JPH0717415U - カッタのチップ取付機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 カッタ本体へのチップの取付作業と寸法出し
を容易にする。 【構成】 カッタ本体１の先端外周縁部に、等間隔に凹
溝状のチップ取付座２を形成する。チップ取付座２内に
は、スローアウェイチップ４とチップ４を固定するため
の楔部材６を嵌合する。楔部材６の側面１４に切り欠き
１４ａを形成して、切り欠き１４ａ内に皿バネ１３を圧
縮状態で挿入して仮止めする。皿バネ１３は、楔部材６
の側面とチップ取付座２の壁面５との間に、弾性変形状
態で圧接する。楔部材６には逆ネジ８を螺合し、底面７
のネジ穴７ａに螺合させる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、正面フライス等のカッタ本体にスローアウェイチップ等が着脱自在 に装着されてなるカッタのチップ取付機構に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、例えばスローアウェイ式正面フライスカッタの一例として、図４及び図 ５に示すものがある。このカッタ本体１の先端外周部には、外周側と先端側とに 開口する凹溝状のチップ取付座２が、円周方向に等間隔に複数個形成されている 。 図５に示すチップ取付部分において、このチップ取付座２の回転方向前方に位 置する壁面３に接して、例えば円板状のスローアウェイチップ４が配設され、こ のスローアウェイチップ４とチップ取付座２の回転方向後方に位置する壁面５と の間には、チップ４を壁面３方向に押圧して位置決めするための楔部材６が嵌合 されている。この楔部材６には、チップ取付座２の底面７に形成されたネジ穴７ ａまで連通し得る段付きのネジ穴６ａが穿設されていて、ネジ８によって楔部材 ６を押し込んでカッタ本体１に固定することで、スローアウェイチップ４が所定 位置で堅固に固定保持されるようになっている。

【０００３】 このネジ８は頭部側のネジ山部８ａが例えば右ネジ（又は左ネジ）に形成され 、先端側のネジ山部８ｂが左ネジ（又は右ネジ）に形成された逆ネジとなってい る。そして、頭部側ネジ山部８ａが螺合する楔部材６のネジ穴６ａは右ネジ用に 形成され、先端側ネジ山部８ｂが螺合する底面７のネジ穴７ａは左ネジ用に形成 されている。そのため、頭部側ネジ山部８ａが楔部材６に螺合された状態で、ね じ８を底面７のネジ穴７ａにねじ込めば、楔部材６がチップ取付座２内に進入し ていく。 又、スローアウェイチップ４は、その上面の稜線部に切刃４ａが形成され、そ の逃げ面９は、チップ取付座２内に固定保持された状態で、チップ取付座２の底 面７から若干***するチップ支持面７ｂ上に着座するようになっている。 又、カッタ本体１の先端面及び周側面上でスローアウェイチップ４の回転方向 前方の隣接する面は、曲面状に凹部が形成されて切り屑案内用切り欠け１０を成 している。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、このようなチップ取付機構において、スローアウェイチップ４を交 換したり、刃先位置の切り替えを行なおうとする場合、スローアウェイチップ４ をチップ取付座２に取り付けるには、チップ取付座２の壁面３にスローアウェイ チップ４を押し付け、チップ４と壁面５との間に、ネジ８が段付きネジ穴６ａに 螺合された楔部材６を嵌合した後、作業者は、楔部材６やチップ４を片手で押さ えた状態で、他方の手でネジ８をネジ穴７ａにねじ込んでネジ止めしなければな らなかった。 このようなスローアウェイチップ４の取付作業は煩雑であり、手間のかかるも のであった。又、チップ４の寸法出しを行なう場合、片手で楔部材６を押さえな がらチップ４の位置を調整しなければならず、この作業も同様に煩雑であった。

【０００５】 本考案は、このような問題点に鑑みて、チップの取付作業や寸法出しを容易に できるようにしたカッタのチップ取付機構を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案によるカッタのチップ取付機構は、カッタの先端外周縁部に、所定間隔 をおいて凹溝状のチップ取付座が形成され、このチップ取付座内にチップ及びこ のチップを固定するための楔部材が嵌合されているカッタのチップ取付機構にお いて、 チップ取付座には、チップ及び楔部材を押圧保持して仮止めするための弾性部 材が嵌合されていることを特徴とするものである。

