JPH0691685A - 超高分子量ポリエチレン成形品の製造方法 - Google Patents

超高分子量ポリエチレン成形品の製造方法

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JPH0691685A
JPH0691685A JP26797292A JP26797292A JPH0691685A JP H0691685 A JPH0691685 A JP H0691685A JP 26797292 A JP26797292 A JP 26797292A JP 26797292 A JP26797292 A JP 26797292A JP H0691685 A JPH0691685 A JP H0691685A
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JP
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weight polyethylene
mold
molding
ultra
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JP26797292A
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English (en)
Inventor
Takanori Oboshi
隆則 大星
Shigeru Okuno
茂 奥野
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 任意添加剤を添加して超高分子量ポリエチレ
ンの特性を失わしめることなしに、成形サイクルが汎用
の樹脂の場合と同レベルで、しかも金型の機構も特殊な
ものを採用せず、製品単価が安価で量産性の高い、多数
個取りが可能な成形方法を実現することにある。 【構成】 超高分子量ポリエチレン樹脂からなる原料粉
体粒子を、相互に介在層を介することなく、粉体粒子の
変形および表面のみに溶融によって接合し集合一体化さ
せることにより1個取りまたは多数個取りを行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はプラスチック成形品の製
造方法に関し、特に、超高分子量ポリエチレン成形品の
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】超高分子量ポリエチレン樹脂は耐薬品
性、耐摩耗性、耐摩擦力などの特性に優れているため、
プラスチック歯車材や慴動部材として適していると考え
られ、実際に使用もされており、その効果としては低摩
擦・低摩耗性、低騒音性、生体安全性が認められ、食品
加工機械、化学工学装置等、特殊な用途に採用されてい
る。
【0003】しかし、超高分子量ポリエチレン樹脂はそ
の加工適性に大きな問題がある。すなわち、超高分子量
ポリエチレン樹脂は溶融粘度が高いなどの理由により、
通常の押出、射出成形技術では加工が困難である。
【0004】押出成形方法は本質的には板材やシート、
さらには丸棒などの部材を提供する加工方法であり、射
出成形法のように複雑な形状を成形することはできな
い。また、超高分子量ポリエチレンを他の汎用樹脂と同
じ様な品質維持と生産効率で成形しようとするために
は、数種の滑剤を添加する必要が出てくる。かかる滑剤
は超高分子量ポリエチレンの材料物性を保持するという
保証はなく、また材料費を高くする原因にもなる。
【0005】より複雑な形状を持つ製品(例えば歯車な
ど)の成形としては、押出成形技術を応用した異形押し
出し技術があり、ダイスを歯車状に加工しておき、押し
出されてきた棒状の歯車を後加工でスライスすることに
より歯車とすることも可能性はあるが、押出成形された
棒状歯車に発生する内部歪みやスライス加工時の変形に
よる寸法変化の問題があり、また形状的にも立体的に複
雑なものを成形できないなど、有効な加工方法とは言え
ないのが実情である。
【0006】従って、今日、一般には超高分子量ポリエ
チレン樹脂の加工は、押出成形または圧縮成形によりブ
ロックを成形し切削加工により製品を製作する手法が採
られている。このため、例えば、小型精密歯車にこれを
適用した場合には、耐久性に優れた低騒音の歯車を製造
することができると予想される。
【0007】しかしながら、その加工においては一つ一
つ切削しなくてはならないため、均質な製品を安価にか
つ大量に供給することは困難となっていた。すなわち、
圧縮成形方法においては、確かに超高分子量ポリエチレ
ンの材料特性を全て発揮できる加工方法ではあるが、生
産性という観点からすると、一成形サイクルが2時間あ
まりかかるのが通常であり、しかも、歯車のような複雑
形状の成形品をバリ取り等の後工程無しで安価にかつ大
量に生産するのは極めて困難となっていた。
【0008】そこで、超高分子量ポリエチレン樹脂の加
工性を改善するために、成形技術として新たな射出成形
法が多数提案されている(例えば、特公昭57−300
67号公報、特公昭60−58010号公報、特開昭6
0−9723号公報、米国特許第3,036,340
号、米国特許第4,271,851号)。
【0009】特公昭57−30067号公報(特開昭5
1−81861号公報)では、金型を射出樹脂容量の
1.5〜3.0倍までキャビティを開けておき、剪断速
度50000 l/sec以上で射出し、その後キャビ
ティ容積を2.0倍以下に圧縮し成形品を得る射出圧縮
の方法が提案されている。
【0010】特公昭60−58010号公報(特開昭5
7−169335)では、その記載によると、特公昭5
7−30067号公報の内容を実行する際に、多数個取
りの金型の場合、成形品間の重量(目付け)あるいは形
状にばらつきがみられるとしており、その改善方法が提
案されている。すなわち、必要とする金型キャビティ容
積に対し、充填直前に金型キャビティ容積を1.2倍以
上開き、充填された樹脂が溶融状態にある間に、再びキ
ャビティを元の容積に圧縮をする、射出圧縮成形方法が
提案されている。
【0011】特開昭60−9723号公報では、射出成
形機のホッパーから不活性ガスを注入し、可塑化時の樹
脂の酸化による分子低下を防止し、金型キャビティ内を
減圧し、複合化した超高分子量ポリエチレン樹脂製歯車
を成形する方法が提案されている。
【0012】米国特許第4,271,851号(197
7年)では、超高分子量ポリエチレンの射出成形に際し
て、金型のキャビティ内の空気を予め除去しておき、充
填後、成形収縮を補うようにキャビティを圧縮する射出
圧縮成形法が提案されている。
【0013】米国特許第3,036,340号(196
2年)では、分子量60万以上のポリエチレン樹脂に対
し、まず、プリフォームを作り、このプリフォームをラ
ム押出機に入れ、285℃に加熱した後、130〜18
0℃に加熱した金型にし射出し、保圧後、金型を冷却
し、常温で成形品を取り出すという成形方法が提案され
ている。
【0014】さらには、金型内に充填された樹脂を圧縮
する、射出圧縮成形を利用して一般的な樹脂でもって成
