JPH07118576A - 光増感抗菌性塗料 - Google Patents

光増感抗菌性塗料

Info

Publication number
JPH07118576A
JPH07118576A JP5261393A JP26139393A JPH07118576A JP H07118576 A JPH07118576 A JP H07118576A JP 5261393 A JP5261393 A JP 5261393A JP 26139393 A JP26139393 A JP 26139393A JP H07118576 A JPH07118576 A JP H07118576A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antibacterial
coating
coating film
terthienyl
antifungal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP5261393A
Other languages
English (en)
Inventor
Mitsuo Takano
光男 高野
Yasuto Kobayashi
康人 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Saraya Co Ltd
Original Assignee
Saraya Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Saraya Co Ltd filed Critical Saraya Co Ltd
Priority to JP5261393A priority Critical patent/JPH07118576A/ja
Publication of JPH07118576A publication Critical patent/JPH07118576A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 充分な抗菌性と幅広い抗菌スペクトルとを有
し、安全性の高い塗膜を形成し得る抗菌性塗料、および
該塗料を用いて得られる抗菌性物品を提供すること。 【構成】 下記一般式〔I〕で表されるα−ターチエニ
ル類、および酸化亜鉛を含む顔料を含有する光増感抗菌
性塗料、および該塗料を物品の表面に塗布することによ
り得られる抗菌性物品である。 【化1】 ここで、R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立し
て、水素、メチル基、エチル基、ハロゲン、またはシア
ノ基である。好ましくは、この塗料は、プラスチック用
または塗料用の紫外線吸収剤をさらに含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光増感抗菌性塗料、お
よび該塗料を用いて得られる抗菌性物品に関する。詳し
くは、本発明は、建築物の外壁および内壁、太陽光また
は近紫外光を受ける必然性のある物体および構造物、あ
るいは太陽光または近紫外光を受けることが意図されて
いる物体および構造物の表面をコーティングして抗菌性
を発揮し得る抗菌性塗料、および該塗料を用いて得られ
る抗菌性物品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、抗菌性塗料としては、抗菌剤とし
て有機塩素化合物、チアベンダゾールなどを含む塗料が
多い。このような抗菌剤を含有した塗料でコーティング
がなされた場合でも、地下室、温泉の浴室、食品工場
(パン・マカロニ・ウドン・ハム・ソーセージ・カステ
ラ・餅・菓子などの工場)、醸造工場(ビール・清酒な
どの工場)などではカビの被害が多発している。このよ
うな微生物が繁殖しやすい場所での防カビ対策として、
市販の防カビ剤が使用されているが、効力の持続期間は
長くなく1週間程度経過すれば、再びカビが目に見えて
繁殖してくる。
【0003】このような場所以外でも、例えば今日のマ
ンションの約90%が、少なからずカビの被害を受けて
いることがわかっている。密室内のマンションの内壁に
はびこったカビの胞子が、エアコンなどのわずかな風圧
で、目には見えないが空気中に浮遊している。これを人
間が吸い込み、喘息、あるいは目のかぶれや鼻炎などの
アレルギー性疾患を引き起こす。
【0004】現在においても、このような方面に利用さ
れる塗料用の抗菌剤の開発が盛んである。しかし、今日
汎用されている抗菌剤は、抗菌力には問題がないが、人
間などの動物に対する毒性または刺激性が強かったり、
微生物の種類によって大きく効力が変化したりする。こ
のように、充分な抗菌性を有し、かつ人間などの動物に
対して比較的安全な抗菌性塗料は得られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解決するものであり、その目的とするところは、充
