JPH07185915A - 手持ち工具装置に用いる工具および工具ホルダ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 適切に形成した工具ホルダと協働し、装着シ
ャフトの断面を決定的に低減することなく、大きなトル
クのみならず、軸線方向の大きな力をも伝達可能とする
工具を提案することにある。 【構成】 チゼルおよび・またはドリル用の手持ち工具
装置の工具ホルダに装着する工具は、装着シャフト
（６）を有する。装着シャフト（６）は、互いに直径上
に対置し、装着シャフトの遊端に向けて開放した連回溝
（７）と、互いに直径上に対置し、軸線方向に閉鎖した
係止溝（８）とを具える。係止溝（８）を長手方向溝
（９）が通過し、装着シャフト（６）の後方前面に背向
する肩部面（8a）を形成しつつ、係止溝（８）と長手方
向溝（９）とは重なり合う。長手方向溝（９）は伝達す
べきトルクの向上に供するのに対し、軸線方向に生じる
力の受容を向上するために、連回溝（７）と重なり合う
別の係止溝（10）を具え、装着シャフト（６）の後方前
面に背向する肩部面（10ａ）を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【技術分野】本発明は、装着シャフトを具えるチゼルお
よび／またはドリル用の手持ち工具装置の工具ホルダに
装着する工具に関し、特に、前記装着シャフトは、軸線
方向に閉鎖した少なくとも一つの係止溝と、装着シャフ
トの遊端に向けて軸線方向に沿って開放した少なくとも
二つの連回溝とを有する工具に関するものである。

【０００２】

【背景技術】ドイツ連邦共和国特許第 25 51 125号明細
書に記載された手持ち工具装置のための工具が既知であ
る。 この工具の装着シャフトは、 軸線方向に閉鎖した１
個または２個の係止溝と、装着シャフトの遊端に向けて
軸線方向に沿って開放した１個または２個の連回溝とを
有する。この工具を受けるための工具ホルダは、半径方
向に変位可能な１個または２個の係止素子を有し、該係
止素子は球状または円筒形状で有り得る。

【０００３】係止素子は、軸線方向に閉鎖した係止溝と
協働して、工具を軸線方向で工具ホルダに保持するため
に供する。この軸線方向における保持により、一方では
工具の脱落を確実に防止し、他方では構造部材のドリル
孔から工具を引き抜くことができるように、工具を軸線
方向に沿って工具ホルダに固定する。構造部材のドリル
孔から挟まったドリルを引き抜く必要がある場合、軸線
方向には著しい負荷が生じるおそれがある。この問題は
それぞれの場合に応じて生じるため、これまでは工具の
設計に際して、軸線方向の十分な係止について余り関心
が払われなかった。

【０００４】しかしながら、特に、手持ち工具装置の性
能が常に向上し、使用する工具の作業直径が大きくなる
傾向にあることに鑑みて、工具ホルダから工具へのトル
ク伝達は遥かに重要である。こうした傾向により、伝達
すべきトルクは益々大きくなるため、工具は負荷を受
け、装着シャフトの摩耗によって早期の脱落が有り得
る。この摩耗による工具の装着シャフトにおける脱落
は、使用による摩耗よりも以前に工具の作業領域で起こ
り得る。工具の不所望な早期の脱落は、工具の経済性を
著しく損なう。

【０００５】トルク伝達の作用に供する大きな側面を実
現するため、大きな連回溝を取り付けるとするならば、
結果的に装着シャフトの断面を削減することとなり、失
敗に終わる。断面の削減による脆弱化に伴い、例えば、
装着シャフト領域における破損により、工具は早期に脱
落しかねない。こうした不利に形成した装着シャフトを
具える工具は、例えば、ヨーロッパ特許出願公開第 0 3
55 071号公報に記載されたものが既知である。

【０００６】

【発明の開示】本発明の課題は、適切に形成した工具ホ
ルダと協働し、装着シャフトの断面を決定的に低減する
ことなく、大きなトルクのみならず、軸線方向の大きな
力をも伝達可能とする工具を提案することにある。

