JPH07215279A - 小型船舶 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 小型船舶を、その操向ハンドルにステアリン
グポールを利用することにより、停船時の船室内の利用
空間を増やして水上でのレジャー基地的に使用できるも
のにすると共に、シートに座って操船する時には安定し
た状態で操向ハンドルの操作を行うことができるものと
する。 【構成】 前端が水平軸を介して船体に上下揺動自在に
支持されると共に、船体後方に向かって延在して後端に
操向ハンドル６が取り付けられたステアリングポール５
が設けられ、ステアリングポール５の後方にシート９が
配置されている小型船舶において、ステアリングポール
５を揺動範囲の中間位置で船体に対して固定するための
固定手段２０を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、レジャー用等に使用さ
れる小型船舶に関する。

【０００２】

【従来の技術】フィッシングやその他の水上でのレジャ
ー用に使用される小型の船舶は、近年、一般的にも普及
してきているが、このような小型船舶では、シート上に
操縦者が座った状態で運転することとなるため、操向ハ
ンドルとしては、通常、シートに座った操縦者が操作し
易いように、船体に対して不動な状態に配置されるもの
が使用されている。

【０００３】一方、やはり水上でのレジャー用として最
近普及しているジェットスキーのようなスポーツタイプ
の小型ウォータービークルにおいては、操縦者が立った
状態で操作し易いように、船体に上下揺動自在に支持さ
れるステアリングポールを介して、操向ハンドルが船体
に対して可動な状態に配置されるものが多く使用されて
いる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な従来の小型船舶においては、シート前方の空間に操向
ハンドルがシート側に突出するように固定されて設置さ
れているため、この操向ハンドルが邪魔となって、船体
内のシート前方の船体部分が乗員のための有効空間とし
て利用できないものであった。

【０００５】そこで、そのような小型船舶において、操
向ハンドルをジェットスキーで多く使用されているステ
アリングポールを介したものとすることにより、停船時
にはステアリングポールを邪魔にならない状態に立てて
おくことによって、シート前方の空間部を広く有効に使
用できるものとし、小型船舶を水上において基地的にも
使用できるようなものとすることが本出願人によって考
えられている。

【０００６】ところが、小型船舶においてステアリング
ポールを介した操向ハンドルを使用した場合、操縦者が
シート上に座った状態で運転するときには、操向ハンド
ルが設けられたステアリングポールは、略垂直に近い起
立位置と略水平に近い格納位置との中間位置で揺動自在
の状態にあるため、操向ハンドルの位置が非常に不安定
な状態で操縦者が操作することとなり、操縦が困難で疲
れ易いものになると共に、安全性の上でも問題がある。

【０００７】本発明は、上記のような従来の小型船舶の
持つ不都合を解消することを目的としており、より具体
的には、操向ハンドルにステアリングポールを利用する
ことにより、停船時には船体内の乗員が利用できる有効
空間を増やして、小型船舶を水上でのレジャー基地的に
も使用できるようなものにすると共に、操船時には安定
した状態で操向ハンドルの操作を行うことができる小型
船舶を提供することを目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決しかつ目的を達成するために、前端が水平軸を介し
て船体に上下揺動自在に支持されると共に、船体後方に
向かって延在して後端に操向ハンドルが取り付けられた
ステアリングポールが設けられ、ステアリングポールの
後方にシートが配置されている小型船舶において、ステ
アリングポールを揺動範囲の中間位置で船体に対して固
定するための固定手段を設けることを特徴とするもので
ある。

【０００９】なお、上記ような小型船舶については、必
要に応じて、ステアリングポールとシートとの間に足載
せステップを設け、シートの下方にエンジンを配置し
て、シートの後部に設けたヒンジを中心にシートを開閉
自在に構成すると共に、ステアリングポールを略垂直に
跳ね上げた起立状態で船体に対して固定するための固定
手段を設けることが可能なものである。

【００１０】また、ステアリングポールを船体の略中心
線上に配置し、シートを船体の幅方向に延在させると共
に、シート前端縁における中央部分をその両側部分に対
して前方に突出させることも可能なものである。

