JPH0698749A - 高発酵度ビールの製造方法 - Google Patents

高発酵度ビールの製造方法

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JPH0698749A
JPH0698749A JP4274828A JP27482892A JPH0698749A JP H0698749 A JPH0698749 A JP H0698749A JP 4274828 A JP4274828 A JP 4274828A JP 27482892 A JP27482892 A JP 27482892A JP H0698749 A JPH0698749 A JP H0698749A
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fermentation
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beer
glucosidase
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Kiyoshi Takoi
潔 蛸井
Yukinobu Kano
幸信 狩野
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  • Distillation Of Fermentation Liquor, Processing Of Alcohols, Vinegar And Beer (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 過ヨウ素酸酸化処理したセルロース系素材に
糖質分解酵素を反応させ、共有結合させてなる固定化酵
素を、麦汁発酵液に接触させることを特徴とする高発酵
度ビールの製造方法。 【効果】 本発明では、過ヨウ素酸酸化処理したセルロ
ース系素材に糖質分解酵素を反応させ、共有結合させて
なる固定化酵素を用いている為、担体であるセルロース
系素材からの酵素の漏洩が非常に少なく、酵素のリーク
を検出限界以下に抑えることができる。この固定化は担
体表層のみの固定化であるため、固定化に使用する酵素
量を低減化することができる。更に担体及び固定化に要
する試薬が安価であるばかりか、固定化酵素は、発酵液
に直接酵素を添加した場合とほぼ同等の活性を有し、再
使用に耐えるものである。従って、本発明の方法によれ
ば、固定化糖質分解酵素を用いて効率よく高発酵度ビー
ルを製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、糖質分解酵素を用いて
高発酵度ビールを製造する方法に関し、詳しくは酵素の
漏洩の非常に少なく、しかも安価な固定化糖質分解酵素
を用いて効率よく高発酵度ビールを製造する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】低カロ
リービールやダイエットビールなどのビールは、通常の
ビールよりも残存するエキス(主に未分解のデキストリ
ン)の少ない高発酵度ビールである。このエキスは、ビ
ールのもとになる麦汁を麦芽から製造する段階で、麦芽
の持つ澱粉分解酵素により分解されずに残ったものであ
る。従って、高発酵度ビールを製造するには、この残存
エキスを何らかの方法で分解する必要がある。このよう
な方法の一つとして、麦汁を製造する仕込の工程中に、
糖質分解酵素を添加する方法がある。例えば、仕込段階
でプルラナーゼを添加する方法(GBA206952
7)や煮沸前の麦汁へグルコアミラーゼを添加する方法
(DD87288)である。しかしながら、この方法で
は、発酵度の向上に一定の限界がある。その理由として
は、仕込の糖化工程が一般に3時間程度の短時間で行な
われることや、酵素の分解生成物である低分子糖が蓄積