【０００７】この課題を解決するため、本発明による工
具は、前記装着シャフトがこの遊端に向けて軸線方向に
沿って開放した少なくとも一つの長手方向溝を具え、該
長手方向溝を、前記係止溝と共に、装着シャフトの後端
面と反対側に位置する肩部面を形成すると共に、軸線方
向投影面内で係止溝と重なり合うように形成し、さらに
前記装着シャフトが軸線方向に閉鎖した少なくとも一つ
の別の係止溝を具え、この別の係止溝を、一方の連回溝
と共に装着シャフトの後端面と反対側に位置する別の肩
部面を形成すると共に、軸線方向投影面内で一方の連回
溝と重なり合うように形成したことを特徴とするもので
ある。

【０００８】本発明による工具の実施例に従い、 トルク
伝達のために、 装着シャフトの遊端に向けて軸線方向に
沿って開放した連回溝の他にも、 装着シャフトの遊端に
向けて軸線方向に沿って開放した少なくとも１個の長手
方向溝を設ける。その際、 長手方向溝は、工具の装着シ
ャフトを一層脆弱化したり、 案内に供する装着シャフト
表面を決定的に削減することのないように形成する。 し
たがって、 トルク伝達に決定的となる総作用面が著しく
増大するにも拘わらず、 本発明による工具の案内につい
ては質的に損なわれることがない。 本発明においては、
係止溝および長手方向溝は軸線方向投影面で重なり合う
ように形成する。それにより、 装着シャフトの後端面と
反対側に位置する肩部面が形成され、 該肩部面は工具ホ
ルダの対応する係止素子と協働して軸線方向の固定を可
能とする。装着シャフトの後端面と反対側に位置する別
の肩部面を形成するように一方の連回溝と重なり合う軸
線方向に閉鎖した少なくとも一つの別の係止溝を形成す
ることにより、 軸線方向においても遥かに大きい力が伝
達可能となる。 特に、 例えば、 構造部材のドリル孔に挟
まった工具を引き抜く必要がある場合、 前記の作用効果
が有効に作用する。

【０００９】隣接した連回溝に対する外周方向における
離間距離が一定でないように、少なくとも一つの長手方
向溝を形成することが有利である。この形成により、既
存の係止溝に対して外周方向に変位するため、装着シャ
フトの後端面と反対側に位置する肩部面が最適に拡大す
る。

【００１０】前記二つの長手方向溝が、軸線方向投影面
内において、装着シャフトの後端面と反対側に位置する
肩部面を形成すると共に、軸線方向投影面内において、
係止溝と重なり合うことが有利である。その結果、トル
ク伝達に有益な全作用面が追加的に拡大し、装着シャフ
トの断面を一層脆弱化したり、工具の案内に供する装着
シャフトの決定的な表面比率が減少することはない。

【００１１】二つの長手方向溝（４，９）、及び軸線方
向投影面でが前記長手方向溝と重なり合う係止溝（３，
８）がそれぞれほぼ径方向に対向するように形成するこ
とが有利である。その結果、 力の均等配分が実現する。
さらに、 製造技術上の観点では、 例えば、流れプレスに
よる切削なしの製造に際し、プレス装置は互いに対向し
て設けることを可能とする有利が実現する。

【００１２】製造上の観点のみならず、既に市販されて
いる工具ホルダとの互換性の観点からも、別の係止溝は
対応する連回溝に対し左右対称として配置することが有
利である。

【００１３】さらに、 別の二つの係止溝を具えることが
有利であり、 該係止溝は、 装着シャフトの後端面と反対
側に位置する別の肩部面を形成すると共に、対応する連
回溝と軸線方向投影面内で重なり合う。互換性および製
造に係る既述した有利の他に、 トルクの観点のみなら
ず、軸線方向に生じる力の観点からも、 左右対称の配分
が実現する。この効果は、特に、別の二つの係止溝が互
いに径方向に対向する場合に現れる。

【００１４】上述の構成を有する工具は、 例えば、 ドイ
ツ連邦共和国特許第 25 51 125号明細書に記載された従
来の工具ホルダにも使用可能であることが有利である。
さらに、例えば、互いに対置する二つの係止素子または
互いに直径上に対置する係止素子と連回部材とを有する
工具ホルダ等、 市販の工具ホルダも使用可能である。す
べての実施例、即ち、公知の工具ホルダに本発明による
工具を使用する場合において、本発明による有利は未だ
完全には実現しない。