分な抗菌性と幅広い抗菌スペクトルとを有し、安全性の
高い塗膜を形成し得る抗菌性塗料、および該塗料を用い
て得られる抗菌性物品を提供することにある。
【0006】本発明の他の目的は、太陽光または近紫外
光照射を受けると抗菌性を発揮し得、上記の優れた性質
を有する塗料、および該塗料を用いて得られる抗菌性物
品を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】α−ターチエニルは、植
物のマリーゴールドの風乾根に約0.01%含まれてお
り、殺線虫物質として植物自体を保護する機能があるこ
とが知られている化合物である。発明者はこのα−ター
チエニル、およびα−ターチエニルの誘導体の抗菌作用
に注目し、本発明を完成するに至った。
【0008】本発明の光増感抗菌性塗料は、下記一般式
〔I〕で表されるα−ターチエニル類、および酸化亜鉛
を含む顔料を含有する:
【0009】
【化2】
【0010】ここで、R1、R2、R3、およびR4は、そ
れぞれ独立して、水素、メチル基、エチル基、ハロゲ
ン、またはシアノ基である。
【0011】好適な実施態様においては、上記塗料は、
さらに、プラスチック用または塗料用の紫外線吸収剤を
含有する。
【0012】本発明の抗菌性物品は、上記塗料を、物品
の表面に塗布することにより得られる。
【0013】本発明に用いられるα−ターチエニル類
は、下記一般式〔I〕で表される。
【0014】
【化3】
【0015】ここで、R1、R2、R3、およびR4は、そ
れぞれ独立して、水素、メチル基、エチル基、ハロゲ
ン、またはシアノ基である。好ましくは、R1からR4
全ての基がHであるか、あるいは以下に示す構造式を有
する。
【0016】
【化4】
【0017】上記α−ターチエニル類の光吸収波長の上
限は約400nmであり、吸収スペクトルのピーク波長
は約350nmである。α−ターチエニルがこの波長範
囲の光照射を受けた場合、後述のように、光増感により
殺菌力を発揮することが知られている。
【0018】以下に示す化合物もまた、α−ターチエニ
ル類の類似体として、本発明の抗菌性塗料に用いられ得
る。
【0019】
【化5】
【0020】本発明で用いられる顔料は、酸化亜鉛を含
む顔料である。本発明に用いられる酸化亜鉛は、ウルツ
型結晶構造を有する第2B族の金属酸化物である。この
ような酸化金属は、本発明で用いられ得る。酸化亜鉛粉
末は、亜鉛華として塗料およびプラスチック中に汎用さ
れる白色顔料であり、それ自体の抗菌力は全くないか、
または微弱な静菌作用にとどまる。しかし、後述のよう
に、α−ターチエニルと共存させると強い抗菌性を示
す。
【0021】上記酸化亜鉛は、複塩の状態で含有されて
いてもよい。酸化亜鉛は、ジンククロメートとして含有
されていてもよい。ジンククロメートは、黄色の無機顔
料でクロム酸亜鉛を主成分とする、ZnCrO4、K2
rO4、およびZnOの複塩である。この酸化亜鉛また
は酸化亜鉛化合物は、α−ターチエニル1重量部に対し
て5重量部以上の割合で、塗料中に含有される。
【0022】本発明の塗料は、好ましくは、プラスチッ
ク用または塗料用の紫外線吸収剤を含有する。この紫外
線吸収剤は、本発明の塗料を物品の表面に塗布して得ら
れる塗膜の化学的変化、例えば黄変などを防止し、さら
に抗菌力の低下を阻止する働きを得る目的で加えられ
る。例えば、ベンゾフェノン系、サリチレート系、ベン
ゾトリアール系などの紫外線吸収剤を、上記塗料に共存
させると、抗菌力の低下が著しく改善される場合があ
る。しかし、これらの紫外線吸収剤の効果がほとんどな
い場合もあるため、紫外線吸収剤の添加は任意である。
【0023】本発明の塗料は、通常、塗料用の樹脂成分
を含有する。樹脂成分としては、アクリル系樹脂、メタ
クリル酸系樹脂、アルキッド樹脂などが用いられる。本
発明の抗菌性塗料は、例えば、アクリル樹脂系エマルシ
ョンをベース塗料とし、これに上記α−ターチエニル、
顔料、および必要に応じて紫外線吸収剤を添加すること
により調製される。
【0024】本発明の抗菌性物品は、上記塗料を物品の
表面に塗布することにより得られる。本発明の塗料は、
特に、衛生的な環境が必要とされ、かつ太陽光または近
紫外光を受ける物品、例えば建物の内外壁、天井、床、
または種々の構造物に適用されて、抗菌性を提供する。
【0025】本発明の抗菌性塗料が物品表面に塗布さ
れ、乾燥すると、該塗料の塗膜が形成される。これに3
00〜400nmの波長を含む光、例えば太陽光や近紫
外光が照射されると、該塗膜は抗菌性を発揮する。この
抗菌性を発揮する成分はα−ターチエニル類であり、α
−ターチエニル類の光増感による殺菌作用を以下に述べ
る。α−ターチエニル類の光増感機構を図1に示す。図
1中およびそれに関連する本明細書の部分では、α−タ
ーチエニル類はαTで示される。基底状態1αTは、太
陽光あるいは近紫外光の照射を受けることにより励起一
重項状態1αT*となる。1αT*の寿命は短いので、素早
