JPH07205608A - 非空気入りタイヤ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】スペアタイヤとして用いられる非空気入りタイ
ヤの乗心地及び操縦安定性を向上する。 【構成】タイヤ軸に取付くディスク部２の外周縁に環状
部３を設けかつ合成樹脂を用いて一体に形成されるタイ
ヤ基体４を具えるとともに、前記環状部３は、タイヤ軸
方向の両側面でかつ半径方向に位置を違えて開口ししか
も周方向にのびる円周側溝７Ａ、７Ｂを有し、かつ円周
側溝７Ａ、７Ｂ内に、弾性材からなり該円周側溝７Ａ、
７Ｂの半径方向内周面Ｆ１、外周面Ｆ２にともに接する
環状の支持材９を配し、しかも環状部３の外周面にトレ
ッドゴム５を貼着する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、いわゆるスペアタイヤ
として応急用に使用される非空気入りタイヤに関する。

【０００２】

【従来の技術】グランドタイヤのパンク等の緊急時にお
ける取替用として、車両にはスペアタイヤが搭載され
る。このようなスペアタイヤとしては、トランクルーム
の有効利用を図るべく、タイヤ外径を同一とし巾を減じ
た高圧タイヤ、又使用に際して内圧を充填する折畳み式
のタイヤなどが用いられているが、折畳み式のタイヤ
は、使用に際しての内圧充填が不便であるため、前記し
た高圧タイヤがスペアタイヤとして主として用いられて
いる。

【０００３】しかしながら、このような高圧タイヤは、
長期の保存によってややもすると内圧が低下しがちであ
り、緊急時の使用のためには、定期的な点検が必要とな
る等の手間が伴う。

【０００４】従って、スペアタイヤにあっては、使用に
際しての内圧補充、又定期的な点検などの手間を要する
ことなく、緊急時における使用を容易とするとともに、
しかも近年の車両の燃費改善のために、このようなスペ
アタイヤにおいても、その軽量化が望まれている。

【０００５】このような要請の一端を充足するものとし
て、例えば特公昭４１−２２２０１号公報（以下従来例
１という）、特開昭５０−２１４０１号公報（以下従来
例２という）、特開昭６２−２９５７０４号公報（以下
従来例３という）に夫々開示されるような非空気式タイ
ヤが提案されている。

【０００６】従来例１は、図３に示すように、環状のリ
ム部ａ、中央のハブ部ｂ及び複数個の放射状にのびるス
ポーク部分ｃ…を具えるとともに、前記スポーク部分ｃ
が、負荷を受けて片持梁の如く撓みリム部ａの外側面を
平らにして、車輪が回動する表面の形状に適応させる弾
性車輪ｔを開示している。

【０００７】又従来例２は、ディスクに正弦波の半分の
形状のウエブとこれと反対方向に曲げられた正弦波の半
分の形状のウエブとを交互に周方向に介してリムを設け
た自動車用車輪が提案されている。

【０００８】さらに従来例３は、筒状の外側部材と内側
部材との間を周方向に隔設したリブにより結合した環状
部の外面にトレッドゴムを配した非空気式タイヤを開示
している。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来例１
のものは、スポーク部分ｃが周方向に隔設されているた
め、走行中の各スポーク部分ｃの撓みに応じたゴツゴツ
感が避けられず、乗心地及び操縦安定性は必ずしも良い
ものではない。

【００１０】従来例２のものも、向きの異なるウエブが
周方向に不連続に形成されているため、走行中の振動を
誘発しやすく、乗心地及び操縦安定性が劣りがちであっ
た。

【００１１】又従来例３のものも、リブが周方向に隔設
されているため、前記従来例１のものと同様の問題点を
有する。

【００１２】本発明は、環状部のタイヤ軸方向の両側面
でかつ半径方向に位置を違えて開口ししかも周方向にの
びる円周側溝を設けることを基本として、周方向の全長
に亘り連続して撓ませることができ、乗心地及び操縦安
定性を向上しうる非空気入りタイヤの提供を目的として
いる。

【００１３】

【課題を解決するための手段】本発明は、タイヤ軸に取
付くディスク部の外周縁に環状部を設けかつ合成樹脂を
用いて一体に形成されるタイヤ基体を具える非空気入り
タイヤであって、前記環状部は、タイヤ軸方向の両側面
でかつ半径方向に位置を違えて開口ししかも周方向にの
びる円周側溝を設けるとともに、タイヤ基体の円周側溝
内に、弾性材からなり該円周側溝の半径方向内周面、外
周面にともに接する環状の支持材を配するとともに、環
状部の外周面にトレッドゴムを貼着している。

