JPH07172689A - 可撓性長尺材巻き取り装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ケーブルやホース等の可撓性長尺材を巻き付
けたドラムを特別の動力源を用いずに台車の走行に伴っ
て巻き取り及び巻き戻し方向に回転させる。 【構成】 台車上に回転自在に搭載した長尺材巻回ドラ
ム５に対し、台車１の車軸７の回転を伝達させるように
し、その回転伝達機構中に一定以上のトルクに達すると
スリップするトルクユニット３を設けるとともに、その
トルクユニット３の入力側軸に第１，第２の一方向クラ
ッチ２０，２１を取り付け、巻き取り時には車軸の回転
によりドラム５を回転させ、巻き戻し時にはトルクユニ
ット３の負荷をかけた状態でドラムを長尺材引出力によ
って空転させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ケーブルやホース等の
可撓性長尺材をトンネル掘削、その他の工事現場等にお
いて、ドラムから巻き戻しつつ敷設するとともに、敷設
後の巻き取りを行わせる可撓性長尺材巻き取り装置に関
する。

【０００２】

【従来の技術】工場、倉庫、建設工事現場等で作業を行
う移動機械へ、ケーブル、ホース等を用いて電気や圧搾
空気、油圧等を供給するために、リール（ドラム及びそ
の駆動装置）が使用されている。リールは必要な作業に
応じて移動又は固定して使用されるが、リールの移動が
必要な場合は台車に搭載して使用されることが多い。

【０００３】また鉄道、道路、下水道等のトンネル掘削
工事では、掘削機械が掘り進むに従いリールを搭載した
台車がトンネル内を移動して必要な電源等を供給する方
式が提案されている。このように台車にリールを搭載し
て使用する場合、台車には台車自身を移動させるための
動力源の他に、ケーブルやホースを巻き取りまたは巻き
戻して引き出すドラムを駆動するためのモータ等の動力
源を使用し、これに電気を供給するケーブルを移動に伴
って延長させている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上述の如き従来の装置
では、特にトンネル等の狭い作業環境では、台車に搭載
したドラムを駆動するための動力源と、これに電気を供
給するケーブルのためには充分なスペースがさけず、問
題となっていた。

【０００５】本発明はこのような従来の問題にかんが
み、ケーブルやホース等の長尺物の敷設後の巻き取り
が、特別の電源を要することなく、台車の移動に伴って
自動的、かつ、効果的に行える可撓性長尺材巻き取り装
置、及びこれに台車の移動に伴って長尺材の巻き戻し、
敷設が可能な機能を備えた装置の提供を目的としてなさ
れたものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上述の如き従来の問題を
解決し、所期の目的を達成するための本発明の特徴は、
第１にケーブルやホース等の可撓性長尺材を巻き付ける
長尺材巻回ドラムを回転自在に搭載した台車と、中間に
一定以上のトルクが加わるとスリップするトルク調整機
構を有し、前記台車の車軸の回転を、該台車の走行速度
より長尺物巻取速度が稍速くなる速度で前記長尺材巻回
ドラムに伝える巻き取り側回転伝達機構とを備えてなる
可撓性長尺材巻き取り装置（請求項１）にあり、第２に
該装置において、回転伝達機構には、トルク調整機構の
入力側軸に対して車軸の長尺材巻き取り方向側の回転の
みを伝える第１の一方向クラッチを備えるとともに、前
記入力側軸と固定フレーム間に前記第１の一方向クラッ
チと回転伝達方向を同じくした第２の一方向クラッチを
介在させたこと（請求項２）にある。

【０００７】

【作用】本発明の第一の特徴である請求項１に記載の発
明においては、台車をけん引もしくは自走によって移動
させることにより、車軸の回転が回転伝達機構を介して
長尺材巻回ドラムに伝えられ、該ドラムが長尺材巻き取
り方向に回転され、長尺材の巻き取りがなされるが、台
車の進行速度より、長尺材巻き取り速度が速いため、ト
ルク調整機構により、その速い分だけ吸収され、一定の
トルクにて長尺材巻回ドラムが回転され、ドラムに対す
る長尺材の巻き強さが巻き取り部の半径の変化にかかわ
りなく一定になる。

【０００８】本発明の第二の特徴である請求項２に記載
の発明においては、台車を前進させると、第１の一方向
クラッチが回転伝達側に作用し、トルク調整機構の入力
側軸、即ち車軸側回転軸が長尺巻き取り方向側に回転さ
れ、第２の一方向クラッチは滑り方向に作用して長尺材
巻回ドラムに巻き取り方向の回転が伝えられる。

