JPH07189418A - ハニカムパネルの製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 アルミニウムのハニカムコアの端部にアルミ
ニウム形材を配設し、ハニカムコアと形材の上下にアル
ミニウムの面板を配設してハニカムパネルの形状に組立
て、ろう付け一体とするハニカムパネルの製造方法にお
いて、ハニカムコアの各セルが外部と通気性を有するよ
うコア材および形材に通気孔を設け、該通気孔をハニカ
ムコアの平面内において直線状に配置し、通気孔に線材
を挿通してハニカムコアと形材を固定し、加熱、ろう付
けする。 【効果】 ろう付け炉における加熱、ろう付け中にハニ
カムパネルの形状の崩れがなく確実に所定形状のハニカ
ムパネルが得られるとともに、ハニカムコアの端部と形
材が確実にろう付け接合され剛性の高いハニカムパネル
が形成される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ろう付けハニカムパネ
ルおよびその製造方法、詳しくは、アルミニウム（アル
ミニウム合金を含む。以下同じ）のシートまたはブレー
ジングシートを折り曲げ加工し、重合して形成されたハ
ニカムコアの端部にアルミニウム形材を配設し、コアお
よび形材の上下にアルミニウムブレージングシートから
なる面板を配設してハニカムパネルの形状に組立て、ろ
う付け炉中において加熱、ろう付け接合するハニカムパ
ネルの製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】アルミニウムのろう付けハニカムパネル
は、図４に示すように、アルミニウムのハニカムコア１
の上下両面にアルミニウムの面板２、３を接合してなる
積層体である。とくに、アルミニウムシートまたはアル
ミニウムブレージングシートからなるコア材を重合して
ハニカムコアの形状とし、上下両面にアルミニウムブレ
ージングシートからなる面板を配設して、ろう付け一体
としてなるアルミニウムのろう付けハニカムパネルは、
溶接が可能で、曲げ成形などの加工ができることから、
建築、車両、自動車、船舶など種々の分野において使用
されるようになっている。

【０００３】一般に、ろう付けハニカムパネルは、アル
ミニウムのハニカムコアの上下にハニカムコア側にろう
材層を設けたアルミニウムブレージングシートからなる
面板を配設してハニカムパネルの形状に組立て、ろう付
け炉中に装入してろう付け温度に加熱し、一体にろう付
け接合することにより製造される。パネル厚さ（コア高
さ）は、通常は20〜30mmであるが、最近ではハニカムパ
ネルの用途拡大に伴い厚さ50〜120mm のパネルが要求さ
れるようになってきている。

【０００４】アルミニウムハニカムパネルのろう付けと
しては、真空ろう付けあるいは不活性雰囲気ろう付けな
どのフラックスレスろう付け、または通常のフラックス
ろう付けが適用されるが、フラックスレスろう付けの場
合、ハニカムコアの各セルは閉空間であるから真空ある
いは不活性雰囲気に保持できないために均一なろう付け
ができないとともに、各セルはろう付け温度、ろう付け
雰囲気から常温、常圧に戻ったとき大気圧による大きな
圧力を受け変形するなどの問題がある。また、フラック
スろう付けの場合には、ろう付け時に蒸発したフラック
ス中の水分がセル内に充満して雰囲気を悪化させろう付
け不良を生じるおそれがある。このような問題点を解決
するために、図５に示すように、ハニカムコア１の各セ
ル４が外部と通気性を有するようハニカムコア１を構成
するコア材４ａ、４ｂに通気孔５を設けたハニカムパネ
ルも開発されている。

【発明が解決しようとする課題】

【０００５】通常はコア材から形成されたハニカムコア
の端部には、枠材としてアルミニウム形材が配置され、
ハニカムコアおよび形材の上下に面板を配設してハニカ
ムパネルの形状に組立て、積層して上下から治具で固定
し、ろう付け炉内に装入される。このように組立てたハ
ニカムパネルを炉内で加熱、ろう付けする場合における
問題点の一つは、加熱、ろう付け中にハニカムパネルの
形状が崩れてハニカムコアとアルミニウム形材の相対的
な位置ずれが生じ、所定のハニカムパネルの形状が得ら
れず、あるいはろう付け不能となるような事態が生ずる
ことである。

