JPH07148806A - 型締フレーム及び型締装置並びに射出成形機用型締装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は型締フレーム及び型締装置並びに射
出成形機用型締装置に関するものであり、型締フレーム
に作用する応力による曲げモーメントの発生を回避し、
型締操作の精度向上と軽量小型化を目的とする。 【構成】 本発明による型締フレーム及び型締装置並び
に射出成形機用型締装置は、略Ｈ字形の型締フレームと
しての本体(10)を用い、本体(10)の各上部対面部(10a,1
0b)を型締部とし、各下部対面部(10c,10d)間にバランス
シリンダ(11)を設け、両対面部(10a,10b,10c,10d)の押
圧力をバランスさせる構成である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、型締フレーム及び型締
装置並びに射出成形機用型締装置に関し、特に、射出成
形機、ダイキャスト機、プレス機等の型締装置用フレー
ム構造の新規な改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、射出成形機、ダイキャスト機ある
いはプレス機に使用されている一体形の型締装置用フレ
ーム構造としては、例えば、図５に示すＣ字形フレーム
構造がある。すなわち、図５はＣ字形フレーム構造を適
用した横型配置の射出成形機を示している。図５におい
て、符号５０で示すものは断面形状及び外観がほぼＣ字
形をなすＣ字形フレームであり、このＣ字形フレーム５
０の上部に互いに離間して形成された第１、第２上部対
面部１０ａ，１０ｂが上方に向いて配置されている。前
記第１上部対面部１０ａの内側には、固定盤１２が鉛直
に配置され、前記第２上部対面部１０ｂには、水平配置
された型締シリンダ１６が設けられ、この型締シリンダ
１６のピストン１８に設けられたピストンロッド１５の
先端には、回転支軸７を介して可動盤１３が前記固定盤
１２に対面するように鉛直に配置されている。前記可動
盤１３は、Ｃ字形フレーム５０の前記第１，第２上部対
面部１０ａ，１０ｂ間に形成された中間水平部５０ａ上
面に設けられたガイドレール１７上に支持体１７ａを介
して水平往復移動可能に支持されている。

【０００３】前記固定盤１２及び可動盤１３の内側に
は、第１金型部１４ａ及び第２金型部１４ｂがそれぞれ
設けられ、前記第１，第２金型部１４ａ，１４ｂによっ
て金型１４を構成している。 前記固定盤１２の鉛直外
面側で、かつ、型締シリンダ１６、ピストンロッド１
５、可動盤１３、金型１４及び固定盤１２を連ねる軸芯
線の延長線上には、射出装置２７が配置されている。

【０００４】前述のように構成された射出成形機におい
て、型締シリンダ１６のピストン１８に油圧を作用させ
ることにより、ピストン１８の軸芯方向往復移動に応じ
てピストンロッド１５を介して可動盤１３が固定盤１２
に対して接近・押圧・離反する。前記可動盤１３の往復
移動により金型１４が開閉すると共に、金型１４が閉じ
た状態でピストン１８に更に金型１４の閉じる方向に油
圧を作用させることにより、金型１４は分割面に所要の
面圧を加えられ、押圧された状態で保持される。

