JPH07215793A - 化合物半導体単結晶引き上げ装置および引き上げ方法 - Google Patents

化合物半導体単結晶引き上げ装置および引き上げ方法

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JPH07215793A
JPH07215793A JP1299494A JP1299494A JPH07215793A JP H07215793 A JPH07215793 A JP H07215793A JP 1299494 A JP1299494 A JP 1299494A JP 1299494 A JP1299494 A JP 1299494A JP H07215793 A JPH07215793 A JP H07215793A
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melt
single crystal
crystal
pulling
crucible
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JP1299494A
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English (en)
Inventor
Koichi Sasa
紘一 佐々
Takashi Atami
貴 熱海
Naoki Ono
直樹 小野
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Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 径および組成が均一かつ転位密度の低い化合
物半導体単結晶を製造する。 【構成】 密封容器1の内周には、鍔部20a、テーパ
ー管20b、円筒部20cおよび底部20dとからなる
環状隔壁20が設置され、底部20dには連通孔22が
分布している。単結晶T製造の際には、融液Yの合成
後、底部20dを融液Y中に浸漬して融液Yを連通孔2
2から環状隔壁20内に導入させ、更に、融液Yに浸漬
した種結晶Sを引き上げ、単結晶Tの成長が肩部から直
胴部に入るところで、単結晶Tの外径と円筒部20cの
内壁の間隔を3.5〜10mm以下とする。その結果、
滑らかな円筒状をなす転位密度の低い結晶が得られ、か
つ結晶成長に伴う環状隔壁20内外の融液Yの組成のず
れが、環状隔壁20内の融液表面を通じての高解離圧成
分の出入りと、連通孔22を介した融液Yの静的流通に
より調整され、結晶組成が常時一定に保たれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ICや半導体レーザー
用の基板に用いられる化合物半導体単結晶の製造に係
り、特に大口径長尺結晶の製造が可能な大型のルツボを
使用して、良好な結晶径制御と欠陥密度の低い結晶成長
を可能とする化合物半導体単結晶引き上げ装置およびこ
の装置を用いた化合物半導体単結晶の引き上げ方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】GaAs,InP,GaP,InAs,
CdTe等の化合物半導体単結晶(以下、単結晶と称す
る)の製造法の一つとして蒸気圧制御引き上げ法があ
る。蒸気圧制御引き上げ法について、GaAs単結晶を
製造する場合を例として、図4を参照しつつその概略を
説明する。
【0003】図4は、蒸気圧制御引き上げ装置によるG
aAs単結晶の製造状況を示すものである。外側容器4
内にはシール部5にて上下に分割可能な上部容器2およ
び下部容器3からなる密封容器1が設けられ、密封容器
1の内部には下部回転軸8がその軸線を中心として回転
可能に設置され、下部回転軸8上にはサセプター6を介
してpBN製のルツボ7が支持されている。また、ルツ
ボ7の上方には上部回転軸12がサセプター6と同軸に
回転可能かつ上下動可能に設置されている。一方、符号
11は蒸気圧制御部で、上部容器2および下部容器3の
外側および蒸気圧制御部11の周囲にはそれぞれヒータ
ー10a,10b,10cおよび11aが設置されてい
る。
【0004】なお、上部回転軸12と上部容器2、下部
回転軸8と下部容器3、およびシール部5はそれぞれB
2314によりシールされている。また、符号16は密
封容器1の底部に設置された砒素容器である。
