JPH07165607A - 修飾された免疫原を用いた免疫寛容の誘発 - Google Patents

修飾された免疫原を用いた免疫寛容の誘発

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JPH07165607A
JPH07165607A JP4010402A JP1040292A JPH07165607A JP H07165607 A JPH07165607 A JP H07165607A JP 4010402 A JP4010402 A JP 4010402A JP 1040292 A JP1040292 A JP 1040292A JP H07165607 A JPH07165607 A JP H07165607A
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イソベ,ミツアキ
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 レシピエント哺乳類において移植された器官
または組織に対してT細胞に対する免疫寛容を誘発す
る。 【構成】 レシピエント哺乳類を、免疫抑制効果を奏す
るように修飾されたMHC抗原で措置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【従来の技術】本発明は提供者(ドナー)の器官および
組織の受容者(レシピエント)においてドナー抗原に対
する免疫寛容を誘発するための修飾された移植抗原の使
用に関する。
【0002】器官の疾病および器官の機能不全を治療す
るために、同種異系(allogeneic)の、または非自己
(non-self)移植組織を使用することが医学において益
々重要性を増している。しかしながら、同種異系移植片
(allografts)の使用はドナーとレシピエントの間の抗
原の相違のためにレシピエントであるホストにより移植
組織がしばしば拒絶反応を受けることにより限られてい
る。
【0003】同じ種の個別の成員同士間の抗原の相違は
「同種異系抗原」(alloantigen)と呼ばれる。同種異系
抗原が同種異系組織移植片の拒絶反応に関与していると
きは、それらは「組織適合性抗原」(histocompatibili
ty antigen)と呼ばれる。「組織適合性主抗原」(majo
r histocompatibility antigen)および「組織適合性主
複合体」(major histocompatibility complex)(MHC)
という用語は遺伝子(複数)の密接して連結された単一
の領域の産生物を示称する。
【0004】これらのMHC 遺伝子産生物は細胞表面に陳
列され同種異系移植の成功に対する重大な障害となって
いる。ヒトでは、MHC は国際協定により「HLA 」と示称
される。この略語の個々の文字は「ヒト白血球(または
リンパ球)抗原」および「組織適合性座抗原」(histoc
ompatibility locus antigen)を含む種々の意味を持つ
(Carpenter, C.B.in Harison's Principles of Inter
nal Medicine, ed. E.Braunwald et al., (McGraw-Hil
l, New York, 1987, page 337))。
【0005】移植片拒絶反応は組織適合性抗原に対する
免疫応答の結果である。同種異系移植片は一般に数日な
いし数週間の期間生存する。しかしながら、それらは、
その後、炎症を起こし、リンパ球と単球で浸潤され、つ
いには組織が壊死状態になる。皮膚移植の場合、移植さ
れた組織は皮膚から脱落するが、心臓のような重要な
(vital)器官の場合は組織拒絶反応の結果はレシピエン
トにとって致命的である。
【0006】ヒトに移植すると、ドナー心臓は移植片拒
絶反応の兆候を綿密に監視される。最も普通には、拒絶
反応はドナー心臓組織を生検することによって監視され
る。最近の研究によると、心臓移植レシピエントに対す
る心筋内生検は移植後最初の8週間は毎週、続く8週間
は隔週、翌年は毎月、そしてレシピエントの余命の残り
の期間は3ないし4カ月毎に行うことが記載されている
(Ahmed-Ansari,A. et al., Transplantation 45 : 97
2-978(1988))。
【0007】生検を行った組織は、次いで、組織拒絶反
応について組織学的に検査される。拒絶反応の等級は白
血球による浸潤の程度によって決定される(Ahmed-Ansa
ri,A. et al., 上掲)。浸潤白血球は移植片組織によ
って表現されたMHC 抗原に感作されると考えられる。
【0008】MHC がホスト哺乳類における移植片の生存
の成否に主要な役割を果していることが認識されている
にも拘らず、移植片の生存を延ばす現在の試みにはこの
知識が用いられていない。最も普通に行われている移植
片生存の延長はサイクロスポリンまたはサイクロスポリ
ンA(登録商標)およびステロイドのような非特異的免
疫抑制剤の投与である。レシピエントの一般的免疫応答
を抑制することにより、移植片の生存率を向上させるこ
とができる。しかしながら、免疫抑制剤を長期使用する
とレシピエントの細菌およびウィルス感染への抵抗性が
低下する。さらに、腎移植レシピエントのように免疫抑
制剤で長期間治療された個体において癌の発生率が増加
するという証拠もある。
【0009】移植組織レシピエントの非特異的免疫抑制
の実験的代替法が研究されてきた。マウスモデル系で
は、移植手術前に同種異系移植片を培養するとレシピエ
ントによる組織の永久受容を導出できることが示された
(Lafferty,K.J. et al., Transplantation 22 : 233
-234(1976); Bowen,K.M. et al., Lancet 2 : 585-58
6(1979) )。そのような培養が移植片受容を導出する機
序は不明であるが、そのような培養により、クラス2抗
原表現に富む、樹状細胞(dendritic cell)その他の抗
原供与細胞が消失することが示唆されている(Bach,H.
