JPH07107130B2 - ポリアリーレンチオエーテル成形用組成物 - Google Patents

ポリアリーレンチオエーテル成形用組成物

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JPH07107130B2
JPH07107130B2 JP63075369A JP7536988A JPH07107130B2 JP H07107130 B2 JPH07107130 B2 JP H07107130B2 JP 63075369 A JP63075369 A JP 63075369A JP 7536988 A JP7536988 A JP 7536988A JP H07107130 B2 JPH07107130 B2 JP H07107130B2
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洋 飯塚
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呉羽化学工業株式会社
ポリプラスチツクス株式会社
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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、ポリアリーレンチオエーテル成形用組成物に
関するものである。具体的には、本発明は、溶融時ゲル
状を呈する架橋ポリアリーレンチオエーテルをバリ特性
(バリの出にくさ)の改良剤として、ベースレジンのポ
リアリーレンチオエーテルに配合して成る所のバリ特性
の顕著に改良された成形用組成物に関するものであり、
更に、詳しくは、繰返し単位 を主構成要素とし、溶融粘度(310℃、剪断速度5/秒)
が10〜5×104ポイズのポリアリーレンチオエーテルか
らなる樹脂(成分A)100重量部に、溶融粘度(310℃、
剪断速度5/秒)が5×105〜1×109ポイズの溶融時ゲル
状を呈する架橋ポリアリーレンチオエーテル(成分B)
を0.2〜90重量部及び繊維状充填材、無機質充填材又は
それらの混合物(成分C)を成分(A+B)100重量部
に対して0〜400重量部配合して成るバリ特性の改良さ
れたポリアリーレンチオエーテル成形用組成物に関す
る。
従来の技術 ポリフェニレンチオエーテルで代表されるポリアリーレ
ンチオエーテル(以下PATEと略記する)は、耐熱性、難
燃性、耐薬品性などのすぐれたエンジニアリングプラス
チックスとして、多岐の分野に利用されつつある。PATE
は、通常、結晶性高分子であり、その特徴を活かして、
特に、射出成形品分野等に多く用いられている。
従来の成形用組成物のベースレジンとしてのPATEは、比
較的低分子量のPATEを熱架橋処理(CURING)、即ち加熱
処理して架橋、分岐構造等を形成させる処理、によって
見掛けの溶融粘度を高めた架橋型PATEであって、射出成
形等の加工性にすぐれ、射出成形時の「バリ特性」、即
ちバリの出にくい性質、も通常満足できるという特徴を
有している。しかし、これは、一方、機械的強度が不充
分で脆く、着色が激しいこと、さらにまた溶融加工時の
粘度の経時変化(即ち、粘度の不可逆的上昇)が大き
く、適切な成形条件の選択が難しいこと、成形屑のリサ
イクル使用が困難であって不経済であることなど、多く
の問題点がある。
一方、発明者らは、重合途中で水の添加と昇温とを行な
う方法によって、実質的に線状の高分子量のPATEを経済
的に製造する方法を開発した(特開昭61-7332号公報参
照)。
この方法によって得られる実質的に線状のPATEは、分子
量が十分に大きいため、熱架橋処理、或いは重合反応時
の架橋をしなくても、射出成形等の各種溶融加工にその
まま適用することができる。このような実質的線状の未
架橋型PATEは、その分子構造から機械的強度が大きいこ
と、着色が極めて少なくて、調色が容易なこと、さら
に、溶融加工時の溶融粘度の経時変化が極めて小さくて
成形が容易であること、加工屑の再使用も容易であり、
極めて経済的であること、などの大きな特徴を有してい
る。しかし、一方、この実質的に線状の未架橋型高分子
量PATEをベースレジンとする組成物は射出成形の際のバ
リ特性が若干不満であるという問題があることが判っ
た。
一方、バリ特性が一般に良好な従来の架橋型PATE(前
