JPH07196769A - 低温硬化型プリプレグ用エポキシ樹脂組成物及びそれを用いたプリプレグ - Google Patents

低温硬化型プリプレグ用エポキシ樹脂組成物及びそれを用いたプリプレグ

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JPH07196769A
JPH07196769A JP35054393A JP35054393A JPH07196769A JP H07196769 A JPH07196769 A JP H07196769A JP 35054393 A JP35054393 A JP 35054393A JP 35054393 A JP35054393 A JP 35054393A JP H07196769 A JPH07196769 A JP H07196769A
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prepreg
epoxy resin
resin
low
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JP35054393A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Toshima
宏 戸島
Hiroyuki Omae
博之 御前
Isao Tomita
勲 冨田
Yoshimasa Chiba
喜政 千葉
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Tonen General Sekiyu KK
Original Assignee
Tonen Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 分子中にウレタン結合を有するエポキシ樹脂
を3〜50重量%含有するエポキシ樹脂(A)100重
量部と、該エポキシ樹脂(A)1当量に対し常温で潜在
性を示し反応開始温度が40〜115℃である低温硬化
剤(B)0.2〜3倍当量、及び変性にアクリルゴム
(架橋変性、エポキシ樹脂との予備反応変性等)(C)
1〜20重量部からなる低温硬化型プリプレグ用エポキ
シ樹脂組成物、並びに該低温硬化型エポキシ樹脂組成物
を用いた、50℃におけるマトリックス樹脂組成物の粘
度が1,000〜1,000,000cpsであること
を特徴とするエポキシ樹脂プリプレグ。 【効果】 本発明のプリプレグ用エポキシ樹脂組成物に
よると、樹脂の保存安定性、含浸性、取り扱い性、反応
速度並びにFRPの曲げ物性等を損なわずに、FRP成
形体において樹脂と強化繊維との濡れ性が大幅に向上
し、強化繊維(主に、ガラス繊維)と樹脂相との界面接
着強度及び樹脂相と他の部材との接着強度を著しく向上
させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、樹脂の保存安定性、プ
リプレグ製造時の強化繊維に対する樹脂の含浸性、プリ
プレグの取り扱い性等に優れ、しかも強化繊維(特にガ
ラス繊維)と樹脂相との界面接着強度並びに樹脂相と他
の部材との接着強度に優れた成形体が得られる低温硬化
型プリプレグ用エポキシ樹脂組成物、及びそれを用いた
プリプレグに関する。
【0002】
【従来の技術】エポキシ樹脂は、その硬化物の耐熱性、
弾性率、硬度及び耐薬品性等に優れており、特にアラミ
ド繊維、ガラス繊維及び炭素繊維などの強化繊維を使用
したプリプレグ用樹脂組成物として広く用いられてい
る。このようなプリプレグは種々の技術分野において広
く用いられており、特に、ゴルフクラブシャフト、釣り
竿、テニスラケットフレーム、スキー板等スポーツ用品
の製造において、軽量で且つ機械的強度も高いという理
由から多く利用されている。
【0003】従来、プリプレグにはその製造法により、
プリプレグ用樹脂組成物として溶媒を用いた低粘度の含
浸液を使用するソルベント型のものと、溶媒を用いず、
ある程度の温度で流動化する高粘度のものを使用するホ
ットメルト型のものと、溶媒を用いず、室温で流動性の
ある低粘度の樹脂を使用する室温含浸型のものがある。
【0004】前記の各スポーツ部材の成形にはソルベン
ト型のプリプレグが用いられているが、ソルベント型は
溶媒を使用しているため、反応の進行により、保存安定
性やプリプレグの取扱い性が悪く、FRP成形品の物性
や表面仕上がり状態がばらつき、更には溶媒を用いるこ
