JPH0686507B2 - プロピレン系ブロツク共重合体の製法 - Google Patents

プロピレン系ブロツク共重合体の製法

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JPH0686507B2
JPH0686507B2 JP23934186A JP23934186A JPH0686507B2 JP H0686507 B2 JPH0686507 B2 JP H0686507B2 JP 23934186 A JP23934186 A JP 23934186A JP 23934186 A JP23934186 A JP 23934186A JP H0686507 B2 JPH0686507 B2 JP H0686507B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はプロピレン系ブロツク共重合体の製法に関す
る。
さらに詳しくは、本発明はヒートシール性、ヒートシー
ル付与性、透明性、耐ブロツキング性に優れ、炭化水素
可溶分が少なく、フイルム、とくに収縮フイルムの如き
包装用フイルム例えば食品包装用フイルム用途に適する
プロピレン系ブロツク共重合体の製法に関する。
[従来の技術] ポリプロピレンは優れた物理的性質を有しているところ
から広汎な用途に供されている。例えば包装用フイルム
分野においても広く使用されているが、この種の用途に
おいては低温度におけるヒートシール性を向上させるた
め、通常、エチレンを1ないし5重量%程度共重合さ
せ、プロピレン・エチレンランダム共重合体として提供
されているのが一般的である。前記のごとく改質された
ポリプロピレンフイルムは、同じく包装用フイルムとし
て用いられている低密度ポリエチレンフイルムに比較し
て透明性や耐スクラツチ性が良いという利点を持つが、
なお低温におけるヒートシール性が劣っている。ヒート
シール性を一層向上させるため、さらにエチレンの共重
合量を増加させる方法はあるが、この場合には利用価値
のない可溶性共重合体の生成割合が増え耐ブロツキング
性や透明性の悪化を伴ない、目的とする共重合体の収率
が低下する不利益がある。その上、スラリー重合におい
ては重合時のスラリー性状が悪化し、重合が困難な状態
に陥る場合さえある。
このような不利益を回避する目的で、慣用の三塩化チタ
ン系触媒を用い、プロピレンにエチレンと炭素数4以上
のα−オレフインを共重合させる方法が、特開昭49-354
87号、特開昭51-79195号、特開昭52-16588号などの各公
報に提案されている。これらの提案によれば、プロピレ
ンとエチレンの2元共重合を行う場合に比較して、溶媒
可溶性共重合体の生成割合は減少していると言えるが、
プロピレンの単独重合を行う場合に比較すると、なお溶
媒可溶性共重合体の生成割合が大きく、とくにエチレン
およびまたはC4以上のα−オレフインの共重合量が増す
につれ、その傾向も一層大きくなつてくる。
本発明者らは、上記提案における三塩化チタン系触媒に
比較して、プロピレン単独重合に際しては溶媒可溶性共
重合体の生成割合がほぼ同等である特定の固体状チタン
触媒成分、有機金属化合物触媒成分及び電子供与体触媒
成分から形成される担体触媒を、前記プロピレン、エチ
レンおよび炭素数4以上のα−オレフインの共重合に用
いると、前記提案における三塩化チタン系触媒を使用す
る場合に比べ、予想外にも、可溶性共重合体を一層減少
させることができ、且つ目的共重合体の収率、触媒効率
においても格段にすぐれた結果が得られることを知り、
特開昭54-26891号において提案した。この公報に具体的
に開示された触媒の使用によつて顕著な改善が認められ
たが、それでもエチレン含有率のかなり高い共重合体を
製造しようとする場合には、おかゆ状共重合体の生成に
よるスラリー性状悪化によつて重合の続行が困難となつ
たり、固体重合体が充分高い収率で得られないといつた
難点は残っていた。融点の低い共重合体を得るのにエチ
レン含有率を高めることができなければ、炭素数4以上
のα−オレフインの含有率を高めるしか方法はないが、
融点降下の効果は該α−オレフインの方が小さく、しか
も共重合の速度も遅いため、必要以上に該α−オレフイ
ンの含有率を高める方法は得策とは言えなかった。
さらに本発明者らは特開昭59-47210号公報においてヒー
トシール性の優れたフイルム用途に好適なプロピレン、
エチレン及び炭素数4以上のα−オレフインの共重合体
を、不都合な可溶性共重合体の副生を低下させつつ高収
量且つ高収率で得ることができる方法を提案した。しか
しながら、この方法で得られる共重合体はヒートシール
性、ヒートシール付与性、透明性、耐ブロツキング性が
必ずしも十分ではなく、炭化水素可溶分が充分満足でき
るほど少なくはなかつた。
以上述べた従来技術におけるプロピレン系共重合体はラ
ンダム共重合体によつて得られるものである。
一方、ランダム共重合体ではなくブロツク共重合によつ
て得られるα−オレフイン系共重合体も知られている。
特開昭58-162620号はα−オレフインのブロツク共重合
によつて得られるヒートシール性、透明性および耐ブロ
ツキング性に優れたα−オレフイン系ブロツク共重合体
を開示している。しかしながら、該オレフイン系ブロツ
ク共重合体は、特公昭57-24375号に開示されているポリ
オレフイン組成物に比肩しうるヒートシール性、耐ブロ
ツキング性および耐ヒートシール経時変化性を有してい
ない。
[当該発明が解決しようとする問題点] 従つて、本発明はヒートシール性、透明性および耐ブロ
ツキング性に優れ、炭化水素可溶分の少ないプロピレン
系ブロツク共重合体であつて、現在知られているプロピ
レン系ランダム共重合体組成物(ブレンド品)よりも優
れたヒートシール性、耐ブロツキング性、耐ヒートシー
ル経時変化性を有するプロピレン系ブロツク共重合体を
共重合体の損失をほとんどまたは全く伴うことなく、提
供することを目的とする。
[問題点を解決するための手段] 上記目的は、本発明に従い、 (A)マグネシウム、チタン、ハロゲン及び電子供与体
を必須成分として含有しかつ平均粒径が約5ないし約20
0μで粒度分布の幾何標準偏差値が2.1未満の高活性で高
立体規則性のチタン触媒成分、 (B)周期律表第1族ないし第3族金属の有機金属化合
物触媒成分及び (C)電子供与体触媒成分 から形成される触媒の存在下に、該チタン触媒成分
(A)1グラム当り1ないし2000gの範囲の炭素原子数
が2ないし10のα−オレフインを予備重合させて得られ
るα−オレフイン予備重合触媒の存在下に、 プロピレン、エチレンおよび炭素原子数が4ないし20
のα−オレフインを液状プロピレンを溶媒とする懸濁重
合工程[イ]において共重合させる工程、ついで 該懸濁重合工程で得られた重合反応混合物中の液状未
反応原料をフラツシユさせることにより気化させる工程
により、プロピレンに由来する繰り返し単位(a)が86
ないし97モル%、エチレンに由来する繰り返し単位
(b)が0.5ないし6モル%および炭素原子数が4ない
し20のα−オレフインに由来する繰り返し単位(c)が
2ないし13モル%の範囲にあり、モル比c/(b+c)が
0.3ないし0.9の範囲にあるプロピレン系ランダム共重合
体を生成させるフラツシユ工程(ロ)、さらに 該プロピレン系ランダム共重合体の存在下、および反
応系が気相を形成する条件下に、プロピレンおよび炭素
原子数が4ないし20のα−オレフインを共重合させるこ
とにより、プロピレンに由来する繰り返し単位(d)が
10ないし90モル%および炭素原子数が4ないし20のα−
オレフインに由来する繰り返し単位(e)が10ないし90
モル%の範囲にある低結晶性プロピレン系ランダム共重
合体を生成させる気相重合工程[ハ]、 を結合することを特徴とするプロピレン系ブロツク共重
合体の製法によつて前記目的が達成される。
以下本発明について詳細に説明する。
まず最初に本発明において使用する触媒について説明す
る。
本発明で用いられる高活性、高立体規則性固体状チタン
触媒成分(A)は、マグネシウム、チタン、ハロゲン及
び電子供与体を必須成分として含有するもので、マグネ
シウム/チタン(原子比)が1より大きく好ましくは2
ないし50、とくに好ましくは6ないし30、ハロゲン/チ
タン(原子比)が好ましくは4ないし100、とくに好ま
しくは6ないし40、電子供与体/チタン(モル比)が好
