JPH0688578A - スクロ−ル形圧縮機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 製造および組み立てが容易なオルダムリング
を有するスクロ−ル形圧縮機を提供することを目的とす
るものである。 【構成】 このスクロ−ル形圧縮機は、リング本体２９
の両表面にそれぞれ一対のキ−部３０…を有し、このキ
−部３０をそれぞれフレ−ムと旋回スクロ−ルに設けら
れたそれぞれのキ−溝に係止させて上記旋回スクロ−ル
の自転を規制するオルダムリング２８を具備するもので
あって、このオルダムリング２８は、上記キ−部３０の
下端面に一体的に形成された結合ピン３１をリング本体
２９に設けられたピン孔３３内に嵌入することで、この
キ−部３０とリング本体２９とを固定しているものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、スクロ−ル形圧縮機
に関する。

【０００２】

【従来の技術】スクロ−ル形圧縮機は、渦巻状に加工さ
れた２つの翼（固定スクロ−ルと旋回スクロ−ル）を組
み合わせ、これらの相対運動により気体の圧縮を行うも
のである。

【０００３】すなわち、密閉ケ−ス内に設けられたフレ
−ムに上記固定スクロ−ルを固定すると共に、同じく上
記密閉ケ−ス内に設けられたモ−タのクランク軸の上端
部に上記旋回スクロ−ルを取り付ける。

【０００４】そして、上記モ−タを作動させることによ
り、上記旋回スクロ−ルを自転させることなくこの旋回
スクロ−ルの中心を上記固定スクロ−ルの中心のまわり
に一定半径で回転させ、上記固定スクロ−ルに対して旋
回スクロ−ルを公転させる。

【０００５】この結果、上記固定スクロ−ルと旋回スク
ロ−ルによって形成された三日月形の作動室が回りなが
ら外周から中央に移動して気体を圧縮する。圧縮された
気体は上記固定スクロ−ルの中心部に形成された吐出口
から外部へ吐出される。

【０００６】また、上記スクロ−ル形圧縮機では、一般
に、上記旋回スクロ−ルの自転を防止するための手段と
して、この旋回スクロ−ルとフレ−ムとをオルダム機構
によって連結している。

【０００７】すなわち、上記旋回スクロ−ルの下面およ
び上記フレ−ムの上面に、それぞれ周方向に１８０度ず
れかつ上記回転軸の径方向に沿うキ−溝を設ける。そし
て、この旋回スクロ−ルの下面と上記フレ−ムの上面と
の間に図４に示すオルダムリング１を挿入する。

【０００８】このオルダムリング１は、環状のリング本
体２の上面および下面にそれぞれ一対のキ−部３を設け
たものである。上面に設けられた一対のキ−部３と下面
に設けられた一対のキ−部３は互いに直交するようにな
っている。

【０００９】図５に拡大して示すように、上記キ−部３
は上記リング本体２に結合ピン５により固定される。す
なわち、上記結合ピン５は一端を上記リング本体２に設
けられた第１の結合孔２ａに嵌入されると共に、他端を
上記キ−部３の下面に開口する第２の結合孔３ａに嵌入
される。

【００１０】また、上記リング本体２の上面には、上記
キ−部３の下端が嵌入される凹陥部４が形成されてい
る。したがって、上記キ−部３は、下端部をこの凹陥部
４内に嵌入させると共に上記結合ピン５によって上記リ
ング本体２に固定される。

【００１１】このようにして形成されたオルダムリング
１は上面側に設けられたキ−部３を上記旋回スクロ−ル
の下面に設けられたキ−溝に挿入し、下面側に設けられ
たキ−部３を上記フレ−ムの上面に設けられたキ−溝に
挿入される。

【００１２】このことで、上記フレ−ムとオルダムリン
グ１と旋回スクロ−ルはオルダム機構を構成し、上記旋
回スクロ−ルの中心が上記固定スクロ−ルの中心の回り
を回転しても、上記旋回スクロ−ルはフレ−ム（密閉ケ
−スに固定）と同じ位相を保ち、自転することがない。

