JPH0681926B2 - 内燃機関用ノツキング制御装置 - Google Patents

内燃機関用ノツキング制御装置

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JPH0681926B2
JPH0681926B2 JP61137152A JP13715286A JPH0681926B2 JP H0681926 B2 JPH0681926 B2 JP H0681926B2 JP 61137152 A JP61137152 A JP 61137152A JP 13715286 A JP13715286 A JP 13715286A JP H0681926 B2 JPH0681926 B2 JP H0681926B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はエンジンに発生するノッキング(以下ノックと
記す)の発生状態を検出し、点火時期あるいは空燃比、
吸気圧力等のノック制御要因を制御するノッキング制御
装置(以下、ノックコントロールシステムと記す)に関
するものである。
〔従来の技術〕
一般に、ノックコントロールシステムとは、ノックによ
って発生するエンジン本体の振動をノックセンサにより
検出し、この検出結果に応じて、点火時期を進角・遅角
させることにより、点火時期を常にノック限界付近に制
御し、エンジンの出力、燃費を向上させるものである。
このようなノックコントロールシステムにおいては、例
えば特開昭58−7538号公報に示されるように、ノックセ
ンサからいかに精度良くノックを検出するかが非常に重
要である。
現在、量産化されているノックコントロールシステムに
おいては、コスト、信頼性の面から主としてエンジン本
体の振動を検出するタイプのノックセンサが用いられて
いる。このようなタイプのノックセンサは、エンジンの
機械振動ノイズの影響を受けるため、振動ノイズが大き
くなる高速回転域でSN比が悪化し、従って高速ノックの
検出が非常にすずかしくなる。
さらに、ノックセンサの製作公差およびその経時変化等
によりセンサ出力特性が変化するとともに、エンジンの
個体差およびその経時変化等によりエンジンの振動伝達
特性が変化し、その結果センサ出力が大きくばらついて
しまう。
従って、エンジンあるいはセンサのばらつき及びそれら
の経時変化を考慮すると、高速ノックを検出することは
困難であり、実質的に高速域でノックコントロールカッ
トしているのが現状である。
また低中速域では、エンジンに損傷を与えるような非常
に大きなノックは検出できても、上に述べたようなばら
つき及び経時変化により制御時のノック音が大きくばら
つくため、運転者に不快感を与えるような大きなノック
音が発生する場合もしばしばあった。
上記問題を解決するために、たとえば筒内圧センサ、燃
焼光センサ等の高SN比を目指したセンサが、実験室レベ
ルで検討されていることは周知の事実である。このよう
なセンサは現在では非常にコストが高くつき、信頼性的
にまだ多くの問題を残しているのも事実である。しか
し、仮にコスト、信頼性の問題が解決されたとしても、
センサ製作公差および経時変化の問題が残る。
また、確かにこのようなセンサは原理的にエンジンの機
械振動ノイズを受けないため、高速域のSN比が改善され
ると予想されるが、エンジンの発生する振動ノイズは機
械ノイズだけではなく、燃焼に起因する圧力振動ノイ
ズ、燃焼光ノイズも多い。
これらの燃焼ノイズは、当然エンジンの個体差により変
化するものであるから、基本的にエンジンのばらつき、
経時変化の影響を免れない。すなわち、上記問題点はこ
のようなセンサを使用しても根本的には対策できない。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明は上記問題点に鑑み、ノック判定レベルを自動補
償して、ノックセンサあるいはエンジンのバラツキ、経
