JPH07173288A - ポリイソイミドおよびその製造方法 - Google Patents

ポリイソイミドおよびその製造方法

Info

Publication number
JPH07173288A
JPH07173288A JP3042794A JP3042794A JPH07173288A JP H07173288 A JPH07173288 A JP H07173288A JP 3042794 A JP3042794 A JP 3042794A JP 3042794 A JP3042794 A JP 3042794A JP H07173288 A JPH07173288 A JP H07173288A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyisoimide
divalent
group
bis
solvent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP3042794A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuaki Niwa
一明 丹羽
Akihiko Sakurai
明彦 桜井
Hideetsu Fujiwara
秀悦 藤原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Synthetic Rubber Co Ltd filed Critical Japan Synthetic Rubber Co Ltd
Priority to JP3042794A priority Critical patent/JPH07173288A/ja
Publication of JPH07173288A publication Critical patent/JPH07173288A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 下記一般式(I)および/または(I') 【化1】 (式中、R1およびR2は、同一または異なり、2価の芳
香族基、2価の脂環族基、2価の脂肪族基またはオルガ
ノシロキサン骨格を含む2価の基であり、nは0または
1である)で示される繰返し単位を主成分としてなり且
つ対数粘度が0.01〜20dl/g(N−メチルピロ
リドン溶媒中、濃度0.5g/dl、30℃で測定)の
ポリイソイミドおよびその製造法。 【効果】 本発明のポリイソイミドは、溶剤に可溶性で
あるために成形加工性に優れ、しかも加熱してポリイミ
ドへ転位した後では、耐熱性に優れているという利点を
有している。そのためフィルム、絶縁テープ、電線材
料、成形材料あるいはIC保護コーティング材料などの
広範な用途に利用することができる。さらに、既存のポ
リイミドフィルムと比べて透明性が優れており、透明耐
熱性フィルムとして使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶剤に可溶な新規なポ
リイソイミドおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、ポリイミドは無水ピロメリット
酸などの芳香族テトラカルボン酸無水物と芳香族ジアミ
ンとから得られ、その優れた耐熱性、機械的強度あるい
は電気特性の点から、モーターの耐熱絶縁テープ、フレ
キシブル配線基板のベースフィルム、フラットケーブ
ル、耐熱性絶縁材料あるいは成形用粉体として、耐熱性
の必要とされる各種部品として利用されていることはよ
く知られている。
【0003】これまでの芳香族テトラカルボン酸無水物
と芳香族ジアミンとから得られる、いわゆる芳香族系ポ
リイミドのほとんどは有機溶媒に不溶であり、加工性に
難点があった。そのため、芳香族テトラカルボン酸無水
物と芳香族ジアミンとをN−メチルピロリドン、ジメチ
ルアセトアミドなどの極性溶媒中で反応させ、これらの
溶媒に溶解するポリアミド酸の溶液となし、例えばフィ
ルムとして用いる場合には、ポリアミド酸の溶液をフィ
ルム状に成形した後、250〜450℃に加熱すること
によって溶媒を蒸発除去し、同時にポリアミド酸の脱水
閉環を行わしめて、目的とする溶剤に不溶なポリイミド
・フィルムを得ていた。
【0004】そして、このように高い加熱温度が必要な
ため、耐熱性に劣る材料と複合させて成形加工を行うこ
とができないという欠点を有する。また、閉環反応と脱
水反応が同時に起こるので、脱水反応に伴うボイドの発