【０００５】次に、成形品を得るには、先ず、金型１４
を閉じて更に所要の面圧を加えた状態とし、次に、射出
装置２７から金型１４へ溶融した成形材料を射出し、所
要時間保持した後金型１４を開いて、成形品を取り出
し、以上の操作を順次繰り返して成形品を連続生産する
ことができる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】従来の型締装置用一体
形フレームは以上のように構成されていたため、次のよ
うな課題が存在していた。すなわち、金型１４を閉じて
その分割面間に所要の面圧を加えた場合、Ｃ字形フレー
ム５０の各上部対面部１０ａ，１０ｂに面圧の反力が作
用し、図５に示されるように、Ｃ字形フレーム５０の中
間水平部５０ａの断面には曲げモーメントが作用し、そ
の上側には引張力、その下側には圧縮力が作用する。そ
の結果、Ｃ字形フレーム５０の各上部対面部１０ａ，１
０ｂはその光端部が互いに開くように変形し、固定盤１
２及び可動盤１３の対面する鉛直面が傾斜することにな
っていた。また、前記可動盤１３はピストンロッド１５
の先端に回転支軸７を介して設けられていることによ
り、固定盤１２に対して内対面が常時平行になるように
変化することが可能であるが、傾斜した場合には相互に
中心軸芯にずれが発生する。すなわち、固定盤１２及び
可動盤１３の内対面に２分割されてそれぞれ保持されて
いる金型１４の分割面間にずれが発生し、成形される製
品の形状品質が損なわれることとなる。このようなＣ字
形フレーム５０の変形を、製品品質に影響しない程度に
小さくするために、Ｃ字形フレーム５０の強度を高くす
ることが行われており、そのために、型締装置の能力に
比較して必要以上に大形化及び重量化していた。また、
このような一体形フレームでは型締能力の大きなフレー
ムは、より以上に大形化及び重量化するので実現性に乏
しく、小能力の型締装置において使用されるに過ぎなか
った。

【０００７】本発明は、以上のような課題を解決するた
めになされたものであり、フレームの変形量が小さい構
造とし、型締能力の大きい型締装置に適用可能な型締フ
レーム及び型締装置並びに射出成形機用型締装置を提供
することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明による型締フレー
ムは、略Ｈ字形をなす本体の上部に互いに離間して構成
された第１、第２上部対面部の前記第１上部対面部には
固定盤を鉛直に保持し、前記第２上部対面部には前記固
定盤に対面して前記本体の中間水平部に鉛直に配置され
た可動盤をピストン及びピストンロッドを介して前記中
間水平部に沿って水平方向に往復移動させる型締シリン
ダを保持すると共に、前記本体の下部に互いに離間して
構成された第１、第２下部対面部には、前記第１，第２
下部対面部間に支持されたバランスシリンダが設けられ
るようにした構成である。

【０００９】さらに詳細には、前記本体の前記中間水平
部に対する前記型締シリンダの押圧力による曲げモーメ
ントと前記バランスシリンダの押圧力による曲げモーメ
ントとが等しい値となるべく、前記型締シリンダ及び前
記バランスシリンダが配置されている構成である。

【００１０】本発明による型締装置は、略Ｈ字形をなし
型締フレームを構成するための本体と、前記本体の上部
に互いに離間して構成された第１、第２上部対面部の前
記第１上部対面部に鉛直に保持された固定盤と、前記第
２上部対面部に水平に保持され、内蔵するピストンを介
してピストンロッドをその先端が前記固定盤の内側鉛直
面の中心部に接近・押圧・離反するように水平往復移動
させる型締シリンダと、前記型締シリンダのピストンロ
ッド先端に鉛直に保持され、前記本体の中間水平部に沿
って水平往復移動する可動盤と、前記本体の下部に互い
に離間して構成された第１、第２下部対面部間に支持さ
れたバランスシリンダとよりなる構成である。

【００１１】さらに詳細には、前記型締シリンダの押圧
力と前記型締シリンダから前記中間水平部までの鉛直距
離との積と、前記バランスシリンダの押圧力と前記バラ
ンスシリンダから前記中間水平部までの鉛直距離との積
と、が等しい値となるべく、前記型締シリンダ及び前記
バランスシリンダが配置された構成である。