時変化等に左右されることなくノックを精度良く検出し
制御すると共に、特にノック判定レベルの過補償による
ハンチングを防ぎ、また燃料のオクタン価の違いによる
ノックの多発生を低減できるノック制御装置の提供を目
的とするものである。
〔発明の概要〕
上記問題点に鑑み、本発明者らは先に、特願昭59−9989
8号においていくつかの方法を提案した。この特願昭59
−99898号では、ノックセンサの所定区間における最大
波高値VMAXがノックなしの状態で多数個サンプリング
した場合にはひとつの略対数正規分布を形成し、ノック
ありの状態でサンプリングした場合には互いに分散の異
なる2つの略対数正規分布の組合せ分布になることに着
目したものである。
そして、本発明者らは、必ずしも最大波高値VMAXを検
出する必要はなく、ノック特有の周波数成分(一般的に
は6〜9KHzくらいであるが、エンジンの構造によって
は、より低周波側に存在する場合も、10KHz以上のより
高周波側に存在する場合もある。)を含んだノック振動
成分の強さを示す量である、例えば、ノック振動出力を
積分した値、もしくはノック振動出力と所定レベルとを
比較した場合に得られるパルス列のパルス数、またはそ
の積算値、あるいはノック振動出力の実効値(以下ノッ
ク強度値Vと呼ぶ)を検出すれば良いということを発見
した。
さらに、これらのノック強度値の分布的性質を比較検討
することにより、これらのノック強度値に共通するより
一般的な性質を見い出した。これらのノック強度値Vの
性質について、まず最大波高値VMAXを例にとって説明
する。
第1図において、(1)図はエンジン本体の振動のうち
6〜9KHzの周波数成分のみを取り出した時のノックセン
サ信号である。この信号のエンジン燃焼区間内(例えば
10゜〜90゜ATDC)における最大波高値VMAXを多燃焼サ
イクルサンプリングすると、(2)図のような頻度分布
が得られる。このVMAXを対数変換し、再度、頻度分布
を描かせると、ノックが全くない状態でサンプリングし
た場合には、(3)図のようにおよそ正規分布に近い分
布になり、ノックがある程度発生した状態でサンプリン
グした場合には、(4)図のように高い出力側で正規分
布からはずれてくる。
このことをより明確に示すために、対数正規確率紙とい
うものを用いて説明する。一般に頻度分布が正規分布な
らば、その累積度数分布は、第2図の(1)図のように
累積50%点を変曲点とするS字型のカーブになる。この
正規分布特有のS字型のカーブが、プロットした時にち
ょうど一直線上に並ぶように累積度数の目盛りを細工し
た用紙が同図の(2)図に示されるような正規確率紙で
ある。このような正規確率紙(特性値が対数値になって
いる場合には対数正規確率紙と呼ばれる)自体は統計解
析の分野で既に知られているため、用紙のくわしい説明
は省略するが、後に説明に直接関係する用紙の性質につ
いてのみここで記述する。
正規確率紙の縦軸すなわち累積度数の目盛りは、50%点
に対して両端の目盛りに向かえば向かうほど50%点から
の離れ方が大きくなる(たとえば70%と60%の目盛りの
間隔は60%と50%の目盛りの間隔よりも長い)が、50%
の目盛りに対して上下対称の目盛りになっている。(た
とえば、10%の目盛りと90%の目盛りとは50%の目盛り
に対して等距離にあり、一般にα%の目盛りと(100−
α)%の目盛りとは50%の目盛りに対して等距離にあ
る。)もうひとつの正規確率紙の重要な性質は、この用
紙にプロットしたときの直線の傾きが標準偏差σの逆数
(すなわち1/σ)に一致することである。従って直線が
横に寝れば寝るほど分散の大きな分布であることを意味
する。
さて、この対数正規確率紙にノックなしの状態での最大
波高値VMAXの分布をプロットすると、第2図の(2)
図の「ノックなし」で示されるように一本の直線にな
る。このことは、ノックなしの最大波高値VMAXがひと
つの対数正規分布を形成することを意味する。
