JPH068862U - 自動変速機のドラムとレースの結合構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 アルミ製のドラムと鉄製のレースとを結合可
能な新規な結合構造を提供すること。 【構成】 アルミ製のドラム１と、鉄製のレース２と
に、相互に締結可能なテーパ雌ねじ部１ａおよびテーパ
雄ねじ部２ａを形成し、各テーパねじ部１ａ，２ａ同士
を締結させてドラム１とレース２とを結合させた構造。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、自動車等に搭載される自動変速機の細部、すなわち、ドラムとレー スの接合構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

自動変速機において、ピストンを収納したドラムと、ベアリングのアウタレー スとを接合することがある。このような構造を採用した自動変速機としては、例 えば、特開平２−８５５４９号公報に記載されたものが知られている。

【０００３】 従来、上述のような構造の場合、鉄製のドラムと鉄製のレースとを、電子ビー ム溶接で接合した結合構造とするのが一般的である。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、近年、燃費向上などのために自動変速機の軽量化が望まれている。 この軽量化を達成するための一手段として、素材のアルミ化がある。

【０００５】 そこで、ドラムとレースの場合、剛性・硬度の点から、レースはアルミ化が難 しいが、ドラムはアルミ化可能である。しかしながら、アルミと鉄との溶接は困 難であることから、従来の結合構造では、ドラムのみをアルミ化して軽量化を図 ることができなかった。

【０００６】 本考案は、このような問題に着目して成されたもので、アルミ製のドラムと鉄 製のレースとを結合可能な新規な結合構造を提供することを目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上述の目的を達成するため、請求項１記載の考案では、アルミ製のドラムと、 鉄製のレースとに、相互に締結可能なテーパ状の雄ねじおよび雌ねじから成るテ ーパねじ部を形成し、各テーパねじ部同士を締結させて前記ドラムとレースとを 結合させた構造とした。

【０００８】 また、請求項２の考案では、アルミ製のドラムと、鉄製のレースとに、それぞ れ圧入部を形成して、これら圧入部の一方を他方に圧入させて前記ドラムとレー スとを結合させた構造とした。

【０００９】 なお、前記ドラムとレースとに跨がって緩み防止用のピンを打ち込むようにし てもよい。

【００１０】 また、前記ドラムとレースとの結合部分の隣接位置にオーリングあるいはシー ル材を介在させてもよい。

【００１１】

【作用】

請求項１記載の構造では、ドラムとレースとに形成したテーパねじ部同士を締 結させてドラムとレースとを結合させる。したがって、両者が異種金属でも結合 させることができる。なお、請求項３記載のように、両者を、ピンにより回り止 めすると、結合がより確実になる。また、請求項４記載のように、両者の間にオ ーリングを介在させれば、テーパねじ部間から油が漏れることがない。

【００１２】 請求項２記載の構造では、ドラムとレースとに形成した圧入部の一方を他方に 圧入させ、さらに、ドラムとレースとに跨がって弛み防止用のピンを打ち込んで ドラムとレースとを結合させる。したがって、両者が異種金属でも結合させるこ とができる。この場合も、請求項３記載のように、両者を、ピンにより回り止め すると結合がより確実になる。また、請求項４記載のように、両者の間にオーリ ングを介在させれば、両者の間のシール性が向上する。

【００１３】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面により詳述する。

【００１４】 図１は本考案第１実施例の自動変速機の要部を示す断面図で、１はドラムアウ タを示している。このドラムアウタ１は、アルミを素材として形成されていて、 前記従来技術で提示した公報に記載されているように、クラッチピストン（図示 省略）を収容するものである。そして、このドラムアウタ１には、内周にテーパ 状の雌ねじからなるテーパ雌ねじ部１ａが形成され、かつ、その僅かに外周方向 位置のドラム端面には、円周状に、段部１ｂおよび凸部１ｃが形成されている。 また、この凸部１ｃの先端の内周側には、テーパ面１ｄが形成されている。

【００１５】 前記ドラムアウタ１のテーパ雌ねじ部１ａには、レースアウタ２のテーパ雄ね じ部２ａが締結されている。すなわち、前記レースアウタ２は、ワンウエイクラ ッチを構成するものであって鉄を素材として形成されており、このレースアウタ ２には、内周縁部に形成された凸部２ｂの外側に前記テーパ雄ねじ部２ａが形成 され、その僅かに外周位置であって前記段部１ｂと符合する位置に、ストッパ２ ｃが突設され、その外周位置の前記凸部１ｃと符合する位置には、前記凸部１ｃ を収容する凹部２ｄが円周状に形成され、また、このレースアウタ２の外周部に はスプライン２ｅが形成されている。

【００１６】 そして、前記レースアウタ２の凸部２ｂの内周に、鉄製のドラムインナ３が溶 接により結合されている。

【００１７】 また、前記ドラムアウタ１のテーパ面１ｄと、レースアウタ２の凹部２ｄとの 間にはオーリング４が設けられている。なお、各ねじ部１ａ，２ａの締結代、ド ラムアウタ１の凸部１ｃとレースアウタ２の凹部２ｄとの勘合代は、ストッパ２ ｃが段部１ｂに当接することで決定されていて、さらに、このストッパ２ｃによ り、オーリング４の切断を防止している。