B., and Sachs, D.H., N.E.J. of Medicine, August 2
0, 1987, 489-492)。
【0010】動物モデルにおいて免疫寛容を誘発するも
う一つの方法では、レシピエントは、まず、全リンホイ
ド照射(total lymphoid radiation)を与えられた後、
ドナー・レシピエント混合骨髄を用いて骨髄の再構成を
行う。移植手術に先だって、ドナー骨髄を処理してT細
胞を除去し、レシピエントにおける移植片(グラフト)
対宿主(ホスト)疾病を防止する。レシピエントはこれ
でドナー移植片に寛容になる(Ilstadt, S.T., Nature
307 : 168-170(1984) )。しかしながら、この技法は、
全身照射の線量が高いため、臨床には適用できない。
【0011】最近、レシピエントを同種異系移植片細胞
に存在するMHC クラスI抗原で予備感作すると同種異系
移植片細胞に対して抗原特異的な免疫抑制効果を有する
ことが示されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】MHC の理解における著
しい進展にも拘らず、哺乳類レシピエント、特にヒトに
おいて移植片免疫寛容を誘発する改良された方法が必要
とされている。
【0013】本発明の目的は、そのような改良された免
疫寛容誘発方法を提供することである。
【0014】本発明の別の目的は、そのような改良され
た免疫寛容誘発に用いる組成物を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記の課題の
解決を目的として、免疫応答の変調のための組成物およ
び方法を提供する。
【0016】すなわち、本発明の第1の局面に従う、移
植抗原に対する免疫寛容を誘発する方法は、治療有効量
の非抗原性に修飾された移植抗原を包含する組成物を哺
乳類に投与することを特徴とする。
【0017】ここに、前記抗原は、組織適合性主複合体
の一つの成分を包含していてもよい。また、前記抗原
は、モノメトキシポリエチレングリコールで修飾されて
いてもよい。
【0018】本発明の第2の局面に従う、ドナー組織を
受領した哺乳類における移植されたドナー組織の拒絶反
応を防止する方法は、修飾されたドナー特異抗原を哺乳
類に包含する組成物を投与することを特徴とする。
【0019】ここに、前記組成物は、前記ドナー組織を
前記哺乳類に移植する前に投与してもよい。また、前記
組成物は、前記ドナー組織を前記哺乳類に移植した後に
投与してもよい。あるいは、前記組成物は、前記ドナー
組織を前記哺乳類に移植する前および移植した後に投与
してもよい。さらに、前記ドナー特異抗原は、組織適合
性主複合体の抗原であってもよい。前記修飾された抗原
は、モノメトキシポリエチレングリコールで修飾されて
いてもよい。
【0020】本発明の第3の局面に従う、T細胞媒介免
疫に対する免疫寛容を誘発するための組成物は、T細胞
応答を誘発することができる抗原であって免疫抑制効果
を起こすように修飾された少なくとも1種の抗原を包含
することを特徴とする。
【0021】ここに、前記抗原は、組織適合性主複合体
の抗原であってもよい。
【0022】また、前記抗原は、モノメトキシポリエチ
レングリコールで修飾されていてもよい。
【0023】本発明の第4の局面に従う、哺乳類におい
て同種移植片の生存時間を延長する方法は、哺乳類を同
種移植片に特異的な修飾された抗原で治療することを特
徴とする。
【0024】ここに、前記抗原は、モノメトキシポリエ
チレングリコールで修飾されていてもよい。
【0025】
【作用】前記組成物は免疫抑制効果を奏するように修飾
された免疫原を包含するものである。すなわち、これら
の修飾された免疫原は、同様の免疫原が後に接触したと
きに免疫応答が引き出されないように、免疫応答を変調
することができる。前記組成物および方法は免疫原、特
に移植拒絶反応、アレルギー、自己免疫疾患その他に関
与する免疫原、に対する免疫寛容を誘発するのに使用で
きる。
【0026】本発明はT細胞媒介免疫を変更するための
組成物および方法を対象とする。詳しくは、T細胞応答
を引き出すことができる免疫原は免疫寛容を誘発するよ
うに修飾されている。これらの免疫原は非免疫原性ポリ
マーを免疫原上の利用できる基に付着させることにより
修飾される。
【0027】「哺乳類」という用語にはヒトおよびヒト
以外の動物が含まれるものとする。
【0028】「免疫原」という用語は、一般に、蛋白ま
たは非蛋白物質であって、当該物質に暴露された哺乳類
に免疫応答を引き出すことができるものを意味する。従
って、この用語は抗原その他の免疫応答を誘発する因子
を包含する。主として、この用語はT細胞媒介免疫を引
き出すことができる免疫原を示称する。従って、この用
語は組織適合性主複合体の成分、またはその免疫性フラ
グメントを含む。
【0029】免疫原について本明細書で使用されている
「修飾された」という用語は、前記免疫原(例えば抗
原)に一種または二種以上の化学基を複合させることを
意味する。この修飾により前記免疫原(抗原)は非免疫
原性になるか、または前記免疫原(抗原)の免疫原性が
低下する。
【0030】免疫原または修飾された免疫原について本
明細書で使用されている「非免疫原性」という用語は、
哺乳類が当該免疫原または修飾された免疫原或は当該免
疫原を表現する器官もしくは組織に暴露された際に、免
疫応答を起こさないことを意味する。
【0031】「免疫寛容を誘発する」という用語は、修
飾されて非免疫原性になったかまたはその免疫原性が低
下した免疫原に哺乳類を暴露することを意味する。この
