JPH07205691A - 車両用シートの取付構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】車両が前面衝突してインストルメントパネル等
とシートクッションとの間に挟まれた持込み品を工具を
使わずに短時間で取出すことができる。 【構成】スライドレール２２がインストルメントパネル
１８に対向するシートクッション１２の下方の前部から
中央にかけてかつ車両１０の進行方向に延びて、フロア
パネル１６上に配設される。レッグ固定用ナット４４が
固着されたレッグ用ブラケット２３がシートクッション
の後端下方のフロアパネル上に配設される。シートクッ
ションの前部下面からスライドレールに向って突設され
たフロントレッグ４６の下端がスライドレール内に摺動
可能に挿入され、シートクッションの後端のリヤレッグ
４７がナットにレッグ固定用ボルト４８を螺合すること
によりブラケットに固定される。ボルトをナットから外
すことによりシート本体がスライドレールに沿って後方
に移動可能に構成される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は車両、特にシングルキャ
ブ型のトラックに適したシートの取付構造に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種のトラックのシート構造と
して、シートクッション及びシートバックを有するシー
ト本体と、シート本体をフロアパネルに取付けるシート
レッグとを備えたものが知られている。このシートで
は、シート本体は車幅方向に延びるインストルメントパ
ネルに対向して設けられ、シートバックはその下端がシ
ートクッションの後端にリクライニングアジャスタを介
して取付けられる。シートクッションとシートレッグと
の間にはシートトラックが介装され、シートトラックは
シートレッグに固着されトラックの進行方向に延びて配
設された一対のロアレールと、シートクッションが取付
けられ一対のロアレールに沿って前後方向に移動可能に
配設された一対のアッパレールとを有する。

【０００３】また一方のロアレールの下面にはこのレー
ルに沿って等間隔に多数の被係止孔が設けられた穿設部
材が固着され、一方のアッパレールには調節ハンドルが
回動可能に取付けられる。調節ハンドルには上記多数の
被係止孔に選択的にする係止爪が固着され、このハンド
ルを操作することによりシートクッション及びシートバ
ックの前後の位置を調節できるようになっている。ロア
レールの後端には後退ストッパが設けられ、このストッ
パはアッパレールのロアレールに対する最後退位置を決
定する。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記従来のシート構造
では、例えば調節ハンドルを操作してシートクッション
及びシートバックを最も後退させ、かつキャブ内への持
込み品をシートクッションの前端に立て掛けた状態で、
トラックが前面衝突すると、フロントパネルの変形に伴
ってインストルメントパネルが後退し、上記持込み品が
インストルメントパネルとシートクッションとの間に挟
まれる場合がある。この場合、アッパレールを更に後方
に移動できるように後退ストッパを取除く必要がある
が、この作業には特殊な工具を用いなければならず、ま
た多くの時間を要する不具合があった。またシート直後
にバックパネルが位置するシングルキャブ型トラックの
場合には、後退ストッパを取除いてもバックパネルに遮
られてアッパレールを後方に殆ど移動できず、シートを
フロアパネルから取外さなければならない問題点があっ
た。

【０００５】本発明の目的は、車両が前面衝突してイン
ストルメントパネル等とシートクッションとの間に挟ま
れた持込み品を工具を使わずに短時間で取出すことので
きる車両用シートの取付構造を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の構成を、実施例に対応する図１を用いて説明
する。本発明の車両用シートの取付構造は、車両１０の
車室装備部材１８に対向して設けられシートクッション
１２を有するシート本体１４と、シートクッション１２
の下方の前部から中央にかけてかつ車両１０の進行方向
に延びてフロアパネル１６上に配設された一対のスライ
ドレール２２と、シートクッション１２の後端下方のフ
ロアパネル１６上に配設されレッグ固定用ナット４４が
それぞれ固着された一対のレッグ用ブラケット２３と、
シートクッション１２の前部下面から一対のスライドレ
ール２２に向ってそれぞれ突設され下端がスライドレー
ル２２に沿って移動可能にスライドレール２２内にそれ
ぞれ挿入された一対のフロントレッグ４６と、シートク
ッション１２の後端に設けられ一対のブラケット２３に
固着されたナット４４にレッグ固定用ボルト４８を螺合
することによりブラケット２３にそれぞれ固定された一
対のリヤレッグ４７とを備え、ボルト４８をブラケット
２３に固着されたナット４４から外すことによりシート
本体１４がスライドレール２２に沿って後方に移動可能
に構成されたことを特徴とする。