【００１２】さらに詳細には、前記型締シリンダの押出
し側シリンダ室と前記バランスシリンダの押出し側シリ
ンダ室とが連通している構成である。

【００１３】本発明による射出成形機用型締装置は、略
Ｈ字形をなし型締フレームを構成するための本体と、前
記本体の上部に互いに離間して構成された第１、第２上
部対面部の前記第１上部対面部に鉛直に保持された固定
盤と、前記第２上部対面部に水平に保持され、内蔵する
ピストンを介してピストンロッドをその先端が前記固定
盤の内側鉛直面の中心部に接近・押圧・離反するように
水平往復移動させる型締シリンダと、前記型締シリンダ
のピストンロッド先端に鉛直に保持され、前記本体の中
間水平部に沿って水平往復移動する可動盤と、前記本体
の下部に互いに離間して構成された第１、第２下部対面
部を介して保持されたバランスシリンダと、前記固定盤
の鉛直面外側に前記本体と一体的に設けられた架構上
で、かつ、前記型締シリンダのピストンロッドの水平往
復移動軸芯の延長線上に射出ノズル先端を前記固定盤に
向けて水平往復移動可能に配置された射出装置と、前記
射出装置を前記固定盤の中心部に接近・押圧・離反する
ように水平往復移動させる移動シリンダと、前記本体の
第１下部対面部と、前記本体外に設けられた架構との間
に設けられた第２バランスシリンダと、前記型締シリン
ダの押圧側シリンダ室と前記バランスシリンダを連通す
るための第１連通手段と、前記移動シリンダの押圧側シ
リンダ室と前記第２バランスシリンダを連通するための
第２連通手段とを備え、前記本体の中間水平部に対する
前記型締シリンダの押圧力による曲げモーメントと前記
第１バランスシリンダの押圧力による曲げモーメントと
が等しい値となり、前記射出装置の押圧力による曲げモ
ーメントと前記第２バランスシリンダの押圧力による曲
げモーメントとが等しい値となるようにした構成であ
る。

【００１４】

【作用】本発明における型締フレーム及び型締装置にお
いては、略Ｈ字形をなす型締フレームとしての本体の各
上部対面部において２分割された金型をそれぞれ保持し
て対面する固定盤及び可動盤に対しピストン及びピスト
ンロッドを介して型締シリンダにより押圧することによ
り金型の分割面に押圧力が発生し、その反力が本体の上
部対面部を押し開く方向に作用し、本体の水平部に対し
上方に膨らませる方向の曲げモーメントを作用させる。
また、下部対面部においてバランスシリンダに圧力を加
えることによりその両端が本体の下部対面部を押し開く
方向に作用し、本体の中間水平部に対し下方に膨らませ
る方向すなわち型締シリンダの押圧力による場合と逆方
向の曲げモーメントを作用させる。型締シリンダは金型
に対して所要の押圧力を加える必要があり、この押圧力
により本体の中間水平部に作用する曲げモーメントに対
し、ほぼ同一の値の逆方向の曲げモーメントを本体の中
間水平部に作用させるようにバランスシリンダに圧力を
加えることにより、本体の中間水平部では２つの曲げモ
ーメントが相殺されて曲げモーメントは作用せず、中間
水平部の横断面全体に引張力が作用する。従って、横巾
に比較して高さの低いＨ字形をした本体の上部対面部に
おいて、片持梁としての変形量は非常に小さな値であ
り、中間水平部が曲げ変形しなくなったことにより上部
対面部は押し開かれず、型締シリンダのピストンロッド
は固定盤の内側鉛直面中心部に対し常時垂直な状態で押
圧する。また、型締シリンダ及びバランスシリンダそれ
ぞれの押圧能力と本体の中間水平部までの距離との積の
値がほぼ等しくなるように押圧能力及び配置を選定する
と共に、前記各シリンダの押圧側シリンダ室を互いに連
通することにより、押圧時に各シリンダが本体の中間水
平部に作用させる互いに逆向きの曲げモーメントは、各
シリンダの何れか一方の加圧源により同時かつ常時同一
の値となり、相殺されて零となる。

