JPH07190032A - セラミックス製ボルトの製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】製造コストの低減化をはかると共に、互換性の
あるねじ部を有し、且つ信頼性のある締め付け力を発揮
できるセラミック製ボルトの製造方法を提供する。 【構成】ボルトを構成するナットとボルト軸とを別個に
作り、且つそれらのねじ部は材料であるセラミックスを
成形、焼成後、機械加工により設ける。そして、ナット
をねじと丸キーを利用してボルト軸の一端に固定し、ア
センブリーによりボルトを製造する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】［産業上の利用分野］本発明は締結用のセ
ラミックス製ボルトの製造方法に関する。

【０００２】［従来の方法］従来はセラミックス製ボル
トは一般に金型を使用する射出成形法か石膏を使用する
鋳込み成形法により、そのねじ部も同時に一体成型で作
られてきた。 或は丸棒のマシナブルセラミックス材料
からボルトを機械で削り出して作られてきた。

【０００３】［発明が解決しようとする課題］セラミッ
クスのなま素材を射出又は鋳込み成形により一定のサイ
ズのボルト成形品にしてから製品にするため高温で焼結
するとボルトの寸法が大巾に収縮する。予めこの収縮を
見込んで型の寸法を調節しておき、焼結後に機械加工で
修正して仕上げるにしても、外径、内径、長さは修正で
きても、ねじのピッチを修正することは不可能であり、
従って製品としてのボルトは締結相手のめねじを切った
部材やナットと正しいねじ嵌合を得られず、ねじ山がか
た当りをして、ねじ部が破損するか又は弱い締付け力し
か得られず、ねじがゆるみ易いと云うフアスナーとして
重大な欠点があった。

【０００４】また、製造コストの面からみると、射出成
形用の金型はボルトの各サイズと各長さ毎にそれぞれ高
価な金型代がかかるので、ボルトの少量生産には射出成
形法は不向きであった。

【０００５】鋳込み成型法は石こうの型代は安価であ
り、設備も簡単なものであるから、コストの面では有利
のようであるが、、ボルトのような小物部品の場合、作
業に手間がかかり、熟練と経験が必要な上に、生産効率
が悪いため、結局はコスト高につながった。 成形品に
歪みが発生し易く、ねじ部のばり取りも問題であった。

【０００６】他方、マシナブルセラミックスを丸棒から
機械で削り出してボルトを作る方法は、ねじ部の精度上
の問題はないが、ねじのサイズが大きく、且つボルトの
長さが長くなればなるほど、非常に高価な材料を大巾に
除去することになり、不経済であるばかりでなく、超硬
工具の損耗も大きく、加工時間も長くなり、やはりコス
ト高になった。

【０００７】［課題を解決するための手段］本発明で
は、ボルト頭部とボルト軸とを別個に作り、ねじと丸キ
ーを利用して六角ナット又は円筒ナットをボルト軸の一
端に固定してボルト頭部を形成させた。また、セラミッ
クスの除去量が僅少であるねじ部の創成は機械加工によ
った。

【０００８】［作用］本発明のボルトのねじ部は材料の
セラミックスを焼結させた後に機械加工で創成されるの
で、ねじ部が収縮して寸法精度が狂うことがなく、従っ
て常にねじの互換性が確保され、相手部材に適正な締付
け力を与えることができる。

【０００９】［実施例］以下に、実施例を図面を参照し
ながら説明する。図１と図２は本発明の一実施例におけ
る平面図と縦断面図を、それぞれ示す。所要の長さと外
径を有するセラミックス製の丸棒をプレス成形法、又は
射出成形法、又は鋳込み成型法などにより、或はまたマ
シナブルセラミックスのブロックや丸棒から削り出す方
法により作り、その両端にねじ部１とねじ部２を機械で
おねじを切って設け、ボルト軸３を用意する。次に、上
記の各種成形法のいずれかにより、所要の六角外形、内
径、高さを有するセラミックス製の中空六角形の成形品
を焼成し、その内径にめねじを機械加工で創成して六角
ナット４を用意する。

【００１０】六角ナット４をねじ部１にきつく締め込ん
でから細孔５を穿ち、これにセラミックス製の平行ピン
を丸キー６としてきつく打ち込んで六角ナット４をボル
ト軸３の上端に固定してボルト頭部を形成する。 この
時、六角ナット４の上面がボルト軸３の上面とほぼ同じ
位置にくるように、予めねじ部１の長さを設定してお
く。

