JPH07214146A - スパイラル溶接管の製造方法及び装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 外観、寸法形状に優れたスパイラル溶接管を
連続的に効率良く製造すること。 【構成】 スパイラル溶接管の製造方法において、金属
ストリップをスパイラル管状に成形する前の送給過程
で、片圧下可能な冷間圧延機により該ストリップを平坦
かつ曲り矯正するもの。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はスパイラル溶接管の製造
方法及び装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】スパイラル溶接管は、特開昭58-3723 号
公報に記載される如くの製造装置により製造されてい
る。この製造装置は、図３に示す如く、入側ベッド１、
成形ベッド２、出側ベッド３とを有して構成されてい
る。そして、入側ベッド１は、アンコイラー１Ａ、コイ
ル継ぎ溶接機１Ｂ、レベラー１Ｃ、コイルエッジ成形装
置１Ｄ、メインドライブ装置１Ｅ、プレフォーミング装
置１Ｆを順次設置して構成される。また、成形ベッド２
は、フォーミング装置２Ａ、内面溶接機２Ｂ、外面溶接
機２Ｃを順次設置して構成される。また、出側ベッド３
は走行切断機３Ａを設置して構成される。

【０００３】尚、入側ベッド１において、アンコイラー
１Ａは金属ストリップコイルを巻き戻すもの、コイル継
ぎ溶接機１Ｂは先後の金属ストリップコイルを溶接する
もの、レベラー１Ｃは巻き戻された金属ストリップの巻
きぐせを矯正するもの、コイルエッジ成形装置１Ｄは金
属ストリップの幅を一定にするもの、メインドライブ装
置１Ｅは金属ストリップを送給させるもの、プレフォー
ミング装置１Ｆは金属ストリップを予備成形するもので
ある。また、成形ベッド２において、フォーミング装置
２Ａは金属ストリップをスパイラル管状に成形するも
の、溶接機２Ｂ、２Ｃはスパイラル管状に成形された金
属ストリップの相向い合うエッジを溶接してスパイラル
溶接管とするものである。また、出側ベッド３におい
て、走行切断機３Ａはスパイラル溶接管を定尺に切断す
るものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】然るに、上述したスパ
イラル溶接管の製造装置において、レベラー１Ｃとして
は、３ロール（１個の上ロールと２個の下ロール）、７
ロール（３個の上ロールと４個の下ロール）等のロール
方式が用いられ、アンコイラー１Ａで巻き戻された金属
ストリップの上面、下面に各ロールを互いに千鳥に配置
し、金属ストリップに繰り返し曲げを与えこれを平坦化
するものである。

【０００５】ところが、金属ストリップは熱間圧延され
て巻き取られたものを素材としており、この金属ストリ
ップの後端部（コイル内巻部）には局部的な腰折（エン
ドマーク）を生じている。そして、この金属ストリップ
のエンドマークは、その変形の曲率半径がレベラー１Ｃ
のロール間隔より小さく、レベラー１Ｃでは平坦化でき
ない。

【０００６】また、金属ストリップには熱間圧延時の圧
延、冷却により曲り（キャンバー）を生じているもの
の、レベラー１Ｃではこの曲りも矯正できない。

【０００７】このため、従来技術では、下記、の問
題点がある。 金属ストリップの平坦化できなかった部分は、造管
後、外観不良、真円度不良を呈し、製品化できない。

【０００８】曲りの矯正については、(a) 特開昭58-3
723 号公報に記載される如く、金属ストリップの溶接時
の相向い合うエッジギャップを一定にするように出側台
車を成形ベッドを中心に任意に旋回させたり、(b) 特公
昭51-10591号公報に記載される如く、スパイラル管状に
成形された金属ストリップの内面溶接直前に、金属スト
リップの両エッジをトリミングし、曲りを吸収させたり
している。然しながら、曲り矯正の追従性が不十分であ
るし、トリミングによる歩止ロスも大きい。

【０００９】本発明は、外観、寸法形状に優れたスパイ
ラル溶接管を連続的に効率良く製造することを目的とす
る。

【００１０】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載の本発明
は、金属ストリップを送給してスパイラル管状に成形
し、スパイラル管状に成形されたストリップの相向い合
うエッジを溶接してスパイラル溶接管とするスパイラル
溶接管の製造方法において、金属ストリップをスパイラ
ル管状に成形する前の送給過程で、片圧下可能な冷間圧
延機により該ストリップを平坦かつ曲り矯正するように
したものである。