形品を精度よく製造する試みも過去において提案されて
きている。
【0015】その例として、特公昭40−1664号公
報には、閉鎖した割金型のキャビティ内に溶融樹脂を射
出する期間中に割金型のキャビティを僅かに開かせ、溶
融樹脂射出完了後、割金型を押圧して金型のキャビィを
縮小する方法が提案されている。
【0016】特開昭52−14657号公報には、予め
金型間に僅かな隙間を形成した状態で材料を射出し、射
出が完了するまで隙間を保持し、完了と同時に金型キャ
ビティ面の材料を圧縮成形する方法が提案されている。
【0017】特開昭53−21258号公報には、厚肉
成形品を前提としているが、予め設定されたキャビティ
容量に等しい溶融熱可塑性樹脂を高速注入してキャビテ
ィを満たし、引続き高速注入した溶融樹脂の冷却収縮量
の0.5倍から3倍量の樹脂を低速で追加注入して型開
きを行わせ、溶融樹脂の型内冷却固化に伴って型閉めを
行う方法が提案されている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来提
案されてきた超高分子量ポリエチレンの射出成形方法に
は以下のような問題点があった。
【0019】すなわち、特公昭57−30067号公
報、特公昭60−58010号公報、米国特許第4,2
71,851号等で考案された射出圧縮を基本とする成
形方法は、確かに一個取りの金型では有効ではあるが、
成形品を多数個取りする場合には金型に油圧装置を別途
設置する等の多くの工夫が必要となり、必ずしも合理的
な手法とは言えなかった。また、成形品に必ずバリが発
生し、後加工が必要になってくるという問題点もあっ
た。特に、これらの発明を歯車の成形に使用した場合、
射出圧縮金型の圧縮部も歯車形状に加工する必要があ
り、キャビティ(雌型)との嵌合が非常に困難となり、
多数個取りは不可能に近くなる。
【0020】しかも歯面にバリを発生させるため、バリ
取りの後加工が必要になり、小型歯車ではその除去が不
可能に近くなると考えられる。バリの発生に関しては特
公昭60−58010号公報にも記述されており、圧縮
成形法のもつ本質的な問題と考えることができる。
【0021】さらに、これまでは、超高分子量ポリエチ
レン樹脂をどのように可塑化するかという、重要な技術
的問題に触れておらず、よって、上記の発明は従来の射
出圧縮の一般的な方法の一つに過ぎないと言える。
【0022】米国特許第3,036,340号で提案さ
れた方法は基本的にラム押出成形であり、インラインス
クリュー方式の射出成形の場合に発生するスクリューの
剪断応力と酸素の介在により超高分子量ポリエチレンの
主鎖が容易に切断されて低分子量化し、通常のポリエチ
レンになってしまう欠点を避ける方式ではあるが、成形
サイクルはインラインスクリューの射出成形機にはるか
に劣り、効率的な成形方法とは言えない。また、金型も
高温に保つため、従来の圧縮成形に近い方式ともいえ
る。この特許の記載によると、充填後保圧を16分間か
け、金型冷却に8分間かけたとされている。確かに、圧
縮成形のサイクルよりは短くなってはいるが、通常の射
出成形より長くなり、必ずしも効率的な成形加工方法と
は言えない。
【0023】以上のように、超高分子量ポリエチレンの
成形方法に関しては、従来の技術は金型の構造が複雑に
なり、かつ、多数個取りが極めて困難であり、しかも、
通常の成形サイクルよりも長くかかり、生産性が低いと
いう問題点がある。なお、超高分子量ポリエチレンに数
々の添加材を添加する方法も提案されており、確かに、
これらの方法は、成形性を向上させる効果は十分に認め
られるが、多くの場合、超高分子量ポリエチレンの物性
を犠牲にしている場合が多い。
【0024】例を挙げるならば、滑剤成分を添加した
り、低分子量のオレフィン系樹脂を添加したりした場合
は、サンドスラリー試験においては、無添加の超高分子
量ポリエチレンと比較すると、20%以上も耐摩耗性が
劣化することが確認できる。このことは、超高分子量ポ
リエチレンの一つの特徴である、耐摩耗性を失うことを
意味する。アイゾット、シャルピー等の耐衝撃試験にお
いても同様なことが言える。
【0025】さらに、無機質の添加に関しては、成形性
を向上させる効果があるとしても、成形品の要求特性に
対して添加された無機物が有効かどうかはなはだ疑問と
なる場合が多い。すなわち、超高分子量ポリエチレンの
もう一つの特徴である低摩擦力が失われてしまうのであ
る。さらに、相手材によっては、相手材を摩耗させてし
まうことにもなる。
【0026】そこで本発明の目的は、任意の添加剤の添
加により超高分子量ポリエチレンの特性を失わしめるこ
となしに、成形サイクルが通常の樹脂の場合と同レベル
で、しかも金型の機構も特殊なものを採用せず、安価で
量産性の高い、多数個取りが可能な成形方法を実現する
ことにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成するために鋭意研究を行った結果、超高分子量ポリ
エチレン樹脂を粉末粒子の状態を保持したままで可塑化
し流動する状態で射出成形することによって、原料粒子
が変形および表面のみの溶融によって接合一体化し、1
個取り、さらには多数個取りで優れた特性の成形品を得
ることができることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0028】すなわち、本発明の超高分子量ポリエチレ
ン成形品の製造方法は、超高分子量ポリエチレン樹脂か
らなる原料粉体粒子を、相互に介在層を介することな
く、粉体粒子の変形および表面のみに溶融によって接合
し集合一体化させることにより1個取りまたは多数個取
り製品の成形を行うことを特徴とするものである。
【0029】本発明で使用する超高分子量ポリエチレン
樹脂は、分子量約100万以上のポリエチレンであり、
具体的には、135℃のデカリン溶媒中において測定し
た極限粘度[η]が6.5dl/g以上の値を示す分子
量のポリエチレン樹脂を意味する。
【0030】本発明においては、多数個取りの個数が、
好ましくは2〜16個の範囲内である。上記のように多
数個取りを行うに際しては、超高分子量ポリエチレン原
料の粉体形状を維持した状態のままで、粉体の個々の粒
子を加熱し、粒子の変形は認めるが、剪断応力によって
その粒子が破断しないように、スクリューによって可塑
化した後、特定の射出圧力で金型に充填しかつ圧縮する
一方、好ましくは金型にエアベントを設けておき、圧縮
の際発生する多量の空気を逃すことによって、精度の良
い成形品を得ることができる。
【0031】すなわち、通常の剪断速度(102 〜10
3 1/sec)から高剪断領域(105〜106 1/sec)まで
均一に発現する前記粒子の流動状態で成形型中に射出
し、充填圧縮により集合一体化させるのであり、このた
めには、インラインスクリュー射出成形機を用い、原料
粉体を型内圧力400〜3000kg/cm2 、スクリ
ューの圧縮比1.3〜2.0の条件で射出成形を行うこ
とが好ましい。
【0032】また、かかる射出成形は、流動状態が保持
される温度以上であって、酸化による原料粉体の分子量