【0005】ルツボ7内にはGaAsの融液Yが投入さ
れている。加熱はヒーター10a,10b,10cによ
り行い、GaAsの単結晶Tは上部回転軸12を徐々に
引き上げることにより得られる。この場合、引き上げ雰
囲気ガスは砒素蒸気を主体にしたガスで、その圧力は蒸
気圧制御部11におけるヒーター11aのコントロール
により一定に保時される。
【0006】ところで、上記の引き上げ装置で問題にな
るのは、単結晶Tの形状制御である。すなわち、引き上
げ装置が二重構造をなしていることに起因する重量信号
S/N比の低さと、加熱を密封容器1の外部から加熱し
ていることによる熱応答性の低さが原因で、単結晶Tの
形状制御が困難となるのである。このような単結晶Tの
形状不良を防ぐために、本発明者らは特願平3−204
498号において、図5に示すような引き上げ方法を提
案した。これは先に出願した特願平1−171438号
に示した引き上げ方法(MACC法)の改良であって、
およそ以下の工程からなっている。
【0007】(1) 密封容器1の内部に同軸に鍔部2
0a、テーパー部20bおよび下端部20cからなる環
状隔壁20を設け、融液Yに濡れにくい材質でできた下
端部20cを融液Y中に浸漬し、更に、下端部20cの
形成する円筒で囲まれた融液Yに種結晶Sを漬けて単結
晶肩部を形成させる。
【0008】(2) 次いで、単結晶直胴部を成長させ
る際に、単結晶Tの外径と環状隔壁20の下端部20c
内面との間隔が3.5mm以上かつ10mm以下となる
ように加熱温度と引き上げ速度を制御するとともに、融
液Y内に浸漬した下端部20cの深さを、単結晶Tの引
き上げの間一定に保つようにルツボ7の上下位置を制御
する。
【0009】この方法によれば、特願平1−17143
8号で提案したMACC法の特徴、すなわち引き上げに
伴い単結晶Tが拡径しようとする力と、メニスカス(表
面張力によって固液界面周囲にできる曲面)Mによる反
発力とを平衡させ、メニスカスMの形状を安定させて、
単結晶T直胴部の直径変動を防止し、かつMACC法に
おいてチャージ量を増やす際の困難を解決することがで
きる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記特願平
3−204498号の装置においては、環状隔壁20が
密封容器1の壁面における最高温度部を上方より覆い、
熱輻射および気体の対流を阻害するため、成長中の結晶
上部からの冷却が起こり易くなり結晶成長が容易になる
が、これは反面、ルツボ7周辺から環状隔壁20を通っ
て上方に向かう熱の流れが盛んになることを意味し、そ
の結果、融液Y内に対流が発生しやすい状況となる。融
液Yの対流は温度の変動を伴い、特に、結晶肩部形成の
際における成長が不安定化し、多結晶化の原因となって
いた。また、直胴部の結晶成長に対し時間的不均一性が
生じ、その結果、ストリエーションによる特性不均一
や、固相の微視的再融解による格子欠陥あるいは多結晶
化等の問題が生じる場合もあった。
【0011】また、蒸気圧による組成制御は融液Y表面
を介して行われるが、蒸気圧を一定としても融液Yの温
度が変われば組成が変動するという問題が存在する。融
液Y内には中心から外方に向かって大きな温度勾配が存
在し、かつ融液Y内の温度は対流によっても変動するの
で、融液Y表面の組成は不均一となるとともに変動す
る。このため、成長中の界面近傍の融液Yの組成が不安
定となり、結局、結晶組成の制御が厳密にできなくなる
という問題が生じていた。
【0012】更に、環状隔壁20の使用に伴い、固液界
面が下方に向け凸型となる傾向が生じるが、これが極端
になると冷却中の結晶の中心部と周辺部の温度差が大き
くなる結果、結晶内部の熱歪が増大し、転位密度が高く
なるという問題があった。従って、結晶品質の向上およ
び単結晶化率向上のためには、環状隔壁20の導入に伴
う融液Yの対流を最小限とし、固液界面の形状を平坦に
近付ける必要があった。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記事情に鑑
みてなされたもので、開閉可能な円筒状密封容器と、こ
の密封容器の内部に同軸に配置されたルツボと、このル
ツボを軸線回りに回転させるルツボ回転手段と、前記ル
ツボ内に収容される原料融液に種結晶を浸漬して単結晶
を引き上げる引き上げ機構と、前記密封容器と連通され