生を避けるために上記加熱過程を厳密な温度コントロー
ルの下に長時間をかけて段階的に昇温しなければなら
ず、生産性も悪い。従って、溶媒に可溶性のポリイソイ
ミドが得られれば、このポリイソイミドの溶液をフィル
ム状に成形した後、溶媒を蒸発除去し該ポリイソイミド
を熱転位させるだけで、脱水反応を伴わない、比較的低
温での加熱工程によりポリイミドフィルムが得られるこ
とになる。また、ポリイソイミドは、脱水反応を経ずに
ポリイミドへの転位反応を行うことができるため、前記
の脱水反応に伴うボイドの発生を避けることができ、成
形加工性の改良にも役立つことになる。以上のように、
溶媒に可溶性のポリイソイミドが提供されれば、ポリイ
ミドの応用範囲が広がることが充分予想される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は新規な
ポリイソイミドを提供することにある。本発明の他の目
的は溶剤に可溶なポリイソイミドを提供することにあ
る。本発明のさらに他の目的は本発明の上記の如きポリ
イソイミドを製造する方法を提供することにある。本発
明のさらに他の目的および利点は以下の説明から明らか
になろう。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、本発明
の上記目的および利点は、第1に、下記一般式(I)お
よび/または(I')
【0007】
【化4】
【0008】(式中、R1およびR2は、同一または異な
り、2価の芳香族基、2価の脂環族基、2価の脂肪族基
またはオルガノシロキサン骨格を含む2価の基であり、
nは0または1である)で示される繰返し単位を主成分
としてなり且つ対数粘度が0.01〜20dl/g(N
−メチルピロリドン溶媒中、濃度0.5g/dl、30
℃で測定)のポリイソイミドによって達成される。
【0009】前記一般式(I)および(I')における
1およびR2は上述のとおり、同一または異なり、2価
の芳香族基、2価の脂環族基、2価の脂肪族基またはオ
ルガノシロキサン骨格を含む2価の基である。
【0010】ここで2価の芳香族基は全炭素数が6〜3
9のものが好ましい。2価の芳香族基の具体例として、
下記式(1)〜(6)で表わされるものを挙げることが
できる。
【0011】
【化5】
【0012】前記式(1)において、X1およびX2は、
同一または異なって、水素原子、炭素数1〜4のアルキ
ル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜5のア
ルコキシ基又は炭素数7〜13のアリールオキシ基であ
る。
【0013】前記式(3)において、X3およびX4は、
同一または異なって、前記のX1およびX2の場合と同意
である。式(3)におけるlは0または1の数である。
また、式(3)におけるZは下記式(7)〜(15)
【0014】
【化6】
【0015】で示される二価の基のいずれかである。
【0016】前記一般式(I)および(I')のR1およ
びR2における2価の脂環族基としては炭素数4〜21
のものが好ましい。2価の脂環族基の具体例として、下
記式(16)〜(19)
【0017】
【化7】
【0018】で表わされる基を挙げることができる。
【0019】前記一般式(I)および(I')のR1およ
びR2における2価の脂肪族基は炭素数2〜20のアル
キレン基が好ましく、具体的には
【0020】
【化8】
【0021】を挙げることができる。
【0022】そして、前記一般式(I)および(I')
のR1およびR2におけるオルガノシロキサン骨格を含む
2価の基としては、珪素原子数が2〜11であって、全
炭素原子数が6〜144のものが好ましい。オルガノシ
ロキサン骨格を含む2価の基の好ましい例として、下記
式(20)および(21)
【0023】
【化9】
【0024】で表わされるものを挙げることができる。
なお、前記式(20)において、R6およびR7は、同一
または異なり、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数6
〜12のアリーレン基などで例示される2価の有機基で
あり、R8〜R11は、同一または異なり、炭素数1〜6
のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基などで例示
される1価の基であり、jおよびkは各々1〜10の整
数である。
【0025】また前記式(21)において、R12および
13は、同一または異なり、式(20)のR6およびR7