く項間交差により励起三重項状態3αT*となる。この3
αT*が、周囲の基底状態の酸素分子32にエネルギー
を移行し、励起一重項状態の酸素分子12 *を生じさせ
る。この12 *は長い寿命を有し(水中では約2μ
s)、周囲の物質と衝突して反応することができる。す
なわち、αTは光照射により励起したエネルギーを酸素
分子に移し、12 *(一重項酸素)を生じさせ、αT自
体は元の基底状態に戻る。この循環により発生した一重
項酸素が、標的である周囲の菌体を攻撃し、死滅に至ら
せる。標的の菌体との反応後、一重項酸素は消滅するの
で、残存毒性を回避することができる。
【0026】本発明の塗料中に含有される上記酸化亜鉛
は、約380nm以下の波長に強い光吸収を有し、α−
ターチエニル類と共存すると、上記のα−ターチエニル
類の作用を補助し増強する役割を果たす。よって、α−
ターチエニル類と酸化亜鉛を含有した塗膜は、α−ター
チエニル類のみを含有する塗膜に比べて抗菌力が大きく
向上する。
【0027】このように、本発明の塗料を物品の表面に
塗布して得られる塗膜は、太陽光または近紫外光の照射
を受けた場合に、上記のような光増感機構で、塗膜表面
近辺に存在する微生物を死滅させる性質を有する。
【0028】以上により得られる本発明の塗料および該
塗料を用いて得られる抗菌性物品は、充分な抗菌性、お
よび幅広い抗菌スペクトルを有し、かつ人間などの動物
にとって安全性が高い。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて詳しく説明す
る。
【0030】(実施例1)α−ターチエニル類として、
α−ターチエニルを用い、顔料として亜鉛華、酸化チタ
ン(ルチル型またはアナターゼ型)など10種類の顔料
(図1にその種類を示す)のうちの1種を用いた。ベー
ス塗料としては、アクリル樹脂系エマルジョン(不揮発
性残分約35%)を用い、次の方法により、各顔料を含
む10種類の塗料を得た。まず、エチルセロソルブ2m
l中にα−ターチエニル0.05gを溶解させ、次い
で、この液にベース塗料を10g添加し攪拌した。これ
にトリポリリン酸ソーダを0.3g添加して溶解させ、
次いで、顔料を3.5g添加し、激しく攪拌し分散させ
た。
【0031】上記のように調製された塗料0.5gを、
内径5cmのガラス製シャーレに流し込み、シャーレを
適当に傾けて均一に広げた。次いで、約70℃で20分
間、揮発分を蒸発させて、塗膜を形成した。得られた塗
膜中の顔料濃度は50%である。これとは別に、顔料を
添加しない塗料を調製し、同様に塗膜を得た。
【0032】この試験塗膜を用いて、以下に述べる殺菌
力評価法に従って、抗菌力を評価した。
【0033】<殺菌力評価法>大腸菌(Escherichia co
li K12 W3110)の懸濁液(液体ブイヨン培地で20時間
培養し、次いで遠心分離により沈澱物を3回洗浄して5
0mMのリン酸緩衝水に懸濁した大腸菌)を塗膜上に4
ml滴下し、これをブラックライトランプ(照射波長3
00〜400nm)で光強度0.3mW/cm2で2時
間照射した。次に塗膜上の菌液中の生菌数を、生育遅れ
法(J. Ferment. Technol., vol.60 (1982), 189-198)
により測定した。
【0034】実施例1で用いた顔料、および菌液中の生
菌数の減少率を以下の表1に示す。表1において、生菌
数の減少率は対数表示で示されている。
【0035】
【表1】
【0036】表1の(11)と(12)の結果を比較すると、α
−ターチエニルが塗料中にを含有されると抗菌力が発揮
されるが、α−ターチエニル含有塗膜であっても光照射
を受けなければ抗菌力は発揮されないことが理解され
る。
【0037】酸化亜鉛を含む顔料である(1)亜鉛華およ
び(10)ジンククロメートが塗料中に含有されていると、
α−ターチエニルの抗菌力が増強される。これに対し
て、酸化亜鉛以外の酸化金属を含有する顔料(2)〜(9)を
含む塗料ではα−ターチエニルの抗菌力は増強されな
い。
【0038】(実施例2)顔料として亜鉛華を使用し、
該亜鉛華の量を0,0.2,0.4,1.6,または
3.5gとして、実施例1に準じて5種類の塗料を作成
した。コントロールとしてα−ターチエニルを含有しな
い塗料を調製して、亜鉛によるα−ターチエニルの抗菌
力の増強効果を比較した。この調製された塗料約0.1
gを内径5cmのガラス製シャーレにハケで均一に塗
り、約90℃で2分間、揮発分を蒸発させた。この操作
をさらに2回繰り返して、塗膜を形成した。この塗膜中
の顔料の重量濃度が0,5,10,30,または50%
となるように調製した。これらの塗膜について、光照射
(光強度0.3mW/cm2)を実施例1と同様に行
い、または暗室に放置した後、実施例1と同様の殺菌力
評価法に従って、抗菌力を調べた。
【0039】実施例2で得られた、亜鉛華によるα−タ
ーチエニルの抗菌力の増強効果の結果を図2に示す。図