述)をベースレジンとする組成物においても、精密成形
品などの射出成形においては、やはりバリ特性が不充分
であるという問題点があった。
発明者らは、未架橋型PATEの組成物の射出成形時のバリ
特性や架橋型PATEにおいても認められる精密成形品の射
出成形時のバリ特性の改良方法について鋭意検討した。
先ず、射出成形用組成物のベースレジンのPATEの粘度を
高めて、バリ特性の改良を試みた。しかし、ベースレジ
ンの粘度増加に比例して、射出成形用組成物の粘度も上
昇し、射出成形時の加工性(流動性など)を劣化させる
ことが判った。
発明者らは、次に、特開昭59-223,753号公報、特開昭52
-149,348号公報、特開昭55-127,002号公報、特開昭59-1
1,357号公報、特開昭53-66,565号公報、特開昭53-22,36
3号公報等に記載の方法、即ち、メルトフロー値(ASTM
−D 1238法:600゜F,5kg加重)で約5〜200(g/10min)程
度、溶融粘度η*(310℃、剪断速度5/秒)で表わせば約
1×103〜1×105ポイズ相当、の高粘度PATEをベースレ
ジンに添加する方法を追試した。しかし、この程度の粘
度のPATEを添加する方法では、これを多量に添加しなけ
れば有効なバリ特性の改良が達成できないことが判っ
た。しかし、この程度の粘度のPATEを多量に添加する
と、組成物の粘度も上昇して、射出成形時の加工性が著
しく劣化することが判った。
発明者らは、射出成形時の加工性及び得られる成形物の
物性に、実質的悪影響を与えずに、バリ特性のみを有効
に改良する方法について、さらに探索を続けた。そし
て、従来全く顧慮されていなかった方法として高度に架
橋したPATE(溶融時にゲル状になるもの)を、バリ特性
の改良剤としてベースポリマーに配合することによっ
て、加工性や得られる成形物の物性に実質的悪影響を与
えずに、バリ特性が顕著に改善されることを見出した。
また、付随的な効果として、この架橋PATEは流動配向剤
として射出成形時の結晶化促進効果や離型性の改良効果
をも発現することを見出した。
更に又該架橋PATEをやや多目に添加した系では上述の効
果のみならず射出成形時のウェルド特性も改良される事
をも見出した。これらの知見に基づいて本発明を成すに
至った。
本発明の目的は、バリ特性に優れ、熱安定性が高く、溶
融加工が容易で、然も成形屑のリサイクル使用が可能で
あるPATE成形用組成物の提供にある。
問題点を解決するための手段 本発明によるバリ特性の改良されたポリアリーレンチオ
エーテル成形用組成物は、下記の成分A100重量部に下記
の成分Bを0.2〜90重量部および下記の成分Cを成分
(A+B)100重量部に対して0〜400重量部配合してな
るものである。
成分A:繰返し単位 を主構成要素とし、溶融粘度(温度310℃、剪断速度5/
秒)が10〜5×104ポイズのポリアリーレンチオエーテ
ルからなる樹脂。
成分B:溶融粘度(温度310℃、剪断速度5/秒)が5×105
〜1×109ポイズの溶融時ゲル状を呈する架橋ポリアリ
ーレンチオエーテル。
成分C:繊維状充填材、無機質充填材又はそれらの混合
物。
本発明のポリアリーレンチオエーテル成形用組成物は、
ベースポリマーとして成分Aとバリ特性改良材として成
分Bとを配合してなり、好ましくは繊維状充填材および
(または)無機質充填材をも配合してなる組成物であ
る。ここで「配合してなる」ということは、挙示の成分
の外に、合目的なその他の配合物を含んでもよいことを
意味するものである。
成分A 本発明の組成物における主構成要素であるベースポリマ
ーの成分Aは、PATEである。ここでPATEとは一般には繰
返し単位Ar−S(Ar:アリーレン基)を主構成要素
とするものを意味するが、本発明ではアリーレン基とし
てパラフェニレン基を主構成要素とするものが成分Aを
構成する。
アリーレン基としてパラフェニレン基を主構成要素とす
るもの、すなわちパラフェニレン基からなるものまたは
パラフェニレン基を50モル%以上好ましくは60モル%以
上、より好ましくは70モル%以上含むものが、耐熱性、
成形性、機械的特性等の物性上の点から好ましい。
パラフェニレン基以外のアリーレン基(Ar)としては、
m−フェニレン基 o−フェニレン基 置換フェニレン基 [R:アルキル基(好ましくはC1〜C6のアルキル基)又は