し、酵素の反応効率が低下するなどといったことが考え
られる。また、充分なエキスの分解を行なうためには、
大量の酵素が必要となる。
【0003】もう一つの方法としては、発酵の段階に酵
素を添加する方法がある。例えば、プルラナーゼ、アミ
ラーゼを発酵段階で添加する方法(USP 43550
47)などである。この方法では、酵素により分解され
た低分子糖が発酵中の酵母により次々と消費されるた
め、発酵度をほぼ限界まで向上させることが可能であ
り、また、発酵の期間が長いため、添加する酵素の量も
少なくて済むという利点がある。しかしながら、この方
法では、製品ビール中に残存する酵素活性により、消費
されるまでの間に微量残存しているエキスがさらに分解
され、甘味を生じることがあるといった問題がある。
【0004】そこで、これら従来の欠点を解決する手段
として、固定化酵素の使用が考えられる。発酵中に固定
化グルコアミラーゼを作用させ、高発酵度ビールを製造
する方法がいくつか提案されており、例えば、USP
4430348には高発酵度ビール製造のための固定化
グルコアミラーゼリアクターが開示されている。しかし
ながら、この方法でも、固定化酵素から酵素が漏洩すれ
ば、同じ問題が生じる。また、一般に固定化酵素用の担
体は、特殊な方法で多孔質の形状に成形したものや、特
殊な官能基を結合させたものなどが多く、担体の製造コ
ストが高価であるばかりか、酵素の漏洩を完全に防止す
ることはできなかった。
【0005】すなわち、酵素を担体に固定化する手段と
して最も一般的に行なわれているのは、多孔質の形状を
有する担体に酵素を物理的に吸着させ、さらに架橋剤な
どを用いて固定化を強化するという方法である。また、
多孔質による物理的吸着によらず、イオン結合や疎水結
合で酵素を担体に吸着させる方法もある。しかしなが
ら、これらの方法では、担体内部まで入り込んで吸着さ
れている酵素分子全てを架橋により安定化させることは
不可能である。そのため、架橋剤と反応しなかった酵素
は拡散によって徐々に担体の外部へ漏洩してくる。この
ように担体に大量の酵素を吸着させる方法では、酵素の
漏洩を完全に防ぐことはできない。また、固定化酵素の
発現活性は、主に反応液と接触する担体の表面積に依存
しており、一定以上の酵素を吸着させても実際の反応に
は寄与していない場合もある。
【0006】本発明者らは、糖質分解酵素を用いて高発
酵度ビールを製造するに際し、製造コストが安価であ
り、しかも酵素の漏洩のない固定化糖質分解酵素を得る
べく鋭意研究を重ねた。その研究過程において、酵素を
従来のように担体内部ではなく、担体の表面(表層部
分)のみに固定化できないかと考え、幾多の試行錯誤の
結果、担体として用いるセルロース系の素材を過ヨウ素
酸酸化処理することを思いついた。すなわち、過ヨウ素
酸酸化は、隣接する二個の水酸基に作用してこれを解裂
させ、二個のアルデヒド基を生成させ、さらにアルデヒ
ド基は、アミノ基と反応してシッフ塩基を形成、結合す
る性質があるが、固定化酵素の担体として用いるセルロ
ースは分子内に二個の水酸基が隣接する構造を有してい
るので、過ヨウ素酸酸化処理によって、セルロース表層
にアルデヒド基を生成させれば、酵素分子のアミノ基と
の反応により、酵素を直接セルロース表層に共有結合さ
せることができると考えた。本発明はかかる知見に基づ
いてなされたものであり、製造コストが安価であり、し
かも酵素の漏洩のない固定化糖質分解酵素を用いること
により、効率よく高発酵度ビールを製造する方法を提供
することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、過ヨ
ウ素酸酸化処理したセルロース系素材に糖質分解酵素を
反応させ、共有結合させてなる固定化酵素を、麦汁発酵
液に接触させることを特徴とする高発酵度ビールの製造
方法を提供するものである。