【００１５】さらに、射出成形機用型締装置において、
前述の型締シリンダ及びバランスシリンダによる作用に
加え、本体の上方外面に作用する射出シリンダ及び同じ
側下方外面に作用する第２バランスシリンダそれぞれの
押圧能力と本体の中間水平部までの距離との積の値がほ
ぼ等しくなるように押圧能力及び配置を選定すると共
に、各シリンダの押圧側シリンダ室を互いに連通させる
ことにより、押圧時に各シリンダが中間水平部に作用さ
せる互いに逆向きの曲げモーメントは、各シリンダの何
れか一方の加圧源により同時かつ常時同一の値となり、
相殺されて零となる。

【００１６】

【実施例】以下、図面と共に本発明による型締フレーム
及び型締装置並びに射出成形機用型締装置の好適な実施
例について詳細に説明する。なお、従来例と同一または
同等部分には、同一符号を付して説明する。図１は、本
発明による型締装置を横型射出成形機に適用した一実施
例を示す一部を断面図とした正面図であり、図２は、図
１の矢印II−II断面図である。図１，２において、符号
１０で示されるものは型締フレームとしての本体であ
り、この本体１０は正面より見て、横巾に比較して高さ
の低い略Ｈ字形をしており、所定の厚さ方向寸法を有す
るこの本体１０を前後に平行に配置し、本体１０の中間
水平部１０Ａで前記各本体１０を一体に係合することに
より、側面から見ても図２で示すように、略Ｈ字形に構
成されている。

【００１７】前記本体１０の上部に互いに離間して構成
された第１、第２上部対面部１０ａ，１０ｂの第１上部
対面部１０ａ内側には、第２上部対面部１０ｂに対面す
るように固定盤１２が鉛直に保持されている。前記第２
上部対面部１０ｂには、その作動軸が前記固定盤１２の
中心部に対して垂直になるように、複動型の型締シリン
ダ１６が水平に保持されている。前記本体１０の中間水
平部１０Ａの上面にはガイドレール１７が設けられ、こ
のガイドレール１７の上には、前記固定盤１２に対面し
て鉛直状態で接近・離反移動可能に設けられた可動盤１
３が配置されている。

【００１８】前記可動盤１３は、前記型締シリンダ１６
のピストンロッド１５の先端部に連結されている。前記
固定盤１２及び可動盤１３の鉛直内対面には、２分割さ
れた金型部１４ａ，１４ｂがそれぞれ保持され、前記型
締シリンダ１６に油圧を作用させることにより、ピスト
ン１８、ピストンロッド１５、可動盤１３を介して、金
型１４を構成する金型部１４ｂが金型部１４ａに対して
接近・密着・押圧・離反を行うように構成されている。

【００１９】前記本体１０の下部に互いに離間して構成
された第１、第２下部対面部１０ｃ，１０ｄ間には、単
動型のバランスシリンダ１１がその作動軸を水平にして
支持されている。前記バランスシリンダ１１を１個使用
する場合には、各下部対面部１０ｃ，１０ｄの奥行方向
にそれぞれ支持部材１０ｆを設け、この支持部材１０ｆ
によりバランスシリンダ１１を保持すると共に、押圧を
支持している。

【００２０】なお、前記型締シリンダ１６及びバランス
シリンダ１１は、前記中間水平部１０Ａの断面の重心点
Ｐから各シリンダ１６，１１の各作動軸１６ａ，１１ａ
までの鉛直距離Ｌ₁，Ｌ₂と各シリンダ１６，１１の押圧
力との積が等しい値となるように各シリンダ１１，１６
の大きさ及び鉛直距離が選定されている。前記型締シリ
ンダ１６は、油圧装置１９から切換弁２０及び第１油圧
配管２１ａを介して押圧室１６ｂへ、第２油圧配管２１
ｂを介して引圧室１６ｃへそれぞれ圧力油が供給または
排出される。前記バランスシリンダ１１は、同様に油圧
装置１９から切換弁２０及び油圧配管２１ａから分岐し
た第３油圧配管２１ｃを介して圧力油が供給され、前述
の第１、第３油圧配管２１ａ，２１ｃにより型締シリン
ダ１６の押圧室１６ｂとバランスシリンダ１１の押圧側
シリンダ室間を連通するための第１連通手段６０が構成
されている。