【００１５】本発明においては、伝達すべきトルクを上
昇できること、および、軸線方向に作用する力の伝達を
増加することが有利である。この有利が完全に発揮され
るのは、軸線方向に閉鎖した係止溝と協働し、半径方向
に変位可能な少なくとも１個の係止素子と、軸線方向に
閉鎖した別の係止溝と協働し、半径方向に変位可能な少
なくとも１個の別の係止素子と、装着シャフトの遊端に
向けて軸線方向に開放した連回溝と協働する少なくとも
２個の連回部材と、装着シャフトの遊端に向けて軸線方
向に開放した長手方向溝と協働する少なくとも１個の長
手方向部材とを有する受け開口を具えた工具ホルダに工
具を装着する場合である。

【００１６】１個または２個の係止素子と、１個または
２個の別の係止素子と、１個または２個の長手方向部材
とを使用することが有利である。

【００１７】

【発明を実施するための最良の形態】以下、図示実施例
につき本発明を一層具体的に説明する。

【００１８】図１に示す工具は、装着シャフト１を有
し、該装着シャフトは軸線と直交する面の互いに直径上
に対向し、装着シャフト１の遊端に向けて軸線方向に沿
って開放した二つの連回溝２と、互いに直径上に対向
し、軸線方向に閉鎖した二つの係止溝３とを具える。軸
線方向に閉鎖した係止溝３と一部において重なり合うよ
うに長手方向溝４を形成し、長手方向溝４と係止溝３と
が重なり合うことにより、装着シャフト１の後端面と反
対側に位置する肩部面3aを形成する。さらに、軸線方向
に閉鎖した別の係止溝５を具えることにより、一方の連
回溝２と別の係止溝５は、装着シャフト１の後端面と反
対側で別の肩部面5aを形成しつつ、重なり合う。連回溝
２と別の係止溝５とを左右対称に配置することにより、
別の肩部面5aは、ほぼ等しい大きさの二つの部分領域に
分割される。

【００１９】図２に示す工具は、装着シャフト６を有
し、該装着シャフトは互いに直径上に対向し、装着シャ
フト６の遊端に向けて軸線方向に沿って開放した二つの
連回溝７と、互いに直径上に対向し、軸線方向において
閉鎖した二つの係止溝８とを具える。係止溝８と重なり
合うように長手方向溝９を形成することにより、装着シ
ャフト６の後端面と反対側に位置した肩部面8aを形成す
る。両方の連回溝７は、装着シャフト６の後端面と反対
側に位置する別の肩部面10a を形成するように、別の係
止溝10と重なり合う。 連回溝７と別の係止溝10とを左右
対称に配置することにより、両方の肩部面10a は、 ほぼ
に等しい大きさの二つの領域に分割される。

【００２０】図３に簡略化して示す工具ホルダは、案内
部材11と、作動スリーブ12と、ケージ13とから構成す
る。例えば、案内部材11の突破口11a で半径方向に変位
可能な二つの係止素子14を具える。同様に、例えば、別
の係止溝15を具え、該係止溝は案内部材11の突破口11b
で半径方向に変位可能として設ける。さらに、案内部材
11は、互いに直径上に対向する二つの連回部材11c と、
同じく互いに直径上に対置する二つの長手方向部材11d
とを有する。

【００２１】図４に示す工具ホルダは、案内部材16と、
係止スリーブ17と、ケージ18とを有する。例えば、球状
として形成した二つの係止素子19を半径方向に変位可能
として案内部材16の突破口16a に設ける。さらに、案内
部材16の突破口16b には、同様に球状として形成した別
の二つの係止素子20を半径方向に変位可能として設け
る。さらに、案内部材16は、 トルク伝達のために、 互い
に直径上に対向する二つの連回部材16c と、互いに直径
上に対向する二つの長手方向部材16d とを有する。

【００２２】図３に示す工具ホルダのみならず、図４に
示す工具ホルダにおいても、係止素子19及び別の係止素
子20は、連回部材16c 及び長手方向部材16d を通過す
る。 係止素子14, 19および別の係止素子15, 20が球状で
ある限り、 連回部材11c, 16cおよび長手方向部材11d, 1
6dの極めて僅かな長手方向領域だけが当接するため、 前
記の通過により、 案内およびトルク伝達にとって決定的
に重要な面積に対して決定的な部分比率が喪失すること
はない。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本発明による工具の装着シャフトを破
断して示す断面図である。

