JPH07164136A - ろう付け用アルミニウム材の製造方法およびろう付け方法 - Google Patents

ろう付け用アルミニウム材の製造方法およびろう付け方法

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JPH07164136A
JPH07164136A JP34246493A JP34246493A JPH07164136A JP H07164136 A JPH07164136 A JP H07164136A JP 34246493 A JP34246493 A JP 34246493A JP 34246493 A JP34246493 A JP 34246493A JP H07164136 A JPH07164136 A JP H07164136A
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aluminum
flux
film
filler metal
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Masaji Saito
正次 斉藤
Shinji Takeno
親二 竹野
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Sky Aluminium Co Ltd
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Sky Aluminium Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 複雑な製品形状に組み立ててからフラックス
を塗布することに起因する通常の非腐食性弗化物系フラ
ックスブレージングの問題点を回避し、また、ゲッター
材としてのMgを従来のように多量に含まなくても真空
ろう付け可能とする。 【構成】 弗素ガスを0.05容量%以上含む非酸化性
ガスで処理し弗化アルミニウム化合物の皮膜を生成させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はろう付け仕様によって製
作されるアルミニウム製品、例えば自動車用ラジエータ
ー、カーエアコン用のエバポレーターやコンデンサー、
その他の電気、産業機械用の各種アルミニウム製熱交換
器、あるいは自動車用のアルミニウム製吸気マニホルド
等のアルミニウムろう付け品に使用するろう付け用アル
ミニウム材の製造方法、およびその材を用いたろう付け
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】上記のようなアルミニウム製品をろう付
けによって製造する場合、非腐食性弗化物系フラックス
を用いて構成部材をろう付け接合する方法が多く用いら
れている。従来、かかる非腐食性弗化物系フラックスろ
う付けを行う場合、まずアルミニウム材を必要に応じプ
レス成形や切断加工して製品形状に仮組み立てしてか
ら、フラックスの懸濁水溶液を、アルミニウム材の表面
に塗布した後、これを予備乾燥し、しかる後に非酸化性
雰囲気中でろう付け温度に加熱してろう付けを行ってい
た。またこの際、最近ではフラックスの予備乾燥炉とろ
う付け炉がつながった連続炉が主流となっている。通常
の非腐食性弗化物系フラックスブレージングのフラック
ス皮膜は、懸濁液に浸漬して形成するので厚さに極端な
むらがでやすく、厚い箇所では100μm程度にもなり
脆いので塗布・乾燥後、プレス加工やその他の取扱いを
行うと部分的に剥離してその部分のろう付けが不可能に
なる。そこで、通常は前述のように複雑な製品形状に組
み立ててろう付け直前に懸濁液の塗布作業・乾燥作業を
行っている。しかしながら、このようなろう付け方法で
は、複雑な製品形状に組み立ててから懸濁液の塗布作業
・乾燥作業を必要とするため作業効率が良くなかった。