【００１４】なお前記円周側溝の前記開口は、その半径
方向の長さがこの円周側溝のタイヤ軸方向中央部よりも
小さいことが望ましい。

【００１５】

【作用】非空気入りタイヤは、ディスク部の外周縁に環
状部を設けかつ合成樹脂を用いて一体に形成されるタイ
ヤ基体にトレッドゴムを貼着しているため、内圧点検、
リム組みの必要がなく、又パンク等の心配も無くなり、
安全性を高めうるとともに、軽量化が可能となり、かつ
コストの低減に役立つ。

【００１６】又前記環状部には、タイヤ軸方向の両側面
でかつ半径方向に位置を違えて開口ししかも周方向にの
びる円周側溝が設けられ、しかも該円周側溝内に、弾性
材からなる環状の支持材を配するため、環状部を周方向
に連続して滑らかに撓ませることができ、走行中のゴツ
ゴツ感を減じ、乗心地を高めうるとともに、操縦安定性
を向上しうる。

【００１７】さらに前記円周側溝の前記開口の半径方向
の長さを、この円周側溝のタイヤ軸方向中央部の半径方
向の長さよりも小さくすることによって、前記支持材の
ずれによる脱落を防ぐことができ、乗心地及び操縦安定
性を維持しうるとともに、安全性を一層高めうる。

【００１８】

【実施例】以下本発明の一実施例を図面に基づき説明す
る。図１、図２において本発明の非空気入りタイヤ１
は、ディスク部２とその外周縁に設ける環状部３とから
なるタイヤ基体４を合成樹脂を用いて一体に形成してお
り、又環状部３の外周面には、トレッドゴム５がその全
周に亘り貼着されている。

【００１９】前記ディスク部２は、タイヤ軸取付用の孔
部１４を中心に設けた平板円板状をなし、又前記孔部１
４の周囲には、複数個のタイヤ軸取付用のボルトが通る
ボルト孔１５…を隔設している。

【００２０】又前記環状部３は、前記ディスク部２の外
周縁からタイヤ軸方向外方にかつ半径方向外方に傾いて
のびる内連結片１７と、この内連結片１７の半径方向外
端に一端が連なりかつタイヤ軸方向にのびるとともに中
央部がディスク部２の延長線上に位置するリング状の内
側環１９と、この内側環１９の他端から半径方向外方に
のびる中連結片２０と、この中連結片２０の半径方向外
端に一端が連なりかつ前記内側環１９の半径方向外方で
タイヤ軸方向にのびるリング状の中間環２１と、この中
間環２１の他端から半径方向外方にのびる外連結片２２
と、この外連結片２２の半径方向外端から前記中間環２
１の半径方向外方でタイヤ軸方向にのび前記トレッドゴ
ム５を貼着する環状部３の外周面を形成する外側環２３
とからなる断面略逆Ｓ字状をなす。

【００２１】このように前記内側環１９、この内側環１
９よりも大径の中間環２１、及びこの中間環２１よりも
大径の外側環２３は、前記中連結片２０と外連結片２２
とにより同芯に結合されるとともに、内側環１９と中連
結片２０と中間環２１によって、タイヤ軸方向の一方の
側面で開口６Ａを設けた周方向に連続してのびる円周側
溝７Ａが、又中間環２１と外連結片２２と外側環２３と
によって、タイヤ軸方向の他方の側面でかつ前記開口６
Ａとは半径方向に位置を違えて開口６Ｂを設けた周方向
に連続してのびる円周側溝７Ｂが夫々形成される。

【００２２】なお前記開口６Ａ、６Ｂは、前記内側環１
９、中間環２１、及び外側環２３のタイヤ軸方向端部に
設けた突部２５…によって、その半径方向の長さＬＡ、
ＬＢが円周側溝７Ａ、７Ｂのタイヤ軸方向中央部の半径
方向の長さＬＣ、ＬＤよりも小さく設定されている。又
長さＬＣ、ＬＤを同一とすることが、環状部３をタイヤ
軸方向に接地圧によりバランスよく撓ませる上で好まし
い。比ＬＣ／ＬＤが０．９５未満、若しくは１．０５よ
り大となると、タイヤ軸方向の一方において環状部３の
撓みが不均一に大きくなり、操縦安定性を損ないがちと
なる。従って、比ＬＣ／ＬＤは、０．９５以上かつ１．
０５以下、より好ましくは０．９８以上かつ１．０２以
下に設定される。

