JPH0115444Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、刃部を取付けた頭部材と、該頭部
材と連設可能で工作機のスピンドルに取付けられ
るシヤンクを有するホルダ部材と、該ホルダ部材
と頭部材との間にあつて両者と連設可能の中間部
材とからなる組立式ツールホルダに関する。

例えば穴ぐり用のツールホルダの場合、切刃を
設けて部分も、工作機械のスピンドルに取付けら
れるシヤンクも一体物であるため、穴ぐり深さに
限界があり、また、同じ穴径であるながら穴ぐり
長さが長くなると別のホルダと交換しなければな
らない。そこで、刃部を取付けた頭部材、ホルダ
部材、中間部材に分割し、組立式とすることによ
り多目的に使用できる組立式ツールホルダが考案
された。

これらの組立式ツールホルダでは、特開昭58−
51004号公報に開示されたように一方の部材に軸
心方向に突出する小径軸を設け、他方の部材には
小径軸挿入穴を設けて小径軸を挿入すると共に、
小径軸心に直交して結合ピンを挿入し、結合ピン
の両端に形成した円錐面に対し、結合ピンの軸心
と偏心する軸心を有する一対の止めねじを結合ピ
ンの両端側に組み込み該止めねじの円錐面を結合
ピンの円錐面に摺接させて上述の各部材同士を強
固に固定していた。このため、組合せる各部材を
予め定めた角度位置にして配置しておかないとガ
タが生じることになり、結合ピンと止めねじをう
まく対応させるのは非常に厄介であるので、両部
材間に割り出しピンを設けることが必要となり、
構造が複雑となつた。さらに、結合ピンと止めね
じの各円錐面が摩耗すれば取り替えの必要があ
り、また切削トルクに対する剛性も必ずしも十分
ではなかつた。

この考案は、結合ピンの一端に止めねじと接す
る円錐面を、他端に一対の斜面をもつて楔状面を
形成し、かつ小径軸の一部に結合ピン挿入穴に直
交する平取面を形成し、小径軸挿入穴に一部が露
出するように結合ピンを平取面に平行に装入し、
前記結合ピンの楔状面と係合ピンとを当接させた
ものであつて、割出ピンを設けなくても位置決め
が簡単であり、また構造簡単で作業が容易な組立
式ツールホルダに関する。

次にこの考案の実施例を図面について説明する
と、第１図は先端に切刃１を取付けた頭部材Ａ
と、中間部材Ｂと、工作機械のスピンドルに取付
け可能なホルダ部材Ｃとを連設し結合した組立式
ツールホルダを示している。各部材の結合構造は
同一であるので、頭部材Ａと中間部材Ｂの結合状
態を例にとつて説明する。なお中間部材Ｂとホル
ダ部材Ｃは頭部材Ａをスピンドルに取付けるため
の基部ホルダ部材を構成していて、必ずしも中間
部材Ｂを必要とせずホルダ部材Ｃだけでもよい
し、また作業条件により中間部材Ｂは複数個あつ
ても差支えない。

切刃１を有する頭部材Ａの後端部に軸心を頭部
材と共通にした小径軸２を突設し、該小径軸２の
外周４の一部に軸線に平行な平取り面３を形成
し、外周４と平取り面３の内端はアール５で連続
している。さらに、結合ピン挿入穴６が平取り面
３に直交して穿設され、該結合ピン挿入穴には結
合ピン７が挿入されている。該結合ピンには一端
に一対の斜面１７，１８をもつて形成された楔状
面を、他端には内円錐面１９を有すると共に、表
面には結合ピンの長方向に長穴８が設けられてい
る。小径軸２に先止めねじ９がねじ込まれ、該先
止めねじの先端が長穴８と係合していて、結合ピ
ン７が長穴の長さだけ遊動できるようになつてい
る。

一方、中間部材Ｂには小径軸挿入穴１１が端面
から軸心に沿つて明けられていて、ねじ穴１４が
外周から軸心に向つて小径軸挿入穴１１に貫通し
て設けられていて、先端に円錐面を形成した止め
ねじ１５がねじ込まれている。またねじ穴１４に
対して垂直方向にピン穴１２が小径軸挿入穴１１
と連通して穿設されていて係合ピン１３が抜けな
いように打ち込まれており、係合ピンの一部は小
径軸挿入穴１１内に露出する。