とによる作業環境が悪いという問題点をかかえている。
また、室温含浸型は初期粘度が低く均一な厚みに含浸す
ることができないため、表面性や取扱い性が悪く、また
1000cps程度の低粘度から100,000cps
程度の高粘度へ粘度を上昇させる必要があり、粘度上昇
巾が大きいため、反応の制御が難しく、得られるプリプ
レグの物性にバラツキを生じるという欠点がある。
【0005】一方、ホットメルト型は、保存安定性が良
好である、プリプレグの取り扱い性の制御が容易であ
る、溶媒を用いないクリーンなプリプレグが得られる等
という利点を有する上に、低温速硬化による生産効率の
大幅アップや耐熱性の低いコア材との低温一体成形を可
能とするという長所がある。
【0006】現状のスポーツ分野では、例えばゴルフヘ
ッドやシャフト、スキー板、各種ラケットのアーム部、
更には各種ボード等の部材にプリプレグを用いた一体型
成形が行なわれているが、同成形法においては、耐熱性
の低い(100℃以下)コア材との一体成形が主である
ため、より低温で且つ短時間で硬化・成形可能な低温硬
化型プリプレグが熱望されている。
【0007】しかし、従来のホットメルト型のプリプレ
グでは、高温(120〜130℃)且つ長時間(1〜2
時間)を硬化に要するため、低温速硬化による生産効率
の大幅アップ、耐熱性の低いコア材との低温一体成形が
依然として不可能である。このことがプリプレグの用途
を制限し、製造工程を非効率なものとしている。
【0008】一方、ホットメルト型の低温硬化プリプレ
グを用いた場合については、本発明者らも種々の提案を
行なっている(例えば、特願平5−262903号公報
等)が、保存安定性を維持しつつ、低温(70〜100
℃)且つ短時間(20分〜1時間程度)で硬化可能であ
るため、生産効率の大幅アップ、耐熱性の低いコア材と
の低温一体成形が可能となる。更には、速硬化により硬
化成形品の表面性は著しく向上する。しかしながら、こ
れらの低温硬化型プリプレグを用いた場合、樹脂の低温
速硬化性能は優れているものの、硬化温度が低いために
強化繊維と樹脂との化学的ないしは物理的な結合が充分
ではなく、両者の界面接着強度が高温硬化剤のプリプレ
グの場合と比較して充分に発現されないため成形品に用
いるプリプレグの量が多くなるという問題点がある。ま
た、硬化樹脂と他の部材、例えばアルミ板やその他の金
属、木材、GFRP、各種熱可塑性樹脂等との低温一体
成形が可能ではあるもののこれら部材との接着強度が低
いために、最終製品の性能が充分発現されないという問
題点もある。これを補うために、他の部材とプリプレグ
との界面に他の接着剤を使用して成形されているのが現
状である。従って、効率的な低温一体成形による高性能
製品を製造する上で、強化繊維と樹脂相との界面強度が
大きく、接着剤フリーで他の部材と強固に接着すること
ができる低温硬化型のプリプレグが望まれている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の実情に鑑みてなされたものであって、樹脂の保存安
定性、プリプレグ製造時の強化繊維に対する樹脂の含浸
性、プリプレグの取り扱い性、FRPの曲げ物性等を損
なわずに、得られるFRPにおける硬化樹脂相と強化繊
維との界面接着強度、及び特に硬化樹脂相とアルミ板等
の他の部材との接着強度が大幅に改善される低温硬化型
プリプレグ用エポキシ樹脂組成物及びそれを用いたプリ
プレグを提供することをその目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、分子中
にウレタン結合を有するエポキシ樹脂を3〜50重量%
含有するエポキシ樹脂(A)100重量部、該エポキシ
樹脂(A)1当量に対し常温で潜在性を示し反応開始温
度が40〜115℃である低温硬化剤(B)0.2〜3
倍当量、及び変性アクリルゴム(C)1〜20重量部か
らなることを特徴とする低温硬化型プリプレグ用エポキ
シ樹脂組成物が提供され、特に、前記変性アクリルゴム
(C)が、架橋アクリルゴム、架橋アクリロニトリル−
ブタジエン共重合体、又はカルボキシ末端アクリロニト
リル−ブタジエン共重合体或いは予めエポキシ樹脂を反
応させた予備変性アクリルゴムであることを特徴とする
前記低温硬化型プリプレグ用エポキシ樹脂組成物が提供
される。また前記低温硬化型プリプレグ用エポキシ樹脂
組成物を補強材に含浸させてなり、マトリックス樹脂組
成物の50℃おける粘度が1,000〜1,000,0