中の○はα−ターチエニル含有塗膜に光照射した場合の
結果を示し、□はα−ターチエニル非含有塗膜に光照射
した場合の結果を示す。△はα−ターチエニル含有塗膜
を暗室に置いた場合の結果を示す。
【0040】図2から明らかなように、本発明の実施例
となるα−ターチエニルを含有させた塗膜で、光照射し
た場合は、亜鉛華濃度が増加するほど抗菌力が上昇す
る。これに対して、α−ターチエニルを含有させない膜
では、光照射時でも、亜鉛華濃度に関わらず、抗菌力は
ほとんど見られない。暗室放置した場合は、α−ターチ
エニルが含有しても顔料濃度に関わらず、抗菌力はほと
んど見られない。
【0041】(実施例3)実施例1と同様の方法で調製
したα−ターチエニルおよび亜鉛華含有塗膜上に、以下
に示す菌株の懸濁液を4ml添加して、実施例1と同様
の殺菌力評価法に従って各菌株に対する抗菌力を調べ
た。菌株の懸濁液の調製は、次に示す方法によって行っ
た。Escherichia coli K12W3110、Psedomonas aerugino
sa ATCC23268、Staphylococcus aureus 209P、およびMi
crociccus luteus ATCC4698の4菌株は、液体ブイヨン
培地で37℃で20時間培養し、遠心分離によりこれを
3回洗浄して50mMのリン酸水に懸濁したもの(約1
9/ml)を供試菌液として塗膜上に滴下した。Sacch
aromyces cerevisiae 8288Cの菌株は、PGY培地(ペ
プトン2%、ブドウ糖1%、酵母エキス0.5%)で2
5℃で24時間培養し、次いで上記の4菌株と同様にし
て懸濁液を調製した。Bacillus subtilis var niger OU
T4380(栄養細胞)の菌株は、液体ブイヨン培地で37
℃で12時間培養し、次いで上記の4菌株と同様にして
懸濁液を調製した。Bacillus subtilis var niger OUT4
380(胞子)の菌株は、胞子形成寒天培地(Nutrient Br
oth 16g、CaCl2 0.05g、MnCl2・4H
2O 0.05g、寒天 15g、蒸留水1リットル)
で37℃で1週間培養したものを掻き取り、50mMリ
ン酸緩衝水に懸濁させた。
【0042】実施例3で得られた結果を図3に示す。斜
線部はα−ターチエニルのみを含有する塗膜における生
菌数の減少率(対数値)を示し、横線部はα−ターチエ
ニルおよび亜鉛華を含有する塗膜における生菌数の減少
率(対数値)を示す。
【0043】図3から明らかなように、Staphyloccus a
ureus およびBacillus subtilis var niger(栄養細
胞)のような典型的なグラム陽性菌に対しては、塗膜は
特に強い抗菌力を示した。Bacillus subtilis var nige
r(胞子)およびSaccharomycescerevisiae に対して
は、比較的抗菌力は低かった。残りのグラム陰性菌に対
しては、上記の2つの性質の菌株の中間程度の抗菌力を
示した。いずれの菌株においても、亜鉛華の存在によっ
てα−ターチエニルの殺菌力は大きく増強した。
【0044】(実施例4)こうじ菌(Aspergillus nige
r OUT5171)の胞子をポテトデキストロース寒天培地上
で30℃で2週間培養し、これをTween 80
0.05%水溶液に浸して掻き取り、同液に懸濁したも
のを供試菌液として使用した。Tween80は、疎水
性の胞子を水溶液中に分散しやすくするために添加する
物質であって、殺菌力試験の結果に大きな影響を及ぼす
ことはない。試験塗膜は、塗膜中の亜鉛華重量濃度が0
または50%となるように、表2に示す4種類の塗膜<1
>〜<4>を、実施例2と同様の方法を用いて調製した。シ
ャーレ中のこの塗膜上にポテトデキストロース寒天培地
3mlを滴下し、完全に培地を覆った。この培地上に供
試菌液(胞子数109/ml)100μlを滴下してコ
ンラージ棒により表面に広げた。この状態でブラックラ
イトランプにより光強度0.6mW/cm2で16時間
照射した後、30℃で暗室で2日間培養した。抗菌力
は、目視で、寒天平面上を胞子および菌糸がどの程度覆
っているかということで判定した。その結果を表2に示
す。
【0045】(実施例5)実施例1と同様の方法を用い
て、実施例4と全く同様の4種の塗膜を調製した。同様
に寒天培地を滴下した上面にAspergillus niger OUT517
1のTween80 0.05%含有胞子懸濁液(胞子
数104/ml)100μlを寒天表面に滴下してコン
ラージ棒で全体に広げた。これを日当りのよい室内の窓
際に1週間放置した後、実施例4と全く同様にして、胞
子および菌糸の生育程度を黙視で判定した。その結果を
表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】表2の実施例4の項から明らかなように、
α−ターチエニルおよび亜鉛華を共に含有する塗膜で