頭部材Ａと中間部材Ｂとを結合するために、小
径軸２を小径軸挿入穴１１に挿入する。結合ピン
７が平取面３から突出している場合には係合ピン
１３に結合ピン７の一方の斜面１７がまず接触す
る。さらに頭部材Ａを押し込むと、結合ピン７の
斜面１７が係合ピン１３の外周面を滑つて結合ピ
ン７が僅かに結合ピン挿入穴６内に押し込まれ
る。さらに頭部材を押し込むと結合ピンの他方の
斜面１８が係合ピンと接して平取面３から突出し
た状態となり、小径軸２の挿入が完了する。

次いで、結合ピン７に止めねじ１５を締めつ
け、結合ピンを押圧して固定する。結合ピン挿入
穴６の中心線Ｘとねじ穴１４の中心線Ｙは相互に
偏心していて、止めねじ１５を締めつけ、結合ピ
ン７を押圧すると、止めねじ１５の先端が、ピン
７の内円錐面１９に偏心して当接して押しこまれ
ている。押圧された結合ピン７の斜面１８は係合
ピン１３の外周に線当りとなつて支えられている
ので、頭部材Ａは中間部材Ｂ側にひきつけられ、
止めねじ１５と結合ピン７の楔効果により強力に
完全に結合固定されている。

なお、係合ピン１３の取付けには第４図のよう
にねじ付きピン１３Ａを用いてもよいし、第５図
のように両端をねじ止めしてもよいし、その他結
合ピンの円錐面１９を突円錐面とし、止めねじ１
５の円錐面を内円錐面とするなど種々変更して実
施することができることは言うまでもない。

この考案は、上記の如く結合ピン７の一端に止
めねじ１５と接する円錐面１９を、他端に一対の
斜面１７，１８をもつて楔状面を形成し、かつ小
径軸２の一部に結合ピン挿入穴に直交する平取面
３を形成し、小径軸挿入穴に一部が露出するよう
に係合ピン１３を平取面に平行に装入し、結合ピ
ン７の楔状面と係合ピン１３とを当接させたの
で、取付時に方向性が生じるので特別に割出しピ
ンを設けなくても結合ピンの斜面が係合ピンの側
面に当る位置に容易にもつてくることができ、ガ
タが生じることがなく取付作業が簡単となる。ま
た構造的にも剛性が大となり切削トルクに十分耐
えることができる。さらに、結合ピン７と係合ピ
ン１３の接触部が摩耗しても止めねじ１５により
結合ピンを押し進めれば摩耗していない新たな面
で接触させることができるので、部品を取替えず
に所期の性能を維持できるなど多くの効果を奏す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例の側面図、第２図は
第１図−線による部分断面図、第３図は第１
図−線による部分断面図、第４図、第５図は
他の実施例であつて、第２図に相当する部分断面
図である。 １……切刃、２……小径部、３……平取面、６
……結合ピン挿入穴、７……結合ピン、１１……
小径軸挿入穴、１３……係合ピン、１５……止め
ねじ、１７……斜面（楔状面）、１８……斜面
（楔状面）、１９……結合ピンの円錐面、Ａ……頭
部材、Ｃ……ホルダ部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 刃部を取付けた頭部材と、工作機のスピンドル
   に取付けられるホルダ部材とからなり、連設する
   一方の部材に軸心方向に突出する小径軸と、他方
   の部材に前記小径軸挿入穴とを具え、さらに前記
   小径軸には軸心に直交して穿設された結合ピン挿
   入穴と、前記結合ピン挿入穴に挿入された結合ピ
   ンと、前記結合ピンの軸心と偏心して結合ピンの
   円錐面に接する円錐面を有する止めねじとを連接
   手段とした組立式ツールホルダにおいて、一端に
   止めねじと接する円錐面を、他端に一対の斜面を
   もつて楔状面を形成した結合ピンと、かつ小径軸
   の一部に結合ピン挿入穴に直交して形成された平
   取面と、小径軸挿入穴に一部が露出するように平
   取面と平行に装入された係合ピンと、前記結合ピ
   ンの楔状面と係合ピンとが当接していることを特
   徴とする組立式ツールホルダ。