JPH07214723A - 熱遮蔽材料 - Google Patents

熱遮蔽材料

Info

Publication number
JPH07214723A
JPH07214723A JP6012670A JP1267094A JPH07214723A JP H07214723 A JPH07214723 A JP H07214723A JP 6012670 A JP6012670 A JP 6012670A JP 1267094 A JP1267094 A JP 1267094A JP H07214723 A JPH07214723 A JP H07214723A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
metal
heat
linear expansion
composite ceramic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP6012670A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2575286B2 (ja
Inventor
Yuji Matsuzaki
祐司 松崎
Junzo Fujioka
順三 藤岡
Masashi Kawamura
昌志 川村
Shozo Okazaki
章三 岡崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kawasaki Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Kawasaki Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kawasaki Heavy Industries Ltd filed Critical Kawasaki Heavy Industries Ltd
Priority to JP6012670A priority Critical patent/JP2575286B2/ja
Publication of JPH07214723A publication Critical patent/JPH07214723A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2575286B2 publication Critical patent/JP2575286B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Turbine Rotor Nozzle Sealing (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 遮熱性能に優れているとともに超高温に耐え
ることができ、ガスタービンエンジンの燃焼器・静翼・
動翼、次世代の超音速機用機体・エンジン構造材料な
ど、極めて高い熱負荷を受け、かつ大きな熱応力を生じ
ることが予想される遮熱部材として使用しても優れた性
能を発揮する熱遮蔽材料を提供する。 【構成】 最表層を複合セラミックス層とし、金属基材
に接する層を金属のみの金属層で構成し、上記複合セラ
ミックス層と金属層との中間層をセラミックスと金属の
複合材料で構成し、複合セラミックス層から中間層を経
て金属層に至る組成の線膨張係数を、熱遮蔽材料内の熱
応力を最小ならしめるように連続的に変化させている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガスタービンエンジン
の燃焼器・静翼・動翼、次世代の超音速機用機体・エン
ジン構造材料など、極めて高い熱負荷を受け、かつ大き
な熱応力を生じることが予想される遮熱部材への適用を
目的とした熱遮蔽材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高温の燃焼ガス流にさらされる金属基材
の表面に、プラズマ溶射により熱遮蔽性セラミックスコ
ーティングを施し、熱流束レベルの低減による構造部材
の長寿命化を意図する方法は公知である。例えば、金属
基材の表面に、まず100μm厚程度のボンドコート
(例えば、Ni・Co等の金属とCr・Al・Yの合金
からなるもの、以下この合金を「MCrAlY」とい
う)を施し、このボンドコートの上に200μm厚程度
の遮熱層たる完全安定化ジルコニアまたは部分安定化ジ
ルコニア(以下、単に「ジルコニア」という)をプラズ
マ溶射または電子ビームPVDによりコートする、「二