ましくは0.1ないし10、とくに好ましくは0.2ないし6の
範囲である。その比表面積は、好ましくは3m2/g以上、
一層好ましくは約40m2/g以上、さらに好ましくは100m2/
gないし800m2/gである。通常、常温におけるヘキサン洗
浄のような簡単な手段ではチタン化合物を脱離しない。
そして前記必須成分以外に他の元素、金属、官能基など
を含んでいてもよい。さらに有機又は無機の希釈剤で希
釈されていてもよい。
固体状チタン触媒成分(A)は、平均粒径が1ないし20
0μ、好ましくは3ないし100μ、とくに好ましくは6な
いし50μであつて粒度分布の幾何標準差が2.1未満、好
ましくは1.9以下、更に好ましくは1.7以下である。
ここにチタン触媒成分粒子の粒度分布の測定は光透過法
により行いうる。具体的にはデカリン等の不活性溶媒中
に0.01〜0.5%前後の濃度に触媒成分を希釈し、測定用
セルに入れ、セルに細光をあて、粒子のある沈降状態で
の液体を通過する光の強さを連続的に測定して粒度分布
を測定する。この粒度分布を基にして標準偏差σgは対
数正規分布関数から求められる。より具体的には平均粒
子径(θ50)と小さな粒径からみて16wt%となる粒子径
(θ16)の比(θ50/θ16)としてVgは求められる。な
お触媒の平均粒子径は重量平均径で示してある。
固体状チタン触媒成分(A)は、高立体規則性重合体を
高い触媒効率で製造しうる性能を有しており、例えば同
一条件下でプロピレンの単独重合を行った場合、アイソ
タクテイシテイ(沸騰n−ヘプタン不溶分)が92%以
上、とくに96%以上のポリプロピレンをTi1ミリモル当
り3,000g以上、とくに5,000g以上、更に好ましくは10,0
00g以上製造する能力を有している。そして好ましく
は、真球状、楕円球状、顆粒状の如き形状を呈してい
る。
このような諸要件を満足するチタン触媒成分を用いるこ
とにより、高いエチレン含有率の共重合体を操作性良
く、しかも高収率で製造することができる。
このような条件を全て満足するようなチタン触媒成分
(A)は、例えば平均粒子径及び粒度分布、さらに好ま
しくは形状が前述のような範囲にあるようなマグネシウ
ム化合物を形成した後、触媒調製を行う方法、或いは液
状のマグネシウム化合物と液状のチタン化合物を接触さ
せて、前記のような粒子性状となるように固体状触媒を
形成させる方法などによつて得ることができる。かかる
方法はそのほか、形状の揃った前述した担体にMg化合
物、Ti化合物及び電子供与体を担持するあるいは微粉末
状触媒を上述した好ましい形状に造粒する方法があげら
れる。例えば特開昭55-135102号、同55-135103号、同56
-811号、同56-67311号、特願昭56-181019号、同61-2110
9号などに開示されている。
これらの方法の数例を簡単に述べる。
(1)平均粒子径が5ないし200μ、粒度分布の幾何標
準偏差σgが2.1未満のマグネシウム化合物・電子供与
体錯体を、電子供与体及び/又は有機アルミニウム化合
物やハロゲン含有ケイ素化合物のような反応助剤で予備
処理し、又は予備処理せずに反応条件下に液相をなすハ
ロゲン化チタン化合物、好ましくは四塩化チタンと反応
させる。
(2)還元能を有しないマグネシウム化合物の液状物と
液状のチタン化合物を電子供与体の存在下で反応させ
て、平均粒子径が5ないし200μ、粒度分布の幾何標準
偏差σgが2.1未満の固体成分を析出させる。必要に応
じさらに液状のチタン化合物、好ましくは四塩化チタン
あるいはこれと電子供与体と反応させる。
とくに本発明においては、(1)の方法においてマグネ
シウム化合物、電子供与体錯体がその液状物から球状固
体として析出させたものを用いる場合、あるいは(2)
の方法での固体成分の析出を、球状の固体が析出するよ
うな条件で行ったものを用いる場合に良好な結果が得ら
れる。
チタン触媒成分の調製に用いられるマグネシウム化合物
としては、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、ハ
イドロタルサイト、マグネシウムのカルボン酸塩、アル
コキシマグネシウム、アリロキシマグネシウム、アルコ
キシマグネシウムハライド、アリロキシマグネシウムハ
ライド、マグネシウムジハライド、有機マグネシウム化
合物、有機マグネシウム化合物と電子供与体、ハロシラ
ン、アルコキシシラン、シラノール、アルミニウム化合
物などとの反応物などを例示することができる。上記チ
タン触媒成分の調製に用いられることのある有機アルミ
ニウム化合物としては、後記オレフイン重合に用いるこ
とのできる有機アルミニウム化合物の中から選ぶことが
できる。さらに、チタン触媒成分調製に用いられること
のあるハロゲン含有ケイ素化合物としては、テトラハロ
ゲン化ケイ素、アルコキシハロゲン化ケイ素、アルキル
ハロゲン化ケイ素、ハロポリシロキサンなどが例示でき
る。
チタン触媒成分の調製に用いられるチタン化合物の例と
しては、ハロゲン化チタン、アルコキシチタンハライ
ド、アリロキシチタンハライド、アルコキシチタン、ア
リロキシチタンなどが例示でき、とくにテトラハロゲン
化チタン、中でも四塩化チタンが好ましい。
チタン触媒成分の調製に用いることのできる電子供与体
としては、アルコール、フエノール類、ケトン、アルデ
ヒド、カルボン酸、有機酸又は無機酸のエステル、エー
テル、酸アミド、酸無水物のアルコキシシランの如き含
酸素電子供与体、アンモニア、アミン、ニトリル、イソ
シアネートの如き含窒素電子供与体などを用いることが
できる。
より具体的には、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、ドデ
カノール、オクタデシルアルコール、ベンジルアルコー
ル、フエニルエチルアルコール、クミルアルコール、イ
ソプロピルベンジルアルコールなどの炭素数1ないし18
のアルコール類;フエノール、クレゾール、キシレノー
ルエチルフエノール、プロピルフエノール、ノニルフエ
ノール、クミルフエノール、ナフトールなどの低級アル
キル基を有してよい炭素数6ないし20のフエノール類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、アセトフエノン、ベンゾフエノンなどの炭素数3な
いし15のケトン類;アセトアルデヒド、プロピオンアル
デヒド、オクチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、トル
アルデヒド、ナフトアルデヒドなどの炭素数2ないし15
のアルデヒド類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチ
ル、酪酸さんル、酢酸プロピル、酢酸オクチル、酢酸シ
クロヘキシル、プロピオン酸エチル、酢酸メチル、吉草
酸エチル、クロル酢酸メチル、ジクロル酢酸エチル、メ
タクリル酸メチル、クロトン酸エチル、シクロヘキサン
カルボン酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、
安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸オクチ
ル、安息香酸シクロヘキシル、安息香酸フエニル、安息
香酸ベンジル、トルイル酸メチル、トルイル酸エチル、
トルイル酸アミル、エチル安息香酸エチル、アニス酸メ
チル、アニス酸エチル、エトキシ安息香酸エチル、マロ
ン酸ジブチル、isoプロピルマロン酸ジエチル、n−ブ
チルマロン酸ジエチル、フエニルマロン酸ジエチル、2
−アリルマロン酸ジエチル、ジisoブチルマロン酸ジエ
チル、ジnブチルマロン酸ジエチル、コハク酸ジnブチ
ル、メチルコハク酸ジエチル、エチルコハク酸ジブチ
ル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、マレイ
ン酸モノオクチル、マレイン酸ジオクチル、ブチルマレ
イン酸ジブチル、ブチルマレイン酸ジエチル、フマル酸
ジisoオクチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジn
ブチル、シトラコン酸ジメチル、1,2−シクロヘキサン
ジカルボン酸ジエチル、1,2−シクロヘキサンジカルボ
ン酸ジ2−エチルヘキシル、フタル酸ジメチル、フタル
酸モノisoブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸エチル
nブチル、フタル酸ジnプロピル、フタル酸nブチル、
フタル酸isoブチル、フタル酸ジnヘプチル、フタル酸
ジ2エチルヘキシル、フタル酸ジnオクチル、フタル酸
ジネオペンチル、フタル酸ベンジルブチル、フタル酸ジ
フエニル、ナフタレンジカルボン酸ジiso−ブチル、セ
バシン酸ジ2−エチルヘキシル、γ−ブチロラクトン、
δ−バレロラクトン、クマリン、フタリド、炭酸エチレ
ンなどの炭素数2ないし30の有機酸エステル類;アセチ
ルクロリド、ベンゾイルクロリド、トルイル酸クロリ
ド、アニス酸クロリドなどの炭素数2ないし15の酸ハラ
イド類;メチルエーテル、エチルエーテル、イソプロピ
ルエーテル、ブチルエーテル、イソアミルエーテル、テ
トラヒドロフラン、アニソール、ジフエニルエーテルな
どの炭素数2ないし20のエーテル類;酢酸アミド、安息
香酸アミド、トルイル酸アミドなどの酸アミド類;メチ
ルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリブチル
アミン、ピペリジン、トリベンジルアミン、アニリン、
ピリジン、ピコリン、テトラメチルメチレンジアミン、
テトラメチルエチレンジアミンなどのアミン類;アセト
ニトリル、ベナゾニトリル、トルニトリルなどのニトリ
ル類;亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチルなどの
P−O−C結合を有する有機リン化合物;ケイ酸エチ
ル、ジフエニルジメトキシシランなどのアルコキシシラ
ン類;などを挙げることができる。これら電子供与体
は、2種以上用いることができる。
チタン触媒成分(A)に含有されることが望ましい電子
供与体は、有機酸又は無機酸のエステル、アルコキシ
(アリーロキシ)シラン化合物、エーテル、ケトン、第
三アミン、酸ハライド、酸無水物のような活性水素を有
しないものであり、とくに有機酸エステルやアルコキシ
(アリーロキシ)シラン化合物が好ましく、中でも芳香
族モノカルボン酸と炭素数1ないし8のアルコールとの
エステル、マロン酸、置換マロン酸、置換コハク酸、マ
レイン酸、置換マレイン酸、1,2−シクロヘキサンジカ
ルボン酸、フタル酸などのジカルボン酸と炭素数2以上
のアルコールとのエステルなどがとくに好ましい。勿論
これらの電子供与体は、必ずしもチタン触媒調製時に原
料として用いる必要はなく、他のこれらの電子供与体に
変換しうる化合物として使用し、触媒調製過程でこれら
電子供与体に変換させてよい。
前記例示の如き諸方法で得られるチタン触媒成分は、反
応終了後、液状の不活性炭化水素で充分に洗浄すること
によつて精製できる。この目的に使用される不活性液体
炭化水素としては、n−ペンタン、イソペンタン、n−
ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタ
ン、イソオクタン、n−デカン、n−ドデカン、灯油、
流動パラフインのような脂肪族炭化水素;シクロペンタ
ン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシ
クロヘキサンのような脂環族炭化水素;ベンゼン、トル
エン、キシレン、サイメンのような芳香族炭化水素;ク
ロルベンゼン、ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化
水素あるいはこれらの混合物などを例示できる。
本発明に用いられる(B)有機金属化合物触媒成分の好
適なものは有機アルミニウム化合物であつて、少なくと
も分子内に1個のAl−炭素結合を有する化合物が利用で
き、例えば、(i)一般式R1 mAl(OR2)nHpXq(ここでR1
およびR2は炭素原子通常1ないし15個、好ましくは1な
いし4個を含む炭化水素基で互いに同一でも異なっても
よい。Xはハロゲン、mは0<m≦3、nは0≦n<
3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であつて、し
かもm+n+p+q=3である)で表わされる有機アル
ミニウム化合物、(ii)一般式M1AlR1 4(ここでM1は、L
i、Na、Kであり、R1は前記と同じ)で表わされる第1
族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物などを挙げる
ことができる。
前記の(i)に属する有機アルミニウム化合物として
は、次のものを例示できる。一般式R1 mAl(OR2)3-m(こ
こでR1およびR2は前記と同じ。mは好ましくは1.5≦m
≦3の数である)。一般式R1 mAlX3-m(ここでR1は前記
と同じ。Xはハロゲン、mは好ましくは0<m<3であ
る)、一般式R1 mAlH3-m(ここでR1は前記と同じ。mは
好ましくは2≦m<3である)、一般式R1 mAl(OR2)nXq
(ここでR1およびR2は前記と同じ。Xはハロゲン、0<
m≦3、0≦n<3、0≦q<3で、m+n+q=3で
ある)で表わされるものなどを例示できる。
(i)に属するアルミニウム化合物において、より具体
的にはトリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウ
ムなどのトリアルキルアルミニウム、トリイソプレニル
アルミニウムのようなトリアルケニルアルミニウム、ジ
エチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウム
プトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシ
ド、エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアル
ミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウム
セスキアルコキシドのほかに、R1 2.5Al(OR2)0.5などで
表わされる平均組成を有する部分的にアルコキシ化され
たアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリ
ド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニ
ウムブロミドのようなジアルキルアルミニウムハライ
ド、エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミ
ニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロ
ミドのようなアルキルアルミニウムセスキハライド、エ
チルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジ
クロリド、ブチルアルミニウムジブロミドなどのような
アルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲ
ン化されたアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウ
ムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジア
ルキルアルミニウムヒドリド、エチルアルミニウムジヒ
ドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキ
ルアルミニウムジヒドリドなどの部分的に水素化された
アルキルアルミニウム、エチルアルミニウムエトキシク
ロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチル
アルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキ
シ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムであ
る。また(i)に類似する化合物として、酸素原子や窒
素原子を介して2以上のアルミニウムが結合した有機ア
ルミニウム化合物であってもよい。このような化合物と
して例えば(C2H5)2AlOAl(C2H5)2、(C4H9)2AlOAl(C
4H9)2などを例示できる。前記(ii)に属する化合物として
は、LiAl(C2H5)4、LiAl(C7H15)4などを例示できる。こ