【０００９】一方、台車の前方側に長尺材を引き出し、
その端部を定位置に固定して台車を後退させると、第１
の一方向クラッチが空転し、トルク調整機構の入力側軸
には車軸回転が伝わらない。一方長尺材に働く張力によ
って巻回ドラムが巻き戻し方向に回転されるが、その際
の前記入力側軸の回転は第２の一方向クラッチによって
阻止され、トルク調整機構が滑って出力側軸と長尺材巻
回ドラムが一定の負荷条件下で巻き戻し方向に回転され
る。

【００１０】

【実施例】次に本発明の実施例を図面について説明す
る。

【００１１】図において、１は車輪２，２……を有する
台車であり、台車１上には、スリップ式のトルク調整機
構を内蔵したトルクユニット３及び変速ギヤボックス４
が搭載とれており、トルクユニット３の出力側軸３ｂに
長尺材巻回ドラム５が支持されている。変速ギヤボック
ス４の入力側軸４ａにはスプロケット６が固定され、こ
のスプロケット６と台車１の車軸７に固定したスプロケ
ット８とに無端のローラーチェーン９が掛け回されい
る。またギヤボックス４の出力側軸４ｂに固定したスプ
ロケット１０とトルクユニット３の入力側軸３ａに支持
させたスプロケット１１とに無端のローラーチェーン１
２が掛け回され、これらの各スプロケット、チェーン、
トルクユニット３及びギヤボックス４により車軸７の回
転をドラム５に伝える回転伝達機構が構成されている。
この回転伝達機構は、台車１の前進速度よりもドラム５
の長尺材巻き取り速度が稍速くなるように各スプロケッ
トの歯数、ギヤボックス４の変速比を調整している。

【００１２】トルクユニット３内のトルク調整機構には
図には示されてないが、例えば摩擦板どうしが潤滑油中
で押し付けられて一部スリップ回転しながらトルクを伝
える形式のものが使用され、入力側軸３ａの回転速度が
変動しても摩擦板どうしの回転のスリップ数が変動して
これを吸収し、出力側軸３ｂには一定のトルクが出力さ
れる。

【００１３】トルクユニット３の入力側軸３ａ部分に
は、図３に示すように第１，第２の一方向クラッチ２
０，２１が備えられている。第１の一方向クラッチ２０
は、入力側軸３ａに固定した従動側輪２０ｂとスプロケ
ット１１に固定した主動側輪２０ａとからなり、両輪２
０ａ，２０ｂ間は、主動側輪２０ａの台車前進方向側の
回転が従動側輪２０ｂに伝えられ、その逆方向の回転は
伝えられずに空転する構造となっている。

【００１４】また第２の一方向クラッチ２１は、入力側
軸３ａに固定された回動輪２１ａとトルクユニット３の
固定フレーム３ｃに固定された回転不能な固定輪２１ｂ
とからなり、入力側軸３ａの台車前進方向側の回転、即
ち、ドラム５の長尺材巻き取り側の回転時には両輪２１
ａ，２１ｂ間がスリップし、入力軸３ｂのドラム５によ
る巻き戻し側の回転時に両輪２１ａ，２１ｂ間が接続
し、回動輪２１ａが回転不能になる構造となっている。

【００１５】次にこの装置の動作を図４〜図６について
説明する。尚図４〜図６は理解を容易にするため、各軸
を車軸と平行に配置して回転伝達経路の概略を示してい
る。

【００１６】まず、敷設してある長尺材ａの巻き取りに
際しては、図４，図５に示すように長尺材巻回ドラム５
に敷設してある長尺材ａの先端を巻き付け、台車１を前
進させると、その車軸７の回転が各スプロケット、無端
ローラーチェーン及びギヤボックス４を介してトルクユ
ニット３の入力側軸３ａのスプロケット１１の第１の一
方向クラッチ２０に伝えられる。第１の一方向クラッチ
２０では、主、従動側輪２０ａ，２０ｂが互いに係合さ
れ、回転が入力側軸３ａに伝えられ、出力側軸３ｂとと
もにドラム５が長尺材巻き取り方向に回転し、長尺材ａ
がドラム外周に巻き取られる。