【0008】本発明において用いるセルロース系素材と
しては、種々の形態のものが挙げられる。例えば、粒子
状や繊維状のものなどを使用することができ、さらに各
種成形手段により、各種形状に成形されたものを用いる
ことができる。具体的には、木綿繊維を原料として作ら
れる脱脂綿、織布(ガーゼを含む)、不織布、紡糸な
ど、パルプを原料として作られるろ紙、セルロースパウ
ダーなど、また、セルロースエステルのようなセルロー
ス誘導体(セルロースアセテート、セルロースニトレー
トなど)を成形して作られるフィルム、メンブランフィ
ルターなど、セルロース分子の構造を含んでいる素材全
般を用いることができる。
【0009】本発明においては、まず上記セルロース系
素材を過ヨウ素酸酸化処理する。ここで過ヨウ素酸酸化
(マラプラード反応)は、過ヨウ素酸又は過ヨウ素酸塩
による有機化合物の選択的酸化反応であり、前記した如
く、隣接する二個の水酸基に作用してこれを解裂させ、
二個のアルデヒド基を生成させる。ここで用いられる過
ヨウ素酸又は過ヨウ素酸塩としては、市販されており、
かつ、食品に使用できるものであれば種々のものを用い
ることができる。過ヨウ素酸としては、例えばメタ過ヨ
ウ素酸(HIO4 ),オルト過ヨウ素酸(H5 IO6
などが挙げられる。また、過ヨウ素酸塩としては、例え
ばメタ過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO4),メタ過ヨ
ウ素酸カリウム(KIO4 ),パラ過ヨウ素酸ナトリウ
ム(Na32 IO6 ),メタ過ヨウ素酸アンモニウム
(NH4 IO4 )などが挙げられる。但し、メタ過ヨウ
素酸カリウムは溶解度が低いので、メタ過ヨウ素酸ナト
リウムの方が望ましい。通常は、これら過ヨウ素酸又は
過ヨウ素酸塩を、1〜5%(W/W)の濃度の水溶液と
して用いればよい。過ヨウ素酸酸化処理の条件として
は、特に制限はないが、例えばセルロース系素材を過ヨ
ウ素酸又は過ヨウ素酸塩の水溶液に懸濁し、これを遮光
下に4℃程度の低温下において、一晩〜二晩程度攪拌
し、反応させればよい。
【0010】このようにしてセルロース系素材を過ヨウ
素酸酸化処理し、分子内にジアルデヒドの構造を持つセ
ルロース(セルロース系素材)を調製する。次いで、こ
れに糖質分解酵素を反応させ、共有結合させる。すなわ
ち、上記の如くして得られた分子内にジアルデヒドの構
造を持つセルロース(セルロース系素材)に、糖質分解
酵素を反応させる。本発明において用いる糖質分解酵素
としては、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルコア
ミラーゼ及びプルラナーゼよりなる群から選ばれた1種
以上のものであり、特にプルラナーゼを使用する場合に
は、これ単独ではなく、グルコアミラーゼ,β−アミラ
ーゼ等を併用することが好ましい。このように糖質分解
酵素と反応させることにより、セルロース分子内のアル
デヒド基と、酵素タンパク質分子のアミノ基が反応し
て、シッフ塩基を形成する。このようにして、酵素タン
パク質分子のアミノ基との反応により、酵素を直接セル
ロース表層に共有結合させることができる。糖質分解酵
素との反応は、例えば上記の如くして得られた分子内に
ジアルデヒドの構造を持つセルロース(セルロース系素
材)を、100〜500U/ml程度の濃度の糖質分解
酵素溶液に浸漬し、反応させればよい。
【0011】なお、形成されたシッフ塩基は、pH変化
などで容易に解裂する不安定なものであるので、水素化
ホウ素ナトリウム(NaBH4 )などを用いて還元処理
し、安定な共有結合に変化させる。還元処理の条件は特
に制限はないが、通常は室温程度の温度において、1〜
6時間程度、好ましくは2〜4時間程度行なえばよい。
【0012】さらに、必要に応じて架橋剤による架橋処
理を行ない、酵素分子同士を架橋し、固定化を強化す