また、ろう付け工程直前に乾燥工程があるのでこの工程
に十分時間をかけて行わないと発生水分がろう付け炉に
持ち込まれて、ろう付け雰囲気中の露点が低下し、ろう
付け性を低下させる恐れがあり、一方乾燥工程にあまり
時間をかけすぎるとライン全体の律速工程になってしま
うというジレンマがあった。また、複雑な製品形状での
塗布なので、塗布量が不均一になりやすく安全をみて多
めに塗布せざるを得なく、アルミニウム部材へのフラッ
クス付着量が概して多くなってしまう傾向があるため、
ろう付け炉が汚染されるとか、炉中で溶融したフラック
スが滴下して炉内に蓄積される事態を生じ、このためろ
う付け炉のクリーニング、オーバーホールの頻度を多く
せざるをえないという問題もあった。さらには、通常用
いられる非腐食性弗化物系フラックス成分はろう付け温
度で液相になるので余剰のフラックスは流れ、ろう付け
後のアルミニウム製品の表面に局所的に残留した余剰の
フラックスが、灰色ないし白色のシミを生じ、色調斑を
呈して外観体裁を損なうばかりか、その後の表面処理を
妨げるという問題もあった。また、過剰のフラックス塗
布はコスト面でも問題であった。さらに、非腐食性弗化
物系フラックスを用いるろう付けではMgを含有するア
ルミニウム材料を用いるとフラックス中のFとアルミニ
ウム材料中のMgとが反応しMgF2を形成するので
0.2%をこえるMgを含有する材料は使用できず強度
向上し薄肉軽量化するというユーザーニーズとぶつかっ
ていた。
【0003】一方、フラックスを用いない真空ろう付け
も盛んに用いられる。アルミニウムのろう付けを真空中
で行う場合にはろう材にMgを添加し、ろう付け時にM
gの蒸発により表面に生成している酸化皮膜を破壊させ
て、ろう流れを良くしろう付けしている。しかし、ろう
材にMgが添加されていると、Mgが蒸発するために真
空炉内が汚染され、清掃等に時間がかかる欠点がある。
そこで、Mgゲッター材を使わないで真空ろう付けの可
能な方法も求められている。しかし、通常の非腐食性弗
化物系フラックスではろう付け温度で液相となりろう付
け炉を汚染し易いことや気化し易いので真空系全体の汚
染にもつながるし、なにより厚いフラックス皮膜と真空
炉の併用はコストアップにつながり、さらには、気化し
易く真空系全体の汚染にもつながるので、真空ろう付け
には使えなかった。
【0004】これらの問題点に対して、アルミニウム材
に対する事前の表面処理でこれらの問題を解決しようと
する改良技術がある。非腐食性弗化物系フラックスブレ
ージングに近い方法としては、アルミニウム材をカリウ
ム及び弗素を含有する処理溶液と接触せしめる事によ
り、該アルミニウム材の表面に化学反応によってK2
lF5フラックス層を形成した後、ろう付けを行う方法
が提案されている。(特開昭60−83771号)。さ
らに、上記反応を促進して短時間でK2AlF5層を形成
する方法として、上記処理溶液内でアルミニウム材を電
解化成処理する方法も提案されている。(特開昭61−
52984号)。これらの方法によれば、アルミニウム
材へのフラックス付着量を少なくでき、炉内の汚染の問
題やろう付け後の外観の体裁の問題を改善できるとされ
ている。しかし前者の方法は反応が遅いので生産性が低
く、この為、後者のように電解処理装置などが必要とな
りコストがかかりすぎる問題がある。さらには、このフ
ラックスの場合もろう付け温度で液相になるので外観を
損なうばかりか、その後の表面処理を妨げるという問題
もある。またフラックス皮膜の形成を乾式法(真空中で
フラックス成分を揮発させその中にろう付け対象品を入
れて蒸着させる)で行いろう付けする方法も提案されて
いる(特開平4−111968号)。しかし、この方法
は真空系で実施するために、設備が非常に大がかりにな
り、コストがかかりすぎる欠点がある。また、窒素雰囲
気ブレージング法として、Mg等のゲッター剤を含まな
いろう材をクラッドして合わせ板となし希弗酸洗浄後該
合わせ板を組み立てて加熱炉内に挿入し真空ポンプで残
留酸素を減少させた後、窒素ガスを封入し加熱する事を
特徴とする方法が提案されている(特開昭56−507
80号)。しかし、フッ酸は希フッ酸といえども非常に
反応性が強く、アルミニウム材表面を侵すので表面が荒
れてフィレット形成が不均一になる恐れがあった。
【0005】さらに真空ブレージングで、ろう材にMg
を添加しない材料でろう付け前に水酸化ナトリウムや硫
酸で酸化皮膜を予め除去する方法(特開昭51−132
148号)も提案されている。しかしながら、上記の方
法はアルミニウム表面が新生面であり活性になっている
ために、酸化皮膜を除去したあと長時間放置すると、酸
化皮膜が成長し、ろう付け直前に処理しなければろう付
け性が劣るという欠点がある。従ってコイルでの連続処
理を施すことができない為に効率が劣るし、またコスト
もかかる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで本願発明者は、
複雑な製品形状に組み立ててからフラックスを塗布する
ことに起因する通常の非腐食性弗化物系フラックスブレ
ージングの上記問題点を回避し、ゲッター材としてのM
gを従来のように多量に含まなくても真空ろう付け可能
とし、かつ、上記した改良技術の問題点である、生産
性、設備コスト、表面性状、フィレット形成能等すべて
を改善したろう付け方法を求めて、平板状態で生成して
その後プレス加工やその他の取扱いを行なっても問題の
無いフラックス皮膜に代わるものおよびゲッター材とし
てのMgを多量に含まなくても真空ろう付け可能にする
ものを模索した。
【0007】
【課題を解決するための手段】その結果、当研究者らは
アルミニウム材料を弗素ガスを0.05容量%以上含む
非酸化性ガスで処理すると弗化アルミニウム化合物の皮
膜が生成し、この皮膜が好ましい特性を有することを見
いだし本願発明に至った。すなわち、請求項1の、アル
ミニウム材を弗素ガスを0.05容量%以上含む非酸化
性ガスで処理することを特徴とするろう付け用アルミニ
ウム材の製造方法。請求項2の、ろう材として通常のA
l−Si系合金を用い、かつ、少なくとも一部の構造部
材として0.2%をこえたMgを含有するアルミニウム
合金を用いて構成されるろう付け品において、少なくと
もろう材およびろう材と接してフィレットの形成に寄与
する部材を、それぞれコイル又は切り板の状態で、弗素
ガスを0.05容量%以上含む非酸化性ガスで処理し、
その後加工仮組立して窒素雰囲気ろう付けすることを特
徴とするろう付け方法。請求項3の、ろう材としてMg
を0.1%未満しか含有しないAl−Si系ろう材を用
いてろう付けされるろう付け品において、少なくともろ
う材およびろう材と接してフィレットの形成に寄与する
部材を、それぞれコイル又は切り板の状態で、弗素ガス
を0.05容量%以上含む非酸化性ガスで処理し、その
後加工仮組立して真空ろう付けすることを特徴とするろ
う付け方法。である。
【0008】弗素ガスの混合割合が0.05容量%未満
であると、弗化アルミニウム化合物の皮膜の生成が不十
分であるため、弗素ガスの混合割合を0.05容量%以
上とした。弗素ガスの混合割合が多くなっても特に弗化
アルミニウム化合物の皮膜の生成に問題を生じる事はな
いが、混合割合に応じて皮膜生成能が特に向上する事も
なく、ランニングコストが嵩み、取り扱いの危険性が増
すだけであるので、弗素ガスの混合割合はできるだけ少
ないのが好ましい。非酸化性ガスとしては通常広く用い
られている窒素ガスを用いればよいが、アルゴン等の不
活性ガスでも良い。
【0009】ろう付け用アルミニウム材料は弗素ガスを
0.05容量%以上含む非酸化性ガス処理を行う前に、
材料表面の汚れ及び酸化皮膜を除去するために、ケイ酸
ソーダ、りん酸ソーダや水酸化ナトリウム等のアルカ
リ、又は硫酸、硝酸、フッ酸等の酸のよる処理を行うこ
とが必須である。アルカリ、又は酸処理の条件は材料表
面の汚れ及び酸化皮膜を除去できれば良いが、通常は
0.5%〜30%の濃度であり、温度は5℃〜70℃が
適当である。弗素ガスを0.05容量%以上含む非酸化
性ガスにより皮膜を生成させる場合には反応を促進させ
るために温度を上昇させても良い。
【0010】本発明によれば通常の非腐食性弗化物系フ
ラックスでは不可能だったMgを0.2%をこえて含有
するアルミニウム合金構成部材(ブレージングシート芯
材であっても、ブレージングシートに対向する他の構成
部材であっても良い)の窒素雰囲気中でのろう付けが可
能となる。これは、非腐食性弗化物系フラックスと違い
本願発明の弗化アルミニウム皮膜は融点が高く、ろう付
け温度付近で液相にならず固相のままなので材料中のM
gとは反応しにくく、濡れ性の悪いMgF2を形成しな
いため、ろうの流れが良いためである。さらに、真空ブ
レージングにおいては本願の処理が施されていればろう
材中にゲッター材を無理に含有する必要はなくMgを全
く含有しないか0.5%未満しか含有しないAl−Si
系ろう材を用いても真空ろう付けが可能となる。
【0011】このような皮膜を生成したアルミニウム材
は、その後、必要な大きさに切断されたりプレスなどの
成形加工を受けたのち最終製品形状に仮組立てされろう
付けされる。ろう付けは非酸化性雰囲気、すなわち窒素
雰囲気や真空中で行う。本材料を用いて窒素雰囲気ろう
付けする場合は、酸素濃度を100ppm以下、露点温
度を−20℃以下とすることが好ましく、ろう材として
通常のAl−Si系合金を用いる。また本材料を用いて
真空ろう付けする場合は、10-4Torr=1.33Pa以
下の気圧にすることが好ましく、前述のようにろう材と
して通常の真空ろう付け用のろう材より低いMgを全く
含有しないか0.5%未満しかMgを含有しないAl−
Si系ろう材を用いることができる。もちろん、真空ブ
レージングにおいても構造部材として0.2%をこえた
Mgを含有するアルミニウム合金を用いることができ
る。弗化アルミニウム皮膜の形成は、もちろんアルミニ
ウム材料の全面でもかまわないが、少なくともろう材お
よびろう材と接してフィレットの形成に寄与する部材表
面に弗化アルミニウム皮膜を形成する必要がある。この
弗化アルミニウムの皮膜は緻密なので一旦生成すると長
時間経過してもアルミニウム面の新たな酸化を防止す
る。またこの皮膜は通常のろう付け用非腐食性弗化物系
フラックスと異なり薄く緻密な皮膜なのでコイルや平坦
な切り板状態で皮膜を生成させその後成形その他の取り
扱いを行っても皮膜のはがれ等が少ない。また、コイル
や平坦な切り板状態での皮膜生成は、平坦表面に対する
処理なので、均一な皮膜生成が容易で、かつほとんどの
水分は絞りロール等で除去することが可能なので乾燥時
間も大幅に短縮でき大変生産性が高い。この弗化アルミ
ニウムはろう付け温度で固相のままでありアルミニウム
材と熱膨張率が異なるため皮膜が破壊され、そのために
酸化していないアルミ面が出現し濡れ性が向上してろう
付けができると考えられる。また、ほとんど揮発しない
ので真空ろう付けに用いてもろう付け炉や真空系に及ぼ
す悪影響がなく、この場合にはろう材のMg含有量が
0.5%未満(0%を含む)であってもろう付け可能で
ある。以上ろう付け工程において仮組立前のアルミ板、
条について処理する場合について説明したが、ろう付け
品を仮組立した後に処理しても皮膜生成の処理効率は劣
るが他のメリットは享受できる。
【0012】
【実施例】以下に実施例にもとづき本発明を更に詳細に
説明する。 (発明例1〜7)板厚1.0mmのブレージング用アル
ミニウムクラッド材(Al−10%Si/3003/A
l−10%Si、及び3003芯材にMgを0.3%、
0.5%、1.0%添加したもの)のコイルを巻き戻し
ながら、表面を表1のように酸あるいはアルカリ(後処
理としての酸によるデスマットを伴う)等で処理した後
に水洗し、純水洗し乾燥した。その後弗素ガスを0.0
5容量%含む窒素ガス雰囲気中で弗化アルミニウム化合
物皮膜を生成させ再度コイルに巻いた。その後、必要な
寸法に切断し、カップ成形したものを交互に4段に組み
立てた。
【0013】
【表1】
【0014】(比較例1)発明例1と同じブレージング
用アルミニウムクラッド材のコイルを巻戻しながら表面
を40℃の10%NaOHで60秒処理した後水洗し4
0℃の20%HNO3で30秒ディスマット処理し水洗
後、純水洗し、その後絞りロールで水分を除去してから
100℃の温風で乾燥しながら再びコイルに巻いた。そ
の後、必要な寸法に切断、カップ成形したものを交互に
4段に組み立てた。 (比較例2)発明例1と同じブレージング用アルミニウ
ムクラッド材を必要の寸法に切断、カップ成形、溶剤
(メチルエチルケトン)で脱脂後組み立てた。次いで該
組み立て品を水に分散させた非腐食性弗化物系フラック
ス(ノコロック)の懸濁液中に浸漬させた後120℃×
20分で乾燥させ、3.0g/m2のフラックスを塗布
した。 (比較例3)材料に発明例4と同じものを用いたほかは
比較例3と同様の処理をしたもの。
【0015】以上の発明例1〜7及び比較例1〜3につ
いて、切断前の平板状態で外観を目視観察し、経済性、
効率性の評価とあわせて表2に記入した。 ろう付け前外観の評価基準は◎ 皮膜処理後のむらが全
くない。 ○ 皮膜処理後のむら面積率5%以下。 △ 皮膜処理後のむら面積率5を超え20%以下。 × 皮膜処理後のむら面積率20%を超える。 ろう付け前の経済性の評価は◎ 設備も簡便で消耗する
薬剤のランニングコストも安く処理できる。 × 消耗する薬剤のランニングコストが高い。 ろう付け前の効率性の評価は◎ コイル状態の板を連続
的に迅速に処理できる。 × 仮組立体の処理で効率が悪い。 また、モデルカップ各熱交換器仮組立物を、大気圧で窒
素置換をし炉内の酸素濃度50ppm、露点温度−40
℃、ろう付け温度600℃で10分の窒素雰囲気ろう付
けを施し、ろう付け品について、処理直後にろう付けし
た場合と皮膜処理後しばらく放置してからろう付けした
場合のろう付け性を目視観察すると共に直後にろう付け
した場合のみ外観、表面処理性の評価を行った。表面処
理性は各ろう付け品をアロジン#1200溶液中に45
℃で2分間浸漬して化成処理を行った後、アクリル系塗
料を用いて浸漬塗装を行い焼付乾燥した。次いで、ろう
付け品の平坦部において塗膜面に1mm目のマス目を縦
横各10個づつ100個けがいてテープ剥離試験を実施
し塗膜の残ったマス目の数で評価した。これらの結果を
表2に示す。 ろう付け後外観の評価は◎ ろう付け後のむらが全くな
い。 ○ ろう付け後のむら面積率5%以下。 △ ろう付け後のむら面積率5を超え20%以下。 × ろう付け後のむら面積率20%を超える。 ろう付け性の評価は ◎ フィレット形成とろうの流れ
が非常に良いもの。 ○ フィレット形成とろうの流れが良いもの。 △ フィレット形成とろうの流れがやや劣るもの。 × フィレット形成とろうの流れが劣るもの。 炉汚染性の評価は5バッチ連続してろう付けしたときの
フラックスの滴下が無いものを ◎ 、フラックスの滴
下が認められたものを × とした。
【0016】
【表2】
【0017】NaOH水溶液で処理後HNO3でデスマ
ットした比較例1はコイル処理できもとの酸化皮膜が溶
解除去されるのでろう付け前の経済性、効率性、外観は
良好で、ろう付け性は処理直後にろう付けすれば良好だ
がろう付けまでの放置時間が長くなると酸化皮膜が成長
するためろう付け性が悪くなる。比較例2は通常の非腐
食性弗化物系フラックスの懸濁液による仮組立後の処理
のためろう付け前の経済性、効率性が劣り、またフラッ
クス皮膜が不均一である。さらにこのフラックスはろう
付け時に液相になるので、ろう付け後の外観が模様状の
むらになり、またろう付け後にも皮膜ができ洗浄しても
落ちきらないので表面処理性(塗膜密着性)が劣る。比
較例2と同じフラックスを用いているが芯材にMgを含
有するアルミ材料に用いると比較例1の欠点のほかに、
フラックスとMgとが反応し濡れ性が悪くなりフィレッ
トの形成が劣る。一方、発明例5は芯材のMg量が多い
のでろう付け性がやや劣るが実用レベルで、他の発明例
は評価した全項目が良好である。以上の結果から、組立
前の処理(コイル又は平坦な切り板の状態での処理)に
より弗化アルミニウム皮膜を形成した本発明のろう付け
用アルミニウム材は、その表面の外観もよく、かつ均一
に皮膜が形成されている。そして、本発明実施品は皮膜
処理してから長時間放置しても経時変化もなく良好な窒
素雰囲気ろう付けが達成されたばかりか、得られたろう
付け品はその表面状態も良好であることを確認しえた。
【0018】(発明例8〜11)発明例1と同じブレー
ジング用アルミニウムクラッド材のコイルを巻き戻しな
がら、表面を表3に示した条件で酸あるいはアルカリ
(後処理としての酸によるデスマットを伴う)等で処理
し次に水洗・純水洗した後に乾燥した。その後、弗素ガ
スを0.05容量%含む窒素ガス雰囲気中で弗化アルミ
ニウム化合物皮膜を生成させ再度コイルに巻いた。その
後、必要な寸法に切断、カップ成形したものを交互に4
段に組み立てた。
【0019】
【表3】
【0020】(比較例4)発明例1と同じブレージング
用アルミニウムクラッド材のコイルを巻き戻しながら、
表面を40℃の10%NaOH水溶液で60秒処理した
後水洗し、40℃の20%HNO3で30秒デスマット
処理した後水洗し、純水洗した後、絞りロールで水分を
除去してから100℃で乾燥しながら再度コイルに巻い
た。その後、必要な寸法に切断し、カップ成形したもの
を交互に4段に組み立てた。
【0021】(比較例5)板厚1.0mmの真空ブレー
ジング用アルミニウムクラッド材(Al−10%Si−
1.2%Mg/3003/Al−10%Si−1.2%
Mg)を必要の寸法に切断、カップ成形、溶剤(メチル
エチルケトン)で脱脂後組み立てた。
【0022】以上の各組立前の処理した実施例及びポス
トコートした比較例及びMg入りろう材の比較例で得た
成形品を外観、経済性、効率性について評価を行った。
また、モデルカップ各熱交換器仮組立物を真空炉で5×
10-5Torr中で600℃×3分加熱してろう付けを行っ
た。上記により得た各ろう付け品について、処理直後に
ろう付けした場合と皮膜処理後しばらく放置してからろ
う付けした場合のろう付け性を目視観察すると共に直後
にろう付けした場合のみ外観、表面処理性の評価を行っ
た。表面処理性は各ろう付け品をアロジン#1200溶
液中に45℃で2分間浸漬して化成処理を行った後、ア
クリル系塗料を用いて浸漬塗装を行い焼付乾燥した。次
いで、ろう付け品の平坦部において塗膜面に1mm目の
マス目を縦横各10個づつ100個けがいてテープ剥離
試験を実施し塗膜の残ったマス目の数で評価した。ま
た、真空炉の汚染についても次の方法で評価した。すな
わち、炉内にガラス板を立てかけ一定量の供試材を処理
した後に取り出し、Mgの付着を観察した。付着が認め
られないものを ◎ 、付着が認められたものを ×
とした。これらの結果を表4に示す。
【0023】
【表4】
【0024】NaOH水溶液で処理後HNO3でデスマ
ットした比較例4はコイル処理でき、もとの酸化皮膜が
溶解除去されるのでろう付け前の経済性、効率性、外観
は良好で、ろう付け性は処理直後にろう付けすれば良好
だがろう付けまでの放置時間が長くなると酸化皮膜が成
長するためろう付け性が悪くなる。比較例5は通常の真
空ろう付け用のゲッターとしてろう材中にMgを含む材
料なのでろう付け性は良好であるが、Mgにより炉が汚
染される。一方、発明例は評価した全項目が良好であ
る。以上の結果から、組立前の処理により弗化アルミニ
ウム皮膜を形成した本発明のろう付け用アルミニウム材
は、Mgを含有しないろう材を用いた真空ろう付けにお
いても、良好なろう付けが達成されたばかりか、得られ
たろう付け品はその表面状態も良好であることを確認し
えた。
【0025】
【効果】本発明は組立前の処理皮膜の平坦素材形状での
形成を可能にしたことにより、また、この組立前の処理
皮膜が、経時変化の少ない、ろう付け時に固相のままの
皮膜であることから、下記の様に、大変多くの利点を有
するものである。すなわち、 A 窒素雰囲気中で行う非腐食性弗化物系フラックスろ
う付けにおける 1.複雑な製品形状に組み立ててからのフラックス塗布
・乾燥から生ずるという生産性阻害要因を排除し、 2.連続炉を用いる場合に水分が乾燥炉からろう付け炉
に持ち込まれることによっておこるろう付け性低下を防
止し、 3.フラックスを多めに塗布しがちになることによる、
ろう付け炉の汚染、このためのろう付け炉のクリーニン
グ、オーバーホールの頻度増加、コスト増加の不利の全
てを回避し、 4.さらには、ろう付け温度でフラックスが液相になる
ことによる、ろう付け後の製品表面の外観不良、その後
の表面処理への悪影響を排除し、 5.処理のための大がかりな設備を不要とし、 6.構成部材へのMg含有アルミニウム合金を使用可能
とした。
【0026】さらにまた、 B 真空ろう付け時の 1.ろう材中に多量のMg等のゲッター材を添加するこ
と無しにろう付けを可能にすることによりろう付け炉の
汚染を防止し 2.あるいは、ろう付け直前での非効率的な表面処理を
不要となし、生産の効率を向上できる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニウム材を弗素ガスを0.05容量
    %以上含む非酸化性ガスで処理することを特徴とするろ
    う付け用アルミニウム材の製造方法。
  2. 【請求項2】ろう材として通常のAl−Si系合金を用
    い、かつ、少なくとも一部の構造部材として0.2%を
    こえたMgを含有するアルミニウム合金を用いて構成さ
    れるろう付け品において、少なくともろう材およびろう
    材と接してフィレットの形成に寄与する部材を、それぞ
    れコイル又は切り板の状態で、弗素ガスを0.05容量
    %以上含む非酸化性ガスで処理し、その後加工仮組立し
    て窒素雰囲気ろう付けすることを特徴とするろう付け方
    法。
  3. 【請求項3】ろう材としてMgを0.1%未満しか含有
    しないAl−Si系ろう材を用いてろう付けされるろう
    付け品において、少なくともろう材およびろう材と接し
    てフィレットの形成に寄与する部材を、それぞれコイル
    又は切り板の状態で、弗素ガスを0.05容量%以上含
    む非酸化性ガスで処理し、その後加工仮組立して真空ろ
    う付けすることを特徴とするろう付け方法。
JP34246493A 1993-12-14 1993-12-14 ろう付け用アルミニウム材の製造方法およびろう付け方法 Pending JPH07164136A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6180253B1 (en) 1997-04-15 2001-01-30 Seiko Epson Corporation Brazing or soldering material and production method thereof
US6183883B1 (en) * 1997-06-19 2001-02-06 Seiko Epson Corporation Brazing or soldering material and manufacturing method therefor
JP2007069266A (ja) * 1997-12-15 2007-03-22 Seiko Epson Corp 接合材および接合材の製造方法

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