JPH0712646U - フレキシブルフライホイール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 クランク軸が首振り運動しても、これに連結
されるフレキシブルフライホイールの弾性円板が共振し
ないようにする。 【構成】 フレキシブルフライホイール２の弾性円板５
を半径が異なる取付け座８と弾性押さえ板１２で挾み、
数本のボルト１４でクランク軸１に固定する。 【作用】 クランク軸１が首振り運動をすると、弾性円
板５は、数本のボルト１４の締結部の外側を通る菊花状
の線に沿って湾曲位置を変えながら湾曲するため振動が
抑制され、取付け座８と弾性押さえ板に半径差があるこ
とでも振動が阻害されて振動が抑制される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、エンジンのクランク軸の出力端に取付けられてクランク軸の振動を 吸収すると共に、クラッチの一部を構成するフレキシブルフライホイールに関す る。

【０００２】

【従来の技術】

前記のフレキシブルフライホイールにおいて、回転質量体を支える弾性円板は 、クランク軸から伝達されるトルクに対しては高剛性をもつが、軸方向の力に対 しては曲げが生じ易くされ、これにより、クランク軸の曲げによって生じる回転 円板の振れまわりの振動を吸収するようにされている。例えば、特公昭５７−５ ８５４２号に開示されたものは、弾性円板の軸方向の剛性を小にするために、該 弾性円板の中間部に多数の***を同心状に開けた構成を備えている。

【０００３】 そして、軸方向の振動で共振が発生するのを防止するために、弾性円板にこれ と略同一外径で外周側に隙間をもつ抑止板が、中心側で重ね合わせて固着されて いる。該弾性円板は、同心円上に多数***が穿設されて軸方向に撓み易くされ、 抑止板と接触して摩擦により共振を防止するようにされている。

【０００４】 クランク軸から弾性円板に加わる軸方向の振動は、単純な軸方向のみならず首 振り運動を含むものであるが、いずれの場合も、前記***の付近に繰返し応力が 発生してフレッチングが発生し易い。また、大径の抑止板を設けているので、こ れによる重量増加も無視できない。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、小型の部品を付加するのみで所要の振動抑制作用を行わせることを 課題とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案における前記課題の解決手段は、弾性円板の外周側に回転質量体を設け 、該弾性円板の内周側をクランク軸に固定したフレキシブルフライホイールにお いて、前記弾性円板は、クランク軸側の軸側端面と弾性押さえ板で挾まれて、中 心側を通る軸方向の数個のボルトで締結され、前記軸側端面と弾性押さえ板の弾 性円板に対向する面の外周側に、円弧状の受け面を備えていること、を特徴とす る。

【０００７】

【作用】

前記の手段において、クランク軸が首振り振動をすると、弾性円板は、クラン ク軸にボルトで締結した部分において、該締結部を囲む菊花状の線に沿って順次 湾曲し、湾曲部の半径方向の位置が変わるため振動の節が変化し、また該弾性円 板の凸の湾曲面と弾性円板の円弧状の受け面が摩擦して振動が減衰され、共振の 発生が防止される。

【０００８】

【実施例】

以下、図面を参照して実施例を説明する。図１、２に示す第１実施例において 、１はエンジンのクランク軸、２は該クランク軸１に固定されたフレキシブルフ ライホイール、３は該フレキシブルフライホイール２を一方の摩擦面とするクラ ッチである。フレキシブルフライホイール３は、前記摩擦面をもつ回転質量部４ と、弾性円板５がボルト６で結合されてなり、外周にスタータギヤ７が固定され ている。

【０００９】 弾性円板５の内周側のクランク軸取付け側には、取付け座８がレーザ溶接され ており、該取付け座８は、外周と内周に突き当て嵌合部９、１０を備え、外側の 突当て嵌合部９にはクランク軸１の外端が嵌合され、内側の突当て嵌合部１０に は軸受１１が嵌着されてクラッチ軸３ａの先端が支持される。弾性円板５の内周 のクラッチ２側には、弾性押さえ板１２が当接され、該弾性押さえ板１２、弾性 円板５及び取付け座８の各部材には、図２に示す共通のボルト穴１３が穿設され ており、該各部材は、ボルト１４でクランク軸１に固定されて結合部１５を構成 し、取付け座８と弾性円板１２は、半径差Ａをもつ。