【０００６】もう一つの問題点は、図６に示すように、
ハニカムコア１の長さ方向の端部Ａとハニカムコア１の
端部に配設されているアルミニウム形材６、およびハニ
カムコア１の幅方向の端部Ｂとアルミニウム形材６とが
接合されず隙間ａ、ｂが生じることである。形成された
ハニカムパネルに隙間ａ、ｂが生じていると、使用中ハ
ニカムパネルに応力が負荷された場合、隙間が応力伝達
の不連続部となり、この部分の形材直近の面板に応力が
集中して、面板にクラックが発生したりパネルが変形す
るなどのトラブルが生じる。

【０００７】本発明は、アルミニウムのハニカムパネル
を組立て、炉中で一体にろう付け接合する場合における
上記の問題点を解消するためになされたものであり、そ
の目的は、ハニカムパネルの形状に組立て、加熱、ろう
付けする場合、組立てたハニカムパネルの形状が加熱、
ろう付け中に崩れるのを防止するとともに、形成された
ハニカムパネルのコアと形材間に隙間を生じることなく
強固にろう付け接合された所定形状のろう付けハニカム
パネルを確実に得ることができるハニカムパネルの製造
方法を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明によるハニカムパネルの製造方法は、アルミ
ニウムシートまたはアルミニウムブレージングシートか
らなるコア材を重合して多数のセルを有するハニカムコ
アの形状とし、ハニカムコアの端部にアルミニウム形材
を配設し、ハニカムコアと形材の上下にアルミニウムブ
レージングシートからなる面板を配設してハニカムパネ
ルの形状に組立て、加熱、ろう付け一体とするハニカム
パネルの製造方法において、ハニカムコアの各セルが外
部と通気性を有するようコア材および形材に通気孔を設
け、該通気孔をハニカムコアの平面内において直線状に
配置して、通気孔に線材を挿通してハニカムコアと形材
を固定し、加熱、ろう付けすることを特徴とする。

【０００９】

【作用】本発明の構成によれば、アルミニウムのハニカ
ムパネルを組立て、加熱、ろう付けしてろう付けハニカ
ムパネルを製造する場合、ハニカムコアとその周縁部に
配設されるアルミニウム形材が通気孔を介して線材によ
り固定されるから、炉内での加熱、ろう付け中にハニカ
ムパネルの形状が崩れてハニカムコアとアルミニウム形
材の相対的位置ずれが生じることがなく、所定形状のハ
ニカムパネルが確実に得られる。線材によるハニカムコ
アと形材の固定により、ハニカムコアの端部とアルミニ
ウム形材とは当接した状態のまま炉中で加熱されるか
ら、ハニカムコアの端部と形材とは確実にろう付け接合
され隙間ａ、ｂが生じることがない。従って、全体にわ
たって強固なろう付け接合部が形成され剛性の優れたハ
ニカムパネルを得ることができる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。 実施例１ 図２に示すように、所定の幅に切断し通気孔５を穿設し
たアルミニウムブレージングシートBA24PC( 厚さ0.2mm
、ろう材クラッド率片面5 ％、心材6951合金、ろう材4
045合金、両面クラッド材、シート幅 98mm)からなるコ
ア材４ａ、４ｂを折り曲げ加工し、図１に示すように、
互いに重合してセルサイズ3/4 インチのハニカムコア１
の形状に組立て、組立てられたハニカムコア１の周縁部
にアルミニウム形材６を配設する。

【００１１】この場合、図１に示すように、ハニカムコ
ア１の各セル４が外部と通気性を有するようコア材４
ａ、４ｂおよび形材６に通気孔５を設け、通気孔５をハ
ニカムコア１の平面内において直線状に配置し、ハニカ
ムコア１の通気孔５および形材６の通気孔５に線材７を
挿通し、ハニカムコア１と形材６を固定する。線材とし
ては、熱膨張係数がハニカムコアを形成するアルミニウ
ム材より小さいアルミニウム合金あるいはチタニウム、
ステンレス鋼製のワイヤーを適用するのが好ましい。