フェニル基、n:1〜4の整数]、p,p′−ジフェニレン−
スルフォン基 p,p′−ビフェニレン基 p,p′−ジフェニレンエーテル基 p,p′−ジフェニレンカルボニル基 ナフタレン基 などが使用できる。
組成物の加工性という点からは、 繰返し単位だけのホモポリマーよりも、異種繰返し単位
を含んだコポリマーが好ましい場合がある。コポリマー
としては のコポリマーが好ましく、特にこれらの繰返し単位がラ
ンダム状よりは、ブロック状に含まれているもの(たと
えば特開昭61-14228号公報に記載のもの)が好ましい。
ランダム状共重合体に比べて、ブロック状共重合体を使
用した場合は、加工性の点ではほぼ同等であるが、物性
上(耐熱性、機械的性質等)の点から顕著に優れている
からである。ブロック共重合体中の 繰返し単位は5〜50モル%、特に10〜25モル%、である
ことが好ましい。
本発明に使用する成分AとしてのPATEは、実質的に線状
構造であるものが、得られる成形物の物性などの観点か
ら好ましい。ここで「PATEは実質的に線状構造であるも
の」とは酸化架橋又は熱架橋によるキュアリングで得ら
れるようなポリマーではなく、2官能性モノマーを実質
的に主体とするモノマーから縮合重合によって得られる
ポリマーをいう。但し、この物性を実質的に劣化させな
い範囲内において、例えば重合時に有効量の架橋剤(例
えばトリハロベンゼン)を用いて得た重合架橋物、ある
いはポリマーをO2存在下等で高温キュアリング処理して
架橋させた熱架橋物、も許容されよう。
本発明の組成物に用いるベースポリマーとしての成分A
は、溶融粘度η*(温度310℃、剪断速度5/秒)が10〜5
×104ポイズ、より好ましくは50〜5×104ポイズ、さら
に好ましくは100〜5×104ポイズ、の範囲のものが好ま
しい。η*が10ポイズ未満では、流動性が高過ぎて溶融
加工が困難であり、仮に成形物が得られたとしても、機
械的強度などが劣悪であって好ましくない。また、η*
が5×104ポイズ超過でも、流動性が悪く溶融加工が困
難である。
上記のような本発明の条件を満たすPATEは、たとえば、
本発明者等の出願にかかわる特開昭61-7332号公報等に
記載の方法により経済的に製造することが可能である。
すなわち、特開昭61-7332に開示の方法とは、有機アミ
ド溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物と
を反応させてポリアリーレンスルフィドを得る方法にお
いて、この反応を少なくとも下記の二段階で行なうこ
と、を特徴とするものである。
(1) アルカリ金属硫化物1モル当り0.5〜2.4モルの
水が存在する状態で、180〜235℃の温度で反応を行なっ
て、溶融粘度5〜300ポイズのポリアリーレンスルフィ
ドをジハロ芳香族化合物の転化率50〜98モル%で生成さ
れる工程、 (2) アルカリ金属硫化物1モル当り2.5〜7.0モルの
水が存在する状態となるうよに水を添加すると共に245
〜290℃の温度に昇温して、上記の反応を継続する工
程。
その他に、特公昭52-12240号公報記載のカルボン酸を重
合系に多量に添加して、高分子量の線状PATEを得る方法
なども用いることができる。
成分B 本発明の成形用組成物における必須配合要素の一つであ
るバリ特性改良剤としての成分Bは、化学的な構造は成
分Aと同様に繰返し単位Ar−S(−Ar−の定義およ
び具体例は前記)を主構成要素とするPATEであるが、繰
返し単位 が主構成要素であることは、好ましいとはいえても必須
ではない。
成分Bが成分Aと特徴的に異なる点は、ポリマーBが、
そのη*(温度310℃、剪断速度5/秒)が5×105〜1×1
09ポイズ、より好ましくは1×106〜1×109ポイズの溶
融時にゲル状を呈する架橋PATEであることである[この
ような超高粘度PATEは、メルトフロー値(ASTM-D1238
法:600゜F、5kg荷重)でその溶融粘度を表わすと、数値
が1以下となって正確な表現は困難となる]。η*が5
×105ポイズ未満では、多量に成分Aに配合しなければ
バリ特性改良効果が得られないので、組成物の粘度が上
昇し、加工性が劣化するので好ましくない。一方、η*
が109ポイズ超過では、溶融加工時にベースポリマー融
体中へ微粒子状ゲルとなって分散するのが困難となって
