JPH07109316A - 熱可塑性重合体の製造法および組成物 - Google Patents

熱可塑性重合体の製造法および組成物

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JPH07109316A
JPH07109316A JP25837993A JP25837993A JPH07109316A JP H07109316 A JPH07109316 A JP H07109316A JP 25837993 A JP25837993 A JP 25837993A JP 25837993 A JP25837993 A JP 25837993A JP H07109316 A JPH07109316 A JP H07109316A
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尾 武 純 西
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村 孝 夫 野
Hiroki Sato
藤 寛 樹 佐
Hideo Sakurai
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 自動車用部品としての用途に特に適した、加
工性が良好で、外観が良く、曲げ弾性率、引っ張り伸び
特性、表面硬度、耐衝撃性、塗装性の優れた樹脂の提
供。 【構成】 下記の熱可塑性重合体の製造法、及び得られ
る重合体、それにタルクを配合してなる組成物。立体規
則性触媒にオレフィンを接触させて重合させ下記重合工
程(1)〜(4)を含む重合体の製造法((3)と
(4)との重合割合は、1/2〜2)。重合工程(1) 密度が0.908g/cm3 以上のプロピレンの単独重
合体を生成させる工程(全重合量の50〜70重量
%)。重合工程(2) エチレン/プロピレン反応比が30〜70〜50/50
(重量比)となるようにモノマーを供給して、エチレン
‐プロピレン共重合体を生成させる工程(全重合量の2
〜10重量%)。重合工程(3) エチレン/プロピレン反応比が90/10〜70/30
となるようにモノマーを供給して、エチレン‐プロピレ
ン共重合体を生成させる工程(全重合量の8〜25重量
%)。重合工程(4) エチレン/ブテン反応比が90/10〜70/30とな
るようにモノマーを供給して、エチレン‐ブテン共重合
体を生成させる工程(全重合量の8〜25重量%量であ
る)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プロピレン単独重合
体、2種のエチレン‐プロピレンランダム共重合体およ
びエチレン‐ブテンランダム共重合体の4重合体成分か
らなる熱可塑性重合体を4段階の重合を実施することに
よって製造し、射出成形時の加工性が良好で外観も良
く、曲げ弾性率、表面硬度、耐衝撃性、塗装性が優れ、
たとえば、自動車部品等射出成形品に好適な特定の熱可
塑性重合体の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車等の工業部品分野に用いられる熱
可塑性重合体は、剛性、耐傷性、耐衝撃性および塗装性
に優れた特性を要求されるが、従来のプロピレン系ブロ
ック共重合体は品質バランスが一般に不充分であるため
各種ゴム成分をブレンドすることにより品質向上を図っ
てきた。
【0003】しかし、高価なゴム成分をブレンドするこ
とは経済的に不利であることから、重合を3段階で実施
することによって熱可塑性重合体の品質バランスを向上
させようとする試みも多数行なわれている(特開昭56
−50909号公報、特開昭58−40314号公報お
よび特開昭57−67611号公報)。しかし、本発明
者らが知る限りでは、これらの方法により品質はある程
度向上するものの、最近の高度な要求品質に応えるには
いずれの技術も不十分であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の熱可
塑性重合体の多くは、プロピレン単独重合体部分の結晶
性が必ずしも十分に高いものではなかったり、共重合ゴ
ム部分の強度が不十分であるために、剛性や耐傷性、耐
衝撃性が不満足なものであったり、また、プロピレン単
独重合体部分と共重合ゴム部分の相溶性が低いことか
ら、共重合ゴム部分の分散状態が粗いために、耐衝撃性
や塗装性が不十分であった。
【0005】本発明は、これらの問題点を総合的に解決
して、経済的に有利な熱可塑性重合体およびその組成物
を得ることを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
〔発明の概要〕 <要旨>本発明は、特定の4段階重合法によって、極め
て品質バランスに優れた熱可塑性重合体が得られるとい
う事実の発見に基づくものである。
【0007】すなわち、本発明による熱可塑性重合体の
製造法は、立体規則性触媒にオレフィンを接触させて重
合させる工程からなり、この重合工程が下記重合工程
(1)〜(4)を含んでなることを、特徴とするもので
ある。(ただし、重合工程(3)により生成された重合
体と重合工程(4)により生成された重合体との重合割
合は、1/2〜2の範囲である)。重合工程(1) プロピレンの単独重合を行なって、密度が0.908g
/cm3 以上のプロピレンの単独重合体を生成させる工
程(ただし、この工程での重合量は全重合量の50〜7
0重量%に相当する量である)。重合工程(2) エチレン/プロピレン反応比が30〜70〜50/50
(重量比)となるようにエチレン/プロピレン混合物を
重合系に供給して、エチレン‐プロピレン共重合体を生
成させる工程(ただし、この工程での重合量は全重合量
の2〜10重量%に相当する量である)。重合工程(3) エチレン/プロピレン反応比が90/10〜70/30
(重量比)となるようにエチレン/プロピレン混合物を
重合系に供給して、エチレン‐プロピレン共重合体を生
