JPH06964A - インクジェットプリンタのクリーニング装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 インク吐出口面に残ったインクをクリーニン
グし、インク吐出状態への影響を少なくする。 【構成】 印字ヘッドを搭載したキャレッジ８は、パー
ジ及びクリーニングのためクリーニングホームポジショ
ン６に移動してくる。カウンタ当てアダプタ３はキャレ
ッジ側面にあたり、キャレッジ端部がワイピング部材ブ
レード５に接触する寸前に、カウンタ当てアダプタ３は
ワイピング部材ブレード５を押し、カウンタ方向にする
（図（ａ））。次に、カウンタ当てアダプタ３と一体に
なりながらキャレッジ８は移動し、クリーニングする
（図（ｂ））。キャレッジ端部にはインク吸収体９があ
り、ワイピング部材５についたインクを拭き取る。キャ
レッジ８を数回往復させ、きれいにインクをかきおとす
（図（ｃ））。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【技術分野】本発明は、インクジェットプリンタのクリ
ーニング装置に関し、より詳細には、プリンタやファッ
クス等の記録媒体に、インクの吐出により印字記録を行
うインクジェット記録ヘッドのクリーニング装置に関す
る。

【０００２】

【従来技術】従来、インクジェット記録装置において
は、吐出口から吐出された液滴以外の微小なインク滴
や、そのサテライト等が吐出口面（ヘッド表面）に付着
すると、本来の吐出の機能が損なわれ、ある吐出口から
の吐出が困難となったり、吐出口方向が変更されてしま
う（ヨレ）ことがある。この現象を解決するために、吐
出口面を清掃するクリーニング機構が提案されている。
また、インクが吐出口から吐出される際、必要とされる
インク滴以外に微少のインクが紙粉やほこり等と共に吐
出口の近傍に付着する。これが乾燥堆積してゆくと、イ
ンクの飛翔の妨げとなり、所定の箇所への正確な吐出が
できなくなる。

【０００３】このような点を解決するために、例えば、
特開平２−１９８８５９号公報に「インク清掃部材を備
えたインクジェット記録装置」が提案されている。この
公報のものは、インク掃除部材として弾性連続気孔多孔
質体を用い、インク吐出口面を撥水処理するものであ
る。しかしながら、ブレード（ワイピング部材）の移動
方向が順方向であるため、ブレード圧接力は小さく、そ
のためクリーニング効果が劣るものである。特に、拭き
取るインクの量が多い場合、弾性連続気孔多孔質体に吸
収されるインクが飽和状態に近くなると、拭き残しが生
じる恐れがある。また、弾性連続気孔多孔質体に吸収さ
れたインクは乾燥して残るため、序々に吸収力が劣って
くるとともに、乾燥インク粉がこぼれ落ち、吐出口の目
詰まりの原因となる。また、特開平３−９９８５７号公
報に提案されている「インクジェットヘッドのクリーニ
ング方法」は、インクを滲み出させながらワイパ動作を
させるものであるが、ワイパが順方向でインクを掻き取
る力が弱いという欠点がある。

【０００４】

【目的】本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされた
もので、インク吐出口面にインクが残った場合でも確実
にクリーニングでき、インク吐出状態に影響を与えない
インクジェットプリンタのクリーニング装置を提供する
ことを目的としてなされたものである。

【０００５】

【構成】本発明は、上記目的を達成するために、（１）
ノズルよりインクを吐出して記録媒体に印字を行うイン
クジェット記録装置において、インク吐出面に付着した
インクを掃除するワイピング部材を設け、該ワイピング
部材をカウンタ方向でインク吐出面に当てること、更に
は、（２）前記ワイピング部材を少なくとも複数枚重ね
合わせて具備し、該ワイピング部材をインク吐出面にワ
イピングすること、更には、（３）前記（２）におい
て、前記少なくとも複数枚重ね合わせてあるワイピング
部材の間にインク溶剤を浸透させること、更には、
（４）前記（２）において、前記ワイピング部材とイン
ク吐出面との接触角を鋭角にすること、更には、（５）
前記（２）において、前記ワイピング部材とインク吐出
面との接触角をそれぞれのワイピング部材で異なった角
度で接触すること、更には、（６）前記（３）におい
て、前記インク溶剤を浸透させるワイピング部材間を粗
目処理するか、または溝を設けること、更には、（７）
前記（３）において、前記インク溶剤を浸透させるワイ
ピング部材のインク吐出面に接触する部分を粗目処理す
るか、またはスリットを設けること、更には、（８）前
記（３）において、電源起動時、最初のクリーニング動
作のとき、インク溶剤塗布動作後、インク溶解時間を置
いてワイピング動作をすることを特徴としたものであ
る。以下、本発明の実施例に基づいて説明する。