た蒸気圧制御部と、前記密封容器を取り巻いて前記密封
容器を加熱する複数のヒーターとを具備し、高解離圧成
分の一部を前記蒸気圧制御部内に凝縮させることにより
前記密封容器内部の高解離圧成分ガスの圧力を制御しつ
つ単結晶の引き上げを行う装置であって、
【0014】前記密封容器の内周に、円環状をなす鍔部
と、この鍔部の内側から下方に連結されたテーパー管
と、このテーパー管の下端に連結され、かつその底部に
は複数の連通孔が分布する有底円筒部とからなる環状隔
壁を同軸上に設置し、かつ前記有底円筒部の材質が原料
融液に濡れくい物質からなり、しかも、前記有底円筒部
の内径は目的の単結晶径より大きく、かつその外径はル
ツボ内径より小さいことを特徴とする単結晶引き上げ装
置および、
【0015】上記装置を使用し、単結晶の成長に先立ち
前記ルツボ内にて原料を合成して放置し十分組成を安定
せしめた後、前記環状隔壁の有底円筒部を融液中に浸漬
し、前記連通孔を介して前記有底円筒部内に浸入した融
液に種結晶を浸漬して単結晶肩部を形成し、更に、融液
面の位置を一定とし、かつ単結晶の外径と前記有底円筒
部内面との間隔を3.5〜10mmの範囲に保ちつつ、
単結晶直胴部を成長させることを特徴とする単結晶の引
き上げ方法である。
【0016】
【作用】原料合成後、複数の孔が分布した有底円筒部が
形成された環状隔壁を原料融液中に浸漬すると、融液が
前記環状隔壁の内外に分離し、前記環状隔壁内部の融液
は外部の融液対流から隔てられる。また、前記環状隔壁
内部の融液は、結晶の回転に伴いよく攪拌される。更
に、ルツボ内壁面から固液界面にかけての融液内の温度
差は、融液対流のため前記ルツボ内壁面近傍の境界層に
集中し、他の部分では緩やかになるので、前記環状隔壁
内部の融液にはわずかの温度差が残るのみとなる。従っ
て、前記環状隔壁内部の融液においては、融液対流が極
めて起こりにくく、かつ温度が均一化するため、融点の
等温度面である固液界面形状が効果的に平坦化される。
また、成長界面における融液組成が安定化するため、結
晶組成を均一化することができる。すなわち、MACC
法の有する安定な形状制御性と併せ、均一な特性を有す
る結晶の成長が可能となっている。
【0017】
【実施例】図1ないし図3は、本発明に係る単結晶引き
上げ装置および該引き上げ装置によるGaAs単結晶の
製造状況を示すものである。ここで、先の図4および図
5と構成が等しい部分には同一の符号を賦してその説明
を省略する。
【0018】図1は原料合成前の状態を示す装置の全体
図で、図2および図3はルツボ7および環状隔壁20周
辺の拡大図である。符号1はシール部5を介して上部容
器2と下部容器3とに分割可能な密封容器であり、この
密封容器1は更に外側容器4内に収容されている。密封
容器1の周囲には符号10a〜10cで示すヒーターが
設置されるとともに、蒸気圧制御部11の周囲には符号
11aで示すヒーターが設置され、所定の温度分布、す
なわちルツボ7に対応する領域で最高温度となり、蒸気
圧制御部11で最低かつ均一な温度になるように密封容
器1を加熱する。
【0019】符号12は密封容器1の天板部を貫通して
配置された上部回転軸で、その下端には種結晶Sが固定
されている。また、符号8は密封容器1の底部を貫通し
て配置された下部回転軸で、その上端にはルツボ7を保
持するサセプター6が設置されている。また、符号13
は密封容器1内の状況を観察するための観察窓、符号1
4は上部回転軸12と上部容器2、下部回転軸8と下部
容器3、およびシール部5をそれぞれシールするB
23、符号16は原料砒素を投入する砒素容器である。
【0020】符号20は環状隔壁である。この環状隔壁
20は、密封容器1に内接する上下2分割可能なライナ
ー管21に挟み込まれている鍔部20aと、この鍔部2
0aに連なり、下方に向かって漸次縮径するテーパー部
20bと、更にこのテーパー部20bの最下端に連な
り、一定内径で下方に垂下する円筒部20cと底部20
dとからなり、引き上げ装置全体に対して同軸をなすよ
うに配置されている。
【0021】また、環状隔壁20の鍔部20aとテーパ
ー部20bとの間には、環状隔壁20の上下で圧力差が
生じないよう気体の十分な流通を確保するための通気孔
23が貫通している。更に、環状隔壁20の下端をなす
底部20dには、融液Yの拡散的流通を可能とする小径
の連通孔22が複数個形成されている。