バリ特性改良効果が不充分となるので、やはり好ましく
ない。
未架橋もくしは低架橋の溶融時に非ゲル状であるPATE
は、たとえ高粘度であっても成分Aに相溶してしまい、
バリ特性改良効果は不充分なまま組成物の溶融粘度を必
要以上に高めてしまうおそれがあるので好ましくない。
このような成分Bの製造法としては、ポリハロベンゼン
とアルカリ金属硫化物などとを重合させる時に架橋剤を
用いて架橋構造を形成させる方法、例えば3個以上のハ
ロゲン置換基を有するポリハロ芳香族化合物をジハロ芳
香族化合物100モルに対して約0.05モルから約20モル程
度混合し、適宜、水及び又はカルボン酸アルカリ金属塩
等を加えて溶融粘度が5×105〜1×109ポイズの溶融時
ゲル状を呈する架橋PATEを生じるような重合条件で反応
させる方法や、PATEを酸素存在下又は不存在下、高温た
とえば200℃以上でPATEの融点より低い温度で溶融粘度
が5×105〜1×109ポイズの溶融時ゲル状を呈する架橋
PATEを生じるような時間、キュアリング処理して架橋度
を増加させる方法などが用いられる。特に前者の方法に
よって得られる重合架橋型PATEは、後者の方法によって
得られる熱架橋型PATEに比較して、色調や熱安定性の点
ですぐれているので、より好ましい。
本発明の成形用組成物における成分Bの配合量は、成分
A 100重量部当り0.2〜90重量部、より好ましくは0.5
〜80重量部、更により好ましくは0.5〜70重量部特に好
ましくは0.5〜60重量部の範囲が適当である。0.2重量部
未満では、バリ特性改良効率が不充分となるおそれがあ
る。また、90重量部超過では組成物の流動性の低下が大
きくなり、又得られる成形物の機械的特性などが低下す
るおそれがあって、好ましくない。
充填材 本発明の成形用組成物において、必須配合要素ではない
が好ましい成分として繊維状充填材および(または)無
機質充填材(成分C)がある。これらは、バリ特性改良
という点では必須ではないが、成形物の機械的特性、耐
熱性、電気特性、耐薬品性などの物性改良や、増量材と
してのコスト低減等の目的などで、これらの充填材が配
合される。
その配合量は、成分(A+B)100重量部当り400重量部
以下であり、上記充填材の効果を発揮するためには0.01
〜400重量部の配合が好ましく、より好ましくは1〜300
重量部、さらに好ましくは10〜250重量部の範囲が適当
である。400重量部超過では組成物の流動性の低下が大
きくなり、又組成物の加工性が著しく劣化するので好ま
しくない。
繊維状充填材としては、ガラス、炭素質、炭化ケイ素、
シリカ、アルミナ、ジルコニア、アラミドなどの繊維
や、チタン酸カリ、ウオラストナイト、硫酸カルシウ
ム、炭素、硼素、などのウィスカーなどが挙げられる。
無機質充填材としては、タルク、マイカ、カオリン、ク
レイ、ガラス、炭酸マグネシウム、リン酸マグネシウ
ム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸カルシウ
ム、リン酸カルシウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウ
ム、酸化チタン、酸化鉄(含フェライト)、酸化銅、ジ
シルコニア、酸化亜鉛、炭化ケイ素、炭素、黒鉛、窒化
ホウ素、二硫化モリブデン、ケイ素などの粉末が挙げら
れる。
その他の配合物 上記配合要素以外に、オプションとして、他の合成樹
脂、各種エラストマー、各種加工用添加剤などを本発明
の目的及び効果を損なわない範囲で配合することができ
る。
この場合の他の合成樹脂としては、ポリオレフィン、ポ
リエステル(芳香族ポリエステルも含む)、ポリアミド
(芳香族ポリアミドも含む)、ポリアミドイミド、ポリ
イミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、
ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポ
リスルホン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリ
アリーレン、弗素樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹
脂、フェノール樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリス
チレン、ABSなどが挙げられる。
エラストマーとしては、弗素ゴム、シリコンゴム、ポリ
オレフィン系ゴム、水添SBR、イソブチレンゴム、アク
リルゴム、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラ
ストマーなどが挙げられる。
加工用添加剤としては、抗酸化剤、安定剤、防錆剤、滑
剤、離型剤、カップリング剤、着色剤、難燃剤、発泡
剤、帯電防止剤、などが挙げられる。
組成物の製造 本発明のPATEの成形用組成物の状態としては、各配合要
素および添加物の固体粉末混合物状態のもの、および当
該混合物が溶融状態を経て生じるコヒーレントな状態の
ものが、いずれも含まれる。但し、後者が代表的な状態
であって、通常ペレット等として製造される。
前者の組成物は、各配合要素及び添加物をブレンダー、
ミキサー、ミル等を用いて、均一混合することによって
製造することができる。後者の組成物は、前者の組成物
を押出機などを用いた溶融混練法などによって、ペレッ
ト等に成形して製造される。
組成物の用途 本発明の成形用組成物は、射出成形品に用途を限定され
るものではないが、射出成形品において最もその特徴を
活用することができる。
発明の効果 本発明の組成物は成分A単独にくらべてバリ特性の改良
された成形用組成物で、未架橋型の実質的線状PATEをベ
ースポリマーとして得られるものである。また、従来の
架橋型PATEをベースポリマーとした本発明組成物は、架
橋型PATEでは、問題があった精密成形品の分野において
も、充分使用できるバリ特性のすぐれた射出成形用組成
物である。
また、本発明の組成物はバリ特性が極めて優れているこ
とは云うまでもないが、それ以外にも結晶化速度の大き
いこと、離型性も優れていること、溶融加工時の熱安定
性が優れていること、得られた成形物の機械的特性、色
調、寸法安定性がすぐれていること、成形屑の循環使用
特性にも優れて経済性がよいことがあげられ、これらの
特徴を活かして、電子電気分野、精密機器分野、自動車
航空機分野などの成形物の原料として広く使用できる。
なかんづく、精密機器分野には特に好適である。
更に本発明で成分(B)をやや多目に配合した組成物
は、これらの効果のみならず、射出成形時のウェルド特
性も改良された組成物である。
以下、実験例及び実施例を用いて本発明を具体的に説明
するが、本発明はその要旨を越えない限り、これら実験
例及び実施例に限定されるものではない。
実施例 ポリマー調製例A−1 N−メチルピロリドン(NMP)1200kgおよび含水硫化ソ
ーダ(純度46.4%)420kgをTi張りオートクレーブに仕
込み、約202℃まで昇温加熱して、水190kgを留出させ
た。次いで、p−ジクロルベンゼン366kgを仕込んだ。2
18℃/5時間の重合を行なった後に、水90kgを追加して、
260℃/1.5時間の重合に続いて242℃/4時間の重合を行な
った。生成したポリマーを含むスラリーを得た。当該ス
ラリーを目開き0.1mmのスクリーンで篩分して、粒状ポ
リマーだけを分離し、アセトン洗及び水洗をして、線状
ポリマーを得た。
この線状ポリマーを2%−NM4Cl水溶液に浸漬して40℃/
30分間処理し、水洗し、80℃/12時間減圧乾燥して、ポ
リマーA−1(顆粒)を得た。得られた未架橋型ポリマ
ーA−1の溶融粘度η*(温度=310℃、剪断速度=5/秒
での値。本発明におけるη*はすべて、この条件におけ
る値である)は1×104ポイズであった。
ポリマー調製例A−2 NMP15kgおよび含水硫化ソーダ(純度46.4%)4.20kgをS
US316ステンレス鋼製オートクレーブに仕込み、約202℃
まで昇温加熱して水1.6kgを溜出させた。次いで、p−
ジクロルベンゼン3.65kgを仕込み、240℃/2時間の重合
を行なった。
生成したポリマーを含むスラリーを減圧下で加熱して、
NMPを溜去した。得られたポリマーを含む固体を水洗し
て塩類を除去し、アセトン洗及び水洗し、80℃/1不時間
の減圧乾燥を行なった。得られたポリマー(粉末)のη
*は、100ポイズであった。
このポリマーについて空気循環式オーブン中で270℃/6
時間の高温キュアリングを行なって、ポリマーA−2
(粉末)を得た。得られた熱架橋型のポリマーA−2の
η*は、1×104ポイズであった。