層コーティング」が知られている。しかし、この場合の
ジルコニアの最高表面温度は約1020℃程度、ボンド
コートとジルコニアとの界面温度は約920℃程度であ
ると推定され、遮熱層内の温度落差は100K程度であ
る。温度落差は遮熱性能の指標となるパラメータであっ
て、温度落差が大きいほど遮熱性能は高いといえる。そ
こで、この温度落差を大きくするためにジルコニアコー
ティングの厚さを200μm以上にすると、ジルコニア
層とボンド層界面への熱応力集中によりコーティング層
が剥離するため、二層コーティングによる熱遮蔽材内の
温度落差は100K程度が限界であった。
【0003】このように、遮熱層(ジルコニア)を厚膜
化して高い温度落差を得ようとすると、ジルコニア層と
ボンド層界面での膨張率ミスマッチに基づく熱応力破壊
が問題となったので、これを回避する手段として、最表
面のジルコニア層と内側の金属ボンド層(MCrAl
Y)との間に、両者が組成比で50%づつ混合された層
を挿入する構造(三層コーティング)や、最表面のジル
コニア層から内側の金属ボンド層へと組成が連続的に変
化する傾斜機能材料(以下「FGM」という)が提案さ
れている。例えば、米国特許第4248940号には、
「最表面をジルコニア単独層とし、ボンドコートをコバ
ルト、鉄、ニッケルまたはニッケル−コバルト合金の中
のいずれかと、10〜25%のクロムと、10〜18%
のアルミニウムと、1%以下のイットリムの合金で構成
し、ジルコニア単独層とボンドコートの間において、こ
れら両層の成分を連続的に変化せしめるように構成した
熱遮蔽材料」が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たように、ジルコニア/MCrAlYの二層コーティン
グでは、熱応力によるコーティング層の剥離を防止する
観点から熱遮蔽材料の厚さは限界に達しており、熱遮蔽
材内の温度落差は100Kが上限である。従って、二層
コーティングでは、将来のガスタービンエンジンのター
ビン入口温度の高温化に代表されるような実機使用条件
の過酷化に対して、その要求に充分に応えることはでき
ない。
【0005】また、三層コーティングやFGMでは、熱
遮蔽材内の温度落差が大きくなるため遮熱性能は向上す
るが、逆にこの大きな温度勾配に起因して高温ガス側表
面(セラミックス層)に縦亀裂が発生したり、剥離が生
じることがある。これは、高温側表面と低温の内側(金
属基材側)との間の熱膨張量に差異があるため、低温の
金属基材側に比して高温のセラミックス側でより大きな
熱膨張歪を発生し、極めて大きな圧縮応力下に置かれる
結果である。この傾向は、最表面層のセラミックスとし
て金属材料に近い線膨張係数を有する材料(例えばジル
コニア、その線膨張係数は約11×10-6/kである)
を用いた場合において特に顕著になる。
【0006】すなわち、金属基材上に熱遮蔽材料として
セラミックコーティングを施す場合、コーティング層の
剥離防止のためにセラミックコーティングの線膨張係数
を金属基材の線膨張係数に近似させるのが基本的な考え
方であるが、温度落差を大きくするために熱遮蔽材料の
厚みを増加した場合、熱遮蔽材料の最高表面温度と金属
基材表面温度がかなり異なるため、両者の線膨張係数が
近似していると、熱遮蔽材料と金属基材の温度差がその
まま両者の熱膨張量の差となって現れ、大きな熱膨張歪
を発生することになるのである。
【0007】本発明は従来の技術の有するこのような問
題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、遮熱
性能に優れているとともに超高温に耐えることができる
熱遮蔽材料を提供することにある。また、本発明の目的
は、ガスタービンエンジンの燃焼器・静翼・動翼、次世
代の超音速機用機体・エンジン構造材料など、極めて高
い熱負荷を受け、かつ大きな熱応力を生じることが予想
される遮熱部材として使用しても優れた性能を発揮する
熱遮蔽材料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の熱遮蔽材料は、金属基材を被覆するもので
あって、最表層を複合セラミックス層とし、金属基材に
接する層を金属のみの金属層で構成したものである。
【0009】また、本発明の熱遮蔽材料は、金属基材を
被覆するものであって、最表層を複合セラミックス層と
し、金属基材に接する層を金属のみの金属層で構成し、
上記複合セラミックス層と金属層との中間層をセラミッ
クスと金属の複合材料で構成し、複合セラミックス層か
ら中間層を経て金属層に至る組成の線膨張係数を、熱遮