【００１０】 弾性円板５の内周側には、平面部５ａと湾曲部５ｂを介してクランク軸１側に 傾くテーパ部５ｃが内側から順次設けられ、取付け座８の端面には、中心側の平 面部８ａと外周側の円弧状の受け面８ｂが連設され、弾性押さえ板１２にも平面 部１２ａと円弧状の受け面１２ｂが連設されている。

【００１１】 なお、図中１７はハブ、１８はクラッチフェーシング、１９はプレッシャプレ ートである。

【００１２】 いま、クランク軸１から軸方向の振動が伝わると結合部１５も軸方向に振動し 、弾性円板５の内周側が軸方向に交互に撓み、図で左側面が取付け座８の受け面 ８ｂに接触したのち、湾曲部５ｂの右側の凸面が弾性押さえ板１２の平面部１２ ａから受け面１２ｂにわたって接触する運動を繰返す。

【００１３】 弾性円板５は、ボルト穴１３を通るボルト１４によって加圧されているから、 図３に示すボルト穴１３の外側を通る菊花状の曲線２０を境界として、その内側 部分は撓まず、曲線２０に沿う部分が撓み、クランク軸１の首振り運動に伴って 撓み位置が移動し、撓み部分の長さは、該曲線２０から回転質量体４まで距離Ｒ ₁ からＲ₂まで交番的に変化する。

【００１４】 このように、弾性円板５が弾性押さえ板１２側へ曲がるときは、湾曲位置すな わち振動の節が絶えず変化し、その上、弾性円板５の湾曲部５ｂの凸の表面が弾 性押さえ板１２の受け面１２ｂと接触しながら相対移動して摩擦による振動の減 衰を生じさせ、これに加えて弾性押さえ板１２の弾性で緩衝作用が生じる。また 弾性円板５が反対側へ曲がるときは、半径差Ａをもつ軸側端面で湾曲するから、 弾性円板５に生じる軸方向の振動は、変動又は相殺を強制され、共振の発生は防 止される。

【００１５】 次に、図４、５に示す第２実施例は、第１実施例における弾性円板５と取付け 座８を一体にした構造の弾性円板２１が用いられたものである。該弾性円板２１ の中央には、同心状に突当て嵌合部２２、２３が形成され、クランク軸１と軸受 １１が嵌合されると共に、弾性押さえ板１２が添設され、これらのボルト穴１３ を通るボルト１４でクランク軸１に固定されている。

【００１６】 この実施例においても、振動又は共振の防止作用は第１実施例と同じである。

【００１７】 なお、各実施例において、前記半径差Ａは、軸側端面を弾性押さえ板より小径 とすることにより設定したものでもよい。

【００１８】

【考案の効果】

以上のように、弾性円板を弾性押さえ板を介して数個のボルトで軸方向に締結 したから、該弾性円板は、１回転中に締結部を花びら状に囲む線に沿って湾曲位 置が変わることにより振動の節が変化し、これと接触面の摩擦による振動減衰作 用で振動を抑制し、これらの抑制作用によって振動の増大又は共振が防止される 。

【図面の簡単な説明】

【図１】 第１実施例の断面図

【図２】 同上要部拡大図

【図３】 同上作用説明図

【図４】 第２実施例の断面図

【図５】 同上要部拡大図

【符号の説明】

１ クランク軸 ２ フレキシブルフライ
ホイール ４ 回転質量体 ５ 弾性円板 ８ 取付け座 １２ 弾性押さえ板 １４ ボルト Ａ 半径差

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 真野 高司 埼玉県和光市中央１丁目４番１号 株式会 社本田技術研究所内

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 弾性円板の外周側に回転質量体を設け、
   該弾性円板の内周側をクランク軸に固定したフレキシブ
   ルフライホイールにおいて、 前記弾性円板（５）は、クランク軸（１）側の軸側端面
   と弾性押さえ板（１２）で挾まれて、中心側を通る軸方
   向の数個のボルト（１４）で締結され、 前記軸側端面と弾性押さえ板（１２）の弾性円板（５）
   に対向する面の外周側に、円弧状の受け面（８ｂ、１２
   ｂ）を備えていること、 を特徴とするフレキシブルフライホイール。
2. 【請求項２】 弾性押さえ板（１２）に対向する凸の湾
   曲部（５ｂ）を弾性円板（５）に設けたこと、 を特徴とする請求項１のフレキシブルフライホイール。
3. 【請求項３】 軸側端面と弾性押さえ板（１２）に半径
   差（Ａ）があること、を特徴とする請求項１又は２のフ
   レキシブルフライホイール。