【０００７】 又、弾性部材は、楔部材の側面を押圧する皿ばねであることを特徴とする。

【０００８】 又、弾性部材は、楔部材又はチップの側面を押圧する曲面形状の第一面部と楔 部材の上面及び底面に位置する第二面部及び第三面部とからなる断面略コの字形 の板バネからなることを特徴とする。

【０００９】

【作用】

チップ取付座にチップを取り付ける際、チップ取付座内にチップと楔部材の他 に弾性部材を装着することで、チップと楔部材がチップ取付座の壁面に押し付け られるから、チップが係止して仮止めされ、作業者はチップ等を押さえることな く容易に固定作業やチップの寸法出しができる。

【００１０】 皿バネで楔部材が押圧され、チップも押圧されて仮止めされる。

【００１１】 板バネの第一面部で楔部材が押圧されてチップも押圧され、又は楔部材とチッ プとが反対方向に直接同時に押圧されて、仮止めされることになり、しかも、板 バネは断面コの字状で楔部材に係止されているから、遠心力で外れることもない 。

【００１２】

【実施例】

以下、本考案の第一実施例を図１により説明するが、上述の従来技術と同様の 部材には同一の符号を用いてその説明を省略する。 図１（Ａ）はチップ取付部分の外周側面図、（Ｂ）はカッタ本体先端面と平行 な断面図を示すものである。 本実施例においては、楔部材６は、チップ取付座２の壁面５に対面する側面１ ２に、壁面５に沿って上面に開口を有する直方体形状の切り欠き１２ａが形成さ れている。そして、スローアウェイチップ４及び楔部材６がチップ取付座２に装 着された状態で、切り欠き１２ａ内に皿バネ１３が圧縮変形状態で装着されてい る。 これによって、皿バネ１３の弾性力で、ネジ止め前の楔部材６とスローアウェ イチップ４が壁面３方向に圧接されて、仮止めされることになる。

【００１３】 本実施例は、上述のように構成されているから、スローアウェイチップ４をカ ッタ本体１に取り付ける場合、チップ取付座２内の一方の壁面３にスローアウェ イチップ４を当接させて取り付けると共に、楔部材６のネジ穴６ａにネジ８が螺 合された状態でチップ取付座２内に楔部材６を挿入する。そして、切り欠き１２ ａ内に皿バネ１３を圧縮変形した状態で挿入する。これによって、皿バネ１３が 楔部材側面と他方の壁面５との間で弾性変形させられ、その弾性力で楔部材６及 びスローアウェイチップ４が一方の壁面３側に圧接され、係止されて仮止めされ る。

【００１４】 この状態で、作業者は楔部材６やスローアウェイチップ４を支えていなくても 、これらの部材が落下したり、移動したりすることはない。又、スローアウェイ チップ４を寸法出し等のために微少移動させても、任意位置で停止して保持され 、寸法出しも容易である。 そして、その後にネジ８を底面７のネジ穴７ａにネジ込めば、楔部材６が底面 ７側に押し込まれ、片手で容易にスローアウェイチップ４の取り付けが完了する 。

【００１５】 以上のように、本実施例によれば、チップ取付座２にスローアウェイチップ４ と楔部材６を嵌合した状態で仮止めできるから、これらの部材を押さえることな くネジ止め作業を片手で容易に行なうことができ、作業性が良くなる。しかも、 仮止め状態でのスローアウェイチップ４の寸法出し等の作業も簡単且つ容易に行 なうことができるという実用上重要な利点がある。

【００１６】 図２は本考案の第二実施例を示すものである。 図２（Ａ）はチップ取付部分の外周側面図、（Ｂ）はカッタ本体先端面に平行 な断面図を示すものである。 本実施例においては、直方体形状の切り欠き１７が、楔部材６の側面１２に対 面するチップ取付座２の壁面５に形成されている。そして、スローアウェイチッ プ４及び楔部材６がチップ取付座２に装着された状態で、切り欠き１７内に皿バ ネ１３が圧縮変形状態で装着され、楔部材６が側面１２で弾圧されることになる 。