蔽材料内の熱応力を最小ならしめるように連続的に変化
させたものである。
【0010】上記複合セラミックスが、完全安定化もし
くは部分安定化ジルコニアと8.0×10-6/K以下の
線膨張係数を有する酸化物を有し且つ該複合セラミック
スの線膨張係数が完全安定化もしくは部分安定化ジルコ
ニアの線膨張係数以下であるのが好ましい。さらに、複
合セラミックスの線膨張係数は、8.0×10-6〜1
0.5×10-6の範囲にあるのが特に好ましい。
【0011】上記完全安定化もしくは部分安定化ジルコ
ニアの安定化成分は、Y2 3 、Yb2 3 、CeOま
たはMgOの中の1種以上を使用することができる。ま
た、上記ジルコニア中の安定化成分の比率は、6〜20
重量%であるのが好ましい。
【0012】8.0×10-6/K以下の線膨張係数を有
する酸化物は、アルミノシリケートガラス、ボロシリケ
ートガラス、五酸化タンタル(Ta2 5)、五酸化ニオ
ブ(Nb2 5)、五酸化バナジウム(V2 5)、燐酸ジ
ルコニル((ZrO)2 27)、チタン酸アルミニウ
ム(TiO2 ・Al2 3)、ムライト(3Al2 3
2SiO2)またはスピネル(MgO・Al2 3)のいず
れかであるのが好ましい。上記アルミノシリケートガラ
スは、コーディエライト(2MgO・2Al23 ・5
SiO2)、β−スポデューメン(Li2 O・Al2 3
・4SiO2)またはベリル(3BeO・Al2 3 ・6
SiO2)の中の1種以上からなるのが好ましい。
【0013】さらに、本発明の熱遮蔽材料は、金属基材
を被覆するものであって、最表層を完全安定化もしくは
部分安定化ジルコニアにコーディエライトを添加した複
合セラミックス層とし、金属基材に接する層を金属のみ
の金属層で構成したものである。
【0014】また、本発明の熱遮蔽材料は、金属基材を
被覆するものであって、最表層を完全安定化もしくは部
分安定化ジルコニアにコーディエライトを添加した複合
セラミックス層とし、金属基材に接する層を金属のみの
金属層で構成し、上記複合セラミックス層と金属層との
中間層を完全安定化もしくは部分安定化ジルコニア層と
したものである。
【0015】
【作用】熱遮蔽材料の金属基材に接する層は金属のみの
金属層で構成されているので、熱膨張ミスマッチによる
熱応力の発生する恐れはない。また、複合セラミックス
層から中間層を経て金属層へと、化学組成を制御するな
どの手段によって、線膨張係数を変化させることによ
り、熱遮蔽層内の熱応力を最小ならしめることが可能と
なる。また、複合セラミックスが、完全安定化もしくは
部分安定化ジルコニアと、8.0×10-6/K以下の線
膨張係数を有する酸化物を1種以上有し且つ該複合セラ
ミックスの線膨張係数を完全安定化もしくは部分安定化
ジルコニアの線膨張係数以下とすることで、ジルコニア
のもつ低熱伝導特性が生かせ、熱遮蔽材料内に大きな温
度勾配が生じても、高温側と低温側の熱膨張量の差を小
さくすることができる。完全安定化もしくは部分安定化
ジルコニア中の安定化成分の比率を、6〜20重量%と
することで、ジルコニアの安定化が図れる。アルミノシ
リケートガラスは一般的に線膨張係数が小さく、腐食成
分および酸素透過に対する抵抗性が高い。五酸化金属
(Ta2 5 、Nb2 5 、V2 5)は低熱膨張物質で
あり、ジルコニアの酸素透過抵抗性を高める作用をす
る。燐酸ジルコニル、チタン酸アルミニウム、ムライト
およびスピネルはいずれも低熱膨張物質であり、ジルコ
ニアと併用することで、複合セラミックスの熱膨張量を
抑えることができる。
【0016】
【実施例】本発明の実施例として、ガスタービンの遮熱
コーティングに代表される従来の熱遮蔽材の熱遮蔽特性
を大幅に向上させる材料の探索を以下の手順で行ったの
で、順次説明する。
【0017】(1) ジルコニア/NiCr系FGMの遮熱
性能 (a) ベース材料として、ガスタービンの遮熱コーティン
グで用いられている熱遮蔽材料(ジルコニア/NiCo
CrAlY:二層コーティング)の『NiCoCrAl
Y』を『NiCr』で代替したジルコニア/NiCr系
FGMについて、等しい熱遮蔽特性を有し且つ組成分布
が異なる複数のFGMを選定するために、数値解析によ
り、図1に示すような組成分布と材料厚さのFGMを得
た。図1(a) 〜(c) において、最表面層Sの100容積
%ジルコニアから内側Uの100容積%NiCrまで、
10容積%づつその組成が変わっており、縦軸方向Lは
厚みを示し、横軸方向Hは組成割合を示す。図1(a)
は、全厚みが2.980mmであり、組成分布の特徴は、
