JPH07215091A - ヘッドアップディスプレイ - Google Patents

ヘッドアップディスプレイ

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Publication number
JPH07215091A
JPH07215091A JP6008779A JP877994A JPH07215091A JP H07215091 A JPH07215091 A JP H07215091A JP 6008779 A JP6008779 A JP 6008779A JP 877994 A JP877994 A JP 877994A JP H07215091 A JPH07215091 A JP H07215091A
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JP
Japan
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hologram
light
vehicle
display
head
Prior art date
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Pending
Application number
JP6008779A
Other languages
English (en)
Inventor
Norihito Nakazawa
伯人 中沢
Hiromi Sakurai
宏巳 桜井
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AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】発光表示手段から発せられた情報を含む光を観
測者に向けて回折する第1のホログラム26が風防合わ
せガラス6に配されていて、発光表示手段と第1のホロ
グラム26との間に介在されて臨界角よりも大きな角度
で発光表示手段からの光を回折する第2のホログラム2
2が合わせガラス6に配されているヘッドアップディス
プレイ。 【効果】第1のホログラムにフレアー光の発生する角度
で外光が入射することを防ぎ、フレアー光の発生を抑制
したヘッドアップディスプレイを得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヘッドアップディスプ
レイ(以下HUDとする)に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車内等の運転者に情報を表示する方
法として、HUDが最近用いられるようになっている。
これは、液晶表示装置等の情報投射手段から投射された
光学的情報を、自動車の風防ガラス等に組み込まれたホ
ログラムやハーフミラー等からなるコンバイナーに映
し、運転者が運転状態からほとんど視点を動かすことな
く情報を読み取れるようにしたものである。
【0003】特に、コンバイナーとしてホログラムを用
いたものは、運転者に向かって光学的情報を回折する機
能とともにレンズ機能等を併せ持つことができるので、
光学的情報を運転者の視野方向に回折したり、あるい
は、他にレンズ等の光学系を使用せず、任意の位置に結
像したりすることが可能であり、また、前景輝度を損な
わずに高輝度の表示像が得られるという特徴があるた
め、HUDのコンバイナーとしては有効である。
【0004】図11は、従来のHUDの一例を示す概念
図である。光源81から発し、レンズ系82を介して透
過型液晶表示素子83を通過した表示すべき情報を含む
光87は、収差補正用ホログラム84に反射され車体の
風防ガラス86に備えられたホログラフィックコンバイ
ナー85に照射され、回折されて運転者に観察位置88
で視認される。
【0005】上記レンズ系82はコリメーターとしての
機能を持つものであり、また、この機能はホログラム8
4または85に持たせることもできる。またホログラム
84または85に倍率を持たせれば速度表示89、警告
表示90の表示像を遠方に結像させることも可能にな
る。
【0006】また、ホログラム84および85は波長選
択機能を持つので、希望する色の像が表示可能となる。
通常その色は単一であることも多いが、多重露光したホ
ログラムによる多色表示も可能であり、表示情報の量と
質を向上できる。例えば、速度表示89を緑色、警告表
示90を赤色とすることによって、運転者に対してより
的確に情報を伝達することが可能となる。
【0007】かかるホログラフィックコンバイナーとし
ては、通常、反射型のホログラムが用いられるが、反射
型ホログラムの作製においては、ホログラムの感光材料
面の一方の面から参照光、他方の面から物体光を照射し
て、回折格子を作製する。
【0008】ホログラムの感光材料内部では、これら2
つのレーザー光が干渉して光の明暗の干渉縞が生じ、そ
れが感光材料の屈折率または密度などの物性の違いに基
づく回折格子として記録される。この種の反射型ホログ
ラムにおいては、光の入射角度と反射回折角度が異なる
場合、その回折格子面はホログラム表面に対して傾いて
おり、表面と平行ではない。
【0009】図6は風防ガラス内部に封入したホログラ
ムを示す概略断面図である。46はコンバイナーとして
機能する反射型ホログラムである。ホログラム46の内
部には図6に示すような表面に対して傾きを持った回折
格子が形成されている。ホログラム46は風防ガラスの
車内側ガラス板43に備えられ、ポリビニルブチラール
(PVB)よりなる中間膜45と共に、車外側ガラス板
44の内側に封入され安全合わせガラスを構成してい
る。中間膜45とホログラム46の界面47は、中間膜
中に含まれる可塑剤によりホログラムの特性が影響を受
けないような保護層となっている。
【0010】発光表示手段より発せられた情報を含む光