の場合と同意であり、R14〜R17は、同一または異な
り、式(20)のR8〜R11の場合と同意である。
【0026】本発明のポリイソイミドは、前記一般式
(I)および/または(I')で示される繰返し単位か
ら主としてなり、好ましくはこの繰返し単位を全繰返し
単位の少なくとも70モル%、より好ましくは少なくと
も80モル%含有する。
【0027】一般式(I)および/または(I')で示
される繰返し単位と共に本発明のポリイソイミドが含む
ことができる他の繰返し単位としては、下記一般式(I
V)、(V)、(VI)
【0028】
【化10】
【0029】などで示される繰返し単位を挙げることが
できる。前記一般式(IV)、(V)および(VI)
中、Rは、一般式(I)におけるR1および一般式
(I')におけるR2と同一または異なり、2価の芳香族
基、2価の脂環族基、2価の脂肪族基またはオルガノシ
ロキサン骨格を含む2価の基である。そして、具体的に
は上記R1およびR2について記載したことを好ましい態
様を含んでRに適用することができる。またこれらの一
般式中のnは0または1である。
【0030】また、本発明のポリイソイミドはN−メチ
ルピロリドン中、0.5g/dlの濃度で30℃で測定
した際の対数粘度(ηinh)が0.01〜20dl/gの
範囲にあり、特に0.1〜10dl/gの範囲にあるの
が好ましい。
【0031】本発明によれば、本発明のポリイソイミド
は、下記方法で製造することができる。それ故、本発明
によれば、第2に、下記一般式(II)
【0032】
【化11】
【0033】(ここで、nは0または1である)で示さ
れるテトラカルボン酸二無水物と、下記一般式(II
I)
【0034】
【化12】
【0035】(式中、R3は2価の芳香族基、2価の脂
環族基、2価の脂肪族基またはオルガノシロキサン骨格
を含む2価の基である)で示されるジアミンとを反応さ
せ、次いで得られた前駆重合体を閉環せしめてイソイミ
ド化することを特徴とするポリイソイミドの製造方法が
提供される。
【0036】前記一般式(II)のnが0であるとき、
一般式(II)の化合物は、ビシクロ[2.2.1]ヘプ
タン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物(以
下、NTAと略す)を表わし、nが1であるときにはテ
トラシクロ[6.2.1.1.02, 7]ドデカ−4,5,9,1
0−テトラカルボン酸二無水物(以下、NNTAと略
す)を表わす。これらのテトラカルボン酸二無水物には
数種類の立体異性体が存在するが、いずれの立体異性体
でもあるいはそれらその混合物でもよい。またこれら2
種類のテトラカルボン酸二無水物は単独でも、2種類を
併用してもよい。
【0037】本発明の製造方法で用いられる一般式(I
II)で示されるジアミンのR3には、前記一般式
(I)および(I')におけるR1およびR2についての
記載を好ましい態様を含めて適用することができる。
【0038】前記一般式(III)のR3が2価の芳香族
基である場合のジアミンの好ましい具体例として、m−
フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,5
−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、
4,4'−ビフェニルジアミン、2,2'−ビフェニルジア
ミン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジ
アミノジフェニルエタン、3,3'−ジメチル−4,4'−
ビフェニルジアミン、3,3'−ジメチル−4,4'−ジア
ミノジフェニルメタン、3,3'−ジエチル−4,4'−ジ
アミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニル
エーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,
4'−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'−ジアミ
ノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノジフェニルス
ルホン、3,3'−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジ
アミノベンゾフェノン、3,4'−ジアミノベンズアニリ