これに対して、ノックがある頻度で発生しているノック
ありの状態(すなわちノックサイクルと非ノックサイク
ルとがある割合で混在している状態)の分布は、同
(2)図の「ノックあり」で示されるように途中で傾き
が変わる折れ線になる。
すなわち、比較的低い出力側で形成される分散の小さな
対数正規分布と、比較的高い出力側で形成される分散の
大きな対数正規分布が重なった形になっている。
さて、最大波高値VMAX以外のノック強度値Vが、ノッ
クなしの状態でおよそひとつの対数正規分布に近似でき
る性質を有するノック強度値の例を列挙すると、以下の
ようになる。
第1は、所定区間(たとえば10゜〜90゜ATDC)の振動出
力を整流・積分した値である。この値は、積分器の時定
数を変えることにより、そのサイクルの平均振動出力、
あるいはそのサイクルの振動出力の積分値を表わすこと
になるが、いずれの場合もそのサイクルの振動の強度に
対応した値となる。
第2は、所定区間の振動出力をあるしきい値(たとえば
振動中心によりやや上のレベル)と比較した場合に発生
するパルス列の数、あるいはパルス列の積算値である。
この値もそのサイクルの振動強度に対応した値である。
この強度値は、最大波高値VMAXのとり得る範囲に比べ
てその変化する範囲が限られているため、精度的にやや
劣るが、その取り扱いが簡単だというメリットを持って
いる。
第3の例は、所定区間の振動出力の実効値(RMS)であ
る。このRMSは時刻tの振動レベルをX(t)、所定区
間の時間長をTとして で表されるが、この値もまたそのサイクルの振動の強さ
に対応している。
以上3つの例から、一般に振動強さに対応する強度値V
について、ノックなしの状態での分布が略対数分布にな
ると考えるのは自然で合理的である。たとえば、ある強
度値Vが、同じ強度値の仲間である最大波高値VMAX
対しておよそ V=a・(VMAX(a,nは任意の実数) の関係で近似できるならば、 logV=loga+nlog VMAXとなって、 logVMAXと同様、logVも正規分布(すなわちVが対数正
規分布)になることは明らかである。
本発明者らは、次に、ノックあり、なしの状態でこれら
の強度値Vがどのような分布的な差を有するかを調べ
た。
第3図は、エンジンのひとつの気筒に筒内圧センサを取
り付け、この信号から前記第1の例として挙げた積分値
∫Vを取り出したときの分布の例である。筒内圧センサ
の信号のうちノック特有の周波数成分(6〜9KHz)のみ
バンドパスフィルタで取り出し、これを半波整流後10゜
ATDCから5msecの時定数で積分し、90゜ATDCのタイミン
グで取り込んだ値である。第3図から判るように、ノッ
クなしの状態での分布は、対数正規確率紙上で1本の直
線で表されている。すなわちひとつの対数正規分布を形
成している。これに対して、ノックありの状態での分布
は、値の低い側で確かに直線になっているが、ある点で
急激に折れ曲がった曲線になっている。この分布上の差
をエンジン本体の振動の最大波高値VMAXの分布上の差
と比較する。
第4図は、第3図と同じ条件下でエンジン本体の振動の
最大波高値VMAXをサンプリングしたときの分布であ
る。すなわちエンジンのブロックに取り付けた圧電方ノ
ックセンサの信号を中心周波数7.5KHz、帯域幅Q=20dB
のバンドパスフィルタでフィルタリングし、この信号の
10゜〜90゜ATDC間の最大波高値VMAXを前述の筒内圧セ
ンサを取り付けた気筒についてのみサンプリングしたと
きの分布である。データのサンプリングは筒内圧センサ
と振動センサとで同時に行っているため、全くノック状
態は同一である。
第3図と第4図を比較すると、次のようなことが判る。
まず第1に、第3図の筒内圧センサ積分値∫Vの方が、
第4図の振動センサの最大波高値VMAXより折れ曲がり
方が明瞭であること、第2に筒内圧センサの積分値∫V
の方は出力の高い側で曲線的に折れ曲がっているのに対
し、振動センサの最大波高値VMAXの方はほぼ直線的に