【００２１】以上のように構成された型締装置１は、射
出装置２７と共通の架構２２上に配置されており、この
型締装置１は、架構２２に対し、型締フレームとしての
本体１０の第１下部対面部１０ｃが固定保持され、型締
シリンダ１６側の第２下部対面部１０ｄが摺動板２３を
介してバランスシリンダ１１の作動軸芯方向に摺動可能
に保持されている。

【００２２】前記第２下部対面部１０ｄの摺動方向両側
面の架構２２上には、摺動方向に前後進するボルトを突
起部材で保持したストッパ２４が設けられており、各ス
トッパ２４によって前記本体１０の移動範囲が規制され
ている。前記固定盤１２の背面の架構２２上には、その
軸芯をシリンダピストン１５の軸芯の延長線と一致さ
せ、射出装置２７の射出ノズル２７ａを固定盤１２側と
して、射出装置が配置されている。

【００２３】以上のように構成された射出成形機におい
て、実際に射出成形動作を行う場合について述べる。先
ず、型締シリンダ１６のピストン１８が後退し、可動盤
１３が固定盤１２から離反して２分割された金型１４が
開いた状態すなわち型開き状態において、切換弁２０を
操作して油圧装置１９から第１、第３油圧配管２１ａ，
２１ｃを介して型締シリンダ１６の押圧室１６ｂ及びバ
ランスシリンダ１１へ圧力油を供給する。同時に、型締
シリンダ１６の引圧室１６ｃからは、圧力油が油圧配管
２１ｂを介して排出される。

【００２４】また、押圧室１６ｂに供給された圧力油は
ピストン１８を押してピストンロッド１５を押出させ、
可動盤１３がガイドレール１７に沿って固定盤１２に接
近する方向に金型１４の分割面が密着するまで前進す
る。前記金型１４が密着した後、すなわち型閉じ状態で
分割面に所定の押圧力を作用させるため、油圧装置１９
は高圧を発生し、圧力油を介して高圧を伝達する。

【００２５】次に、所定の押圧力で型閉じ状態の金型１
４に対し、射出装置２７が固定盤１２の背後から金型１
４へ射出材料を射出する。この射出動作から所定時間
後、切換弁２０を操作して油圧装置１９から第２油圧配
管２１ｂを介して型締シリンダ１６の引圧室１６ｃへ圧
力油を供給すると共に、押圧室１６ｂから第１油圧配管
２１ａを介して圧力油が排出される。この切換弁２０の
操作により、引圧室１６ｃに供給された圧力油がピスト
ン１８を押してピストンロッド１５を引戻させ、可動盤
１３がガイドレール１７に沿って固定盤１２から離反す
る方向に移動し、金型１４が分割面で分離し、所定の間
隔まで後退する。

【００２６】前記金型１４の後退すなわち型開き完了
後、固定盤１２に保持された金型１４ａに残された成形
製品を取り出して１射出サイクルを完了する。以上の射
出サイクルを繰り返し実行することにより、成形製品を
連続的に生産することができる。前述のように、射出成
形機が１射出サイクルの動作を行う間、型締シリンダ１
６の押圧室１６ｂ及びバランスシリンダ１１には常時同
一圧力の圧力油が作用している。前記押圧室１６ｂに作
用する圧力は、型締フレームとしての本体１０の中間水
平部１０Ａに対し、上方に膨らませる曲げモーメントを
作用させ、他方、バランスシリンダ１１に作用する圧力
は、中間水平部１０Ａに対し下方に膨らませる曲げモー
メントを作用させるが、２つの曲げモーメントは大きさ
が等しくなると共に作用方向が反対なので互いに打消し
合って相殺され、中間水平部１０Ａには圧力油の圧力の
作用による水平方向の引張力のみが作用する。