ある層の厚さtiに対する隣接する低温側の層の厚さt
i+1 の比d値(ti+1 /ti 、以下「組成分布パラメー
タ」という)を0.8としたものである。以下、図1
(a)の組成分布を有する材料を『YSZ0.8』と表示
する。図1(b) は、全厚みが3.504mmであり、上記
d値を1.0としたものであり、図1(c) は、全厚みが
4.090mmであり、上記d値を1.2としたものであ
る。以下、図1(b) 、図1(c) の組成分布を有する材料
を、それぞれ『YSZ1.0』、『YSZ1.2』と表
示する。図1(a) 〜(c) において、100容積%ジルコ
ニアと100容積%NiCrの厚みはすべて同じであ
り、それぞれ200μm、1000μmである。これ
ら、『YSZ0.8』〜『YSZ1.2』のFGMは、
粉末焼結法により作製した。
【0018】次に、水素バーナリグテストにより、図2
に示すような熱遮蔽特性図を得た。図2において、縦軸
は厚み(mm)を示し、横軸は熱伝導率(W/mK)を示
し、傾きは、熱抵抗特性(遮熱性能)を示す。同図に示
されているように、『YSZ0.8』〜『YSZ1.
2』の5点は略同一直線上にあると思われ、これらの材
料の遮熱性能は略同等であることが分かる。すなわち、
セラミックスリッチな『YSZ0.8』は有効熱伝導率
が低いため、同一遮熱性能の金属リッチな『YSZ1.
2』に比して、全体厚さを薄くすることができるのであ
る。
【0019】(b) これら同等の遮熱性能を有する『YS
Z0.8』〜『YSZ1.2』の間において、耐熱衝撃
限界表面温度を測定すると、最も高い耐熱衝撃限界表面
温度を示したのは、『YSZ0.8』であり、推定ガス
温度2015℃において、セラミックス表面温度114
0℃、金属表面温度765℃、FGM内温度落差は37
5Kであった。
【0020】(c) 耐熱衝撃限界表面温度を上回る条件の
熱負荷を与えると、いずれの材料についても垂直亀裂の
発生が確認され、最表面層(ジルコニア100%層)が
脱落(スポーリング)した。熱応力解析により、垂直亀
裂・スポーリングの発生は、それぞれ損傷の発生時期、
メカニズムともに異なるが、いずれの場合においても、
加熱段階で最表面層に生じる強大な面内圧縮応力がその
損傷の主たる原因となっていることが判明した。
【0021】(2) 損傷回避のために有効な要因の抽出 次に、加熱段階で最表面層に生じる面内圧縮応力、すな
わち,面内圧縮歪を最小にする条件を数値解析により求
めた。そこで、その手法を以下に簡単に説明する。FG
Mをn層積層板とみなし、面外変形を拘束し、片面を一
様に加熱し、他面を冷却して板厚方向に温度勾配を与え
た場合、加熱側最表面層であるセラミックス層に生じる
全圧縮歪量Δεt-h は、 Δεt-h =(ΣEi i ) -1ΣEi i (αC ΔTC −αi ΔTi ) ・・ と表される(なお、i=1〜n)。 式において、各記号の意味は以下の通りである。 Ei =各層を構成する材料の弾性係数 αi =各層を構成する材料の線膨張係数 ti =各層の板厚 ΔTi =加熱に伴う各層の温度上昇値 αC =セラミックスの線膨張係数 ΔTC =最表面セラミックス層の加熱に伴う温度上昇値 式は、加熱過程における最表面層の圧縮歪が各層の板
厚、すなわちFGMの組成分布、弾性係数および線膨張
係数に依存していることを示している。そして、式を
用いた数値計算により、FGMを10層積層板とみな
し、以下の表1に示す組成分布パラメーター(d値)、
弾性係数、線膨張係数および熱伝導率を与えた場合にお
いて、各層の厚さをすべて0.5mmとした場合(d=
1.0)の熱抵抗係数5.9×10-42 K/Wを標準
値として、組成分布が変化してもその熱抵抗係数がすべ
てこの値に等しくなるようにFGM厚さを設定し(図1
参照)、加熱過程で最表面層に発生する全圧縮歪量Δε
t-h を計算した。なお、表面温度、裏面温度はそれぞれ
1100℃、700℃とし、材料内部の温度分布計算を
行った後に歪量を算出した。
【0022】
【表1】
【0023】その結果によれば、FGMの加熱過程にお
ける表面の熱歪量に大きな影響を及ぼす物性因子は高温
側材料であるセラミックスの線膨張係数であり、組成分
布パラメーター(d値)や弾性係数とFGMの熱歪量と
の間には顕著な相関関係は見られなかった。図3は、セ
ラミックスの線膨張係数(縦軸、10-6/K)と、FG
M加熱側表面の全圧縮歪量(横軸)との関係を示す図で
ある。同図に示すように、線膨張係数が約8.0×10
-6〜10.5×10-6であるセラミックスを高温側材料
として採用することにより、加熱過程での全圧縮歪量を