【００１３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のよう
なオルダムリングは、以下に説明する解決すべき課題が
あった。

【００１４】上述のように、リング本体２とキ−部３と
を結合ピン５および凹陥部４を用いて固定する場合は、
図６に示すように、キ−部３に設けられた第１のピン孔
３ａに対するキ−部３の対称度（ａ₁ 、ａ₂ ）およびリ
ング本体２に設けられた第２のピン孔２ａに対する凹陥
部４の対称度（ｂ₁ 、ｂ₂ ）がキ−部３とリング本体２
を組み立てる上で問題となり、図面上の公差を厳しくす
る必要があった。また、上記結合ピン５とキ−部３を組
み立てる上での圧入クリアランスなどの管理が必要であ
った。このため、従来のスクロ−ル形圧縮機には、オル
ダムリング１の製造性が悪いという課題があった。

【００１５】この発明は、このような事情に鑑みて成さ
れたもので、製造および組み立てが容易なオルダムリン
グを有するスクロ−ル形圧縮機を提供することを目的と
するものである。

【００１６】

【課題を解決するための手段】この発明の第１の手段
は、固定スクロ−ルを固定したフレ−ムと上記固定スク
ロ−ルに対して圧縮空間を介して設けられた旋回スクロ
−ルとを具備すると共に、環状のリング本体に結合ピン
で固定されたキ−部を有しかつこのキ−部を上記フレ−
ムあるいは固定スクロ−ルに設けられたキ−溝と上記旋
回スクロ−ルに設けられたキ−溝にそれぞれスライド自
在に係合させて上記旋回スクロ−ルの自転を規制するオ
ルダムリングを具備するスクロ−ル形圧縮機であって、
上記結合ピンは上記キ−部と一体的に成形されてなるこ
とを特徴とするものである。第２の手段は、上記第１の
手段において、上記リング本体には、上記キ−部の基端
部が嵌入される凹陥部が設けられていることを特徴とす
るものである。

【００１７】

【作用】このような構成によれば、結合ピンの先端部を
リング本体に挿入することで、キ−部をリング本体に固
定することができる。

【００１８】

【実施例】以下、この発明の一実施例を図面を参照して
説明する。なお、従来例と同一の構成要素には同一符号
を付してその説明は省略する。図１に示すこの発明のス
クロ−ル形圧縮機１０は、基本的には従来例と略同様の
構成を有するものであり、図中１１は、密閉ケ−スであ
る。

【００１９】この密閉ケ−ス１１内には固定板１２が設
けられ、この固定板１２には、ボルト１３によって圧縮
機構１４およびフレ−ム１５が固定されている。また、
このフレ−ム１５の下面側には、モ−タ１６が設けられ
ている。このモ−タ１６は、上記フレ−ム１５に固定さ
れた固定子１７と、この固定子１７内に回転自在に挿入
された回転子１８と、この回転子１８に下端部が嵌入支
持され上端部を上記フレ−ム１５の上面に突出させたク
ランクシャフト１９とから構成されている。

【００２０】一方、上記圧縮機構１４は従来例と同様
に、上記固定板１２に固定された固定スクロ−ル２１
と、上記クランクシャフト１９の上端部に偏心回転自在
に遊嵌されかつ上記固定スクロ−ル２１に圧縮空間２３
…を介して組み合わされた旋回スクロ−ル２２とを有し
ている。

【００２１】そして、上記固定スクロ−ル２１の上面側
には、この固定スクロ−ル２１の中心部に設けられた吐
出口２１ａを介して上記圧縮空間２３と連通する吐出室
２５が形成され、この吐出室２５は吐出カバ−２６で覆
われている。また、この吐出室２５には吐出管２７が接
続され、この吐出管２７は上記密閉ケ−ス１１の上面か
ら外部へ液密に導出されている。

【００２２】また、上記旋回スクロ−ル２２の下面と上
記フレ−ム１５の上面との対向面間には、従来例と同様
に、上記旋回スクロ−ル２２の自転を防止するためにオ
ルダムリング２８が挿入される。