れらの中では、とくにトリアルキルアルミニウム又はト
リアルキルアルミニウムとアルキルアルミニウムハライ
ド又はアルミニウムハライドとの混合物を用いるのが好
ましい。
触媒成分(C)として使用される電子供与体の例は、ア
ミン類、アミド類、エーテル類、ケトン類、ニトリル
類、ホスフイン類、スチビン類、アルシン類、ホスホル
アミド類、エステル類、チオエーテル類、チオエステル
類、酸無水物類、酸ハライド類、アルデヒド類、アルコ
レート類、アルコキシ(アリーロキシ)シラン類、有機
酸類および周期律表の第1族ないし第4族に属する金属
のアミド類および塩類などである。塩類は、有機酸との
触媒成分(B)として用いられる有機金属化合物との反
応によつてその場で形成させることもできる。
これらの具体例としては、例えばチタン触媒成分(A)
に含有される電子供与体として先に例示したものから選
ぶことができる。良好な結果は、有機酸エステル、アル
コキシ(アリーロキシ)シラン化合物、エーテル、ケト
ン、酸無水物、アミンなどを用いた場合に得られる。と
くにチタン触媒成分(A)中の電子供与体がモノカルボ
ン酸エステルである場合には、成分(C)としての電子
供与体は、芳香族カルボン酸のアルキルエステルである
ことが望ましい。
またチタン触媒成分(A)中の電子供与体が、先に好ま
しいものとして例示したジカルボン酸と炭素数2以上の
アルコールとのエステルである場合には、一般式RnSi(O
R1)4-n(式中、R、R1は炭化水素基、0≦n<4)で表
わされるアルコキシ(アリーロキシ)シラン化合物や立
体障害の大きいアミンを成分(C)として用いることが
好ましい。上記アルコキシ(アリーロキシ)シラン化合
物の具体例としては、トリメチルメトキシシラン、トリ
メチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジ
メチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシ
ラン、t−ブチルメチルジメメトキシシラン、t−ブチ
ルメチルジエトキシシラン、t−アミルメチルジエトキ
シシラン、ジフエニルジメトキシシラン、フエニルメチ
ルジメトキシシラン、ジフエニルジエトキシシラン、ビ
スo−トリルジメトキシシラン、ビスm−トリルジメト
キシシラン、ビスp−トリルジメトキシシラン、ビスp
−トリルジエトキシシラン、ビスエチルフエニルジメト
キシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シク
ロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメ
チルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エ
チルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、
メチルトリメトキシシラン、nプロピルトリエトキシシ
ラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシ
シラン、フエニルトリメトキシシラン、γ−クロルプロ
ピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、
エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラ
ン、t−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリエ
トキシシラン、iso−ブチルトリエトキシシラン、フエ
ニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエト
キシシラン、クロルトリエトキシシラン、エチルトリイ
ソプロプキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、シク
ロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエ
トキシシラン、2−ノルボルナントリメトキシシラン、
2−ノルボルナントリエトキシシラン、2−ノルボルナ
ンメチルジメトキシシラン、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチ
ル、トリメチルフエノキシシラン、メチルトリアリロキ
シ(allyloxy)シラン、ビニルトリス(β−メトキシエ
トキシシラン)、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチ
ルテトラエトキシジシロキサンなどであり、とりわけエ
チルトリエトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシ
ラン、t−ブチルトリエトキシシラン、ビニルトリエト
キシシラン、フエニルトリエトキシシラン、ビニルトリ
ブトキシシラン、ジフエニルジメトキシシラン、フエニ
ルメチルジメトキシシラン、ビスp−トリルジメトキシ
シラン、p−トリルメチルジメトキシシラン、ジシクロ
ヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメ
トキシシラン、2−ノネボルナントリエトキシシラン、
2−ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ジフエニル
ジエトキシシラン、ケイ酸エチルなどが好ましい。
また前記立体障害の大きいアミンとしては、2,2,6,6−
テトラメチルピペリジン、2,2,5,5−テトラメチルピロ
リジン、あるいはこれらの誘導体、テトラメチルメチレ
ンジアミンなどがとくに好適である。これらの化合物の
うちで触媒成分(C)として使用される電子供与体とし
ては、アルコキシ(アリーロキシ)シラン化合物が特に
好ましい。
本発明における予備重合にあたっては、上記触媒成分
(A)、上記有機金属化合物(B)以外に上記電子供与
体触媒成分(C)も共存する触媒系の使用が好ましく、
その際、該チタン触媒成分(A)のチタン1グラム原子
当り0.1ないし30モル、好ましくは0.5ないし10モル、よ
り好ましくは1ないし5モルの範囲の電子供与体触媒成
分(C)の使用が好適である。また予備重合は、不活性
炭化水素溶媒中で又は液状単量体を溶媒として、又は溶
媒を用いないで炭素数2ないし10のα−オレフインを予
備重合させるが、不活性炭化水素溶媒中でまたは液状単
量体中での予備重合が特に好ましい。
予備重合における重合量はチタン触媒成分1g当り1ない
し2000g、好ましくは3ないし1000g、より好ましくは10
ないし500gである。必要以上にこの予備重合量を上げる
ことは、ヒートシール性の改善を妨げるので好ましくな
い。
予備重合に用いられる不活性炭化水素溶媒としては、プ
ロパン、ブタン、n−ペンタン、イソ−ペンタン、n−
ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタ
ン、イソオクタン、n−デカン、n−ドデカン、灯油な
どの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロペ
ンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンのよう
な脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンのよ
うな芳香族炭化水素、メチレンクロリド、エチルクロリ
ド、エチレンクロリド、クロルベンゼンのようなハロゲ
ン化炭化水素などを例示することができ、中でも脂肪族
炭化水素、特に炭素数4ないし10の脂肪族炭化水素が好
ましい。
予備重合においては不活性溶媒または液状モノマーを使
用する場合、溶媒1当り、チタン触媒成分(A)をチ
タン原子に換算して0.001ないし500ミリモル、とくに0.
005ないし100ミリモルとするのが好ましく、また有機ア
ルミニウム化合物(B)をAl/Ti(原子比)が0.5ないし
1000、好ましくは1.0ないし200、さらに好ましくは2.0
ないし50となるような割合で用いるのが好ましい。
予備重合に利用されるα−オレフインとしては、エチレ
ン、プロピレン、1−ブデン、1−ペンテン、4−メチ
ル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘ
プテン1−オクテン、1−デセンなど炭素数10以下のも
のが好適であり、さらに炭素数3ないし6のものが好ま
しく、とくにプロピレンが好適である。これらα−オレ
フインは単独重合でもよく、又は結晶性重合体を製造す
る限りにおいては2種以上の共重合でもよい。
予備重合における重合温度は、使用するα−オレフイン
や不活性溶媒の種類によつても異なり一概に規定できな
いが、一般には−40ないし80℃、好ましくは−20ないし
40℃、より好ましくは−10ないし30℃程度である。例え
ばα−オレフインがプロピレンの場合には−40ないし70
℃、1−ブテンの場合は−40ないし40℃、4−メチル−
1−ペンテンや3−メチル−1−ペンテンの場合は−40
ないし70℃程度が適当である。予備重合においては水素
を共存させることができる。
本発明における懸濁重合工程[イ]では、上記α−オレ
フイン予備重合生成物を触媒としてプロピレン、エチレ
ンおよび炭素原子数が4ないし20のα−オレフインを共
重合させる。炭素原子数が4ないし20のα−オレフイン
としてはプロピレン、1−ブデン、1−ペンテン、1−
ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1
−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセ
ン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−オクタデセ
ンなどを例示することができる。これらの中では炭素数
4ないし10のα−オレフインが好ましく、炭素原子数が
4ないし6のα−オレフインがとくに好ましい。本発明
における懸濁重合工程においては、共重合の単量体と用
いるプロピレンを反応媒体として使用する。該懸濁重合
工程[イ]では、液相1当り、触媒成分(A)をチタ
ン原子に換算して約0.0001乃至約1ミリモル、触媒成分
(B)を該金属原子に換算して約0.001ないし約100ミリ
モルに、触媒成分(C)を約0.001ないし約100ミリモル
にそれぞれ選び、触媒成分(A)中のチタン原子1モル
に対し触媒成分(B)中の該金属原子が約1ないし約10
00モル、好ましくは約1ないし約300モルとなるように
するのがよい。触媒成分(C)の使用割合は、触媒成分
(B)の周期律表第1族ないし第3族の金属原子の総和
1原子当り、通常0.01ないし10モル、さらに好ましくは
0.1ないし5.0モル、とくに好ましくは0.2ないし2.0であ
る。
重合温度は室温から約90℃、好ましくは約50℃から約80
℃が採用できる。重合圧力は特に限定はないが、大気圧
から約50kg/cm2、好ましくは大気圧ないし40kg/cm2の範
囲が採用できる。
重合に際し、目的とする共重合体の分子量調節剤として
水素を使用することができる。
本発明におけるフラツシユ工程[ロ]では、上記懸濁重
合工程[イ]で得られた懸濁重合反応生成物から液状の
未反応原料、すなわち未反応のプロピレン、および炭素
原子数が4ないし20のα−オレフインをフラツシユさせ
ることにより除去する。該フラツシユ工程は20ないし20
0℃、好ましくは40ないし150℃、より好ましくは50ない
し100℃において1分ないし3時間、好ましくは5分な
いし2時間、より好ましくは10分ないし1時間行なう。
該フラツシユ工程は通常の方法で行なうことができる。
本発明の方法において懸濁重合工程[イ]についてフラ
ツシユ工程[ロ]によつて得られる結晶性プロピレン系
ランダム共重合体は、プロピレンに由来する繰り返し単
位(プロピレン成分)(a)が86ないし97モル%、好ま
しくは88ないし96モル%、より好ましくは89ないし95モ
ル%、エチレンに由来する繰り返し単位(エチレン成
分)(b)が0.5ないし6モル%、好ましくは1ないし
5モル%、より好ましくは1.5ないし4モル%および炭
素原子数が4ないし20のα−オレフインに由来する繰り
返し単位(α−オレフイン成分)(c)が2ないし13モ
ル%、好ましくは3ないし11モル%、より好ましくは4
ないし9モル%、とくに好ましくは4ないし7モル%の
範囲にあつて、モル比c/(b+c)が0.3ないし0.9、好
ましくは0.4ないし0.8、より好ましくは0.5ないし0.8の
範囲にある結晶性プロピレン系ランダム共重合体を生成
させる。このようなプロピレン系ランダム共重合体を生
成させるには、重合条件やα−オレフインの種類によつ
ても若干異なるが、懸濁重合工程[イ]において原料の
供給割合をプロピレン70ないし98モル%、好ましくは75
ないし95モル%、より好ましくは80ないし92モル%、エ
チレン0.1ないし5モル%、好ましくは0.2ないし4モル
%、より好ましくは0.3ないし3モル%、炭素原子数が
4ないし20のα−オレフイン4ないし40モル%、好まし
くは8ないし30モル%、より好ましくは12ないし25モル
%とすればよい。
本発明の方法において、該フラツシユ工程[イ]で得ら
れる該結晶性プロピレン系ランダム共重合体の135℃の
デカリン中で測定した極限粘度[η]は0.5ないし6dl/
g、好ましくは1ないし5dl/gの範囲にある。該結晶性プ
ロピレン系ランダム共重合体の極限粘度は該低結晶性プ
ロピレン系ランダ共重合体組成物を積層したポリプロピ
レン複合積層体のヒートシール層の厚みを薄くするこ
と、該複合積層体のヒートシール強度および熱処理によ
るヒートシール可能温度などから上記の範囲が好適であ
る。
該結晶性プロピレン系ランダム共重合体の示差走査型熱
量計によつて測定した融点[Tm]は115℃ないし145℃、
好ましくは120℃ないし140℃、より好ましくは120℃な
いし135℃の範囲である。該低結晶性プロピレン系ラン
ダム共重合体組成物を積層したポリプロピレン複合積層
体のヒートシール温度、ヒートシール強度、該ポリプロ
ピレン複合積層体のブロツキング、耐スクラツチ性、熱
処理によりヒートシール可能温度などから、該DSC融点
は上記範囲が好適である。ここで、DSC融点は、成形20
時間経過後の厚さ0.1mmのプレスシートを10℃/minの昇
温速度で0〜200℃まで測定し、最大吸熱ピークをTmと
した。
該結晶性プロピレン系ランダム共重合体のX線回折法に
よつて測定した結晶化度は30ないし60%、好ましくは35
ないし55%の範囲にある。該結晶性プロピレン系ランダ
ム共重合体の結晶化度は、該低結晶性プロピレン系ラン
ダム共重合体組成物を積層したポリプロピレン複合積層
体のヒートシール温度、ヒートシール強度、該ポリプロ
プレン複合積層体のブロツキング性、耐スクラツチ性、
熱処理によるヒートシール温度などから上記範囲が好適
である。結晶化度は180℃、10分次いで25℃10分のプレ
スにより成形した厚さ1.5mmのプレスシートのX線回折
測定より求めた。
該結晶性プロピレン系ランダム共重合体[I]の25℃に
おけるn−デカンへの可溶分量[W1重量%]は、該共重
合体の融点Tmとの関係において、一般式 0.03(165−Tm)≦W1≦0.20(165−Tm) 好ましくは一般式 0.03(165−Tm)≦W1≦0.15(165−Tm) (ここで、Tmは該共重合体の前記融点の数値であつて、
デメンジヨンを除いた値を示す)。該n−デカン可溶分
量が上記範囲より多くなると、該低結晶性プロピレン系
ランダム共重合体組成物を積層したポリプロプレン複合
積層成形体の耐ブロツキング性が低下するようになる。
ここで、該結晶性プロピレン系ランダム共重合体の25℃
におけるn−デカン溶媒への可溶分量は次の方法によつ
て測定決定される。すなわち攪拌羽根付1のフラスコ
に5gの共重合体試料、0.3gの2,6−ジtert−ジメチル−
4−メチルフエノールおよび500mlのn−デカンを入
れ、140℃の油浴上で溶解させる。溶解後約3時間室温
下で自然放令した後、25℃の水浴上で12時間冷却する。
析出した共重合体と溶解ポリマーを含むn−デカン溶液
をG−4のグラスフイルターで過分離し、液を10mm
Hgで150℃で恒量になるまで乾燥し、n−デカンに溶解
していたポリマーを採取する。その重量を測定し、25℃
のn−デカン溶媒への共重合体の可溶分量を試料共重合
体の重量に対する百分率として算出決定した。
本発明における気相重合工程[ハ]では、上記フラツシ
ユ工程[ロ]で得られたプロピレン系ランダム共重合