ポリマー調製例B−1 NMP2.0kgおよび含水硫化ソーダ(純度46.4%)420gをオ
ートクレーブに仕込み、約200℃まで昇温加熱して、水9
0gを溜出させた。次いで、p−ジクロルベンゼン355gお
よび1,2,4,5−テトラクロルベンゼン11gを仕込んだ。21
5℃/8時間の重合を行なった後に、水30gを追加して約30
分で250℃まで昇温し250℃/0.3時間加熱し、それから21
0℃まで15分で冷却し、再び30分かけて245℃まで昇温し
て、12時間保持した。溶融時ゲル状を呈するポリマーB
−1(顆粒約20%塊状約80%)を得た。得られた重合架
橋型ポリマーB−1のη*は、約1×107ポイズであっ
た。別に245℃まで昇温することなくそのまま降温した
ポリマーは微粉でありη*<10ポイズであった。
ポリマー調製例B−2 1,2,4,5−テトラクロルベンゼンの仕込量を5.5gにした
点を除くほかはポリマー調製例B1と同じ方法で、溶融時
ゲル状を呈するポリマーB−2を得た。得られた重合架
橋型のポリマーB−2のη*は、3×106ポイズであっ
た。
ポリマー調製例B−3 1,2,4,5−テトラクロルベンゼンの仕込量を0.55gにした
点を除くほかは、ポリマー調製例B1と同じ方法で重合を
行なって、ポリマーB−3を得た。得られた重合架橋型
のポリマーB−3のη*値は、約5×104ポイズであっ
た。
ポリマー調製例B−4〜B−6 前述のポリマー調製例Aで得られたポリマーA−1の一
部について、空気循環式オーブン中でそれぞれ280℃/16
時間、280℃/6時間および270℃/5時間の高温キュアリン
グを行なって、ポリマーB−4、B−5およびB−6を
調製した。得られた熱架橋型のポリマーB−4、B−5
およびB−6のη*は、それぞれ約5×106ポイズ、約1
×106ポイズ及び約5×104ポイズであった。ポリマーB
−4及びB−5は溶融時ゲル状を呈していた。
ポリマー調製例A−3 重合缶中にNMP 930kgとNa2S・5H2O(Na2Sとして46.07重
量%を含む)423kgを仕込んだ後、203℃まで徐々に昇温
して水171kgを留去させた。水5kg及びNMP44kgを追加
し、次にパラジクロルベンゼン365kgを添加した。220℃
で5時間重合させた後、水135kgを追加し、255℃で4.5
時間重合させた。冷却後、反応液を目開き0.1mmのスク
リーンで篩分し、粒状ポリマーを回収し、メタノール
洗、水洗を行って線状ポリマーを得た。このポリマーを
2%NH4Cl水溶液中に浸漬し、攪拌しながら40℃で30分
間処理した。該ポリマーを水洗後乾燥してポリマーA−
3を得た。得られた線状型ポリフェニレンスルフィド
(A−3)のη*値は880ポイズであった。
組成物の調製実施例 組成物の調製 ポリマーA−1、A−3を未架橋型洗浄ポリマーのベー
スポリマーとして用いた。ポリマーA−2は熱架橋型の
従来の射出成形用組成物に用いられているベースポリマ
ーのモデルとして用いた。ポリマーB−1〜B−6をバ
リ改良剤として用いた。
予備混合としてベースポリマー100重量部当り各種バリ
特性改良用ポリマーの所定量及びガラス繊維(GFと略
称、径13μm、3mm長、日本電気硝子製)を所定量ブレ
ンドして、それぞれ粉末状組成物を調製した。
尚この予備混合の手順としてはまずPATEとバリ改良用ポ
リマーをヘンシェルミキサーで混合し、次いでこの混合
物にガラス繊維を加えてタンブラーミキサーで混合し
た。この粉末状組成物を同方向二軸混練押出機(シリン
ダー径30mmφ、プラスチック工学研究所製#BT-30)を
用いて溶融混練し、ストランド状に押し出し、急冷し、
切断して、それぞれのペレット状組成物を調製した。
射出成形実施例 射出成型機(東芝機械(株)製#IS-25EV)にバリ特性
試験用金型(バリ形成用30μm、間隙付)を装着し、各
ペレットサンプルについて、樹脂温度350〜360℃、金型
温度145℃で射出成形を実施した。実験番号1〜12は射
出成形保持圧1400kg/cm2、実験番号13〜18は射出成形保
持圧1000kg/cm2であった。
なお、使用したバリ特性試験用金型は、2mm×40mm×40m
mのキャビティーを持ち、この正方形の一辺中央に幅2mm
のゲート部を設けたものにおいて、ゲート部と対向する
辺に幅4mm×長さ(射出方向)6mmのバリ形成用間隙(前