成させる工程(ただし、この工程での重合量は全重合量
の8〜25重量%に相当する量である)。重合工程(4) エチレン/ブテン反応比が90/10〜70/30(重
量比)となるようにエチレン/ブテン混合物を重合系に
供給して、エチレン‐ブテン共重合体を生成させる工程
(ただし、この工程での重合量は全重合量の8〜25重
量%に相当する量である)。
【0008】また、本発明による熱可塑性重合体組成物
は、上記の方法により製造されたMFRが10〜100
g/10分の熱可塑性重合体100重量部と、タルク7
〜25重量部を含んでなること、を特徴とするものであ
る。 <効果>本発明により得られた熱可塑性重合体ならびに
これにタルクを加えた熱可塑性重合体組成物は、射出成
形時の加工性が良好で外観も良く、曲げ弾性率、引張り
伸び特性、表面硬度、耐衝撃性ならびに塗装性の優れた
もので、たとえば自動車部品等の射出成形品に好適なも
のである。
【0009】また、本発明による組成物は、従来の熱可
塑性重合体組成物に比較して高い結晶性を有しているこ
とから、冷却固化速度が速く、したがって射出成形時の
冷却時間を短縮することができ、ひいては成形品の生産
スピードを大幅に向上させることができる。
【0010】具体的には、本発明による熱可塑性重合体
組成物は、良好な成形加工性を有し、かつ曲げ弾性率が
10,000Kg/cm2 以上、引張り破断点伸びが2
00%以上、ロックウェル硬度が50以上、−30℃に
おけるアイゾット値が5Kg・cm/cm2 以上、塗装
後の塗膜の剥離強度が700g/cm以上という良好な
耐衝撃性と塗装性を保持したままで、成形加工性が良好
なものなので剛性と耐傷性が改善された成形体を与える
ことができるものである。
【0011】この組成物は、このような優れた特性を有
することから、各種の用途、特に、バンパー、エアダム
スポイラー、フェイシアなど、特に塗装を必要とし、剛
性と耐傷性が重要な、射出成形しうる大型の自動車外装
用部材、に応用することができて、その場合に、本発明
の効果は大きく発揮される。 〔発明の具体的説明〕 <立体規則性触媒>本発明で用いられる立体規則性触媒
は、チタン含有固体触媒成分および有機アルミニウム化
合物からなるものであって、所謂チーグラー触媒の範疇
に属するものである。ここで、「からなる」とは、成分
がチタン含有固体触媒成分および有機アルミニウム化合
物成分のみであるということを意味するものではなく、
合目的的な他の成分の共存を排除しない。
【0012】本発明では、本発明の趣旨に反しない限り
任意の立体規則性触媒を用いることができるが、例えば
下記のようなチタン含有固体触媒成分および有機アルミ
ニウム化合物成分からなるものが好ましい。
【0013】チタン含有固体触媒成分 チタン含有固体触媒成分のチタン成分としては、例えば
TiCl化合物があって、H還元のもの、金属アル
ミニウム還元のもの、有機アルミニウム還元のもの等、
種々のTiCl化合物がある。また、上記のTiCl
化合物に機械的な粉砕を加えたものでもよい。また、
TiCl等を有機アルミニウムで還元したTiCl
をさらに電子供与性化合物で処理し、さらに必要に応じ
てTiClで処理した化合物が使用可能である。
【0014】また、チタン成分は、マグネシウム化合物
等に担持された、いわゆる高活性触媒として使用するこ
とも可能である(なお、このようなチタン成分は、チタ
ン、マグネシウムおよびハロゲンを含むチーグラー型触
媒用固体成分と定義することができる)。
【0015】具体的には、例えば、本発明では、特開昭
53−45688号、同54−3894号、同54−3
1092号、同54−39483号、同54−9459
1号、同54−118484号、同54−131589
号、同55−75411号、同55−90510号、同
55−90511号、同55−127405号、同55
−147507号、同55−155003号、同56−
18609号、同56−70005号、同56−720
01号、同56−86905号、同56−90807
号、同56−155206号、同57−3803号、同
57−34103号、同57−92007号、同57−
121003号、同58−5309号、同58−531
0号、同58−5311号、同58−8706号、同5
8−27732号、同58−32604号、同58−3
2605号、同58−67703号、同58−1172
06号、同58−127708号、同58−18370
8号、同58−183709号、同59−149905
号、同59−149906号各公報等に記載のものが使
用される。
【0016】本発明において使用されるマグネシウム源
となるマグネシウム化合物としては、マグネシウムジハ
ライド、ジアルコキシマグネシウム、アルコキシマグネ
シウムハライド、マグネシウムオキシハライド、ジアル
キルマグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシ
ウム、マグネシウムのカルボン酸塩等があげられる。こ
れらのマグネシウム化合物の中でもマグネシウムジハラ
イドが好ましい。
【0017】また、チタン源となるチタン化合物は、一
般式Ti(OR4-n (ここでRは炭化水素残
基であり、好ましくは炭素数1〜10程度のものであ
り、Xはハロゲンを示し、nは0≦n≦4の数を示
す。)で表わされる化合物があげられる。具体例として
は、TiCl、TiBr、Ti(OC)Cl
、Ti(OCCl、Ti(OC
Cl、Ti(O−iC)Cl、Ti(O−n
)Cl、Ti(O−nCCl
Ti(OC)Br、Ti(OC)(OC
Cl、Ti(O−nCCl、Ti
(O−C)Cl、Ti(O−iC
、Ti(OC11)Cl、Ti(OC13
Cl、Ti(OC、Ti(O−nC
、Ti(O−nC、Ti(O−i
、Ti(O−nC13、Ti(O−
nC17、Ti〔OCHCH(C)C
等がある。
【0018】また、TiX′(ここではX′はハロゲ
ンを示す)に後述する電子供与体を反応させた分子化合
物を用いることもできる。そのような分子化合物の具体