41は車内側ガラス板43に対して角度θ1 で入射し、
空気とガラスの屈折率の差により屈折し、合わせガラス
内部ではθ1 ’の角度となる。合わせガラス内部に入っ
た光はホログラム46によって運転者方向に反射回折さ
れる。ホログラム内部の回折格子は表面に対して傾いて
いるため、回折光のガラス内部角はθ2 ’となりガラス
板の表面で屈折して車内側では角度θ2 で出射し、光4
8として運転者等の観測者に視認される。一般にθ1
θ2 は車外側ガラス板表面での反射光による二重像を防
ぐため異なっており、また乗用車では光源、コンバイナ
ー、ドライバーの位置関係によりθ1 <θ2 となってい
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】かかるホログラムHU
Dを備えた車両に、図11に示す太陽や街路灯などの光
源91からの外光92が特定の角度でホログラフィック
コンバイナー85に入射すると、外光は情報を含む光8
7と共に93のように運転者に到達する。この外光によ
るノイズ光をフレアー光と呼ぶ。フレアー光の発生する
原因は次のように理解できる。図6の点線で示した外部
光49が入射するとき、その入射角θinがある特定の角
度である場合に外部光は車内側ガラスの表面に対しθ
1 ’で到達し再びθ1 ’でガラス板内部方向に50のよ
うに反射する。この角度は情報を含む光41のガラス内
部での角度と同じであるため、外部光はホログラム46
によって反射回折され車内側ガラス板表面から角度θ2
で出射することになり、情報を含む光48と共に51の
ように運転者等の観測者に外光が到達することになる。
図6からわかる通り、車内側ガラス板43の表面と車外
側ガラス板44の表面が平行であれば、θin’とθ1
が等しくなるので、ガラス外部での入射角はθin=θ1
の場合にフレアー光が観察されることになる。一般の車
両の風防ガラスは曲面形状をしているが、その曲率はそ
れほど大きくないので、目安としてθinとθ1 とがほぼ
等しい場合にフレアー光が観察されると考えられる。
【0012】前述の説明は、外光49の波長がホログラ
ム46に回折される情報を含む光48の波長と等しい場
合のものである。一般の外光は広い波長範囲の光を含む
ため、必ず上記の条件を満たす波長が含まれフレアー光
が発生すると考えてよい。しかも、外光49の入射角θ
inがθ1 とわずかにずれたとしても、いわゆる回折のブ
ラッグ条件を満足する波長の光が外光49に含まれれ
ば、外光49の一部はホログラム46によって回折され
て情報を含む光48とわずかにずれた方向に進むことに
なる。その方向が運転者等の観測者の視域から大きくず
れなければやはりフレアー光として観察されることにな
る。
【0013】このようなフレアー光が発生すると車外か
らの光の入射角度によって、明るいむらとして見えた
り、スポット状の輝点として見えたりして、HUDの表
示像の視認性を低下させるなどの悪影響をもたらす。特
に太陽光がフレアー光として観察されると、輝度が高い
ため眩惑を起こす可能性もあり安全上も問題があった。
また、夜間では周囲が暗いため、昼間には気付かないよ
うな街路灯などの弱い光もフレアー光として観察されて
しまい、運転する際に非常に目障りであった。このフレ
アー光は太陽や街路灯などの外部の光源を直線的に見る
のとは異なる角度で観察されるため、1つの光源が複数
個に見えることとなりまことに目障りな存在であった。
【0014】また前述のように、従来のホログラフィッ
クHUDは特定の波長の光を回折するため、運転者がホ
ログラムを通して外部を見た場合、その透過光の色はホ
ログラムの回折波長に対応する色(表示色)の補色とな
る。すなわち、図7に示すように表示色が緑のみである
場合は、外部からの無色光62(白色光とも呼ばれる
が、以下総称して白色光のことを無色光と呼ぶことと
し、白色も無色と呼ぶこととする)はホログラム61を
透過する際に、ホログラム内部の回折格子に一部反射回
折され、反射光63は緑色となる。したがって、透過光
64はその補色であるマゼンダ(ピンクから赤)となり
運転者65に対して刺激的で不快な色と感ぜられる。ま
たその結果背景の色調が影響を受けるため、運転中にお
ける道路等の車外状況の視認性が損なわれ安全上も問題
があった。
【0015】一方、図8に示すように、車両外の観測者
75(歩行者や対向車の運転者等)に対しては外光72
の反射色はホログラム71内部の回折格子の回折波長の
角度依存性により、観察する角度によって赤色(正面付
近観察)73から緑色(斜め観察)74と大きく変化
し、やはり不快な印象を与え、コンバイナーひいてはそ
れを搭載する車両そのものの意匠性、商品性を損なうと
いう問題があった。
【0016】図9は、この反射色の色変化のシミュレー
ション結果を表した色度図である。色度図はJIS−Z
8701で規定された色度座標x、yによって色を定量
的に表現するものである。図9で光源として示す×点は
無色を表す。ホログラムの色はこの点に近いほど無色に
近く観測者にとって好ましい色となる。
【0017】ところが、従来のHUDに用いられる単色
のホログラムの反射光の色は、例えばホログラムの回折
条件が波長545nm、回折効率60%、半値幅15n
mの場合は図9の黒菱形印のように変化する。すなわ
ち、正面付近では赤色となり、斜めになるにしたがいオ
レンジ色、黄色、緑色と大きく変化することがわかる。
正面から見た場合には刺激色である赤色となり、斜めか
ら見た場合は視感度の高いぎらぎらした緑色となり観測
者に不快な印象を与える。
【0018】そこで、特開平4−110984号公報に
は、車両外の観測者に対する反射光の色調を改善すべ
く、表示に用いる第1のホログラムによる反射色の色調
を改善するため、第1のホログラムの反射色の補色に近
い色を反射する第2のホログラムを積層または多重露光
するHUDが開示されているが、2色のホログラムで構