【００１８】 また、前記ドラムアウタ１およびレースアウタ２には、レースアウタ２を貫通 してドラムアウタ１に至る、ピン用穴５が形成され、このピン用穴５に、回り止 め用のピン６が打ち込まれている。

【００１９】 次に、第１実施例の結合手順について説明する。

【００２０】 まず、レースアウタ２の凸部２ｂの内周に、ドラムインナ３を溶接して、両者 を結合する。次に、レースアウタ２の凹部２ｄの内周面にオーリング４をセッテ イングした上で、レースアウタ２のテーパ雄ねじ部２ａに、ドラムアウタ１のテ ーパ雌ねじ部１ａを締結させる。この場合、締結トルクが所定トルクとなるまで ねじ込むが、ドラムアウタ１の段部１ｂがストッパ１ｃに当たると、それ以上は ねじ込むことができない。したがって、オーリング４がドラムアウタ１の凸部１ ｃに強く押しつけられて切れてしまうといった不具合はない。

【００２１】 こうして、両ねじ部１ａ，２ａの締結を終えたら、レースアウタ２の外周から ドラムアウタ１の凸部１ｃに達するまで径方向にピン用穴５を穿設し、このピン 用穴５にピン６を打ち込む。なお、このピン６は、「かしめ」により抜け止めを 行う。

【００２２】 以上のように、アルミ製のドラムアウタ１と鉄製のレースアウタ２とが、各ね じ部１ａ，２ａを締結して結合されるとともに、ピン６により相対的な回りが規 制されて、ねじ部１ａ，２ａの締結が外れてしまうのが防止される。また、オー リング４により両ねじ部１ａ，２ａの間からオイルが漏れるのが防止される。

【００２３】 以下、他の実施例について説明するが、第１実施例と同じ構成には同じ符号を つけて説明を省略する。また、作用についても相違点のみ説明する。

【００２４】 まず、図２に示す第２実施例について説明する。

【００２５】 この実施例は、ドラムアウタ１とレースアウタ２との回り止めを、両者の間に スティールボール２１を圧入させて行っているとともに、両ねじ部１ａ，２ｂの 間からのオイル漏れを、液状のシール材２２を充填することで行っている。

【００２６】 次に、図３に示す第３実施例は、請求項２記載の考案の実施例であって、ドラ ムアウタ１の凸部１ｃの内周をドラム側圧入部３１とするとともに、レースアウ タ２の凹部２ｄの内周をレース側圧入部３２とし、ドラム側圧入部３１の内側に レース側圧入部３２を圧入させてドラムアウタ１とレースアウタ２とを結合させ た例である。なお、前記ドラムアウタ１とレースアウタ２とは、ピン６を打ち込 むことで回り止めしている。

【００２７】 また、各圧入部３１，３２の間からのオイル漏れは、両者の間にシール材（図 示省略）を塗布することで行っている。

【００２８】 次に、図４に示す第４実施例は、第１実施例と同様の構成において、オーリン グ４を、レースアウタ２に形成した溝４１内に保持させた例である。

【００２９】 以上、本考案の実施例を図面により説明したが、具体的な構成はこの実施例に 限られるものではない。

【００３０】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案の自動変速機のドラムとレースとの結合構造にあ っては、アルミ製のドラムと鉄製のレースとを結合させることが可能となって、 自動変速機の軽量化を図ることができるという効果が得られる。

【００３１】 また、請求項３記載の構造では、ドラムとレースとの結合がより確実になると いう効果が得られる。

【００３２】 さらに、請求項４記載の構造では、ドラムとレースとの結合部分からのオイル 漏れを防止することができるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案第１実施例の自動変速機のドラムとレー
スとの結合構造を示す断面図である。

【図２】本考案第２実施例構造を示す断面図である。

【図３】本考案第３実施例構造を示す断面図である。

【図４】本考案第４実施例構造を示す断面図である。

【符号の説明】

１ ドラムアウタ １ａ テーパ雌ねじ部 ２ レースアウタ ２ａ テーパ雄ねじ部 ４ オーリング ２２ シール材 ３１ ドラム側圧入部 ３２ レース側圧入部

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 アルミ製のドラムと、鉄製のレースと
   に、相互に締結可能なテーパ状の雄ねじおよび雌ねじか
   ら成るテーパねじ部を形成し、各テーパねじ部同士を締
   結させて前記ドラムとレースとを結合させたことを特徴
   とする自動変速機のドラムとレースの結合構造。
2. 【請求項２】 アルミ製のドラムと、鉄製のレースと
   に、それぞれ圧入部を形成して、これら圧入部の一方を
   他方に圧入させて前記ドラムとレースとを結合させたこ
   とを特徴とする自動変速機のドラムとレースの結合構
   造。
3. 【請求項３】 前記ドラムとレースとに跨がって緩み防
   止用のピンを打ち込んだことを特徴とする請求項１また
   は２記載の自動変速機のドラムとレースの結合構造。
4. 【請求項４】 前記ドラムとレースとの結合部分の隣接
   位置にオーリングあるいはシール材を介在させたことを
   特徴とする請求項１または２または３記載の自動変速機
   のドラムとレースの結合構造。