低下が起きない温度以下の温度条件で行うことが好まし
い。
【0033】なお、本発明においては、超高分子量ポリ
エチレン樹脂に成形性や流動性を付与するために、如何
なる添加剤(たとえば滑剤やバインダー)をも加える必
要がない。
【0034】
【作用】本発明は、超高分子量ポリエチレン樹脂を、平
均粒径2〜400ミクロン程度の粉末状態で原料として
供給し、溶融状態を経ることなく(不連続の粒子形態を
保持したまま)型内に充填し、充填圧縮により最終成形
品に賦形化するが、このような特定の流動性の発現は、
キャピラリーレオメータにおいて、ある径以上のオレフ
ィスを設定すると、加熱された超高分子量ポリエチレン
樹脂はその原料の粉体の状態を保持したままオレフィス
を通過することができ、それらの粉体粒子は変形はする
が破断しない状態にあり(但し、加圧により粉体の融着
が起こる)、流出速度、すなわち剪断速度と圧力との関
係は、あたかも溶融した通常のポリエチレンが示す非ニ
ュートン流体と同様に取り扱うことができる、という発
見に基づいている。
【0035】すなわち、超高分子量ポリエチレンの粉体
を形成している個々の粒子は、溶融し連続体となった樹
脂が示すのと同様な流動挙動を示し、通常の樹脂と同じ
ような過程で成形ができることを発見したのである。こ
の流動挙動は溶融した樹脂が示すと言われている高剪断
速度領域で発生するフラッシングフローとは異なる。フ
ラッシングフローとは、溶融し連続体となっている樹脂
が細かくちぎれて飛散する状況の流れを示すものであ
る。超高分子量ポリエチレンの場合は流動挙動が本質的
に粒子状であるから、フラッシングフローではない。ま
た、メルトフラクチャーの有無を論議しても意味が無
い。従って、特公昭57−30067号公報および特公
昭60−58010号公報に記載されている流れとは異
なる。
【0036】以後、通常の連続的な溶融樹脂の流れに対
して、超高分子量ポリエチレン樹脂が示す流れを、特性
を明確に区別していくために、「準粉体流れ」と表現す
る。この準粉体流れと通常の流れとを比較した例を図1
に示す。すなわち、図1に示すように、通常の流れはH
DPE(高密度ポリエチレン)に示すごとく、剪断速度
に対する溶融粘度が低く、容易に流れることを示してい
る。これに対して、UHMW−PE(超高分子量ポリエ
チレン)の「準粉体流れ」は見かけ上の溶融粘度が高
く、射出成形には、高圧が必要なことを示唆している。
ここで留意されるべき重要な点は、「準粉体流れ」は通
常の剪断速度(102 〜1031/sec )から高剪断領域
(105 〜1061/sec )まで均一に発現するというこ
とである。
【0037】本発明においては、この「準粉体流れ」を
効果的に利用している。次に、本発明を、歯車を成形品
として得る場合の具体例に則して説明する。まず、「準
粉体流れ」を発現させるための好ましい条件について説
明する。
【0038】前述したキャピラリーレオメータにおける
実験結果、前述したオレフィスの直径dが下記のように
規定されることが明らかとなった。 d≧0.4mm …(1) このdの規定は、金型の設計の際、射出成形機のスプル
ーと金型との間を結ぶゲートの径の最低直径を決定する
ことを意味する。
【0039】また、オレフィスの長さlはdとの比によ
って次式のように規定されることも明らかとなった。す
なわち、 20≧l/d>0 …(2) となる。上記(1)及び(2)によって、金型のゲート
径、および射出成形機のノズル部の規定をすることがで
きる。例えば、射出成形機のノズル径を3mmとした場
合、ノズル穴の長さは60mm以下にしなくてはならな
い。金型のゲートの形状との関係は、その断面積が
(1)で計算される面積に相当していれば十分である。
ゲートに関してさらに好ましい条件は、 3mm≧l …(3) を満足することである。
【0040】ゲートの種類に関しては、上記(1)
(2)及び(3)の条件を満足すればどのような種類の
ゲートであってもよい。例えば、ピンポイントゲート、
サイドゲート、サブマリンゲート、フィルムゲート等が
挙げられる。また、本発明で使用する超高分子量ポリエ
チレン樹脂の可塑化条件温度Tの好ましい範囲は次の通
りである。 180℃≦T≦280℃ …(4) さらに好ましい条件としては、 210℃≦T≦240℃ …(5) である。この理由は、T>280℃の場合、超高分子量
ポリエチレン樹脂の酸化による分子量の劣化が開始さ
れ、成形が可能になっても、成形品自体の分子量が低下
してしまい、著しい場合には、通常のポリエチレン成形
品となんら変わりのないものになってしまうのである。
T<180℃の場合には、準粉体流れが発現しなくなる
ためである(粉体間の融着性が乏しい)。
【0041】以上が準粉体流れを発現させるための好ま
しい条件である。次に、本発明者の発見による「準粉体
流れ」を、インラインスクリュータイプの射出成形機で
実現するための好ましい条件について具体的に説明す
る。まず、射出成形機のスクリューによって、超高分子
量ポリエチレン樹脂を粉体のまま可塑化するための条件
としては、該樹脂の粉体を形成する個々の粒子同志が互
いに摩擦することにより、発熱し可塑化条件に達するよ
うに、スクリューのディメンジョンを決定することが好
ましい。具体的には、スクリューの長さとその直径との
比、フライトの角度、スクリューの圧縮比、及びスクリ
ューのフィーダゾーン、そのコンプレッションゾーン、
そのメータリングゾーンの比率等によって決定されるも
のである。
【0042】まず、次のような条件を満足する必要があ
る。スクリューの全長L、スクリュー径(直径)をDと
すると、 10≦L/D≦25 …(6) であり、さらに好ましくは、 15≦L/D≦20 …(7) である。この理由は10>L/Dの場合は、スクリュー
ピッチを細かくとったとしても、粉体間の融着性を発現
させるために必要な可塑化を達成することができないか
らであり、25<L/Dの場合は、スクリューピッチを
大きくとったとしても、スクリューシリンダー内での滞
留時間が長くかかり、剪断力により、容易に超高分子量
ポリエチレンの主鎖が切断され、低分子量化し、目標と
する準粉体流れを得ることが困難となるからである。
【0043】スクリューのフライトの角度(ネジ山の傾
き)θに関しては、スクリューピッチをPとすると、 P=πDtanθ …(8) で決定されるが、θの値をもって示すならば、 10°≦θ≦18° …(9) であり、さらに好ましくは、 11.5°≦θ≦14.5° …(10) である。この理由は10°>θの場合は、超高分子量ポ
リエチレン樹脂に対して十分な押し出しトルクを与える
ことができるが、不必要な滞留時間と、摩擦エネルギー
を樹脂に与えることになり、分子量低下の原因になる。
また、18°<θの場合は、樹脂に十分なトルクを与え
ることができず、また、必要とするスクリュー回転数も
油圧モータまたは電気モータに負荷がかかりすぎるので
好ましくない。また、強力なモータを設置したとして
も、今度は、スクリューに負荷がかかり、破損の原因に
なる。
【0044】スクリューの圧縮比(コンプレッションレ