著しく減少しうることが分かる。
【0024】(3) 最適材料の選定 以上詳細に説明したように、低温側材料(金属)に比し
て線膨張係数が低い材料を高温側(セラミックス層)に
適用することにより、加熱時の圧縮歪を低減しうること
が分かったので、ジルコニアの優れた熱遮蔽特性(低熱
伝導性)を犠牲にすることなく、その線膨張係数を低減
させるために、代表的な低熱膨張セラミックスであるコ
ーディエライトを30容積%添加したジルコニア(C7
Z)と、コーディエライトを60容積%添加したジルコ
ニア(C4Z)をホットプレス焼結により作製し、その
複合セラミックスの線膨張係数を測定した。その結果を
図4に示す。なお、図4には、ジルコニア100容積%
のYSZとハステロイXの線膨張係数も同時に示した。
図4において、縦軸は線膨張係数であり、横軸は温度で
ある。同図に明らかなように、C7Zの線膨張係数は、
測定温度200〜1200℃において、8.0×10-6
〜9.0×10-6/Kの範囲にあり、上記した好ましい
線膨張係数の範囲を満足することが分かる。また、ジル
コニア、コーディエライトともに、NiCrとの高温反
応はなく、ジルコニア−コーディエライト/金属系FG
Mとした場合の化学的安定性にも問題のないことを、X
線回折およびX線マイクロアナライザ分析により確認し
た。
【0025】(4) 熱サイクル試験結果 (1) 項において調べてジルコニア/NiCr系FGMと
同等の熱遮蔽特性を有する『30%コーディエライト−
ジルコニア(C7Z)/NiCr系FGM』と『YSZ
0.8〜YSZ1.2』を作製し、その耐熱衝撃特性を
評価した。その結果を図5に示す。図5において、縦軸
はセラミックス表面最高温度であり、横軸はガス温度で
ある。同図に明らかなように、損傷が観察されない最高
熱負荷条件(推定ガス温度2190℃)では、C7Z
1.1のセラミックス表面温度は1260℃を示し、最
も良かった。また、そのときの金属表面温度は900℃
であり、FGM内温度落差は360Kであった。これ
は、ジルコニア/NiCr系FGMの場合に比して、ガ
ス温度で175℃、セラミックス表面温度で120℃高
い熱負荷条件に耐えうることを示している。また、金属
温度900℃は実機適用材料の観点から問題のないレベ
ルである。なお、C7Z1.1、C7Z1.2の『1.
1』と『1.2』は、組成分布パラメータ(d値)を示
す。また、図5に明らかなように、C7Z/NiCr系
FGMは、ジルコニア/NiCr系FGMの場合と異な
り、損傷が観察されない熱負荷条件以上の高熱負荷を与
えてもスポーリングには至らず、微細な垂直亀裂(亀裂
幅10μm以下)を生じるか、または非常に微少な領域
での局所的な剥離を呈するにとどまり、これらの損傷が
それ以上に進展することはなかった。これは、このよう
な損傷が生じる温度領域でのコーディエライトの非晶質
特性によるものと考えられる。また、C7Z/NiCr
系FGMの一部の試料では、発生した垂直亀裂の自己修
復が観察された。さらに、この非晶質特性を有するコー
ディエライトの存在により、ボンドコートおよび金属基
材の酸化低減が期待できる。
【0026】
【発明の効果】本発明は以上説明したように構成されて
いるので、以下の効果を奏する。 本発明に係る熱遮蔽材料は遮熱性能に優れていると
ともに超高温に耐えることができるので、ガスタービン
エンジンの燃焼器・静翼・動翼、次世代の超音速機用機
体・エンジン構造材料など、極めて高い熱負荷を受け、
かつ大きな熱応力を生じることが予想される遮熱部材と
して好適に使用することができる。
【0027】 また、本発明に係る熱遮蔽材料は遮熱
性能に優れているとともに超高温に耐えることができる
ので、ガスタービンエンジンの燃焼器等の極めて高い熱
負荷を受ける部材として使用しても、その優れた遮熱性
能により、冷却負荷の低減または冷却構造の簡略化によ
る加工コストの低減が可能となる。 また、本発明に係る熱遮蔽材料に極めて高い熱負荷
が課されることにより損傷が生じても、複合セラミック
ス中のガラス質の非晶質特性により、微細な垂直亀裂か
局所的な剥離にとどまり、それ以上に損傷が進展するこ
とはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)(b)(c) は、ジルコニア/NiCr系F
GMの組成分布と材料厚さの関係を示す図である。
【図2】YSZ(安定化ジルコニア)の熱抵抗特性を示
す図である。
【図3】セラミックスの線膨張係数とFGMの加熱側表
面の全圧縮歪量との関係を示す図である。
【図4】耐熱材料の温度による線膨張係数の変化を示す