00cpsであることを特徴とするエポキシ樹脂プリプ
レグが提供される。
【0011】即ち、本発明の低温硬化型プリプレグ用エ
ポキシ樹脂組成物は、主剤に分子中にウレタン結合を有
するエポキシ樹脂を3〜50重量%含有するエポキシ樹
脂を用い、該エポキシ樹脂100重量部に対して、低温
硬化剤0.2〜3倍当量及び変性アクリルゴム1〜20
重量部を添加してなるものとしたことから、また、該組
成物を用いたプリプレグのマトリックス樹脂組成物の5
0℃における粘度が1,000〜1,000,000c
psであるものとしたことから、樹脂の保存安定性、プ
リプレグ製造時の強化繊維に対する樹脂の含浸性、プリ
プレグの取り扱い性、反応速度並びにFRPの曲げ物性
等を損なわずに、FRP硬化物における強化繊維(主
に、ガラス繊維)と樹脂相との界面接着強度及び樹脂相
と他の部材との接着強度を著しく向上させることができ
るものとなる。また該樹脂組成物はプリプレグにおいて
強化繊維との接着/硬化によりFRPの物性を発現させ
るのみならず、隣接する他の部材との接着剤としても使
用可能となるため、該樹脂組成物を用いたプリプレグを
使用すれば、接着剤フリーでの効率的な低温一体成形が
可能となり、更に、樹脂の靭性(柔軟性)が向上するた
め、耐衝撃性の向上も期待される。
【0012】以下に、本発明を更に詳しく説明する。本
発明のエポキシ樹脂組成物に用いるエポキシ樹脂(A)
は、分子中にウレタン結合を有するエポキシ樹脂を3〜
50重量部含有するエポキシ樹脂である。ウレタン結合
を有するエポキシ樹脂は、分子中にOH基を含有するエ
ポキシ樹脂と有機ポリイソシアネートもしくは有機ポリ
イソシアネートとポリオール類との反応で得られる末端
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとの反応に
より提供される。分子中にOH基を含有するエポキシ樹
脂としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型
のグリシジルエーテルタイプのエポキシ樹脂や、ジカル
ボン酸とエビハロヒドリンとの反応により得られるグリ
シジルエステルタイプのエポキシ樹脂、さらには多価フ
ェノールとアルキレンオキサイドとの付加物にハロヒド
リンを反応せて得られるエポキシ樹脂等が挙げられる。
また、有機ポリイソシアネートとしては、NCO基が核
置換した2,4−トルイレジンイソシアネート、2,6
−トルイレジンイソシアネート、1,4−ナフチレンジ
イソシアネート類や(CH2nNCOが核置換した4,
4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−
ジメチルフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート等
が挙げられる。また、有機ポリイソシアネートと反応さ
せるポリオール類としては、エチレングリコールやプロ
ピレングリコール等の2価アルコール、グリセリンやト
リメチロールプロパン等の3価アルコール等の多価アル
コール類が挙げられる。これらの製造法については、例
えば特公昭60−49644号、特公昭59−3692
8号、特公昭62−43472号、特公平1−4892
8号、特公昭61−21962号、等が挙げられる。
【0013】また、該ウレタン結合を有するエポキシ樹
脂と混合して用いる他のエポキシ樹脂としては、ビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂等2官能性、または3官能以
上の従来公知のエポキシ樹脂が使用できる。このような
エポキシ樹脂としては、2官能エポキシ樹脂には、油化
シェル(株)、住友化学(株)、旭化成(株)、大日本
インキ(株)等で上市されているビスフェノールAタイ
プ(ジグリシジルエーテル,ジグリシジルエステルタイ
プ等)の樹脂がある。これらの2官能エポキシ樹脂の具
体例としては、以下のものが挙げられる。 油化シェル(株):エピコート801、802、80
7、815、819、828、834、1001、10
02、1003、1004等、 大日本インキ(株):エピクロン840、850、85
5、860、900、830等、 住友化学(株):ELA115、127、128、13
4等、 旭化成(株):A.E.R330、331、354、33
7、661、662等、 日本化薬(株):RE−403S、−404S、−41
0S、−310S、−304S等。