折れ曲がっている点である。後に詳しく説明するが、こ
の現象は筒内圧センサの方がノイズとノックを識別する
能力が高い、すなわちSN比が高いことを意味しているの
である。
しかしながら、第3図と第4図の比較において最も重要
な点は、それぞれの折れ曲がり方に前述のような差があ
るものの、折れ曲がりの発生する累積%が∫VでもV
MAXでもほとんど変わっていない(この例では約70%)
ということである。これは、折れ曲がり点に相当する累
積%がノック状態を識別するための非常に有効で普遍的
な指標になり得ることを示している。なぜならば、全く
種類の異なるノックセンサでしかも異なるノック強度値
を取り出したのにもかかわらず、折れ曲がり点の累積%
がほぼ等しいからである。
すなわち、対数正規確率紙上での折れ曲がりの累積%に
着目すれば正確にノック状態を検出することができる。
そして、この性質をよく考案すれば、これをより一般的
な性質としてとらえることができる。
すなわち、ノックありの状態での分布が対数正規確率紙
上で急に折れ曲がるという事実の本質は、比較的低い出
力値を持ち、そのほとんどがノイズ集団と見なせるよう
なデータだけから推定したひとつの分布に対して、高出
力側のデータがその分布の母集団に属さないような形
で、推定値からはずれてくるということである。そして
その分布がどの点からデータがはずれてきたかを知るこ
とにより、ノックの状態を正確に検出することができ
る。つまり、本質的には、分布が略対数分布として近似
できなくても良いのである。
さて、以上、述べてきた方法を実験室用装置(たとえば
ノックモニタ計測器)として実現することはいとも簡単
である。データをサンプリングする機能、これを対数変
換する機能、さらに累積度数分布になおして折れ曲がり
の累積%を求める機能が、マイコンを利用することによ
り実現できることは説明を要しない。
しかしながら、本発明を実際のノックコントロールシス
テムに適用するためには、さらに工夫する必要がある。
すなわち、実際のエンジンでは、より早くノック状態を
検出する必要があるし、しかも車載用マイコンの限られ
たROMとRAMの中に制御アルゴリズムを入れ込む必要があ
る。そのためには、わざわざ多数のデータサンプリング
せずに、しかも対数変換せずに、より簡単に折れ曲がり
の発生する累積%を求めるようにすることが望まれる。
以下に述べるのは、そのような方式の一例である。もち
ろん、その他の方式についても様々考えることができ
る。
では、以下その方式について第5図を用いて説明する。
第5図の(1)図は、制御目標よりノックが小さい状態
におけるlogVの累積分布(上段の対数正規確率紙上に図
示)とそのときの頻度分布(下段に図示)を示したもの
である。同図の(2)図は、逆に制御目標より大きなノ
ック状態での累積分布と頻度分布を示したものである。
今、全サイクル中10%の頻度でノックが発生している状
態(従って残りの90%が非ノックサイクル)を制御目標
のノック状態とする。このとき、目標より小さいノック
状態での累積度数の分布は(1)図の上段のように対数
正規確率紙上で累積90%点より高い出力側で折れ曲が
る。従って90%点より低い出力側では1本の直線(すな
わち、ひとつの対数正規分布)と見なせる。
そこで今、対数正規確率紙上の累積50%点、すなわち頻
度分布のメディアン値Mを想定し、このMに対して対数
軸上で上下等距離にある2つのしきい値V、Vを考
える。対数軸上で等距離ということは軸軸上で等比関係
にある(logV−logM=logM−logV、すなわちV/M
=M/V)。このとき、制御目標のノック発生頻度10%
と同じ数値の頻度だけノック強度値がVを下回るよう
に下側のしきい値Vを設定したとする。すなわち累積
10%点にVを設定したとする。すると、第5図の
(1)図のようにノック状態が目標値より小さい場合に
は、対数正規確率紙の性質によって上側のしきい値V