図である。
【図5】ガス温度とセラミックスの損傷態様の関係を示
す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川村 昌志 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工業 株式会社明石工場内 (72)発明者 岡崎 章三 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工業 株式会社明石工場内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属基材を被覆する熱遮蔽材料であっ
    て、最表層を複合セラミックス層とし、金属基材に接す
    る層を金属のみの金属層で構成したことを特徴とする熱
    遮蔽材料。
  2. 【請求項2】 金属基材を被覆する熱遮蔽材料であっ
    て、最表層を複合セラミックス層とし、金属基材に接す
    る層を金属のみの金属層で構成し、上記複合セラミック
    ス層と金属層との中間層をセラミックスと金属の複合材
    料で構成し、複合セラミックス層から中間層を経て金属
    層に至る組成の線膨張係数を、熱遮蔽材料内の熱応力を
    最小ならしめるように連続的に変化させたことを特徴と
    する熱遮蔽材料。
  3. 【請求項3】 複合セラミックスが、完全安定化もしく
    は部分安定化ジルコニアと8.0×10-6/K以下の線
    膨張係数を有する酸化物を有し且つ該複合セラミックス
    の線膨張係数が完全安定化もしくは部分安定化ジルコニ
    アの線膨張係数以下であることを特徴とする請求項1ま
    たは2記載の熱遮蔽材料。
  4. 【請求項4】 完全安定化もしくは部分安定化ジルコニ
    アの安定化成分が、Y2 3 、Yb2 3 、CeOまた
    はMgOの中の1種以上からなることを特徴とする請求
    項3記載の熱遮蔽材料。
  5. 【請求項5】 完全安定化もしくは部分安定化ジルコニ
    ア中の安定化成分の比率が、6〜20重量%であること
    を特徴とする請求項3または4記載の熱遮蔽材料。
  6. 【請求項6】 8.0×10-6/K以下の線膨張係数を
    有する酸化物は、アルミノシリケートガラス、ボロシリ
    ケートガラス、五酸化タンタル(Ta2 5)、五酸化ニ
    オブ(Nb2 5)、五酸化バナジウム(V2 5)、燐酸
    ジルコニル((ZrO)2 2 7)、チタン酸アルミニ
    ウム(TiO2 ・Al2 3)、ムライト(3Al2 3
    ・2SiO2)またはスピネル(MgO・Al2 3)のい
    ずれかであることを特徴とする請求項3記載の熱遮蔽材
    料。
  7. 【請求項7】 アルミノシリケートガラスは、コーディ
    エライト(2MgO・2Al2 3 ・5SiO2)、β−
    スポデューメン(Li2 O・Al2 3 ・4SiO2)ま
    たはベリル(3BeO・Al2 3 ・6SiO2)の中の
    1種以上からなることを特徴とする請求項6記載の熱遮
    蔽材料。
  8. 【請求項8】 金属基材を被覆する熱遮蔽材料であっ
    て、最表層を完全安定化もしくは部分安定化ジルコニア
    にコーディエライトを添加した複合セラミックス層と
    し、金属基材に接する層を金属のみの金属層で構成した
    ことを特徴とする熱遮蔽材料。
  9. 【請求項9】 金属基材を被覆する熱遮蔽材料であっ
    て、最表層を完全安定化もしくは部分安定化ジルコニア
    にコーディエライトを添加した複合セラミックス層と
    し、金属基材に接する層を金属のみの金属層で構成し、
    上記複合セラミックス層と金属層との中間層を完全安定
    化もしくは部分安定化ジルコニア層としたことを特徴と
    する熱遮蔽材料。
JP6012670A 1994-02-04 1994-02-04 熱遮蔽材料 Expired - Fee Related JP2575286B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6012670A JP2575286B2 (ja) 1994-02-04 1994-02-04 熱遮蔽材料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6012670A JP2575286B2 (ja) 1994-02-04 1994-02-04 熱遮蔽材料