る。架橋処理は、二価性試薬を用いて行なわれる。ここ
で二価性試薬としては種々のものがあるが、例えば次式
(I)
【化1】 (式中、R1 はアルキル基を示す。)で表されるジアル
デヒド類があり、具体的にはグルタルアルデヒド〔OH
C(CH2 3 CHO〕等が挙げられる。また、二価性
試薬としては、次式(II)
【化2】 (式中、R2 〜R4 はそれぞれアルキル基を示し、これ
らは同一のものであってもよいし、異なるものであって
もよい。)で表されるビスイミドエステル類があり、具
体的にはジメチルスベリンイミデート等が挙げられる。
さらに、二価性試薬としては、次式(III )
【化3】 (式中、R5 はアルキル基を示す。)で表されるジイソ
シアナート類があり、具体的にはトルエン−2,4−ジ
イソシアナート等が挙げられる。また、架橋処理の条件
としては、1〜2.5%程度のグルタルアルデヒド水溶
液を用いて、2〜10℃程度の低温下で行なうことが好
ましく、通常、4℃程度で行なえばよい。なお、架橋処
理を室温下で行なうと、酵素活性が著しく失活するため
好ましくない。
【0013】次に、本発明の方法による固定化の原理に
ついて、具体的に説明する。以下の説明は、具体的な化
合物を用いて行なったが、勿論、本発明はこれに限定さ
れるものではない。まず、次のようにセルロースをメタ
過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO4 )などによって酸化
し、分子内にジアルデヒドの構造を持つセルロースを調
製する。
【0014】
【化4】
【0015】次に、得られたセルロースに糖質分解酵素
を反応させることにより、セルロース分子内のアルデヒ
ド基と、酵素タンパク質分子のアミノ基が以下のように
してシッフ塩基を形成する。
【0016】
【化5】
【0017】形成されたシッフ塩基は、pH変化などで
容易に解裂する不安定なものであるので、次のようにN
aBH4 などを用いて還元処理し、安定な共有結合に変
化させる。
【0018】
【化6】
【0019】さらに、グルタルアルデヒドなどの架橋剤
で酵素分子同士を架橋し、固定化を強化する。
【0020】本発明は、このようにして得られる固定化
酵素を、麦汁発酵液に接触させることを特徴とするもの
である。麦汁発酵液としては、ビールの製造に通常用い
られるものであればよく、特に制限はない。本発明にお
いては、上記の如くして得られる固定化酵素を、麦汁発
酵液に、浸漬するなどの方法により、直接接触させれば
よい。以上の如くして、目的とする高発酵度ビールを製
造することができる。
【0021】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明する。なお、本発明はその要旨を超えない限り、以下
の実施例に限定されるものではない。 試験例1 表1に示すように粒度の異なるセルロースパウダーを用
い、これをそれぞれ過ヨウ素酸酸化処理し、グルコアミ
ラーゼの固定化を行ない、発現活性とリーク活性を調べ
た。まず蒸留水に約1%濃度で過ヨウ素酸ナトリウムを
溶解し、これに粒度の異なるセルロースパウダーをそれ
ぞれ懸濁して、遮光下に4℃で一晩攪拌し、反応させ
た。反応物は、ブフナー漏斗上で蒸留水で充分に洗浄し
た後、アセトンで洗浄し、乾燥させた。各々の過ヨウ素
酸酸化セルロース50mgを、10U/ml濃度のグル
コアミラーゼ溶液500μl中に浸漬し、室温で一晩反
応させた後、50mMのNaBH4 (pH8.5、50
mMトリエタノールアミン−HCl緩衝液)2.5ml
で室温下、3時間の還元処理を行ない、固定化した。酵
素固定化後のセルロースは蒸留水で充分に洗浄した。
【0022】固定化後の試料は、0.1M酢酸緩衝液
(pH4.5)20ml中に懸濁し、そのうち50μl
を取り、1%可溶性澱粉を基質として、pH4.5、4
0℃で15分間反応させ、生成したグルコース量を測定