は累積90%点に一致する。従って、ノックが目標より小
さい場合には、ノック強度値Vが下側のしきい値V
下まわる頻度と、上側のひきい値Vを上まわる頻度が
等しくなる。(この場合は10%) ところが、同図の(2)図のように目標より大きなノッ
ク状態では、累積90%よりも低い%のところで折れ曲が
るため、上側のしきい値Vは累積90%に一致せず、よ
り低い累積%に対応する。すなわち、この上側のしきい
値Vをこえる頻度が増える。(2)図の上段の図で示
せば両矢印の分だけ頻度が増えるわけである。従って、
ノックが目標より大きい場合には、ノック頻度値Vが上
側のしきい値Vを超える頻度の方が、下側のしきい値
を下まわる頻度よりも大きくなる。
以上に述べたことから、ノック強度値Vを所定サイクル
の間モニタし、このVが下側のしきい値Vを下まわっ
た回数Nと上側のしきい値Vを上まわった回数N
とを比較することにより、ノック状態が目標より大きい
か小さいかと判断することができる。
残された課題は、VとVを設定することである。以
下その設定方法について述べる。
今、累積50%点Mをデータサンプリングすることなし
に、その近似値Vを求めることを考える。累積50%点
Mはノック強度値VがそのMを超える確率と、逆に下ま
わる確率とが等しいような点である。そこで、ノック強
度値Vが入力される毎に、そのVとある値Vとを比較
し、Vの方が大きかったら、VをΔVだけ増加さ
せ、逆に小さかったら、Vを同じ量ΔVだけ減少さ
せるようにVを逐次更新していけばVは累積50%点
Mに収束する。すなわち、わざわざデータをサンプリン
グして分布を求めなくても累積50%点Mを求めることが
できる。
次に下側のしきい値Vを求めることを考える。V
累積10%の点であるから、ノック強度値VがVを下ま
わる確率が1/10、逆にVを上まわる確率が9/10の点で
ある。すなわち、それぞれの確率が1:9になる点であ
る。そこで、累積50%点Mを求めたのと同じような方法
で求めることを考える。ノック強度値Vが入力される毎
に、そのVとある値Vとを比較し、Vの方が大きかっ
たらVをΔVだけ増加させ、逆に小さかったからV
をΔVの9倍の量9・ΔVだけ減少させるように
を逐次更新していけば、Vは累積10%点に収束す
る。なぜなら、実際の累積10%点においてのみVを増
加・減少させる期待値が0になるからである(9/10×Δ
−1/10×9・ΔV=0)。すなわち、増加量と減
少量の比率を変えることにより、原理的には任意の累積
%点にその値を収束させることができる。
こうして累積50%点V及び下側のしきい値Vを求め
ることができたので、上側のしきい値Vは、V/V
=AとしてV=V・A(=V 2/V)で簡単に求
めることができる。
以上述べてきた方式により、データサンプリングせず
に、しかも対数変換せずに簡単に折れ曲がりの累積%点
を求めることが可能になり、ノック状態を検出できる。
さて、本発明は、例えば上記のようにして、平均的なノ
ック状態を検出し、ノックの判定レベル(例えば、ノッ
クセンサ信号を整流、積分したものなど)を自動補償す
るのであるが、その際に次のような不都合を生じること
がある。即ち、まずノック制御要因と判定レベルがハン
チングすることである。
このハンチング現象について、第6図の点火時期θigの
モデルを用いて説明する。例えば、ノック判定レベルVr
efが小さすぎ最遅角している状態(A)から判定レベル
の自動補償を始めるとする。ノックなしであるのでVref
が小さすぎると判断されてVrefは上げられ、ある値に達
するとθigが進角しはじめるが、(B)の間はノックが
非常に小さいのでVrefが過大に補正されてしまう。そし
てθigが進角し、軽いノックであるトレースノック点を
越えると自動補償によりノックセンサ信号を検出し易く
すべくVrefが下げられるが、適正値をすぎてもノックが
大きいので過小に補正される(C)。そのためにθigは
トレースノック点より遅角してしまい、この後は再び
