JPH07111889B2 - 電気コネクタ組体及びシェル内にインサートを保持する方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はシェル内にインサートを保持する装置を有する
分離可能な電気コネクタに関する。

〔従来の技術〕

この種の電気コネクタは金属製のシェル内に保持された
絶縁体のインサートを備え、別の第２のコネクタの複数
の端子と夫々係合するように該シェルから電気的に絶縁
された複数の端子を担持している。絶縁体のインサート
は一般に硬くまた回路絶縁に適したすぐれた絶縁性を有
する熱硬化性又は熱可塑性の材料で作られる。

〔発明が解決しようとする問題点〕

インサート組付体をシェル内に保持する従来の装置にシ
ェルの据え込み型接合具、金属環型接合具、銅網・エポ
キシ樹脂薄板型接合具等がある。これらの装置は保持力
がすぐれているインサートとシェル間に導電経路ができ
る欠点がある。1977年４月26日及び1978年７月11日にBo
uvierに投与された米国特許第4,0199,799号の「電気コ
ネクタ」及び米国特許第4,099,233号の「電気コネクタ
の製造方法」は押しつぶし作用によって導電網の薄板が
変形すると該網が硬質のウエハーと弾性のグロメット間
の接着境界面に入り込んで外列の端子とシェル間に導電
経路ができてその結果地絡を起すことが知られている。

別の従来装置にエポキシ樹脂の接合具、エポキシ樹脂に
よる締りばめ型接合具、自動止め型接合具がある。これ
らの装置では導電経路はできないがインサートの保持が
良好でない。エポキシ樹脂の接合具は極端な温度、圧力
条件で破損せぬための補強物を備えていない。またエポ
キシ樹脂の締りばめは公差によっては締り方が十分では
ない。接合部がすべりのあるゆるい締りであるためイン
サートが脱け易い。自動止め型は製作公差が難しいこと
に原因して締りがゆるくなる。

他の装置では非金属の網状薄板を利用したものがある。
この装置は保持性が良くまたインサートとシェル間に導
電経路ができないが取扱い及び処理が困難である。

従って、費用がかゝらず、種々の直径及び種々の内部断
面積を有するコネクタシェルに広範囲に適用することが
でき、製造が容易でかつ使用者が挿入・保持を確実に行
ない得る非導電性インサート保持装置が望まれている。

〔問題を解決するための手段〕

上記の目的を達成する本発明は、内壁部に環状溝を有す
る金属製シェルと、該シェル内に配設されてシェルとイ
ンサート間に環状空間を形成するようにされた外表面を
有する絶縁性インサートとシェル内にインサートを保持
するインサート保持部材とを備える。

本発明によれば、保持部材は軸線方向に弱められた複数
の柱状部を形成するために、長手方向の複数の溝によっ
てその前面に沿って波形に形成された撓み易い熱可塑性
材料で作られた細長い帯状体であり、該帯状体の前面部
がインサートとシェル間に形成された環状空間の前端の
軸線方向の面に当接した時に、アコーディオン状に互に
折曲げ状に折りたたまれて該環状空間内に半径方向に干
渉状に押し込まれるものである。シェルにはインサート
の外表面を取囲んだ環状溝を有する内壁部が形成されて
おり、該環状溝と保持部材の折りたたまれた部分と協働
して、挿入されたインサートを固くくさび止めし、該イ
ンサートを引抜くにはアコーディオン状に折りたたまれ
た部分を剪断するのに十分な剪断力をかけなくては不可
能である。

〔実施例〕

第１図は金属製のコネクタシェル10、誘電インサート2
4、インサート保持部材44及び挿入工具70を示し、各部
品は組付体の中心軸線に沿って同軸状に整合されてい
る。インサートとシェルとは、該インサートをシェルに
嵌入した時に相互間にインサート保持部材を収容する軸
線方向に延びた環状空間72が形成されるように互に相補
状断面に形成されている（第４図参照）。シェルとイン
サートは夫々一体状の円筒に形成されているが、インサ
ート保持作用の説明を明瞭にするために図には断片状に
示す。

シェル10の軸線方向両端は開口していて前部咬合端部11
と、後部入口端部13と、内壁部12と、内壁部に配設した
環状溝19と、内壁部から半径方向内方に延びたフランジ
20とを備える。環状溝19は、中心軸線に略直交した平面
に配設されかつ後方を向いた軸線方向の面16と、前方に
向って拡径した切頭円錐形の軸線方向の面18と、両面1
6,18間に延びて内部壁12に対して略同軸状に延びた環状
壁部14とを備える。半径方向のフランジ20は、後方に向
きかつインサートのシェル内における軸線方向の挿入を
制限するストッパ部分を形成している。