【０００７】

【作用】車両１０が前面衝突すると、シート本体１４に
対向する車室装備部材１８が後退し、車室装備部材１８
とシートクッション１２との間隔が小さくなる。このと
きレッグ固定用ボルト４８をレッグ固定用ナット４４か
ら外し、シート本体１４をスライドレール２２に沿って
後方に移動するという簡単な作業で、車室装備部材１８
とシートクッション１２との間隔Ｓ₁を大きくすること
ができる。

【０００８】

【実施例】次に本発明の一実施例を図面に基づいて詳し
く説明する。図１〜図３に示すように、シングルキャブ
型トラック１０の助手席１１はシートクッション１２及
びシートバック１３を有するシート本体１４と、シート
本体１４をフロアパネル１６に取付けるシートレッグ１
７とを備える。シート本体１４は車幅方向に延びるイン
ストルメントパネル１８に対向して設けられ、シートバ
ック１３はその下端がシートクッション１２の後端にリ
クライニングアジャスタ１９を介して取付けられる。ま
たシートクッション１２のパッド（図示せず）を保持す
るクッションフレーム１２ａは丸パイプにより四角枠状
に形成される（図３）。シートクッション１２とシート
レッグ１７との間にはシートクッション１２及びシート
バック１３の前後の位置を調節するためのシートトラッ
ク２１が介装され、シートレッグ１７とフロアパネル１
６との間には一対のスライドレール２２及び一対のレッ
グ用ブラケット２３が介装される。また助手席１１の直
後にはキャブ２４のバックパネル２５が位置する。

【０００９】シートトラック２１はシートレッグ１７が
突設されトラック１０の進行方向に延びて配設された一
対のロアレール２６と、一対のロアレール２６に沿って
前後方向に移動可能に配設されアッパブラケット２７及
びクッションブラケット２８を介してクッションフレー
ム１２ａが固着された一対のアッパレール２９とを有す
る。ロアレール２６は横断面略逆ハット状に形成され、
アッパレール２９は横断面略Ｃ字状に形成され、アッパ
レール２９はロアレール２６の上部に遊嵌される。ロア
レール２６及びアッパレール２９間には単一のローラ収
容部３１と、一対の鋼球収容部３２，３２とが形成され
る。ローラ収容部３１にはアッパレール２９にローラブ
ラケット３３を介して回転可能に取付けられたローラ３
４が収容され、ローラ３４はロアレール２６の内面を転
動可能に構成される。一対の鋼球収容部３２，３２には
ロアレール２６及びアッパレール２９間の車幅方向への
移動を阻止する鋼球３６，３６がそれぞれ収容される
（図３）。

【００１０】左側のロアレール２６の下面にはこのレー
ル２６に沿って等間隔に多数の被係止孔３７ａが設けら
れた穿設部材３７が固着され、左側のアッパレール２９
にはハンドルホルダ３８を介して調節ハンドル３９がト
ラック１０の進行方向に延びて回動可能に取付けられ
る。調節ハンドル３９の前端にはこのハンドル３９を直
角に折曲げることにより操作部３９ａが形成される。調
節ハンドル３９には係止爪４１の基端が固着され、係止
爪４１の先端は多数の被係止孔３７ａに選択的に係止可
能に形成される（図３）。調節ハンドル３９にはねじり
コイルばね（図示せず）が巻回され、このばねは係止爪
４１が被係止孔３７ａに係止する方向に調節ハンドル３
９を回転させるように付勢する。