は、胞子および菌糸の発育が全くみられないのに対し
て、この両方を全く含有しない塗膜では、全面を胞子お
よび菌糸が覆う。亜鉛華を含有せずα−ターチエニルを
含有する塗膜の場合には、ある程度の殺菌効果がみられ
るが、両方を含有する塗膜と比較すると亜鉛華の添加効
果は大きい。亜鉛華自体も試験菌(Aspergillus niger
OUT5171)に対しては防カビ能を有する。最も高い殺菌
効能を有するのは、本発明の実施例となるα−ターチエ
ニルおよび亜鉛華の両方を含有させた塗膜である。
【0048】表2の実施例5の項から明らかなように、
α−ターチエニルを含有する塗膜は、亜鉛華の有無に関
わらず胞子および菌糸の生育は全くみられず、α−ター
チエニルおよび亜鉛華の両方を含有しない塗膜と比較し
て、有する殺菌効能は明白である。よって、本発明の実
施例となるα−ターチエニルおよび亜鉛華の両方を含有
させた塗膜は、太陽光の照射により抗菌作用を有する。
【0049】(実施例6)表2に示す4種の塗膜を直接
ブラックライトランプで光強度0.3mW/cm2で2
0時間照射したところ、α−ターチエニルを含有する塗
膜(<2>と<4>)の表面が著しく黄変した。さらに、この
黄変に伴って、塗膜の殺菌効力が大きく低下した。次
に、この黄変を防ぐため、塗料中に紫外線吸収剤を入れ
ることを試みた。表3に示す組成の塗膜を、以下に示す
方法によって調製した。まず、エチルセロソルブ2ml
中にα−ターチエニル0.07gを溶解し、次いで、下
式〔II〕に示す紫外線吸収剤を0,0.30,または
0.38g添加し、溶解した。
【0050】
【化6】
【0051】ここで得られた各液にベース塗料を10g
添加し攪拌し、次いで、トリポリリン酸ソーダを0.3
g添加し溶解した。さらに、亜鉛華を0gまたは3.8
g添加し、激しく攪拌し、分散させることにより、塗料
を得た。上記のように調製された塗料約0.1gを内径
5cmのガラス製シャーレにハケで均一に塗り、約90
℃で2分間、揮発分を蒸発させた。この操作をさらに2
回繰り返して、塗膜を調製した。調製された塗膜をブラ
ックライトランプによって光強度0.3mW/cm2
近紫外光を0,5,10,15,または20時間照射し
た。次いで、実施例1における殺菌力評価法に従って抗
菌力を調べた。
【0052】実施例6で用いた塗膜の組成およびその黄
変の有無を、表3に示す。
【0053】
【表3】
【0054】実施例6から得られる、塗膜の抗菌力にお
ける塗膜中の紫外線吸収剤による効果を図4に示す。こ
の図4中で、表3中のの結果を線Aに、の結果を線
Bに、の結果を線Cに、の結果を線Dに、の結果
を線Eに、そしての結果を線Fに示す。
【0055】表3から、α−ターチエニルの存在する塗
膜の黄変(および)は、紫外線吸収剤の添加によっ
て抑制できることがわかる。
【0056】図4のAおよびDから、紫外線吸収剤の添
加は、α−ターチエニルが有する抗菌力には影響を及ぼ
さないことがわかる。α−ターチエニルが存在する場
合、紫外線吸収剤が添加されていなければ(Bおよび
C)、光照射時間が長くなるほど抗菌力は次第に低下し
てくる。紫外線吸収剤が添加されていれば(Eおよび
F)、同条件では抗菌力が長時間維持される。
【0057】本実施例では、ベンゾフェノン系の紫外線
吸収剤を使用した例を示したが、サルチレート系または
ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤を使用した場合で
も同様の効果があることが確認された。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、太陽光または近紫外光
を受ける面に付与すると、充分な抗菌力と幅広い抗菌ス
ペクトルとを有し、かつ安全性が高い塗膜が形成される
抗菌性塗料が提供される。この塗料を各種物品の表面に
塗布することにより、抗菌性物品を得ることができる。
さらに、上記塗料に紫外線吸収剤を添加することによっ
て、この抗菌力を長時間維持することが可能になる。塗
料中に含有しているα−ターチエニル類の抗菌力は、酸
化亜鉛を含む顔料により強化されているため、α−ター
チエニル類が少量でも大きな抗菌力を得ることができ
る。このような塗料は、衛生的な環境が必要とされ、か
つ太陽光または近紫外光を受ける、建物の内外壁、天
井、床、各種構造物などの表面のコーティングに広く利
用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】α−ターチエニル類の光増感の機構を示す図で
ある。
【図2】塗膜中において、α−ターチエニルの光照射に
よる、抗菌力の、亜鉛酸化物による増強効果を示すグラ
フである。
【図3】α−ターチエニルおよび亜鉛華を含む塗料から
形成された塗膜の、種々の菌株に対する抗菌性を示すグ
ラフである。
【図4】α−ターチエニル、亜鉛華、および紫外線吸収
剤を含む本発明の塗料、および含まない塗料の、近紫外