シオ;CR)に関しては、 2.3≧CR …(11) であり、さらに好ましくは、 1.3≦CR≦2.0 …(12) である。この理由は、2.3<CRの場合はスクリュー
の供給ゾーン(フィーダーゾーン)から投入される該樹
脂の量と可塑化ゾーン(メタリングゾーン)とにある樹
脂の量との理想的なバランスが崩れ、メタリングゾーン
に必要以上の樹脂が供給されることになり、粉体粒子に
必要以上の圧力と、剪断がかかるため、準粉体流れを得
ることが困難となるためである。最悪の場合は、メタリ
ングゾーンで樹脂の高圧縮化が始まり、流動性を全く示
さなくなり、樹脂の滞留が発生する。1.3>CRの場
合は、樹脂に剪断をかけ、樹脂相互の剪断発熱を十分に
発生させることができなくなる。
【0045】最後に、スクリューのフィーダーゾーン
(FZ)、コンプレッションゾーン(CZ)、メタリン
グゾーン(MZ)の比率に関してであるが、下記の条件
を満足することが必要である。すなわち、 FZ:CZ:MZ=X:Y:1 …(13) とすると、X,Yの値は、 2≦X≦6,1≦Y≦5,X≧Y …(14) であり、さらに好ましくは、 X=Y=3 …(15) を満足することである。
【0046】条件(13),(14)の意味するところ
は、フィーダーゾーンでの超高分子量ポリエチレン樹脂
の安定した供給を図り、1ショットごとの樹脂量の安定
を達成する基礎を作り、コンプレッションゾーンでは緩
やかな可塑化を行い、メタリングゾーンでは必要最低限
の樹脂の急速な加熱と発熱を達成するためである。これ
以外の値の組み合せにおいては、学術的な理論的証明は
まだ不明であるが、工業技術的には不可能であることが
種々の実験によって確認することができ、本発明におけ
る「準粉体流れ」を作り出すことは困難となる。また、
メタリングゾーンの長さの決定において、少なくともス
クリューピッチで2ピッチを設けておくことが好まし
い。この理由は、メタリングゾーンが1ピッチのみであ
ると十分な可塑化が達成できないからである。
【0047】スクリュー先端の形状に関しては、逆流防
止リング(チェックリング)を設けないことを基本とし
ているが、本発明者が特開昭62−83122号公報に
すでに提案している方法を採用することができる。すな
わち、スクリューヘッドとシリンダーノズルとが互いに
一部嵌合できるようにし、保圧工程での樹脂の逆流を防
ぐ工夫をすることもできる。
【0048】次に、射出成形時の温度条件について説明
する。「準粉体流れ」を発現させる樹脂自体の温度条件
については、(4),(5)に述べた通りであるが、こ
の条件を満足するインラインスクリュータイプのシリン
ダーの温度設定は個々の設定領域をスクリューのフィー
ダーゾーン(FZ)、コンプレッションゾーン(C
Z)、メタリングゾーン(MZ)とすると、次の通りで
ある。
【0049】 40℃≦FZ≦100℃ …(16) 140℃≦CZ≦200℃ …(17) 210℃≦MZ≦280℃ …(18) さらに好ましくは、 60℃≦FZ≦80℃ …(19) 160℃≦CZ≦180℃ …(20) 210℃≦MZ≦240℃ …(21) である。
【0050】ノズル部の温度に関しては、MZと同等に
設定すれば良いが、金型の温度及び形状によってはMZ
より10℃から20℃高く設定してもよい。さらに、本
発明による特徴的な点は、フィーターゾーン(FZ)の
温度設定に関しては(16)の温度設定の上限を越えて
はならないことである。従って、上記の温度設定は初期
温度設定条件であり、この上限を越えないためにはフィ
ーダーゾーンに冷却用のフィンを設けるか、または、強
制冷却のファン、または、冷却水を流せるようなシリン
ダー冷却装置を設けることが望ましい。この上限温度を
越えると、超高分子量ポリエチレン樹脂がフィーダーゾ
ーンで滞留してしまい安定した計量が困難となるからで
ある。
【0051】上記の温度設定について、「準粉体流れ」
を発現させる理論的説明はまだ十分になされていない
が、工業技術的には上記の条件で安定した「準粉体流
れ」を得ることができている。
【0052】樹脂温度の次に重要なのは金型温度であ
る。金型温度は金型の大きさ、キャビティの容量、キャ
ビティの数、ランナーの長さなどによって適宜決定され
るものである。ここでは、金型温度とは、成形品が充填
されるキャビティ表面およびその近傍の温度をさすこと
にする。この金型温度CTとすると、好ましい温度条件
は、 30℃≦CT≦130℃ …(22) であり、さらに好ましくは、 60℃≦CT≦120℃ …(23) である。30℃>CTの場合は、金型表面との間でスリ
ップが発生する場合が多く、かつ成形品の表面に対する
転写性が悪く、成形品表面がきたないので好ましくな
い。また、130℃<CT場合は成形品の軟化点以上の
ため、金型からの離型がうまくできず、エジェクターピ
ンによる変形を発生しやすく、成形品の精度不良の原因
になるため好ましくない。
【0053】ランナー部の温度については、上記(2
2),(23)の条件を満足するのが好ましい。ランナ
ーの方式は大別して、コールドランナーとホットランナ
ーとがある。本発明の場合は、コールドランナーを採用
する方がこのましい。ホットランナーの場合は樹脂の滞
留が発生する場合が多く、成形不良を発生させる。以上
が本発明に係わる範囲の内、成形方法の前段階であり、
いわば静的な条件である。
【0054】以下に本発明の方法の動的な条件を述べる
ものとする。ここでいう動的な条件とは、スクリュー回
転数、スクリューによってもたらされる射出速度及び射
出圧力、保圧時間等をさす。まず、スクリュー回転数
(SR)については、使用する成形機の大きさにより、
スクリューの径も異なり、それにより最適なスクリュー
回転数の範囲も異なるものではあるが、「準粉体流れ」
を発現させるための好ましい条件としては、スクリュー
径がφ15mmからφ70mmの範囲においては、 30rpm≦SR≦500rpm …(24) であり、さらに好ましくは、 70rpm≦SR≦400rpm …(25) である。
【0055】30rpm>SRでは、「準粉体流れ」を
発現させるのに十分な剪断発熱を樹脂に与えることがで
きず、500rpm<SRでは、過剰な剪断力により主
鎖の切断が発生し、低分子量化するため好ましくない。
【0056】射出速度については、特公昭57−300
67号公報に高剪断速度での充填する記載があるが、本
発明における「準粉体流れ」を発現させるための条件を
開示するものではない。射出速度の規定としては、成形
品のサイズ、取り数、さらには成形体機の大きさ(スク
リュー径)により範囲が変わり得る。本発明では射出率
θとして以下の範囲が好ましい。 10cc/sec<θ<500cc/sec …(26) さらに好ましくは、 15cc/sec<θ<200cc/sec …(27) である。10cc/sec>θではノズル部やランナー
系内での樹脂の圧縮が促進されるため、キャビティ内へ
の樹脂の注入が不完全となる。一方、500cc/se
c<θでは樹脂内の空気の逃げが不完全となり成形品の
白化などの不良が発生し易くなる。本発明においては
「準粉体流れ」を制御し、金型内に樹脂を充填するに
は、射出速度とともに次に述べる成形機の射出圧力に着