【００２３】又前記内側環１９の直径Ｄ１９と、外側環
２３の直径Ｄ２３との比Ｄ１９／Ｄ２３は、０．７５以
上かつ０．８５以下、好ましくは０．７８以上かつ０．
８２以下に設定される。これによって環状部３から伝わ
る接地力を適宜に緩和しつつディスク部２に伝達でき、
接地もしくは凹凸の乗越し時における外側環２３の変形
を円周側溝７Ａ、７Ｂによって吸収させることが可能と
なる。前記比Ｄ１９／Ｄ２３が０．８５よりも大である
とき、内側環１９をへてディスク部２に変形を伝達させ
る傾向が顕著となる一方、比Ｄ１９／Ｄ２３が０．７５
よりも小であるときには、環状部３の撓みが増し接地回
転に伴う外側環２３の偏心を助長しやすくなり、操縦安
定性を低下させる。

【００２４】このように環状部３に前記円周側溝７Ａ、
７Ｂを設けることによって、タイヤの周方向全長に亘り
該環状部３を円滑に撓ませることができ、乗心地を高め
うるとともに、操縦安定性を向上しうる。

【００２５】又ディスク部２と環状部３とからなるタイ
ヤ基体４は、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ナ
イロン、ポリカーボネート樹脂などの強度、耐衝撃性、
耐疲労性等に優れる合成樹脂を用いて一体に形成され
る。

【００２６】さらにタイヤ基体４の前記円周側溝７Ａ、
７Ｂ内には、支持材９が配される。支持材９は、断面形
状が山形をなしかつ周方向の全長に亘ってのびる支持材
片９Ａをタイヤ軸方向に例えば３つ並べて一体化された
環状の弾性材からなり、各支持材片９Ａの半径方向内面
を円周側溝７Ａ、７Ｂの半径方向内周面Ｆ１に、又半径
方向外面を円周側溝７Ａ、７Ｂの半径方向外周面Ｆ２に
夫々当接させかつ接着剤等を用いて固着することにより
該円周側溝７Ａ、７Ｂ内に横ずれ不可に配設される。

【００２７】なお支持材９をなす弾性材としては、ＪＩ
ＳＡ硬度が４５〜５５度の配合ゴムを用いる。４５度よ
りも小さいと、支持材９による衝撃の緩和性能を損ない
がちとなり、操縦安定性を低下させる一方、５５度より
も大きくすると、環状部３の撓みが過小となり、乗心地
が悪くなる。

【００２８】又前記開口６Ａ、６Ｂの半径方向の長さＬ
Ａ、ＬＢを前記長さＬＣ、ＬＤよりも小さくしたため、
支持材９の開口６Ａ、６Ｂからの脱落を防止しうる。

【００２９】環状部３の外周面に貼着される前記トレッ
ドゴム５は、ＪＩＳＡ硬度を５０度以上とすることによ
り耐摩耗性を高めうるとともに、該トレッドゴム５は、
タイヤ基体４の外周面に射出成形によって直接形成して
も、もとはプレスを用いてバンド状に成形したうえ、接
着等により取付けることも出来る。

【００３０】

【発明の効果】叙上の如く本発明の非空気入りタイヤ
は、環状部に、タイヤ軸方向の両側面でかつ半径方向に
位置を違えて開口ししかも周方向にのびる円周側溝を設
け、この円周側溝内に、弾性材からなる環状の支持材を
配しているため、周方向の全長に亘って連続的に環状部
を接地圧により適宜の量だけ撓ませることができ、走行
中のゴツゴツ感を減じ、乗心地を高めうるとともに、操
縦安定性を向上しうる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す正面図である。

【図２】その部分断面図である。

【図３】従来の技術を説明するための正面図である。

【符号の説明】

２ ディスク部 ３ 環状部 ４ タイヤ基体 ５ トレッドゴム ６Ａ、６Ｂ 開口 ７Ａ、７Ｂ 円周側溝 ９ 支持材

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】タイヤ軸に取付くディスク部の外周縁に環
   状部を設けかつ合成樹脂を用いて一体に形成されるタイ
   ヤ基体を具える非空気入りタイヤであって、 前記環状部は、タイヤ軸方向の両側面でかつ半径方向に
   位置を違えて開口ししかも周方向にのびる円周側溝を設
   けるとともに、 タイヤ基体の円周側溝内に、弾性材からなり該円周側溝
   の半径方向内周面、外周面にともに接する環状の支持材
   を配するとともに、 環状部の外周面にトレッドゴムを貼着したことを特徴と
   する非空気入りタイヤ。
2. 【請求項２】前記円周側溝の前記開口は、その半径方向
   の長さがこの円周側溝のタイヤ軸方向中央部よりも小さ
   いことを特徴とする請求項１記載の非空気入りタイヤ。