哺乳類の免疫系は、その後この哺乳類をその免疫原にま
たはその免疫原を表現する器官もしくは組織に暴露して
も当該免疫原(抗原)に対する免疫応答を起こさない。
【0032】非免疫原性ポリマーは線状の、電荷を有し
ない、製薬的に許容し得、かつ前記免疫原を非免疫原性
にする化合物から選ばれる。主として、これらのポリマ
ーは一般構造式CH3(OCH2CH2)nOH のメトキシポリエチレ
ングリコール類から選ばれる。ポリエチレングリコール
の物理化学的性質は、Bailey et al., Nonionic Surfac
tants (Schick, M.J., Ed.) pp.794-821,Marcel Dekke
r Inc., New Yorkに記載されている。
【0033】示されているように、非免疫原性ポリマ
ー、特にモノメトキシポリエチレングリコール(mPE
G)、が免疫原に付着される。複数の方法が前記ポリマ
ーを免疫原に付着させるのに利用できる。一つの方法
は、カップリング剤としてシアヌル酸を使用するもので
ある。これはAbuchowski et al., J. Biol. Chem.252
: 3578-3581(1977)に記載されている通りである。Jac
kson et al., Analytical Biochemistry 165 : 114-127
(1987) およびWilkinson et al., J. of Immunol. 139
:326-331(1987)も参照されたい。このポリマーは、N
ーヒドロキシスクシンイミドのような二官能性剤を架橋
剤として使用することによっても、免疫原に結合するこ
とができる(Buckamann et al., Makromol. Chem. 182
: 1379(1982))。混合無水物法はWie et al., Immun.
64 : 84-99 1981) に開示の通り使用することができ
る。また、King et al., Arch. Biochem. Biophys. 178
: 442-450(1977)に教示されているように、2−クロロ
−4−ヒドロキシ−6−PEG −トリアジンを使用して免
疫原のリジン残基のε−アミノ基にPEG を結合すること
ができる。
【0034】mPEGのポリマー類は分子量が広範囲にわた
るものが利用できる。たいていは、任意の分子量のPEG
を使用することができる。しかしながら、mPEG類の分子
量と置換度の間には逆の関係が認められる。すなわち、
分子量が小さいPEG ポリマーを使用するときは、分子量
の大きいPEG ポリマーを使用するときよりも、免疫原へ
より多く付着させることが必要である。従って、置換
度、すなわち蛋白一分子当りの付着mPEG分子数を免疫原
に応じて、かつ、示されているように、使用したPEG の
分子量に応じて、変化させることができる。考え方とし
ては重要なのは、免疫原が免疫寛容原性生成物に転換さ
れると共にこれに伴ってアレルゲン性が低下もしくは消
失するので、この効果は分子量がより大きいmPEG類を結
合させることによりより低い置換度で達成することがで
きる。たいていは、反応時間をより長くし高濃度のPEG
を免疫原に結合させるとPEG 分子の置換すなわち付着が
向上する。
【0035】一般に、PEG は免疫原の約20%〜約80%、
より一般的には約40%〜約70%の置換率で付着される。
【0036】本発明の修飾された免疫原は注射、急速注
入、鼻咽頭吸収(nasopharingeal absorption)(鼻咽頭
内的に)、皮膚吸収により非経口的に、または経口的に
投与することができる。あるいは、これらの組成物は筋
肉内または静脈内投与することができる。非経口投与の
ための組成物は滅菌した水系もしくは非水系の溶液、懸
濁液および乳液を含む。非水溶媒の例としてはポリプロ
ピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ
油のような植物油類、およびエチルオレエートのような
注射可能な有機エステル類がある。坦体または密封包帯
を使用して皮膚透過性を向上させ、抗原吸収を高めるこ
とができる。
【0037】免疫学的に媒介された器官および組織の拒
絶応答の重要な特徴は、移植された組織中に白血球浸潤
物が存在することである。白血球は一定範囲の免疫効果
を媒介することができる白い血球である。移植された組
織中に存在する白血球の多くが移植されたドナー組織に
より表現された抗原に対して感作されると考えられてい
る。活性化後、これらの白血球は移植された組織の細胞
に対して細胞破壊効果を誘発する。これらの考察によ
り、一般に、T細胞媒介免疫は拒絶反応の病理発生(pa
thogenesis)に決定的な役割を果たしているものと考え
られている。
【0038】多くの白血球が感作されている抗原は組織
適合主複合体(MHC)の成分である。従って、拒絶反応工
程における基本的なリンクは移植された組織によるMHC
抗原の表現である。例えば、心臓移植では、一般に、血
管内皮細胞および移植片の通過細胞(passenger cells)
(例えば、マクロファージおよび樹状細胞)が低レベル
の一定のMHC 抗原を表現するものと考えられている。こ
れらの抗原は宿主のリンホイド細胞の最初の感作を惹き
起こすことができる(Ahmed-Ansari,A. et al., Trans
plantation 45 : 972-978(1988) )。
【0039】ある研究では、PEG を牛血清アルブミン(P
EG-BSA)に付着させるとBSA は非免疫原性になった。PE
G-BSA で免疫化されたウサギ(rabbits)はPEG-BSA また
は天然(非修飾)BSA のいずれにも抗体を産生しなかっ