ド、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,
2−ビス(4−アミノフェニル)トリフルオロプロパ
ン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,
3−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビ
ス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス
(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス(4
−アミノフェノキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
(4−アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロロプ
ロパン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホ
ン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミ
ン、5−アミノ−1−(4'−アミノフェニル)−1,
3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4'−
アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、
3,4−ジフェニル−2,5−ビス(4−アミノフェニ
ル)チオフェンなどの芳香族ジアミンを挙げることがで
きる。
【0039】R3が2価の脂環族基である場合のジアミ
ンの好ましい具体例として、シクロブタンジアミン、シ
クロペンチレンジアミン、シクロヘキシレンジアミン、
4,4'−ビス(アミノシクロヘキシル)スルホン、4,
4'−ビス(シクロヘキシルアミン)、4,4'−メチレ
ンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4'−エチレンビ
ス(シクロヘキシルアミン)、4,4'−プロピレンビス
(シクロヘキシルアミン)、4,4'−テトラメチレンビ
ス(シクロヘキシルアミン)、4,4'−ビス(アミノシ
クロヘキシル)エーテル、4,4'−ビス(アミノシクロ
ヘキシル)スルフィド、4,4'−ビス(アミノシクロヘ
キシル)ケトンなどの脂環族ジアミンを挙げることがで
きる。
【0040】R3が2価の脂肪族基である場合のジアミ
ンの好ましい具体例として、エチレンジアミン、プロパ
ンジアミン、ブタンジアミン、ペンタメチレンジアミ
ン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミ
ン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミンな
どの脂肪族ジアミンを挙げることができる。
【0041】R3がオルガノシロキサン骨格を含む2価
の基である場合のジアミンの好ましい具体例として下記
式(22)〜(27)
【0042】
【化13】
【0043】
【化14】
【0044】などで示されるジアミンを挙げることがで
きる。なお、上述したジアミンのうち、さらに好ましい
ジアミンの具体例としては、m−フェニレンジアミン、
p−フェニレンジアミン、4,4'−ビフェニルジアミ
ン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジエ
チル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジ
アミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノフェニル
スルホン、3,3'−ジアミノフェニルスルホン、4,4'
−ジアミノベンゾフェノン、2,2'−ビス(4−アミノ
フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニ
ル)トリフルオロプロパン、1,4−ビス(4−アミノ
フェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニ
ル)ベンゼン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフ
ェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェノキ
シフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミ
ノフェノキシフェニルスルホン)、m−キシリレンジア
ミン、p−キシリレンジアミン、5−アミノ−1−
(4'−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルイン
ダン、6−アミノ−1−(4'−アミノフェニル)−1,
3,3−トリメチルインダンなどの芳香族ジアミン;シ
クロブタンジアミン、シクロヘキシレンジアミン、4,
4'−ビス(アミノシクロヘキシル)スルホン、4,4'
−ビス(シクロヘキシルアミン)、4,4'−メチレンビ
ス(シクロヘキシルアミン)、4,4'−ビス(アミノシ
クロヘキシル)エーテル、4,4'−ビス(アミノシクロ
ヘキシル)ケトンなどの脂環族ジアミン;エチレンジア
ミン、ブタンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどの
脂肪族ジアミン;ならびに前記式(22)、(26)、
(27)および(28)で示されるジアミンを挙げるこ
とができる。
【0045】これらのジアミンは、1種類単独でも2種
類以上を組み合わせて使用することができる。
【0046】本発明方法においては、ポリイソイミドの
前駆重合体の調製がまず行われる。この前駆重合体の調
製は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを適当な
溶剤中で、通常、テトラカルボン酸二無水物1モルに対
してジアミン0.8〜1.2モルの割合で反応させること
により行われる。その際のテトラカルボン酸二無水物と
ジアミンとの溶剤に対する濃度は種々の条件に応じて適
宜設定しうるが、テトラカルボン酸二無水物とジアミン
とを合計した重量が、全溶液重量に対し、通常は1〜5
0重量%、好ましくは2〜30重量%である。反応温度
は通常80℃以下、好ましくは0〜60℃である。また
反応時間は通常1〜200時間である。
【0047】ここで用いる溶剤としては、テトラカルボ
ン酸二無水物およびジアミンに対して不活性であり、か
つこれらを溶解せしめるものが用いられ得る。好ましく
用いられる溶剤は、例えばジメチルホルムアミド、ジメ
チルアセトアミドもしくはN−メチルピロリドンの如き
アミド系溶剤;ピリジン、ピコリン、ルチジン、キノリ
ン、イソキノリンの如き複素環系溶剤;フェノールもし
くはクレゾールの如きフェノール系溶剤;またはジメチ
ルスルホキシドなどのいわゆる非プロトン系極性溶剤で
ある。これらは単独で使用することができ、また2種以
上併用することもできる。
【0048】本発明のポリイソイミドは、かくして得ら
れる前駆重合体を脱水剤を用いて脱水閉環せしめてイソ
イミド化することにより得られる。本発明方法に用いる
ことのできる脱水剤としては、無水酢酸、無水トリフル
オロ酢酸の如き酸無水物;ホスゲン、塩化チオニル、塩
化トシルの如き塩化物;三塩化リン、亜リン酸トリフェ
ニル、ジエチルリン酸シアニドの如きリン化合物;N,
N−ジシクロヘキシルカルボジイミドの如きN,N−2
置換カルボジイミドなどが挙げられる。これらの脱水剤
は、例えば前駆重合体100重量部に対して10〜60
0重量部用いることが好ましい。
【0049】さらにまた、脱水閉環の進行を容易にする
ために三級アミン、例えばトリメチルアミン、トリエチ
ルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルア
ミンの如き脂肪族アミン;N,N−ジメチルアニリン、
1,8−ビス(N,N−ジメチルアミノ)ナフタレンの如
き芳香族アミン;ピリジン、ルチジン、キノリン、イソ
キノリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ
センの如き複素環式化合物などを触媒として、例えば前
駆重合体100重量部に対して10〜400重量部を前
記脱水剤と併用してもよい。
【0050】脱水閉環せしめることによるイソイミド化
は、前記脱水剤および必要に応じて前記三級アミンを前
駆重合体溶液と混合させ反応させることにより実施され
る。この反応は0〜100℃の温度において行うのが好
ましく、さらに好ましくは0〜60℃の温度である。な
お前駆重合体はポリアミド酸である。
【0051】かくして得られたポリイソイミド溶液を0
〜100℃の温度で、常圧ないし減圧下に溶剤の乾燥を
行えば、目的とする本発明のポリイソイミドを得ること