成されているため、完全には色調を改善できない。特に
表示色として頻繁に用いられる波長500〜560nm
の緑色光については、補色に対応する波長の光が存在し
ないため実際には反射色の色調を改善することは困難で
あるという欠点を有しており、また反射色の色調のみの
改善手段でしかなかった。
【0019】また、特開平3−179418号公報には
コンバイナーを通しての透過光の色調を改善するため、
表示用のホログラムの反射波長λ1 の補色となる波長λ
2 の光を反射または減衰させる光学素子を組み合わせる
HUDが開示されているが、上記の公知例と同様に2色
の構成で色補正しているため、緑色光に対しては完全に
は改善できないという同様の欠点を有しており、また透
過光の色調のみの改善手段でしかなかった。
【0020】また、特開平4−291221号公報に
は、緑色光に対してもコンバイナーの透過光の色調が改
善できるように、表示用のホログラムの反射波長λ1
補色となる波長域の光を合成できる複数の波長域を反射
または減衰させる光学素子を組み合わせるHUDが開示
されているが、透過光の色調に対してのみの改善である
ため、ホログラムと観測者を結ぶ特定の角度でしか効果
がなく、車両外の観測者に対してはホログラムの反射光
の色調は必ずしも改善されていなかった。例えば開示さ
れている実施例では、530nmの光を回折するホログ
ラムの透過光の色調を改善するため、530nmの光の
補色を合成可能な460nm,630nmの光を回折す
るホログラムを用いており、回折効率約90%、半値幅
約10nmである透過特性図を示している。この特性に
基づいて車外で観察するコンバイナーの反射色の色調シ
ミュレーションすると図10のようになり、斜め観察で
は比較的無色に近いものの正面観察では黄緑色に色づい
てしまうことがわかる。
【0021】以上のように、ホログラフィックコンバイ
ナーの反射光および透過光の色調を改善するため、複数
のホログラムを用いることは提案されているが、ホログ
ラムが原理的に回折現象を利用している以上、これらの
改善方法では外観色を十分に改善することはできなかっ
た。
【0022】また、上記のように3色のホログラムを用
いる場合、車外から入射した光は3色に対応する波長帯
域で反射回折されてしまうため、車内へ透過する光が減
少してしまう。法規により可視光線の垂直透過率は70
%以上と定められているが、3色のホログラムを合わせ
ガラスに封入した場合この規定を満足することは容易で
はなく、3色の波長にもよるがホログラムの回折効率を
60%程度以下に抑えないとならない。そのため表示像
の輝度の点からも問題となっていた。
【0023】また、ホログラムを用いたHUDではその
回折効果のため、ハロゲンランプや蛍光表示管(VF
D)のようなスペクトル半値幅の広い光源を用いた場
合、色収差が発生し表示虚像がボケてしまい視認性が劣
化する。それを補正するために図11の符号84のよう
に収差補正用の第2のホログラムを用いることが提案さ
れている。そのほか、ホログラムに限らずレンズや曲面
鏡のようなレンズ機能を持った光学素子を用いる場合、
入射光が単色光であっても表示虚像がボケたり歪んだり
することがある。その場合にも、ホログラムの露光条件
を最適化することによってある程度の効果があると共
に、色収差と同様に収差補正用のホログラムを用いるこ
とによって、これらの収差を防ぐことが可能となる。
【0024】したがって、従来のホログラムHUDでは
コンバイナー85の他に収差補正用ホログラム84を用
いる必要があり、システム全体として大きなサイズにな
ってしまった。光源81からホログラム84までのシス
テムは通常ダッシュボード内に収納しなければならない
が、ダッシュボード内のスペースは非常に狭いため制約
が多く、ホログラムHUDを搭載するには不都合が生じ
るものであった。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明は、従来技術が有
していた前述の欠点を解決するものであり、光源と表示
すべき情報を表示する表示体とを少なくとも備えて表示
すべき情報を光として発生する発光表示手段と、少なく
とも2枚のガラス板が中間膜を介して接着された合わせ
ガラスからなる車両の風防ガラスに配されていて前記光
を車両内の観測者に向けて回折する第1のホログラムか
らなるコンバイナーとを少なくとも備えたヘッドアップ
ディスプレイにおいて、前記合わせガラスには、前記発
光表示手段から発せられて合わせガラスに入射した後に
合わせガラスの内部から車内側あるいは車外側のガラス
板の表面に向かう光をガラス板表面で全反射させる臨界
角よりも大きく回折する第2のホログラムが配されてい
て、第2のホログラムで回折されて合わせガラス内部に
入射した前記光が第1のホログラムに向けて照射され、
第1のホログラムによって観測者に向けて回折されるこ
とを特徴とするヘッドアップディスプレイを提供するも
のである。
【0026】
【作用】本発明によるHUDを用いれば、ガラス板から
ホログラムへ向かって入射する情報を含んだ光の入射角
θ1 ’が、車内側ガラス板の車内側表面で全反射を起こ
す臨界角より大きいため(すなわち、車外側ガラス板の
車外側表面で全反射する臨界角より大きいため)、θ
1 ’とほぼ等しいフレアー光の入射角に対応するθin
も臨界角(以降、特にことわりのない限り車内側ガラス
板の車内側表面あるいは車外側ガラス板の車外側表面で
の全反射の臨界角を単に臨界角とする)より大きくな
る。臨界角より大きい角度でガラス板表面に入射する合
わせガラス内部での光は原理的に全反射し、合わせガラ
ス外部に透過することができない。言い替えれば合わせ
ガラス外部の光は臨界角より大きい角度では入射するこ
とが原理的にできない。したがって、フレアー光として
観察される角度で外部光が入射しないので、フレアー光
の発生を有効に低減できる。これは、外光が広い波長範