体、好ましくは粉末状のプロピレン系ランダム共重合体
の存在下でプロピレンおよび炭素原子数が4ないし10の
α−オレフインが気相を形成する条件下にプロピレンお
よび該α−オレフインを共重合させる。α−オレフイン
を予備重合した前記触媒のチタン触媒成分(A)1グラ
ム当り100ないし100,000g、好ましくは500ないし50,000
g、より好ましくは1,000ないし10,000gのプロピレンお
よび炭素原子数が4ないし10のα−オレフインの気相混
合物を共重合させる。該気相重合工程において単量体を
気相で共重合させることが必要である。その理由は次の
とおりである。
炭化水素溶媒を使用する重合ではプロピレン・α−オレ
フインランダム共重合体が容易に炭化水素溶媒中に溶出
してしまい、得られるプロピレン系ブロツク共重合体の
ヒートシール性、ヒートシール付与性を十分に高めるこ
とが出来ないばかりか、炭化水素溶媒の粘度も上昇して
安定した重合操作を行なうことが困難となる。
炭素原子数が4ないし20のα−オレフインとしては、1
−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−
1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセ
ン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−オクタデセ
ンなど炭素数18以下のものが好適であり、炭素数4など
8のものがとくに好適である。共重合は、その量を予備
重合量の通常100倍以上、好ましくは500倍以上、一層好
ましくは1000倍以上となるように行われる。
本気相重合工程においてはプロピレンに由来する繰り返
し単位(プロピレン成分)(d)が10ないし90モル%、
好ましくは30ないし85モル%、より好ましくは50ないし
80モル%、該α−オレフインに由来する繰り返し単位
(α−オレフイン成分)(e)が10ないし90モル%、好
ましくは15ないし70モル%、より好ましくは20ないし50
モル%の範囲にあるプロピレン・α−オレフインランダ
ム共重合体を生成させる。これらプロピレン・α−オレ
フインランダム共重合体の全体のポリマーに対し占める
割合は、5ないし40重量%、好ましくは8乃至30重量
%、さらに好ましくは12ないし25重量%である。
ここで、前段階の気相重合工程[イ]ではプロピレン・
エチレン・ブテン−1ランダム共重合を、一方後段階の
気相重合工程[ロ]ではプロピレン・ブテン−1ランダ
ム共重合を行なった場合、例えば、後段階の気相重合工
程[ロ]で生成するプロピレン・ブテン−1共重合体中
のブテン−1含量[モル%]は次の様にして求められ
る。即ち、後段階の気相重合工程[ロ]へ入る前の共重
合体組成をエチレンaモル%、プロピレンbモル%、ブ
テン−1cモル%および後段階の気相重合工程[ロ]を出
た後の共重合体組成中のブテン−1含量をdモル%、さ
らに後段階の気相重合工程[ロ]での重合割合をw重量
%とした場合、後段階の気相重合工程[ロ]で生成した
プロピレン・ブテン−1共重合体中のブテン−1含量
[モル%]は で表わされる。
重合温度は単量体が気相にある条件で20ないし150℃、
好ましくは30ないし100℃、より好ましくは40ないし80
℃で行なう。重合圧力は使用温度で単量体が気相である
限り特に限定はないが、2ないし50kg/cm2、好ましくは
3ないし40kg/cm2、より好ましくは4ないし30kg/cm2
ある。
なお本発明の方法の気相重合工程においては、プロピレ
ンやα−オレフイン等の単量体の一部が液化するような
重合条件を除外するものではない。
この様にして得られたプロピレン系ブロツク共重合体の
全体の組成はプロピレンに由来する繰り返し単位(f)
が通常は75ないし96モル%、好ましくは80ないし94モル
%、特に好ましくは84ないし92モル%、エチレンに由来
する繰り返し単位(g)が通常は0.3ないし5モル%、
好ましくは0.7ないし4.5モル%、特に好ましくは1ない
し4モル%および炭素原子数が4ないし20のα−オレフ
インに由来する繰り返し単位(h)が通常は4ないし20
モル%、好ましくは5ないし15モル%、特に好ましくは
7ないし12モル%の範囲にある。また、本発明の方法に
よつて得られるプロピレン系ブロツク共重合体の135℃
のデカリン中で測定した極限粘度[η]は通常は0.5な
いし6dl/g、好ましくは1ないし5dl/gの範囲にある。
本発明の方法によつて得られるプロピレン系ブロツク共
重合体のX線回折法によつて測定した結晶化度は通常は
25ないし60%、好ましくは30ないし55%、より好ましく
は35ないし50%の範囲にある。この特性値は引張特性に
優れることを示す尺度であり、他の特性値と結合するこ
とにより前述の優れた性質のランダム共重合体の提供に
役立つている。結晶化度は成形後20時間経過後の厚さ1.
5mmのプレスシートのX線回折測定により求めた。
本発明の方法によつて得られるプロピレン系ブロツク共
重合体において、25℃におけるp−キシレン溶媒への可
溶分量は通常は30重量%以下であり、好ましくは25重量
%以下である。また、50℃におけるn−ヘキサン溶媒へ
の抽出分量は通常は10重量%以下であり、好ましくは8
重量%以下、より好ましくは6重量%以下である。
本発明の方法によつて得られるプロピレン系ブロツク共
重合体において、25℃のp−キシレン溶媒中への共重合
体組成物の可溶分量は次の方法によつて測定決定され
る。すなわち、攪拌羽根および還流冷却管を備えた2lの
フラスコに5gの共重合体試料および1のp−キシレン
を加えp−キシレン還流下少なくとも2時間保持し、試
料をp−キシレンに溶解させる。その後空冷下50℃に内
容物を冷却した後、容器を冷水浴に入れて、25−30℃ま
で急冷する。容器を25℃に保った恒温槽に移し、この状
態に2時間保つ。析出した共重合体と溶解ポリマーを含
むp−キシレンの懸濁液をG−4のグラスフイルターで
過分離し液を約10mmHgの減圧下150℃で恒量になる
迄乾燥し25℃のp−キシレンに溶解していたポリマーを
採取する。その重量を測定し、25℃のp−キシレン溶媒
中への共重合体の可溶分量を試料共重合体の重量に対す
る百分率として算出決定する。
本発明の方法によつて得られるプロピレン系ブロツク共
重合体において50℃のn−ヘキサン溶媒中への共重合体
組成物の抽出分量は次の方法によつて測定決定される。
すなわち攪拌羽根および還流冷却管を備えた2lのフラス
コに共重合体試料および1のn−ヘキサンを加え内容
物を50℃に加熱し同温度に2時間保つ。ついで、この懸
濁液をあたたかいうちにG−4のグラスフイルターで
過分離した後、液を約10mmHgの減圧下150℃で恒量に
なる迄乾燥し、50℃のn−ヘキサンに抽出されたポリマ
ーを採取する。その重量を測定し、50℃n−ヘキサン溶
媒中への共重合体の抽出分量を試料共重合体の重量に対
する百分率として算出決定する。
本発明によれば、本質的にポリプロピレンに類似した物
性を有し、ポリプロプレン低融点の共重合体を高収量、
高収率で且つ低減された可溶性共重合体副性量をもつて
得ることができる。また、懸濁重合工程においても何ら
支障なく重合を行うことができる。さらにチタン当りの
共重合体収量が大きいため、重合後の触媒除去操作を省
略することができる。
本発明によつて得られる共重合体はヒートシール性、ヒ
ートシール付与性、透明性、耐ブロツキング性に優れ、
炭化水素可溶分が少ないことから、フイルム、とくに収
縮フイルムの如き包装用フイルム例えば食品包装用フイ
ルム用途に好適である。勿論中空ビンなどの用途にも好
適である。
本発明のプロピレン系ブロツク共重合体は、結晶性ポリ
プロピレンからなる基材表面の片面もしくは両面に積層
することによりポリプロピレン複合積層体が形成され
る。基材層となる結晶性ポリプロピレンは、結晶性のプ
ロピレン単独重合体の他に、プロピレン成分を主成分と
する結晶性のプロピレン・α−オレフインランダム共重
合体、たとえばエチレン含有率が0.1ないし5モル%の
プロピレン・エチレンランダム共重合体、エチレン含有
率が0.1ないし4モル%及び1−ブテン含有率が0.1ない
し5モル%のプロピレン・エチレン・1−ブテンランダ
ム共重合体、1−ブテン含有率が0.1ないし5モル%の
プロピレン・1−ブテンランダム共重合体などを例示す
