JPH0691651A - プラスチック容器の減容機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 間欠的な操作が可能であり、エネルギー効率
が良く、小型で低価格なプラスチック容器の減容機を提
供する。 【構成】 プラスチック容器を圧縮し加熱するための加
熱・圧縮室２を有し、該加熱・圧縮室２には、マイクロ
波加熱装置４と水の噴霧器５を設け、圧縮手段９を設け
て減容機１を構成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、使用済のプラスチック
製の容器を圧縮して容積を減少させる装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】プラスチック製の容器が食品包装用容器
として広く普及している。例えば発泡ポリスチレンシー
トを熱成型してなるトレイは安価で保形性、断熱性等に
優れ衛生的であることから、食品を皿上に載せて上面を
ストレッチフィルム等で包装して商品を店頭で販売する
のに用いられている。

【０００３】従来、ほとんどのプラスチック製の容器は
使用後廃棄されていたが、近年、廃棄物問題や資源の有
効利用と言った面から、使用済の容器を回収して再利用
することが強く要望されている。

【０００４】プラスチック製の容器を再利用するために
は、使用済の容器を分別収集して再生工場に送り、種々
のプラスチックを選別、破砕、洗浄、乾燥等の必要な処
理を行った後、減容機に入れ溶融させて所定形状に押し
出してペレット化し、このペレットを用いて再び成形し
て再利用される。

【０００５】使用済の容器を回収して再処理工場へ搬送
する場合、プラスチック容器は発泡成形品等が多くまた
形状がカップ状のように立体的な形状を有するため、非
常に嵩高く収集した場合嵩張り、回収場所のスペースの
問題や、更に再処理工場に送る場合に運搬コストが高く
なってしまうという問題があった。運搬コストを下げる
ためには、回収した場所で容器を圧縮して容積を減らし
た後に運搬する必要があり、回収場所で簡単に容積を減
少させるための減容機が要望されている。

【０００６】従来、一般的にプラスチックの減容機とし
て、例えば加熱空気等を循環させた容器内にプラスチ
ックを入れ、加熱溶融して減容する装置や、押出機の
ように容器の壁を加熱しておいて、伝導熱により溶融さ
せて押し出す装置等が公知である。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】回収場所において使用
される減容機に要求されることは、まず、低いコストで
供給されることである。そして、簡単な操作で使用可能
であることが重要である。

【０００８】しかしながら従来の減容機は、プラスチッ
ク発泡成型体の食品用トレイ等のような低密度のプラス
チックを減容化する場合、加熱空気を用いたものは熱伝
導が悪く効率が低下するため一般に大型の装置になって
しまい小型の装置では実用的ではない。又、押出機のよ
うな装置を利用したものは、押出機の内部に処理しよう
とするプラスチックを送るために微細に切断する必要が
あり、粉砕装置が必要であり装置が複雑になってしま
い、やはり大型の装置でのみ実用化されているにすぎな
い。更に、従来の減容機では、充分な加熱温度を得るた
めに、予熱や昇温等の準備加熱が長時間必要となるた
め、一括して大量に減容化処理する場合には適するが、
少量のプラスチック容器を間欠的に減容化するような場
合にはエネルギ−効率が著しく悪くなるため適さない。
また、前記準備加熱を行うこと自体エネルギ−効率の面
からいって非常に不利である。

【０００９】本発明は、上記従来技術の欠点を解消する
ためになされたもので、間欠的な操作が可能な上、エネ
ルギ−効率が良く、小型で低価格のプラスチック容器の
減容機を提供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を鋭
意検討した結果、従来の減容機でプラスチック容器を完
全に溶融した場合、発泡成型体等では１／５０程度まで
減容化されるが、運搬コストを減らすためには１／４程
度の容積に減容することで充分であることと、従来の装
置のような大型の加熱装置は不要であり加熱にマイクロ
波加熱装置等の高周波印加手段が使用可能であるという
ことを見出し本発明を完成するに至った。

【００１１】即ち本発明のプラスチック容器の減容機は
プラスチック容器を加熱し圧縮するための加熱・圧縮室
を有し、該加熱・圧縮室には、高周波印加手段、水の供
給手段、及び加熱されたプラスチック容器を圧縮するた
めの圧縮手段を備えたことを特徴とする。