ができる。また充分に脱水、乾燥させた大過剰の活性水
素を持たないジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテ
ルの如きエーテル;メチルエチルケトン、イソブチルケ
トン、メチルイソブチルケトンの如きケトンなどの貧溶
媒中にこのポリイソイミド溶液を注いで再沈操作を通じ
ても、この目的とする本発明のポリイソイミドが得られ
る。このようにして得られたポリイソイミドは、好まし
くは120℃以上、より好ましくは140℃以上に加熱
することにより脱水を伴うことなくポリイミドへ転位さ
せることができる。
【0052】
【実施例】以下実施例により本発明をより詳細に説明す
るが、本発明はこれらの実施例により制限されるもので
はない。なお、実施例中の%は重量基準である。 実施例1 内容積200mlのフラスコを乾燥し、次いでフラスコ
内を窒素パージしながら、脱水したN−メチルピロリド
ン(以下、NMPと略す)50gを加えた。このNMP
の含有水分量は8ppmであった。これに、m−キシレ
ンジアミン(以下、m−XDAと略す)2.7240g
(0.020mol)を秤取り、フラスコ中に添加し、
テフロン製の攪拌翼により攪拌して全量を溶解した。次
いでNNTA6.0456g(0.020mol)を秤量
し、フラスコ内を攪拌しながらフラスコ中に添加した。
その後室温で24時間攪拌し、ポリアミド酸溶液を得
た。ポリアミド酸溶液中のポリアミド酸量は8.769
6gであった。
【0053】このポリアミド酸溶液にNMP20gを加
えて希釈した後、フラスコ内を窒素パージしながら氷冷
下20gのNMPに溶解させたジシクロヘキシルカルボ
ジイミド(以下、DCCと略す)10.32gを2時間
で滴下した。滴下完了後、更に氷水浴にて2時間、次い
で室温にて6時間攪拌し脱水閉環によるイソイミド化を
完了させた。次いで遠心分離により生成した尿素を分離
した後、この溶液を2000mlの充分に脱水を行った
メチルイソブチルケトンに徐々に加えポリマーを沈澱さ
せた。このポリマーを分離採取し、60℃の真空乾燥機
中で10時間乾燥することにより、前記一般式(I)お
よび/または(I')で示される繰り返し単位を有する
白色のポリイソイミド7.0gを得た。得られたポリイ
ソイミドの対数粘度(NMP溶媒中、濃度0.5g/d
l、30℃で測定)は0.52dl/gであった。
【0054】かくして得られたポリイソイミドは、図1
に示したその赤外吸収スペクトルからわかるように、1
810、1705、950cm-1にイソイミドの特性吸
収を示し、ポリイソイミドの全繰り返し単位の80モル
%以上が前記一般式(I)および/または(I')で示
される繰り返し単位であるポリイソイミドであることが
確認された。このポリイソイミドは溶媒に可溶で、NM
Pに15%以上溶解した。さらにこのポリイソイミド
は、300℃、10分間の加熱によりポリイミドに容易
に転位した。転位後のポリイミドの示差走査熱量測定
(DSC)によるガラス転移温度(Tg)は、285℃
であった。さらに熱重量分析(TGA)による5%重量
減少温度(空気下100ml/min、昇温速度10℃
/min、試料量10mg)は、396℃であった。
【0055】実施例2 内容積200mlのフラスコを乾燥し、次いでフラスコ
内を窒素パージしながら脱水したNMP 50gを加え
た。このNMPの含有水分量は8ppmであった。これ
に、m−XDA 2.7240g(0.020mol)を
秤取り、フラスコ中に添加し、テフロン製の攪拌翼によ
り攪拌して全量を溶解した。次いでNTA 4.7236
g(0.020mol)を秤量し、フラスコ内を攪拌し
ながらフラスコ中に添加した。その後24時間攪拌し、
ポリアミド酸溶液を得た。
【0056】このポリアミド酸溶液にNMP20gを加
えて希釈した後、フラスコ内を窒素パージしながら氷冷
下20gのNMPに溶解させたDCC10.32gを2
時間で滴下した。滴下完了後、更に氷水浴にて2時間、
次いで室温にて6時間攪拌し脱水閉環によるイソイミド
化を完了させた。次いで遠心分離により生成した尿素を
分離させた後、この溶液を2000mlの充分に脱水を
行ったメチルイソブチルケトンに徐々に加えポリマーを
沈澱させた。このポリマーを分離採取し、60℃の真空
乾燥機中で10時間乾燥することにより、前記一般式
(I)および/または(I')で示される繰り返し単位
を有する白色のポリイソイミド5.6gを得た。得られ
たポリイソイミドの対数粘度(NMP溶媒中、濃度0.