【0014】また、多官能エポキシ樹脂には、油化シェ
ル(株)、住友化学(株)、旭化成(株)、大日本イン
キ(株)等上市されているオルソクレゾールノボラック
タイプ,フェノールノボラックタイプ,グリシジルアミ
ン系等の2官能より以上の樹脂があり、ノボラックタイ
プではエポキシ当量170〜250,グリシジルアミン
系ではエポキシ当量90〜150である。これらの多官
能エポキシ樹脂の具体例としては、以下のものが挙げら
れる。 フェノールノボラックタイプ: 油化シェル(株):エピコート152(2.2官能)、
エピコート154(3.5官能+)、 大日本インキ(株):エピクロンN730(2.5官
能)、エピクロンN740(3.6官能)、エピクロン
N738〜740(3.5〜4.5官能)、 日本化薬(株):EPPN201、RE300等。 クレゾールノボラックタイプ: 油化シェル(株):エピコート180シリーズ、 旭化成(株):A.R.E273、280、299、 住友化学(株):ESCN−195X、220、 大日本インキ(株):エピクロンN−665、670、
673、680、690、695、 日本化薬(株):ECON−100、102S、103
S、104S等。 グリシジルアミン系: 油化シェル(株):エピコート604〔テトラグリシジ
ルジアミノジフェニルメタン(TGDDM)〕、 住友化学(株):ELM−100(3官能)、ELM−
120(3官能)、ELM−434(4官能)、 大日本インキ(株):エピクロン421L(3官能)、
430(4官能)。 その他のグリシジルアミン系:トリグリシジル−p−ア
ミノフェノール(3官能)〔チパガイギー(株)、東都
化成(株)〕 テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン(4官能)
〔三菱ガス化学(株)〕 テトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン(4
官能)〔三菱ガス化学(株)〕 トリグリシジル−メタアミノフェノール(3官能)〔住
友化学(株)〕。
【0015】前記した如く、エポキシ樹脂(A)成分中
に、分子中にウレタン結合を有するエポキシ樹脂を配合
することにより、樹脂とガラス繊維との界面接着強度を
向上させることができる。即ち、エポキシ樹脂中のウレ
タン結合とガラス表面酸素官能基との水素結合により、
樹脂の繊維への濡れ性を大幅に改善することができる。
また該ウレタン結合は金属や木材等とも同様に水素結合
を形成し、これら部材との濡れ性も大幅に改善すること
ができる。
【0016】一般にプリプレグでは、樹脂の塗工安定
性、プリプレグの取り扱い性等の観点から、樹脂の粘度
をかなり高くしなければならないが、樹脂の粘度を高く
すると必然的に樹脂の強化繊維や他部材に対する濡れ性
が大幅に低下するので、プリプレグに使用するマトリッ
クス樹脂について界面活性能を高めるため、ウレタン結
合、アミド結合等の導入が不可欠となるが、一般にこれ
ら結合を硬化剤で導入した場合樹脂の保存安定性が損な
われる。本発明は、ウレタン結合をエポキシ樹脂成分中
に安定的に導入したことにより、これら問題点を解決し
たものである。
【0017】前記ウレタン結合を有するエポキシ樹脂
は、エポキシ樹脂(A)成分中に、3〜50重量%、好
ましくは5〜20重量%配合する。配合量が3重量%よ
り少ないと、該樹脂を配合した効果を発揮することがで
きず、また50重量%より多いと樹脂組成物の反応速度
が低下し、硬化不足による曲げ特性、界面強度の低下、
及びガラス転移温度(Tg)の低下を招く。
【0018】常温で潜在性を示し、反応開始温度が40
〜115℃である低温硬化剤(B)としては、例えば、
特開平3−177418号公報記載のアミン化合物とエ
ポキシ樹脂と尿素を加熱反応させてなる硬化剤化合物、
特開昭64−70523号公報記載のアミン化合物をマ
イクロカプセル化した硬化剤等が挙げられる。また、低
温硬化剤(B)の使用割合は、エポキシ樹脂(A)1当
量に対して0.2〜3倍当量である。0.2倍当量より
少ないかあるいは3倍当量より多いと、硬化が不充分で
あり、得られたプリプレグの特性発現が不充分となる。
【0019】なお、本発明でいう反応開始温度とは、D
SCを用い、昇温速度10℃/mmで昇温し、例えば図
1に示されるような発熱曲線から求められるon se
t温度を意味する。
【0020】また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、