【００１２】また、本発明のプラスチック容器の減容機
はプラスチック容器を加熱するための加熱室と、加熱し
た容器を圧縮するための圧縮室とからなり、上記加熱室
には高周波印加手段及び水の供給手段を備えており、上
記圧縮室には圧縮手段を備えてなることを特徴とする。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基き詳細に説
明する。図面は本発明の実施例を示すものであり、図１
は本発明減容機の１例を示す断面図であり、図２は本発
明減容機の他の例を示す断面図、図３は図２の減容機の
側面図である。

【００１４】本発明減容機１は例えば図１に示すよう
に、プラスチック容器を加熱し圧縮するための加熱・圧
縮室２を有し、該加熱・圧縮室２にはマイクロ波照射装
置４のような高周波印加手段、水の噴霧器５のような水
の供給手段及び加熱されたプラスチック容器を圧縮する
ための圧縮手段９を加熱・圧縮室の上部に備える。尚、
特に図示しないが圧縮手段は加熱・圧縮室の上部に設け
ずに、側面方向に設けてもよい。

【００１５】又、本発明減容機は図２に示すように、加
熱・圧縮室を加熱室２１と圧縮室２２のように別々に設
けてもよい。この場合上記加熱室２１にはマイクロ波照
射装置４と、容器に水分を噴霧するための水の噴霧器５
と、加熱した容器を加熱室２から圧縮室３へ送るための
押出装置６を備える。押出装置６は押出ピストン７と押
出シリンダ８とからなり油圧で駆動するように形成され
ている。

【００１６】加熱・圧縮室２又は圧縮室２２は、（加熱
室２１で）加熱して軟化した容器を加圧して体積を減少
させるためのものであり、加圧シリンダ１０と加圧ピス
トン１１とからなる圧縮手段９を備える。図２に示すよ
うに加熱室と圧縮室を別々に設けた場合には加圧ピスト
ン１０には加熱室２１と圧縮室２２を仕切る隔離板１２
が取りつけられ、加圧ピストン１０が下降すると同時に
隔離板１２も下降して加熱室２１と圧縮室２２が閉じら
れ、又加圧ピストン１１が上昇すると同時に隔離板も上
昇して加熱室２１と圧縮室２２が通じるように形成す
る。

【００１７】加熱・圧縮室２又は圧縮室２１の底部に
は、加圧ピストン１１により圧縮された容器を外部に押
し出すための押出ロッド１３が設けられ、押出ロッド１
３は油圧駆動の取り出しシリンダー１４に接続されてい
る。

【００１８】図１に示す減容機の加熱・圧縮室２には処
理しようとするプラスチック容器を投入するための原料
投入口が側面に設けられ（図示しない）、また図２に示
す減容機の加熱室２２には上部に蓋１５が開閉自在に設
けられ（図３参照）原料投入口１６を形成する。加熱室
２２又は加熱・圧縮室２の内部は外被板１７により覆わ
れ、該外被板１７はマイクロ波を遮蔽する材質、例えば
損失係数の小さいガラス繊維とテフロンの複合材等で形
成されている。

【００１９】本発明において用いられる高周波印加手段
としては、マイクロ波加熱装置や高周波誘電加熱装置等
を用いることができる。本発明において用いる高周波は
周波数が１〜５００ＭＨｚ、出力が４００Ｗ〜１００Ｋ
Ｗ程度のものが用いられる。発振周波数に関しては１０
００ＭＨｚ以上のマイクロ波が好ましい。

【００２０】マイクロ波加熱装置４は多種多様のものを
用いることができるが、一般にマイクロ波発振装置によ
り２４５０ＭＨｚの周波数のマイクロ波を導波管を通し
て箱型オーブン状に形成された加熱室２１（又は加熱・
圧縮室２）の内部に導入するように形成する（電子レン
ジと同様な形式）。上記マイクロ波発振装置の出力とし
て通常１．５〜５Ｋｗ程度のものが使用される。このよ
うなマイクロ波発振装置は (株) 東芝から市販されてい
る東芝マグネトロン（商品名等）が利用できる。

【００２１】また、本発明において高周波印加手段とし
て上記マイクロ波加熱装置に代えて高周波誘電加熱装置
を用いる場合には、加熱・圧縮室２又は加熱室２１にプ
ラスチック容器をはさんで相対向するように適宜の位置
に電極を取りつければよい。