インサート24は通常トーロン（Torlon）で作られ、前面
部28と、後面部26と、両面部26,28間に延びて内部に電
気的接触体（図示せず）を収容する複数の通路30とを備
える。又インサートは段階状断面を有し、外面部を画定
する第１の面部34と、該外面部から半径方向外方に延び
てカラー部32を画定する第２の面部40と、外面部から半
径方向内方に延びて肩部41を画定する第３の面部42とを
備える。これらの各面部34,40,42はインサートの中心軸
線に対して同軸状に形成されている。カラー部32は後方
に向いた後面部36と、前面に向きかつ半径方向のフラン
ジ20の端壁部22に衝合する前面部38を備える。カラー部
の外面部を画定するインサートの第２面部40はシェル10
の内壁部12に対して遊隙を有していて、インサートをシ
ェル内に挿入した時にカラー部32の後面部36が環状溝19
の中頃に位置するように形成されている。図から判かる
ように、一対の円筒状インサートが31で示した接着境界
面において一体状に接着されている。

インサート保持部材44は熱可塑性の平坦なシート状材料
から筒状スリーブに形成される。保持部材44の前方部46
は後方部48よりも薄く形成され、前方部46の前面部50は
該前面部から後面部52に向って延びた複数の溝60によっ
て波形輪郭に形成されている。

インサート保持部材44は弾発的に変形可能であり、ひび
割れすることなく、延伸性がよく、剪断強度が大でかつ
耐熱性のある材料、例えばポリエーテルサルフォン及び
ポリエーテルイミド等の熱可塑性材料で出来ている。

挿入工具70は本体68と、該本体68から前部作用面66に向
けて延びる円筒状マンドレルとを備える。前部作用面66
は、保持部材44の後面部52に衝合されて、インサートが
シェル内に挿入されている時にシェルの内壁部とインサ
ートの外面間の環状空間72に保持部材44を押込み得るよ
うになっている。

第２図は第３図のII−II線に沿って見たインサート保持
部材44の断面図を示す。保持部材は内外面が互に平行に
形成された前方部46と後方部48からなり、前方部46は後
方部48よりも薄く形成され、両部46,48の境界をなす前
方向きの端壁部54はインサート24の肩部41に当接して２
部分からなるインサートを後部から保持するように形成
されている。

第３図は保持部材44が非導電性熱可塑性材料からできた
連続状の細長い帯状体44′から作られることを示す。帯
状体44′が矢印Ａの方向に送られるにつれて前面部50か
ら後面部52に向けて内方にかつ前面部50に対して直角に
延びた複数の溝60を刻設して横方向に分離した複数の軸
線方向の弱められた柱状部62を形成する。この柱状部62
は適宜の外力をかけることにより折りたたみ得るように
なっている。帯状体に最初に溝を刻設し、次に個々の保
持部材を構成するように短切帯状体に切断する。上記の
切断は、帯状体44′の前後面部に対して直角に切って図
示のように横方向の端面56,58を有する矩形状に形成し
てもよく、或は前後面部に対して鋭角状に切って平行四
辺形状（図示せず）に形成してもよい。所望の形状・輪
郭に切断した後に短切帯状体を輪状に丸め、両方の横方
向の端面を互に突合わせて環状空間72に挿入するのに適
した断面を有する筒形スリーブを形成する。図示の溝60
はＵ形の根元部を有しているが、別の形状にすることも
できる。

第４図はコネクタシェル10内に遊嵌したインサート24を
示し、カラー部32の前面部38を半径方向のフランジ20の
端壁部22に当接させてカラー部が環状溝19によって包囲
されるように該環状溝内にインサート24が位置決めされ
ている。インサートの外面とシェルの内壁部12間には軸
線方向に延びた環状空間72が形成される。シェルの後部
入口端部13から、この環状空間72内に保持部材44を挿入
する。後方部48の端壁部54と前方部46の前面部50間の距
離と、インサートの肩部41とシェルの第１の軸線方向の
面16間の距離との差によって折りたたみ用空間が形成さ
れる。この折りたたみ用空間内で保持部材44の前方部46
をアコーディオン状に折りたたんで環状溝19内に該保持
部材を半径方向にくさび状に押込むようになっている。