目し、それを制御すれば精度の安定した成形品が得られ
ることを発見しているのである。
【0057】射出圧力については、「準粉体流れ」が発
現している場合には製品サイズやランナー寸法により変
わり得るが、実際の型内圧力は400kg/cm以上
あれば十分であるが、この場合には成形品の形状によっ
ては、成形収縮率が部位によって異なることが多くな
り、金型の修正が必要になってくる。例えば歯車の成形
に関しては、型内圧力は2000kg/cm以上であ
ることが好ましい。ここで型内圧力とは金型内部での圧
力を意味し、具体的には、金型のランナー部またはキャ
ビティ部における充填時の圧力であり、成形機の油圧ゲ
ージから換算される圧力のことではない。
【0058】この型内圧力をPとすると、「準粉体流
れ」が発現する一般的な場合、好ましい値は、 200kg/cm≦P≦3000kg/cm …(28) であるが、歯車の成形の場合は、 300kg/cm≦P≦2500kg/cm …(29) であることが好ましい。300kg/cm Pの場合
は、歯車に要求されている個々の寸法精度の維持が困難
となり、JIGMA規格で6等級以上の精度の歯車を成
形することは困難となる。また、2500kg/cm
<Pでは成形品の寸法精度は向上するが、圧力により金
型キャビティ自体も変形するため成形品の離型が困難に
なり、金型の耐久性が維持できなくなるのと、射出成形
機のスクリュー及びシリンダーの圧力に対する耐久性と
安全性が確保できなくなるので好ましくない。
【0059】射出成形機による型内圧力の制御の方法
は、油圧駆動式及び電動駆動式及びそれらが複合された
射出成形機において、クローズトループおよびオープン
ループの制御方式で設定圧力値に達するまでを時間制御
するだけで可能となる。つまり、従来のすべての射出成
形機の方式で成形可能であるといえる。
【0060】しかしながら、より好ましい方式を提案す
るならば、金型のランナーまたはキャビティに樹脂圧力
センサーを設け、その圧力を成形機にフィードバックを
かけ設定された時間で設定された型内圧力に到達するよ
うな制御方式を採用する方がよい。この理由は「準粉体
流れ」による成形では圧力値で成形品質(寸法など)が
大きく変化するからである。
【0061】保圧時間に関しては、通常、ゲートシール
時間を目安にして決定することができる。単純な熱力学
的計算によって推定もできる。本発明も同様である。但
し、特徴的なことは、超高分子量ポリエチレン樹脂の
「準粉体流れ」の場合、ゲートシール時間は2秒以下で
ある。したがって、目安が立たない場合でも、2秒以上
保圧をかける必要はない。
【0062】次に、本発明の成形品を得る際に使用する
成形型を、歯車用の金型を具体例として説明する。本発
明によって歯車を得る場合の金型の技術上のポイント
は、ゲート形状に係わるもの、エアベントに係わるもの
の2点である。歯車形状を有するキャビティについて
は、通常の加工方法、すなわち、ワイヤー放電加工また
は電極を使用する放電加工機で製作するのみでよい。
【0063】ゲート形状に関しては、たとえば、ピンポ
イントゲートまたはフィルムゲートが適している。ピン
ポイントゲートを採用する場合は、歯車自体が中央に軸
を有している場合であり、フィルムゲートを採用する場
合は、歯車の中央に軸穴が空いている場合である。
【0064】この理由は、超高分子量ポリエチレンの
「準粉体流れ」は流動方向と垂直方向で成形収縮率が大
きく異なるため、歯車のような軸対称の形状になる成形
品は同一の成形収縮率を得るためには樹脂の流れを均一
にする必要があるためである。通常、軸を有する歯車を
成形する場合、軸にゲートを設けるよりは、軸の周囲に
多点のピンポイントゲートを設け成形精度を上げる試み
をするが、超高分子量ポリエチレン樹脂の場合には、こ
のようにすると、ピンポイントゲートの配列に対応した
歯先円の歪みが発生してしまい、精度の高い歯車を成形
することができない。したがって、歯車軸の先端にピン
ポイントゲートを設ける必要がでてくる。
【0065】また、軸穴が空いている歯車の場合も同様
で、通常は軸穴を中心に多点のピンポイントゲートを設
ける。一般には、2点,3点,4点,6点等のピンポイ
ントゲートを設け歯先円の円周精度を向上させる工夫が
なされるが、超高分子量ポリエチレン樹脂の場合は、ピ
ンポイントゲートの配列に対応した歯先円周の歪みが発
生してしまうのである。このために、軸穴の周囲に均一
に円形のフィルムゲートを設ける必要が有る。フィルム
ゲートにした場合のゲートカットの方法は、軸穴に対応
する金型のピンを可動させることで金型内でゲートを切
ることができる。
【0066】次に、歯車用金型に使用するゲートの具体
的な形態について述べる。ゲート設計の基本としては、
前述の条件(1),(2),(3)を満足する必要があ
る。
【0067】図2はピンポイントゲートの部分断面図で
あり、金型1の歯車軸を構成する部分にゲート2が連接
され、スプル−3からの原料粉末がゲート2を介して金
型1中に射出される。このようなピンポイントゲート
は、中央に軸を有する歯車を成形する場合に好適であ
り、例えば、ゲート径半径をrとし、ストランドの長さ
をl1 とすると、 0.2mm≦r≦1.0mm …(30) に設定することが好ましい。但し、rの上限は歯車の半
径を越えないものとする。ストランドl1 については、 0.1mm≦l1 ≦1.5mm …(31) が好ましい。
【0068】図3は、フィルムゲートの断面図であり、
このゲートは、中央に軸穴を有する歯車を成形する場合
に好適である。この場合には、ゲートの厚さをt,ゲー
トの幅をw(これは軸穴の円周に相当する)、ストラン
ドの長さをl2 とすると、 0.1mm≦t≦1.0mm …(32) である。但し、tの上限は歯車の厚さを越えないものと
する。ゲート幅wについては、当然のことながら、歯車
軸穴の半径をRとすると、 w=2πR …(33) である。ストランドl2 は、 0.2mm≦l2 ≦1.5mm …(34) である。
【0069】但し、l2 の上限は軸穴直径2Rを越えな
いものとする。軸穴壁面に対するフィルムゲートの位置
は、軸方向に沿ったどの位置でもよい。好ましくは、軸
穴の開口部周囲に設けるのがよい。ゲートカットがしや
すいからである。ゲートカットの時期は充填が終了し金
型が開く以前に、金型内でピンを移動させることで切断
するのが好ましい。
【0070】次に、射出成形時に金型内の空気を逸出さ
せるためのエアベントについて説明する。金型における
エアベント機構は、エアベントとエアベント溝とからな
る。本発明によるエアベントの位置と形状に関してであ
るが、まず、位置については、金型の固定盤側、可動盤
側のどちらか一方であり、歯車キャビティの刃先円直径
を基準に規定される。刃先円直径をDg とすると、Dg
が作る円の15%増しの円がエアベントの最外円周にな
るように設定する。すなわち、エアベント最外周円直径
をDv とすると、 1.1Dg ≦Dv ≦1.15Dg …(35) となる。
【0071】エアベントの形状については、2種類あ
る。ドーナツ形(2重円形)と丸形(1重円形)であ
る。ドーナツ形、丸形とは、各々、図4および図5に示