囲の光を含んでいたとしても、θ1 ’が臨界角よりも十
分大きければフレアー光の発生を抑制できる。
【0027】また同様の理由により車外の観測者がホロ
グラムの反射色を見る場合、ほとんどの観察角度領域に
おいて、ホログラムで回折された光が車外側ガラス板に
向かって入射する角度は臨界角より大きくなるため車外
には出射せず観察されない。またそれ以外の角度領域で
臨界角より小さくなる場合には、回折波長が長波長化し
赤外線領域となるため、やはり外部の観測者は感知でき
ない。したがって、第1のホログラムの外観反射色を有
効に改善することができる。
【0028】また第1のホログラムを通して車両外から
車両内に透過する外光に関しては、その色調を無色に近
づけるように選択した複数の色に対応する複数の波長の
光によって露光されたホログラムであるため、車内の観
測者にはその色調はほとんど無色と感じられる。
【0029】またホログラムを備えた合わせガラスに垂
直に光が入射した場合、ホログラムにより回折する波長
は赤外線領域となり感知できないため、実質的にはホロ
グラムは透明となり可視光線透過率を低下させることは
ない。したがって、効率の高い3色ホログラムであって
も可視光線垂直透過率の規定を十分に満足することがで
きる。
【0030】さらにまた本発明におけるHUDは第1の
ホログラムに臨界角より大きい角度で光を入射させるた
めの第2のホログラムを風防ガラスに備えており、また
第2のホログラムに収差補正の機能を併せ持たせること
によって、従来風防ガラスと光源の間に必要であった収
差補正用ホログラムが不要となり、光源側のシステムサ
イズが大幅に小型化され、ダッシュボード内への収納の
問題が解決される。
【0031】本発明では、情報を含む光を合わせガラス
内部で全反射させるために、第2のホログラムによって
合わせガラスに入射した情報を含む光の角度を変えてお
り、車両のスペースやシステムサイズの点から、第1の
ホログラムと第2のホログラムとが車両の上下方向に並
列に配されていることが通常行われるものである。この
場合、第2のホログラムは回折光が観測者に視認しやす
いように配されている第1のホログラムの近傍に配され
ていてもよいが、本発明では、第2のホログラムによっ
て回折された情報を含む光は、合わせガラス内部を全反
射することができるため、第2のホログラムは、合わせ
ガラスの目立たない位置に配することも可能である。特
に、合わせガラスの第2のホログラムに相当する部分の
第2のホログラムよりも車外側にセラミックカラー隠蔽
層を設け、外部光が入射しないように遮蔽すればフレア
ー光の発生を防止できる。
【0032】この際、ガラス板表面では全反射するの
で、複数回合わせガラス内部を反射させても、反射によ
るエネルギー的な損失の問題はない。しかも上述のよう
に風防ガラスと光源との間に第2のホログラムを介する
ことなく、収差補正用のホログラムとしての第2のホロ
グラムを配することができる。
【0033】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明における実施例
を説明する。図1は、本発明のHUDの一例を示す概念
図である。合わせガラス6の下方には発光表示手段が備
えられており、この発光表示手段は熱陰極管を用いた光
源1から発した光がコリメーターであるレンズ系2を介
し、透過型カラー液晶表示素子からなる表示体3を通過
した表示すべき情報を光7として発するものである。合
わせガラス6は2枚のガラス板が中間膜を介して接着さ
れたものであり、第1のホログラム26がこの合わせガ
ラス6に封入されていて、さらに第1のホログラム26
よりも下方に第2のホログラム22が封入されている。
発光表示手段から発せられた光7は、合わせガラス6に
封入された第2のホログラム22に照射回折され、合わ
せガラス6内部で全反射して伝播した後、第1のホログ
ラム26に照射されて、回折され、運転者に観察位置8
で視認される。
【0034】車内側ガラス板から第1のホログラム26
に向かって入射する光の入射角θin’はガラスと空気と
の界面での臨界角より大きいため、発光表示手段からの
情報を含む光は、そのままでは内部角θin’に対応する
角度で車内から直接照射することはできない。そこで本
実施例では第2のホログラム22を用いて入射させてい
る。第2のホログラム22は外部光が直接第2のホログ
ラム22に向かって入射しないように、ボンネットより
下側に配置されており、かつセラミックカラー隠蔽層1
1により車外側から遮蔽されている。
【0035】上記レンズ系2はコリメーターとしての機
能を持つものであり、ハロゲンランプのようなスポット
状の光源の場合に特に有効である。また、拡大機能をホ
ログラム22または26に持たせることもでき、速度表
示9、警告表示10の表示像を遠方に結像させることも
可能となる。必要に応じてレンズや曲面ミラーを用いて
もよい。
【0036】また、ホログラムは波長選択機能を持つの
で、希望する色の像が表示可能であり、さらに、多重露
光や複数枚のホログラムの積層によって多色表示が可能
となり、表示情報の量と質の向上ができる。本実施例で
は熱陰極管の発光ピーク波長に対応する545nmおよ
び612nmと、ホログラムを透過する外光の色調を無
色に近づけるための460nmの光を回折する多重露光
のホログラムを用い、速度表示9を緑色、警告表示10
を緑色と赤色とを混合したアンバー色(橙色)として表
示した。その結果、運転者に対してより的確に情報を伝
達することが可能となった。
【0037】なお、ホログラムは通常数10mmから数
100mm角程度の面積で、数μmから数10μm程度
の厚みである。このようなホログラムは、リップマンタ
イプ等の体積位相型のホログラムが高い回折効率を得ら
れるという点で望ましいが、エンボスタイプ、レインボ
ータイプ等のホログラムと呼ばれるものを広く用いるこ