ることができる。該結晶性ポリプロピレンの135℃のデ
カリン中で測定した極限粘度[η]は通常は1.5ないし4
dl/g、好ましくは1.7ないし3.5dl/gの範囲にあり、その
X線回折法により測定された結晶化度は通常は50ないし
70%、好ましくは55ないし70%の範囲である。該結晶性
プロピレンからなる基材層は無延伸状態であつても、一
軸もしくは二軸に延伸された状態にあつてもよい。
該ポリプロピレン複合積層体においてヒートシール層を
形成する該プロピレン系ブロツク共重合体組成物には、
前記重合体成分の他に耐熱安定剤、耐候安定剤、核剤、
滑剤、スリツプ剤、帯電防止剤、アンチブロツキング
剤、防曇剤、顔料、染料等を配合しても差しつかえな
い。その配合割合はポリプロピレン複合積層体の低温ヒ
ートシール性及びヒートシール強度を損なわない範囲で
適宜である。
本発明のプロピレン系ブロツク共重合体を前記結晶性ポ
リプロピレンからなる基材層の片面もしくは両面に積層
させ、ポリプロピレン複合積層体を製造する方法として
たとえば次の方法を例示することができる。
(1)結晶性ポリプロピレンからなる基材と該プロピレ
ン系ブロツク共重合体とを共押出しすることによつて積
層させ、必要に応じてさらに縦軸延伸及び/又は横軸延
伸を別々にあるいは同時に施す方法。
(2)無延伸、一軸延伸あるいは二軸延伸された結晶性
ポリプロピレン基材の表面上に該プロピレン系ブロツク
共重合体を溶融状態で押出して積層させ、基材が無延伸
状態である場合にはさらに必要に応じて一軸延伸あるい
は二軸延伸を施す方法。また、基材が一軸延伸状態であ
る場合には、同様に押出して積層させた後に、必要に応
じて基材と同方法又は交差方向にさらに延伸を施す方
法。
(3)結晶性ポリプロピレンからなる基材の表面上に該
プロピレン系ブロツク共重合体のフイルムを接着剤によ
つて積層させる方法。
本発明のプロピレン系ブロツク共重合体を結晶性プロピ
レンからなる基材の片面もしくは両面に積層させること
によつて形成されるポリプロピレン複合積層体の形状は
いかなるものであつてもよく、積層フイルム、積層シー
ト、積層包装袋、積層容器、その他のヒートシール性を
付与する成形体などを例示することができる。
該プロピレン複合積層体を構成する結晶性ポリプロピレ
ンからなる基材層は、前述の積層方法の例示から明らか
なように、無延伸状態、一軸に延伸された状態又は二軸
に延伸された状態のいずれであつてもよく、また該プロ
ピレン系ブロツク共重合体からなる層も同様に無延伸状
態、一軸に延伸された状態又は二軸に延伸された状態の
いずれであつてもよい。また、該ポリプロピレン複合積
層体の結晶体ポリプロピレンからなる基材層とプロピレ
ン系ブロツク共重合体からなる層とは前記状態のいずれ
の組合わせから構成されていてもよい。
該ポリプロピレン複合積層体を構成する結晶性ポリプロ
ピレンからなる基材層の厚さは任意であり、特に限定さ
れないが、該プロピレン系ブロツク共重合体からなるヒ
ートシール層の厚さは一般に0.1ないし50μ、好ましく
は0.5ないし30μの範囲である。該ポリプロピレン複合
積層体が複合積層フイルム又は複合積層シートである場
合には、結晶性ポリプロピレンからなる基材層の厚さは
5ないし200μ、好ましくは10ないし70μの範囲にあ
り、該プロピレン系ブロツク共重合体からなるヒートシ
ール層の厚さは通常0.1ないし50μ、好ましくは0.5ない
し30μの範囲である。
以下実施例によつて本発明を具体的に説明する。[フイ
ルムの耐ブロツキング性及び完全ヒートシール温度の測
定] 得られた共重合体について、そのフイルムの耐ブロツキ
ング性及び完全ヒートシール温度を求める方法を以下に
記す。
フイルムの作成 プレス板上に厚さ0.1mmのアルミ製のシート、ポリエス
テル製シート(東レ株式会社製、商品名ルミラー)及び
中央を15cm×15cm角に切り取つた厚さ50μのポリイミド
樹脂(デユポン製、商品名カプトン)シートをこの順に
敷き、この中央(切り抜かれた部分)に0.8gの試料を置
く。次いでルミラー 、アルミ製の板、プレス板をこの
順に更に重ねる(図1参照)。
上記プレス板ではさまれた試料を200℃のホツトプレス
の中に入れ、約5分間の予熱を行なった後試料内の気泡
を取り除くために、加圧(20kg/cm2G)脱圧操作を3回
繰り返す。次いで最後に150kg/cm2Gに昇圧し、5分間
加圧加熱する。脱圧後プレス板をプレス機から取り出
し、30℃に圧着部が保たれた別のプレス機に移し、100k
g/cm2で4分間加圧冷却を行なった後、脱圧し、試料を
取り出す。得られたフイルムのうち均一な50〜70μmの
厚さとなつたフイルムを以下の測定用フイルムとして使
用する。
耐ブロツキング試験 6×10cmに切り取ったフイルムを二枚重ね合わせこれを
均一な厚みを持つ二枚の紙ではさんだ後約5mm厚さのガ
ラス板で更にはさみ7kgの荷重下60℃の恒温槽の中に2
日間置く(エージング)。フイルムを恒温槽から取り出
して、室温に冷却した後この二枚重のフイルムの片方の
端を一部はがしここにテフロン棒を挿入した後、はがし
たフイルムの端をクリツプでとめ、引張り試験機の上部
チヤツクに固定する。同時にテフロン棒を下部チヤツク
に固定金具を介し固定する(図2参照)。上部チヤツク
を10cm/分の速度で引き上げることにより固定されたテ
フロン 棒を介し二枚のフイルムがはく離してゆく際の
応力を引張り試験機を用いて測定する。得られた応力の
値を使用したフイルムの巾(6cm)で割ることにより、
耐ブロツキング性の尺度であるフイルムのブロツキング
値(g/cm)を求める。
ヒートシール強度の測定 前述した方法で作成したフイルムを50℃の恒温槽中に2
日間置く(エージング)。エージングに当ってはフイル
ム同士が触れ合わないように、フイルム両面に紙を添え
ておく。
上記エージングを施こしたフイルムを15mm巾のたんざく
に切りその二枚を重ねあわせて更にこれを0.1mmの厚み
の2米のテフロンフイルムではさんだ上でヒートシール
を行なう。ヒートシールはヒートシーラー熱板の下部温
度を70℃に一定保ち、熱板上部の温度のみを適宜5℃き
ざみで変えて行なう。ヒートシール時の圧力は2kg/c
m2、ヒートシール時間は1秒としシール幅は5mm(従つ
てシール面積は15mm×5mm)である。
ヒートシール強度は上記核ヒートシール温度でヒートシ
ールを施こしたフイルムのはくり強度を30cm/分の引っ
張り速度で引っ張り試験を行なうことにより求める(図
3参照)。
上記した方法で5℃きざみの各ヒートシール温度でのは
く離強度を求め、ヒートシール温度対はく離強度のプロ
ツトを曲線で結ぶ。この曲線を基に800g/15cmのはく離
強度となるヒートシール温度を完全ヒートシール温度と
する(図4参照)。
実施例1 [チタン触媒成分(A)の調製] 無水塩化マグネシウム714g、デカン3.72および2−エチ
ルヘキシルアルコール3.5lを130℃で2時間加熱反応を
行い均一溶液とした後、この溶液中に無水フタル酸167g
を添加し、130℃にて更に1時間攪拌混合を行い、無水
フタル酸を該均一溶液に溶解させる。この様にして得ら
れた均一溶液を室温に冷却した後、−20℃に保持された
四塩化チタン中に1時間に亘って全量滴下装入する。装
入終了後、この混合液の温度を4時間かけて110℃に昇
温し、110℃に達したところでジイソブチルフタレート
0.4lを添加し、これより2時間同温度にて攪拌下保持す
る。2時間の反応終了後熱過にて固体部を採取し、こ
の固体部を28lのTiCl4にて再懸濁させた後、再び110℃
で2時間、加熱反応を行う。反応終了後、再び熱過に
て固体部を採取し、110℃デカン及びヘキサンにて、洗
液中に遊離のチタン化合物が検出されなくなる迄充分洗
浄する。以上の製造方法にて合成されたチタン触媒成分
をドライヤーにて乾燥した。この様にして得られたチタ
ン触媒成分の組成はチタン2.3重量%、塩素58.0重量
%、マグネシウム18.0重量%およびジイソブチルフタレ
ート14.0重量%であつた。
又チタン触媒成分は平均粒度18μで粒度分布の幾何標準
偏差(σg)が1.2の顆粒状触媒であつた。
[予備重合] 窒素雰囲気中2lの攪拌機付ガラス製反応器にヘキサン1
、トリエチルアルミニウム5ミリモル、ジフエニルメ
トキシシラン1ミリモル及び前記チタン触媒成分をチタ
ン原子換算で0.5ミリモル添加した後、プロピレンを11.