例としては、TiCl・CHCOC、TiC
・CHCO、TiCl・C
、TiCl・CHCOCl、TiCl・C
COCl、TiCl・CCO
TiCl・ClCOC、TiCl・C
O等がある。
【0019】これらのチタン化合物の中でも好ましいも
のは、TiCl、Ti(OC、Ti(OC
、Ti(OC)Cl等である。
【0020】また、一般式Ti(OR3-m (こ
こではRは、炭化水素残基であり、好ましくは炭素数
1〜10程度のものであり、Xはハロゲンを示し、mは
0<m≦3の数を示す)で表わされる化合物をあげられ
る。具体例としては、TiCl、TiBr、Ti
(OCH)Cl、Ti(OC)Cl等があ
げられる。
【0021】さらに、ジシクロペンタジエニルジクロロ
チタニウム、ジシクロペンタジエニルジメチルチタニウ
ム、ビスインデニルジクロロチタニウム等のチタノセン
化合物の使用も可能である。
【0022】ハロゲン源としては、上述のマグネシウム
及び(又は)チタンのハロゲン化合物から供給されるの
が普通であるが、他のハロゲン源、たとえばアルミニウ
ムのハロゲン化物やケイ素のハロゲン化物、リンのハロ
ゲン化物といった公知のハロゲン化剤、から供給するこ
ともできる。
【0023】触媒成分中に含まれるハロゲンはフッ素、
塩素、臭素、ヨウ素又はこれらの混合物であってよく、
特に塩素が好ましい。
【0024】本発明に用いる固体成分は、上記必須成分
の他にSiCl、CHSiCl等のケイ素化合
物、メチルハイドロジェンポリシロキサン等のポリマー
ケイ素化合物、Al(OiC、AlCl
AlBr、Al(OC、Al(OCH
Cl等のアルミニウム化合物およびB(OC
、B(OC、B(OC
のホウ素化合物等の他成分の使用も可能であり、これら
がケイ素、アルミニウム及びホウ素等の成分として固体
成分中に残存することは差支えない。
【0025】更に、この固体成分を製造する場合に、電
子供与体を内部ドナーとして使用することもできる。
【0026】この固体成分の製造に利用できる電子供与
体(内部ドナー)としては、アルコール類、フェノール
類、ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸類、有機酸又
は無機酸類のエステル類、エーテル類、酸アミド類、酸
無水物類のような含酸素電子供与体、アンモニア、アミ
ン、ニトリル、イソシアネートのような含窒素電子供与
体などを例示することができる。
【0027】より具体的には、(イ)メタノール、エタ
ノール、プロパノール、ペンタノール、ヘキサノール、
オクタノール、ドデカノール、オクタデシルアルコー
ル、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、
クミルアルコール、イソプロピルベンジルアルコールな
どの炭素数1ないし18のアルコール類、(ロ)フェノ
ール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、
プロピルフェノール、クミルフェノール、ノニルフェノ
ール、ナフトールなどのアルキル基を有してよい炭素数
6ないし25のフェノール類、(ハ)アセトン、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノ
ン、ベンゾフェノンなどの炭素数3ないし15のケトン
類、(ニ)アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、
オクチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、トルアルデヒ
ド、ナフトアルデヒドなどの炭素数2ないし15のアル
デヒド類、(ホ)ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチ
ル、酢酸ビニル、酢酸プロピル、酢酸オクチル、酢酸シ
クロヘキシル、酢酸セロソルブ、プロピオン酸エチル、
酪酸メチル、吉草酸エチル、ステアリン酸エチル、クロ
ル酢酸メチル、ジクロル酢酸エチル、メタクリル酸メチ
ル、クロトン酸エチル、シクロヘキサンカルボン酸エチ
ル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピ
ル、安息香酸ブチル、安息香酸オクチル、安息香酸シク
ロヘキシル、安息香酸フェニル、安息香酸ベンジル、安
息香酸セロソルブ、トルイル酸メチル、トルイル酸エチ
ル、トルイル酸アミル、エチル安息香酸エチル、アニス
酸メチル、アニス酸エチル、エトキシ安息香酸エチル、
フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプ
チル、γ‐ブチロラクトン、α‐バレロラクトン、クマ
リン、フタリド、炭酸エチレンなどの炭素数2ないし2
0の有機酸エステル類、(ヘ)ケイ酸エチル、ケイ酸ブ
チル、フェニルトリエトキシシランなどのケイ酸エステ
ルのような無機酸エステル類、(ト)アセチルクロリ
ド、ベンゾイルクロリド、トルイル酸クロリド、アニス
酸クロリド、塩化フタロイル、イソ酸化フタロイルなど
の炭素数2ないし15の酸ハライド類、(チ)メチルエ
ーテル、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチ
ルエーテル、アミルエーテル、テトラヒドロフラン、ア
ニソール、ジフェニルエーテルなどの炭素数2ないし2
0のエーテル類、(リ)酢酸アミド、安息香酸アミド、
トルイル酸アミドなどの酸アミド類、(ヌ)メチルアミ
ン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリブチルアミ
ン、ピペリジン、トリベンジルアミン、アニリン、ピリ
ジン、ピコリン、テトラメチルエチレンジアミンなどの
アミン類、(ル)アセトニトリル、ベンゾニトリル、ト
ルニトリルなどのニトリル類、などを挙げることができ
る。これら電子供与体は、二種以上用いることができ