【０００６】図１は、本発明によるインクジェットプリ
ンタのクリーニング装置の一実施例を説明するための構
成図で、この実施例では、シリアルプリンタの場合につ
いて説明する。図中、１はスライド機構、２は支点、３
はカウンタ当てアダプタ、４はバネ、５はワイピング部
材（ブレード）、６はパージポジション、７はインク吐
出口面、７ａはインク吐出口、８は印字ヘッド搭載キャ
レッジ、９はインク吸収体である。

【０００７】ワイピング部材５を図２（ａ）,（ｂ）に
示すような順方向に移動させるかわりに、図３（ａ）,
（ｂ）に示すようなカウンタ方向に移動させる。ワイピ
ング部材をカウンタ方向に移動させる方法では、ブレー
ドエッジが強力にクリーニング面に押し当てられる（こ
れを圧接力とよぶ。一般にクリーニング能力は圧接力に
大きく寄与する）ので、多少乾燥気味になったインクで
も掻きおとすことができる。本発明を実施するにあた
り、キーポイントとなるのが、通常往復運動するワイピ
ング部材ブレードの、自然に順方向になってしまうのを
どうやってカウンタ方向にするかという点である。この
実施例では、クリーニングホームポジションにカウンタ
当て治具であるカウンタ当てアダプタ３を設ける。

【０００８】図４（ａ）〜（ｃ）は、クリーニング装置
のクリーニング動作を説明するための図である。印字ヘ
ッドを搭載したキャレッジ８は、パージ及びクリーニン
グのためクリーニングホームポジション６に移動してく
る。必要ならパージをする。カウンタ当てアダプタ３は
キャリッジ側面にあたり、キャリッジ端部がワイピング
部材ブレード５に接触する寸前に、カウンタ当てアダプ
タ３はワイピング部材ブレード５を押し、カウンタ方向
にする（図（ａ））。そのあと、カウンタ当てアダプタ
３と一体になりながらキャレッジ８は移動し、クリーニ
ングすることになる（図（ｂ））。キャレッジ端部には
インク吸収体（ウレタンフォーム等の多孔質体）９が設
けられ、該インク吸収体９により、ワイピング部材５に
ついたインクを拭き取る。キャレッジ８を数回往復させ
て、きれいにインクをかきおとす（図（ｃ））。

【０００９】図５は、本発明によるクリーニング装置の
他の実施例を示す図である。ワイピング部材５ａ，５ｂ
を複数枚重ね合わせることにより、さらに大きな効果を
期待できる。従来、数回ワイピング動作が必要だったと
ころをその動作回数を減らすことでクリーニング時間を
短かくする。すなわち、ワイピング部材を少なくとも２
枚以上（複数枚）重ね合わせることにより、１回のキャ
リッジ移動で複数回のワイピング動作の効果がある。ま
た、この場合、ワイピング部材同士の間の隙間にインク
が入り込み、毛細管現象でインクを吸い上げる効果が期
待できる。

【００１０】図６は、本発明によるクリーニング装置の
更に他の実施例を示す図である。印字途中で電源が切れ
てクリーニングせずに終了した場合など、何らかのトラ
ブルでインクが乾燥固形化している場合、そこからクリ
ーニングできないで残るインクが広がってクリーニング
不良を生じる恐れがある。そこで、完全に乾燥固形化し
たインクの場合にもクリーニングできるようにしてい
る。ワイピング部材同士の間の隙間に、インク溶剤タン
ク１０よりインク溶剤（ここでは純水）１１を滲み込ま
せておいて、一度固形化したインクの上をワイピングす
る。すると、インク溶剤１１はインク吐出面に塗り出さ
れてインクを溶かす。また、図７に示すように、ワイピ
ング部材が３枚以上（５ａ〜５ｃ）重ね合わせた場合、
すべての重ね合わせ部にインク溶剤を滲み込ませる必要
はなく、インクを掻き取る部分を合わせ持つと良い。