【００１２】コア材４ａ、４ｂおよび形材６の通気孔５
に線材７を挿通してハニカムコア１の組立て作業を行う
には、例えば図１にみられるように、まず線材７をハニ
カムコア１の幅方向の端部に配設されるアルミニウム形
材６の通気孔５に間隔をあけて数本挿通、固定し、この
固定された線材７にコア材４ａ、４ｂを挿通して多数の
セル４を有するハニカムコア１の形状としていく方式が
適用される。線材によるハニカムコアと形材の固定は、
図３に示されるように、ハニカムコア１の幅方向および
／または長さ方向において適宜間隔で行われ、必要に応
じて斜め方向に行うことも可能である。形材６から突出
した線材７の端部には、例えば板ばね８が取り付けられ
る。

【００１３】固定されたハニカムコア１と形材６の上下
にアルミニウムブレージングシートBA23PC( 厚さ1.0mm
、ろう材クラッド率5 ％、心材6951合金、ろう材4045
合金、片面クラッド材) からなる面板２、３を、ろう材
層２ｂ、３ｂがハニカムコア側に位置するよう配設して
縦3m×横1mのハニカムパネルの形状に組立て、積層して
真空ろう付け炉に装入し、ろう材の溶融点以上の温度に
加熱する。その結果、ハニカムパネルの形状の崩れは全
くなく、縦1m×横1m×厚さ100mm のろう付けアルミニウ
ムハニカムパネルが製作された。

【００１４】ろう付け後、接合されたアルミニウムハニ
カムパネルから試料を切り出し、面板とコア、面板と形
材、コアと形材のろう付け部を顕微鏡で調査したとこ
ろ、いずれも十分なろう付け接合部が形成しているのが
観察された。ろう付け部の引張試験を行ったところ素材
部分において破断し、接合強度の優れたろう付け部が形
成されていることが認められた。

【００１５】なお、実施例１と同一のコア材（厚さ0.2m
m)および面板を使用し、線材によりハニカムコアと形材
を固定することなしに、同一寸法のハニカムパネルの形
状に組立て、真空ろう付け炉中に装入し、加熱、ろう付
けして製作したハニカムパネルについてコアと形材との
ろう付け部を調査したところ、多くの個所においてコア
と形材間に隙間が生じているのが観察された。

【００１６】

【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、アルミ
ニウムのハニカムパネルを組立て、加熱、ろう付けする
場合、加熱、ろう付け中にハニカムパネルの形状の崩れ
がなく、ハニカムコアと形材とのろう付け接合も確実に
行われて剛性の優れたハニカムパネルが形成される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明におけるアルミニウムハニカムパネルの
組立て中の状態を示す一部斜視図である。

【図２】本発明において使用するコア材の実施例を示す
一部斜視図である。

【図３】本発明における線材によるハニカムコアと形材
の固定状態の実施例を示す一部平面図である。

【図４】ハニカムパネルの一部を切り欠いた斜視図であ
る。

【図５】通気孔を設けたハニカムパネルの一部を切り欠
いた斜視図である。

【図６】従来におけるろう付け後のハニカムコアと形材
との接合部を示す一部平面図である。

【符号の説明】

１ ハニカムコア ２ 面板 ３ 面板 2b ろう材層 3b ろう材層 ４ セル 4a コア材 4b コア材 ５ 通気孔 ６ アルミニウム形材 ７ 線材 ８ 板ばね

フロントページの続き (72)発明者 馬場 武明 東京都港区新橋５丁目11番３号 住友軽金 属工業株式会社内 (72)発明者 近藤 宏則 東京都港区新橋５丁目11番３号 住友軽金 属工業株式会社内 (72)発明者 難波 圭三 東京都港区新橋５丁目11番３号 住軽エン ジニアリング株式会社

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 アルミニウムシートまたはアルミニウム
   ブレージングシートからなるコア材を重合して多数のセ
   ルを有するハニカムコアの形状とし、ハニカムコアの端
   部にアルミニウム形材を配設し、ハニカムコアと形材の
   上下にアルミニウムブレージングシートからなる面板を
   配設してハニカムパネルの形状に組立て加熱、ろう付け
   するハニカムパネルの製造方法において、ハニカムコア
   の各セルが外部と通気性を有するようコア材およびアル
   ミニウム形材に通気孔を設け、該通気孔をハニカムコア
   の平面内において直線状に配置し、通気孔に線材を挿通
   してハニカムコアと形材を固定し、加熱、ろう付けする
   ことを特徴とするハニカムパネルの製造方法。