JPH0710025Y2 - エンジンのパーティキュレート捕集装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本考案は、エンジンのパーティキュレート捕集装置に関
する。

＜従来の技術＞ 従来、エンジンでは、排気中に含まれる排気微粒子（以
下、パーティキュレートと称する）を捕集するための多
数のセルを有したフィルタ所謂パーティキュレートトラ
ップフィルタが排気通路に介装されている。

ところで、捕集されたパーティキュレートが増加する
と、前記フィルタの目詰まりによって排気圧力が上昇
し、エンジン性能が低下する。

このため、従来では、前記フィルタの上流側に加熱部を
配したバーナ等の再生装置を用いてフィルタに捕集され
たパーティキュレートを燃焼除去し、フィルタの再生を
図るようにしている（特開昭62−298615号公報及び実開
昭61−108821号公報等参照）。

＜考案が解決しようとする課題＞ ところで、上記フィルタは、その径方向の断面全体に交
互にセルを開設した構成であるため、各セルに略均一に
パーティキュレートが捕集される。

従って、フィルタの再生時には、パーティキュレートの
燃焼による熱の逃げ難いフィルタ中心部分の温度が外周
部分と比較して高くなり、次のような問題点を生じる。

即ち、フィルタ中心部分が高温となることによる該中心
部分の溶損を生じる。又、フィルタ中心部分と外周部分
との温度差が大きくなって、フィルタのクラックを生じ
る。更に、フィルタ中心部が外周部分よりも先に再生
し、外周部分の再生が効果的に行えない等均一な再生を
行えない。

尚、本出願人は、先に、上記の欠点を解消する技術とし
て、フィルタをそのセル通過面積が中央部で小さく、外
周に近づくほど大きくなるように形成した構成のフィル
タ装置を提案している（実願昭63−6075号参照）。

本考案は以上のような従来の問題点に鑑み、再生時にお
けるフィルタ中心部の過昇温を回避して上記従来の問題
点の発生を防止することを目的とする。

＜課題を解決するための手段＞ このため、本考案は、排気通路に多数のセルを有した構
成のパーティキュレートフィルタを配し、捕集されたパ
ーティキュレートを燃焼除去するフィルタ再生装置の加
熱部を前記フィルタの上流側に配した構成のエンジンの
パーティキュレート捕集装置において、前記フィルタの
上流側端面の略中央部に位置するセル開口端を閉塞する
閉位置と開放する開位置とに選択的に動作される開閉カ
バーを設けるようにした。

＜作用＞ かかる構成では、捕集時には、フィルタの上流側端面の
中央部において開放されているセル開口端を開閉カバー
により閉塞することにより、フィルタ中心部分に形成さ
れているセルに捕集されるパーティキュレートの量が大
幅に低減される。この結果、フィルタの再生時に、パー
ティキュレートの燃焼熱でフィルタ中心部分の温度が過
度に上昇するのを阻止することができるようになる。

従って、フィルタ中心部分の溶損及びフィルタのクラッ
クの発生を防止できると共に、フィルタ全体の均一再生
を行える。

尚、再生時には、フィルタの上流側端面の中央部におい
て開放されているセル開口端を開閉カバーにより開放す
ることにより、フィルタ外周部で発生した熱を中心部を
介して外部に放出できる。

＜実施例＞ 以下、本考案の実施例を図に基づいて説明する。

第１図において、排気通路を構成する排気管１にはパー
ティキュレートトラップフィルタ２が介装される。この
パーティキュレートトラップフィルタ２は、円筒状のフ
ィルタケース３内に円筒状のシール材４を介して収納さ
れる。このパーティキュレートトラップフィルタ２は、
セラミック等の多孔質材で形成され、多数のセル2aを有
したハニカム構造のものである。即ち、フィルタ２に格
子状に形成された多数のセル2aの上流側開口端面には縦
・横交互に目詰め５がされている。フィルタ２の下流側
端面においては、前記上流側端面に目詰め５がなされて
いないセル2aに目詰め５がされている。

ここで、フィルタ２の上流側で中央部に位置するセル2a
開口端を閉塞する閉位置と開放する開位置とに選択的に
動作される開閉カバーが設けられている。

即ち、第１図及び第２図に示すように、フィルタの上流
側端面の中央部において開放されているセル2a開口端を
一括して開閉する単一の円形状開閉カバー８を設けてあ
る。

この場合、カバー８を排気管内周面に両端が回動自由に
支承された回動軸8aに固定し、この回動軸8aの回動操作
によって、カバー８を開位置と閉位置とに回動させるよ
うにしている。

又、第３図に示したものは、カバー８をフィルタケース
に一端が前後方向に揺動自由に支持された揺動軸8bに固
定し、この揺動軸8bの揺動操作によって、カバー８を開
位置と閉位置とに前後に揺動させるようにしている。

更に、第４図に示したものは、カバーを半円形状のカバ
ー分割体8A,8Bにより構成し、このカバー分割体8A,8Bを
排気管内周面に両端が回動自由に夫々支承された並列す
る一対の回動軸8c,8dに固定し、この回動軸8c,8dの回動
操作によって、カバー分割体8A,8B夫々を開位置と閉位
置とに回動させるようにしている。