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07214723A true JPH07214723A (ja) 1995-08-15
JP2575286B2 JP2575286B2 (ja) 1997-01-22

Family

ID=11811817

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6012670A Expired - Fee Related JP2575286B2 (ja) 1994-02-04 1994-02-04 熱遮蔽材料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2575286B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005061400A (ja) * 2003-08-14 2005-03-10 General Electric Co <Ge> 焼結の低減及び耐衝撃性の向上のための遮熱コーティング並びにその製造方法
JP2008088517A (ja) * 2006-10-03 2008-04-17 Chugoku Electric Power Co Inc:The 石炭灰を原料とした傾斜機能材料及びその製造方法
WO2009019787A1 (ja) * 2007-08-09 2009-02-12 Pioneer Corporation 有機半導体装置用樹脂基板
JP2009514698A (ja) * 2005-11-04 2009-04-09 シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト パイロクロア相を有する二層構造耐熱保護組織
CN104108208A (zh) * 2014-06-26 2014-10-22 山东泰宝包装制品有限公司 镀铝包装材料的生产工艺及其产品
CN105081333A (zh) * 2014-05-20 2015-11-25 中国科学院宁波材料技术与工程研究所 石墨-金属导热复合材料及其制备方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02217246A (ja) * 1989-02-20 1990-08-30 Suzuki Motor Co Ltd 傾斜機能材料の製造方法
JPH03115506A (ja) * 1989-09-28 1991-05-16 Fujitsu Ltd 複合焼結材料の製造方法
JPH05330936A (ja) * 1992-05-29 1993-12-14 Isuzu Motors Ltd 傾斜機能材料
JPH0625775A (ja) * 1992-07-03 1994-02-01 Smc Corp 傾斜機能材料の製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02217246A (ja) * 1989-02-20 1990-08-30 Suzuki Motor Co Ltd 傾斜機能材料の製造方法
JPH03115506A (ja) * 1989-09-28 1991-05-16 Fujitsu Ltd 複合焼結材料の製造方法
JPH05330936A (ja) * 1992-05-29 1993-12-14 Isuzu Motors Ltd 傾斜機能材料
JPH0625775A (ja) * 1992-07-03 1994-02-01 Smc Corp 傾斜機能材料の製造方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005061400A (ja) * 2003-08-14 2005-03-10 General Electric Co <Ge> 焼結の低減及び耐衝撃性の向上のための遮熱コーティング並びにその製造方法
JP2009514698A (ja) * 2005-11-04 2009-04-09 シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト パイロクロア相を有する二層構造耐熱保護組織
JP2008088517A (ja) * 2006-10-03 2008-04-17 Chugoku Electric Power Co Inc:The 石炭灰を原料とした傾斜機能材料及びその製造方法
WO2009019787A1 (ja) * 2007-08-09 2009-02-12 Pioneer Corporation 有機半導体装置用樹脂基板
CN105081333A (zh) * 2014-05-20 2015-11-25 中国科学院宁波材料技术与工程研究所 石墨-金属导热复合材料及其制备方法
CN104108208A (zh) * 2014-06-26 2014-10-22 山东泰宝包装制品有限公司 镀铝包装材料的生产工艺及其产品