【００１７】 図３は本考案の第三実施例を示すものである。 図３（Ａ）はチップ取付部分の外周側面図、（Ｂ）はカッタ本体先端面に平行 な断面図を示すものである。 本実施例においては、断面略コの字形の板バネ１９が用いられており、この板 バネ１９は曲面形状の第一面部１９ａと平面状の第二面部１９ｂ及び第三面部１ ９ｃとによって形成されている。 そして、スローアウェイチップ４及び楔部材６がチップ取付座２内に装着され た状態で、スローアウェイチップ４と楔部材６の間に第一面部１９ａが挟持され 、第二面部１９ｂは楔部材６の上面に、又第三面部１９ｃは下面に圧接されてい る。本実施例の場合、板バネ１９は、装着状態で平面状に弾性変形されてチップ ４と楔部材６側面との間に隙間なく挟持されて、チップ４が押圧されている必要 がある。この状態で、スローアウェイチップ４の仮止めが完了する。 この構成によって、チップ４は堅固に仮止めされる。又、カッタ本体の回転時 に、遠心力で板バネ１９が外れてしまうこともない。

【００１８】 尚、チップ取付座２内の壁面３とスローアウェイチップ４との間に、平板状の シート部材等が介在する場合には、シート部材とスローアウェイチップ４との間 に上述の板バネ１９が装着されるようにしてもよい。 又、板バネ１９はチップ取付座２の壁面５と楔部材６の側面１２との間に装着 してもよい。 又、皿バネ１３及び板バネ１９は弾性部材を構成する。

【００１９】

【考案の効果】

上述のように、本考案に係るチップ取付機構によれば、チップ取付座には、チ ップ及び楔部材を押圧保持して仮止めするための弾性部材が配設されているから 、チップ取り付け作業時にチップや楔部材を仮止めでき、作業者が楔部材等を押 さえることなくその後の固定作業を片手で容易に行なうことができ、作業性が良 くなる。しかも、仮止め状態でのスローアウェイチップの寸法出し等の作業も簡 単且つ容易に行なうことができるという実用上重要な利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第一実施例によるカッタ本体のチップ
取付部分を示すものであって、（Ａ）はチップ取付部分
の側面図、（Ｂ）はチップ取付部分のカッタ本体先端部
と平行な断面図である。

【図２】本考案の第二実施例を示すものであって、
（Ａ）はチップ取付部分の側面図、（Ｂ）はチップ取付
部分のカッタ本体先端部と平行な断面図である。

【図３】本考案の第三実施例を示すものであって、
（Ａ）はチップ取付部分の側面図、（Ｂ）はチップ取付
部分のカッタ本体先端部と平行な断面図である。

【図４】従来のスローアウェイチップ式正面フライスカ
ッタの要部先端面図である。

【図５】図４におけるチップ取付部分のカッタ本体先端
部と平行な断面図である。

【符号の説明】

１ カッタ本体 ２ チップ取付座 ４ スローアウェイチップ ６ 楔部材 １３ 皿バネ １９ 板バネ

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】カッタの先端外周縁部に、所定間隔をおい
   て凹溝状のチップ取付座が形成され、該チップ取付座内
   にチップ及び該チップを固定するための楔部材が嵌合さ
   れているカッタのチップ取付機構において、 前記チップ取付座には、チップ及び楔部材を押圧保持し
   て仮止めするための弾性部材が嵌合されていることを特
   徴とするチップ取付機構。
2. 【請求項２】前記弾性部材は、楔部材の側面を押圧する
   皿ばねであることを特徴とする請求項１に記載のチップ
   取付機構。
3. 【請求項３】前記弾性部材は、楔部材又はチップの側面
   を押圧する曲面形状の第一面部と楔部材の上面及び底面
   に位置する第二面部及び第三面部とからなる断面略コの
   字形の板バネからなることを特徴とする請求項１に記載
   のチップ取付機構。