【００１７】このとき、ドラムによる巻き取り速度が台
車前進速度より稍速くなっているため、トルク調整機構
が働き、速度差をスリップにより吸収するとともに、一
定トルクの回転力がドラム５に与えられ、一定の巻き付
け強さで長尺材ａの巻き取りがなされる。

【００１８】一方、長尺材巻回ドラム５から、その長尺
材ａを巻き戻しつつ敷設する際には、図４，図６に示す
ようにドラム５から長尺材ａの一端を引き出して固定し
た状態で台車１を後退させる。このとき、車輪７の回転
は前述とは逆になるため、第１の一方向クラッチ２０の
主、従動側輪２０ａ，２０ｂ間はスリップする。一方、
ドラム５には長尺材ａの張力によって前述とは逆の巻き
戻し方向の回転力が伝えられ、これがトルクユニット３
内のスリップ式トルク調整機構を介して入力側軸３ａに
伝えられるが、第２の一方向クラッチ２１の回転輪２１
ａが固定軸２１ｂに係合されて回転不能となるため、ト
ルク調整機構がスリップして出力側軸３ｂのみが回転
し、停止方向に一定トルクの負荷がかかった状態でドラ
ム５が逆転しつつ長尺材ａが引き出され、一定の張力が
与えられた状態で巻き戻し敷設される。

【００１９】尚上述の実施例は、第１，第２の一方向ク
ラッチを使用して長尺材の巻き取り、巻き戻しを共に行
うことができる装置について説明したが、巻き取りのみ
に使用する装置では、第１，第２の一方向クラッチを使
用せずに、トルクユニット３の入力側軸３ａに直接スプ
ロケット１１を固定する。

【００２０】

【発明の効果】上述したように本発明の可撓性長尺材巻
き取り装置では、トルク調整機構を中間に用い、台車の
車軸回転を、該台車の進行速度より速い巻き取り速度で
回転を伝える回転伝達機構を介して長尺物巻回ドラムを
回転させるようにしたことにより、巻回ドラムを回転さ
せるための駆動源を特別に用いることなく一定の強さで
効率良く長尺物の巻き取りができることとなったもので
ある（請求項１）。

【００２１】また本発明では、上述したように第１，第
２の一方向クラッチを付加したことにより、一つの装置
で巻き取りと巻き戻し作業が共に可能となり、しかも巻
き戻し時にも一定の張力で効率良く長尺物の引き出し、
敷設が可能になったものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の全体の概略構成を示す正面
図である。

【図２】同上の縦断側面図である。

【図３】同上の第１，第２の一方向クラッチ部分を示す
断面図である。

【図４】同上の装置の動作説明用の回転伝達系の略図で
ある。

【図５】同上の装置の長尺材巻き取り工程の説明図であ
る。

【図６】同上の装置の長尺材巻き戻し引き出し工程の説
明図である。

【符号の説明】

ａ 長尺材 １ 台車 ２ 車輪 ３ トルクユニット ３ａ 入力側軸 ３ｂ 出力側軸 ３ｃ 固定フレーム ４ 変速ギヤボックス ４ａ 入力側軸 ４ｂ 出力側軸 ５ ドラム ６，８，１０，１１ スプロケット ７ 車軸 ９，１２ ローラーチェーン ２０，２１ 一方向クラッチ ２０ａ 主動側輪 ２０ｂ 従動側輪 ２１ａ 回動輪 ２１ｂ 固定輪

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 潔 東京都品川区東大井１丁目11番25号 五洋 建設株式会社技術研究所内 (72)発明者 原 修一 東京都品川区東大井１丁目11番25号 五洋 建設株式会社技術研究所内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ケーブルやホース等の可撓性長尺材を巻
   き付ける長尺材巻回ドラムを回転自在に搭載した台車
   と、中間に一定以上のトルクが加わるとスリップするト
   ルク調整機構を有し、前記台車の車軸の回転を、該台車
   の走行速度より長尺物巻取速度が稍速くなる速度で前記
   長尺材巻回ドラムに伝える巻き取り側回転伝達機構とを
   備えてなる可撓性長尺材巻き取り装置。
2. 【請求項２】 回転伝達機構には、トルク調整機構の入
   力側軸に対して車軸の長尺材巻き取り方向側の回転のみ
   を伝える第１の一方向クラッチを備えるとともに、前記
   入力側軸と固定フレーム間に前記第１の一方向クラッチ
   と回転伝達方向を同じくした第２の一方向クラッチを介
   在させてなる請求項１に記載の可撓性長尺材巻き取り装
   置。