【図２】図２は、本発明による別の工具の装着シャフト
を破断して示す断面図である。

【図３】図３は、図１に示した本発明による工具の装着
シャフトを具える簡略化して図示した工具ホルダを破断
して示す断面図である。

【図４】図４は、図２に示した本発明による工具の装着
シャフトを具える簡略化して図示した工具ホルダを破断
して示す断面図である。

【符号の説明】

１，６ 装着シャフト ２，７ 連回溝 ３，８ 係止溝 3a, 8a, 5a, 10a 肩部面 ４，９ 長手方向溝 ５，10 別の係止溝 11c, 16c 連回部材 11d, 16d 長手方向部材 14, 19 係止素子 15, 20 別の係止素子

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 装着シャフト（１，６）を具えるチゼル
   および／またはドリルを有する手持ち工具装置の工具ホ
   ルダに装着される工具であって、前記装着シャフトは、
   軸線方向に閉鎖した少なくとも一つの係止溝（３，８）
   と、装着シャフト（１，６）の遊端に向けて軸線方向に
   沿って開放した少なくとも二つの連回溝（２，７）とを
   有する工具において、前記装着シャフト（１，６）がこ
   の遊端に向けて軸線方向に沿って開放した少なくとも一
   つの長手方向溝（４，９）を具え、該長手方向溝を、前
   記係止溝（３，８）と共に、装着シャフト（１，６）の
   後端面と反対側に位置する肩部面（3a, 8a）を形成する
   と共に、軸線方向投影面内で係止溝と重なり合うように
   形成し、さらに前記装着シャフトが軸線方向に閉鎖した
   少なくとも一つの別の係止溝（５，10）を具え、この別
   の係止溝を、一方の連回溝（２，７）と共に装着シャフ
   ト（１，６）の後端面と反対側に位置する別の肩部面
   （5a, 10a)を形成すると共に、軸線方向投影面内で一方
   の連回溝と重なり合うように形成したことを特徴とする
   工具。
2. 【請求項２】 請求項１記載の工具において、前記長手
   方向溝（４，９）を、隣接する連回溝（２，７）に対す
   る外周方向における離間距離が互いに相異するように形
   成したことを特徴とする工具。
3. 【請求項３】 請求項１または２に記載の工具におい
   て、前記二つの長手方向溝（４，９）が、軸線方向投影
   面内において、装着シャフト（１，６）の後端面と反対
   側に位置する肩部面（3a, 8a）を形成すると共に、軸線
   方向投影面内において、係止溝（３，８）と重なり合う
   ことを特徴とする工具。
4. 【請求項４】 請求項３記載の工具において、二つの長
   手方向溝（４，９）、及び軸線方向投影面でが前記長手
   方向溝と重なり合う係止溝（３，８）がそれぞれほぼ径
   方向に対向するように形成されていることを特徴とする
   工具。
5. 【請求項５】 請求項１〜４のいずれか一項に記載の工
   具において、別の係止溝（５，10）が軸線方向投影面内
   において、対応する連回溝（２，７）に対して左右対称
   に形成されていることを特徴とする工具。
6. 【請求項６】 請求項１〜５のいずれか一項に記載の工
   具において、前記別の二つの係止溝（５，10）を具え、
   装着シャフト（１，６）の後端面とは反対側に位置する
   肩部面（5a, 10a)を形成すると共に、対応する連回溝
   （２，７）と軸線方向投影面内において重なり合うこと
   を特徴とする工具。
7. 【請求項７】 請求項６記載の工具において、前記別の
   二つの係止溝（５，10）が軸線と直交する面内で径方向
   に互いに対向することを特徴とする工具。
8. 【請求項８】 請求項１〜７のいずれか一項に記載の工
   具のための受け開口を具える工具ホルダにおいて、軸線
   方向に閉鎖した係止溝（３，８）と協働し、半径方向に
   変位可能な少なくとも１個の係止素子（14, 19）と、軸
   線方向に閉鎖した別の係止溝（５，10）と協働し、半径
   方向に変位可能な少なくとも１個の別の係止素子（15,
   20）と、装着シャフト（１，６）の遊端に向けて軸線方
   向に沿って開放した連回溝（２，７）と協働する少なく
   とも２個の連回部材（11c, 16c）と、装着シャフト
   （１，６）の遊端に向けて軸線方向に沿って開放した長
   手方向溝（４，９）と協働する少なくとも１個の長手方
   向部材（11d, 16d）とを具えることを特徴とする工具ホ
   ルダ。