インサートの後面部36を軸線に対して直角状に形成した
が、後面部36の面をテーパ面に形成してもよい。

第５図は環状空間72内に保持部材44をさらに押し込んた
最終状態を示す。保持部材44の前面部50は押込まれて環
状溝19の後方を向いた軸線方向の面16に当接している。
さらに外力を加えることにより、保持部材の柱状部62は
アコーディオン状に折りたたまれ、堆積状に折曲げられ
て半径方向上方に押込まれる。折曲げられてアコーディ
オン状になった部分は環状溝内及びインサートの周りに
喰込み状に押込まれてインサートとシェルを固く結合す
る。端壁部54がインサートの肩部41に当接することによ
って組付者はアコーディオン状折りたたみよるくさび止
めが完了したことを知る。

複数の半径方向の柱状体を折曲げて形成したアコーディ
オン状の部分が軸線方向の面間及び環状溝内に構成され
るので、折りたたみ部を剪断するのに十分な剪断力をか
けない限りはインサートを引抜くことはできない。

【図面の簡単な説明】

第１図はコネクタ組合せ体を分解して示した部分断面図
で、該コネクタ組合せ体はシェル内に挿入されるインサ
ートと、組合せられたシェルとインサート間に筒形スリ
ーブ状のインサート保持部材を押入する位置にある挿入
工具とを含み、第２図はインサート保持部材の拡大断面
図、第３図は長尺帯状体と、該帯状体から形成した第２
図のインサート保持部材とを示す平面図、第４図はシェ
ル内に配設されたインサートと、両者間の軸線方向の環
状空間内に挿入されるインサート保持部材とを示す部分
断面図、第５図は各部品の組合せ関係を示す部分断面図
である。 10……シェル、12……内壁部、 14……環状内壁部、16……軸線方向の面、 18……切頭円錐形の軸線方向の面、 19……環状溝、20……フランジ、 24……インサート、32……カラー部、 38……前面部、44……保持部材、 44′……細長い帯状体、46……前方部、 48……後方部、50……前面部、 52……後面部、56,58……横方向の端面、 60……溝、62……柱状部、 72……環状空間。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−109275（ＪＰ，Ａ) 特開 昭56−136478（ＪＰ，Ａ)