【0022】この連通孔22は、原料合成の後に下方か
ら融液Yを環状隔壁20内に導入するという観点からは
大きい方が望ましい。すなわち、連通孔22が小さすぎ
ると融液Yの導入に時間が掛かりすぎ、特に、極端に小
さすぎる場合には、融液Yの表面張力のため、融液Yの
最初の浸入が実際上困難になる。一方、融液Yの分離と
いう観点からは、連通孔22は小さいほうが望ましい。
すなわち、小さい連通孔22は融液Yの静的な流通のみ
を許し、環状隔壁20内への対流の伝達を防ぐことがで
きるが、連通孔22が大きすぎると、環状隔壁20外部
における対流による擾乱が環状隔壁20内にも影響を及
ぼすことになる。
【0023】また、融液組成の制御は雰囲気ガスと融液
Y表面の接触により行われるが、蒸気圧制御引き上げ法
の場合、結晶成長中も融液Y表面を通じて高解離圧成分
の出入りがあり、そのため、融液Yの組成が常時一定に
保たれる。これを厳密に行うには、融液Y表面における
温度が均一で安定である必要があるが、一般には、大き
な温度分布と対流とによる温度変動が避けられない。
【0024】本装置の場合、融液Yの表面を環状隔壁2
0の内外の二つに分けることができる。直胴部における
結晶成長では、特願平1−171438号のMACC法
を適用するために結晶の外径と円筒部20cの内面の間
隔を3.5〜10mmに設定するので、環状隔壁20内
側の融液Yに関しては通常の結晶成長に比べ融液Yの表
面積が小さいという不利が存する。反面、環状隔壁20
の内側の融液Yの温度は、均一かつ一定に保つことがで
きる。一方、環状隔壁20外側の融液Yについては、融
液Yの表面積は十分で、雰囲気ガスの反応を考えた場合
には有利だが、大きな温度分布があり、また対流による
温度のゆらぎがある。
【0025】しかるに、結晶成長に使われた融液Yは連
通孔22を介して環状隔壁20外から補充されるため、
固化とともに生じる環状隔壁20内外の融液Yにおける
組成のずれは、連通孔22を介した融液Yの補充・拡散
と、環状隔壁20内側における融液Yの表面を介した制
御により調整される。前者は、組成のゆらぎを含んでい
るが、後者による組成制御が充分速く行われれば(成長
が充分遅ければ)、成長に伴う成長界面の融液Y組成の
ずれは効果的に調整できる。
【0026】本発明者らは連通孔22の適切な径とその
分布について詳細な実験を行った結果、孔径を1.5〜
3mm、また開口率を底部20dの20〜50%とした
場合が上記要件をすべて満たすために適当であることを
見いだした。すなわち、孔径が1mm以下では融液Yを
環状隔壁20内に浸入させる際に難があり、3mmより
大きいと対流阻止の隔壁として不十分となる。また、上
記範囲の開口率であれば、1時間あたり2〜4mmの成
長速度に対して組成制御が十分でき、かつ環状隔壁20
を構成する材料の強度的観点からも実現可能である。
【0027】更に、円筒部20cにおいて単結晶Tと融
液Yとの間に図に示すような形状のメニスカスMが形成
され、単結晶Tの径が安定して制御されるためには、こ
の部分を、融液Yに対して濡れにくく、かつ融液Yに浸
漬しても汚染の心配のない高純度の物質で構成する必要
がある。また、露出する部分は、砒素ガスに対して安定
であるか、あるいは反応しても十分な強度を保てる材料
である必要がある。上記条件を満たす物質としては例え
ばpBNが挙げられる。
【0028】この場合、環状隔壁20の全体をpBNで
構成してもよいが、熱伝導率、輻射率、あるいはコスト
等の観点から、円筒部20cおよび底部20dのみを融
液Yに濡れにくい物質とし、その他の部分を別の材料
(例えば、Mo,Nb,W等の高融点金属)としてもよ
い。円筒部20cおよび底部20dとその他の部分との
材料を変えることにより、破損しやすい円筒部20cお
よび底部20dのみを交換できるという利点もある。な
お、環状隔壁20は、単結晶Tが成長する間、融液Y表
面のルツボ7内での降下に対応してルツボ7の位置を制
御して、常時一定長さの円筒部20cが融液Yに浸漬し
ているようにする必要から、ルツボ7の上下のストロー
クに対応可能な高さを有する必要がある。
【0029】本実施例の場合、環状隔壁20は鍔部20
aおよびテーパー部20bをMo製、円筒部20cおよ
び底部20dをpBN製として、これらふたつの部分を
ネジで結合したもので、円筒部20cの内径は120m
m、高さは50mmである。また、底部20dには2m