記のように、クリヤランス30μm)4個を間隔2mmの組
として射出軸を中心に10mm離間させて設けたものであ
る。
得られた成型品の30μmの間隔において発生したバリの
長さが短い程、バリ特性はすぐれている。そして、バリ
特性が極めて劣るものを1、極めて優れているものを
5、従来の組成物のレベルを3として評価した。結果
は、一括して第1表及び第2表に示す通りであった。又
同様にいくつかの組成物について物性試験片金型を用い
て、金型温度145℃で射出成形を行った後、物性試験を
行った。
物性評価 射出成形機に物性試験片用金型を装着し、各サンプルに
ついて樹脂温度350〜360℃、金型温度145℃、射出成形
保持圧1000kg/cm2の条件で射出成形を行った。
尚、機械的物性測定はASTMに準じて行った。
結果を第2表に示す。
ウェルド引張強度 上記の物性試験片用金型の引張試験片型には両端部に各
々ゲートを設けてありウェルド特性試験片作成時には射
出成形時両端ゲートより樹脂を入れウェルド部を中央近
辺に有する試験片を作成した。通常引張試験片作成時は
片側のゲートをつぶして射出成形した。各々の試験片を
用いて引張強度、伸度を測定した。
結晶化度の測定 結晶化度は、広角X線回折パターンから2θ=17〜23°
での結晶性散乱強度Acと非晶性散乱強度Aaとを分離し、
Ci=[Ac/(Ac+Aa)]×100の式より計算された値を用
いる。この点に関する詳細は「ジャーナル・オブ・アプ
ライド・ポリマー・サイエンス」(J.Applled Polymer
Sci.)20,2541(1976)を参照されたい。
溶融粘度の測定 高化式フローテスターを用い、310℃、剪断速度5/秒で
測定した。
第2表から本発明の組成物はバリを抑制する効果のみな
らず成形時の結晶化が促進されており、又驚くべき事に
ウェルド特性も改良されることが判った。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川上 進盟 福島県いわき市植田町根小屋25―13 (72)発明者 椎木 善彌 福島県いわき市錦町落合28―1 (56)参考文献 特開 昭61−87752(JP,A) 特開 昭62−81450(JP,A) 特開 昭63−225656(JP,A) 特開 平2−255767(JP,A) 特開 平2−180962(JP,A) 特開 平2−151656(JP,A) 特開 平2−107666(JP,A) 特開 昭62−240359(JP,A) 特開 平1−124579(JP,A)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の成分A100重量部に下記の成分Bを0.
    2〜90重量部および下記の成分Cを成分(A+B)100重
    量部に対し0〜400重量部配合してなることを特徴とす
    る、バリ特性の改良されたポリアリーレンチオエーテル
    成形用組成物。 成分A:繰返し単位 を主構成要素とし、溶融粘度(温度310℃、剪断速度5/
    秒)が10〜5×104ポイズのポリアリーレンチオエーテ
    ルからなる樹脂。 成分B:溶融粘度(温度310℃、剪断速度5/秒)が5×105
    〜1×109ポイズの溶融時ゲル状を呈する架橋ポリアリ
    ーレンチオエーテル。 成分C:繊維状充填材、無機質充填材または両者の混合
    物。
  2. 【請求項2】成分Aが、未架橋の実質的に線状のポリア
    リーレンチオエーテルからなる樹脂である特許請求の範
    囲第1項記載の成形用組成物。
  3. 【請求項3】成分Bが、重合架橋による溶融時ゲル状を
    呈する架橋ポリアリーレンチオエーテルである特許請求
    の範囲第1項記載の成形用組成物。
  4. 【請求項4】成分Bが、高温キュアリングによる溶融時
    ゲル状を呈する架橋ポリアリーレンチオエーテルである
    特許請求の範囲第1項記載の成形用組成物。
  5. 【請求項5】成分Cを成分(A+B)100重量部に対し
    て0.01〜400重量部含む特許請求の範囲第1項記載の成
    形用組成物。
  6. 【請求項6】射出成形用組成物である特許請求の範囲第
    1項記載の成形用組成物。
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