た。さらに、PEG-BSA 複合体は天然BSA に対して産生さ
れた抗体と反応しなかった(Abuchowski et al., 上
掲)。
【0040】マウスでは、ヒト単クローン性IgG に対す
る免疫寛容性はIgG にモノメトキシポリエチレングリコ
ール(mPEG)を複合することにより誘発された(Wilkin
sonet al., J. Immunol. 139 : 326-331(1987) )。ア
ルギナーゼ、カタラーゼおよびアデノシンデアミナーゼ
を含む数種類の酵素がPEG を付着することにより非免疫
原性にされている(Davis, S. et al., Clin. Exp. Imm
unol.46 : 649-652(1981); Saroca, K.V. et al., Bi
ochem. Biophys. Acta 578 : 47-53(1979); Abuchowsk
i, A. et al., J. Biol. Chem. 252 : 3582-3586)。
【0041】一般に、免疫反応は2つのカテゴリー、す
なわちB細胞免疫または体液媒介免疫と、T細胞免疫ま
たは細胞媒介免疫とに分類される。B細胞免疫では、B
細胞により産生される抗体および補体が循環系から外来
の抗原を除去するのに主要な役割を果たしている。これ
に対して、T細胞媒介免疫では、細胞毒性T細胞が標的
細胞もしくはウィルスを破壊する。同種異系移植片細胞
はT細胞媒介免疫により破壊されることが示されてい
る。注目すべきことに、mPEGを使用した免疫寛容化は、
これまでに溶解性抗原に対してのみ、すなわちB細胞媒
介免疫に対してのみ証明され適用されている。B細胞媒
介免疫とT細胞媒介免疫との機序の間に顕著な差がある
ことから、T細胞媒介免疫に対するmPEG寛容化の利用可
能性は未だ確かめられていない。実際、従前は、T細胞
媒介免疫に関する免疫学的疾患に対するmPEG寛容化の試
みは何等なされていない。
【0042】マウスのMHC が広範に研究されてきたの
は、主として、マウスの高度の近交系(遺伝的に均等な
個体)が利用できるためである。組織適合性-2(histoc
ompatibility-2)(H2)と命名されたマウスMHC はヒトの
MHC 複合体HLA と相同(homologous)である。両種とも
に、MHC の抗原は免疫系が自己の細胞および組織と非自
己の細胞および組織とを識別するのに同様の役割を果た
している。
【0043】ヒトおよびマウスのMHC 抗原は、機能上の
差に基づいて、クラスI とクラスIIの2つのクラスに分
けられる。ヒトおよびマウスのクラスI MHC 分子はそれ
ら分子のアミノ酸の約70〜75%を占める(J. Klein, Im
munology(John Wiley & Sons, 1982),pp.295)。
【0044】HLA およびH2抗原はヒトおよびマウスのそ
れぞれの免疫系内で相同的役割を果しているので、H2複
合体はMHC 一般を研究するためのモデル系として久しく
使用されている。マウスの近交系を使用してなされた研
究によりヒトにおける組織拒絶反応の機序を理解する能
力が大いに伸展した。このように、マウスにおける移植
研究の実験結果はヒトの器官および組織移植片に対して
間接的および直接的に適用し得る。
【0045】本発明に従えば、移植片組織に対する免疫
寛容は宿主哺乳類をドナー組織によって表現され、精製
および修飾されたMHC 抗原に暴露することにより達成す
ることができる。本発明は特定の機序の免疫寛容に限定
されないが、宿主のリンホイド細胞を移植片組織の抗原
に最初に感作されるのを防止することおよび/または感
作された白血球による移植片抗原の認識を防止すること
により免疫寛容が達成されることも可能である。あるい
は、免疫原を認識するT細胞の亜集団(subpopulation)
を欠失させるのに修飾された免疫原を使用してもよい。
【0046】本発明の一つの実施態様は、同種異系移植
片拒絶反応を予防することである。従って、移植に先だ
って、レシピエント(宿主)はドナー組織によって表現
されるタイプの修飾されたMHC 抗原、特に修飾されたMH
C のクラスI抗原、に暴露される。また、宿主は、ドナ
ー器官または組織を宿主に移植した後に前記修飾された
抗原で一度または二度以上処理してもよい。あるいは、
修飾されたMHC 抗原はレシピエントに移植直後に投与さ
れる。
【0047】MHC 抗原決定基を担持する蛋白を調製する
のに種々の方法が利用できる。例えば、細胞はトリトン
X-100 のような洗剤で可溶化される。この処理はMHC 分
子の3次および4次構造を保存する。次いで、この溶液
を超遠心すると、得られた上清はMHC 分子および他の蛋
白を含有する。これらの抗原の単離方法は公知である。
一般的には、Mescher et al., in Methods in Enzymolo
gy, Langone et al. ed., pp.86-109, Academic Press
NY(1983)が参照される。
【0048】精製ドナー抗原は、当該抗原を非免疫原性
にする任意の製薬的に許容し得る化学分(chemical moie
ty)で修飾してもよい。
【0049】好適な実施態様において、前記抗原はモノ
メトキシポリエチレングリコール(mPEG)で修飾され
る。mPEGのポリマーは広範な分子量のものが利用でき
る。使用されるmPEGの分子量は免疫原および結合方法に
基づいて選ばれる。前述のように、分子量のより大きい
分子が使用されると免疫原の置換度はより少なくてよ
い。
【0050】抗原に対するmPEGの共有結合は公知の方法
で行うことができる。前記の方法のいずれも使用するこ