5g/dl、30℃で測定)は0.56dl/gであっ
た。得られたポリイソイミドはNMPに15%以上溶解
した。また実施例1と同様にして得た加熱転位後のポリ
イミドのガラス転移温度は241℃であり、5%重量減
少温度は372℃であった。
【0057】実施例3 実施例1において、m−XDAの代わりに5−アミノ−
1−(4'−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチル
インダンおよび6−アミノ−1−(4'−アミノフェニ
ル)−1,3,3−トリメチルインダン混合物(以下、P
IDDAと略す)5.3278g(0.020mol)を
用いた以外は、実施例2と同様の条件で前記一般式
(I)および/または(I')で示される繰り返し単位
を有するポリイソイミドを得た。得られた白色のポリイ
ソイミドの対数粘度(NMP溶媒中、濃度0.5g/d
l、30℃で測定)は、0.48dl/gであった。得
られたポリイソイミドはNMPに15%以上溶解した。
また実施例1と同様にして得た加熱転位後のポリイミド
のガラス転移温度は330℃であり、5%重量減少温度
は412℃であった。
【0058】実施例4 実施例2において、m−XDAの代わりにPIDDA
5.3278g(0.020mol)を用いた以外は、実
施例2と同様の条件で前記一般式(I)および/または
(I')で示される繰り返し単位を有するポリイソイミ
ドのを得た。得られた白色のポリイソイミドの対数粘度
(NMP溶媒中、0.5g/dl、30℃で測定)は
0.51dl/gであった。得られたポリイソイミドは
NMPに15%以上溶解した。また実施例1と同様にし
て得た加熱転位後のポリイミドのガラス転移温度は26
7℃であり、5%重量減少温度は386℃であった。
【0059】実施例5 実施例1において、m−XDAの代わりにジアミノジシ
クロヘキシルメタン(以下、DADCMと略す)4.2
072g(0.020mol)を用いた以外は、実施例
1と同様の条件でポリアミド酸溶液を得た。このポリア
ミド酸溶液にNMP30gを加えて希釈した後、フラス
コ内を窒素パージしながら氷冷下に10mlの無水トリ
フルオロ酢酸を1時間で滴下した。滴下完了後、更に攪
拌翼にて1時間攪拌し脱水閉環境によるイソイミド化を
完了させた。次いでこの溶液を1500mlの十分に脱
水を行ったメチルイソブチルケトンに徐々に加えポリマ
ーを沈澱させた。このポリマーを分離採取し、60℃の
真空乾燥機中で10時間乾燥することにより、前記一般
式(I)または(I')で示される繰り返し単位を有す
る白色のポリイソイミド9.5328gを得た。得られ
たポリイソイミドの対数粘度(NMP溶媒中、濃度0.
5g/dl、30℃で測定)は0.71dl/gであっ
た。得られたポリイソイミドはNMPに15%以上溶解
した。また実施例1と同様にして得た加熱転位後のポリ
イミドのガラス転移温度は348℃であり、5%重量減
少温度は410℃であった。
【0060】実施例6 実施例2において、m−XDAの代わりにDADCM
4.2072g(0.020mol)を用いた以外は実施
例2と同様の条件でポリアミト酸溶液を得た。このポリ
アミド酸溶液にNMP30gを加えて希釈した後、フラ
スコ内を窒素パージしながら氷冷下に10mlの無水ト
リフルオロ酢酸を1時間で滴下した。滴下完了後、更に
攪拌翼にて1時間攪拌し脱水閉環によるイソイミド化を
完了させた。この溶液を十分に脱水を行ったジエチルエ
ーテルに徐々に加えポリマーを沈澱させた。このポリマ
ーを分離採取し、60℃の真空乾燥機中で10時間乾燥
することにより、前記一般式(I)または(I')で示
される繰り返し単位を有する白色のポリイソイミド6.
57gを得た。得られたポリイソイミドの対数粘度(N
MP溶媒中、濃度0.5g/dl、30℃で測定)は0.