1Nl/Hrの速度で上記混合液中に5時間フイードした。こ
の間の温度は20℃に保った。プロピレンフイード開始後
5時間してプロピレンのフイードを止め、代って窒素を
フイードし、反応器内を窒素置換した。攪拌を止め静置
後上澄液を除去し新たに精製ヘキサンを1加えた。こ
の洗浄操作を3回くり返した後、再度ヘキサンにリスラ
リーし、保存用触媒ビンに移液した。予備重合量は98g
−PP/g−触媒であつた。
(重合) プロピレン7.5kg、1−ブテン2.3kg、エチレン38Nl及び
水素25Nlを内容積50lのプロピレン置換を施こしたオー
トクレーブ中に添加した。ついで50℃に昇温し、トリエ
チルアルミニウム25ミリモル、ジフエニルジメトキシシ
ラン25ミリモル及び前記予備重合を施こしたチタン触媒
成分をチタン原子換算で0.15ミリモル添加し、60℃で15
分間の重合を行なった。[イ]懸濁重合工程)。ついで
50℃の温度に保ちながらオートクレーブの内圧が0.1kg/
cm2Gとなる迄脱圧しオートクレーブ内のオレフイン類を
除去した。([ロ]フラツシユ工程)その後、水素5Nl
を添加し更にプロピレン/ブテン−1のモル比が30/70
である混合ガスをオートクレーブ内圧が5.5kg/cm2Gとな
る迄フイードし、気相重合を開始した。
重合中は、温度を50℃に保持し、また圧力は5.5kg/cm2G
となるように、該プロピレン/1−ブテン混合ガスを補給
した。([ハ]気相重合工程)90分の重合の後、メタノ
ールを5ml添加して重合を止め脱圧後、生成したポリマ
ーを回収し一晩60℃で300mmHgの減圧下に乾燥を行なっ
た。得られた白色粉末状重合体の収量は3.2kgであり、
見掛け嵩比重は0.34g/ml、エチレン含量は2.3モル%、
1−ブテン含量は9.7モル%、MFRは5.6dg/分、n−デカ
ン可溶部量は19.3重量%、25℃でのキシレン可溶部量は
24.3重量%、50℃n−ヘキサン抽出量は4.8重量%であ
つた。また前述した方法で作成したフイルムについての
ブロツキング性は16g/cm、完全ヒートシール温度は113
℃であつた。
一方、各段の解析によると、[ロ]フラツシユ工程後の
共重合体のエチレン含量は2.8モル%、ブテン−1含量
は5.8モル%であり従つて、1−ブテン/(1−ブテン
+エチレン)のモル比は0.67であつた。また、[ハ]気
相重合工程での重合割合は23重量%であつた。従つて
[ハ]気相重合工程で生成した共重合体中の1−ブテン
含量は24モル%であつた。
実施例−2 重合時の条件を表1に示した条件に変えた以外は実施例
−1の方法に従い重合を行なつた。結果を表1に示し
た。
実施例−3,4,5 実施例1において電子供与体として用いたジフエニルジ
メトキシシランを表1に記載の化合物に代え、表1の条
件に従つて重合を行なった。結果を表−2に示した。
実施例−6 [チタン触媒成分(A)の調製] 内容積2lの高速攪拌装置(特殊機化工業製)を十分N2
換したのち、精製灯油700ml、市販MgCl210g、エタノー
ル24.2gおよび商品名エマゾール320(花王アトラス社
製、ソルビタンジステアレート)3gを入れ、系を攪拌下
に昇温し、120℃にて800rpmで30分攪拌した。高速攪拌
下、内径5mmのテフロン製チユーブを用いて、あらかじ
め−10℃に冷却された精製灯油1を張り込んである2l
ガラスフラスコ(攪拌機付)に移液した。生成固体を
過により採取し、ヘキサンで十分洗浄したのち担体を得
た。
該担体7.5gを室温で150mlの四塩化チタン中に懸濁させ
た後、フタル酸ジnオクチル4.5mlを添加し、120℃に2
時間攪拌混合後、固体部を過により採取し、再び150m
lの四塩化チタンに懸濁させ、再度130℃2時間の攪拌混
合を行った。該反応物より反応固体物を過にて採取
し、十分な量の精製ヘキサンにて洗浄する事により固体
触媒成分[A]を得た。該触媒の粒径は64μmであり幾
何標準偏差値は1.4であつた。
[予備重合] 実施例1と同様な方法で実施した。
予備重合は89・pp/g−触媒であつた。
[重合] 重合は表1に示す条件で行なつた。
結果を表1に示した。
[発明の効果] 本発明によれば、現在知られているプロピレン系ブロツ
ク共重合体と較べて、ヒートシール性、ヒートシール付
与性、透明性、耐ブロツキング性に優れ、炭化水素可溶
分がより少ないプロピレン系ブロツク共重合体が得られ
る。
また、本発明のプロピレン系ブロツク共重合体は、現在
知られているポリオレフイン組成物に比肩しうるヒート
シール性、耐ブロツキング性および耐ヒートシール経時
化性を有している。
上述のように本発明のプロピレン系ブロツク共重合体
は、他の(共)重合体とともに組成物としなくても、現
在知られているポリオレフイン組成物よりも優れたヒー
トシール性、耐ブロツキング性、耐ヒートシール経時変
化性を有するため、組成物とする必要がなく、製造コス
トをより低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は試験に用いたフイルム調製法の該略断面図を示
し、第2図はフイルムのブロツキング値の測定法の該略
断面図を示し、第3図はヒートシール強度の測定法の概
略図を示し、第4図はヒートシール温度とはくり強度と
の関係図を示す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)マグネシウム、チタン、ハロゲン及
    び電子供与体を必須成分として含有しかつ平均粒径が約
    5ないし約200μで粒度分布の幾何標準偏差値が2.1未満
    の高活性で高立体規則性のチタン触媒成分、 (B)周期律表第1族ないし第3族金属の有機金属化合
    物触媒成分及び (C)電子供与体触媒成分 から形成される触媒の存在下に、該チタン触媒成分
    (A)1グラム当り1ないし2000gの範囲の炭素原子数
    が2ないし10のα−オレフインを予備重合させて得られ
    るα−オレフイン予備重合触媒の存在下に プロピレン、エチレンおよび炭素原子数が4ないし20
    のα−オレフインを液状プロピレンを溶媒とする懸濁重
    合工程[イ]において共重合させる工程、ついで 該懸濁重合工程で得られた重合反応混合物中の液状未
    反応原料をフラツシユさせることにより気化させる工程
    により、プロピレンに由来する繰り返し単位(a)が86
    ないし97モル%、エチレンに由来する繰り返し単位
    (b)が0.5ないし6モル%および炭素原子数が4ない
    し20のα−オレフインに由来する繰り返し単位(c)が
    2ないし13モル%の範囲にあり、モル比c/(b+c)が
    0.3ないし0.9の範囲にあるプロピレン系ランダム共重合
    体[I]を生成させるフラツシユ工程(ロ)、さらに 該プロピレン系ランダム共重合体[I]の存在下、お
    よび反応系が気相を形成する条件下に、プロピレンおよ
    び炭素原子数が4ないし20のα−オレフインを共重合さ
    せることにより、プロピレンに由来する繰り返し単位
    (d)が10ないし90モル%および炭素原子数が4ないし
    20のα−オレフインに由来する繰り返し単位(e)が10
    ないし90モル%の範囲にある低結晶性プロピレン系ラン
    ダム共重合体[II]を生成させる気相重合工程[ハ]、 を結合することを特徴とするプロピレン系ブロツク共重
    合体の製法。
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