【００１１】図８（ａ),(ｂ）は、本発明によるクリー
ニング装置の更に他の実施例を示す図である。図（ａ）
において、ワイピング部材５に、インク溶剤を供給する
ための流路となる溝１２を設ける。すなわち、ワイピン
グ部材５の上端部にインク溶剤注入口１３が設けられ、
ワイピング部材先端１４に向けて広がりを有する溝１２
が複数個設けられている。溝１２は、ワイピング部材先
端１４まで切り出さない（切り出すと、インク溶剤が空
気にふれて蒸発してしまう）。順方向でワイピングする
とき、ワイピング部材５は斜めになり、溝１２が先端に
現れ、インク溶剤１１を供給する。また、溝の替わりに
粗目処理をしておいてもよい。

【００１２】図９は、ワイピング部材の他の実施例を示
す図で、ワイピング部材先端１４にスリット１５又は粗
目処理をすることにより、インク溶剤が均一に塗布され
るようにする。

【００１３】図１０（ａ),(ｂ）は、本発明によるクリ
ーニング装置の更に他の実施例を示す図である。インク
の濡れ性や粘性を考慮に入れて、インクのかきとりをし
やすくするためのものである。図（ａ）に示すように、
ワイピング部材がカウンタ方向にあたっているときの接
触角は、一般には鈍角であるのを、図（ｂ）に示すよう
な鋭角にする。インクは一般に濡れ易くする処理をして
いる。これに対し、ワイピング部材が鈍角であたってい
ると、そのエッジの部分の下にもぐりこみやすくなる。
つまり、これがクリーニングの不良となる。これを防ぐ
ために、ワイピング部材の先端をカットして鋭角にす
る。

【００１４】図１１は、本発明によるクリーニング装置
の更に他の実施例を示す図である。インクのある範囲に
散らばって存在する濡れ角度、また、ある程度乾燥して
粘度が変化するのを考慮に入れ、さらに確実なクリーニ
ングを実現するものである。複数枚あるワイピング部材
のそれぞれに違う角度をもたせて接触させる。これは、
掻き取るインクの濡れ角度は必ずしも全部同じではな
い。また、紙粉その他の汚れに対して、それらを取り易
い接触角があり、それに合わせワイピング部材の接触角
も少しずつ変えると良い。

【００１５】図１２は、本発明によるクリーニング装置
の動作を説明するためのフローチャートである。電源起
動時に完全に乾燥したインクが付着しているとき、それ
を完全に取り除く動作をするもので、まず、電源をＯＮ
にし（step１）、キャレッジを初期位置に移動する（st
ep２）。次に、インク溶剤をインク吐出面に塗布し（st
ep３）、パージングを行う（step４）。給紙したのち
（step５）、インク溶解を確かめ（step６）、ワイピン
グ動作を実行して（step７）、印字する（step８）。す
なわち、電源起動時に乾燥固形インクがクリーニング面
に付着していることを想定して、インクがインク溶剤で
取れ易くなるまでの時間をおいてワイピング動作を実行
する。この待ち時間にパージングや給紙動作すると良
い。