【００２３】このオルダムリング２８は、外観上は、図
４を引用して示すオルダムリング１と同様のもので、図
２（ａ）に示すように、環状のリング本体２９を有し、
このリング本体２９の上面および下面には、キ−部３０
が設けられている。このキ−部３０は、上記リング本体
２９とは別体に形成され、このリング本体２９の上面お
よび下面に互いに周方向に９０°離間して固定されるも
のである。このキ−部３０は、ブロック形状に形成さ
れ、かつ、このキ−部３０の上記リング本体２９の表面
と当接する下面には挿入ピン３１が突設されている。

【００２４】一方、上記リング本体２９の上面には、上
記上記キ−部３０の下端部（基端部）が嵌入される凹陥
部３２が形成されている。そして、この凹陥部３２の底
面には、上記挿入ピン３１が挿入されるピン孔３３が開
口している。

【００２５】したがって、このキ−部３０は、上記挿入
ピン３１を上記ピン孔３３内に挿入させると共に、下端
部を上記凹陥部３２内に嵌入させて上記リング本体２９
に固定される。

【００２６】なお、上記リング本体２９と、上記キ−部
３０は、それぞれ異なる材質で構成されている。すなわ
ち、上記リング本体２９の材質としては軽量化を図るた
めにアルミ合金が選択される。そして上記キ−部３０は
それぞれ固定スクロ−ル２１およびフレ−ム１５に対し
て耐摩耗性、摺動性に優れた材質が選択され、上記旋回
スクロ−ルのキ−溝と摺動するキ−部３０の材質として
は例えばＳ５０Ｃ（機械構造用炭素鋼）、フレ−ムのキ
−溝と摺動するキ−部３０の材質としては上記旋回スク
ロ−ル側のキ−部３０よりも硬い例えばＳＵＪ２（高炭
素クロム軸受鋼）が選択される。

【００２７】このように形成されたオルダムリング２８
は、図１に示すように、上記上面側に設けられたキ−部
３０および下面側に設けられたキ−部３０を上記旋回ス
クロ−ル２２およびフレ−ム１５のそれぞれのキ−溝２
２ａ、１５ａに挿入した状態で取り付けられる。

【００２８】このオルダムリング２８によって、上記旋
回スクロ−ル２２は上記固定スクロ−ル２１に対して自
転することなく旋回することができ、これによって、上
記圧縮空間２３…内の気体は圧縮されながら回り、この
固定スクロ−ル２１の外周部から中心部へ送られて順次
上記吐出口２１ａおよび吐出管２７から外部へと吐出さ
れる。

【００２９】このような構成によれば、従来、別ピ−ス
化していたキ−部と結合ピンを一体的に成形するように
したので、部品点数が少なくなると共にキ−部と結合ピ
ンの圧入クリアランス等の管理が不要になる。このこと
により、加工精度などの条件が緩和され、製造が容易に
なる効果がある。したがって、製造が容易であると共に
軽量で耐摩耗性に優れ、かつ騒音の少ないオルダムリン
グ２８を有するスクロ−ル圧縮機１０を得ることができ
る。なお、この発明は、上記一実施例に限定されるもの
ではなく、発明の要旨を変更しない範囲で種々変形可能
である。

【００３０】例えば、図２（ｂ）に示すように、上記ピ
ン３１の外周面に複数の突起３４…を設けるロ−レット
加工を施すようにしても良い。このような場合には、上
記ピン３１の外径は上記リング本体２９に形成されたピ
ン孔３３の内径より大きく形成される。そして、上記結
合ピン３１よりも上記リング本体２９の方が柔らかい材
質（アルミ）であるため、上記結合ピン３１は上記突起
３４…を上記ピン孔３３の内径面に食い込ませながら圧
入される。