る。これらの中で好ましいのは有機酸エステルおよび酸
ハライドであり、特に好ましいのはフタル酸エステル、
酢酸セロソルブエステルおよびフタル酸ハライドであ
る。
【0028】上記各成分の使用量は、本発明の効果が認
められるかぎり任意のものでありうるが、一般的には、
次の範囲内が好ましい。
【0029】チタン化合物の使用量は、使用するマグネ
シウム化合物の使用量に対してモル比で1×10-4〜1
000の範囲内がよく、好ましくは0.01〜10の範
囲内である。ハロゲン源としてそのための化合物を使用
する場合は、その使用量はチタン化合物および(また
は)マグネシウム化合物がハロゲンを含む、含まないに
かかわらず、使用するマグネシウムの使用量に対してモ
ル比で1×10-2〜1000の範囲内がよく、好ましく
は0.1〜100の範囲内である。
【0030】ケイ素、アルミニウムおよびホウ素の使用
量は、上記のマグネシウム化合物の使用量に対してモル
比で1×10-3〜100の範囲内がよく、好ましくは
0.01〜1の範囲内である。
【0031】電子供与性化合物の使用するときの量は、
上記のマグネシウム化合物の使用量に対してモル比で1
×10-3〜10の範囲内がよく、好ましくは0.01〜
5の範囲内である。
【0032】本発明で使用されるチタン成分は、上述の
チタン源、マグネシウム源およびハロゲン源、更には必
要により電子供与体等の他成分を用いて、例えば以下の
様な製造法により製造することができる。 (イ) ハロゲン化マグネシウムと必要に応じて電子供
与体とチタン含有化合物とを接触させる方法。 (ロ) アルミナまたはマグネシアをハロゲン化リン化
合物で処理し、それにハロゲン化マグシネウム、電子供
与体、チタンハロゲン含有化合物を接触させる方法。 (ハ) ハロゲン化マグネシウムとチタンテトラアルコ
キシドおよび特定のポリマーケイ素化合物を接触させて
得られる固体成分に、チタンハロゲン化合物および(ま
たは)ケイ素のハロゲン化合物を接触させる方法。
【0033】このポリマーケイ素化合物としては、下式
で示されるものが適当である。
【0034】
【化1】 (ここで、Rは炭素数1〜10程度の炭化水素残基、p
はこのポリマーケイ素化合物の粘度が1〜100センチ
ストークス程度となるような重合度を示す)これらのう
ちでは、メチルハイドロジエンポリシロキサン、エチル
ハイドロジエンポリシロキサン、フェニルハイドロジエ
ンポリシロキサン、シクロヘキシルハイドロジエンポリ
シロキサン、1,3,5,7‐テトラメチルシクロテト
ラシロキサン、1,3,5,7,9‐ペンタメチルシク
ロペンタシロキサン、等が好ましい。 (ニ) マグネシウム化合物をチタンテトラアルコキシ
ドおよび電子供与体で溶解させて、ハロゲン化剤または
チタンハロゲン化合物で析出させた固体成分に、チタン
化合物を接触させる方法。 (ホ) グリニャール試薬等の有機マグネシウム化合物
をハロゲン化剤、還元剤等と作用させた後、これに必要
に応じて電子供与体チタン化合物とを接触させる方法。 (ヘ) アルコキシマグネシウム化合物にハロゲン化剤
および(または)チタン化合物を電子供与体の存在もし
くは不存在下に接触させる方法。
【0035】このようにして、チタン、マグネシウム、
およびハロゲンを含有するチタン成分を製造することが
できる。
【0036】また、本発明では、必要に応じて、下記の
ケイ素化合物および周期律表第I〜第III 族金属の有機
金属化合物を使用することができる。
【0037】本発明で使用できるケイ素化合物として
は、一般式 R 3-q Si(OR (ただし、Rは分岐鎖状炭化水素残基又は環状脂肪族
炭化水素残基を、RはRと同一もしくは異なる炭化
水素残基を、Rは炭化水素残基を、qは1≦q≦3の
数をそれぞれ示す)で表わされるケイ素化合物である。
このケイ素化合物が本式の化合物の複数種の混合物であ
ってもよいことはいうまでもない。
【0038】ここで、Rはケイ素原子に隣接する炭素
原子から分岐しているものが好ましい。その場合の分岐
基は、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基
(たとえば、フェニル基またはメチル置換フェニル基)
であることが好ましい。さらに好ましいRは、ケイ素
原子に隣接する炭素原子、すなわちα‐位炭素原子、が
2級または3級の炭素原子であるものである。とりわ
け、ケイ素原子に結合している炭素原子が3級のものが
好ましい。Rの炭素数は分岐鎖状炭化水素残基の場合
は通常3〜20、好ましくは4〜10、また、Rが環
状脂肪族炭化水素残基の場合は通常5〜20、好ましく
は6〜10、である。
【0039】Rは、炭素数1〜20、好ましくは1〜
10、の分岐または直鎖状の脂肪族炭化水素基であるこ
とがふつうである。Rは脂肪族炭化水素基、好ましく
は炭素数1〜4の鎖状脂肪族炭化水素基、であることが
ふつうである。
【0040】本発明で使用できるケイ素化合物の具体例
は、下記の通りである。(CHCSi(CH
(OCH、(CHCSi(CH(CH
)(OCH、(CHCSi(CH
(OC、(CCSi(CH
(OCH、(CH)(C)CHSi(C
)(OCH、((CHCHCH
Si(OCH、(C)(CHCSi
(CH)(OCH、(C)(CH
CSi(CH)(OC、(CHCS
i(OCH、(iCSi(OCH
、(iCSi(OC、(iC
)(CH)Si(OCH、(CH
Si(OC、(CCSi(OC
、(CH)(C)CHSi(OC
、(C)(CHCSi(OC
、(C)(CHCSi(OC
【0041】
【化2】 これらの中で好ましいのは、Rのα位の炭素が2級ま
たは3級で炭素数3〜20の分岐鎖状炭化水素残基およ
び炭素数5〜12の環状脂肪族炭化水素残基であって、
特にRのα位の炭素が3級であって炭素数4〜10の
分岐鎖状炭化水素残基、を有するケイ素化合物である。
【0042】ケイ素化合物の使用量は、本発明の効果が
認められるかぎり任意のものでありうるが、一般的に
は、チタンとケイ素の原子比(ケイ素/チタン)で0.