【００２７】前記中間水平部１０Ａに作用する引張力に
より、中間水平部１０Ａが弾性変形し伸びが発生する
が、第２下部対面部１０ｄが摺動板２３上を摺動して、
中間水平部１０Ａの伸び量と同一量外側方向に移動す
る。従って、第２下部対面部１０ｄの移動量はストッパ
２４により規制されており、この規制を越えない範囲内
で射出サイクルが繰り返される。

【００２８】図３は、本発明による型締装置を横型射出
成形機に適用した他の実施例を示す一部を断面図とした
正面図であり、図４は、図３の矢印IV−IV断面図であ
る。なお、図１と同一又は同等部分には同一符号を付し
て説明する。本実施例は、図１及び図２に示した実施例
における型締フレームとしての本体１０の中間水平部１
０Ｂ部分を空間１０Ｘを有する矩形箱状とし、この中間
水平部１０Ｂと各下部対面部１０ｃ，１０ｄとの間に個
別に１対のバランスシリンダ１１ａ，１１ｂを対応さ
せ、さらに手前及び奥のそれぞれに個別に設けると共
に、固定盤１２側の第１下部対面部１０ｃの外側と架構
２２に設けられた外部固定部７０との間に前記射出装置
２７の金型１４に対する押付力に対応する第２バランス
シリンダ１１’が新たに付加されている。

【００２９】すなわち、前記本体１０の両側鉛直部にお
いて、１対のバランスシリンダ１１ａ，１１ｂは、固定
盤１２側及び型締シリンダ１６側それぞれの変形支点
Ｃ，Ｄから各バランスシリンダ１１ａ，１１ｂの作動軸
までの鉛直距離と押圧力との積が、変形支点Ｃ，Ｄから
型締シリンダ１６の作動軸までの鉛直距離と型締シリン
ダ１６の押圧力との積と等しくなるように構成されてい
る。同様に、前記第２バランスシリンダ１１’は、固定
盤１２側の変形支点Ｃから第２バランスシリンダ１１’
の作動軸までの鉛直距離と押圧力との積が、変形支点Ｃ
から射出装置２７の射出ノズル２７ａ先端位置までの鉛
直距離と後述の射出装置移動シリンダ２７Ａの押圧力と
の積に等しくなるように構成されている。なお、前述の
射出装置移動シリンダ２７Ａは、射出装置２７を前記固
定盤１２に対して前後進及び押圧するために架構２２に
設けられている。

【００３０】前記中間水平部１０Ａは、奥行方向にも矩
形箱状になっていると共に本体１０自体の架構を構成し
ている。また、第３油圧配管２１ｃは各バランスシリン
ダ１１ａ，１１ｂに接続されている。また、前記第２バ
ランスシリンダ１１’には、第２油圧装置１９ａから第
２切換弁２０ａを介して前記射出装置の移動シリンダ２
７Ａの押圧室へ接続される第４油圧配管２１ｄから分岐
した第５油圧配管２１ｅが接続されている。さらに、前
記各下部対面部１０ｃ，１０ｄは架構２２に設けられた
ストッパ２４によりその動きが規制されている。従っ
て、第４、第５油圧配管２１ｄ，２１ｅにより移動シリ
ンダ２７Ａと第２バランスシリンダ１１’の押圧側シリ
ンダ空間を連通するための第２連通手段６１が構成され
ている。