【００３１】このことで、上記キ−部３０とリング本体
２９は、上記一実施例に比べてより強固に結合される。
また、この場合には、上記ピン孔３３の内径寸法は、上
記結合ピン３１の外周面に設けられた突起３４が食い込
むことにより最終的に仕上げられることとなる。このこ
とにより、上記ピン孔３３の仕上げ精度を厳しくする必
要がなくなるからオルダムリング２８の製造はより容易
になる。

【００３２】また、上記一実施例では、上記リング本体
２９の表面に凹陥部３２を設けたが、これに限定される
ものではなく、図３に示すように、凹陥溝を設けなくと
も良い。このような場合であっても、上記一実施例と同
様の効果を得ることができると共に、上記結合ピン３１
の表面にロ−レット加工を施すことで、上記凹陥部３２
がなくてもこのキ−部３０の回転は有効に防止される。

【００３３】また、上記一実施例では、上記オルダムリ
ング２８の両面にそれぞれキ−部３０…を設けていた
が、これに限定されるものではなく、例えば、上記リン
グ本体２９の一方の面のみに設けるようにしても良い。
この場合には、直接上記固定スクロ−ル２１に対応する
一対のキ−部３０と旋回スクロ−ル２２に対応する一対
のキ−３１とを互いに直交する状態で設けるようにすれ
ば良い。

【００３４】

【発明の効果】以上のべたように、この発明の第１の構
成は、固定スクロ−ルを固定したフレ−ムと上記固定ス
クロ−ルに対して圧縮空間を介して設けられた旋回スク
ロ−ルとを具備すると共に、環状のリング本体に結合ピ
ンで固定されたキ−部を有しかつこのキ−部を上記フレ
−ムあるいは固定スクロ−ルに設けられたキ−溝と上記
旋回スクロ−ルに設けられたキ−溝にそれぞれスライド
自在に係合させて上記旋回スクロ−ルの自転を規制する
オルダムリングを具備するスクロ−ル形圧縮機であっ
て、上記結合ピンは上記キ−部と一体的に成形されてな
るものである。第２の構成は、上記第１の構成におい
て、上記リング本体には、上記キ−部の基端部が嵌入さ
れる凹陥部が設けられているものである。このような構
成によれば、製造および組み立てが容易でかつ軽量で耐
摩耗性に優れたオルダムリングを有するスクロ−ル圧縮
機を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例を示す縦断面図。

【図２】（ａ）は同じく、オルダムリングの要部を示す
拡大縦断面図、（ｂ）は他の実施例のオルダムリングを
示す拡大縦断面図。

【図３】他の実施例を示す拡大縦断面図。

【図４】従来例のオルダムリングを示す斜視図

【図５】同じくキ−部の取り付けを示す拡大斜視図。

【図６】同じくキ−部の取り付けを示す拡大縦断面図。

【符号の説明】

１０…スクロ−ル形圧縮機、１１…密閉ケ−ス、１５…
フレ−ム、１５ａ…キ−溝、２１…固定スクロ−ル、２
２…旋回スクロ−ル、２２ａ…キ−溝、２８…オルダム
リング、２９…リング本体、３０…キ−部、３１…結合
ピン、３２…凹陥部、３４…突起。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 固定スクロ−ルを固定したフレ−ムと上
   記固定スクロ−ルに対して圧縮空間を介して設けられた
   旋回スクロ−ルとを具備すると共に、環状のリング本体
   に結合ピンで固定されたキ−部を有しかつこのキ−部を
   上記フレ−ムあるいは固定スクロ−ルに設けられたキ−
   溝と上記旋回スクロ−ルに設けられたキ−溝にそれぞれ
   スライド自在に係合させて上記旋回スクロ−ルの自転を
   規制するオルダムリングを具備するスクロ−ル形圧縮機
   であって、上記結合ピンは上記キ−部と一体的に成形さ
   れてなることを特徴とするスクロ−ル形圧縮機。
2. 【請求項２】 上記リング本体には、上記キ−部の基端
   部が嵌入される凹陥部が設けられていることを特徴とす
   る請求項１記載のスクロ−ル形圧縮機。