線照射による抗菌性の変化を示すグラフである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式〔I〕で表されるα−ターチ
    エニル類、および酸化亜鉛を含む顔料を含有する光増感
    抗菌性塗料: 【化1】 ここで、R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立し
    て、水素、メチル基、エチル基、ハロゲン、またはシア
    ノ基である。
  2. 【請求項2】 プラスチック用または塗料用の紫外線吸
    収剤をさらに含有する、請求項1に記載の塗料。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の塗料を物品の
    表面に塗布することにより得られる抗菌性物品。
JP5261393A 1993-10-19 1993-10-19 光増感抗菌性塗料 Withdrawn JPH07118576A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5261393A JPH07118576A (ja) 1993-10-19 1993-10-19 光増感抗菌性塗料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5261393A JPH07118576A (ja) 1993-10-19 1993-10-19 光増感抗菌性塗料

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07118576A true JPH07118576A (ja) 1995-05-09

Family

ID=17361243

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5261393A Withdrawn JPH07118576A (ja) 1993-10-19 1993-10-19 光増感抗菌性塗料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07118576A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008102822A1 (ja) 2007-02-20 2008-08-28 Fujifilm Corporation 紫外線吸収剤を含む高分子材料
WO2008123504A1 (ja) 2007-03-30 2008-10-16 Fujifilm Corporation 紫外線吸収剤組成物
WO2009022736A1 (ja) 2007-08-16 2009-02-19 Fujifilm Corporation ヘテロ環化合物、紫外線吸収剤及びこれを含む組成物
WO2009123142A1 (ja) 2008-03-31 2009-10-08 富士フイルム株式会社 紫外線吸収剤組成物
WO2009123141A1 (ja) 2008-03-31 2009-10-08 富士フイルム株式会社 紫外線吸収剤組成物
WO2009136624A1 (ja) 2008-05-09 2009-11-12 富士フイルム株式会社 紫外線吸収剤組成物

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008102822A1 (ja) 2007-02-20 2008-08-28 Fujifilm Corporation 紫外線吸収剤を含む高分子材料
WO2008123504A1 (ja) 2007-03-30 2008-10-16 Fujifilm Corporation 紫外線吸収剤組成物
WO2009022736A1 (ja) 2007-08-16 2009-02-19 Fujifilm Corporation ヘテロ環化合物、紫外線吸収剤及びこれを含む組成物
WO2009123142A1 (ja) 2008-03-31 2009-10-08 富士フイルム株式会社 紫外線吸収剤組成物
WO2009123141A1 (ja) 2008-03-31 2009-10-08 富士フイルム株式会社 紫外線吸収剤組成物
WO2009136624A1 (ja) 2008-05-09 2009-11-12 富士フイルム株式会社 紫外線吸収剤組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Ratova et al. Highly efficient photocatalytic bismuth oxide coatings and their antimicrobial properties under visible light irradiation
AU2011201467B2 (en) Antibacterial polymer emulsion and coating composition