とができる。また、ホログラム材料としては、ポリビニ
ルカルバゾールやアクリル系などのフォトポリマー、重
クロム酸ゼラチン、光レジスト、銀塩など種々の感光材
料を用いることができる。
【0038】例えば第2のホログラムによって反射回折
した情報を含む光が車内側ガラス板の車内側面で全反射
した後に、再び第2のホログラムに入射すると不要な回
折光が生じてしまうことがある。特に、合わせガラスの
厚さは2mm程度のガラス板2枚と中間膜とで通常5m
m程度と薄いため、第2のホログラムが数100mm角
程度(全反射の角度にもよるが、300mm角を超える
程度)を超えるようでは、車内側ガラス板で全反射した
情報を含む光が再び第2のホログラムに入射することが
ある。そこで、第2のホログラムとしてある程度小さな
大きさ(100数10mm角程度)であれば、全反射し
てきた光の再度の第2のホログラムへの入射を防ぐこと
ができる。
【0039】本実施例ではコンバイナーとして横150
mm×縦120mmの大きさで、厚さが20μmのアク
リル系フォトポリマーよりなる感光材料を用い、体積位
相型の反射型ホログラムを用いた。
【0040】また、ホログラムを通して車両外から車両
内に透過する外光の色調を、無色に近づけるように選択
した複数の色に対応する複数の波長の光によって露光さ
れたホログラムを作製する場合、本実施例のように1枚
の感光材料の中に3重に露光することが好ましいが、複
数の感光材料に個別に露光したホログラムを積層しても
もちろん支障ない。また、感光する波長帯域の異なる複
数の感光材料をあらかじめ積層しておいて、複数の波長
で露光するのも有効な方法である。
【0041】本発明における発光表示手段は光を発して
表示する機能を持つものであり、液晶表示素子等のいわ
ゆる受光型表示素子からなる表示体に熱陰極管(HC
T)、冷陰極管、蛍光表示管(VF)、ハロゲンラン
プ、LEDなどからなる光源から発した光を照射するも
のであり、また、これらの機能を併せ持つものであって
もよい。
【0042】本発明におけるHUDをカラー表示とする
場合、液晶表示素子としては、カラーフィルターと透過
型のツイストネマチック型液晶素子や、スーパーツイス
トネマチック型液晶表示素子等からなるカラー液晶表示
素子等が好ましく使用でき、一つの光源から発せられた
光を所望の色の光として照射することができる。
【0043】このようにして複数の色の光は、同一の発
光表示手段から発することができ、これら複数の色の光
が同時に表示される場合には表示像を重ねて表示するこ
とができる。逆にこの表示像の重なりを防ぐように、必
要に応じてカラーフィルターと光源の組み合わせによっ
て、あるいはカラー液晶表示素子を制御することによっ
て、複数の色の光が同時に照射されないようにしてもよ
い。
【0044】また、それとは別に、受光型表示素子を用
いず、上記の光源自体をパターン化して配列し特定の情
報を光として発生するものであってもよい。受光型表示
素子に上記光源を併用したものの場合は、この受光型表
示素子と光源との間にレンズ系や曲面反射鏡等の適当な
光平行化手段、導光板等の適当な導光手段を配置しても
よい。さらに、ホログラムに光が投射されるまでの光径
路内に、必要に応じて、光偏光手段、あるいは、KNO
3 等の非線形光学素子を配置してもよい。
【0045】また本発明のHUDをカラー表示とする場
合、コンバイナーから表示像までの距離を各色で同一と
すれば同一平面内にカラー表示ができ、また、色によっ
て変えた場合には表示色によって表示像の観察される距
離の異なる立体的な像を得ることができる。
【0046】本実施例のHUDの要部概略断面図を図2
に示す。前述のように本実施例の第1のホログラム26
は熱陰極管の発光ピーク波長に対応する545nmおよ
び612nmと、外光の透過光の色調を無色に近づける
ための460nmの光を回折する3重露光のホログラム
を用いている。その回折効率は各々約60%であり、半
値幅は15nm程度であった。また合わせガラス6に
は、第1のホログラム26に臨界角より大きい角度で光
を入射させるための第2のホログラム22が封入されて
いる。第2のホログラム22としては、表示に必要な5
45nmおよび612nmの光を回折するように2重露
光されたホログラムを用いている。その回折効率は各々
約80%であり、半値幅は15nmであった。
【0047】発光表示手段から第2のホログラム22へ
入射する光の入射角θ1 は30゜であり、車内側ガラス
板23から第2のホログラムへ向かって入射する入射角
θ1’はガラスの屈折率が約1.52、空気が約1.0
0であるからスネルの法則により、θ1 ’=sin
-1((sin30゜)/1.52)≒19.2゜であ
る。ガラスと空気の界面での臨界角はsin-1(1.0
0/1.52)≒41.1゜である。したがって、第2
のホログラムからの反射回折角θ3 ’を41.10より
大きくすることによって、θ3 ’は臨界角より大きくな
る。なお、雨天の場合等にガラス板表面に水滴が付着す
ると全反射条件が崩れることがあるため、θ3’は4
1.1°よりもかなり大きい値をとることが好ましい。
具体的には、水の屈折率が約1.33であり、sin-1
(1.33/1.52)≒61.0゜であるから、θ
3 ’>61.0°であることが望ましい。本実施例では
余裕を持ってθ3 ’=70゜とした。
【0048】第2のホログラム22により回折された光
は合わせガラス内部、すなわち車内側ガラス板の車内側
表面と車外側ガラス板の車外側表面とでを複数回全反射
して伝播した後に、第1のホログラム26にθ3 ’で入
射する。第1のホログラム26の反射回折角は、第1の
ホログラム26の設置位置と運転者の観察位置とを勘案
しθ2 =60゜とした。したがって、第1のホログラム
を回折して車内側ガラス板23の車内側表面に向う入射
角θ2 ’はθ2 ’=sin-1((sin60゜)/1.