した形のことを意味する。たとえば、図4に示すドーナ
ツ形の例においては、金型のゲート2側の面にドーナツ
形状にエアベント4が形成されており、一方、金型の雌
型にはエアベント溝5が設けられている。したがって、
ゲート2を介して原料粉末が射出されると同様に、キャ
ビティ内の空気は、エアベント4およびエアベント溝5
を通じて金型外に効果的に逸出する。図5は、エアベン
トの平面形状が円形の場合の例である。どちらのタイプ
を選択するかは、Dg の値によって決る。 0.7Dg ≦Dvi≦0.9Dg …(36) である。
【0072】9mm≦Dg ≦25mmの場合、金型の寸
法、機構によって、ドーナツ形及び丸形のどちらかを任
意に選択することができる。ドーナツ形を選択した場合
は、条件(35)及び(36)を適用する。Dg <9m
mの場合、基本的には丸形を選択する。加工技術として
可能ならば、ドーナツ形を選択してもよい。ドーナツ形
を選択した場合には、条件(35)および(36)を適
用する。丸形の場合は、その中心と歯車キャビティの中
心とはパーティング面から見た場合には一致する。その
外径は式(35)を適用する。
【0073】エアベントの深さtv については、基本的
にはDviには依存しない。好ましい深さの目安は、 0.01mm≦tv ≦0.1mm …(37) である。(37)を目安とした理由は、tv は使用する
金型の材質、加工する歯車の大きさ、成形時の型締力に
よって、金型が弾性変形する度合が異なるためである。
【0074】次にエアベント溝について述べる。エアベ
ント溝の位置は、金型の同一面上でエアベントの外周に
接続していなくてはならない。エアベント溝の幅と深さ
は、その幅をHv1、その深さをFv とすると、上述した
エアベントの種類によらず、少なくとも、下記の値を満
足するようになっていれば良い。
【0075】すなわち、 2.5mm≦Hv1 …(38) 1.5mm≦Fv …(39) である。
【0076】さらに、エアベント溝は金型の外部の大気
に開放されていなくてはならない。この理由は、射出成
形時に、キャビティ内たまっている大気を樹脂の充填に
したがってキャビティ外に排出する必要があるためであ
る。多くの実験と、計算によって、充填されている樹脂
のメルトフロントの速度は音速を越えており、密閉され
た空間では、樹脂の充填時間内ではキャビティ内の空気
は大気に放出されない事を発見したからである。
【0077】超高分子量ポリエチレン樹脂の射出成形に
はこのような金型を用意すれば十分ではあるが、より効
果的な対処をするならば、金型のキャビティ空間を金型
閉時に減圧する。減圧方法は真空ポンプやベルヌーイの
原理を応用したアスピレータのような装置でも行うこと
ができる。
【0078】上記のように、従来射出成形が不可能であ
った超高分子量ポリエチレン樹脂の可塑化を可能にし、
かつ、特殊な金型を製作し、賦形性を向上させてきた従
来の射出成形方法に対して、本発明ではエアベントを設
けるだけで超高分子量ポリエチレン樹脂の射出成形を可
能にし、汎用のエンジニアリングプラスチックと同等な
成形サイクルで多数個取りを行うことが可能になった。
特に、精度を要求されるプラスチック歯車の成形を可能
にし、超高分子量ポリエチレン樹脂の持つ低摩擦力、無
潤滑性、低摩耗性、消音性が発現する歯車を提供できる
ようになった。
【0079】上記の本発明によれば、従来可塑化が困難
とされていた超高分子量ポリエチレン樹脂を、射出成形
機のスクリューの形状及び金型のゲート形状を変更する
だけで、「準粉体流れ」を発現することができ、この
「準粉体流れ」が達成されれば、通常の樹脂と遜色無く
多数個取り成形ができる利点を有している。この「準粉
体流れ」については、発生の原因はまだ不明であるが、
工業的には安定した、再現性のある現象であり、その効
果の確認は、成形品の表面を観察するだけで、容易に判
定できるものである。すなわち、成形品が超高分子量ポ
リエチレン樹脂の粉体形状を維持したまま成形されてい
ることが確認できれば良いのである。また、従来困難で
あった多数個取りを可能にすることができた。
【0080】上記の説明においては主として歯車を成形
品として得る場合について説明したが、本発明は、超高
分子量ポリエチレン樹脂製歯車に適用できるだけではな
く、本発明による基本技術を応用するならば、任意の形
状の成形品にすべて適用できる、汎用性のある成形技術
である。
【0081】適用できる分野と、成形品の例をあげるな
らば、下記のようになる。適用できる分野としては、精
密機器分野、OA機器分野、家電製品分野、自動車分
野、自動販売機分野、物流機器分野、医療分野等が挙げ
られる。
【0082】精密機器分野としては、VTR、ラジカ
セ、DAT、CDプレーヤ等の部品として、また、カメ
ラ部品、ミシン部品等である。具体的には、テープリー
ル、ローラー、プーリー、アイドラーギア、プレイギ
ア、汎用ギヤー、ウォームギアー、カム等である。
【0083】OA機器分野としては、パソコン、ワープ
ロ、プリンター部品、複写機、ファクシミリ部品、ミニ
ラボシステムの自動現像機等である。具体的には、キー
スライダー、キーガイドプレート、軸受、ギア、ローラ
ー、スライドパッド、シュウ、アクチュエータ、ボビン
等である。
【0084】家電製品分野としては、エアコン部品、電
機洗濯機部品、電機冷蔵機部品等である。具体的には、
ギア、ダンパーカム、マイクロスイッチ、軸受、テンシ
ョンプーリ、ローラ等である。
【0085】自動車分野としては、サスペンション部
品、内装部品等である。具体的には、サイレンサー(板
バネ)、サスペンションブッシュ、ピローボール受、チ
ェーンテンショナー、ドアハンドル部品、座席レバー部
品、座席スライド部品、シートベルト部品等である。
【0086】自動販売機分野としては、駆動部品とし
て、ギア、ローラ、軸受、シュート等である。物流機器
分野としては、エレベータ、エスカレータ部品、コンベ
ア、搬送機器部品等である。具体的には、ガイドシュ
ー、手摺ガイド、軸受、ローラ、バケット等である。
【0087】医療分野としては、人工関節の摺動部品
(ソケット,カップ)、すなわち、具体的には、人工足
関節、人工膝関節、人工股関節、人工指関節、人工肘関
節、人工形関節、人工顎関節の摺動部品として、また、
人工椎間板等である。その他の分野として、ポンプ、水
道部品として、ポンプの羽根、水道メータ用の歯車及び
羽根等である。
【0088】以上の様に、超高分子量ポリエチレン樹脂
の低摩擦力、自己潤滑性、低騒音性、生体安全性等の特
徴を生かした部品であり、かつ射出成形によって、初め
て、安定的にかつ、大量に安価に加工される必要のある
部品でもある。また、以上の適用事例は代表的な例であ
り、全てではないことは明らかである。
【0089】
【実施例】実施例1 モジュール0.8(PCD=25.6mm、歯数32、
厚さ3mm、軸穴径3mm)の歯車を射出成形すべく、
下記のごとくの成形を行った。
【0090】使用した超高分子量ポリエチレン樹脂は三
井石油化学工業社製ハイゼックスミリオン240Mであ
り、粘度法で分子量を確認したところ、[η]が17.