01〜1000の範囲内がよく、好ましくは0.1〜1
00の範囲である。
【0043】本発明において必要に応じて使用される周
期律表第I〜第III 族金属の有機金属化合物は、少なく
とも一つの有機基‐金属結合を持つ。その場合の有機基
としては、炭素数1〜10程度、好ましくは1〜6程
度、のヒドロカルビル基が代表的である。
【0044】原子価の少なくとも一つが有機基で充足さ
れている有機金属化合物の金属の残りの原子価(もしそ
れがあれば)は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロカル
ビルオキシ基(ヒドロカルビル基は、炭素数1〜10程
度、好ましくは1〜6程度)、あるいは酸素原子を介し
た当該金属(具体的にはメチルアルモキサンの場合の
【0045】
【化3】 その他で充足される。
【0046】このような有機金属化合物の具体例を挙げ
れば、(イ)メチルリチウム、n‐ブチルリチウム、第
三ブチルリチウム等の有機リチウム化合物、(ロ)ブチ
ルエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ヘキシ
ルエチルマグネシウム、ブチルマグネシウムクロリド、
第三ブチルマグネシウムブロミド等の有機マグネシウム
化合物、(ハ)ジエチル亜鉛、ジブチル亜鉛等の有機亜
鉛化合物、(ニ)トリメチルアルミニウム、トリエチル
アルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリn‐
ヘキシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリ
ド、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニ
ウムエトキシド、エチルアルミニウムセスキクロリド、
エチルアルミニウムジクロリド、メチルアルモキサン等
の有機アルミニウム化合物があげられる。このうちで
は、特に有機アルミニウム化合物が好ましい。
【0047】有機金属化合物を使用する場合の使用量
は、本発明の効果が認められるかぎり任意のものであり
うるが、一般的には、((有機金属化合物)/チタン)
の原子比で0.01〜100、好ましくは0.1〜3
0、の範囲である。
【0048】本発明による熱可塑性重合体は、重合工程
(1)によるプロピレン単独重合体が細孔容積の大きい
ものであるものが好ましい。したがって、本発明で使用
される立体規則性触媒のチタン含有固体触媒成分は、重
合工程(1)で得られるプロピレン単独重合体を細孔容
積の大きいものとして得るために、上述のチタン成分を
炭素数4以上のジエン化合物で予備重合させておくこと
が好ましい。
【0049】そのようなときに使用されるジエン化合物
の具体例を挙げると、1,2‐ブタジエン、イソプレ
ン、1,4‐ヘキサジエン、1,5‐ヘキサジエン、
1,3‐ペンタジエン、1,4‐ペンタジエン、2,3
‐ペンタジエン、2,6‐オクタジエン、cis‐2,
trans 4‐ヘキサジエン、trans 2,trans 4‐ヘキサ
ジエン、1,2‐ヘプタジエン、1,4‐ヘプタジエ
ン、1,5‐ヘプタジエン、1,6‐ヘプタジエン、
2,4‐ヘプタジエン、ジシクロペンタジエン、1,3
‐シクロヘキサジエン、1,4‐シクロヘキサジエン、
シクロペンタジエン、1,3‐シクロヘプタジエン、
1,3‐ブタジエン、4‐メチル‐1,4‐ヘキサジエ
ン、5‐メチル‐1,4‐ヘキサジエン、1,9‐デカ
ジエン、1,13‐テトラデカジエン、パラ‐ジビニル
ベンゼン、メタ‐ジビニルベンゼン、オルソジビニルベ
ンゼン、ジシクロペンタジエン等がある。これらの中で
好ましいものは、ジビニルベンゼン類および1,5‐ヘ
キサジエン等がある。
【0050】チタン成分とジエン化合物の反応条件は、
本発明の効果が認められるかぎり任意のものでありうる
が、一般的には次の範囲内が好ましい。
【0051】ジエン化合物の予備重合量としては、チタ
ン固体成分1グラムあたり、1〜100グラム、好まし
くは、2〜10グラム、の範囲内である。反応条件とし
ては、反応温度は−50℃〜150℃、好ましくは0℃
〜100℃、である。反応は、一般的に攪拌下に行なう
ことが好ましく、そのとき、n‐ヘキサン、n‐ヘプタ
ン等の不活性溶媒の存在下に行なうこともできる。
【0052】有機アルミニウム化合物 本発明に用いる立体規則性触媒を構成する有機アルミニ
ウム化合物の具体例としては、R 3-r AlXまたは
3-s Al(OR(ここで、RおよびR
同一または異なってもよい炭素数1〜20程度の炭化水
素残基または水素原子、Rは炭素数1〜20程度の炭
化水素残基、Xはハロゲン、rおよびsはそれぞれ0≦
r<3、0<s<3の数である。)で表わされるものが
ある。具体的には、(イ)トリメチルアルミニウム、ト
リエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、
トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウ
ム、トリデシルアルミニウム、などのトリアルキルアル
ミニウム、(ロ)ジエチルアルミニウムモノクロライ
ド、ジイソブチルアルミニウムモノクロライド、エチル
アルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジ
クロライドなどのアルキルアルミニウムハライド、
(ハ)ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチ
ルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウ
ムハイドライド、(ニ)ジエチルアルミニウムエトキシ
ド、ジエチルアルミニウムフェノキシドなどのアルミニ
ウムアルコキシド、などがあげられる。
【0053】これら(イ)〜(ニ)の有機アルミニウム
化合物は、それぞれ併用することができる。たとえば、
トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムエトキ
シドの併用、ジエチルアルミニウムモノクロライドとジ
エチルアルミニウムエトキシドの併用、エチルアルミニ
ウムジクロライドとエチルアルミニウムジエトキシドの
併用、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウム
エトキシドとジエチルアルミニウムクロライドの併用が
あげられる。
【0054】有機アルミニウム化合物の使用量は、重量
比で(有機アルミニウム化合物)/(チタン成分)の比
が0.1〜1000、好ましくは1〜100、の範囲で
ある。 <重合工程>前記触媒成分の存在下に行なう本発明の重
合工程は、特定の重合工程(1)〜(4)の4段階から
なる。
【0055】重合工程(1) 重合工程(1)ではプロピレンの単独重合を行なって、
密度が0.908g/cm3 以上のプロピレン単独重合
体を全重合量の50〜70重量%に相当する量生成させ
る。
【0056】重合工程(1)で得られる重合体は、密度
が0.908g/cm3 以上、好ましくは0.909g
/cm3 以上、のものである。密度が上記未満では製品
の表面硬度が不足し不適当である。重合工程(1)の重
合割合は、50〜70重量%、好ましくは55〜65重
量%である。上記未満では剛性や表面硬度が不足し、一
方上記超過では耐衝撃性や塗膜の密着性が不足するので
不適当である。
【0057】また、この重合工程で得られるプロピレン
単独重合体は、ポロシメーターで測定した細孔径が10
0〜2000オングストロームの範囲内の細孔容積が
0.05〜2.0cm3 /g、さらに好ましくは0.1
〜1.0cm3 /g、の範囲にあるものが好ましい。
【0058】細孔容積が上記範囲外であると、最終共重
合体の性状が悪化し、本発明の熱可塑性重合体の製造が
困難となることがある。
【0059】重合工程(2) 重合工程(2)では、エチレン/プロピレン反応比が3
0/70〜50/50(重量比)、好ましくは35/6
5〜45/55(重量比)、となるように、エチレン/
プロピレン混合物を重合系に供給して、エチレン‐プロ
ピレン共重合体を全重合量の2〜10重量%、好ましく
は4〜8重量%、に相当する量生成させる。エチレン/
プロピレン反応比が上記範囲よりもエチレン過剰になる
と、塗膜の密着性が不足し、一方、プロピレン過剰にな
ると、引張り伸び特性が低下するので、共に不適当であ
る。また、重合割合が上記未満では耐衝撃性や引張り伸
び特性が不足し、逆に、上記超過では表面硬度が不足す
るので、共に不適当である。
【0060】重合工程(3) 重合工程(3)では、エチレン/プロピレン反応比が9
0/10〜70/30(重量比)、好ましくは85/1
5〜75/25(重量比)、となるように、エチレン/
プロピレン混合物を重合系に供給して、エチレン‐プロ
ピレン共重合体を全重合量の8〜25重量%、好ましく
は12〜22重量%、に相当する量生成させる。エチレ
ン/プロピレン反応比が上記範囲よりもエチレン過剰に
なると、耐衝撃性および塗膜の密着性が不足し、一方、
プロピレン過剰になると、表面硬度が不足するので、共
に不適当である。また、重合割合が上記未満では塗膜の
密着性が不足し、逆に上記超過では表面硬度が不足する
ので、共に不適当である。
【0061】重合工程(4) 重合工程(4)では、エチレン/ブテン反応比が90/
10〜70/30(重量比)、好ましくは85/15〜
75/25(重量比)、となるように、エチレン/ブテ
ン混合物を重合系に供給して、エチレン‐ブテン共重合
体を全重合量の8〜25重量%、好ましくは12〜22
重量%、に相当する量生成させる。エチレン/ブテンの
反応比が上記範囲よりもエチレン過剰になると、耐衝撃
性が不足し、一方、ブテン過剰になると、表面硬度が不
足するので、共に不適当である。また、重合割合が上記
未満では塗膜の密着性が不足し、逆に、上記超過では剛
性が不足するので、共に不適当である。
【0062】また、本発明における重合工程(3)によ
り生成された重合体と重合工程(4)により生成された
重合体の重合割合は1/2〜2の範囲である。重合割合
が上記未満では塗膜の密着性が不足し、上記超過では引
張り伸び特性が低下するので、共に不適当である。
【0063】重合工程(1)は、アイソタクチックポリ
プロピレンを生成させる工程であり、また重合工程
(2)〜(4)はプロピレンとエチレンまたはブテンと
のエラストマーを生成させて熱可塑性重合体に耐衝撃
性、引張り伸び特性及び塗装性を付与する共重合成分を
生成させる工程である。従って、各重合工程では、本発
明の趣旨に反しない限り、プロピレンまたはエチレンも
しくはブテンと共重合可能な成分を少量共存させること
ができる。
【0064】上記各重合工程の重合温度は、いずれも通
常30〜90℃、好ましくは50〜80℃であり、重合
圧力はいずれも1〜50Kg/cm2 の範囲が通常用い
られる。所望により分子量調節剤を用いるときは分子量
調節剤としては水素が用いられる。各工程の重合は、回
分式、連続式、いずれの方法によっても実施可能であ
る。この時使用する単量体自身を媒質として重合塊状重
合法、媒質を用いない気相重合法、さらには、これらを
組合せて重合を行なう方法などがある。各重合工程の実
施順序は任意であるが、(1)→(2)→(3)→
(4)あるいは(1)→(2)→(4)→(3)の順序
で重合工程を実施するのが曲げ弾性率や衝撃強度の点で
好ましい。 <熱可塑性重合体および組成物>本発明による熱可塑性
重合体は、上記の重合工程(1)〜(4)を実施するこ
とにより製造されたものである。従って、このような熱
可塑性重合体は、構造的に捉えれば、実質的に下記のブ
ロック(A)50〜70重量%、ブロック(B)2〜1
0重量%、ブロック(C)8〜25重量%およびブロッ
ク(D)8〜25重量%からなるプロピレンブロック共
重合体(ただし、ブロック(C)とブロック(D)との
割合は、1/2〜2の範囲である)からなるもの、とい
うことができる。ブロック(A) 密度が0.908g/cm3 以上のプロピレンの単独重