52)≒34.7゜となる。
【0049】本実施例のホログラム22および26は合
わせガラス6の車内側ガラス板23の車外側面に接着さ
れ、ポリビニルブチラールよりなる中間膜25と共に、
車外側ガラス板24の内側に封入されて風防ガラスとな
っている。中間膜25とホログラム22および26の界
面は中間膜中に含まれる可塑剤によりホログラムの特性
が影響を受けないような保護層27となっている。保護
層としてはポリビニルアルコールフィルムを用いた。
【0050】HUDでフレアー光が発生するのは、前述
した通りθin’=θ3 ’となるような方向から光が入射
する場合である。ところが、本実施例ではθin’=θ
3 ’はガラスと空気の臨界角より大きいため29のよう
に全反射条件を満たし、外部からの光はθin’に対応す
る角度で入射することができない。したがって、フレア
ー光は発生し得ない。外部光が広い波長範囲の光を含ん
でいてあらゆる角度から入射するとしても、θ3 ’が臨
界角より十分大きい70゜に設定してあるのでフレアー
光の発生を有効に防ぐことができた。
【0051】また本実施例の第1のホログラムでは、車
外の観察者が見た場合の反射色も劇的に改善されてい
る。いま図2のように外光30が入射した場合第1のホ
ログラム26に反射回折された外光31は、車外側ガラ
ス板24の表面で全反射してしまい再び車外に出射する
ことができない。また別の角度で入射する外光32で
は、第1のホログラム26で反射回折された光が33の
ように外部に出射する場合があるが、そのときの回折波
長はブラッグ条件により長波長化して赤外光領域となる
ため、車外の観察者には感知できない。したがって、外
部の観察者はいかなる角度で入射した光でも、第1のホ
ログラムによる反射回折光を見ることができないため、
実質的に第1のホログラムの反射色は無色となる。
【0052】図4は本実施例のホログラムの反射回折光
の色調の変化の様子を示す色度図である。黒菱形で示す
ホログラムの反射色は観察角度を垂直面内で変化せせて
も、ほぼ×印で示す光源の色度と等しく無色となってい
る。光源と比べわずかに右寄り(赤色領域)にあるの
は、入射設定角θ3 ’において460nmを回折するホ
ログラムによる回折光が、ブラッグ条件により長波長化
してはいるが完全には赤外線領域ではなくわずかに赤色
として観察されるためである。このことは青色ホログラ
ムの回折波長を長波長化するか内部角θ1 ’をさらに大
きくすることによって容易に防ぐことができる。
【0053】また、車外からの外光34が第1のホログ
ラム26を透過して運転者に観察される光35の色調
は、その色調を無色に近づけるように赤緑青の3原色露
光したホログラムを第1のホログラムとして用いている
ため、ほとんど無色となっている。
【0054】また、本実施例では可視光線垂直透過率に
関しても改善された。垂直に入射する光がホログラム2
6に回折される波長はブラッグ条件により長波長化され
ており、人間の目には感知できない赤外光域の光となっ
ている。可視光線垂直透過率は人間の目の視感度で補正
された数値であるため、実質的にホログラムは透明であ
るといえる。本実施例では車外側ガラス板として2mm
厚のブロンズガラスを用い、車内側ガラスとして2mm
厚の透明ガラスを用いた。ホログラム無しの場合の可視
光線垂直透過率は約82%であるが、第1のホログラム
を備えた部分でも約80%であり、法規(70%)を十
分に満足している。
【0055】また本実施例の第2のホログラムとして、
第1のホログラム26による色収差、ボケ、歪み等の収
差量を極小化するように露光されたものを用いることに
よって、ダッシュボード内の光源側には収差補正用ホロ
グラムが不要となった。したがって、システム全体の大
幅な小型化を実現することができる。
【0056】また、第2のホログラム22に対し図6の
36で示すような方向から外部光が入射すると、その外
部光は第2のホログラムで回折され情報を含む光28と
共に運転者の視域内に到達してしまいフレアー光となっ
てしまう。しかし、本実施例のように第2のホログラム
をボンネットより下に配置し、車外側にセラミックカラ
ー隠蔽層37を備えて外部光を遮蔽することによって、
第2のホログラムによるフレアー光の発生を有効に防ぐ
ことができた。
【0057】本発明の第2から4の実施例におけるHU
Dの要部概略断面図を図3に示す。これらの実施例にお
いて、第1のホログラム26は熱陰極管の発光ピーク波
長に対応する545nmと612nmおよび433nm
の光を回折する3重露光のホログラムを用いている。そ
の回折効率は各々約60%であり、半値幅は15nm程
度であった。車内側ガラス板23あるいは車外側ガラス
板24から第1のホログラムに向かって入射する光の入
射角θ3 ’が75゜、回折角θ2 が60゜となるよう
に、ホログラム感光材料を露光して第1のホログラム2
6とした。これらの実施例ではカラー液晶による表示体
を併用し、フルカラー表示のHUDを構成している。
【0058】合わせガラスの車外側ガラス板には、意匠
性や熱線吸収のため色付きガラス板を用いることが多
い。その場合合わせガラス内部を反射して伝播する情報
を含む光の強度は色付きガラス板への吸収によって減衰
してしまう。この減衰を防ぐ手段として、色付きでない
車内側ガラス板の内部のみを伝播させることが考えられ
る。
【0059】図3(a)で示す第2の実施例では、第2
のホログラムとして第1の実施例と同様に反射型のホロ
グラム22を用いている。第2のホログラム22により
臨界角より大きい角θ3 ’=75゜で回折された情報を
含む光は、減衰を防ぐため色付きでない車内側ガラス板
23の内部のみを全反射して伝播するように車内側ガラ
ス板23に配された第3の反射型ホログラム38で回折
される。ホログラム38は臨界角より大きな入出射角を
持つ正反射型ホログラムであり、かつ透過色の色調を無
色に近づけるように複数の波長で露光されているため、
フレアー光、反射色、透過色、可視光透過率の問題がな
い。光は最終的に第1のホログラム26に向かって入射
して28のように運転者に回折する。
【0060】第3の実施例の図3(b)では、反射型の
第2のホログラム22と透過型の第1のホログラム26
を用いている。第2のホログラムにより回折された光は