5dl/gであった。ASTMで規定されている分子量
換算で270万以上あったため、使用する樹脂原料は確
かに超高分子量ポリエチレンであることが確認できた。
【0091】次に、射出成形機のスクリューとシリンダ
ーを直径25mmから直径18mmに変更し、型内圧力
が最大4000kg/cm出せるように改造した。ス
クリューディメンションは、前述した記号をそのまま使
用して表現すると、FZ,CZ,MZの比率は FZ:CZ:MZ=3:3:1 とした。CRは1.8とした。フライトの角度θは1
3.4度とした。
【0092】金型は全体の成形収縮率を2%と見込み歯
車のキャビティを製作した。取り数は2個取りとした。
ゲートは軸穴外周にフィルムゲートを設けた。このフィ
ルムゲートの寸法は、厚さt=0.4mm、ストランド
2 =0.3mmとした。ゲートは金型内でコアピンが
前進することで、ゲートを切れるように工夫した。エア
ベントの形状は、ドーナツ形を採用した。本文の(3
5),(36),(37)の規定から、エアベントの外
周径は29mm、内径は22mmとし、深さは0.07
mmとした。エアベント溝はエアベントの外周に接続す
るように加工し、その幅は3mm、深さは2mmとし
た。エアベントとエアベント溝とは各々2つのキャビテ
ィに設けた。
【0093】次に「準粉体流れ」を発現させるための動
的な条件を設定した。まず、射出成形機のシリンダーの
温度条件は、FZを70℃、CZを170℃、MZを2
20℃に設定した。金型温度は65℃に設定した。スク
リュー回転数は200rpmに設定した。型内圧力は、
金型のランナー部に圧力センサを設置し、2000kg
/cmで充填できるように制御した。
【0094】上記のように射出成形機を作動させて、超
高分子量ポリエチレン製歯車を成形してみた結果、成形
サイクル30秒で安定した成形をすることができた。成
形された歯車の精度を確認した結果、JIGMAの規格
で5級に相当する歯車が得られた。また、成形品の分子
量を粘度法で測定した結果、分子量270万を維持して
いることが確認できた。成形品の比重を測定した結果、
0.94を示し、成形品の内部にボイドの発生がなく、
エアベントの効果が認められた。
【0095】さらには、顕微鏡で樹脂の充填状態を確認
したところ、写真(図6)に示すごとく、原料の粉体形
状を最小単位として、任意の形状に変形され、集合され
て歯車を構成していることが認められた。すなわち、本
発明の「準粉体流れ」が発現していることが確認でき
た。
【0096】実施例2 モジュール0.2(PCD=4.6mm、歯数23、厚
さ0.7mm、直径0.9mmの軸付)の歯車を射出成
形すべく、下記のごとく成形を行った。使用した樹脂、
及び成形機は実施例1と同様である。また、成形条件
は、射出圧力を型内圧力として1500kg/cm
設定した以外は、実施例1と同様にした。
【0097】製作した金型は、歯車キャビティは2個と
し、ゲートは成形品の軸部先端に設け、ゲート径は0.
6mmとした。ストランドは0.3mmとした。エアベ
ントは丸形を採用した。その外径は5.5mmとした。
その深さは0.03mmとした。エアベント溝は幅2.
5mm、深さ1.5mmした。
【0098】射出成形は、成形サイクル24秒で連続し
て安定した成形ができた。成形品の比重を測定してみた
ところ、0.94となり、超高分子量ポリエチレン樹脂
の比重値に入っており、顕微鏡観察によっても、ボイド
は確認できなかった。
【0099】実施例1と同様の分子量測定方法を用い
て、成形品の分子量を測定した結果、260万となり、
成形品も超高分子量ポリエチレンであることが確認でき
た。また、成形品の顕微鏡観察によっても、実施例1と
同様な「準粉体流れ」が発現していることが、確認でき
た。
【0100】実施例3 スキャナーの慴動部材(慴動部直径:9mm,軸部直
径:4mm)を射出成形すべく、下記のごとく成形を行
った。使用した樹脂、及び成形機は実施例1と同様であ
る。また、成形条件は、射出圧力を型内圧力として12
00kg/cmに設定した以外は、実施例1と同様に
した。
【0101】製作した金型は、キャビティは16個と
し、ゲートは成形品の軸部先端に設け、ゲート径は0.
8mmとした。ストランドは1mmとした。エアベント
は丸形を採用した。その外径は40mmとした。その深
さは0.03mmとした。エアベント溝は幅2.5m
m、深さ1.5mmした。
【0102】射出成形は、成形サイクル24秒で連続し
て安定した成形ができた。成形品の比重を測定してみた
ところ、0.94となり、超高分子量ポリエチレン樹脂
の比重値に入っており、顕微鏡観察によっても、ボイド
は確認できなかった。
【0103】実施例1と同様の分子量測定方法を用い
て、成形品の分子量を測定した結果、260万となり、
成形品も超高分子量ポリエチレンであることが確認でき
た。また、成形品の顕微鏡観察によっても、実施例1と
同様な「準粉体流れ」が発現していることが、確認でき
た。
【0104】
【発明の効果】以上、説明してきたように本発明の超高
分子量ポリエチレン成形品の製造方法においては、超高
分子量ポリエチレン樹脂からなる原料粉体粒子を、相互
に介在層を介することなく、粉体粒子の変形および表面
のみの溶融によって接合し、集合一体化させることによ
り、任意添加剤を添加して超高分子量ポリエチレンの特
性を失わしめることなしに、成形サイクルが汎用の樹脂
の場合と同レベルで、しかも金型の機構も特殊なものを
採用せず、製品単価が安価で量産性の高い、多数個取り
を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】剪断速度と粘度との関係を示すグラフである。
【図2】本発明の実施例において使用し得るゲートの形
態を示す断面図である。
【図3】本発明の実施例において使用し得るゲートの他
の形態を示す断面図である。
【図4】エアベントの形態を説明する断面図である。
【図5】エアベントの他の形態を説明する断面図であ
る。
【図6】本発明による超高分子量ポリエチレン成形品の
断面の粒子構造を示す顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1 金型 2 ゲート 3 スプルー 4 エアベント 5 エアベント溝
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年11月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正内容】
【0002】
【従来の技術】超高分子量ポリエチレン樹脂は耐薬品
性、耐摩耗性、摩擦力などの特性に優れているため、
プラスチック歯車材や動部材として適していると考え
られ、実際に使用もされており、その効果としては低摩
擦・低摩耗性、低騒音性、生体安全性が認められ、食品
加工機械、化学工学装置等、特殊な用途に採用されてい
る。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正内容】
【0009】特公昭57−30067号公報(特開昭5
1−81861号公報)では、金型を射出樹脂容量の
1.5〜3.0倍までキャビティを開けておき、剪断速
度50000sec−1 以上で射出し、その後キャビテ
ィ容積を2.0倍以下に圧縮し成形品を得る射出圧縮の
方法が提案されている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正内容】
【0031】すなわち、通常の剪断速度(10 〜1
sec−1 )から高剪断領域(10 〜10
sec−1 )まで均一に発現する前記粒子の流動状態
で成形型中に射出し、充填圧縮により集合一体化させる
のであり、このためには、インラインスクリュー射出成
形機を用い、原料粉体を型内圧力400〜3000kg
/cm 、スクリューの圧縮比1.3〜2.0の条件