合体(特に好ましくは、細孔径100〜2000オング
ストロームの範囲内の細孔容積が0.05cm3 /g以
上のもの)。ブロック(B) エチレン/プロピレン反応比が30/70〜50/50
(重量比)であるエチレン‐プロピレンランダム共重合
体。ブロック(C) エチレン/プロピレン反応比が90/10〜70/30
(重量比)であるエチレン‐プロピレンランダム共重合
体。ブロック(D) エチレン/ブテン反応比が90/10〜70/30(重
量比)であるエチレン‐ブテンランダム共重合体。
【0065】このような本発明による熱可塑性重合体
は、任意のMFRのものでありえるが、熱可塑性重合体
を成形用樹脂として使用する場合の成形加工性を考えれ
ば、MFRが10〜100g/10分のものが好まし
い。MFRが上記未満では加工性が劣り、上記超過では
耐衝撃性や引張り伸び特性が低下するので共に好ましく
ない。
【0066】このような熱可塑性重合体は、そのままで
も良好な特性、例えば曲げ弾性率、引張り伸び特性、表
面硬度および耐衝撃性を有する成形品にすることが可能
なものであるが、このような本発明による熱可塑性重合
体の特質を最も効果的に享受できるのは、この熱可塑性
重合体に無機充填剤を添加した場合である。無機充填
剤、特にタルク、を所定量(熱可塑性重合体100部
に、好ましくは7〜25重量部、さらに好ましくは10
〜20重量部)配合した熱可塑性重合体組成物は、射出
成形時の加工性が良好で外観も良く、曲げ弾性率、引張
り伸び特性、表面硬度、耐衝撃性および塗装性等がきわ
めて優れたものであって、たとえば自動車部品等の射出
成形品の製造に好適なものである。タルクの配合量が上
記未満では十分な曲げ弾性率が得られ難く、上記超過で
は組成物の比重が高くなり過ぎ製品が重くなるので、共
に好ましくない。また、タルクは、粒径が0.05〜5
μm、特に1〜3μm、のものが好ましい。
【0067】
【実施例】以下の実施例は、本発明を具体的に説明する
ためのものである。
【0068】実施例1 〔チタン含有固体触媒成分の製造〕充分に窒素置換した
フラスコに脱水および脱酸素したn‐ヘプタン200ミ
リリットルを導入し、次いでMgClを0.4モルお
よびTi(O−nCを0.8モル導入し、9
5℃で2時間反応させた。反応終了後、40℃に温度を
下げ、次いでメチルヒドロポリシロキサン(20センチ
ストークスのもの)を48ミリリットル導入し、3時間
反応させた。生成した固体成分をn‐ヘプタンで洗浄し
た。
【0069】ついで、充分に窒素置換したフラスコに上
記と同様に精製したn‐ヘプタンを50ミリリットル導
入し、上記で合成した固体成分をMg原子換算で0.2
4モル導入した。ついでn‐ヘプタン25ミリリットル
にSiCl0.8モルを混合して30℃、30分間で
フラスコへ導入し、90℃で1時間反応させた。反応終
了後、n‐ヘプタンで洗浄した。
【0070】充分に窒素置換したフラスコに充分に精製
したn‐ヘプタンを50ミリリットル導入し、次いで上
記で得た固体成分を5グラム導入し、ジビニルベンゼン
を15グラム、(CHCSi(CH)(OCH
を2.6ミリリットル、トリエチルアルミニウム
を4.5グラムをそれぞれ導入し、30℃で2時間接触
させた。接触終了後、n‐ヘプタンで充分に洗浄して、
チタン含有固体成分を得た。一部分をとり出して、ジビ
ニルベンゼンの予備重合量を調べたところ、チタン含有
固体成分1グラムあたり、2.64グラムの予備重合量
であった。 〔重合〕内容積20リットルの攪拌式オートクレーブを
プロピレンで充分置換した後、20℃で液体プロピレン
を3Kg導入し、ついでトリエチルアルミニウム2.5
gおよび上記固体触媒成分0.5gを導入した。重合工
程(1)は、水素を8Nl導入した後、温度を75℃に
して2時間重合操作を行なうことにより実施した。得ら
れたポリプロピレンパウダーをポロシメーターにより細
孔容積を測定したところ、細孔径100〜2000オン
グストロームの範囲内の細孔容積が0.15cm3 /g
であった。重合工程(2)は65℃にて、プロピレンを
0.36Kg/hr、エチレンを0.24Kg/hrの
供給速度で0.5時間供給してエチレン‐プロピレン共
重合を行なうことにより実施した。重合工程(3)は6
5℃にて、プロピレンを0.17Kg/hr、エチレン
を0.68Kg/hrの供給速度で1時間供給してエチ
レン‐プロピレン共重合を行なうことにより実施した。
重合工程(4)は65℃にて、ブテンを0.17Kg/
hr、エチレンを0.68Kg/hrの供給速度で1時
間供給してエチレン‐ブテン共重合を行なうことにより
実施した。
【0071】得られた製品パウダーの安息角は38.4
度、MFRは21g/10分であった。表1は、重合結
果を示すものである。
【0072】この熱可塑性重合体100重量部にタルク
を15重量部加え、2,6‐ジ‐t‐ブチル‐p‐フェ
ノール0.1重量部、テトラキス〔メチレン‐3‐
(3′,5′‐ジ‐t‐ブチル‐4′‐ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート〕メタン0.1重量部、及びカー
ボンブラック0.5重量部を配合して、川田製作所製ス
ーパーミキサーで5分間混合したあと、神戸製鋼所製F
CM2軸混練機にて210℃で混練造粒して組成物を得
た。
【0073】このあと、型締力100トンの射出成形機
にて成形温度220℃で各種試験片を作成し、後述の測
定法に従って性能を評価した。表3は、得られた性能評
価結果を示すものである。
【0074】実施例2〜10、比較例1〜10 実施例1と同じ固体触媒成分を用いて、各重合工程のモ
ノマー供給速度と重合工程(1)での水素供給量を変化
させること以外は、実施例1と同様に4段階の重合工程
を行なって熱可塑性重合体を得た。この熱可塑性重合体
に安定剤およびタルクを配合した。表1および表2は、
重合結果を示すものであり、表3および表4は、性能評
価結果を示すものである。
【0075】比較例11 固体触媒成分として丸紅ソルベー社製三塩化チタン触媒
を用い、有機アルミニウム化合物としてジエチルアルミ