【００２２】加圧手段９の加圧シリンダー１０の圧力
は、例えば発泡体からなるプラスチック容器を用いた場
合に完全に気泡がつぶれない程度の圧力が好ましく、具
体的には１．５〜１０kg／cm² 程度である。また加熱・
圧縮室２、加熱室２１、圧縮室３等の容積は、例えば４
００×４００×４００mm程度の大きさに形成するのが好
ましい。

【００２３】本発明減容機１の使用にあたっては、図２
及び図３に示す減容機の場合先ず加圧ピストン１１を下
方に移動させて該加圧ピストン１１に取りつけた隔離板
１２で加熱室２１と圧縮室２２を仕切った後に、蓋１５
を開き原料投入口１６から処理しようとするプラスチッ
ク容器を投入して、蓋１５を閉めて噴霧器５から水を容
器に散布した後、マイクロ波加熱装置４を作動させて加
熱室２１内部の容器を加熱して軟化させる。尚、図１に
示す減容機の場合には上記の加圧ピストン１１を上方に
上げた後に、プラスチック容器を加熱・圧縮室２に投入
して、水を散布して加熱する。

【００２４】所定時間マイクロ波加熱を行って、加熱・
圧縮室２（もしくは加熱室２１）内部のプラスチック容
器が塑性変形可能なところまで軟化したならば、この時
点でマイクロ波加熱装置４の作動を止める。その後図２
及び図３に示す装置の場合、加圧ピストン１１を隔離板
１２と共に上昇させ押出シリンダ８の圧力で押出ピスト
ン７を作動させて加熱室２の軟化したトレ−を隣の圧縮
室３へ移す。

【００２５】次に加圧ピストン１１を下降せしめ軟化し
たプラスチチック容器を圧縮して減容化する。連続して
操作を行う場合には、蓋１５を開いて原料投入口１６か
らトレイを投入して、上記の操作を繰り返す。適当な時
期（圧縮した容器が充分冷却し、次の原料の容器が加熱
室内部で適当に加熱された時点）になったら、加圧ピス
トンを上昇させ、取り出しロッド１３のシリンダー１４
を作動して、減容化して固形化した容器の圧縮物を加熱
・圧縮室２（ないしは圧縮室２２）の底部から外部に取
り出す。

【００２６】図４は本発明減容機のその他の例を示す正
面図である。図４に示すように本発明減容機１は加熱室
２１が圧縮室２２の上部になるように、配置して形成し
てもよい。この場合、上部から原料容器を投入し、加熱
室２で加熱した後そのまま下の圧縮室３に落下させ、側
面方向に設けた加圧シリンダー１１により水平方向に圧
縮して減容することもできる。

【００２７】尚、加熱室と圧縮室とを分離した減容機
（図２、図４に示す装置）は、加熱圧縮室として一体と
なった減容機（図１に示す装置）よりも減容化処理能力
に優れる。しかし、前者に比較して後者の方は減容機そ
のものを小型化することができると共にエネルギ−効率
に優れる（加熱された容器を移動することなく減容化す
ることができるため）といった効果を奏する。いずれの
減容機を採用するかは、設置スペ−ス、減容化処理する
量、エネルギ−効率等を考慮して決定され得るものであ
る。

【００２８】本発明減容機を用いて減容化した容器の圧
縮物は、プラスチック再生工場に搬送し、所定の大きさ
に粉砕した後、押出機や加熱空気発生機等を備えた減容
機等の再生装置を用いて加熱溶融し、所定形状に造粒し
てペレット等の再生プラスチックが得られる。また、減
容化された容器はそのまま焼却される場合もある。

【００２９】本発明減容機はプラスチック容器の容積が
約１／４程度に圧縮されるように加熱温度、加圧圧力等
を調節するのが好ましい。この程度の減容化であっても
運搬コストの低減化の目的は充分達成可能である。ま
た、例えば発泡体製のトレイの場合には、この程度の圧
縮減容では内部の気泡が完全に抜け切らず残存し、無発
泡のプラスチックトレイではトレレどうしの間に空気が
包含されているので、後の再処理工場等で完全に溶融さ
せるために粉砕等を行う際、低馬力粉砕が行える。ま
た、圧縮したプラスチック容器を再生せずに焼却処分す
る場合に空気が含まれていると燃焼し易いという利点が
ある。