【００３１】以上のように構成された射出成形機におい
て射出成形動作を行う場合、先ず、型締シリンダ１６に
よる作用は、図１及び図２に示される前述の実施例と同
様に、本体１０の中間水平部１０Ａに引張力のみを発生
し、水平方向に弾性変形するのみである。また、射出装
置２７は、その射出ノズル２７ａ先端が固定盤１２の背
後から金型１４ａに密着し、射出装置移動シリンダ２７
Ａにより押圧され、本体１０の上部対面部１０ａ，１０
ｂが型締シリンダ１６方向に押力を受ける。この押力に
対し、第２バランスシリンダ１１’が本体１０の下部対
面部１０ｃ，１０ｄに常時同等の押力を作用させて相殺
する。以上、本発明を横型射出成形機に応用した実施例
について説明したが、これは横型射出成形機に限定され
るものではなく、竪型射出成形機、ダイキャスト機、プ
レス機等、横型、竪型を問わず型締装置として適用可能
なものである。

【００３２】

【発明の効果】本発明による型締フレーム及び型締装置
並びに射出成形機用型締装置は、以上のように構成され
ているため、次のような効果を得ることができる。 （１） 型締フレームとしての本体を略Ｈ字形とし、Ｈ
字形の本体の垂直対面部に発生する応力を相殺するよう
に構成しているので、垂直対面部の鉛直度合が常時変化
せず、型締部が常時正しい位置で密着し、押圧される。 （２） 従って、押圧されて生産される製品の形状品質
が常時一定し、良品質の製品が生産される。 （３） 型締フレームとしての本体に発生する応力によ
る曲げモーメントを相殺して零とする構成であり、曲げ
モーメントによる撓みに対する強度を必要としなくな
り、型締フレームが軽量、小型化できる。 （４） 従って、逆に、従来に比べて相対的に能力を大
きくすることが可能となる。 （５） 射出成形機に適用した場合、タイバーの無い射
出成形機となり、作業性が大巾に改善される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による型締装置を横型射出成形機に適用
した一実施例を示す一部を断面図とした正面図である。

【図２】図１の矢印II−II断面図である。

【図３】図１の他の実施例を示す正面図である。

【図４】図３の矢印IV−IV断面図である。

【図５】従来の型締装置を示す一部断面図を有する正面
図である。

【符号の説明】

１０ 本体 １０Ａ，１０Ｂ 中間水平部 １０ａ，１０ｂ 第１、第２上部対面部 １０ｃ，１０ｄ 第１、第２下部対面部 １１ バランスシリンダ １１’ 第２バランスシリンダ １２ 固定盤 １３ 可動盤 １５ ピストンロッド １６ 型締シリンダ ２７ａ 射出ノズル ２７Ａ 移動シリンダ ６０ 第１連通手段 ６１ 第２連通手段 ７０ 外部固定部