とができるが、ジスルフィド結合が好ましい。
【0051】活性化されたPEG は、シアヌル酸のベンゼ
ン溶液にPEG を添加し、これに無水炭酸ナトリウムを添
加した。この溶液を濾過し、石油エーテルを添加する。
沈澱を捕集し、ベンゼンに再溶解した。HPLCおよび紫外
線検知器を用いた検知により石油エーテルに塩化シアヌ
ル酸が残存しなくなることが確認されるまで、この沈澱
・濾過工程を数回繰り返えす。あるいは、市販の活性化
されたmPEGを使用してもよい。
【0052】次いで、活性化されたPEG はドナー抗原に
付着される。これらの抗原は四ほう酸ナトリウムに溶解
し、溶液を4℃にし、活性化されたPEG を添加する。pH
を9.2 に維持し、1時間後、未付着PEG を限外濾過セル
内で除去する。
【0053】抗原に対するPEG の最適モル比は当該抗原
の遊離アミノ基の数によって決る。利用可能なアミノ基
のモル量0.1, 0.25, 0.5, 0.75および1.0 に等しい活性
化されたPEG-5000で蛋白を処理すると、アミノ基の5
%,17%,32%および42%がPEG-5000で置換された生成
物をそれぞれ得た。
【0054】前述のように、置換されたアミノ基のパー
セントは、一部は、使用されるPEG分子量によって決
る。好適な実施態様では、抗原のアミノ基の約30%〜約
60%が分子量約5000のPEG で置換される。
【0055】修飾された抗原は、皮下投与、静脈内投
与、または注射を含む従来のワクチン投与法を用いてレ
シピエントに導入することができる。
【0056】修飾された抗原は治療有効量、すなわち、
特定の抗原または免疫原の免疫原性を低下または抑制す
るのに十分な量で提供される。投与速度は特定の免疫原
または投与態様に応じて変えることができる。しかし、
一般には、修飾された抗原は約10ng蛋白〜約1000μg 蛋
白の範囲の速度で提供される。詳細は後記の実験の部に
記載されている。
【0057】本発明の修飾された免疫原は任意の免疫
原、特にT細胞媒介応答を誘発する任意の免疫原、に対
する免疫寛容を誘発するのに使用できることが認められ
ている。例えば、この方法は自己免疫病、炎症その他の
T細胞媒介応答を抑制するのに使用することができる。
【0058】自己免疫病については、免疫原はT細胞応
答を活性化するもの、例えば、慢性間接リウマチに対す
るコラーゲンおよび甲状腺炎に対するチログロブリンか
ら選ばれる。
【0059】特定のT細胞ハプロタイプに対するPEG 被
覆抗体を使用してこれらのT細胞が免疫応答を媒介する
のを防止することも可能である。これらの修飾された抗
体は免疫寛容性の誘発において修飾された免疫原と同じ
効果を持つ。
【0060】
【実施例】前記の説明は本発明を一般的に説明するもの
である。以下の実施例を参照することによって本発明を
より完全に理解することができるが、これらの実施例は
単なる例示であり、特に示さない限り本発明を限定する
ものではない。
【0061】実験の部 修飾された免疫原を用いた免疫寛容性の誘発材料と方法 マウス: 近交系Balb/c(H2d)およびC3H/He(H2k)マウ
スをCharles River (Boston, MA)から購入した。AKR(H2
k)マウスをJackson Laboratory (Bar Harbor,ME)から
得た。
【0062】試薬、細胞系統および抗体: 塩化シアヌ
ルで活性化されたモノメトキシポリエチレングリコール
(分子量約5000)をSigma(St. Louis, MO)から得た。
【0063】ATCC(Rockville, MD)から購入したハイブ
リドーマ(11-4.1) 1を、プリスタンで初回抗原刺激を
受けたBalb/cマウスにおいて腹水癌として成長させて抗
マウスH2Kk単クローン性抗体を産生する。単クローン性
免疫グロブリンをプロテインAアフィニティカラムクロ
マトグラフィ(Pharmacia, Piscataway NJ)によって生
成した。
【0064】RDM-4 細胞系統を使用した(Stallcup et
al., J. Immunol. 127 : 923-930(1981), Herrman et a
l., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78 : 2488-2492(198
1) )。
【0065】細胞は10%牛胎児血清と0.1 %ゲンタマイ
シンとを添加したRPMI1640培地中で成長させて培養し
た。H2Kk産生のためには、RDM-4 細胞をAKR マウスにお
いて腹水癌として成長させた(Herzenberg et al., Cur
r. Top. Microbiol. Immuno. 81 : 115-129(1978) )。
【0066】H2Kk抗原の精製: H2Kk抗原はMescher et
al., Methods in Enzymology, Langone JJ and Vunaki
s HV eds, pp.86-109, Academic Press New York(198
3)の方法に若干の変更を加えたものに従って精製し
た。臭化シアンで活性化されたセファロース4Bに単クロ
ーン性抗体(11-4.1) を結合させた。1010個の洗浄され
たRDM-4 細胞を4℃で20mlの10%トリトン-X100(50mMの
燐酸ナトリウム、pH7.2, 0.5mMのフェニルメチルスルフ
ォニルフルオライド(Sigma)を含有)に懸濁した。この
懸濁液を20分間混合してから10分間3600g で遠心して核
をペレット化した。上清を100000g で1時間遠心した。
等量の0.5 %トリトン-X100(5mM 燐酸ナトリウム、pH7.