【００１１】さらに、シートの構造を上記のようにすれ
ば、水噴出口から水を後方に噴出して船体を推進させる
水ジェット推進機を船体に搭載して、水ジェット推進機
に水噴出口を覆うことによって水を前方に転流させて船
体を後進させるリバースバケットを設け、リバースバケ
ットの操作レバーをシート前端縁の中央突出部の側面に
配置することも可能なものである。

【００１２】さらにまた、ステアリングポールを中間位
置で船体に固定するための固定手段については、非使用
時にステアリングポールに格納したり、船体側に形成さ
れた凹部に格納したりすることが可能なものであり、ス
テアリングポール自体については、その後端近傍にシー
ト部分を設けることも可能なものである。

【００１３】

【作 用】上記のような構成により、操船時には、ステ
アリングポールをシートに着座した操縦者に対応させた
中間位置で固定手段によって船体に対して固定すること
により、着座した操縦者は最適な位置に固定された状態
の操向ハンドルを安定した状態で操作することができ
る。

【００１４】また、停船時には、固定手段によるステア
リングポールの固定を解除することにより、ステアリン
グポールを揺動自在の状態とし、これを略垂直に跳ね上
げた起立状態としておくことによって、シート前方の船
体部分を乗員が利用できるような有効空間とすることが
でき、これを略水平に寝かせた状態としておくことによ
って、格納するときの船体を嵩張らずコンパクトなもの
としておくことができる。

【００１５】

【実施例】以下、本発明の小型船舶の一実施例について
図面に基づいて説明する。

【００１６】図１および図２は、本発明の小型船舶全体
を示すもので、小型船舶１には、前方デッキ部分２と後
方デッキ部分３との間に、それらの部分よりも床が低く
なっている無蓋の船室部分４が形成されていて、船室部
分４の前部には、後端に操向ハンドル６が取り付けられ
たステアリングポール５が設けられ、ステアリングポー
ル５の両側にシート８，８が設けられ、船室部分４の後
部にシート９が設けられ、ステアリングポール５とシー
ト９との間には足載せステップ１０が設けられている。

【００１７】船室部分４前部において船体の略中心線上
に配置されているステアリングポール５は、図３に示さ
れているように、その前端５ａが水平軸を介して船体に
上下揺動自在に支持されるもので、その後端近傍には、
操向ハンドル６が配置されていると共に、操向ハンドル
６の上方にはシート７が付設されている。

【００１８】ステアリングポール５の船体への取付けに
ついては、図４に示されているように、ステアリングポ
ール５の前端５ａが水平軸１１によって船体に固定され
た取付けブラケット１２に枢着されており、ステアリン
グポール５と船体に形成されている突起部１３との間に
はバネ１４が介在されていて、このバネ１４によってス
テアリングポール５を人力で起立させるときに必要とさ
れる力がアシストされることとなる。

【００１９】また、このように上下揺動自在に枢着され
ているステアリングポール５と船体との間には、枢着部
材１６により枢着され回動制限部材１５により船体に対
して一定角度回動自在に設けられている係止部材１７を
介在されていて、この係止部材１７を略垂直に跳ね上げ
た起立状態のステアリングポール５の前端５ａに押しつ
けるようにして係止させることにより、ステアリングポ
ール５の起立状態を固定して維持させることができる。

【００２０】このように船体に対して上下揺動自在に支
持されているステアリングポール５には、図５および図
６に示されているように、ステアリングポール５をその
揺動範囲の中間位置で船体に対して固定するための固定
手段であるアーム２０が、ステアリングポール５の裏面
の中央部付近に枢着部２１によって揺動自在に取り付け
られている。

【００２１】この一端がステアリングポール５に枢着さ
れているアーム２０の他端は、船体側に取り付けられて
いる係止部材２２に対して、係止突起２３によって着脱
自在に係合されるものであって、係止部材２２が船体の
適当な位置に配置されていることによって、アーム２０
の他端を係止部材２２に係合することにより、操向ハン
ドル６が操縦者が操作するのに最適な位置にくるよう
に、ステアリングポール５がその揺動範囲の中間位置で
船体に対して固定されることとなる。