(B)と同じ状態となり、Vrefが過大に補正されてしま
う(D)。以上のような繰り返しでθigとVrefがハンチ
ングすることとなる。
次に、ノック判定レベルの自動補償の不都合として、燃
料である例えばガソリンのオクタン価の違いにより判定
レベルが過補正されてしまうことがある。即ち、例え
ば、オクタン価の高いガソリン(ハイオクガソリン)で
運転中はオクタン価の低いガソリン(レギュラーガソリ
ン)の場合に比べノックが生じにくいため、ノック制御
要因である例えば点火時期は進角側に補正されると共に
ノック判定レベルVrefはノックセンサ信号を検出しにく
くすべく徐々に上げられるように補正される。その後、
レギュラーガソリンで運転されることとなった場合、ノ
ックが発生し易くなり点火時期が遅角方向に補正される
と共に、ノック判定レベルVrefが徐々に下げられるが、
この判定レベルがレギュラーガソリンの適正値にまで下
がるまではノックセンサ信号を検出しにくいので、ノッ
クが多発してしまうことがある。
本発明は、上述の不都合を解決するものである。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は上述した目的を達成するために、第7図に示す
ように、エンジンのノックを検出するためのノックセン
サと、このノックを判定するためのノック判定レベルを
作成するノック判定レベル作成手段と、このノック判定
レベルと前記ノックセンサの信号とに応じてノックを判
定するノック判定手段と、前記ノックセンサの信号から
ノック強度値Vを取り出すノック強度値検出手段と、前
記ノック判定手段によるノックの判定状況を検出するノ
ック判定状況検出手段と、前記ノック強度値を多サイク
ルサンプリングした時に得られる分布形状よりノックの
発生状態を判別するノック発生状態判別手段と、前記ノ
ックの判定状況及びノックの発生状態に応じて前記ノッ
ク判定レベルを補正するノック判定レベル補正手段と、
前記ノック判定手段によるノックの判定結果に応じてエ
ンジンのノック制御要因の値を制御する制御手段とを備
える構成としている。
〔実施例〕
以下実施例に従い、本発明装置およびその動作について
詳細説明する。
第8図は本発明の一実施例を示す構成図である。図にお
いて、1は4気筒4サイクルエンジン、2はエンジンの
基準クランク角度位置(たとえば上死点)を検出するた
めの基準角センサとエンジンの一定クランク角度毎に出
力信号を発生するクランク角センサとを内蔵したディス
トリビュータ、3は制御回路10から出力させる点火時期
制御信号を受けてイグニッションコイルへの通電遮断を
行うイグナイタ及びコイルである。
4はエンジンのノック現象に対応したエンジンゴロック
の振動を圧電素子等によって検出するためのノックセン
サ、5はエンジンの吸入空気量を検出し、これに応じた
信号を出力するエアフローメータ、6はスロットル角度
センサに連結されたスロットル弁、7は制御回路10で決
定された燃料噴射時期及び燃料噴射期間に基づいて吸気
マニホールドに燃料を噴射するためのインジェクタ、8
は過給を行うためのターボチャージャ、9は排気ガス空
燃比が理論空燃比に比べ濃い(リッチ)が薄い(リー
ン)かに応じて出力信号を発生するO2センサ、10は前記
各センサからの入力信号状態に応じてエンジンの点火時
期及び空燃比を制御するための制御回路である。
次に制御回路10の詳細構成及び動作を第9図に従って説
明する。第9図において10−1は点火時期及び燃料噴射
量を演算するための中央処理ユニット(CPU)で8ビッ
ト構成のマイクロプロセッサを用いている。10−2は制
御プログラム及び演算に必要な制御定数を記憶しておく
ための読出し専用の記憶ユニット(ROM)、10−3はCPU
10−1がプログラムに従って動作中演算データを一時記
憶するための一時記憶ユニット(RAM)である。10−4
及び10−5はディストリビュータ2に内蔵された基準角
センサ2−1及びクランク角度センサ2−2の出力信号