ニウムクロライドを用いること以外は実施例1と同様に
4段階の重合を行ない、安定剤およびタルクも同様に配
合した。表2は、重合結果を示すものであり、表4は、
性能評価結果を示すものである。 〔測定法〕本発明において採用する各種測定法は次のと
おりである。 (1) MFR:ASTM−D1238に準拠し、2.1
6Kg荷重を用いて230℃で測定した。 (2) 密度:ASTM−D1505に準拠し、23℃で
測定した。 (3) 曲げ弾性率:ASTM−D790に準拠し、23
℃で測定した。 (4) 引張り破断点伸び:ASTM−D638に準拠
し、23℃で測定した。 (5) 表面硬度:ASTM−D785に準拠し、23℃
のロックウェル硬度をR−スケールで評価した。 (6) 耐衝撃性:ASTM−D256に準拠し、−30
℃でのアイゾット値で評価した。 (7) 塗膜の密着性:以下に説明する塗膜剥離強度で評
価した。
【0076】塗装方法 a.射出成形体試験片を1,1,1‐トリクロルエタン
の沸騰蒸気に30秒間曝したあと、室温で30分間放置
して乾燥する。
【0077】b.次に、試験片面の上側半分を残し、下
側半分にマスキングテープを貼りつける。
【0078】c.次に、ポリプロピレン用ポリウタレン
変性ポリオレフィン系プライマー(関西ペイント製、商
品名「ソフレックス2500」を膜厚約10μmになる
ように吹付け塗装し、室温で30分間放置して乾燥した
後bで貼付けしたマスキングテープを剥離する。
【0079】d.次に、イソシアネート系硬化剤を含む
一液型ウレタン系上塗り塗料(日本ビーケミカル社製、
商品名「フレキセン105」を膜厚約80μmになるよ
うに吹付け塗装し、120℃のエアーオーブン中に30
分間放置して焼きつけた後、室温で48時間放置し塗膜
の密着性試験に供した。
【0080】測定方法 a.塗装済試験片にセロファン粘着テープを全面に密着
させ、その上から10mm幅ごとにカッターで上下方向
に素地にまで達する切傷を付ける。
【0081】b.プライマーを塗付けしなかった側の塗
膜をセロファン粘着テープを密着させたままで剥がし、
180度方向に曲げて引張試験機に取り付ける。
【0082】c.23℃において50mm/分の引張速
度で試験し、記録計に描かれる曲線からピーク値10点
を読取り平均値を求める。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
【表3】
【0086】
【表4】
【0087】
【発明の効果】本発明によれば、良好な成形加工性、外
観を有し、かつ曲げ弾性率、引張り伸び特性、表面硬
度、耐衝撃性ないし塗装性の優れた熱可塑性重合体なら
びに熱可塑性重合体組成物が得られることは、「発明の
概要」の項において前記したところである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐 藤 寛 樹 三重県四日市市東邦町1番地 三菱油化株 式会社四日市総合研究所内 (72)発明者 桜 井 秀 雄 三重県四日市市東邦町1番地 三菱油化株 式会社四日市総合研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】立体規則性触媒にオレフィンを接触させて
    重合させる工程からなり、この重合工程が下記重合工程
    (1)〜(4)を含んでなることを特徴とする、熱可塑
    性重合体の製造法(ただし、重合工程(3)により生成
    された重合体と重合工程(4)により生成された重合体
    との重合割合は、1/2〜2の範囲である)。重合工程(1) プロピレンの単独重合を行なって、密度が0.908g
    /cm3 以上のプロピレンの単独重合体を生成させる工
    程(ただし、この工程での重合量は全重合量の50〜7
    0重量%に相当する量である)。重合工程(2) エチレン/プロピレン反応比が30〜70〜50/50
    (重量比)となるようにエチレン/プロピレン混合物を
    重合系に供給して、エチレン‐プロピレン共重合体を生
    成させる工程(ただし、この工程での重合量は全重合量
    の2〜10重量%に相当する量である)。重合工程(3) エチレン/プロピレン反応比が90/10〜70/30
    (重量比)となるようにエチレン/プロピレン混合物を
    重合系に供給して、エチレン‐プロピレン共重合体を生
    成させる工程(ただし、この工程での重合量は全重合量
    の8〜25重量%に相当する量である)。重合工程(4) エチレン/ブテン反応比が90/10〜70/30(重
    量比)となるようにエチレン/ブテン混合物を重合系に
    供給して、エチレン‐ブテン共重合体を生成させる工程
    (ただし、この工程での重合量は全重合量の8〜25重
    量%に相当する量である)。
  2. 【請求項2】重合工程(1)〜(4)を、重合工程
    (1)−重合工程(2)−重合工程(3)−重合工程
    (4)の順序または重合工程(1)−重合工程(2)−
    重合工程(4)−重合工程(3)の順序で実施する、請
    求項1記載の熱可塑性重合体の製造法。
  3. 【請求項3】重合工程(1)で生成させるプロピレンの
    単独重合体が、細孔径100〜2000オングストロー
    ムの範囲内の細孔容積が0.05cm3 /g以上のもの
    であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記
    載の熱可塑性重合体の製造法。
  4. 【請求項4】請求項1、請求項2または請求項3に記載
    の方法により製造された、熱可塑性重合体。
  5. 【請求項5】請求項1、請求項2または請求項3に記載
    の方法により製造されたMFRが10〜100g/10
    分の熱可塑性重合体100重量部と、タルク7〜25重
    量部を含んでなることを特徴とする、熱可塑性重合体組
    成物。
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