し、発現活性とした。発現活性は酵素活性単位(ユニッ
ト:U)で表記した。同じ試料懸濁液をメンブランフィ
ルターで濾過し、固定化酵素を除去した後、500μl
を用い、1%可溶性澱粉を基質として、40℃で一晩イ
ンキュベートし、生成したグルコース量を測定し、リー
ク活性とした。過ヨウ素酸酸化セルロースの固定化グル
コアミラーゼの発現活性、リーク活性を表1に示す。な
お、表中の値は、セルロース50mgあたりの値であ
る。リーク活性は、各固定化酵素をpH4.5の緩衝液
中に30日間保存した後、上清中に遊離してきた酵素の
量である。
【0023】
【表1】
【0024】上記表1に示す如く、発現活性は微結晶セ
ルロースである Avicel と、最も粒度の粗い(繊維状に
近い)セルロースパウダーDが、他のセルロースパウダ
ーに比べて高かった。実験上の扱い易さなどを考慮し、
以下の実験にはセルロースパウダーDを用いることとし
た。
【0025】試験例2 次に、架橋剤としてグルタルアルデヒド(GA)を用
い、固定化の強化、リーク活性の抑制を試みた。上記試
験例1で得られた過ヨウ素酸酸化セルロースパウダーD
50mgを、100U/ml濃度のグルコアミラーゼ
溶液500μl中に浸漬し、4℃又は室温で、3時間又
は一晩反応させた。この試料に対し、50mMのNaB
4 (pH8.5、50mMトリエタノールアミン−H
Cl緩衝液)2.5mlを用いて室温下、3時間の還元
処理を行なった後、蒸留水で洗浄し、固定化条件の異な
る固定化酵素を調製した。各々の固定化酵素について、
2.5%グルタルアルデヒド溶液(pH8.5)2.5
mlを用い、4℃又は室温で、3時間反応させた後、蒸
留水で充分に洗浄を行ない、0.1M酢酸緩衝液(pH
4.5)中で、4℃で静置保存し、1週間毎に発現活性
とリーク活性を測定した。これらの結果を表2に示す。
なお、活性測定は1週間毎に4回行ない、発現活性は4
回の平均、リーク活性は4回の測定の最大値を示した。
活性はセルロースパウダー50mgあたりの値である。
【0026】
【表2】
【0027】表2に示すように、グルタルアルデヒド処
理を室温で行なうと、酵素活性は著しく失活した。ま
た、グルタルアルデヒド処理を4℃,3時間という温和
な条件下で処理を行なったものでは、2U/50mg・
セルロース程度の活性があり、発現活性は処理前の約1
/4になっていたものの、リーク活性は処理前の1/1
00以下に低下しており、この方法では検出されなかっ
た。このリーク活性測定法では、5×10-5U/50mg
・セルロース程度が検出限界であり、今回のサンプルは
これを充分にクリアしており、充分に実用可能と思われ
る。以上のように、グルタルアルデヒド処理の条件を検
討した結果、発現活性は充分に残しながら、リーク活性
を検出限界以下に抑えることが可能であることが判っ
た。なお、予備試験としては、セルロースパウダーを用
いて実験を行なったが、ビール発酵試験に使用するにあ
たり、扱いの容易な形状のセルロースとして、ガーゼを
使用した。ガーゼを用いた固定化グルコアミラーゼの使
用により、固定化酵素でも発酵液に直接酵素を添加した
場合と、ほぼ同等の効果が得られることを確認すること
ができた(次の実施例参照)。
【0028】実施例 (1)固定化グルコアミラーゼの調製 1%過ヨウ素酸ナトリウム水溶液400mlにガーゼを
浸漬し、4℃で一晩振とうし、過ヨウ素酸酸化処理を行
なった。反応後のガーゼは蒸留水で充分に洗浄した後、
アセトンで洗浄し、乾燥させた。次に、過ヨウ素酸酸化
処理したガーゼ約1.8gを100U/ml濃度のグル
コアミラーゼ溶液50ml中に浸漬し、4℃で二晩反応
させた後、50mMのNaBH4 (pH8.5)100
mlで室温下、3時間の還元処理を行ない、固定化し
た。酵素固定化後のガーゼは蒸留水で充分に洗浄した。
さらに、2.5%グルタルアルデヒド溶液(pH8.