m径の孔が開口率40%で均一に分布するように開口し
ている。
【0030】なお、底部20dにおける連通孔22の分
布は円筒部20cの下部分に及んでもよいが、MACC
法のメニスカス形成が不安定にならないように極く下の
部分に止める必要がある。
【0031】次に、上記装置を用いた単結晶の製造法に
ついて以下に述べる。ルツボ7内および砒素容器16に
それぞれ原料としてガリウム18および砒素19をチャ
ージし、装置全体を真空排気する。次いで、押し上げ下
軸17を上げて密封容器1をシール部5において密封し
た後、密封容器1各部のヒーターを作動させて原料とな
るガリウム18の温度をGaAsの融点(1238℃)
以上に加熱するとともに、原料となる砒素19を加熱し
て砒素分圧を高め、ルツボ7内にGaAsの融液Yを合
成する。
【0032】融液Yの合成がほぼ完了した後、ヒーター
11aにより蒸気圧制御部11の温度を制御しつつ所定
時間放置し、融液Yの組成を均一にする。更に下部回転
軸8を上げて底部20dを温度が十分融液Yの温度に馴
染むようゆっくり融液Y中に浸漬し、融液Yを連通孔2
2から環状隔壁20内に導入して円筒部20cの下部約
1cmを融液Yの中に浸漬させる。
【0033】続いて、ヒーター10a,10b,10c
により融液Yの温度を調節し、融液Yに種結晶Sを浸漬
してメニスカスMを形成した後、ヒーター10a,10
b,10cの出力を調整しつつ種結晶Sを上方に引き上
げてゆくと、単結晶Tが拡径しながら成長する。そし
て、単結晶Tの成長が肩部から直胴部に入るところで、
ヒーター10a,10b,10c,11aの出力と引き
上げ速度を調整することにより、単結晶Tの外径と円筒
部20cの内壁の間隔を図3に示すように3.5mm以
上10mm以下とすると、MACC法の原理に従って、
滑らかな円筒状の結晶径制御を行うことができる。しか
も、固化とともに生じる環状隔壁20内外の融液Y組成
のずれは、連通孔22を介した融液Yの静的流通および
結晶周辺の融液面と雰囲気ガスとの平衡とにより調整さ
れ、その結果、結晶組成が常時一定に保たれる。
【0034】更に、結晶が所定の長さに成長した段階
で、引き上げ温度をやや早め、テイル部を形成しルツボ
7の位置を下げて環状隔壁20の下端部を残融液から切
り離す。次いで、ヒーター10a,10b,10cの出
力を徐々に下げて単結晶Tを徐冷して成長操作を完了す
る。
【0035】
【実験例】以下に実験例を示し、本発明の効果について
説明する。上記実施例に示した単結晶引き上げ装置およ
び引き上げ方法にて、4インチ径の結晶成長を行った。
ルツボ7には150mm径のpBNルツボを用い、原料
として砒素容器16内に砒素4.5kg、ルツボ7内に
ガリウム4kgをチャージした。また、融液Yの合成後
引き上げを行うまでの放置時間は5時間とした。
【0036】成長した結晶は結晶径110±1.5mm
で、長さ110mmの極めて滑らかな直胴部を持つ単結
晶Tで再現性は極めて高かった。また、単結晶Tの肩部
成長は図5の装置使用時に比べて極めて安定で、この部
分での多結晶化が防止された。更に、これらの結晶の固
液界面は下方に向けゆるやかな凸型で、インゴットを縦
割りしエッチングにより調べたストリエーションの形状
から、固液界面の中心部と周辺部における高さ位置のず
れは2〜5mmであった。また、平均の転位密度は、シ
ート側、テイル側とも5000〜6000cm-2 であ
った。なお、ウェ ハー周辺にはスリップ転位は見られ
なかった。
【0037】ここで、組成制御の均一性を計る尺度とし
て、インゴットの上部、中央部および下部の3部位をそ
れぞれ砒素雰囲気中1100℃で12時間アニール後急
冷し、更に820℃で12時間熱処理した後のEL2濃
度を光吸収法で測定したところ、1.1±0.03×1
16cm-3 と小さな変動に収まった。電気的特性につ
いては、抵抗率が1〜2×107Ωcm、電子位動度は
6500〜7000cm2/s・Vであった。
【0038】比較例として、前記図5に示す装置を用い
同条件で単結晶の引き上げを行うと、固液界面形状は顕
著な下方向きの凸型を示し、中心部と周辺部における高
さ位置のずれは5〜25mmであった。また、平均の転
位密度は、10000〜12000cm-2 であった。
更に、上記と同様の方法でインゴット中のEL2濃度を
測定したところ、1.2±0.1×1016cm-3 とい
