JPH07159897A - 光源装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】比較的簡単に且つ安価に製造することができ、
放電灯の色分離を解消して良好な白色光を放出し得る光
源装置を提供する。 【構成】この光源装置は、凹面鏡からなる主反射鏡３
と、主反射鏡３の略焦点位置に配置された放電灯１と、
放電灯１の前方に配置され中央に開口部を有する補助反
射鏡２とを備える。補助反射鏡２は回転楕円面凹面鏡か
らなり、補助反射鏡２の２つの焦点は、放電灯１のカソ
ード電極４とアノード電極５の略先端に位置している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、放電灯を光源とした自
動車用前照灯や各種プロジェクタ等の光源に適用され、
放電灯の色分離を解消して良好な白色光を照射する光源
装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】メタルハライドランプ等の放電灯は、通
常、交流点灯を行うことが一般的であるが、交流点灯方
式は、音響的共鳴現象によりアークが不安定になるた
め、使用できる周波数が制限されことがあり、また、そ
の駆動回路が複雑で価格も高くなることから、直流点灯
方式により放電灯を点灯する光源装置が近年開発されて
いる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、放電灯を直流
点灯した場合、バルブ内の金属ガスイオンが負電極側に
吸引され、正電極側で少なくなるために、放電灯が負電
極側で赤色系に発光し、正電極側で青緑色系に発光し、
その発光色に色分離が発生する問題があった。

【０００４】そこで、従来、この放電灯の色分離をなく
すために、特開平４−３６７８３５号公報において、放
電灯の背後にガラスで成形された凹面鏡を配設し、この
凹面鏡の内面に、赤色光を反射し青色光、緑色光を透過
する赤色反射膜を形成し、この凹面鏡の外面に、青色
光、緑色光を反射する青緑色反射膜を形成した照明光学
装置が提案されている。この装置は、放電灯から放射さ
れた赤色光を、凹面鏡の赤色反射膜で反射させ、その膜
を透過した青緑色光を凹面鏡の青緑色反射膜で反射さ
せ、凹面鏡の各反射膜で反射された赤色光と青緑色光を
混合して白色光を放出するようにしている。

【０００５】しかし、この種の照明光学装置は、放電灯
の色分離をなくして白色光を放出できるものの、凹面形
状に成形した板ガラスの表裏に、赤色反射膜や青緑色反
射膜として多層の蒸着膜を形成する必要があって、製造
工程が複雑化し、製造コストも高くなる問題があった。

【０００６】本発明は、上記の点に鑑みてなされたもの
で、比較的簡単に且つ安価に製造することができ、放電
灯の色分離を解消して良好な白色光を放出し得る光源装
置を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の光源装置は、凹面鏡からなる主反射鏡と、
主反射鏡の略焦点位置に配置された放電灯と、放電灯の
前方に配置され中央に開口部を有する補助反射鏡とを備
え、補助反射鏡が回転楕円面凹面鏡からなり、補助反射
鏡の２つの焦点が該放電灯のカソード電極とアノード電
極の略先端に位置して構成される。

【０００８】

【作用・効果】このような構成の光源装置では、放電灯
を直流点灯方式により点灯した場合、そのカソード電極
の先端付近で赤色に発光し、そのアノード電極の先端付
近で青緑色に発光する。

【０００９】しかし、放電灯の前方に配置された補助反
射鏡（回転楕円面凹面鏡）の２つの焦点が、放電灯のカ
ソード電極とアノード電極の略先端に位置しているた
め、カソード電極の先端付近で発光した光は補助反射鏡
で反射され、アノード電極の先端付近に戻り、アノード
電極の先端付近で発光した光は補助反射鏡で反射され、
カソード電極の先端付近に戻る。そして、両電極の先端
付近に戻った光は、そのまま放電灯の背後の主反射鏡で
反射され、前方に放射される。

【００１０】このため、放電灯のカソード電極とアノー
ド電極の先端付近で発光した赤色光と青緑光は良好に混
合されることになり、白色光となって主反射鏡で反射さ
れ、前方に照射される。

【００１１】このように、この光源装置は、主反射鏡の
略焦点位置に配置した放電灯の前方に、中央に開口部を
有する補助反射鏡を設けるだけの簡単な構成で製作でき
るため、安価に製造することができ、放電灯の色分離を
解消して良好な白色光を照射することができる。また、
凹面鏡の主反射鏡と回転楕円面凹面鏡の補助反射鏡によ
り放電灯から放射された全光束を集光して前方に放射す
るため、高い集光効率で集光した光を照射することがで
きる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。

【００１３】図１は光源装置の断面図を示している。１
はメタルハライドランプ等の放電灯であり、回転楕円面
凹面鏡からなる主反射鏡３の一方の焦点ｆ３位置に放電
灯１の中心が位置するように配置される。

【００１４】回転楕円面凹面鏡の主反射鏡３は、楕円を
その長軸（図１のＺ軸）の回りで回転させたときの凹面
を有する楕円面鏡であり、例えば、所定形状に成形され
た合成樹脂成形品の内側に反射膜を蒸着して形成され
る。

【００１５】放電灯１は、バルブの両側にカソード電極
４とアノード電極５を間隔をおいて一直線状に対向・配
設して構成され、元部に端子部６が設けられ、端子部６
が主反射鏡３の中央に固定される。

【００１６】２は中央に開口部を有する補助反射鏡であ
り、放電灯１の前方に、主反射鏡３の前部を覆うように
配設される。この補助反射鏡２も回転楕円面凹面鏡から
なり、楕円をその長軸（図１のＺ軸）の回りで回転させ
たときの凹面を有するように、例えば、所定形状に成形
された合成樹脂成形品の内側に反射膜を蒸着して形成さ
れる。

【００１７】また、この回転楕円面凹面鏡の補助反射鏡
２は、その一方の焦点ｆ１が放電灯１のカソード電極４
の先端に位置し、他方の焦点ｆ２がそのアノード電極５
の先端に位置するように配設される。

【００１８】このように構成された光源装置は、放電灯
１が直流電源に接続され、直流点灯される。放電灯１を
直流点灯した場合、カタホレシス現象により、放電灯１
は、そのカソード電極４の先端付近で赤色に発光し、ア
ノード電極５の先端付近で青緑色に発光し、その発光色
に色分離が生じる。

【００１９】しかし、放電灯１の前方に配置された補助
反射鏡（回転楕円面凹面鏡）２の２つの焦点ｆ１，ｆ２
が、放電灯１のカソード電極４とアノード電極５の先端
に位置し、且つ回転楕円面凹面鏡は、一方の焦点を通っ
て反射された光が完全に他方の焦点に集る特性があるた
め、カソード電極４の先端付近で発光した光は、補助反
射鏡２で反射されて、アノード電極５の先端付近に戻
り、アノード電極５の先端付近で発光した光は、補助反
射鏡２で反射されて、カソード電極４の先端付近に戻
る。

【００２０】このため、放電灯１のカソード電極４とア
ノード電極５の先端付近で発光した赤色光と青緑光は良
好に混合されて、白色光となり、両電極の先端付近に戻
った光は、そのまま放電灯１の背後の主反射鏡３で反射
され、補助反射鏡２の開口部から前方に、色分離のない
白色光が前方に照射される。

【００２１】このように、光源装置は、主反射鏡３の焦
点位置に配置した放電灯１の前方に、中央に開口部を有
する補助反射鏡２を設けるだけの簡単な構成で製作でき
るため、安価に製造することができ、放電灯１の色分離
を解消して良好な白色光を照射することができる。ま
た、主反射鏡３と補助反射鏡２により放電灯１から放射
された全光束を集光して前方に放射するため、高い集光
効率で集光した充分な光量の光を照射することができ
る。

【００２２】なお、主反射鏡３には、回転楕円面凹面鏡
のほかに、放物面鏡など他の非球面凹面鏡或は球面凹面
鏡を使用することもできる。

【００２３】図２〜図４は本発明の光源装置を自動車用
の前照灯に適用した例を示している。上記光源装置と同
様な構成部材は同じ符号を付してその説明を省略する。

【００２４】この前照灯の光源装置７は、上記と同様
に、主反射鏡８の略焦点位置に放電灯１が配設され、放
電灯１の前方に回転楕円面凹面鏡の補助反射鏡２が、主
反射鏡の前部を覆うように配置されて構成される。

【００２５】主反射鏡８は、基本的には回転楕円面凹面
鏡であるが、図３に示すようにＹ−Ｚ軸平面（垂直面）
において、焦点ｆ７（放電灯１の中心が位置する点）と
焦点ｆ８を有する楕円面鏡となるが、図４に示すよう
に、Ｘ−Ｚ軸平面（水平面）では、楕円形状がより扁平
になり、正面視が横長の楕円となるように形成される。

【００２６】そして、光源装置７の前方にシエード９
が、主反射鏡８の一方の焦点ｆ８位置に配置され、その
前方に照射光を投射するための凸レンズ１０が配置され
る。この凸レンズ１０の焦点位置は焦点ｆ８に略一致す
る。このシエード９は、光源装置７から照射された光束
の略下側半分をカットし、前照灯に適した配向パターン
を得るように配置される。

【００２７】このような前照灯では、光源装置７の放電
灯１が直流点灯されると、光源装置７内で、上記実施例
と同様に、放電灯１のカソード電極４の先端付近で発光
した光が、補助反射鏡２で反射されて、アノード電極５
の先端付近に戻り、アノード電極５の先端付近で発光し
た光は、補助反射鏡２で反射されて、カソード電極４の
先端付近に戻る。したがって、放電灯１のカソード電極
４とアノード電極５の先端付近で発光した赤色光と青緑
光は良好に混合されて、白色光となり、両電極の先端付
近に戻った光は、そのまま放電灯１の背後の主反射鏡８
で反射され、補助反射鏡２の開口部から前方に、色分離
のない白色光が前方に照射される。

【００２８】補助反射鏡２の開口部から放射される白色
光の光束は、シエード９によってその略下側半分をカッ
トされ、凸レンズ１０によって前方に投射され、その配
向パターンは図５に示すように、上部がカットされ左側
が少し持ち上った自動車の前照灯に適したパターンとな
る。

【００２９】図６は垂直点灯を行う場合の前照灯の例で
ある。放電灯の種類によっては、水平姿勢で動作させる
より垂直姿勢で点灯動作させたほうが安定した放電が得
られる場合がある。

【００３０】このような垂直点灯を行う場合、光源装置
７を垂直に配置すると共に、補助反射鏡２の開口部の前
方に反射板１１を配置し、開口部から放射され光束を反
射板１１で略直角に曲げ、シエード１２と凸レンズ１０
を通して、上記実施例と同様な配向の光を水平方向に照
射する。

【００３１】図７は上記光源装置７を集中光源方式の前
照灯に適用した例を示す。この光源装置７は、図２〜図
４に示す例と同様に、主反射鏡８の略焦点位置に放電灯
１が配設され、放電灯１の前方に回転楕円面凹面鏡の補
助反射鏡２が、主反射鏡の前部を覆うように配置されて
構成される。そして、補助反射鏡２の開口部の正面に２
枚の反射板を接続した反射鏡１５が、開口部から放射さ
れた光束を２分割して両側に反射するように配置され
る。反射鏡１５の両側には各々、光ケーブル１６、１６
の入射口が配置され、両光ケーブル１６、１６の出射口
の前面には各々、投射用の凸レンズ１７、１７が配置さ
れる。

【００３２】このような構成の前照灯では、光源装置７
の放電灯１の点灯により、補助反射鏡２の開口部から放
射された光束が反射鏡１５で２分割されて両側の光ケー
ブル１６、１６に入射され、光ケーブル１６、１６を通
過しその出射口から出射された光が、凸レンズ１７を通
して前方に投射される。

【００３３】また、光源装置７内では、上記実施例と同
様に、放電灯１のカソード電極とアノード電極の先端付
近で発光した赤色光と青緑光は良好に混合されて、白色
光となり、両電極の先端付近に戻った光は、そのまま放
電灯１の背後の主反射鏡８で反射され、補助反射鏡２の
開口部から前方に、色分離のない白色光が前方に照射さ
れ、白色光が光ケーブル１６と凸レンズ１７を通して前
方に照射される。

【００３４】まお、光ケーブルを使用した光学系では、
光ケーブルが充分に長い場合、色分離された光がその中
を通過する際、適度に混合されて白色光となるが、短い
光ケーブルでは光の混合が不十分で色分離が残るため、
光源装置７内で色分離を解消し白色光としておくことが
有効である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す光源装置７のＹ−Ｚ軸
平面内での断面図である。

【図２】光源装置７を適用した前照灯の斜視図である。

【図３】同前照灯のＹ−Ｚ軸平面内での断面図である。

【図４】同前照灯のＸ−Ｚ軸平面内での断面図である。

【図５】前照灯の配向パターンを示す説明図である。

【図６】他の実施例の前照灯を示す断面図である。

【図７】さらに他の実施例の前照灯を示す斜視図であ
る。

【符号の説明】

１−放電灯、２−補助反射鏡、３、８−主反射鏡、４−
カソード電極、５−アノード電極、７−光源装置。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 凹面鏡からなる主反射鏡と、該主反射鏡
   の略焦点位置に配置された放電灯と、該放電灯の前方に
   配置され中央に開口部を有する補助反射鏡とを備え、 該補助反射鏡は回転楕円面凹面鏡からなり、該補助反射
   鏡の２つの焦点が該放電灯のカソード電極とアノード電
   極の略先端に位置していることを特徴とする光源装置。