【００１１】請求項２に記載の本発明は、金属ストリッ
プをスパイラル管状に成形するフォーミング装置と、ス
パイラル管状に成形されたストリップの相向い合うエッ
ジを溶接する溶接機とを有してなるスパイラル溶接管の
製造装置において、金属ストリップをフォーミング装置
に送給する過程に、該ストリップを平坦かつ曲り矯正可
能とする片圧下可能な冷間圧延機を設置してなるように
したものである。

【００１２】

【作用】金属ストリップをスパイラル管状に成形する前
の送給過程で、金属ストリップを片圧下可能な冷間圧延
機により圧延することにより、そのエンドマークを平坦
化し、或いはその曲りを矯正できる。従って、平坦で曲
りのない金属ストリップをスパイラル管状に成形するも
のとなり、外観、寸法形状に優れたスパイラル溶接管を
連続的に効率良く製造することができる。

【００１３】

【実施例】図１は本発明の一実施例に係るスパイラル溶
接管の製造装置を示す模式図、図２は曲り形状検知器の
一例を示す模式図である。

【００１４】スパイラル溶接管の製造装置は、図１に示
す如く、入側ベッド１１、成形ベッド１２、出側ベッド
１３とを有して構成されている。そして、入側ベッド１
１は、アンコイラー１１Ａ、コイル継ぎ溶接機１１Ｂ、
レベラー１１Ｃ、コイルエッジ成形装置１１Ｄ、冷間圧
延機１１Ｅ、曲り形状検知器１１Ｆ、メインドライブ装
置１１Ｇ、プレフォーミング装置１１Ｈを順次設置して
構成される。また、成形ベッド１２は、フォーミング装
置１２Ａ、内面溶接機１２Ｂ、外面溶接機１２Ｃを順次
設置して構成される。また、出側ベッド１３は、走行切
断機１３Ａを設置して構成される。

【００１５】然るに、スパイラル溶接管の製造装置の構
成は詳細には、下記(1) 〜(3) の如くである。

【００１６】(1) 入側ベッド１１ アンコイラー１１Ａは金属ストリップを巻き戻す装置で
あり、コイルを支持するマンドレル、次コイル準備のた
めのコイルカー等よりなる。

【００１７】コイル継ぎ溶接機１１Ｂは先行コイル後端
と後行コイル先端を溶接するものであり、信頼性の高い
サブマージド自動アーク溶接が用いられることが多い。
また、コイル先端、後端の形状不良部分を切断する装置
も含む。

【００１８】レベラー１１Ｃは巻き戻された金属ストリ
ップの巻きぐせを矯正するものであり、上下のロールを
千鳥状に配置し、金属ストリップに繰り返し曲げを与え
これを平坦化するものである。

【００１９】コイルエッジ成形装置１１Ｄは安定した溶
接品質を得るため金属ストリップの幅を一定にし、更に
厚肉材について開先をとるものである。トリマー、バイ
ト或いはミーリング方式が用いられる。

【００２０】冷間圧延機１１Ｅは、金属ストリップをフ
ォーミング装置１２Ａに送給する過程で、該金属ストリ
ップを平坦かつ曲り矯正可能とするものである。このた
め、上下一対のロールを有し、その圧下率を板幅方向で
容易に異ならせることができる構造、上ロールを容易に
片圧下可能とする構造を有する。これにより、(a) エン
ドマークについては、金属ストリップの全長を連続圧下
し、或いは冷間圧延機１１Ｅの上流側に設けたエンドマ
ーク検知器により検知されたエンドマーク発生部とその
前後を部分圧下することにて平坦化する。また、(b) 曲
りについては、金属ストリップの全長に対し、曲り形状
検知器１１Ｆにより検知された曲り検知結果をフィード
バックされ、この検知結果に基づき曲り発生部を片圧下
することにて矯正する。

【００２１】曲り形状検知器１１Ｆは、冷間圧延機１１
Ｅによって平坦化された金属ストリップの曲りを検知す
るものであり、金属ストリップのエッジを挟む上下一対
からなるリニアセンサ２１を金属ストリップの両エッジ
のそれぞれの側に設置したものを用いることができる
（図２）。金属ストリップの一方側のリニアセンサ２１
によるエッジ検出長がｌ₀ 、他方側のリニアセンサ２１
によるエッジ検出長がｌ₁ のとき、曲り量は下記(1) 式
で演算される。 曲り量＝｜ｌ₁ −ｌ₀ ｜／２ …(1)