【００１１】一対のスライドレール２２はシートクッシ
ョン１２の下方のフロアパネル１６上に図示しないボル
ト及びナットにより固定される。これらのスライドレー
ル２２は横断面略Ｃ字状に形成され、シートクッション
１２の前部から中央にかけてかつトラック１０の進行方
向に延びて配設される。一対のレッグ用ブラケット２３
はシートクッション１２の後端下方のフロアパネル１６
上にボルト４２及びナット４３により固定される。レッ
グ用ブラケット２３は略ハット状に形成され、このブラ
ケット２３の上片２３ａには通孔２３ｂが形成される。
上片２３ａの下面には通孔２３ｂと孔心を一致させてレ
ッグ固定用ナット４４が溶着される（図１）。

【００１２】シートレッグ１７は一対のロアレール２６
の前部下面から一対のスライドレール２２に向ってそれ
ぞれ突設された一対のフロントレッグ４６と、一対のロ
アレール２６の後端から後方に水平にそれぞれ突設され
た一対のリヤレッグ４７とからなる。フロントレッグ４
６は鋳鉄又は鋳鋼等の金属鋳物により形成され、ロアレ
ール２６の下面に取付けられたフランジ部４６ａと、ス
ライドレール２３に沿って移動可能にスライドレール２
３内に挿入された円柱部４６ｂとを有する（図３）。ス
ライドレール２３の内面及び円柱部４６ｂの外面には円
柱部４６ｂがスライドレール２３内をスムーズに摺動で
きるようにグリースが塗布される。リヤレッグ４７には
透孔４７ａが形成される（図１）。フロントレッグ４６
の円柱部４６ｂをスライドレール２３に挿入し、リヤレ
ッグ４７の透孔４７ａをブラケット２３の通孔２３ｂに
一致させた状態で、透孔４７ａ及び通孔２３ｂを介して
レッグ固定用ボルト４８をナット４４に手で緩められる
程度にねじ込むことにより、リヤレッグ４７がブラケッ
ト２３に固定されるようになっている。ナット４４から
突出するボルト４８の小径部４８ａには小孔４８ｂが形
成され、この小孔４８ｂにはボルト４８の抜止め用の割
ピン４９が挿通される（図１）。割ピン４９は手で曲げ
伸ばしできるようになっている。

【００１３】このように構成された車両用シートの取付
構造の使用方法を説明する。調節ハンドル３９を操作し
てシートクッション１２及びシートバック１３を最も後
退させ、トラック１０への持込み品５１を助手席１１の
シートクッション１２の前端に立て掛けた状態で（図
１）、トラック１０が前面衝突すると、シート本体１４
に対向するインストルメントパネル１８が後退し、イン
ストルメントパネル１８とシートクッション１２との間
隔が小さくなって、上記持込み品５１がインストルメン
トパネル１８とシートクッション１２との間に挟まれ
る。このときレッグ固定用ボルト４８に挿通された割ピ
ン４９の先端を手で伸ばして小孔４８ｂから抜き、上記
ボルト４８のリング状の頭部４８ｃを手で回転させてレ
ッグ固定用ナット４４から外し、更にシート本体１４を
その後部を引上げながらスライドレール２３に沿って後
方に移動させる。同時にリクライニングアジャスタ１９
を操作してシートバック１３を後方に倒すと、シートク
ッション１２上の空間を広く確保できる（図２）。この
ような簡単な作業で、インストルメントパネル１８とシ
ートクッション１２と間隔Ｓ₁を大きくすることができ
るので、インストルメントパネル１８とシートクッショ
ン１２との間に挟まれた持込み品５１を容易に取出すこ
とができる。