【００２２】また、操船時以外のときでステアリングポ
ール５を中間位置で船体に対して固定する必要がなくア
ーム２０を使用しないときには、アーム２０は、ステア
リングポール５の裏面に取り付けられた係止部材２２と
同様の構造を持つ係止部材２４によってその他端部が係
合されることにより、図８に示されているように、ステ
アリングポール５の裏面に格納されることとなる。

【００２３】なお、上記の実施例では、アーム２０の一
端がステアリングポール５側に枢着されており、アーム
２０の他端が船体側に着脱自在に係合されるものとなっ
ているが、その逆にアーム２０の一端を船体側に枢着さ
せ、アーム２０の他端をステアリングポール５側に着脱
自在に係合させることも可能であって、その場合、図９
に示されているように、アーム２０を使用しないときの
ために、船体側にアーム２０を収納するための凹部２６
を形成し、この凹部２６の中に枢着部２１を配置すると
共に、アーム２０を保持するための挟持部２７を凹部の
適当位置に設けると良い。

【００２４】さらに、上記のようにステアリングポール
５とアーム１０が設けられている小型船舶において、図
９に示されているように、ステアリングポール５とシー
ト９との間に足載せステップ１０が設けられ、シート９
の下方にエンジン３０が配置されていると共に、シート
９自体はその後部に設けられたヒンジを中心に開閉自在
となるように（クッションのみを開閉自在としてもよい
し、シート台も含めて開閉自在としてもよい）船体に対
して取り付けられている。

【００２５】また、船体の幅方向に延在されているシー
ト９の形状については、図２に示されているように、そ
の前端縁における中央部分９ａがその両側部分９ｂ，９
ｂに対して前方に突出したようなものとなっている。

【００２６】また、船舶の推進駆動手段としては、図１
０に示されているように、水噴出口から水を後方に噴出
して船体を推進させる水ジェット推進機４０が船体の後
部に搭載されていると共に、水ジェット推進機４０には
水噴出口を覆うことによって水を前方に転流させて船体
を後進させるリバースバケット４１が設けられていて、
リバースバケット４１を操作するための操作レバー４２
が、図２に示されているように、シート９の中央突出部
９ａの側面に配置されている。

【００２７】以上説明したような本実施例の小型船舶に
よれば、シート９に着座した状態で操縦者が操縦する操
船時には、アーム２０によってステアリングポール５を
操縦者が楽に操縦できる中間位置に固定することがで
き、立ったままの状態で操縦者が操縦する操船時には、
アーム２０をステアリングポール５からはずして、従来
通りのステアリングポール５が揺動自在な状態で自由に
操縦することができ、船体の格納時にはステアリングポ
ール５を略水平に寝かせた状態とすることによって、船
体を嵩張らずコンパクトなものとしておくことができ
る。

【００２８】なお、立ったままの状態で操縦したり停船
時でアーム２０が不必要なときには、アーム２０を邪魔
にならない状態でステアリングポール５の裏面或いは船
体の凹部２６などに格納しておくことができる。

【００２９】また、ステアリングポール５を略垂直に跳
ね上げた起立状態に固定して維持しておけば、停船時に
シート９の前方の船室をシート８，８も使って広く有効
に利用することができると共に、シート９を開いてその
下方のエンジン３０のメンテナンスを行うような場合に
もステアリングポール５が作業の邪魔になることはな
い。

【００３０】さらに、停船時にステアリングポール５を
中間位置で固定すれば、ステアリングポール５の後端近
傍にシート７が付設されているため、図１１に示されて
いるように、このステアリングポール５自体を釣りなど
を行う場合の好適な椅子として利用することができるも
のである。