2)をこの回転(spin)の上清に添加し、0.45μm のフィ
ルターに通した。このサンプルをセファロース4Bの予備
カラム(5ml)に適用し、次いで11-4.1カラムに20ml/時
間の速度で通過させた。このカラムを0.5 %トリトン-X
100(80mM NaCl 、20mM NaHCO3 、pH8.3)で洗浄した後、
H2Kkを0.5 %デオキシコレート(130mM NaCl、20mM NaHC
O3、pH8.2 で溶出した。溶出液のNaDodSO4ポリアクリル
アミドゲル(SDSポリアクリルアミドゲル)電気泳動の結
果、予想されていた重鎖(47K)とβ2-ミクログロブリン
(12.5K)のみが示された。前記溶出液をHPLC(C-8 Anal
ytical Column 、Beckman Fullerton、CA) 分析では95%
を越える純度が示された。精製H2Kkをダイアフロー(Di
aflo)濃縮器(Amicon Danvers、MA)で約200 μg/mlに濃
縮し、燐酸緩衝食塩水に対して透析し、0.45μm フィル
ターを通過させ、-70 ℃で貯蔵した。蛋白濃度はローリ
ー法(Lowry et al., J. Biol. Chem. 193 : 265-275(1
951))に従い、牛アルブミンを標準蛋白として使用して
決定した。
【0067】H2Kk抗原の修飾: 精製H2Kk抗原を塩化シ
アヌル活性化モノメトキシポリエチレングリコールで修
飾した。約500 μg のH2Kkを体積比5:1 で0.1M四ほう酸
ナトリウム(pH9.2)と混合した。この溶液を4℃にし、
H2Kkが遊離アミノ基13個を有しているものとして利用可
能なアミノ基に対して10倍モル過剰量のモノメトキシポ
リエチレングリコールで活性化した。反応を氷上で30分
間、室温で30分間行った。このサンプルを燐酸緩衝食塩
水に対して透析した。修飾の状況をNaDodSO4ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動でチェックし、トリニトロベンゼ
ンスルフォネート法(Habeeb AFSA, Analytical Bioche
m. 14 : 328-336(1966))で定量した。修飾されたH2Kk
第1アミノ基が平均60%減少した。
【0068】心臓移植: マウス異所性心臓移植を顕微
手術技法を用いて行った。
【0069】ドナー調製: マウス(15-25g)を0.1ml/
10g の3.6 %抱水クロラールの腹腔内投与で麻酔し、腹
部の皮膚を70%エタノールで清拭した。操作は、清潔で
あるが非滅菌的条件下で行った。腹部中央を切開し腹部
大動脈を切断して動物を放血させた後、切開を頭方へ広
げ胸部を広く開いた。以下の手順は操作顕微鏡下で行っ
た。下大静脈(inferior vena cava)を単離し、心臓麻
痺(cardioplegia )溶液(乳酸塩加リンゲル溶液1リッ
トルにグルコース7gと塩化カリウム24mEq を溶解、Tris
でpH7.8 に調整)に溶解した冷7.5 %ヘパリン溶液0.5
〜1mlを30ゲージ針を用いて前記静脈内に間欠的に注入
した。上および下大静脈を60絹糸で結紮し、切断した。
右および左肺の肺門を結紮し、かつ独立に横断面切断し
た。大動脈および肺動脈を分離しマイクロ鋏(microscis
sors)で切断した。次いで、結紮糸を肺静脈の周りに置
いた。心臓はその時点では胸壁から取り出されている
が、この心臓を冷(4℃)心臓麻痺溶液中に置いた。全
手順を10分以内に完了した。
【0070】レシピエント調整: レシピエントマウス
を上記のようにして調整した。腹部を剃毛し、中心線腹
部切開を行った。次いで、腸を外在化し、湿ガーゼで包
んだ。脱脂綿をかぶせたアプリケータと鉗子を使用し
て、腎血管の分枝点の下で腹部大静脈と下大静脈を丁寧
に分離した。腰部小血管を6-0 絹糸ですべて結紮した。
6-0 絹糸で結紮することにより下大静脈の基部コントロ
ールを得、腹部大動脈をYasargil動脈クランプで確保し
た。末端コントロールはまとめて(en masse) 6-0絹糸で
結紮することにより行った。マイクロ鋏により密接する
静脈切開および動脈切開を行った後、ドナー心臓を腹腔
内に置いた。BV75-3針を付けた10-0ナイロン糸(Ethilo
n)で縫合することにより端部と側部の吻合を行った。
吻合が完了した後、基部および末端部の結紮ならびにク
ランプをこの順にゆっくりと、かつ、注意深く緩めた。
この時点で移植された心臓はピンクになり、再潅流する
と数秒間以内に収縮が開始し、その後律動的な収縮が回
復される。次いで、暖かい食塩水を移植片に滴下した。
移植片における連続的な強い拍動を確認してから、腹壁
を6-0 絹糸で閉じた。次いで、動物を加熱ランプ下で温
めた。虚血時間は、ドナー心臓への心臓麻痺溶液の注射
と再潅流との時間的間隔として定義される。
【0071】Balb/cマウスをレシピエントとして用い、
C3H/Heマウスをドナーとして用いた。拒絶反応は、移植
片を前記措置を知らされていない二人の独立の観察者が
毎日触診することによって評価した。移植片の拍動の完
全停止を拒絶と定義した。この観察は切除された移植片
の全体視診と組織病理学で照合された。
【0072】同種異系蛋白を用いた動物の予備感作:
移植の7日前に動物に天然H2Kk抗原またはmPEG修飾H2Kk
抗原50μg を皮下注射した。対照マウスは食塩水を注射
した。2回目の注射を移植の日に行った。それぞれのマ
ウスに天然H2Kk抗原、mPEG修飾H2Kk抗原または食塩水50
μg を注射した。
【0073】混合リンパ球反応: Balb/cマウスに天然
H2Kk抗原またはmPEG修飾H2Kk抗原50μg を皮下注射し
た。対照マウスには食塩水0.5 mlを注射した。注射から
7日後、1群当り2匹の動物のプールから脾細胞を得
た。洗浄後、完全培地に再懸濁し、5×106 細胞/ml の
濃度で同濃度のマイトマイシンC処理C3H/He刺激脾細胞
と一緒に全量200 μl で培養した。各培養を平底マイク
ロ培養プレート(Falcon 3072, Beckton Dickinson, Li
ncoln Park, NJ)で3重(トリプル)に行い、5%CO2
の湿雰囲気中に37℃に維持した。この培養を、0.4 μCi
/ ウェルの3H-Tdrで16時間パルス標識してから96時間後
に、自動細胞回収器(PHD285 Cambridge Technology, C
ambridge, MA) を使用して、ガラスファイバー上に回収
した。放射活性を液体シンチレーションカウンターで測
定した。結果は3H-TdR取り込みから計算し、3つのサン
プルの平均取り込みとしてcpm ±SEM で表した。
【0074】細胞毒性T細胞評価: 予備感作されたBa
lb/cマウス細胞をC3H/Heマウス刺激細胞と一緒に前記と
同様に混合培養した。細胞を計数し、51Cr標識されたRD
M-4細胞を37℃で4時間培養することにより細胞毒性活
性をテストした。%特異放出は100(a-b/t-b)として計算
された。前記式中、aは実験による放出、bは自然放
出、tは全放出であり、ターゲット細胞に100 μl の0.
05%Nonidet P-40を添加することにより測定した。すべ
ての培養を全体積200 μl で3重に行った。
【0075】結果およびディスカッ ション 心臓移植: 図1に示すように、C3H/He同種異系移植片
は、食塩水注射マウスでは6.6 ±0.2 日に、天然H2KK
射マウスでは8.7 ±0.5 日に、mPEG注射マウスでは12.3
±1.1 日に拒絶された。それらの間には統計的に有意の
差があった。移植の日にmPEG H2Kk(10μg)で感作された
マウスも移植片の生存率が大きかった(11.4±2.2 、n
=5)。この免疫抑制は、移植直後にレシピエントマウ
スに注射されたmPEG H2Kk 予備感作Balb/c脾細胞によっ
て転移させることができるかもしれない(11.5±1.8 、
n=7、p<0.001 対対照)。
【0076】生体内(イン・ビボ)研究の結果により、
天然クラス1 H2 抗原は同じH2抗原を担持する同種異系
移植片細胞に免疫抑制効果を有することが示された。若
干の研究によりドナークラス1 H2 抗原を用いた予備感
作は免疫抑制的であることが示されているけれども、そ
れらの研究のいずれも精製H2抗原の効果を証明していな
い。生体内研究における重要な観察はmPEG修飾H2抗原を
用いて予備感作すると天然抗原予備感作よりもさらに免
疫抑制的効果が得られることを示している。Balb/cマウ
スとC3H/Heとの間には完全なH2不一致があるので、H2Kk
に対する免疫寛容が達成されても同種異系移植片は結局
拒絶されることになる。
【0077】混合リンパ球培養: 混合リンパ球培養の
結果を図2に示した。
【0078】これらの結果の驚くべき特色は、mPEG修飾
H2抗原予備感作Balb/c脾細胞においてチミジン取り込み
が強く抑制されることである。この発見は、生体内研究
において観察された免疫抑制にT細胞免疫が関与してい
るという見解を支持している。
【0079】細胞毒性Tリンパ球評価: 細胞毒性Tリ
ンパ球評価の結果を図3に示す。
【0080】これらの結果もT細胞免疫寛容化は生体内
研究で観察された免疫抑制の原因であり得るという見解
を支持している。これらの結果は、拒絶反応のエフェク
タ・リム(effector rim)がmPEG修飾H2抗原予備感作マ
ウス脾細胞において抑制されることを示す。
【0081】医学、免疫学、薬学および/または関連分
野の当業者に自明である前記本発明の実施態様の変更も
特許請求の範囲内である。本明細書中で引用された刊行
物および特許文献はすべて本発明の属する技術の現状を
示すものである。本発明において引用されている刊行物
および特許文献はすべてその内容を、それらが個別に引
用することにより内容を導入するのと同じように本明細
書中に導入される。
【0082】以上、理解を明瞭にするために図示および
実施例を参照して詳細に説明したが、従属請求項の範囲
内で種々の変更を加えることは自明である。
【0083】
【発明の効果】要するに、前記のデータはmPEG修飾H2抗
原での感作は免疫寛容を誘発し、それにより同種異系移
植片の生存期間を延ばしている。免疫寛容は移植後の注
射によっても誘発させることができる。mPEG修飾による
種々の抗原の寛容化が報告されているけれども、それら
の研究はすべて体液性抗原に関するものである。本発明
に従い明らかにされたように、この技術はT細胞免疫に