Also Published As

Publication number Publication date
JP2575286B2 (ja) 1997-01-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1321542B1 (en) Thermal barrier coating systems and materials
Lee et al. Concept of functionally graded materials for advanced thermal barrier coating applications
US5683761A (en) Alpha alumina protective coatings for bond-coated substrates and their preparation
EP2108715A2 (en) Thermal barrier coating system and coating methods for gas turbine engine shroud
JP3434504B2 (ja) 金属基体の断熱方法
US9511436B2 (en) Composite composition for turbine blade tips, related articles, and methods
EP1995350A1 (en) High temperature component with thermal barrier coating
JPS641552B2 (ja)
JP7232295B2 (ja) 基材上に高温保護層を接合するための付着促進層、並びにそれの製造方法
JP2002522646A (ja) 多層断熱被膜システム
Baig et al. Properties and residual stress distribution of plasma sprayed magnesia stabilized zirconia thermal barrier coatings
Das et al. Glass–ceramics as oxidation resistant bond coat in thermal barrier coating system
CN1047113A (zh) 金属部件表面强化处理方法
JP5737996B2 (ja) 遮熱コーティングの製造方法、該遮熱コーティングを備えるタービン部材及びガスタービン
EP0508731B1 (en) Use of an oxide coating to enhance the resistance to oxidation and corrosion of a silicon nitride based gas turbine blade
JPH01306573A (ja) 熱バリヤーを有する低膨張係数合金
JPH07214723A (ja) 熱遮蔽材料
Yamano et al. Oxidation control with chromate pretreatment of MCrAlY unmelted particle and bond coat in thermal barrier systems
EP0236520A1 (en) Ceramic-coated, heat-resisting member and process for preparing the same
JP2991795B2 (ja) 地上機器用セラミックス被覆カーボン繊維強化型カーボン複合材とそれを用いたガスタービン部材
JP2007239101A (ja) 遮熱コーティングのためのボンドコーティング法
JPH06256926A (ja) 遮熱コーティング膜
JPH0688197A (ja) 動・静翼表面層
RU2510429C1 (ru) Способ создания теплозащитного металлокерамического покрытия с повышенной термопрочностью
JPH09195067A (ja) 耐熱部品

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081024

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091024

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101024

Year of fee payment: 14

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111024

Year of fee payment: 15

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111024

Year of fee payment: 15

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121024

Year of fee payment: 16

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121024

Year of fee payment: 16

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131024

Year of fee payment: 17

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees