JPH0715014B2 - 熱硬化性被覆用シートと被覆物 - Google Patents

熱硬化性被覆用シートと被覆物

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JPH0715014B2
JPH0715014B2 JP17040889A JP17040889A JPH0715014B2 JP H0715014 B2 JPH0715014 B2 JP H0715014B2 JP 17040889 A JP17040889 A JP 17040889A JP 17040889 A JP17040889 A JP 17040889A JP H0715014 B2 JPH0715014 B2 JP H0715014B2
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sheet
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acrylic
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isocyanate
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、家具、鋼板等の物品表面の防食、装飾、表示
用等を目的として、それら物品の表面に貼付け熱硬化し
て用いられる熱硬化性被覆用シートと、金属板等の加工
可能の被着体表面に半硬化状態の熱硬化性樹脂層が積層
されてなる被覆物に関する。
(従来の技術) 家具、鋼板等の表面に装飾あるいは表示を施す場合に
は、一般には塗料が用いられている。ところが、通常塗
料は有機溶剤が使用されており、有機溶剤が作業中に揮
散するため作業環境を悪くし、環境衛生上の問題となっ
ている。水性塗料を用いる場合には、作業環境を損ねる
ことはないが、乾燥時間が長くなるか、塗料の乾燥のた
めに多大なエネルギーを必要とするといった問題があ
る。
そこで、近時ではポリ塩化ビニルを主体とするシート状
貼付け材料が提案されている。この貼付け材料は、家
具、鋼板等の被着体表面に貼付けるものであり、この貼
付け材料を用いるときは、作業環境への悪影響がなく、
かつシート状であるが故に乾燥の必要もない利点があ
る。しかし、このシート状貼付け材料は、主に軟質ポリ
塩化ビニルから形成されていて、硬度、耐摩傷性に劣る
という欠点がある。
この改善方法として、貼付け後、シート材料を硬化させ
ることにより、表面硬度の高い被膜を形成する技術が提
案されている。例えば、特公昭57−13425号公報には、
多孔性シート状基材にラジカル反応開始剤を含浸させて
開始剤含浸シートを形成し、そのシートの片面または両
面にポリマーとラジカル反応性モノマー等とを含有する
層を積層してなる熱硬化型複合シートが提案されてい
る。
また、特公昭60−21630号公報には、熱可塑性および/
またはゴム質からなる自己支持性の連続層内に、常温で
固体状のラジカル反応性不飽和化合物を含む粉体と、常
温で固体状のラジカル反応開始剤を含む粉末とを接触す
ることなく保持させてなるシート材料が提案されてい
る。
(発明が解決しようとする課題) 特公昭57−13425号公報に開示された複合シートは、ラ
ジカル反応性不飽和化合物を有する層と、ラジカル反応
開始剤を有する層とが積層された構造をしているため、
加熱、加圧時に均一な硬化反応を行わせるには、両層を
均一に接触させる必要があって、加熱および加圧の制御
が難しく、また均一な硬化被膜を形成することが難し
い。また、ラジカル反応開始剤を含浸させるシート状基
材として、紙、織布、不織布等を用いているため、複合
シートを凹凸や曲面を有する被着体の表面へ被覆する場
合には、複合シートが伸び難くて“しわ”が形成され易
く、被着体表面に良好な被膜を形成することが難しい。
特開昭60−21630号公報に開示されたシート材料は、延
展性があり凹凸や曲面への貼付けは可能と考えられる。
ところが、このシート材料にあっては、ラジカル反応性
不飽和化合物を含む粉体と、ラジカル反応開始剤を含む
粉末とが直接接触することなく熱可塑性樹脂層等を介し
て存在しており、そして加熱により両粉末及び樹脂層を
溶融混合し、反応硬化させるようにしているので、シー
ト材料の特性が粉末の粒径および混合性に左右され易い
という欠点を有しており、またこのシート材料を製造す
るにあたって、両粉末が接触すると反応が始まることか
ら各粉末を冷凍した状態で粉砕および混合する必要があ
って混合性が悪く、従って不均一な塗膜が形成され易く
表面性能はもとより、顔料分散性等の外観上に問題があ
った。
一方、被覆物としては、例えば、特公昭57−53145号公
報に開示されているように、鋼板や各種金属板等の被着
体表面に、低分子量のプレコートメタル用塗料を塗布、
乾燥したものが提案されている。
しかし、上記被覆物において、プレコートメタル用塗料
は完全に硬化しており、硬化した塗膜が被着体表面に形
成された後、被覆物を後加工(プレス等による曲げ加
工、絞り加工)するようにしているので、塗膜にひび割
れや剥がれが発生し易く、これら後加工が大きく制限さ
れる。また、被覆物の折り曲げに伴う塗膜の追従性を考
慮して塗膜硬度を軟らかく設定すると、加工時の押え圧
に対して塗膜が流れるため厚さむらを生じ平面性が損な
われる。逆に、塗膜硬度を上げるために塗料を初期硬化
(Bステージ化)させると、塗膜の樹脂が低分子量であ
るので加工時に上記したような割れや剥がれが発生して
しまう。
従って、従来のプレコートメタルとしての被覆物は、ほ
とんどが平面としての利用であり、かりに曲げ加工する
としても塗膜の厚みが非常に薄くなったり、塗膜硬度が
低下するという欠点があった。
本発明は上記欠点を解決するものであり、その目的とす
るところは、硬化前では良好な延展性、可撓性を有して
いて凹凸面や曲面を有する被着体表面へも良好に被覆す
ることができ、硬化後では均一被膜を有し、かつ硬度の
高い被膜を形成することができる熱硬化性被覆用シート
を提供することにある。本発明の他の目的は、被膜の平
面性が低下したり、割れ等を生じることなく、曲げ加
工、絞り加工等の後加工が支障なく行えると共に、被膜
の高硬度化や厚膜化が行える被覆物を提供することにあ
る。
(課題を解決するための手段) 本発明の熱硬化性被覆用シートは、複数個のカルボキシ
ル基を有し、重量平均分子量が100,000〜1,000,000であ
り、常温で固体状のアクリル系樹脂と、ブロックイソシ
アネートとを主成分とする熱硬化性樹脂組成物からなる
未硬化または半硬化状態のものであり、そのことにより
上記目的が達成される。本発明の被覆物は、上記熱硬化
性樹脂組成物を含む樹脂液を被着体表面に塗布し、加熱
により樹脂液中に含まれるアクリル系樹脂の一部とブロ
ックイソシアネートの一部とを反応させて半硬化状態の
熱硬化性樹脂層を形成してなり、そのことにより上記目
的が達成される。
また、本発明の他の熱硬化性被覆用シートは、ブロック
されていないイソシアネート、メラミン系架橋剤及びエ
ポキシ系架橋剤からなる群から選ばれた少なくとも一種
の架橋剤と、上記アクリル系樹脂と、ブロックイソシア
ネートとを主成分とする熱硬化性樹脂組成物からなる半
硬化状態のものであり、そのことにより上記目的が達成
される。本発明の他の被覆物は、上記熱硬化性樹脂組成
物を含む樹脂液を被着体表面に塗布し、半硬化状態の熱
硬化性樹脂層を形成してなり、そのことにより上記目的
が達成される。
本発明の熱硬化性被覆用シートは、熱硬化性樹脂組成物
をシート状に形成したものであり、このシートは硬化前
では三次元曲面(凹凸面)を有する被着体表面にも貼付
けできる程度の展延性を有し、かつ可撓性に富むもので
ある。シートは被着体に貼付けた後、ブロックイソシア
ネートの反応温度(反応温度以上を含めるものとする)
に加熱することにより、そのブロック剤を離脱させてシ
ート中のアクリル系樹脂のカルボキシル基とブロックイ
ソシアネートのイソシアネート基とを反応させシートを
硬化させるものである。
また、熱硬化性樹脂組成物には、ブロックされていない
イソシアネート、メラミン系架橋剤、エポキシ系架橋剤
からなる群から選ばれた少なくとも一種の架橋剤がさら
に含まれていてもよく、この組成物から得られる熱硬化
性被覆用シートは常温で架橋剤がアクリル系樹脂のカル
ボキシル基の一部と反応することにより半硬化状態とな
っている。そして、このシートを物品に貼付けた後、ブ
ロックイソシアネートの反応温度に加熱することによ
り、シート中のアクリル系樹脂のカルボキシル基とブロ
ックイソシアネートのイソシアネート基とを反応させて
シートを完全に硬化させることができる。このように、
半硬化状態のシートを用いることにより、シートに展延
性及び可撓性をさらに付与して加工時のひび、割れ等を
防止すると共に、平面性を付与して硬化後の外観性を高
めることができる。
本発明の被覆物は、上記各熱硬化性樹脂組成物を溶剤に
分散あるいは溶解させて樹脂液とし、この樹脂液を被着
体に塗布し、加熱あるいは上記した架橋剤とアクリル系
樹脂との反応により被着体表面に半硬化状態の熱硬化性
樹脂層を形成したものである。熱硬化性樹脂組成物とし
て、上記アクリル系樹脂と、ブロックイソシアネートと
を主成分とするものでは、樹脂液を被着体に塗布した
後、ブロックイソシアネートの反応温度に加熱すること
により、アクリル系樹脂とブロックイソシアネートの一
部を反応させて半硬化状態の熱硬化性樹脂層を形成す
る。熱硬化性樹脂組成物として、架橋剤を含むものでは
可使時間内で樹脂液を被着体に塗布した後、架橋剤とア
クリル系樹脂との反応により半硬化状態の熱硬化性樹脂
層を形成する。
このような被覆物では、熱硬化性樹脂層が半硬化状態で
あって完全に硬化していないので、被覆物を大きく加工
(曲げ加工や絞り加工)したとしても、熱硬化性樹脂層
は被着体の変形に良好に追従すると共に、熱硬化性樹脂
層の膜厚が大きく低下して表面の平面性が低下すること
がない。そして、被覆物を所望形状に加工した後、この
被覆物をブロックイソシアネートの反応温度に加熱する
ことにより、アクリル系樹脂のカルボキシル基とブロッ
クイソシアネートのイソシアネート基とを反応させて強
固な被膜を有する物品を得ることができる。
本発明で用いられる複数のカルボキシル基を有するアク
リル系樹脂(以下、アクリルポリカルボン酸とする)
は、複数のカルボキシル基を有するアクリル系ポリマー
であり、常温で固体状の重合体である。このようなアク
リルポリカルボン酸は、例えば、(メタ)アクリル酸エ
ステルモノマーと、スチレン誘導体モノマーと、(メ
タ)アクリル酸のようなカルボキシル基を有する(メ
タ)アクリル酸エステルモノマーとを各種過酸化物や連
鎖移動剤等を触媒として共重合させて得ることができ
る。
上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、例
えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アク
リレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキ
シエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレン
グリコール(メタ)アクリレート等があげられる。
スチレン誘導体モノマーとしては、例えば、スチレン、
α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、p−メチル
スチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレ
ン、p−エトキシスチレン、p−クロロスチレン、m−
クロロスチレン、o−クロロスチレン等があげられる。
アクリルポリカルボン酸の重量平均分子量(Mw)は、開
始剤を用いて重合反応を行う際の条件により変化させる
ことが可能であり、本発明に用いられるアクリルポリカ
ルボン酸は、その重量平均分子量が100,000〜1,000,000
の範囲のものが選択される。重量平均分子量が100,000
を下回ると、得られた被覆用シートはシート形状を保持
することが困難となり、貼付け作業時の延伸に対して充
分な伸びが得られず、場合によってはひび割れが発生す
る。逆に、重量平均分子量が1,000,000を上回ると、ブ
ロックイソシアネート等と混合された上記樹脂組成物は
成形性に劣り、被覆用シートを調製することが困難とな
る。例えば、溶剤キャステイングによってシートを成形
する場合には、溶剤粘度が高くなり樹脂を低濃度でしか
キャステイングできず、またシートの膜厚を厚くするこ
とが難しくなる。また、これらのアクリルポリカルボン
酸のTg(ガラス転移点)と酸価(COOH価:重合時添加す
るCOOH基の量をOH価と同様に計算、もしくはKOHで定量
したもの)の好ましい範囲は、得られる被覆用シートの
硬化後の表面硬度によって決定されるのがよく、例え
ば、シートの硬化後の表面硬度が鉛筆硬度法でB以上
(23℃)の場合は、Tgが−20〜80℃の範囲で酸価が20〜
200の範囲のものが好ましい。しかし、シートの硬化後
の表面硬度があまり高くない場合、例えば、鉛筆硬度法
で2B以下(23℃)の場合は、これらの範囲外であっても
適用可能である。
また、アクリルポリカルボン酸は、低分子量のアクリル
ポリカルボン酸と他の重合体または単量体とをブロック
あるいはグラフト重合した共重合体として用いることも
できる。他の重合体または単量体としては、アクリル系
はもちろんのこと、スチレン系、マレイン酸系、イミド
系等のアクリル系材料と相溶性のよい材料の他に、シリ
コーン系、フッ素系材料等との組合せでもよい。この場
合、得られた共重合体の重量平均分子量は上記範囲内と
してもよく、あるいは前述のアクリルポリカルボン酸に
共重合体を混合して混合物の重量平均分子量を上記範囲
内に調整してもよい。後者の場合は、特に、各種被着
体、例えば、メラミン樹脂やエポキシ樹脂、フェノール
樹脂、ポリカーボネート、アセタール樹脂、ポリオレフ
ィン等の高分子材料表面との接着力を制御するのに有利
である。
上記ブロックイソシアネートは、主にアクリルポリカル
ボン酸を硬化させるための加熱反応型硬化剤として用い
られる。ここで、ブロックイソシアネートとは、分子内
に2個以上のイソシアネート基を持つイソシアネート化
合物のイソシアネート基を、フェノール、オキシム、ε
−カプロラクタム、マロン酸エステル等のブロック剤で
ブロックした化合物を意味する。上記イソシアネート化
合物としては、例えばトリレンジイソシアネート、ジフ
ェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソ
シアネート、イソホロンジイソシアネート等の単量体、
またはこれらのトリメチロールプロパン付加体、イソシ
アヌレート変性体、カルボジイミド変性体等があげられ
る。ブロックイソシアネートは、加熱により上記ブロッ
ク剤が脱離し、生じたイソシアネート基がアクリルポリ
カルボン酸のカルボキシル基と架橋反応を起こす。ブロ
ックイソシアネートの含有量は、アクリルポリカルボン
酸が有するカルボキシル基の数と、該ブロックイソシア
ネートに含まれるイソシアネート基の数との比(酸価/N
CO価)が0.5〜2.0の範囲となるように調整されるのが好
ましく、より好ましくは0.8〜1.2の範囲である。
上記ブロックされていないイソシアネートは、分子内に
2個以上のイソシアネート基を持つイソシアネート化合
物であり、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェ
ニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネ
ート、トリジンジイソシアネート、トリフェニルメタン
トリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニ
ル)チオフォスファイト、P−フェニレンジイソシアネ
ート、キシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアネ
ートメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン
ジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シク
ロヘキサン、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジン
ジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシ
アネート、イソホロンジイソシアネート等の単量体、ま
たはこれら単量体のトリメチロールプロパン付加体、イ
ソシアヌレート変性体、ビュウレット変性体、カルボジ
イミド変性体、ウレタン変性体、アロファネート変性体
等があげられる。
このイソシアネートの添加量は、シートの成形方法によ
り異なるが、アクリルポリカルボン酸の酸価に対し、そ
のNCOが、COOH:NCO=1:0.01〜0.9となる量が好ましい。
上記メラミン系架橋剤は、メラミンをはじめ、尿素、チ
オ尿素、グアニジン、グアナミン、アセトグアナミン、
ベンゾグアナミン、ジシアンジアミド等の多官能のカル
ボキシル基を有する材料とホルムアルデヒドとを反応さ
せたトリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミ
ン、ジメチロール尿素、ジメチロールグアニジン、ジメ
チロールアケトグアニジン、ジメチロールベンゾグアン
ジン等をブチルアルコールやプロピルアルコール等のア
ルコールと反応させたエーテル化メラミン樹脂のことで
ある。これらメラミン系架橋剤の添加量は、イソシアネ
ートのようにアクリルポリカルボン酸のカルボキシル基
に対して決った値がなく、添加する際はシート作成の前
に予備実験を行い添加量を決めるのが好ましいが、例え
ば、アクリルポリカルボン酸の酸価に対してCOOH:OR
(エーテル価)=1:0.1〜1.2となる量が好ましい。
上記エポキシ系架橋剤は、多価アルコールのグリシジル
化合物のことであり、ルイス酸触媒とともに用いられ
る。例えば、ブタジエンジオキサイド、ヘキサジンジオ
キサイドやフタル酸のジグリシジルエステル、ビスフェ
ノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFの
ジグリシジルエーテル、パラアミノフェノールのトリグ
リシジルエーテルアミン、アニリンのジグリシジルエー
テル、フェニレンジアミンのテトラグリシジルエーテ
ル、スルホンアミドのジグリシジルエーテル、グリセリ
ンのトリグリシジルエーテル等のグリシジル化合物やポ
リエーテル変性ジグリシジル、ポリエステル変性ジグリ
シジル、ウレタン変性ジグリシジル化合物(重合体)が
あげられる。
このエポキシ系架橋剤の添加量は、酸価に対して、COO
H:CH2CH2O(エポキシ基)=0:0.01〜0.9となる量が好ま
しい。また、このエポキシ系架橋剤は、COOH基と反応し
てOH基を生成するので、同時に添加するブロックイソシ
アネートの添加量は、アクリルポリカルボン酸のカルボ
キシル基の残りと生成する水酸基の当量の3〜8割程を
合わせた量を添加するのが好ましい。
上記した架橋剤の添加量は、上述した範囲が好ましい
が、実際には用いるアクリルポリカルボン酸の反応性に
よって架橋剤同士の反応、例えば、メラミン系架橋剤と
エポキシ系架橋剤との反応や、これら反応物とアクリル
ポリカルボン酸のカルボキシル基との反応等が起こるの
で、実際の添加量については、予備実験を行ってから決
定するのが好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、さらに必要に応じて
アクリルポリカルボン酸オリゴマー等の反応性アクリル
オリゴマーが添加されてもよく、被着体にさらに展延性
や可撓性を付与することができる。
アクリルポリカルボン酸オリゴマーは、前述のアクリル
ポリカルボン酸同様複数のカルボキシル基を有するアク
リル系ポリマーであり、常温で固体、もしくは固溶体状
の重合体である。このようなアクリルポリカルボン酸オ
リゴマーは、例えば、(メタ)アクリル酸エステルモノ
マーと、2−アミノエチル(メタ)アクリレートのよう
なカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル
モノマーとを前述のアクリルポリカルボン酸同様に共重
合させて得ることができる。この場合は、連鎖移動剤を
前述のアクリルポリカルボン酸の場合よりはるかに多く
添加し重合させる。アクリルポリカルボン酸オリゴマー
は、重量平均分子量が1,000〜10,000の範囲のものが好
ましく用いられる。アクリルポリカルボン酸オリゴマー
の重量平均分子量が1,000を下回ると、得られた樹脂組
成物の成形性に劣り、被覆用シートの取り扱いが困難と
なる。重量平均分子量が10,000を上回ると、得られるシ
ートに可撓性がなくなり成形性が劣る。また、このアク
リルポリカルボン酸オリゴマーは、シートの成形性と硬
化後の被膜硬度の関係からガラス転移点が−50℃〜40℃
の範囲内で、酸価が80〜250の範囲のものが好ましい。
アクリルポリカルボン酸オリゴマーの添加量はアクリル
ポリカルボン酸固形分100重量部に対し、10〜200重量部
程度が好ましい。また、アクリルポリカルボン酸オリゴ
マーは、これらの分子量範囲内のものであれば、複数種
のアクリルポリカルボン酸オリゴマーを組み合わせて用
いてもよい。
さらに、熱硬化性樹脂組成物には、顔料、染料等の着色
剤が含まれてもよい。着色剤は通常の塗料で用いられる
顔料、染料等が使用できる。例えば、顔料では、酸化チ
タン、酸化鉄、カーボンブラック、シアニン系顔料、キ
ナクリドン系顔料等があり、染料ではアゾ系染料、アン
トラキノン系染料、インジゴイド系染料、スチルベン系
染料等があり、またアルミフレーク、ニッケル粉、金
粉、銀粉等の金属粉等を着色剤として用いてもよい。高
隠蔽性を有する着色剤を用いる場合には、着色剤の総量
は樹脂の固形分100重量部(以下、部とする)に対し
て、2〜100部の範囲が好ましい。また、上記熱硬化性
樹脂組成物には表面状態を調整するために、さらに無機
充填剤や金属材料等が含有されてもよく、また公知の老
化防止剤や防錆剤等が含有されてもよい。
上記各成分を混合して熱硬化性樹脂組成物が得られ、こ
の樹脂組成物にて本発明の熱硬化性被覆用シートが形成
される。被覆用シートは任意の方法で製造されて良く、
例えば、上記した各材料を有機溶剤に充分に溶解撹拌
し、コンマロールやコンマリバース等のキャステイング
方法により工程紙(通常は、シリコーンで離型処理され
たポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィル
ム)や紙等)上にコーテイングし、溶剤除去のための乾
燥を行って得ることができる。
本発明の熱硬化性被覆用シートは、このように組成物に
含まれるアクリル系樹脂のカルボキシル基が反応してい
ない未硬化状態のシートとして、あるいはそのうちの一
部を反応させた半硬化状態のシートとして用いることが
できる。半硬化状態のシートとして用いる場合には、上
記したようにブロックイソシアネートの反応温度に所定
時間加熱することにより行え、あるいは上記架橋剤を添
加することにより行える。
半硬化状態のシートにおいて、シートに含まれるアクリ
ル系樹脂のカルボキシル基は反応前のアクリル系樹脂の
カルボキシル基の総数の0.01%〜80%が反応しているも
のが好ましい。すなわち、このカルボキシル基の反応率
(初期硬化率)はシートの使用方法により異なる。例え
ば、貼付けする被着体が凸状部分や垂直部分を有する場
合やシートの被着作業がかなり高温(30℃以上)の場合
は、そのシート成形温度で100%以上の伸びが得られる
ように、0.01〜40%、より好ましくは1〜30%のカルボ
キシル基をイソシアネートで架橋するのがよい。また、
被覆用シートをプレス成形やインサートインジェクショ
ン等のようにシートに高圧が作用する箇所で用いる場合
は、成形温度及び樹脂圧力に耐えられるよう20〜80%の
アミノ基が反応しているものを用いるのがよい。これら
カルボキシル基の反応率の値は、成形する温度により多
少適正範囲が変化することがある。
本発明の熱硬化性被覆用シートの膜厚は、シートの被着
体への貼付け性や被着体への機能付与により異なるが、
凹凸のある被着体表面へ貼付ける場合を考慮すると、20
〜500μm程度が好ましいが、平面への貼付けでは5〜
1,000μm程度でも構わない。
また、本発明の熱硬化性被覆用シートには、種々の機能
を付与するために他の層が積層されてもよい。例えば、
熱硬化性樹脂組成物の常温における粘度が低い場合に
は、熱硬化性被覆用シートはその形状を保持することが
困難となる。このような場合には、被覆用シートに支持
層を設けることによって被覆用シートの形状保持性を向
上させることができる。この支持層は、シート全体の形
状保持のために用いられるのであるが、支持層を積層す
る状態で三次元曲面等にシートを貼付ける際には、支持
層に柔軟性を付与するのが好ましい。
例えば、支持層はゴム等の弾性を有する材料で形成した
り、加熱によって展延性を発現する熱可塑性や熱硬化性
の材料で形成することができる。これらの支持層はシー
トを被着体に貼付けた後すぐに剥離してシートを硬化さ
せてもよく、被覆用シートを被着体に貼付け硬化させた
後、これら被着体を使用するまでの間の保護層として用
いてもよい。さらに、支持層の表面にエンボスや模様を
付けておくことにより、熱硬化性被覆用シートの表面形
状(表面状態)を調整することもできる。
被覆用シートが、被覆すべき被着体に対して充分な粘着
力を有していない場合には、その裏面に接着剤層を積層
し、この接着剤層を介して被着体表面に被覆用シートを
貼付けてもよい。接着剤層としては、例えば、FVA系ホ
ットメルト接着剤、SIS系ホットメルト接着剤、アクリ
ル系ホットメルト接着剤、不飽和ポリエステル系の未架
橋物、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、後硬化
アクリル接着剤等があげられ、これらのブレンド物、あ
るいは積層物でも使用できる。
また、被着体表面が親水性である場合には、上記した被
覆用シートを直接被着体に貼付け、あるいは接着剤層を
設けたものを用い、被着体の表面が親油性である場合に
は被覆用シートを直接貼付けるのが好ましい。被着体表
面が撥水・撥油性の場合はシリコーン系接着剤層を積層
した被覆用シートを用いるのが好ましい。これら被着体
への接着に関しては、熱硬化性被覆用シートに、ブロッ
クあるいはグラフト共重合体のアクリル系樹脂を用いる
か、被着体に応じた接着剤層を有する被覆用シートを用
いることにより、支障なく種々の被着体に貼付けること
ができる。
さらに、本発明の被覆用シートは主に塗装に代わって使
用されるものであるので、シートの表面にクリアー層が
設けられてもよい。クリアー層としては、透明な樹脂組
成物、例えば本発明で用いられる樹脂組成物であって、
着色剤が含まれない樹脂組成物の層を設けてもよく、あ
るいはアクリル系、フッ素系、ウレタン系、塩化ビニル
系樹脂等の透明性に優れるシート材料を用いることもで
きる。
本発明の熱硬化性被覆用シートは、未硬化または半硬化
状態で鋼板等の加工可能な被着体に貼付けし、適宜形状
に加工し、あるいはそのままで加熱硬化させて物品を得
るものである。
被着体への貼付け方法は各種方法で行える。例えば、手
貼り方法やラミネーター方法や(真空)プレス、インサ
ートインジェクション、真空密着成形方法(真空包装成
形)等が採用できる。被着体との密着性を特に向上さ
せ、また防錆性を向上させる場合には、被着体と熱硬化
性被覆用シートの間を真空にした真空密着成形や真空プ
レス等がよい。熱硬化性被覆用シートの加熱条件は、用
いられるブロックイソシアネートの反応温度、反応性及
びアクリルポリカルボン酸、架橋剤等の添加量及び反応
性等によって適宜設定される。
次に、本発明の被覆物について詳細に説明する。
本発明の被覆物に用いられる熱硬化性樹脂組成物は上述
の熱硬化性被覆用シートに用いた材料を用いることがで
き、熱硬化性樹脂組成物を溶剤に溶解あるいは分散させ
た樹脂液を被着体に塗布・乾燥し、被着体表面に半硬化
状態の熱硬化性樹脂層を形成したものである。
ここで、半硬化状態とは、上述の被覆用シートの場合と
同様に、熱硬化性樹脂層に含まれる反応前のアクリル系
樹脂のカルボキシル基の総数の5%〜80%が反応してい
る状態が好ましい。この反応率が5%より低いと2次加
工時の圧力に対して熱硬化性樹脂層が流れ出したり、成
形加工が難しくなり、また反応率が80%を超えると、熱
硬化性樹脂層が硬くなり過ぎて二次加工時に熱硬化性樹
脂層の割れ、剥がれを生じてしまう。従って、熱硬化性
樹脂層に含まれるアクリル系樹脂のカルボキシル基は5
%〜80%が反応しているものが好ましく、さらに好まし
くは7〜75%である。
熱硬化性樹脂層の膜厚は、5〜1,000μm程度が好まし
く、被覆物を大きく加工する場合には20μm〜500μm
が好ましく、30μm〜100μmがさらに好ましい。
上記した架橋剤を含まない樹脂液を用いて熱硬化性樹脂
層を設けた被覆物において、アクリルポリカルボン酸と
ブロックイソシアネートとの初期硬化の反応条件は、被
覆用シートの場合と同様に、用いるブロックイソシアネ
ートのブロック剤により反応温度が、またアクリルポリ
カルボン酸の酸価とブロックイソシアネートの添加量、
及びそれらの反応性等により反応時間が決定される。例
えば、ブロックイソシアネートとしてメチルエチルケト
ンオキシムブロック体(イソホロンジイソシアネート:
無触媒状態)を用いる場合は、アクリルポリカルボン酸
(酸価80)に対してNCO価が1:1とすると、160℃・1分
間で2%、5分間で18%、10分間で40%、18分間で80%
の硬化となり、30分間で100%の完全な硬化反応とな
る。
この反応状況の確認方法は、それぞれの状態での熱硬化
性樹脂層のIR(赤外線分光)の吸光係数により酸価の定
量が行える。
これらの初期硬化の好ましい反応時間は、使用している
ブロックイソシアネートの反応温度(ブロック剤の離脱
温度)と反応完了時間に関係付けられる。その関連はブ
ロック剤により多少異なるが、表1の通りである。
しかし、これらの反応は、イソシアネートとアクリルポ
リカルボン酸のカルボキシル基との反応の他にイソシア
ネートと水を介するイソシアネート同士の反応が起きる
ので、これらの硬化環境(例えば、温度や湿度)により
反応時間は異なることもある。また、ブロックイソシア
ネートの反応性を向上するために硬化促進触媒を添加す
る場合があり、この場合も反応率に多少の変化を与える
ことがある。
被覆物を製造するにあたっては、通常の塗工及び乾燥に
より行うことができる。例えば、スプレーガンによる溶
剤塗工からキャステイング等のコーテーイング等により
樹脂液を被着体表面に均一に塗布し、次に乾燥ゾーン
(乾燥機)による熱風または赤外線の輻射熱等により塗
膜を乾燥して熱硬化性樹脂層を形成する。ここで、前述
の温度、時間等の条件で熱風、赤外線の輻射熱等によっ
て熱硬化性樹脂層を形成するにあたっては、被覆物の厚
みに対する硬化率の分布を少なくするために加熱は被着
体表面の塗膜全域に均一に加熱するのが好ましい。
本発明で用いられる被着体としては、様々なものが使用
できる。例えば、鋼板、アルミニウム板等の金属板や、
トタン、ブリキ等の金属メッキ板や、木材や、石膏ボー
ド、セメント、瀬戸物等のセラミックスや、鋼板、セラ
ミックス、樹脂材上に樹脂膜を積層した塗装板、さらに
はポリオレフィン、ABS樹脂、ポリフェニレンサルフィ
ド(PPS)、ポリエーテルイミド等の熱可塑性樹脂やメ
ラミン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミ
ド等の熱硬化性樹脂等の材料である。
また、被着体表面には各種表面処理が施されてもよい。
例えば、通常鋼板等に行われている燐酸等の酸処理、ア
ルカリ処理、樹脂表面ではさらに溶剤処理やコロナ放電
処理、グロー放電処理、プラズマ処理、イオン注入等の
各種表面処理やプライマー処理等がある。
(実施例) 以下に本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。
なお、被覆物の物性の測定は以下の通りとした。
(a)密着性…被覆物の表面に1mm間隔の切れ目を碁盤
目状に100個入れ、これに市販の粘着テープを貼付け、
次いでテープを剥がして碁盤目片の残留率で評価した。
(b)硬度…JIS K5400に準じた鉛筆硬度試験で評価し
た。
(c)外観性…90゜の頂点を上にした直角三角形の金型
の上に被覆物を置いてプレスすることにより、曲率半径
5mmで90゜折り曲げ、曲がり角の外観(ひび、割れの発
生と被覆物の厚み均一性)を目視にて観察した。
(d)防錆性…塩水噴霧試験(JIS Z 2371)に準じて行
った。
実施例1 酢酸エチル300部に、アクリルポリカルボン酸(メタク
リル酸メチルとメタクリル酸とアクリル酸エチルの共重
合体、重量平均分子量235,000、Tg20℃、酸価60)を固
形分で100部に、ブロックイソシアネート(武田薬品工
業製、タケネートB−815N、ケトオキシムブロック体、
NCO7.3%)固形分で37部(このブロックイソシアネート
は、上記アクリルポリカルボン酸のカルボキシル基に対
し、1.0当量のイソシアネート基を有する)をよく撹拌
しながら混合した。この樹脂液をシリコーン離型処理し
たポリエチレンテレフタレートフィルム(創研化工
(株)製、膜厚40μm、以下PETフィルムとする)の離
型面にアプリケーターで塗工し、80℃にて5分間乾燥し
て熱硬化性被覆用シートを得た。シートの膜厚は100μ
mであった。
次に、真空密着成形(真空包装成形)により上記シート
をアクリルメラミン塗装処理した半径15cmの半球に50℃
で、到達真空度が10Torrになった時点で貼付けし、次い
で160℃で30分間加熱硬化させて被覆物を得た。得られ
た被覆物の鉛筆硬度はH、密着性は1mm幅碁盤目試験で1
00/100であった。
実施例2 酢酸エチル300部に、アクリルポリカルボン酸(メタク
リル酸メチルとメタクリル酸とアクリル酸エチルの共重
合体、重量平均分子量360,000、Tg35℃、酸価80)を固
形分で100部に、ブロックイソシアネート(武田薬品工
業製、タケネートB−815N、ケトオキシムブロック体、
NCO7.3%)固形分で59部(このブロックイソシアネート
は、上記アクリルポリカルボン酸のカルボキシル基に対
し、1.2当量のイソシアネート基を有する)をよく撹拌
しながら混合した。この樹脂液をPETフィルムの離型面
にアプリケーターで塗工し、80℃にて5分間乾燥して熱
硬化性被覆用シートを得た。シートの膜厚は200μmで
あった。
次に、真空密着成形により上記シートを半径10cm、高さ
6cm、底の半径6cmの瀬戸物の皿に100℃で、到達真空度
が6Torrになった時点で貼付けし、次いで160℃で30分間
加熱硬化させて被覆物を得た。得られた被覆物の鉛筆硬
度はH、密着性は1mm幅碁盤目試験で100/100であった。
実施例3 酢酸エチル300部に、アクリルポリカルボン酸(メタク
リル酸メチルとメタクリル酸とアクリル酸ブチルの共重
合体、重量平均分子量620,000、Tg0℃、酸価40)を固形
分で100部に、ブロックアクリルポリカルボン酸(メタ
クリル酸ステアリルとメタクリル酸との共重合体、重量
平均分子量25,000、Tg20℃、酸価20)を固形分で10部、
ブロックイソシアネート(日本ポリウレタン工業製、コ
ロネート2513、アセト酢酸エチルブロック、NCO10.2
%)固形分で25部(このブロックイソシアネートは、上
記アクリルポリカルボン酸とブロックアクリルポリカル
ボン酸のカルボキシル基に対し、1.0当量のイソシアネ
ート基を有する)をよく撹拌しながら混合した。この樹
脂液をPETフィルムの離型面にアプリケーターで塗工
し、70℃にて10分間乾燥して熱硬化性被覆用シートを得
た。シートの膜厚は120μmであった。
次に、真空密着成形により上記シートを半径15cmのポリ
プロピレン製半球に60℃で、到達真空度が6Torrになっ
た時点で貼付けし、次いで120℃で2分間、さらに100℃
で1時間加熱硬化させて被覆物を得た。得られた被覆物
の鉛筆硬度はB、密着性は1mm幅碁盤目試験で100/100で
あった。
実施例4 酢酸エチル300部に、アクリルポリカルボン酸(メタク
リル酸メチルとメタクリル酸とアクリル酸エチルの共重
合体、重量平均分子量260,000、Tg40℃、酸価80)を固
形分で100部に、ブロックイソシアネート(武田薬品工
業製、タケネートB−815N、ケトオキシムブロック体、
NCO7.3%)固形分で59部(このブロックイソシアネート
は、上記アクリルポリカルボン酸のカルボキシル基に対
し、1.2当量のイソシアネート基を有する)をよく撹拌
しながら混合した。この樹脂液をPETフィルムの離型面
にアプリケーターで塗工し、80℃にて5分間乾燥し、さ
らに160℃で5分間加熱して熱硬化性被覆用シートを得
た。この被覆用シートの反応率を赤外線吸光分析(IR)
の感能基の定量により測定したところカルボキシル基の
25%が反応していた。シートの膜厚は50μmであった。
次に、インジェクションの金型に形成した半径10cm、高
さ6cmの筒状のキャビテイーの内周面に上記シートを固
定し、ポリエーテルイミド樹脂を射出した。次いで、16
0℃で20分間加熱硬化させて被覆物を得た。得られた被
覆物の鉛筆硬度はHB、密着性は1mm幅碁盤目試験で100/1
00であった。
実施例5 酢酸エチル300部に、アクリルポリカルボン酸(メタク
リル酸メチルとアクリル酸とアクリル酸エチルの共重合
体、重量平均分子量220,000、Tg15℃、酸価80)を固形
分で100部に、アクリルポリアミンオリゴマー(アクリ
ル酸エチルとメタクリル酸2−アミノエチルの共重合
体、重量平均分子量5,000、Tg−10℃、NH2価100)を固
形分で40部、ブロックイソシアネート(武田薬品工業
製、タケネートB−815N、ケトオキシムブロック体、NC
O7.3%)固形分で89部(このブロックイソシアネート
は、上記アクリルポリカルボン酸のカルボキシル基とア
クリルポリアミンオリゴマーのアミノ基に対し、1.2当
量のイソシアネート基を有する)、酸化チタン40部をよ
く撹拌しながら混合した。この樹脂液をPETフィルムの
離型面にアプリケーターで塗工し、80℃にて5分間乾燥
して熱硬化性被覆用シートを得た。シートの膜厚は150
μmであった。
次に、真空密着成形により上記シートを100℃に加熱
し、ステンレス鋼SUS−304製の縦横が15cm、高さ10cmの
直方体を80℃にして到達真空度が6Torrになった時点で
貼付けし、次いで160℃で30分間加熱硬化させて被覆物
を得た。被覆物の鉛筆硬度はH、密着性は1mm幅碁盤目
試験で100/100であった。
実施例6 酢酸エチル300部に、アクリルポリカルボン酸(アクリ
ル酸メチルとメタクリル酸とアクリル酸ブチルの共重合
体、重量平均分子量730,000、Tg10℃、酸価40)を固形
分で100部に、アクリルポリカルボン酸オリゴマー(ア
クリル酸エチルとメタクリル酸との共重合体、重量平均
分子量25,000、Tg−20℃、酸価50)を固形分で20部、ブ
ロックイソシアネート(日本ポリウレタン工業製、コロ
ネート2513、アセト酢酸エチルブロック、NCO10.2%)
固形分で28部(このブロックイソシアネートは、上記ア
クリルポリカルボン酸とアクリルポリカルボン酸オリゴ
マーのカルボキシル基に対し、1.0当量のイソシアネー
ト基を有する)、クロム酸亜鉛2部をよく撹拌しながら
混合した。この樹脂液をPETフィルムの離型面にアプリ
ケーターで塗工し、70℃にて10分間乾燥して熱硬化性被
覆用シートを得た。シートの膜厚は80μmであった。
次に、真空密着成形により上記シートを100℃に加熱
し、鋼板SS−41製(希硝酸処理−イオン交換水洗浄した
もの)の1辺が10cmの立方体を80℃にして到達真空度が
6Torrになった時点で貼付けし、次いで120℃で20分間加
熱硬化させて被覆物を得た。得られた被覆物の鉛筆硬度
はH、密着性は1mm幅碁盤目試験で100/100であった。さ
らに、防錆性の評価を行ったところ、200時間でも錆の
発生は見られなかった。
実施例7 酢酸エチル300部に、アクリルポリカルボン酸(メタク
リル酸メチルとメタクリル酸とアクリル酸エチルの共重
合体、重量平均分子量153,000、Tg35℃、酸価60)を固
形分で100部に、ブロックイソシアネート(武田薬品工
業製、タケネートB−815N、ケトオキシムブロック体、
NCO7.3%)固形分で37部(このブロックイソシアネート
は、上記アクリルポリカルボン酸のカルボキシル基に対
し、1.0当量のイソシアネート基を有する)、エポキシ
系架橋剤(チバガイギー製、アラルダイドCY175、エポ
キシ当量、酸価に対応させたエポキシ価220)3.7部(ア
クリルポリカルボン酸のカルボキシル基の10%が反応す
る量)をよく撹拌しながら混合した。この樹脂液をPET
フィルムの離型面にアプリケーターで塗工し、80℃にて
5分間乾燥して熱硬化性被覆用シートを得た。シートの
膜厚は80μmであった。
次に、真空密着成形により上記シートをアルキドメラミ
ン塗装処理した半径10cmの半球に50℃で、到達真空度が
7Torrになった時点で貼付けし、次いで160℃で30分間加
熱硬化させて被覆物を得た。得られた被覆物の鉛筆硬度
はH、密着性は1mm幅碁盤目試験で100/100であった。
実施例8 酢酸エチル300部に、アクリルポリカルボン酸(メタク
リル酸メチルとメタクリル酸とアクリル酸エチルの共重
合体、重量平均分子量450,000、Tg35℃、酸価80)を固
形分で100部に、ブロックイソシアネート(武田薬品工
業製、タケネートB−815N、ケトオキシムブロック体、
NCO7.3%)固形分で59部(このブロックイソシアネート
は、上記アクリルポリカルボン酸のカルボキシル基に対
し、1.2当量のイソシアネート基を有する)、イソシア
ネート(日本ポリウレタン工業製、コロネートL、NCO1
3.0%)を固形分で10部(アクリルポリカルボン酸のカ
ルボキシル基の30%が反応する量)をよく撹拌しながら
混合した。この樹脂液をPETフィルムの離型面にアプリ
ケーターで塗工し、80℃にて5分間乾燥して熱硬化性被
覆用シートを得た。シートの膜厚は200μmであった。
次に、真空プレス(皿状の金型)により上記シートを半
径10cm、高さ6cm、底の半径6cmの鋼板製(SS41)の皿状
物に100℃で貼付けし、次いで160℃で30分間加熱硬化さ
せて被覆物を得た。得られた被覆物の鉛筆硬度はH、密
着性は1mm幅碁盤目試験で100/100であった。
実施例9 酢酸エチル300部に、アクリルポリカルボン酸(メタク
リル酸メチルとアクリル酸とアクリル酸ブチルの共重合
体、重量平均分子量210,000、Tg10℃、酸価40)を固形
分で100部に、ブロックアクリルポリカルボン酸(メタ
クリル酸ステアリルとメタクリル酸との共重合体、重量
平均分子量25,000、Tg20℃、酸価20)を固形分で10部、
ブロックイソシアネート(日本ポリウレタン工業製、コ
ロネート2513、アセト酢酸エチルブロック、NCO10.2
%)固形分で25部(このブロックイソシアネートは、上
記アクリルポリカルボン酸とブロックアクリルポリカル
ボン酸のカルボキシル基に対し、1.0当量のイソシアネ
ート基を有する)、イソシアネート(日本ポリウレタン
工業製、コロネートL、NCO13.0%)を固形分で1.8部
(カルボキシル基の10%が反応する量)をよく撹拌しな
がら混合した。この樹脂液をPETフィルムの離型面にア
プリケーターで塗工し、70℃にて10分間乾燥して熱硬化
性被覆用シートを得た。シートの膜厚は100μmであっ
た。
次に、真空密着成形により上記シートを半径15cmのポリ
プロピレン製半球に60℃で到達真空度が10Torrになった
時点で貼付けし、次いで120℃で20分間、さらに100℃で
1時間加熱硬化させて被覆物を得た。得られた被覆物の
鉛筆硬度はB、密着性は1mm幅碁盤目試験で100/100であ
った。
実施例10 酢酸エチル300部に、アクリルポリカルボン酸(メタク
リル酸メチルとメタクリル酸とアクリル酸エチルの共重
合体、重量平均分子量260,000、Tg35℃、酸価80)を固
形分で100部に、ブロックイソシアネート(武田薬品工
業製、タケネートB−815N、ケトオキシムブロック体、
NCO7.3%)固形分で39部(このブロックイソシアネート
は、上記アクリルポリカルボン酸のカルボキシル基に対
し、0.8当量のイソシアネート基を有する)と、メラミ
ン系架橋剤(大日本インキ化学製、スーパーベッカミン
(ブチル化メラミン樹脂)J−820−60)固形分で56部
(カルボキシル基の60%が反応する量)をよく撹拌しな
がら混合した。この樹脂液をPETフィルムの離型面にア
プリケーターで塗工し、80℃にて5分間乾燥して熱硬化
性被覆用シートを得た。シートの膜厚は60μmであっ
た。
次に、このシートを実施例4と同様に、インジェクショ
ンの金型のキャビテイーの内周面に固定し、ポリエーテ
ルイミド樹脂を射出した。次いで、160℃で20分間加熱
硬化させて被覆物を得た。得られた被覆物の鉛筆硬度は
HB、密着性は1mm幅碁盤目試験で100/100であった。
実施例11 酢酸エチル300部に、アクリルポリカルボン酸(メタク
リル酸メチルとメタクリル酸とアクリル酸ブチルの共重
合体、重量平均分子量470,000、Tg10℃、酸価40)を固
形分で100部に、アクリルポリカルボン酸オリゴマー
(アクリル酸エチルとアクリル酸との共重合体、重量平
均分子量5,000、Tg−30℃、酸価50)を固形分で20部、
ブロックイソシアネート(日本ポリウレタン工業製、コ
ロネート2513、アセト酢酸エチルブロック、NCO10.2
%)固形分で29部(このブロックイソシアネートは、上
記アクリルポリカルボン酸とアクリルポリカルボン酸オ
リゴマーのカルボキシル基に対し、1.0当量のイソシア
ネート基を有する)、イソシアネート(日本ポリウレタ
ン工業製、コロネートL、NCO13.0%)を固形分で2.2部
(カルボキシル基の10%が反応する量)、クロム酸亜鉛
2.5部をよく撹拌しながら混合した。この樹脂液をPETフ
ィルムの離型面にアプリケーターで塗工し、70℃にて10
分間乾燥して熱硬化性被覆用シートを得た。シートの膜
厚は80μmであった。
次に、真空密着成形により上記シートを実施例6と同様
の立方体に80℃で到達真空度が10Torrになった時点で貼
付けし、次いで120℃で20分間加熱硬化させて被覆物を
得た。得られた被覆物の鉛筆硬度はH、密着性は1mm幅
碁盤目試験で100/100であった。さらに、防錆性の評価
を行ったところ、200時間でも錆の発生は見られなかっ
た。
実施例12 酢酸エチル300部に、アクリルポリカルボン酸(メタク
リル酸メチルとメタクリル酸とアクリル酸エチルの共重
合体、重量平均分子量363,000、Tg35℃、酸価60)を固
形分で100部に、ブロックイソシアネート(武田薬品工
業製、タケネートB−815N、ケトオキシムブロック体、
NCO7.3%)固形分で37部(このブロックイソシアネート
は、上記アクリルポリカルボン酸のカルボキシル基に対
し、1.0当量のイソシアネート基を有する)をよく撹拌
しながら混合した。この樹脂液を鋼板(SS−41、厚み2m
m、希硝酸処理−イオン交換水洗浄したもの)に膜厚が6
0μmになるように吹き付け塗工し、60℃で20分間乾燥
し、次に160℃で10分間加熱硬化させて被覆物を得た。
得られた被覆物の反応率はIR測定により35%であった。
実施例13 酢酸エチル300部に、アクリルポリカルボン酸(メタク
リル酸メチルとメタクリル酸とアクリル酸エチルの共重
合体、重量平均分子量260,000、Tg40℃、酸価80)を固
形分で100部に、ブロックイソシアネート(武田薬品工
業製、タケネートB−815N、ケトオキシムブロック体、
NCO7.3%、酢酸エチル溶媒)固形分で49部(このブロッ
クイソシアネートは、上記アクリルポリカルボン酸のカ
ルボキシル基に対し、1.0当量のイソシアネート基を有
する)、酸化チタン60部をよく撹拌しながら混合した。
この樹脂液を実施例12と同様の鋼板に膜厚が50μmにな
るように吹き付け塗工し、60℃で20分間乾燥し、次に16
0℃で3分間加熱硬化させて被覆物を得た。被覆物の反
応率はIR測定により8%であった。
実施例14 酢酸エチル300部に、アクリルポリカルボン酸(メタク
リル酸メチルとアクリル酸とアクリル酸ブチルの共重合
体、重量平均分子量210,000、Tg10℃、酸価100)を固形
分で100部に、ブロックアクリルポリカルボン酸(メタ
クリル酸ステアリルとメタクリル酸との共重合体、重量
平均分子量25,000、Tg20℃、酸価20)を固形分で10部、
ブロックイソシアネート(日本ポリウレタン工業製、コ
ロネート2513、アセト酢酸エチルブロック、NCO10.2
%)固形分で60部(このブロックイソシアネートは、上
記アクリルポリカルボン酸とブロックアクリルポリカル
ボン酸のカルボキシル基に対し、1.0当量のイソシアネ
ート基を有する)をよく撹拌しながら混合した。この樹
脂液を実施例12と同様の鋼板に膜厚が20μmになるよう
に塗工し、60℃で20分間乾燥し、次に120℃で10分間加
熱硬化させて被覆物を得た。得られた被覆物の反応率は
IR測定により70%であった。
実施例15 酢酸エチル300部に、アクリルポリカルボン酸(メタク
リル酸メチルとメタクリル酸とアクリル酸エチルの共重
合体、重量平均分子量363,000、Tg35℃、酸価60)を固
形分で100部に、ブロックイソシアネート(武田薬品工
業製、タケネートB−815N、ケトオキシムブロック体、
NCO7.3%、酢酸エチル溶媒)固形分で49部(このブロッ
クイソシアネートは、上記アクリルポリカルボン酸のカ
ルボキシル基に対し、1.0当量のイソシアネート基を有
する)、酸化チタン60部をよく撹拌しながら混合した。
この樹脂液を実施例12と同様の鋼板に膜厚が50μmにな
るように吹き付け塗工し、60℃で20分間乾燥し、次に16
0℃で15分間加熱硬化させて被覆物を得た。得られた被
覆物の反応率はIR測定により72%であった。
実施例16 酢酸エチル300部に、アクリルポリカルボン酸(メタク
リル酸メチルとメタクリル酸とアクリル酸エチルの共重
合体、重量平均分子量202,000、Tg35℃、酸価100)を固
形分で100部に、ブロックイソシアネート(武田薬品工
業製、タケネートB−815N、ケトオキシムブロック体、
NCO7.3%)固形分で49部(このブロックイソシアネート
は、上記アクリルポリカルボン酸のカルボキシル基に対
し、0.8当量のイソシアネート基を有する)と、メラミ
ン系架橋剤(大日本インキ化学製、スーパーベッカミン
(ブチル化メラミン樹脂)J−820−60)固形分で30部
(カルボキシル基の40%が反応する量)をよく撹拌しな
がら混合した。
この樹脂液を実施例12と同様の鋼板に膜厚が60μmにな
るように吹き付け塗工し、60℃で20分間乾燥して被覆物
を得た。
実施例17 酢酸エチル300部に、アクリルポリカルボン酸(メタク
リル酸メチルとメタクリル酸とアクリル酸エチルの共重
合体、重量平均分子量580,000、Tg35℃、酸価80)を固
形分で100部に、ブロックイソシアネート(武田薬品工
業製、タケネートB−815N、ケトオキシムブロック体、
NCO7.3%、酢酸エチル溶媒)固形分で39部(このブロッ
クイソシアネートは、上記アクリルポリカルボン酸のカ
ルボキシル基に対し、0.8当量のイソシアネート基を有
する)、イソシアネート(日本ポリウレタン工業製、コ
ロネートL、NCO13.0%)を固形分で17部(カルボキシ
ル基の50%が反応する量)、酸化チタン60部をよく撹拌
しながら混合した。
この樹脂液を実施例12と同様の鋼板に膜厚が50μmにな
るように吹き付け塗工し、60℃で20分間乾燥して被覆物
を得た。
実施例18 酢酸エチル300部に、アクリルポリカルボン酸(メタク
リル酸メチルとアクリル酸とアクリル酸ブチルの共重合
体、重量平均分子量450,000、Tg10℃、酸価40)を固形
分で100部に、アクリルポリカルボン酸オリゴマー(ア
クリル酸エチルとアクリル酸とメタクリル酸ブチルの共
重合体、重量平均分子量5,000、Tg−20℃、酸価20)を
固形分で10部、ブロックイソシアネート(日本ポリウレ
タン工業製、コロネート2513、NCO10.2%)固形分で13
部(このブロックイソシアネートは、上記アクリルポリ
カルボン酸とアクリルカルボン酸オリゴマーのカルボキ
シル基に対し、0.5当量のイソシアネート基を有す
る)、イソシアネート(日本ポリウレタン工業製、コロ
ネートL、NCO13.0%)を固形分で13部(カルボキシル
基の70%が反応する量)をよく撹拌しながら混合した。
この樹脂液を実施例12と同様の鋼板に膜厚が20μmにな
るように吹き付け塗工し、60℃で20分間乾燥して被覆物
を得た。
実施例19 酢酸エチル300部に、アクリルポリカルボン酸(メタク
リル酸メチルとメタクリル酸とアクリル酸エチルの共重
合体、重量平均分子量202,000、Tg35℃、酸価100)を固
形分で100部に、ブロックイソシアネート(武田薬品工
業製、タケネートB−815N、ケトオキシムブロック体、
NCO7.3%、酢酸エチル溶媒)固形分で42部(このブロッ
クイソシアネートは、上記アクリルポリカルボン酸のカ
ルボキシル基に対し、0.7当量のイソシアネート基を有
する)、エポキシ系架橋剤(チバガイギー製、アラルダ
イドCY175、エポキシ当量160、酸価に対応させたエポキ
シ価220)18部(カルボキシル基の50%が反応する
量)、酸化チタン60部をよく撹拌しながら混合した。こ
の樹脂液を実施例12と同様の鋼板に膜厚が50μmになる
ように吹き付け塗工し、60℃で20分間乾燥して被覆物を
得た。
比較例1 実施例1において、アクリルポリカルボン酸として、重
量平均分子量52,000のアクリルポリカルボン酸(メタク
リル酸メチルとメタクリル酸とアクリル酸エチルの共重
合体、Tg20℃、酸価60)を用いた以外は、実施例1と同
様にして膜厚100μmの被覆用シートを得た。
得られたシートについて実施例1と同様に真空密着成形
によりアクリルメラミン塗装処理した半径15cmの半球
に、80℃、到達真空度が6Torrになった時点で貼付けし
たところシートが破断し成形できなかった。
比較例2 実施例2において、アクリルポリカルボン酸として、重
量平均分子量60,000のアクリルポリカルボン酸(メタク
リル酸メチルとメタクリル酸とアクリル酸エチルの共重
合体、Tg25℃、酸価80)を用いた以外は、実施例2と同
様にして膜厚200μmの被覆用シートを得た。
得られたシートについて実施例2と同様に真空密着成形
により瀬戸物の皿に100℃、到達真空度が4Torrになった
時点で貼付けしたところシートが破断し成形できなかっ
た。
比較例3 酢酸エチル300部に、アクリルポリカルボン酸(メタク
リル酸メチルとメタクリル酸とアクリル酸エチルの共重
合体、重量平均分子量52,000、Tg35℃、酸価60)を固形
分で100部に、ブロックイソシアネート(武田薬品工業
製、タケネートB−815N、ケトオキシムブロック体、NC
O7.3%)固形分で38部(このブロックイソシアネート
は、上記アクリルポリカルボン酸のカルボキシル基に対
し、1.0当量のイソシアネート基を有する)、イソシア
ネート(日本ポリウレタン工業製、コロネートL、NCO1
3.0%)を固形分で2.8部(カルボキシル基の10%が反応
する量)をよく撹拌しながら混合した。この樹脂液を実
施例1と同様に塗布・乾燥して熱硬化性被覆用シートを
得た。シートの膜厚は100μmであった。
得られたシートについて実施例1と同様に真空密着成形
によりアルキドメラミン塗装処理した半径15cmの半球
に、80℃、到達真空度が6Torrになった時点で貼付けし
たところシートが破断し成形できなかった。
比較例4 酢酸エチル300部に、アクリルポリカルボン酸(メタク
リル酸メチルとメタクリル酸とアクリル酸エチルの共重
合体、重量平均分子量60,000、Tg15℃、酸価80)を固形
分で100部に、ブロックイソシアネート(武田薬品工業
製、タケネートB−815N、ケトオキシムブロック体、NC
O7.3%)固形分で59部(このブロックイソシアネート
は、上記アクリルポリカルボン酸のカルボキシル基に対
し、1.2当量のイソシアネート基を有する)と、メラミ
ン系架橋剤(大日本インキ化学製、スーパーベッカミン
(ブチル化メラミン樹脂)J−820−60)固形分で28部
(カルボキシル基の30%が反応する量)をよく撹拌しな
がら混合した。この樹脂液を実施例1と同様に塗布・乾
燥して熱硬化性被覆用シートを得た。シートの膜厚は20
0μmであった。
得られたシートについて実施例2と同様に真空密着成形
により瀬戸物の皿に、100℃、到達真空度が4Torrになっ
た時点で貼付けしたところシートが破断し成形できなか
った。
比較例5 酢酸エチル300部に、アクリルポリカルボン酸(メタク
リル酸メチルとメタクリル酸とアクリル酸エチルの共重
合体、重量平均分子量23,000、Tg35℃、酸価60)を固形
分で100部に、ブロックイソシアネート(武田薬品工業
製、タケネートB−815N、ケトオキシムブロック体、NC
O7.3%)固形分で37部(このブロックイソシアネート
は、上記アクリルポリカルボン酸のカルボキシル基に対
し、1.0当量のイソシアネート基を有する)をよく撹拌
しながら混合した。この樹脂液を実施例12と同様の鋼板
に膜厚が50μmになるように吹き付け塗工し、60℃で20
分間乾燥し、次に160℃で15分間加熱硬化させて被覆物
を得た。得られた被覆物の反応率はIR測定により70%で
あった。
比較例6 酢酸エチル300部に、アクリルポリカルボン酸(メタク
リル酸メチルとアクリル酸とアクリル酸エチルの共重合
体、重量平均分子量153,000、Tg35℃、酸価60)を固形
分で100部に、ブロックイソシアネート(武田薬品工業
製、タケネートB−815N、ケトオキシムブロック体、NC
O7.3%)固形分で37部(このブロックイソシアネート
は、上記アクリルポリカルボン酸のカルボキシル基に対
し、1.0当量のイソシアネート基を有する)をよく撹拌
しながら混合した。この樹脂液を実施例12と同様の鋼板
に膜厚が60μmになるように吹き付け塗工し、60℃で20
分間乾燥して被覆物を得た。得られた被覆物の反応率は
IR測定により0%であった。
比較例7 酢酸エチル300部に、アクリルポリカルボン酸(メタク
リル酸メチルとメタクリル酸とアクリル酸エチルの共重
合体、重量平均分子量28,000、Tg35℃、酸価60)を固形
分で100部に、ブロックイソシアネート(武田薬品工業
製、タケネートB−815N、ケトオキシムブロック体、NC
O7.3%)固形分で19部(このブロックイソシアネート
は、上記アクリルポリカルボン酸のカルボキシル基に対
し、0.5当量のイソシアネート基を有する)と、イソシ
アネート(日本ポリウレタン工業製、コロネートL、NC
O13.0%)を固形分で13部(カルボキシル基の50%が反
応する量)をよく撹拌しながら混合した。
この樹脂液を実施例12と同様の鋼板に膜厚が50μmにな
るように吹き付け塗工し、60℃で20分間乾燥して被覆物
を得た。
比較例8 酢酸エチル300部に、アクリルポリカルボン酸(メタク
リル酸メチルとアクリル酸とアクリル酸エチルの共重合
体、重量平均分子量153,000、Tg35℃、酸価60)を固形
分で100部に、ブロックイソシアネート(武田薬品工業
製、タケネートB−815N、ケトオキシムブロック体、NC
O7.3%)固形分で37部(このブロックイソシアネート
は、上記アクリルポリカルボン酸のカルボキシル基に対
し、1.0当量のイソシアネート基を有する)をよく撹拌
しながら混合した。
この樹脂液を実施例12と同様の鋼板に膜厚が60μmにな
るように吹き付け塗工し、60℃で20分間乾燥して被覆物
を得た。
上記の実施例12〜19及び比較例5〜8で得られたシート
について、外観性、密着性及び鉛筆硬度を測定した。こ
の結果を表2に示す。
(発明の効果) 本発明の被覆用シートの構成は上述の通りであり、硬化
温度以下では、展延性及び可撓性に優れており、硬化後
は強固な被膜を形成するシートである。このため、平面
はもちろん、多少の凹凸や曲面を有する被着体表面へ
“しわ”を生じることなく良好に、かつ作業性よく被覆
することができる。さらに、加熱前では各成分を接触さ
せたとしても硬化に至ることがないので、この被覆用シ
ートを製造する際には、各成分を均一に混合することが
でき、物性のばらつきが少なく、また外観の良好な被膜
を得ることができる。
このため、熱硬化性被覆用シートは、現在塗装等で行わ
れている自動車や家電製品、建材用の塗装はもちろんの
こと、家具や装飾用小物類の塗装に好適であり、さらに
インジェクション等の成形では樹脂との一体成形も行え
る。
また、本発明の被覆物によれば、被覆物の加工時に熱硬
化性樹脂層に割れや剥がれ等を生じることがなく、硬質
の被膜を形成し得る物品を得ることができる。従って、
箱型や皿型等に支障なく加工することができるために、
例えば、自動車用外板や冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ等
の家電製品、椅子、机等の家具類等の物品材料として利
用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08J 5/18 CEY 9267−4F

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数個のカルボキシル基を有し、重量平均
    分子量が100,000〜1,000,000であり、常温で固体状のア
    クリル系樹脂と、ブロックイソシアネートとを主成分と
    する熱硬化性樹脂組成物からなる未硬化または半硬化状
    態の熱硬化性被覆用シート。
  2. 【請求項2】ブロックされていないイソシアネート、メ
    ラミン系架橋剤及びエポキシ系架橋剤からなる群から選
    ばれた少なくとも一種の架橋剤と、請求項1記載のアク
    リル系樹脂と、ブロックイソシアネートとを主成分とす
    る熱硬化性樹脂組成物からなる半硬化状態の熱硬化性被
    覆用シート。
  3. 【請求項3】請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物を含む
    樹脂液を被着体に塗布し、加熱により樹脂液中に含まれ
    るアクリル系樹脂の一部とブロックイソシアネートの一
    部とを反応させて半硬化状態の熱硬化性樹脂層を形成し
    てなる被覆物。
  4. 【請求項4】請求項2記載の熱硬化性樹脂組成物を含む
    樹脂液を被着体に塗布し、半硬化状態の熱硬化性樹脂層
    を形成してなる被覆物。
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