【００１１】丸キー６が使用条件などにより脱落の恐れ
がある場合はテーパーピンを使用し、細孔５もテーパー
孔とする。或は平行ピンを耐熱接着剤で細孔５に固着さ
せる。

【００１２】図３と図４は本発明の別の一実施例におけ
る平面図と縦断面図を、それぞれ示す。上述の各種成形
法のいずれかにより、所要の外径、内径、高さ及び平行
なる平坦面７を有する中空円筒形の成形品を焼成し、そ
の内径に機械加工でめねじを創成した円筒ナット８を用
意する。 或は、マシナブルセラミックスのブロック又
は丸捧より機械加工で削り出して円筒ナット８を作って
もよい。前実施例の場合と同様の方法でボルト軸３を用
意し、そのねじ部１に円筒ナット８を、上記の方法でボ
ルト軸３の上端に固定する。

【００１３】また、ボルト軸３の上面中央にすり割り９
を予め設けておけば、平坦部７によるスパナ駆動の他
に、ドライバー駆動ができるので締結作業のスペースが
狭い時に便利である。 この場合はボルト軸３の上面の
位置を図４に示すように円筒ナット８の上面より僅かに
低くした方がドライバーをすり割り９に差し込むのが容
易になる。

【００１４】［発明の効果］本発明ではねじ部は凡て機
械加工で創成し且つボルト頭部とボルト軸とを別個の部
品として作り、この二つをねじと丸キーで一体にアセン
ブリーしてボルトを製造する方法を採っているので、ね
じ部を設ける前の各部品はシンプルな形状をしており、
またそれらの断面形状も一様であるため、セラミックス
の成形及び焼結の過程で歪みが生じにくく、密度も均一
になるので収縮も均等で、且つ比較的小さい。ねじ部の
ねじ山やピッチは材料の収縮後に創成されるので高精度
の寸法が得られ、本発明のボルトは他のねじとの互換性
もあり、信頼性のある締め付け力を発揮し得る。

【００１５】更に、ねじ部を設ける前の各部品の成形形
状がシンプルで断面形状が一様であるため、金型代もそ
れだけ安くなる上に、生産効率のよい乾式プレス成形法
を採用することができるので生産コストの低減がはかれ
る。また、本発明でボルト頭部を形成した六角ナット４
及び円筒ナット８はそのまま、本ボルトや他のボルトと
セットにして締結する際の通常のナットとしても使用で
きるので、同じ金型の有効利用につながり、生産コスト
上、有利である。

【図面の簡単な説明】

【図１】六角ナットをボルト頭部として形成させた、本
発明の一実施例の平面図である。

【図２】同上の中央縦断面図である。

【図３】円筒ナットをボルト頭部として形成させた、本
発明の別の一実施例の平面図である。

【図４】同上の中央縦断面図である。

【符号の説明】

１．．ねじ部 ２．．ねじ部
３．．ボルト軸 ４．．六角ナット ５．．細孔
６．．丸キー ７．．平坦面 ８．．円筒ナット
９．．すり割り

─────────────────────────────────────────────────────

【手続補正書】

【提出日】平成６年３月１６日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】特許請求の範囲

【補正方法】変更

【補正内容】

【特許請求の範囲】

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 所要の長さに切断したセラミックス製
   丸棒の両端部に機械加工によりおねじを切ってねじ部を
   設けてボルト軸とし、その一方のねじ部に同じく機械加
   工によりめねじを切ったセラミックス製の六角ナットを
   きつく締め込む。 この時、六角ナットの上面がボルト
   軸の上面とほぼ同じ位置に固着するように、上記のねじ
   部の長さを予め設定しておく。更にこの状態で嵌合して
   いる両方のねじ山をたてに貫通する細孔を穿つ。 この
   細孔にセラミックス製のピンを丸キーとしてきつく打ち
   込んで六角ナットをボルト軸の一端に固定して、ボルト
   頭部を形成させたことを特徴とする、セラミックス製ボ
   ルトの製造方法。
2. 【請求項２】 上記の六角ナットの代わりに、同じく機
   械加工によりめねじを切った内径と側面に平行な２つの
   平坦面を有する円筒ナットを使用した、請求項１記載の
   セラミックス製ボルトの製造方法。