボタン１に直列に下降運転操作ボタン４も接続され、この下 降運転操作ボタン４に対して、下降方向予告装置９と、一定時間のディレイタイ マ１０と、このディレイタイマ１０によって一定のディレイ時間経過後に動作す る操作時間検出接点１１と、この操作時間検出接点１１の投入によって動作する 下降運転リレー５が接続されている。

【００１１】 次に、上記構成のエレベータの点検運転装置の動作について、図１の回路図と 図２のフローチャートに基づいて説明する。保守点検作業のために電源が投入さ れた後、エレベータかごの点検運転が必要になれば、まず一方の手で点検運転操 作ボタン１を押し、同時に他方の手で上昇運転操作ボタン２あるいは下降運転操 作ボタン４を押す操作を行なう（ステップＳ１，Ｓ５）。

【００１２】 ここでもし、点検運転操作ボタン１と共に上昇運転操作ボタン２が押されたの であれば、直ちに上昇予告装置６は音声合成によって、例えば「上に動きます」 といった上昇方向を音声によって予告する。これと共に、ディレイタイマ７が計 測を開始する（ステップＳ２）。

【００１３】 そこで、上昇予告が保守員の意図していた方向であれば、点検運転操作ボタン １と共に上昇運転操作ボタン２を押し続ければ、ディレイタイマ７が一定時間、 この場合には上昇予告が終了する程度の時間であって、例えば１秒〜３秒のディ レイ時間を計測した後（ステップＳ３）、操作時間検出接点８が投入され、上昇 運転リレー３が駆動される。この結果、エレベータ駆動モータ（図示せず）が上 昇方向に駆動され、エレベータかごの上昇運転が開始される（ステップＳ４）。

【００１４】 しかしながら、いま、上昇方向が保守員の意図した方向でない場合には、ステ ップＳ２の上昇予告がなされた時点で点検運転ボタン１あるいは上昇運転ボタン ２のいずれか、あるいは両方を離すことによって点検運転操作を停止する。また 、別の保守員が操作している場合には、上昇予告された時点で「ストップ」とか 、「逆方向」とかいった合図を発することによって点検運転操作を中止させる。

【００１５】 逆に、点検運転操作ボタン１と共に下降運転操作ボタン４が押されたのであれ ば、直ちに下降予告装置９は音声合成によって、例えば「下に動きます」といっ た下降方向を音声によって予告する。これと共に、ディレイタイマ１０が計測を 開始する（ステップＳ１，Ｓ５，Ｓ６）。

【００１６】 そこで、下降予告が保守員の意図していた方向であれば、点検運転操作ボタン １と共に下降運転操作ボタン４を押し続ければ、ディレイタイマ１０が下降予告 が終了する程度のディレイ時間を計測した後（ステップＳ７）、操作時間検出接 点１１が投入され、下降運転リレー５が駆動される。この結果、エレベータ駆動 モータ（図示せず）が下降方向に駆動され、エレベータかごの下降運転が開始さ れる（ステップＳ８）。

【００１７】 そしてこの場合にも、下降方向が保守員の意図した方向でない場合には、ステ ップＳ６の下降予告がなされた時点で点検運転ボタン１あるいは下降運転ボタン ４のいずれか、あるいは両方を離すことによって点検運転操作を停止する。また 、別の保守員が操作している場合には、下降予告された時点で「ストップ」とか 、「逆方向」とかいった合図を発することによって点検運転操作を中止させる。

【００１８】 こうして、保守点検作業時に、エレベータかごを運転する必要が生じた場合に は、点検運転ボタン１を操作すると共に、上昇運転ボタン２あるいは下降運転ボ タン４を操作することによって、まず上昇方向あるいは下降方向の運転方向予告 が発せられ、その予告された運転方向が正しければ引き続き運転操作を行なうこ とによって、方向予告の後に保守員の意図した方向に点検運転を行なうことがで き、また方向予告された時点で運転方向が意図して方向と逆であれば、その操作 を中止することによって安全に運転を中止し、あるいは別の保守員が運転操作し ているのであれば、逆方向であることあるいは停止の合図を発することによって 点検運転を直ちに中止させることにより、保守点検作業時の点検運転での安全性 を高めることができる。

【００１９】 なお、この考案は上記の実施例に限定されることはなく、ディレイタイマ７， １０のディレイ時間は特に限定されない。また、上昇予告、下降予告の予告メッ セージも特に限定されない。

【００２０】 さらに、上記実施例では運転方向の予告を音声で行なったが、音声と共に作業 している保守員から見やすい位置に方向表示するようにしてもよい。

【００２１】

【考案の効果】

以上のようにこの考案によれば、点検時上昇運転スイッチあるいは点検時下降 運転スイッチを操作することによってまず、上昇運転予告装置あるいは下降運転 予告装置が上昇運転あるいは下降運転を予告し、点検時上昇運転スイッチあるい は点検時下降運転スイッチを操作し続けることによって、タイマが一定時間経過 した後に点検時上昇運転あるいは点検時下降運転の指令を有効とし、点検時上昇 運転あるいは点検時下降運転を開始するようにしているので、保守点検作業中に 保守員がエレベータかごの点検時運転を行なおうとした場合、まず運転方向の予 告を聞いて自分の意図している方向かどうかを判断し、正しければそのまま操作 を続けることによって意図した方向に運転することができ、逆に意図した方向と 逆の運転方向の予告がなされれば直ちにその運転操作を中止することができ、点 検運転操作時の安全性を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例の回路図。

【図２】上記実施例の動作を示すフローチャート。

【図３】従来例の回路図。

【符号の説明】

１ 点検運転ボタン ２ 上昇運転ボタン ３ 上昇運転リレー ４ 下降運転ボタン ５ 下降運転リレー ６ 上昇方向予告装置 ７ ディレイタイマ ８ 操作時間検出接点 ９ 下降方向予告装置 １０ ディレイタイマ １１ 操作時間検出接点

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 エレベータの点検時上昇運転操作を行な
   う点検時上昇運転スイッチと、 エレベータの点検時下降運転操作を行なう点検時下降運
   転スイッチと、 前記点検時上昇運転スイッチが投入された時に上昇運転
   を予告する上昇運転予告装置と、 前記点検時下降運転スイッチが投入された時に下降運転
   を予告する下降運転予告装置と、 前記点検時上昇運転スイッチが一定時間以上継続して操
   作された時に当該点検時上昇運転指令を有効とするタイ
   マと、 前記点検時下降運転スイッチが一定時間以上継続して操
   作された時に当該点検時下降運転指令を有効とするタイ
   マとを備えて成るエレベータの点検運転装置。