【００３０】本発明減容機は、ポリスチレン発泡成形
品、ポリエチレン発泡成形品、ポリ塩化ビニル発泡成型
品、又は無発泡の食品包装用プラスチック容器等の、特
にトレイ状容器、カップ麺の容器、丼状の容器、卵パッ
ク等のような嵩高い形状のものの減容化処理に最適であ
る。又、装置として小型軽量に形成可能であるため、設
置場所に制限されず、例えばスーパーマーケットの店
頭、プラスチック容器加工工場現場、トレイ屑等の発生
する場所等に設置するのに最適である。

【００３１】

【作用】本発明減容機の作用を図２及び図３に示す減容
機を用いて説明する。減容機１の加熱室２１に投入した
原料のプラスチック容器は、噴霧器５により散布された
水が付着して表面が濡れる。そしてマイクロ波加熱装置
４を作動させると、マイクロ波の照射によりプラスチッ
ク容器の表面に付着した水分が発熱し蒸気となり、その
熱により原料プラスチック容器が加熱され軟化する。加
熱室２で軟化したプラスチック容器は押出装置６によっ
て圧縮室２２に送られ、加圧シリンダー１１を下降させ
ると容器は充分軟化しているため容易に圧縮されて容積
が減少して容器の圧縮物となり、冷却すると固化して圧
縮した形状に保持されて減容化される。

【００３２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明減容機は加
熱室又は加熱・圧縮室に高周波印加手段と水の供給手段
とを備え、高周波により加熱された水分の熱を利用して
プラスチック容器の加熱を行うため、プラスチック容器
がたとえ熱伝導率の低い発泡体であっても容器を均一に
短時間で加熱することが可能であり、エネルギー効率が
良好であり短時間に減容化処理を行うことができる。

【００３３】また高周波印加手段は周囲の温度を上げな
いため、ヒーターや加熱空気等を利用した装置に比較し
て安全性が高く取り扱いが容易である。また加熱・圧縮
室又は圧縮室を冷却する場合にも冷却がスムーズであ
る。

【００３４】更に、高周波印加手段は加熱操作を高周波
を発生させる部分の電源スイッチのＯＮ−ＯＦＦだけで
瞬時に行うことができるので、従来の加熱ヒータや乾燥
空気等を用いた装置と比較して、昇温時間が短時間であ
り余熱が不要であり、また使用を停止する場合はスイッ
チを切るだけで冷却時間が殆ど不要であり、装置を移動
する場合にも安全にスピーディに行うことができ、間欠
的な操作が可能である。

【００３５】また高周波印加手段は加熱電力の制御を容
易に行うことができるために、プラスチック容器の材質
等に応じて加熱時間等を任意に設定して制御し装置の自
動化が容易に行える。

【００３６】また、本発明減容機の加熱は噴霧した水分
を高周波により発熱させる方式を採用しているために、
容器が発泡体のような熱伝導率の低い材質であっても加
熱が不均一になることがなく、低密度で嵩高い容器を短
時間に且つ確実に圧縮減容化することができる。

【００３７】このように本発明減容機は加熱機構が単純
な構成であり、装置全体をコンパクトに形成可能であり
小型で低価格の減容機を構成でき種々の利点を有するた
め、各回収場所に設置して再処理工場やゴミ処理場に運
搬する場合の運搬コストを低減させ、プラスチック容器
を回収して再利用する効率を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明減容機の１例を示す断面図である。

【図２】本発明減容機の他の例を示す断面図である。

【図３】図２に示す減容機の側面図である。

【図４】本発明減容機のその他の例を示す断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 減容機 ２ 加熱・圧縮室 ４ マイクロ波加熱装置 ５ 水の噴霧器 ６ 押出装置 ７ 押出ピストン ８ 押出シリンダー ９ 圧縮装置 １０ 加圧シリンダー １１ 加圧ピストン １２ 隔離板 ２１ 加熱室 ２２ 圧縮室

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】プラスチック容器を加熱し圧縮するための
   加熱・圧縮室を有し、該加熱・圧縮室には、高周波印加
   手段、水の供給手段、及び加熱されたプラスチック容器
   を圧縮するための圧縮手段を備えたことを特徴とするプ
   ラスチック容器の減容機。
2. 【請求項２】プラスチック容器を加熱するための加熱室
   と、加熱した容器を圧縮するための圧縮室とからなり、
   上記加熱室には高周波印加手段及び水の供給手段を備え
   ており、上記圧縮室には圧縮手段を備えてなることを特
   徴とするプラスチック容器の減容機。