う値を示した。
【0039】以上のように、本発明は、径制御と組成制
御とに優れ、また欠陥密度が低く、かつ高純度の単結晶
を再現性良く製造するのに適し、その結果得られた結晶
の均一性も、十分良好なものであった。
【0040】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明においては、
連通孔付きの底部を持つ環状隔壁の使用により、特に大
口径長尺結晶の製造が可能な大型のルツボを使用した場
合でも、径制御と組成制御に優れ、かつ転位密度の低い
単結晶を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す化合物半導体単結晶引
き上げ装置の縦断面図である。
【図2】本発明の化合物半導体単結晶引き上げ装置にお
ける結晶成長開始時の状況を示す一部縦断面図である。
【図3】本発明の化合物半導体単結晶引き上げ装置にお
ける直胴部成長中の状況を示す一部縦断面図である。
【図4】従来の化合物半導体単結晶引き上げ装置の縦断
面図である。
【図5】従来の化合物半導体単結晶引き上げ装置の一部
縦断面図である。
【符号の説明】
1 密封容器 2 上部容器 3 下部容器 4 外側容器 5 シール部 6 サセプター 7 ルツボ 8 下部回転軸 10a,10b,10c,11a ヒーター 11 蒸気圧制御部 12 上部回転軸 13 観察窓 14 B23 16 砒素容器 17 押し上げ下軸 18 ガリウム 19 砒素 20 環状隔壁 20a 鍔部 20b テーパー部 20c 円筒部 20d 底部 21 ライナー管 22 連通孔 23 通気孔 M メニスカス S 種結晶 T 単結晶 Y 融液

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 開閉可能な円筒状密封容器と、この密封
    容器の内部に同軸に配置されたルツボと、このルツボを
    軸線回りに回転させるルツボ回転手段と、前記ルツボ内
    に収容された原料融液に種結晶を浸漬して単結晶を引き
    上げる引き上げ機構と、前記密封容器と連通された蒸気
    圧制御部と、前記密封容器を取り巻いて前記密封容器を
    加熱する複数のヒーターとを具備し、前記密封容器内に
    封入された高解離圧成分の一部を前記蒸気圧制御部内に
    凝縮させることにより前記密封容器内部の高解離圧成分
    ガスの圧力を制御しつつ化合物半導体単結晶の引き上げ
    を行う装置において、 前記密封容器の内周に、円環状をなす鍔部と、この鍔部
    の内側から下方に連結されたテーパー管と、このテーパ
    ー管の下端に連結され、かつその底部に複数の連通孔が
    分布した有底円筒部とからなる環状隔壁を同軸上に設置
    し、かつ前記有底円筒部の材質が原料融液に濡れにくい
    物質からなり、しかも、前記有底円筒部の内径が目的の
    単結晶径より大きく、かつその外径はルツボ内径より小
    さいことを特徴とする化合物半導体単結晶引き上げ装
    置。
  2. 【請求項2】 前記連通孔の直径が1.5〜3mmで、
    かつ前記有底円筒部における前記連通孔の開孔率が20
    〜50%であることを特徴とする請求項1記載の化合物
    半導体単結晶引き上げ装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の化合物半導体単
    結晶引き上げ装置を用いた化合物半導体単結晶の引き上
    げ方法であって、単結晶の成長に先立ち前記ルツボ内に
    て原料を合成し、その組成を安定せしめた後、前記環状
    隔壁の有底円筒部を融液中に浸漬し、前記有底円筒部内
    に浸入した融液に種結晶を浸漬して単結晶肩部を形成
    し、更に、融液面の位置を一定とし、かつ前記単結晶の
    外径と前記有底円筒部内面との間隔を3.5〜10mm
    の範囲に保ちつつ、単結晶直胴部を成長させることを特
    徴とする化合物半導体単結晶の引き上げ方法。
JP1299494A 1994-02-04 1994-02-04 化合物半導体単結晶引き上げ装置および引き上げ方法 Withdrawn JPH07215793A (ja)

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