適用し得るという事実から、本発明の免疫寛容化技術は
器官の拒絶反応の治療だけでなく、T細胞免疫が関与し
ている種々の疾患にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】移植手術後日数に対する移植心臓の生存率を示
すグラフである。mPEG修飾H2Kk抗原で免疫したマウスに
移植された同種異系移植片は天然H2Kk抗原で免疫したマ
ウスまたは正常な対照マウスに対して生存期間の顕著な
延びを示した。
【図2】混合リンパ球培養細胞の3H取り込みを示すグラ
フである。対照、天然H2K 免疫化またはmPEG免疫化Balb
/cマウス脾細胞をAKR(H2k)、C3H(H2k)またはBalb/c(H
2d)脾細胞(刺激細胞)と共に培養した。チミジンの取
り込みの驚異的な抑制がmPEG H2 処理Balb/cマウス脾細
胞において認められる。
【図3】CTL アッセイを示すグラフである。対照、天然
H2Kk免疫化またはmPEG免疫化Balb/cマウス脾細胞をC3H
マウス脾細胞と共に4日間共培養した。これらの細胞の
細胞毒性活性を51Cr標識RDM-4 細胞(H2k)の特異的細胞
溶解により検査した。細胞毒性活性の抑制がAKR(H2k)、
C3H(H2k)またはBalb/c(H2d)脾細胞(刺激細胞)と共に
培養した。細胞毒性活性の抑制がmPEG H2Kk または天然
H2Kk免疫化脾細胞において認められる。同系刺激を受け
たBalb/cマウス脾細胞の細胞毒性活性を対照とした。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年4月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 カウ,バン アン アメリカ合衆国 02186 マサチューセッ ツ州 ミルトン ミィドウビュー ロード 69 (72)発明者 ニコル,フィリップ ディ. カナダ国 エムエム9ビィ 5エックスビ ィ オンタリオ州 イトビコーク クール アベニュ 9

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 治療有効量の非抗原性に修飾された移植
    抗原を包含する組成物を哺乳類に投与することを特徴と
    する移植抗原に対する免疫寛容を誘発する方法。
  2. 【請求項2】 前記抗原は、組織適合性主複合体の一つ
    の成分を包含することを特徴とする請求項1記載の方
    法。
  3. 【請求項3】 前記抗原は、モノメトキシポリエチレン
    グリコールで修飾されていることを特徴とする請求項1
    記載の方法。
  4. 【請求項4】 修飾されたドナー特異抗原を包含する組
    成物を哺乳類に投与することを特徴とするドナー組織を
    受領した哺乳類における移植されたドナー組織の拒絶反
    応を防止する方法。
  5. 【請求項5】 前記組成物は、前記ドナー組織を前記哺
    乳類に移植する前に投与されることを特徴とする請求項
    4記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記組成物は、前記ドナー組織を前記哺
    乳類に移植した後に投与されることを特徴とする請求項
    4記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記組成物は、前記ドナー組織を前記哺
    乳類に移植する前および移植した後に投与されることを
    特徴とする請求項4記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記ドナー特異抗原は、組織適合性主複
    合体の抗原であることを特徴とする請求項4記載の方
    法。
  9. 【請求項9】 前記修飾された抗原は、モノメトキシポ
    リエチレングリコールで修飾されていることを特徴とす
    る請求項4記載の方法。
  10. 【請求項10】 T細胞応答を誘発することができる抗
    原であって免疫抑制効果を起こすように修飾された少な
    くとも1種の抗原を包含することを特徴とするT細胞媒
    介免疫に対する免疫寛容を誘発するための組成物。
  11. 【請求項11】 前記抗原は、組織適合性主複合体の抗
    原であることを特徴とする請求項10記載の組成物。
  12. 【請求項12】 前記抗原は、モノメトキシポリエチレ
    ングリコールで修飾されていることを特徴とする請求項
    10記載の組成物。
  13. 【請求項13】 哺乳類を同種異系移植片に特異的な修
    飾された抗原で治療することを特徴とする哺乳類におい
    て同種異系移植片の生存時間を延長する方法。
  14. 【請求項14】 前記抗原は、モノメトキシポリエチレ
    ングリコールで修飾されていることを特徴とする請求項
    13記載の方法。
JP4010402A 1991-01-23 1992-01-23 修飾された免疫原を用いた免疫寛容の誘発 Pending JPH07165607A (ja)

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