【００２２】メインドライブ装置１１Ｇは金属ストリッ
プにスパイラル成形に必要な駆動力を与えて供給するも
のであり、上下一対のピンチロールよりなり、そのピン
チロールは圧下機構を有するものとする。その送給速度
は変速可能とする。

【００２３】プレフォーミング装置１１Ｈは、後工程の
溶接での熱歪み等によるピーキングを防止するため、事
前にコイルエッジ部に逆方向の歪み（内径方向へ押込
み）を与えるものであり、無駆動の上下一対のロールよ
りなる。

【００２４】(2) 成形ベッド１２ フォーミング装置１２Ａは金属ストリップを所定の外径
のスパイラル管状に成形するものであり、ケーシング方
式、ロールベンディング方式がある。

【００２５】内面溶接機１２Ｂはスパイラル管状に成形
された金属ストリップの相向い合うエッジをフォーミン
グ装置１２Ａ内で内面側より溶接するものであり、主と
して自動サブマージドアーク溶接が用いられる。

【００２６】外面溶接機１２Ｃは内面側を溶接されたス
パイラル管状に成形された金属ストリップの外面側を溶
接するものであり、主として自動サブマージドアーク溶
接が用いられる。

【００２７】(3) 出側ベッド１３ 走行切断機１３Ａは内外面溶接され、所定の外径に仕上
げられたスパイラル溶接管を定尺に切断するものであ
り、切断装置は台車上のクランプ装置で管体を抑え、台
車を造管速度と同期走行させながらガス、又はプラズマ
切断するものである。

【００２８】以下、本実施例の具体的実施結果について
説明する。 (1) 図１の製造装置を用いて、管種ＳＫＫ400 、直径80
0mm 、肉厚6mm 、長さ16m のスパイラル鋼管を造管し
た。使用コイル（帯鋼）は幅1540mm、肉厚6mm 、25ton
のものを用いた。

【００２９】(2) 成形、溶接速度は3.0m/分とした。

【００３０】(3) 冷間圧延機１１Ｅは、(a) エンドマー
クに対して圧下率を2.0 ％、圧下範囲をエンドマーク部
及びその前後0.5mとした。尚、圧下率は、入側板厚をｔ
₀ 、出側板厚をｔ₁ とするとき、下記(2) 式の通りであ
る。 圧下率＝（ｔ₀ −ｔ₁ ）／ｔ₀ ×100 ( ％） …(2)

【００３１】また、(b) 曲りに対して、片圧下率最大3.
0 ％とした。尚、片圧下率は、金属ストリップの一端側
圧下率と他端側圧下率との差であり、下記(3) 式の如く
である。 片圧下率＝｜一端側圧下率−他端側圧下率｜ …(3)

【００３２】(4) (1) 〜(3) において、表１の如くの結
果を得た。本発明方法により、エンドマーク不良率、曲
り不良率を格段に低減できることを認めた。尚、不良率
は(4) 式の如くである。 不良率＝（不良品重量）／（使用コイル重量）×100 （％） …(4)

【００３３】

【表１】

【００３４】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、外観、寸
法形状に優れたスパイラル溶接管を連続的に効率良く製
造することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明の一実施例に係るスパイラル溶接
管の製造装置を示す模式図である。

【図２】図２は曲り形状検知器の一例を示す模式図であ
る。

【図３】図３は従来装置を示す模式図である。

【符号の説明】

１１Ｅ 冷間圧延機 １１Ｆ 曲り形状検知器 １２Ａ フォーミング装置 １２Ｂ 内面溶接機 １２Ｃ 外面溶接機

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 金属ストリップを送給してスパイラル管
   状に成形し、スパイラル管状に成形されたストリップの
   相向い合うエッジを溶接してスパイラル溶接管とするス
   パイラル溶接管の製造方法において、 金属ストリップをスパイラル管状に成形する前の送給過
   程で、片圧下可能な冷間圧延機により該ストリップを平
   坦かつ曲り矯正することを特徴とするスパイラル溶接管
   の製造方法。
2. 【請求項２】 金属ストリップをスパイラル管状に成形
   するフォーミング装置と、スパイラル管状に成形された
   ストリップの相向い合うエッジを溶接する溶接機とを有
   してなるスパイラル溶接管の製造装置において、 金属ストリップをフォーミング装置に送給する過程に、
   該ストリップを平坦かつ曲り矯正可能とする片圧下可能
   な冷間圧延機を設置してなることを特徴とするスパイラ
   ル溶接管の製造装置。