で射出成形を行うことが好ましい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正内容】
【0036】以後、通常の連続的な溶融樹脂の流れに対
して、超高分子量ポリエチレン樹脂が示す流れを、特性
を明確に区別していくために、「準粉体流れ」と表現す
る。この準粉体流れと通常の流れとを比較した例を図1
に示す。すなわち、図1に示すように、通常の流れはH
DPE(高密度ポリエチレン)に示すごとく、剪断速度
に対する溶融粘度が低く、容易に流れることを示してい
る。これに対して、UHMW−PE(超高分子量ポリエ
チレン)の「準粉体流れ」は見かけ上の溶融粘度が高
く、射出成形には、高圧が必要なことを示唆している。
ここで留意されるべき重要な点は、「準粉体流れ」は通
常の剪断速度(10〜10 sec−1 )から高剪断
領域(10〜10 sec−1 )まで均一に発現する
ということである。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正内容】
【0038】前述したキャピラリーレオメータにおける
実験結果、オレフィスの直径dが下記のように規定さ
れることが明らかとなった。 d≧0.4mm …(1) このdの規定は、金型の設計の際、射出成形機のスプル
ーと金型との間を結ぶゲートの径の最低直径を決定する
ことを意味する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正内容】
【0047】スクリュー先端の形状に関しては、逆流防
止リング(チェックリング)を設けないことを基本とし
ているが、特開昭62−83122号公報にすでに提案
している方法を採用することができる。すなわち、スク
リューヘッドとシリンダーノズルとが互いに一部嵌合で
きるようにし、保圧工程での樹脂の逆流を防ぐ工夫をす
ることもできる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正内容】
【0056】射出速度については、特公昭57−300
67号公報に高剪断速度での充填する記載があるが、本
発明における「準粉体流れ」を発現させるための条件を
開示するものではない。射出速度の規定としては、成形
品のサイズ、取り数、さらには成形機の大きさ(スクリ
ュー径)により範囲が変わり得る。本発明では射出率
として以下の範囲が好ましい。 10cc/sec<<500cc/sec …(26) さらに好ましくは、 15cc/sec<<200cc/sec …(27) である。10cc/sec>ではノズル部やランナー
系内での樹脂の圧縮が促進されるため、キャビティ内へ
の樹脂の注入が不完全となる。一方、500cc/se
c<では樹脂内の空気の逃げが不完全となり成形品の
白化などの不良が発生し易くなる。本発明においては
「準粉体流れ」を制御し、金型内に樹脂を充填するに
は、射出速度とともに次に述べる成形機の射出圧力に着
目し、それを制御すれば精度の安定した成形品が得られ
ることを発見しているのである。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0078
【補正方法】変更
【補正内容】
【0078】上記のように、従来射出成形が不可能であ
った超高分子量ポリエチレン樹脂の可塑化を可能にし、
かつ、特殊な金型を製作し、賦形性を向上させてきた従
来の射出成形方法に対して、本発明ではエアベントを設
けるだけで超高分子量ポリエチレン樹脂の射出成形を可
能にし、汎用のエンジニアリングプラスチックと同等な
成形サイクルで多数個取りを行うことが可能になった。
特に、精度を要求されるプラスチック歯車の成形を可能
にし、超高分子量ポリエチレン樹脂の持つ低摩擦力、潤
滑性、低摩耗性、消音性が発現する歯車を提供できるよ
うになった。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0100
【補正方法】変更
【補正内容】
【0100】実施例3 スキャナーの動部材(動部直径:9mm,軸部直
径:4mm)を射出成形すべく、下記のごとく成形を行
った。使用した樹脂、及び成形機は実施例1と同様であ
る。また、成形条件は、射出圧力を型内圧力として12
00kg/cmに設定した以外は、実施例1と同様に
した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29K 23:00

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超高分子量ポリエチレン樹脂を射出成形
    することにより成形品を製造する方法において、 超高分子量ポリエチレン樹脂からなる原料粉体粒子を、
    相互に介在層を介することなく、粉体粒子の変形および
    表面のみの溶融によって接合し集合一体化させることに
    より1個取りまたは多数個取り製品の成形を行うことを
    特徴とする超高分子量ポリエチレン成形品の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記超高分子量ポリエチレン樹脂が、1
    35℃のデカリン溶媒中において測定した極限粘度
    [η]が6.5dl/g以上の値を示す分子量のポリエ
    チレンからなる、請求項1に記載の超高分子量ポリエチ
    レン成形品の製造方法。
  3. 【請求項3】 多数個取りの個数が2個である、請求項
    1に記載の超高分子量ポリエチレン成形品の製造方法。
  4. 【請求項4】 超高分子量ポリエチレン樹脂からなる原
    料粉体粒子を不連続な粒子形態を保持したままで可塑化
    して流動化し、準粉体流状態で成形型中に射出し、充填
    圧縮により集合一体化させる、請求項1に記載の超高分
    子量ポリエチレン成形品の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記成形型が、射出時に型内の空気並び
    に粉体の圧縮の際発生する空気を逸出させるためのエア
    ベントを具備してなる、請求項4に記載の超高分子量ポ
    リエチレン成形品の製造方法。
  6. 【請求項6】 インラインスクリュー射出成形機を用
    い、原料粉体に対して型内圧力400〜3000kg/
    cm2 、スクリューの圧縮比1.3〜2.0の条件で射
    出成形を行う、請求項4に記載の超高分子量ポリエチレ
    ン成形品の製造方法。
  7. 【請求項7】 原料粉体の準粉体流状態が保持される温
    度以上であって、酸化による原料粉体の分子量低下が起
    きない温度以下の温度条件で射出成形を行う、請求項4
    に記載の超高分子量ポリエチレン成形品の製造方法。
JP26797292A 1992-09-11 1992-09-11 超高分子量ポリエチレン成形品の製造方法 Pending JPH0691685A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10246234A (ja) * 1997-03-06 1998-09-14 Oshitani Felt Kasei Kk 空調機用室内機
CN102922675A (zh) * 2012-11-23 2013-02-13 安吉德康精密铸件有限公司 一种工业缝纫机零件注塑模具
JP2019010649A (ja) * 2017-06-29 2019-01-24 東芝機械株式会社 射出装置、成形機及びガス抜き装置

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CN102922675A (zh) * 2012-11-23 2013-02-13 安吉德康精密铸件有限公司 一种工业缝纫机零件注塑模具
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