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 略Ｈ字形をなす本体(10)の上部に互いに
   離間して構成された第１、第２上部対面部(10a,10b)の
   前記第１上部対面部(10a)には固定盤(12)を鉛直に保持
   し、前記第２上部対面部(10b)には前記固定盤(12)に対
   面して前記本体(10)の中間水平部(10A)に鉛直に配置さ
   れた可動盤(13)をピストン(18)及びピストンロッド(15)
   を介して前記中間水平部(10A)に沿って水平方向に往復
   移動させる型締シリンダ(16)を保持すると共に、前記本
   体(10)の下部に互いに離間して構成された第１、第２下
   部対面部(10c,10d)には、前記第１，第２下部対面部(10
   c,10d)間に支持されたバランスシリンダ(11)が設けられ
   るように構成されたことを特徴とする型締フレーム。
2. 【請求項２】 前記本体(10)の前記中間水平部(10A)に
   対する前記型締シリンダ(16)の押圧力による曲げモーメ
   ントと前記バランスシリンダ(11)の押圧力による曲げモ
   ーメントとが等しい値となるべく、前記型締シリンダ(1
   6)及び前記バランスシリンダ(11)が配置されて構成され
   たことを特徴とする請求項１記載の型締フレーム。
3. 【請求項３】 略Ｈ字形をなし型締フレームを構成する
   ための本体(10)と、前記本体(10)の上部に互いに離間し
   て構成された第１、第２上部対面部(10a,10b)の前記第
   １上部対面部(10a)に鉛直に保持された固定盤(12)と、
   前記第２上部対面部(10b)に水平に保持され、内蔵する
   ピストン(18)を介してピストンロッド(15)をその先端が
   前記固定盤(12)の内側鉛直面の中心部に接近・押圧・離
   反するように水平往復移動させる型締シリンダ(16)と、 前記型締シリンダ(16)のピストンロッド(15)先端に鉛直
   に保持され、前記本体(10)の中間水平部(10A)に沿って
   水平往復移動する可動盤(13)と、 前記本体(10)の下部に互に離間して構成された第１、第
   ２下部対面部(10c,10d)間に支持されたバランスシリン
   ダ(11)と、で構成されたことを特徴とする型締装置。
4. 【請求項４】 前記型締シリンダ(16)の押圧力と前記型
   締シリンダ(16)から前記中間水平部(10A)までの鉛直距
   離との積と、 前記バランスシリンダ(11)の押圧力と前記バランスシリ
   ンダ(11)から前記中間水平部(10A)までの鉛直距離との
   積と、が等しい値となるべく、前記型締シリンダ(16)及
   び前記バランスシリンダ(11)が配置されたことを特徴と
   する請求項３記載の型締装置。
5. 【請求項５】 前記型締シリンダ(16)の押出し側シリン
   ダ室と前記バランスシリンダ(11)の押出し側シリンダ室
   とが連通していることを特徴とする請求項３又は４記載
   の型締装置。
6. 【請求項６】 略Ｈ字形をなし型締フレームを構成する
   ための本体(10)と、 前記本体(10)の上部に互いに離間して構成された第１、
   第２上部対面部(10a,10b)の前記第１上部対面部(10a)に
   鉛直に保持された固定盤(12)と、 前記第２上部対面部(10b)に水平に保持され、内蔵する
   ピストン(18)を介してピストンロッド(15)をその先端が
   前記固定盤(12)の内側鉛直面の中心部に接近・押圧・離
   反するように水平往復移動させる型締シリンダ(16)と、 前記型締シリンダ(16)のピストンロッド(15)先端に鉛直
   に保持され、前記本体(10)の中間水平部(10A)に沿って
   水平往復移動する可動盤(13)と、 前記本体(10)の下部に互に離間して構成された第１、第
   ２下部対面部(10c,10d)を介して保持されたバランスシ
   リンダ(11)と、 前記固定盤(12)の鉛直面外側に前記本体(10)と一体的に
   設けられた架構(70)上で、かつ、前記型締シリンダ(16)
   のピストンロッド(15)の水平往復移動軸芯の延長線上に
   射出ノズル(27a)先端を前記固定盤(12)に向けて水平往
   復移動可能に配置された射出装置(27)と、 前記射出装置(27)を前記固定盤(12)の中心部に接近・押
   圧・離反するように水平往復移動させる移動シリンダ(2
   7A)と、 前記本体(10)の第１下部対面部(10c)と、前記本体(10)
   外に設けられた架構(70)との間に設けられた第２バラン
   スシリンダ(11')と、 前記型締シリンダ(16)の押圧側シリンダ室(16b)と前記
   バランスシリンダ(11)を連通するための第１連通手段(6
   0)と、前記移動シリンダ(27A)の押圧側シリンダ室と前
   記第２バランスシリンダ(11')を連通するための第２連
   通手段(61)とを備え、 前記本体(10)の中間水平部(10A)に対する前記型締シリ
   ンダ(16)の押圧力による曲げモーメントと前記第１バラ
   ンスシリンダ(11)の押圧力による曲げモーメントとが等
   しい値となり、前記射出装置(27)の押圧力による曲げモ
   ーメントと前記第２バランスシリンダ(11')の押圧力に
   よる曲げモーメントとが等しい値となるように構成した
   ことを特徴とする射出成形機用型締装置。