合わせガラス内部を全反射して伝播した後、第1のホロ
グラム26で回折されて光28として運転者に到達す
る。
【0061】第4の実施例では図3(c)のように、車
外側からセラミックカラー隠蔽層37によって外光から
遮蔽された透過型の第2のホログラム22を車内側ガラ
ス板23の車内側面に貼設して、反射型の第3のホログ
ラムを用いて車内側ガラス板23の内部のみを光が全反
射して伝播し、反射型の第1のホログラム26で回折さ
れて28のように運転者に到達する。この場合、第2の
ホログラム22の車内側表面には、第2のホログラムを
保護する透明保護フィルム(図示せず)が貼設されてい
ることが好ましい。
【0062】第3のホログラムの入出射角を臨界角より
大きくすることによって、第1のホログラムと同様の理
由でフレアー光、反射色、可視光の問題はない。また透
過色については、透過色の色調が無色に近づくよう複数
の波長の光で第3のホログラムの感光材料を露光するこ
とによってやはり問題はない。
【0063】これらの実施例では共通して、第1の実施
例と同様にフレアー光、反射色、透過色、可視光透過
率、システムサイズの問題が解決された。また、第1の
ホログラムへの内部入射角θ3 ’は75゜と第1の実施
例よりも更に大きくしているため、外光の反射色の変化
は図5の色度図に示すように、第1の実施例よりも更に
無色に近づいた。また外光の透過光の色調は、赤緑青の
3原色に対応する3重露光のホログラムを用いているた
めほとんど無色にすることができた。また可視光線垂直
透過率についても第1の実施例と同様に80%程度を確
保することができ法規の70%を十分超えることができ
た。
【0064】上記のように、本発明の実施例として4つ
を例示したが、本発明がこれらに限定されるものでない
ことはもちろんである。例えば、第3の実施例ように車
外側ガラス板の車外側表面で光を全反射させる場合であ
って、そのために発光表示手段からの光を回折させる第
2のホログラムとして、透過型のホログラムを用いても
よい。
【0065】本発明におけるホログラムは合わせガラス
に配されるものであり、透過型のホログラムを用いる場
合には合わせガラスの表面(車内側表面)に貼設されて
もよいが、特にホログラムの保護の点に鑑みて、合わせ
ガラスの内部に封入して用いることが好ましい。ホログ
ラムが合わせガラスの車内側表面に貼設されている場合
には、ホログラムの車内側表面から透明保護フィルム
(図示せず)が積層されることが好ましい。
【0066】ホログラムが合わせガラスの車内側表面に
貼設されている場合には、ホログラムを保護するために
その車内面側表面に透明保護フィルムが積層されてい
る。この場合、透明保護フィルムはホログラムの全面を
覆うだけの大きさであれば十分であり、ホログラムの大
きさよりも若干大きくても風防ガラスの全面に積層され
るだけの大きさを有していても特に制限はない。また、
この透明保護フィルムとしては、ガラスの屈折率とほぼ
同程度の屈折率を有する材料を用いることが、運転者等
の視認性の点に鑑みて好ましい。この場合、ホログラム
に向かって入射する情報を含む光の入射角は、透明保護
フィルムの車外側表面で全反射する臨界角よりも大きい
ため、透明保護フィルムによるフレアー光が生じること
も防止されている。
【0067】なお、ポリウレタン等からなる自己修復性
を有する透明樹脂膜をガラス板の全面に積層することに
よって得られる安全ガラスに用いられるその透明樹脂膜
自身を、この透明保護フィルムとして採用することも可
能である。合わせガラスは、通常2枚のガラス板をその
間に中間膜を介在させて接着させたものを指すが、上記
の安全ガラスも合わせガラスに含めた場合、車外側ガラ
ス板と上記の透明樹脂膜との間にホログラムが封入され
る際には、透明樹脂膜と車外側ガラス板との間を複数回
全反射した情報を含む光を観測者に向けて回折するホロ
グラムとして透過型のものも反射型のものもどちらも用
いることができる。
【0068】また、ホログラムは車外側ガラス板に当接
するように配されてもよく、合わせガラスに封入する場
合には、その製造の容易な点に鑑みれば、車内外のうち
の一方のガラス板に当接させることが好ましい。特に、
情報を含む光を車内側ガラス板の内部のみを伝播させる
場合には、ホログラムが車内側ガラス板のみに当接させ
て配されることによって、情報を含む光は中間膜をも伝
播することがないため好ましい。
【0069】
【発明の効果】本発明によれば、発光表示手段から第2
のホログラムを介して第1のホログラムへ入射する光の
入射角が臨界角より大きいため、フレアー光の発生する
角度で外光が入射することがなく、フレアー光の発生を
有効に抑制されたHUDを得ることができる。また、第
1のホログラムによる反射色の色調についても、上記の
入射角が臨界角より大きいため回折光が車外に出射する
ことがなく、また出射したとしてもその光は長波長化し
て赤外線領域となるため人間に感知できないため、第1
のホログラムの反射色をほとんど無色にすることができ
る。さらに、外部光の第1のホログラムの透過光の色調
に関しても、その色調を無色に近づけるように選択した
複数の色に対応する複数の波長の光によって露光したホ
ログラムを用いているため、ほとんど無色にすることが
できる。このように露光されたホログラムを第1のホロ
グラムとして用いることによって、本発明におけるHU
Dを多色表示のカラーHUDとすることも容易にでき
る。さらにまた、可視光垂直透過率に関してもホログラ
ムによる垂直入射光の回折波長が赤外線領域となるため
ほとんど影響を与えることはなく、法規の基準を容易に
満足することができる。
【0070】さらに本発明では、第1のホログラムへ臨
界角より大きな角度で入射させるための第2のホログラ
ムを用いており、第2のホログラムを第1のホログラム
によって生ずる表示虚像のボケ、歪み、色収差を補正す
る機能を持たせることによって、従来提案されていた収
差補正用のホログラムをダッシュボード等に別に設ける
必要がなく、光源システムの大幅な小型化を可能とす
る。
【0071】本発明におけるHUDは、第2ホログラム
からの回折光を合わせガラス内を全反射させて伝播させ
ているため、第2ホログラムと第1のホログラムとの空
間的な重複を避けることができる。