アクリルゴムが配合されるが、該ゴムとしては、エポキ
シ樹脂中に相溶せず分散相として樹脂中に存在する架橋
アクリルゴム、架橋アクリロニトリル−ブタジエン共重
合体(架橋NBR)等と、混合時にエポキシ樹脂中に均
一に相溶し、硬化と共にゴムリッチ相としてゴム相が析
出するカルボキシ末端NBR(CTBN)等のいずれの
タイプのものも使用でき、いずれも強化繊維との界面接
着強度並びに他部材との接着強度の向上に効果がある。
【0021】本発明で使用される変性アクリルゴムは、
Tgが−30〜−40℃、平均粒径が500〜50,0
00Åの範囲内にある微粒子ゴムであり、且つ融点を持
たない架橋アクリルゴム(前述のゴム分散系)が、FR
P曲げ物性やTgの低下を抑制しつつ、硬化樹脂相とガ
ラス繊維及び他の部材との接着強度の向上には最も好ま
しい。また、これらのゴムにおいては、CTBN等の分
子末端にカルボキシル基等の酸性基が存在する場合が多
いが、同官能基はアミンをマスキングすることにより反
応速度を低下させる。よって、予めエポキシ樹脂等と反
応させ、予備変性物とすることにより、同官能基を消滅
させることが望ましい。液状タイプのゴムであるCTB
Nタイプでは、樹脂の構造を鎖状化並びに網目密度の低
減により硬化樹脂に柔軟性を賦与し、接着強度を増大さ
せる。
【0022】これらのアクリルゴムの市販品としては、
架橋アクリルゴムとして平均粒径3,000Åの日本触
媒(株)製CX−MNシリーズが、架橋NBRとして平
均粒径700〜800Åの日本合成ゴム(株)製XER
−91が、またCTBNとしてBF Goodrich
社製Hycar CTBN 1300×8、1300×
13や日本合成ゴム(株)製MF611A、MF620
A等があり、平均粒径500〜50,000Å程度のも
のが好ましい。
【0023】いずれの場合も、アクリルゴム(C)の使
用量は、エポキシ樹脂(A)100重量部に対して1〜
20重量部、好ましくは5〜15重量部である。1重量
部未満では接着強度の向上効果が小さく、20重量部を
越えるとFRP曲げ物性やTgの著しい低下を招く。な
お、これらのアクリルゴム成分の添加は、上記範囲内の
量においては、樹脂組成物の保存安定性や取り扱い性、
硬化速度に殆ど影響を与えない。
【0024】なお、本発明においては、樹脂相と強化繊
維や他の部材との接着性を更に向上させるために、シラ
ンカップリング剤を添加することができる。この場合の
シランカップリング剤としては、末端に有機相との結合
を可能にするエポキシ基やアミノ基を持ち、他端に容易
にカップリングするメトキシシランやエトキシシラン等
のアルコキシシランを持つものが好ましい。また、シラ
ンカップリング剤の添加量は、一般にエポキシ樹脂10
0重量部に対し、0.3から3.0重量部程度が適切で
ある。
【0025】また、本発明のプリプレグに用いる補強繊
維としては、例えばガラス繊維、炭素繊維、マイカ、ア
スベスト、合成樹脂繊維、またはこれらの織布、不織布
等が挙げられるが、ガラス繊維の場合に接着強度向上効
果が著しい。これら補強繊維は、前記エポキシ樹脂組成
物に対して繊維含有率で20〜70%使用する。
【0026】更にまた、本発明のプリプレグ用エポキシ
樹脂組成物においては、諸特性を失わない程度の範囲で
充填剤、着色剤、希釈剤等の各種添加剤を配合してもよ
い。
【0027】本発明のプリプレグを製造するには、例え
ば、先ず、離型紙、離型フィルム、金属箔等のシートに
前記エポキシ樹脂からなるプリプレグ用マトリックス樹
脂組成物をコーティングし、樹脂コートされたシートを
製造する。次に該樹脂コートされた2枚のシートを樹脂
コート面を向い合わせて、間に補強材を挾合しつつ、ホ
ットプレスローラ等が加圧下に常温〜70℃に加熱し含
浸され、その後シートを除去することにより目的のプリ
プレグを得ることができる。
【0028】得られたプリプレグのマトリックス樹脂組
成物の50℃における粘度は1,000〜1,000,
000cps、好ましくは50,000〜300,00
0cpsである。1,000cpsより低くても、1,
000,000cpsより高くても、プリプレグの取り
扱い性が著しく劣る。
【0029】
【実施例】次に実施例を示す。なお、以下で示す”部”
とはすべて重量基準である。 実施例1 〈プリプレグの製造(ホットメルト方式)〉離型紙上
に、下記組成のプリプレグ用エポキシ樹脂組成物を50