かかる構成において、パーティキュレートの捕集時に
は、カバー８を閉じて、フィルタ２上流側端面の中央部
において開放されているセル2a開口端を閉塞すると、フ
ィルタ２の中心部分に形成されているセルに捕集される
パーティキュレートの量を大幅に低減させることができ
る。一方、フィルタ２の再生時には、カバー８を開いて
フィルタ２の上流側端面の中央部のセル2a開口端を開放
し、該中央部のセル2aにも燃焼ガスを流通させる。

従って、かかる構成によると、フィルタ２の再生時に、
パーティキュレートの燃焼熱でフィルタ２中心部分の温
度が過度に上昇するのを阻止することができ、特に、フ
ィルタ２の再生時には、フィルタ２の上流側端面の中央
部のセル2aにも燃焼ガスを流通させるため、フィルタ２
の外周部で発生した熱を中心部を介して外部に放出でき
る。即ち、フィルタ２中心部は発熱部とならずに放熱部
となる。

この結果、フィルタ２の温度分布を中心部と外周部とで
略均一化することができるようになる。

従って、フィルタ２の中心部分の溶損防止、フィルタ２
のクラックの発生防止及びフィルタ２の全体の均一再生
をより効果的に図ることができる。

第５図のグラフは、フィルタ２の各位置に対するパーテ
ィキュレート捕集量及び再生時フィルタ２の温度の例を
示しており、点線が従来例のもの、実線が本考案のもの
である。このグラフから、フィルタ２中心部ではパーテ
ィキュレート捕集量が少なく、これによって再生時のフ
ィルタ２の中心温度が例えば、フィルタ２の溶損温度以
下に抑えられていることが明らかである。

尚、上記の各実施例においては、フィルタ２の再生を排
気ガスを流通させない時要するにエンジン停止時に行う
構成の捕集装置に本考案を適用した例を示したが、フィ
ルタ２の再生をエンジン駆動時に行うようにした捕集装
置にも本考案は適用することができる。

この捕集装置は、例えば第６図及び第７図に示すように
構成される。

第６図に示したものは、排気管１にパーティキュレート
トラップフィルタ２をバイパスするように配管されたバ
イパス管９を設け、該バイパス管９の入口と出口に夫々
切換バルブ10を設けたものである。

この構成では、パーティキュレート捕集時には、切換バ
ルブ10を実線に示す位置に設定して、フィルタ２側に排
気ガスを流通させ、フィルタ２再生時には、切換バルブ
10を点数に示す位置に設定して、バイパス管９側に排気
ガスを流通させるようにする。

一方、第７図に示したものは、排気管１のパーティキュ
レートトラップフィルタ２上流側から分岐配管された分
岐管11を設け、該分岐管11の入口に切換バルブ12を設け
たものである。

この構成では、パーティキュレート捕集時には、切換バ
ルブ12を実線に示す位置に設定して、フィルタ２側に排
気ガスを流通させ、フィルタ２再生時には、切換バルブ
12を点線に示す位置に設定して、分岐管11側に排気ガス
を流通させるようにする。

＜考案の効果＞ 以上説明したように、本考案のエンジンのパーティハキ
ュレート捕集装置によれば、フィルタの上流側端面の略
中央部に位置するセル開口端を閉塞する閉位置と開放す
る開位置とに選択的に動作される開閉カバーを設けるよ
うにしたから、捕集時には、フィルタの上流側端面の中
央部において開放されているセル開口端を開閉カバーに
より閉塞し、再生時には、フィルタの上流側端面の中央
部において開放されているセル開口端を開閉カバーによ
り開放することにより、パーティキュレートの燃焼熱で
フィルタ中心部分の温度が過度に上昇するのを阻止する
ことができると共に、フィルタの外周部で発生した熱を
中心部を介して外部に放出でき、フィルタの温度分布を
中心部と外周部とで略均一化することができ、フィルタ
中心部分の溶損防止、フィルタのクラックの発生防止及
びフィルタ全体の均一再生を図ることができる実用的効
果大なるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るエンジンのパーティキュレート捕
集装置の一実施例を示す正面断面図、第２図〜第４図は
夫々本考案の開閉カバーの実施例を示す概略斜視図、第
５図は本考案の効果を従来例と比較して示すグラフ、第
６図及び第７図は夫々本考案を実施する他のパーティキ
ュレート捕集装置の概略図である。 １…排気管、２…パーティキュレートトラップフィル
タ、2a…セル、８…カバー

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 浅海 靖男 埼玉県上尾市大字壱丁目１番地 日産ディ ーゼル工業株式会社内 (72)考案者 石井 正 埼玉県上尾市大字壱丁目１番地 日産ディ ーゼル工業株式会社内 (56)参考文献 実開 昭61−149714（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭63−19021（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】排気通路に多数のセルを有した構成のパー
   ティキュレートフィルタを配し、捕集されたパーティキ
   ュレートを燃焼除去するフィルタ再生装置の加熱部を前
   記フィルタの上流側に配した構成のエンジンのパーティ
   キュレート捕集装置において、前記フィルタの上流側端
   面の略中央部に位置するセル開口端を閉塞する閉位置と
   開放する開位置とに選択的に動作される開閉カバーを設
   けたことを特徴とするエンジンのパーティキュレート捕
   集装置。