(本実施例ではマグネットピックアップを用いている)
を波形整形するための波形整形回路である。
10−6は外部信号あるいは内部信号によってCPUに割込
処理を行わせるための割込制御部、10−7はCPU動作の
基本周期となるクロック周期毎のひとつずつカウント値
が上がるように構成された16ビットのタイマである。こ
のタイマ10−7と割込制御部10−6によってエンジン回
転数及びクランク角度位置が次のようにしてCPUに取り
込まれる。すなわち基準角センサ2−1の出力信号によ
り割込みが発生する毎にCPUはタイマのカウント値を読
出す。タイマのカウント値はクロック周期(たとえば1
μs)毎に上がっていくため、今回の割込時のカウント
値と前回の割込時のカウント値との差を計算することに
より、基準角センサ信号の時間間隔すなわちエンジン1
回転に要する時間が計測できる。こうしてエンジン回転
数が求められる。
またクランク角度位置は、クランク角センサ2−2の信
号が一定クランク角度(たとえば30゜CA)毎に出力され
るので基準角センサ2−1の上死点信号を基準にしてそ
のときのクランク角度を30゜CA単位で知ることができ
る。この30゜CA毎のクランク角度信号は点火時期制御信
号発生のための基準点に使用される。
10−8は複数のアナログ信号を適時切替えてアナログ−
デジタル変換器(A/D変換器)10−9に導くためのマル
チプレクサであり、切替時期は出力ポート10−12から出
力される制御信号により制御される。本実施例において
は、アナログ信号としてエアフローメータ5からの吸入
空気量信号、ノック強度検出回路10−10からのノック強
度値信号等が入力される。(その他に水温センサ信号、
バッテリ電圧等が入力される。) 10−9はアナログ信号をデジタル信号に変換するためA/
D変換器である。10−10はノックセンサ4の信号を受け
てサイクル毎のノック強度値Vを取り出すためのノック
強度値検出回路である。10−11はデジタル信号のための
入力ポートであり、このポートにはO2センサ9からのリ
ッチリーン信号、スロットルセンサ6からのアイドル信
号及びパワー信号等が入力される。
10−12はデジタル信号を出力するための出力ポートであ
る。この出力ポートからはイグナイタ3に対する点火時
期制御信号、インジェクタ7に対する燃料噴射制御信
号、マルチプレクサ10−8に対する制御信号が出力され
る。10−13はCPUバスであり、CPUはこのバス信号線に制
御信号及びデータ信号を乗せ、周辺回路の制御及びデー
タの送受を行う。
次にノック強度値検出回路10−10について第10図を用い
て説明する。第10図において、10−10−1はノックセン
サ4の出力信号からノック周波数成分のみ選別して取り
出すためのバンドパス、ハイパス等のフィルタ、10−10
−2はこのフィルタの出力を半波整流あるいは全波整流
するための整流器、10−10−3は整流器の出力を積分し
てサイクル毎のノック強度値を取り出すための積分器、
10−10−4は積分器の積分区間を制御するためのゲート
回路である。
このノック強度値検出回路の動作を第11図を用いて説明
する。第11図の(1)図は、フィルタ通過後のノックセ
ンサ出力、(2)図はこれを整流器10−10−2で半波整
流した出力である。(3)図は、制御回路10内の出力ポ
ート10−12から出力される制御信号に従って動作するゲ
ート回路10−10−4の出力信号である。すなわち、約10
゜ATDCで立上がり、約90゜ATDCでノック強度がCPU10−
1取り込まれた直後に立下がる信号であり、これが積分
器10−10−3の積分区間を決定する。(4)図はゲート
回路によってセット・リセットされる積分器10−10−3
の出力信号である。
積分器は本実施例の場合には、時定数が約5msecに調整
されている。ゲート回路の立上がりによって、半波整流
後の信号((2)図)の積分を開始し、立下がりによっ