℃でコーティングし、これと補強繊維として一方向に配
列したガラス繊維(旭ファイバーグラス(株)製、規格
名Eガラス繊維)とを、ガラス繊維含有率50重量%の
割合で60℃にてラミネーションしてプリプレグを製造
した。製造一週間後のPPマトリックス樹脂組成物の5
0℃に於ける粘度は116,000cpsであった。 〈樹脂組成〉 エピコート828 70部 (油化シェル:グリシジルエーテルタイプ、2官能) エピコート1001 20部 (油化シェル:グリシジルエーテルタイプ、2官能) EPU6 10部 (旭電化工業:ウレタン変性エポキシ樹脂) FXE1000 20部(1倍当量) (富士化成(株)製、低温硬化剤、反応開始温度92℃、図1参照) 架橋NBR 2部 (日本合成ゴム(株)社製、XER−91、平均粒径700〜800A、 Tg−35℃) DDM 2部 (反応性増粘剤、ジアミノジフェニルメタン) 樹脂組成物の50℃に於ける粘度 製造直後: 14,400cps 一週間後:116,000cps
【0030】実施例2〜4 架橋NBRの量を5部、10部、20部にした以外は、
実施例1と同様にして各々のプリプレグを製造した。 実施例5〜7 エピコート828を70部、55部、40部、エピコー
ト1001を25部、15部、10部、EPU6を5
部、30部、50部にした以外は、実施例2と同様にし
て各々のプリプレグを製造した。 実施例8、9 架橋NBRに換えて、CTBNを10部、20部添加し
た以外は、実施例1と同様にして各々のプリプレグを製
造した。 実施例10、11 ウレタン変性エポキシ樹脂EPU6をEPU78−11
(共に旭電化工業(株)製)に変更した以外は、各々実
施例2、6と同様にしてプリプレグを製造した。 実施例12〜14 エピコート828を30部、20部、10部、エピコー
ト1001を60部、50部、40部、ウレタン変性エ
ポキシ樹脂EPU6を10部、30部、50部に変化さ
せ、低温硬化剤をFXE1000からHX3722〔旭
化成(株)製、反応開始温度112℃〕30部(1倍当
量)に変更し、架橋NBRの添加量を5部としDDMを
添加せずに同様にして各々のプリプレグを製造した。 実施例15〜16 架橋NBRの添加量を10部、20部に変更した以外
は、実施例12と同様にして各々のプリプレグを製造し
た。
【0031】
【比較例】
比較例1 ウレタン変性エポキシ樹脂、架橋NBR共に添加しない
以外は実施例1と同様にしてプリプレグを製造した。 比較例2、3 架橋NBRが添加しない以外は実施例2、6と同様にし
て各々のプリプレグを製造した。 比較例4、5 、架橋NBRが0.5部、30部とした以外は実施例1
と同様にして各々のプリプレグを製造した。 比較例6、7 CTBNを0.5部、30部とした以外は実施例8と同
様にして各々のプリプレグを製造した。 比較例8、9 エピコート828を70部、25部、エピコート100
1を29部、5部、ウレタン変性エポキシ樹脂EPU6
を1部、70部、架橋NBRを10部とした以外は実施
例3と同様にして各々のプリプレグを製造した。 比較例10、11 架橋NBRを0.5部、30部とした以外は実施例12
と同様にして各々のプリプレグを製造した。
【0032】実施例1〜16及び比較例1〜11におけ
る樹脂組成物の成分及び配合比を表1、表3に示し、ま
た各実施例及び比較例において得られたプリプレグにつ
いて下記特性を測定し、その結果を表1〜4に示す。 〈保存安定性及び取り扱い性〉得られたプリプレグにつ
いては、製造後、常温23℃保存下での1週間及び1ヵ
月後のタックを調査することによりプリプレグの取り扱
い性並びに樹脂の保存安定性を調査した。この際、プリ
プレグを直接手に触れ、樹脂のべた付きがなくプリプレ
グがしなやかである状態を″良好″とした。結果を表1
及び表3に示す。〈硬化度の測定〉得られたプリプレグ
を熱プレス機に入れて、90℃−20分の条件で硬化し
てFRPを作製。このFRPの樹脂部の反応残熱をDS
C(示差走査型熱量計)で測定することにより、熱プレ
ス成形時のFRP硬化度を測定した。結果を表2及び表
4に示す。 〈物性測定〉得られたプリプレグを厚さ2mmになる様
に、カッティング、積層し、熱プレス機を用いて90℃
−20分で硬化成形した。得られた硬化物の曲げ物性曲
げる強度、(曲げる弾性率及びILSS層内剪断強度)
を表2、表4に示す。なお、これらの曲げ物性の測定方
法は下記の通りである。また、同樹脂組成物の接着性能
を評価するため、JIS K6850に則り、上面に熱