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】円筒状の内壁部（12）を有するシェル（1
   0）と、円筒状の外表面を有するインサート（24）と、
   インサートをシェル内に保持する保持手段とを備え、イ
   ンサートをシェル内に挿入したときに上記内壁部と上記
   外表面との間に環状空間（72）が形成される電気コネク
   タ組体において、 上記保持手段は、上記シェルと上記インサートとの間で
   折りたたまれて半径方向にくさび状に押し込まれる変形
   可能な材料で形成された環状の保持部材（44）からな
   り、 該保持部材は前方部（46）と後方部（48）とを備え、該
   前方部が、軸線方向に刻設された溝（60）を有し、軸線
   方向及び半径方向に潰すように折りたたまれて上記環状
   空間（72）内に干渉状に押し込まれていること、 を特徴とする電気コネクタ組体。
2. 【請求項２】上記保持部材（44）は細長い帯状体（4
   4′）を円筒状に曲げて形成したものであり、該帯状体
   は、前面部（50）及び後面部（52）と、該前面部から後
   方に延びた複数の長溝（60）とを有し、該長溝が、上記
   環状空間内で潰すように折りたたまれる横方向に分離さ
   れ弱められた複数の軸線方向柱状部（62）を画成する特
   許請求の範囲第１項に記載の電気コネクタ組体。
3. 【請求項３】上記シェルの内壁部が上記インサートの外
   表面を取り囲むフランジ（20）と環状溝（19）とを備
   え、上記インサートが該フランジ（20）に当接される前
   面部（38）を有し、該環状溝が軸線方向の面（16）を有
   し、かつ折りたたまれる上記柱状部（62）の前端部分を
   収容するように形成され、該軸線方向の面が、上記保持
   部材の長溝を刻設した前面部（50）を潰すように折りた
   たむためのストッパを構成する特許請求の範囲第２項に
   記載の電気コネクタ組体。
4. 【請求項４】上記シェルの内壁部と上記インサートの外
   表面と上記環状空間とは同軸心状に配列され、上記環状
   溝（19）が、上記軸線方向の面（16）と、前方を向いた
   切頭円錐形の第２の軸線方向の面（18）と、軸線方向の
   両面（16,18）間に延びた第２の環状内壁部（14）とを
   備える特許請求の範囲第３項に記載の電気コネクタ組
   体。
5. 【請求項５】略円筒状の内壁部（12）を有するシェル
   （10）内に略円筒状のインサート（24）を保持する方法
   であって、 上記内壁部（12）に環状溝（19）を刻設して後方を向い
   た軸線方向の面（16）を形成し、 上記インサート（24）の断面を削減してその外表面を減
   少させるとともに該外表面から半径方向外方に延びるカ
   ラー部（32）を形成し、上記内壁部の直径を、該カラー
   部が遊嵌されかつ該内壁部の周辺に環状空間（72）が画
   成されるように設定し、 変形可能な非導電材料の細長い帯状体（44′）から複数
   の帯状部分を除去して、横方向に分離され軸線方向に弱
   められた複数の柱状部（62）を形成し、 上記帯状体（44′）から、上記環状空間の断面に対応し
   た断面を有する保持部材（44）を形成し、 上記カラー部（32）が上記軸線方向の面（16）に隣接す
   るように上記インサートを上記シェル内に挿入し、 上記保持部材をその前面部（50）が上記軸線方向の面
   （16）に係合するのに十分な距離だけ上記環状空間内に
   軸線方向に挿入し、上記柱状部（62）を上記環状空間内
   で軸線方向及び半径方向に折りたたみかつアコーディオ
   ン状に折り重ねて上記インサートと上記シェルとの間に
   干渉状に押し込むのに十分な外力により、さらに挿入を
   継続する、 各段階を有したことを特徴とするシェル内にインサート
   を保持する方法。
6. 【請求項６】細長い帯状体（44′）から複数の帯状部分
   を除去する上記段階は、該帯状体（44′）の前面部（5
   0）から後方に向かって溝切りをして、横方向に間隔を
   あけた細長い溝（60）及び柱状部（62）を形成すること
   を含む特許請求の範囲第５項に記載の方法。
7. 【請求項７】上記細長い帯状体（44′）が、連続状で略
   一様断面に形成され、かつ上記前面部（50）に略平行な
   後面部（52）を有し、帯状体から保持部材を形成する上
   記段階は、上記細長い帯状体を横方向の両端面（56,5
   8）を有する短切帯状体に切断し、それら両端面を衝合
   して上記保持部材（44）を形成することを含む特許請求
   の範囲第５項又は第６項に記載の方法。
8. 【請求項８】上記の切断を上記前面部（50）及び上記後
   面部（52）に対して略直角に行って略矩形状の短切帯状
   体を形成し、保持部材を形成する上記段階が、それら両
   端面を衝合して閉じたスリーブを形成することを含む特
   許請求の範囲第７項に記載の方法。
9. 【請求項９】上記の切断を上記前面部（50）及び上記後
   面部（52）に対して斜めに行って略平行四辺形状の短切
   帯状体を形成し、保持部材を形成する上記段階が、それ
   ら両端面を衝合して閉じたスリーブを形成することを含
   む特許請求の範囲第７項に記載の方法。
10. 【請求項１０】略円筒状のインサート（24）を、該イン
    サートの外径より僅かに大きい内径を有する略円筒状の
    シェル（10）内に保持する方法において、 上記シェル及び上記インサートの一方の円筒状部分を、
    該シェルと該インサートとの間に軸線方向に延びる環状
    空間（72）が残されるように除去して、後方に向かった
    軸線方向の面（16）を形成し、 変形可能な非導電性材料からなる部材から、前面部（5
    0）及び後面部（52）と円周方向に略等間隔に設けられ
    軸線方向に弱められた複数の軸線方向柱状部（62）を有
    する前端部とを備えた筒状のスリーブ（44）を形成し、 上記可撓性スリーブの前端部をその前面部（50）が上記
    軸線方向の面（16）に係合するまで上記環状空間内に挿
    入し、次いで、上記柱状部の前端部を上記環状空間内で
    アコーディオン状に潰して折りたたみ、半径方向に折り
    たたまれ押し込まれたアコーディオン部分を形成するの
    に十分な挿入力を加える、 各段階を有したことを特徴とするシェル内にインサート
    を保持する方法。