5、50mMトリエタノールアミン−HCl緩衝液)1
00mlに浸漬し、4℃で3時間処理し、蒸留水で充分
に洗浄した。これを固定化グルコアミラーゼとして、次
のビール発酵試験に用いた。なお、発現活性は約40U
/1.8g・セルロースであった。
【0029】(2)発酵試験及び発酵液中の残存グルコ
アミラーゼ活性の測定 発酵試験は、発酵容器として1リットル容メスシリンダ
ーを用い、発酵温度10.5℃にて、以下の如くして行
なった。酵素を固定化したガーゼを発酵液中に浸漬し、
マグネチックスターラーにより発酵液を攪拌した。一
方、比較のためにグルコアミラーゼ(GA)を直接添加
したものについて、静置発酵を行なった。発酵終了後の
発酵液100μl、0.1M酢酸緩衝液(pH4.5)
400μl、2%可溶性澱粉500μlを混合し、40
℃で10分間若しくは一晩インキュベートし、生成した
グルコース量を定量、発酵液中のグルコアミラーゼ活性
とした。また、予め100℃、5分間の処理で酵素活性
を失活させた発酵液を用いて、同じ反応を行ない、対照
とした。それぞれの発酵液の発酵1ケ月後の真性発酵度
を図1(発酵1回目)及び図2(発酵2回目)に示す。
図1及び図2によれば、固定化酵素使用区では、発酵2
回共に真性発酵度が85%に達し、本発明における固定
化酵素が充分に再使用に耐えることが示された。なお、
ビール中の残存デキストリンを酵素により強制的に分解
して得られる発酵度は、ほぼ87%が限界であり、この
試験における発酵度は充分限界に近いものである。ま
た、固定化グルコアミラーゼを用いた発酵試験の発酵経
過(仮性エキス)を図3(発酵1回目)及び図4(発酵
2回目)に示す。さらに、各発酵液をサンプリングし、
液中の遊離グルコアミラーゼ活性を測定した。結果を表
3(発酵1回目)及び表4(発酵2回目)に示す。
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】
【発明の効果】本発明の方法では、過ヨウ素酸酸化処理
したセルロース系素材に糖質分解酵素を反応させ、共有
結合させてなる固定化酵素を用いているため、担体であ
るセルロース系素材からの酵素の漏洩が非常に少なく、
酵素のリークを検出限界以下に抑えることができる。ま
た、この固定化は担体表層のみの固定化であるため、固
定化に使用する酵素量を低減化することができる。さら
に、担体及び固定化に要する試薬が安価であるばかり
か、この固定化酵素は、発酵液に直接酵素を添加した場
合とほぼ同等の活性を有し、充分に再使用に耐えるもの
である。また、使用する固定化酵素の活性量及び発酵液
と固定化酵素の接触時間を調節することによりビールの
発酵度を自在にコントロールすることも可能となる。し
たがって、本発明の方法によれば、固定化糖質分解酵素
を用いて効率よく高発酵度ビールを製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】は実施例における発酵液の発酵1回目の真性発
酵度を示すグラフである。
【図2】は実施例における発酵液の発酵2回目の真性発
酵度を示すグラフである。
【図3】は実施例における発酵試験の発酵1回目の発酵
経過(仮性エキス)を示すグラフである。
【図4】は実施例における発酵試験の発酵2回目の発酵
経過(仮性エキス)を示すグラフである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 過ヨウ素酸酸化処理したセルロース系素
    材に糖質分解酵素を反応させ、共有結合させてなる固定
    化酵素を、麦汁発酵液に接触させることを特徴とする高
    発酵度ビールの製造方法。
  2. 【請求項2】 固定化酵素として、過ヨウ素酸酸化処理
    したセルロース系素材に糖質分解酵素を反応させ、共有
    結合させた後、さらに架橋剤による架橋処理を行なうこ
    とにより得られる固定化酵素を用いる請求項1記載の高
    発酵度ビールの製造方法。
  3. 【請求項3】 糖質分解酵素が、α−アミラーゼ、β−
    アミラーゼ、グルコアミラーゼ及びプルラナーゼよりな
    る群から選ばれた1種以上のものである請求項1又は2
    記載の高発酵度ビールの製造方法。
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