可塑性樹脂を接着したアルミ板(厚み=1.0mm)、
通称”チタナール”(実際のスキー板の成形に用いられ
ている)を用いて樹脂の引張剪断接着強度を測定した。
さらに、JISK6852に則り、ブナの集成材(木
材)に対する圧縮剪断接着強度を測定した。結果を表
2、表4に示す。 曲げ強度及び弾性率(JIS K7055に準拠) 試験片寸法:2×12.7×120mm 治具半径:圧子 5mm 支点 2mm 支点間距離:32mm 試験速度:2mm/min ILSS(ASTM D2344に準拠する) 試験片寸法:2×6×12mm 治具半径:圧子 5mm 支点 2mm 支点間距離:8mm 試験速度:2mm/min
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
【発明の効果】本発明の低温硬化型エポキシ樹脂組成物
は、それをプリプレグの製造に用いた場合、ウレタン変
性エポキシ樹脂の添加により、強化繊維と樹脂との濡れ
性が大幅に向上し、プリプレグに使用する高粘度状態に
おいても、樹脂と強化繊維との界面接着強度が向上す
る。また、金属や木材、GFRP等の部材に対しても同
様であり、濡れ性の改善に伴う部材界面での接着強度が
向上する。また、変性アクリルゴムの添加により硬化樹
脂の柔軟性(靭性)は大幅に向上し、応力の均一分散に
より硬化樹脂層と他の部材との接着強度は著しく向上
し、該樹脂組成物は強化繊維のマトリックス樹脂として
のみならず、他部剤との”接着剤”として使用可能な低
温硬化型樹脂組成物となり得る。これにより、該樹脂組
成物からなるプリプレグを用いれば接着剤フリーで他の
部材と強固に接着した複合体の低温一体成形が可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で用いた低温硬化剤FXE−1000
〔富士化成(株)〕の反応開始温度を算出するグラフで
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 千葉 喜政 埼玉県入間郡大井町西鶴ケ岡1丁目3番1 号 東燃株式会社総合研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子中にウレタン結合を有するエポキシ
    樹脂を3〜50重量%含有するエポキシ樹脂(A)10
    0重量部、該エポキシ樹脂(A)1当量に対し常温で潜
    在性を示し反応開始温度が40〜115℃である低温硬
    化剤(B)0.2〜3倍当量、及び変性アクリルゴム
    (C)1〜20重量部からなることを特徴とする低温硬
    化型プリプレグ用エポキシ樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の低温硬化型プリプレグ用
    エポキシ樹脂組成物を補強材に含浸させてなり、マトリ
    ックス樹脂組成物の50℃おける粘度が1,000〜
    1,000,000cpsであることを特徴とするエポ
    キシ樹脂プリプレグ。
JP35054393A 1993-12-28 1993-12-28 低温硬化型プリプレグ用エポキシ樹脂組成物及びそれを用いたプリプレグ Pending JPH07196769A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006219513A (ja) * 2005-02-08 2006-08-24 Toray Ind Inc エポキシ樹脂組成物・プリプレグ・繊維強化複合材料
WO2010117081A1 (ja) * 2009-04-07 2010-10-14 株式会社スリーボンド エポキシ樹脂組成物
JP2017203142A (ja) * 2016-05-13 2017-11-16 三菱ケミカル株式会社 エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、繊維強化複合材料およびその製造方法
CN113045859A (zh) * 2021-03-22 2021-06-29 山东非金属材料研究所 一种长贮存期低温固化环氧树脂基预浸料及其制备方法
WO2021132464A1 (ja) * 2019-12-27 2021-07-01 三菱ケミカル株式会社 プリプレグ、繊維強化複合材料、繊維強化複合材料の製造方法

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