【００１４】なお、上記実施例ではフロントレッグの下
端に円柱部を一体的に設け、この円柱部をスライドレー
ルに沿って摺動可能にスライドレール内に挿入したが、
これは一例であってフロントレッグの下端にスライドレ
ール内を転動可能なローラを取付けてもよい。また、上
記実施例ではシートクッションとシートレッグとの間に
シートクッション及びシートバックの前後位置調節用の
シートトラックが介装されたシートを挙げたが、本発明
の取付構造をシートレッグにシートクッションが直接取
付けられた固定式のシートに適用してもよい。また、上
記実施例ではシートとして助手席を挙げたが、これに限
らず運転席でもよい。また、上記実施例では車室装備部
材としてインストルメントパネルを挙げたが、シートに
対向する部材であればステアリングコラム又はその他の
部材でもよい。更に、上記実施例では車両としてシング
ルキャブ型のトラックを挙げたが、その他の車両でもよ
い。

【００１５】

【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、車
室装備部材に対向するシートクッションの下方の前部か
ら中央にかけて車両の進行方向に延びるスライドレール
をフロアパネル上に配設し、レッグ固定用ナットが固着
されたレッグ用ブラケットをシートクッションの後端下
方のフロアパネル上に配設し、シートクッションの前部
下面から突設されたフロントレッグの下端をスライドレ
ール内に挿入し、上記ナットにシートクッション後端の
リヤレッグを介してレッグ固定用ボルトを螺合すること
によりリヤレッグをブラケットに固定したので、レッグ
固定用ボルトをレッグ固定用ナットから外すだけでシー
ト本体をスライドレールに沿って後方に移動できる。こ
の結果、車両が前面衝突してインストルメントパネル等
の車室装備部材とシートクッションとの間に挟まれた持
込み品を工具を使わずに短時間で取出すことができる。
また、本発明のシートをシート直後にバックパネルが位
置するシングルキャブ型トラックに装着しても、前面衝
突して小さくなった車室装備部材及びシートクッション
の間隔を短時間で大きく確保することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明一実施例の車両用シートを含むトラック
の側面図。

【図２】シート本体をその後部を引上げながらスライド
レールに沿って後方に移動させた状態を示すトラックの
要部側面図。

【図３】図１のＡ−Ａ線断面図。

【符号の説明】

１０ トラック（車両） １１ 助手席（シート） １２ シートクッション １４ シート本体 １６ フロアパネル １８ インストルメントパネル（車室装備部材） ２２ スライドレール ２３ レッグ用ブラケット ４４ レッグ固定用ナット ４６ フロントレッグ ４７ リヤレッグ ４８ レッグ固定用ボルト

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両(10)の車室装備部材(18)に対向して
   設けられシートクッション(12)を有するシート本体(14)
   と、 前記シートクッション(12)の下方の前部から中央にかけ
   てかつ前記車両(10)の進行方向に延びてフロアパネル(1
   6)上に配設された一対のスライドレール(22)と、 前記シートクッション(12)の後端下方の前記フロアパネ
   ル(16)上に配設されレッグ固定用ナット(44)がそれぞれ
   固着された一対のレッグ用ブラケット(23)と、 前記シートクッション(12)の前部下面から前記一対のス
   ライドレール(22)に向ってそれぞれ突設され下端が前記
   スライドレール(22)に沿って移動可能に前記スライドレ
   ール(22)内にそれぞれ挿入された一対のフロントレッグ
   (46)と、 前記シートクッション(12)の後端に設けられ前記一対の
   ブラケット(23)に固着されたナット(44)にレッグ固定用
   ボルト(48)を螺合することにより前記ブラケット(23)に
   それぞれ固定された一対のリヤレッグ(47)とを備え、前
   記ボルト(48)を前記ブラケット(23)に固着されたナット
   (44)から外すことにより前記シート本体(14)が前記スラ
   イドレール(22)に沿って後方に移動可能に構成されたこ
   とを特徴とする車両用シートの取付構造。