【0072】特に車外側ガラス板として色付きガラスを
用いる場合は、色付きでない車内側ガラス板内のみを伝
播させるための第3のホログラムを用いるので、光の減
衰を防ぐことができる。
【0073】この第3のホログラムとして、臨界角より
大きい入出射角を持ち、透過色の色調を無色に近づける
ように複数の波長で露光されたものを用いることによっ
て、第1のホログラムと同様な理由でフレアー光、反射
色、透過色、可視光透過率の問題もない。
【0074】さらに、第2のホログラムの車外側に第2
のホログラムへ向う外部光が入射しないようにセラミッ
クカラー隠蔽層を合わせガラスに設けることによって、
第2のホログラムによるフレアー光の発生も防ぐことが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のHUDの一例を示す概念図
【図2】本発明におけるHUDの要部の一例を示す概略
断面図
【図3】本発明におけるHUDの要部概略断面図
【図4】本発明のHUDの反射色の変化の一例を示す色
度図
【図5】本発明のHUDの反射色の変化の別の一例を示
す色度図
【図6】風防ガラス内部に封入したホログラムおよびフ
レアー光の発生メカニズムを説明する概略断面図
【図7】ホログラムの透過色を説明する概念図
【図8】ホログラムの反射色を説明する概念図
【図9】従来のHUDの反射色の変化の一例を示す色度
【図10】従来のHUDの反射色の変化の別の一例を示
す色度図
【図11】従来のHUDを示す概念図
【符号の説明】
1:光源 2:レンズ系 3:表示素子 6:合わせガラス 7:情報を含む光 8:運転者の観察位置 9:速度表示 10:警告表示 11:セラミックカラー隠蔽層 22:第2のホログラム 26:第1のホログラム

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光源と表示すべき情報を表示する表示体と
    を少なくとも備えて表示すべき情報を光として発生する
    発光表示手段と、少なくとも2枚のガラス板が中間膜を
    介して接着された合わせガラスからなる車両の風防ガラ
    スに配されていて前記光を車両内の観測者に向けて回折
    する第1のホログラムからなるコンバイナーとを少なく
    とも備えたヘッドアップディスプレイにおいて、前記合
    わせガラスには、前記発光表示手段から発せられて合わ
    せガラスに入射した後に合わせガラスの内部から車内側
    あるいは車外側のガラス板の表面に向かう光をガラス板
    表面で全反射させる臨界角よりも大きく回折する第2の
    ホログラムが配されていて、第2のホログラムで回折さ
    れて合わせガラス内部に入射した前記光が第1のホログ
    ラムに向けて照射され、第1のホログラムによって観測
    者に向けて回折されることを特徴とするヘッドアップデ
    ィスプレイ。
  2. 【請求項2】第2のホログラムと第1のホログラムとの
    間には、第2のホログラムで回折された光を車内側ガラ
    ス板に向けて正反射する第3のホログラムが合わせガラ
    スに封入されて備えられていることを特徴とする請求項
    1のヘッドアップディスプレイ。
  3. 【請求項3】第3のホログラムは、ホログラムを通して
    車両外から車両内に透過する外光の色調を無色に近づけ
    るように選択した複数の色に対応する複数の波長の光に
    よって露光されたホログラムであることを特徴とする請
    求項2のヘッドアップディスプレイ。
  4. 【請求項4】第1のホログラムは透過型ホログラムであ
    って、前記合わせガラスに封入されて合わせガラスの車
    外側ガラス板の車外側表面で全反射した前記光を観測者
    に向けて透過回折することを特徴とする請求項1〜3の
    いずれかのヘッドアップディスプレイ。
  5. 【請求項5】第1のホログラムは透過型ホログラムであ
    って、前記合わせガラスの車内側表面に貼設されている
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかのヘッドアッ
    プディスプレイ。
  6. 【請求項6】第1のホログラムは反射型ホログラムであ
    って、前記合わせガラスに封入されて合わせガラスの車
    内側ガラス板の車内側表面で全反射した前記光を観測者
    に向けて反射回折することを特徴とする請求項1〜3の
    いずれかのヘッドアップディスプレイ。
  7. 【請求項7】前記合わせガラスの車外側ガラス板の第2
    のホログラムに相当する部位であって第2のホログラム
    よりも車外側には、セラミックカラー隠蔽層が積層され
    ていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかのヘッ
    ドアップディスプレイ。
  8. 【請求項8】前記臨界角が、空気または水の屈折率とガ
    ラスの屈折率とで定まる空気または水とガラス板との界
    面における臨界角であることを特徴とする請求項1〜7
    のいずれかのヘッドアップディスプレイ。
  9. 【請求項9】第1のホログラムは、ホログラムを通して
    車両外から車両内に透過する外光の色調を無色に近づけ
    るように選択した複数の色に対応する複数の波長の光に
    よって露光されたホログラムであることを特徴とする請
    求項1〜8のいずれかのヘッドアップディスプレイ。
  10. 【請求項10】第2のホログラムは、第1のホログラム
    によって形成される表示虚像の収差量を極小化するよう
    露光されたホログラムであることを特徴とする請求項1
    〜9のいずれかのヘッドアップディスプレイ。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014215410A (ja) * 2013-04-24 2014-11-17 大日本印刷株式会社 ホログラフィック光学素子の製造方法並びに当該製造方法によって製造されたホログラフィック光学素子を備えるホログラフィック光コンバイナ
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