【００１６】

【効果】以上の説明から明らかなように、本発明による
と、以下のような効果がある。 （１）請求項１のインクジェットクリーニング機構にお
いては、ワイピング部材をカウンタ方向に当てているの
で圧接力が強く、インク吐出面についた紙粉やインク汚
れなどを取り除くことができる。 （２）請求項２のインクジェットクリーニング機構にお
いては、ワイピング部材を２枚以上重ね合わせているの
で、インク吐出面についた紙粉やインク汚れなどを取り
除くことができ、そのクリーニング時間を短くできる。 （３）請求項３のインクジェットクリーニング機構にお
いては、ワイピング部材の間にインク溶剤を浸透させて
いるので、特に乾燥固形化したインク汚れを取り除くこ
とができる。 （４）請求項４のインクジェットクリーニング機構にお
いては、ワイピング部材とインク吐出面との接触角を鋭
角にしているので、より一層、インク吐出面についた紙
粉やインク汚れなどを取り除くことができる。 （５）請求項５のインクジェットクリーニング機構にお
いては、ワイピング部材とインク吐出面との接触角をそ
れぞれのワイピング部材で異なった角度で接触させてい
るので、より一層、インク吐出面についた紙粉やインク
汚れなどを取り除くことができる。 （６）請求項６のインクジェットクリーニング機構にお
いては、インク溶剤を浸透させるワイピング部材間を粗
目処理するか、または溝を設けているので、インク溶剤
をスムーズに出せる。 （７）請求項７のインクジェットクリーニング機構にお
いては、ワイピング部材のインク吐出面に接触する部分
を粗目処理するか、またはスリットを設けるので、イン
ク溶剤を均一に塗ることができる。 （８）請求項８のインクジェットクリーニング機構にお
いては、電源起動時、最初のクリーニング動作のとき、
インク溶剤塗布動作後、インク溶解時間を置いてワイピ
ング動作をしているので、乾燥固形インクを取れ易くす
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明によるインクジェットプリンタのクリ
ーニング装置の一実施例を説明するための構成図であ
る。

【図２】 本発明を説明するためのワイピング部材の順
方向を示す図である。

【図３】 本発明を説明するためのワイピング部材のカ
ウンタ方向を示す図である。

【図４】 本発明のクリーニング装置の動作を説明する
ための図である。

【図５】 本発明のクリーニング装置の他の実施例を示
す図である。

【図６】 本発明のクリーニング装置の更に他の実施例
を示す図である。

【図７】 本発明のクリーニング装置の更に他の実施例
を示す図である。

【図８】 本発明のクリーニング装置の更に他の実施例
を示す図である。

【図９】 本発明のクリーニング装置の更に他の実施例
を示す図である。

【図１０】 本発明のクリーニング装置の更に他の実施
例を示す図である。

【図１１】 本発明のクリーニング装置の更に他の実施
例を示す図である。

【図１２】 本発明のクリーニング装置の動作を説明す
るためのフローチャートである。

【符号の説明】

１…スライド機構、２…支点、３…カウンタ当てアダプ
タ、４…バネ、５…ワイピング部材（ブレード）、６…
パージポジション、７…インク吐出口面、７ａ…インク
吐出口、８…印字ヘッド搭載キャレッジ、９…インク吸
収体。

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ノズルよりインクを吐出して記録媒体に
   印字を行うインクジェット記録装置において、インク吐
   出面に付着したインクを掃除するワイピング部材を設
   け、該ワイピング部材をカウンタ方向でインク吐出面に
   当てることを特徴とするインクジェットプリンタのクリ
   ーニング装置。
2. 【請求項２】 前記ワイピング部材を少なくとも複数枚
   重ね合わせて具備し、該ワイピング部材をインク吐出面
   にワイピングすることを特徴とする請求項１記載のイン
   クジェットプリンタのクリーニング装置。
3. 【請求項３】 前記少なくとも複数枚以上重ね合わせて
   あるワイピング部材の間にインク溶剤を浸透させること
   を特徴とする請求項２記載のインクジェットプリンタの
   クリーニング装置。
4. 【請求項４】 前記ワイピング部材とインク吐出面との
   接触角を鋭角にすることを特徴とする請求項２記載のイ
   ンクジェットプリンタのクリーニング装置。
5. 【請求項５】 前記ワイピング部材とインク吐出面との
   接触角をそれぞれのワイピング部材で異なった角度で接
   触することを特徴とする請求項２記載のインクジェット
   プリンタのクリーニング装置。
6. 【請求項６】 前記インク溶剤を浸透させるワイピング
   部材間を粗目処理するか、または溝を設けることを特徴
   とする請求項３記載のインクジェットプリンタのクリー
   ニング装置。
7. 【請求項７】 前記インク溶剤を浸透させるワイピング
   部材のインク吐出面に接触する部分を粗目処理するか、
   またはスリットを設けることを特徴とする請求項３記載
   のインクジェットプリンタのクリーニング装置。
8. 【請求項８】 電源起動時、最初のクリーニング動作の
   とき、インク溶剤塗布動作後、インク溶解時間を置いて
   ワイピング動作をすることを特徴とする請求項３記載の
   インクジェットプリンタのクリーニング装置。