CN101454300B (zh) 固定的1,2-苯并异噻唑啉-3-酮
RU2647086C2 (ru) Покрытие поверхности
WO2001050864A1 (fr) Agents antibacteriens d&#39;imputrescibilisation et compositions antibacteriennes d&#39;imputrescibilisation
US20160007596A1 (en) High quality antimicrobial paint composition
US3615745A (en) Antimicrobial coatings and method using diiodomethyl sulfones
EP3148332A1 (en) Coating antimicrobic film compositions
CA3014757C (en) Benzoxaborole-containing coating resistant to cellulose-supportable fungus
JP2005281299A (ja) 抗菌・防カビ剤及びそれを用いた塗料組成物
JPH07118576A (ja) 光増感抗菌性塗料
WO2017079825A1 (en) Monomers, polymers and coating formulations that comprise at least one n-halamine precursor, a cationic center and a coating incorporation group
US10370544B2 (en) High quality biocidal paint
CN111683692A (zh) 内墙面消毒的光催化方法和具有光催化性能的可清洗杀菌涂料的组合物
EP0756598B1 (en) Substituted 5,6-dihydro-5-oxo-1,4-dithiino-(2,3-d)-pyridazine-2,3-dicarbonitriles, compositions containing them and their use as antimicrobials
US5631277A (en) (2-one (or thione)-1,3-dithiole 4,5-diyl) bis(thiocyanate) compounds, compositions containing the compounds and their use as an antimicrobial and marine antifouling agents
US20100137272A1 (en) Zinc Salt Of Isothiazolone Compound, Method For Reducing Irritation Caused By Isothiazolone Compound, Antibacterial and Antifungal Method Using Zinc Salt of Isothiazolone Compound, and Antibacterial and Antifungal Composition
US3852436A (en) Biocidal compositions and their method of preparation employing a grapefruit derivative
EP0912580A2 (en) 5h-pyrrolo(3&#39;,4&#39;:5,6)(1,4)dithiino(2,3-c)-(1,2,5)thiadiazole-5,7(6h)-dione, compositions containing them and their use as antimicrobial and marine antifouling agents
RU2787282C1 (ru) Стальной лист с антимикробным полимерным покрытием
US5200409A (en) Composition and use of substituted 1,3-dithiolo-and 1,4-dithiinoquinoxalines as an antimicrobial
JP2003160412A (ja) 粉体抗菌剤
EA045350B1 (ru) Стальной лист с антимикробным полимерным покрытием
WO2016042280A1 (fr) Conjugues d&#39;acide amine-pyridine/pyridinium et leurs utilisations en tant qu&#39;agents biocides
JP2001115095A (ja) 抗菌防カビ性塗料組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20001226