【００３１】

【発明の効果】以上説明したような本発明の小型船舶に
よれば、操向ハンドルにステアリングポールを利用する
ことにより、船舶を不使用時には嵩張らずコンパクトな
ものとでき、停船時には船室内の有効空間を増やして水
上でのレジャー基地的にも使用できると共に、ステアリ
ングポールを中間位置で固定できるため、シートに座っ
た状態で運転するときには、安定した状態で疲れずに操
向ハンドルの操作を行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の小型船舶の一実施例を示す斜視図。

【図２】図１に示された実施例の上面図。

【図３】図１に示された実施例におけるステアリングポ
ールを示す斜視図。

【図４】図１に示された実施例におけるステアリングポ
ールの取付け構造を示す一部断面図。

【図５】図１に示された実施例におけるステアリングポ
ールと固定手段（アーム）の配置関係を示す斜視図。

【図６】図５に示されたステアリングポールと固定手段
（アーム）の裏側から見た状態を示す斜視図。

【図７】図１に示された実施例における固定手段（アー
ム）のステアリングポールと船体に対する取付け構造を
示す斜視図。

【図８】図１に示された実施例におけるステアリングポ
ールへ固定手段（アーム）を格納した状態を示す斜視
図。

【図９】本発明において船体へ固定手段（アーム）を格
納する変形例を示す斜視図。

【図１０】図１に示された実施例の小型船舶において、
着座して操船している状態を示す説明図。

【図１１】図１に示された実施例の小型船舶において、
着座して操船している状態と停船して釣りをしている状
態のそれぞれのポジションを示す説明図。

【符号の説明】

１ 小型船舶 ５ ステアリングポール ６ 操向ハンドル ７ ステアリングポールのシート部分 ８ シート ９ シート ９ａ シート前端縁の中央部分 ９ｂ シート前端縁の両側部分 １０ 足載せステップ １７ ステアリングポールを起立状態に固定する固定手
段（係止部材） ２０ 固定手段（アーム） ２６ 船体側に形成された格納用凹部 ３０ エンジン ４０ 水ジェット推進機 ４１ リバースバケット ４２ リバースバケットの操作レバー

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 前端が水平軸を介して船体に上下揺動自
   在に支持されると共に、船体後方に向かって延在して後
   端に操向ハンドルが取り付けられたステアリングポール
   が設けられ、ステアリングポールの後方にシートが配置
   されている小型船舶において、ステアリングポールを揺
   動範囲の中間位置で船体に対して固定するための固定手
   段が設けられていることを特徴とする小型船舶。
2. 【請求項２】 ステアリングポールとシートとの間に足
   載せステップが設けられ、シートの下方にエンジンが配
   置され、シートの後部に設けられたヒンジを中心にシー
   トが開閉自在に構成されていると共に、ステアリングポ
   ールを略垂直に跳ね上げた起立状態で船体に対して固定
   するための固定手段が設けられていることを特徴とする
   請求項１に記載の小型船舶。
3. 【請求項３】 ステアリングポールが船体の略中心線上
   に配置され、シートが船体の幅方向に延在されていると
   共に、シート前端縁における中央部分がその両側部分に
   対して前方に突出されていることを特徴とする請求項１
   に記載の小型船舶。
4. 【請求項４】 水噴出口から水を後方に噴出して船体を
   推進させる水ジェット推進機が船体に搭載されているお
   り、水ジェット推進機に水噴出口を覆うことによって水
   を前方に転流させて船体を後進させるリバースバケット
   が設けられていて、リバースバケットの操作レバーがシ
   ート前端縁の中央突出部の側面に配置されていることを
   特徴とする請求項３に記載の小型船舶。
5. 【請求項５】 ステアリングポールを中間位置で船体に
   固定するための固定手段が、非使用時にステアリングポ
   ールに格納されるものであることを特徴とする請求項１
   に記載の小型船舶。
6. 【請求項６】 ステアリングポールを中間位置で船体に
   固定するための固定手段が、非使用時に船体側に形成さ
   れた凹部に格納されるものであることを特徴とする請求
   項１に記載の小型船舶。
7. 【請求項７】 ステアリングポールの後端近傍にシート
   部分が付設されていることを特徴とする請求項１に記載
   の小型船舶。