78dl/gであった。得られたポリイソイミドはNM
Pに15%以上溶解した。また実施例1と同様にして得
た加熱転位後のポリイミドのガラス転移温度は129℃
であり、5%重量減少温度は380℃であった。
【0061】実施例7〜14 表1に示されるテトラカルボン酸二無水物およびジアミ
ンを出発原料として用いた以外は、実施例1と同様にし
てポリイソイミドの合成を行った。得られたポリイソイ
ミドの性質および加熱転位後のポリイミドの熱的性質
(ガラス転移温度、5%重量減少温度)を表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
【発明の効果】本発明のポリイソイミドは、溶剤に可溶
性であるために成形加工性に優れ、しかも加熱してポリ
イミドへ転位した後では、耐熱性に優れているという利
点を有している。そのためフィルム、絶縁テープ、電線
材料、成形材料あるいはIC保護コーティング材料など
の広範な用途に利用することができる。さらに、既存の
ポリイミドフィルムと比べて透明性が優れており、透明
耐熱性フィルムとして使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1により得られたポリイソイミドの赤外
吸収スペクトル図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)および/または
    (I') 【化1】 (式中、R1およびR2は、同一または異なり、2価の芳
    香族基、2価の脂環族基、2価の脂肪族基またはオルガ
    ノシロキサン骨格を含む2価の基であり、nは0または
    1である)で示される繰返し単位を主成分としてなり、
    且つ対数粘度が0.01〜20dl/g(N−メチルピ
    ロリドン溶媒中、濃度0.5g/dl、30℃で測定)
    のポリイソイミド。
  2. 【請求項2】 下記一般式(II) 【化2】 (式中、nは0または1である)で示されるテトラカル
    ボン酸二無水物と下記一般式(III) 【化3】 (式中、R3は2価の芳香族基、2価の脂環族基、2価
    の脂肪族基またはオルガノシロキサン骨格を含む2価の
    基である)で示されるジアミンとを反応させ、次いで得
    られた前駆重合体を閉環せしめてイソイミド化すること
    を特徴とするポリイソイミドの製造方法。
JP3042794A 1993-10-26 1994-02-28 ポリイソイミドおよびその製造方法 Withdrawn JPH07173288A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3042794A JPH07173288A (ja) 1993-10-26 1994-02-28 ポリイソイミドおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26754493 1993-10-26
JP5-267544 1993-10-26
JP3042794A JPH07173288A (ja) 1993-10-26 1994-02-28 ポリイソイミドおよびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07173288A true JPH07173288A (ja) 1995-07-11

Family

ID=26368767

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3042794A Withdrawn JPH07173288A (ja) 1993-10-26 1994-02-28 ポリイソイミドおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07173288A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2744786B2 (ja) 熱的寸法安定性にすぐれたポリイミド及びそれに用いるポリアミド酸
WO1984000374A1 (en) Silicone-imide copolymers and method for making
US4973707A (en) Acetylene bis-phthalic compounds and polyimides made therefrom
JPH1036506A (ja) 新規なポリイミド組成物及びポリイミドフィルム
JPH0546375B2 (ja)
JPWO2008155811A1 (ja) 6,6−ポリイミド共重合体及びその製造方法
JPH0315931B2 (ja)
JPH03243625A (ja) ポリイミド前駆体組成物およびポリイミドの製造方法
EP0260833B1 (en) Process for producing polyamide acid having siloxane bonds and polyimide having siloxane bonds and isoindoloquinazolinedione rings
JPH07173288A (ja) ポリイソイミドおよびその製造方法
JP2754446B2 (ja) シロキサン変性ポリアミドイミド樹脂およびその製造方法
JP3339205B2 (ja) ポリイミド共重合体の製造方法
JP2724424B2 (ja) 新規ポリイミド重合体フィルム
JPH0562893B2 (ja)
JP3676073B2 (ja) ポリイミドフィルムとその製造方法
JP2729708B2 (ja) 新規ポリイミド重合体フィルム
KR100196967B1 (ko) 폴리이소이미드를 제조하는 방법
JP2653401B2 (ja) ポリアミドイミドシリコン重合体の製造法
JP2603928B2 (ja) 新規なポリアミド酸組成物
JP3456256B2 (ja) ポリイミド共重合体及びその製造方法
JPH083314A (ja) ポリイソイミドおよびその製造方法
JP2700703B2 (ja) ポリベンゾビスオキサゾール分子複合材及びその製造方法
JPS63225629A (ja) ポリイミド系樹脂
JPH0559173A (ja) ポリアミツク酸共重合体、それからなるポリイミド共重合体、ポリイミドフイルム、並びにそれらの製造方法
JPH0854736A (ja) 感放射線性樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20010508