て積分値がリセットされる。ゲート回路は、CPU10−1
がマルチプレクサ10−8及びA/D変換器10−9を通して
この積分値を取り込んだ直後に立下がるので、サイクル
毎の積分値すなわちノック強度値が次々とCPUに取込ま
れていく。
次に、第12図〜第16図のフローチャートを用いてノック
の検出、及びノックコントロールシステムの動作を詳細
説明する。
第12図は点火時期及び燃料噴射時間をマイコンのタイマ
にセットするための割込みルーチンである。割込み100
がかかると、ステップ200においてまず基本点火時期θ
BSE及び基本噴射時期τBSEが計算される。この基本点火
時期θBSEと基本噴射時間τBSEは、エンジン回転数Nと
エンジン付加A/N(エアフロメータにより計測された吸
入空気量Qをエンジン回転数Nで割った値がエンジン負
荷に比例する)の2次元マップとしてマイコンのROMに
ストアされている。そしてこのステップ200では同時
に、ノックセンサ以外の各種センサ信号による点火時期
及び噴射時間の修正を行う。たとえば水温による点火時
期、噴射時間の修正、あるいはバッテリー電圧による噴
射時間の修正(無効噴射時間の考慮)等である。
次にステップ300において現在の運転条件がノックコン
トロール実行条件下であるかどうかを判別する。たとえ
ば、エンジンの負荷が軽い場合にはほとんどノックおこ
り得ず、しかもこの軽負荷で無理にノックコントロール
すればかえって出力、燃費等が低下してしまうのは一般
的に知られていることである。そこで、本実施例におい
てはエンジンの負荷(Q/Nで判断できる)が所定値以上
の場合のみノックコントロールを実行することにしてい
る。(その他にエンジン回転数による制限を設けること
も考えられる。) ノックコントロール実行条件下であると判断された場合
には、ステップ400においてノックコントロールによる
点火時期及び噴射時間の修正を行う。ノックコントロー
ルによる点火時期の修正量(本実施例では、基本点火時
期θBSEからの遅角量Rとする)は後述する別のルーチ
ンで算出されるが、最終点火時期θはこのステップ400
でθ=θBSE−Rとして求められる。
また燃料噴射時間の修正量はこの遅角量Rを基に決めら
れる。すなわち遅角量Rが大きいときには点火時期が遅
角しているため排気温が高くなり過ぎることがある。従
って、この場合には空燃比をリッチにするように噴射時
間を長目にとってやる必要がある。たとえば遅角量Rに
比例するように噴射時間の修正量を決めてやれば良い。
こうして決められた最終点火時期θおよび最終噴射時間
τがステップ500においてマイコンのタイマにセットさ
れる。セットされたあとプログラムはメインルーチンへ
リターンする(ステップ600)。
第13図はノック状態検出、及びノックコントロールルー
チンである。この割込みルーチンは本実施例の場合、エ
ンジンの上死点(TDC)付近で、点火サイクル毎に実行
される。
ステップ700において割込みルーチンに入ってくると、
発明の作用で述べたような方法で、比較的多サイクルに
渡った平均的ノック状態を検出するためのステップ800
を実行する。このステップ800の詳細は後述する。次に
ステップ900において現在がノックコントロール実行条
件下であるかどうかを判断し、実行条件下でなければス
テップ1400においてそのままリターンする。
もし、ノックコントロール実行条件下であるならばステ
ップ1000において、ノックの有無をサイクル毎に判定す
るためのノック判定レベルVrefを算出する。本発明の方
式によりノック状態は別途検出できるのであるが、検出
するために比較的多サイクルの期間を必要とするため、
エンジンの急加速時のように非常に短い時間内でノック
が多発する場合を考慮して、サイクル毎にノック判定し
て点火時期をサイクル毎に遅角させるという従来のノッ
クコントロールシステムの方法を並用したわけである。
このノック判定レベルVrefはステップ800において気筒
毎に求められたV(頻度分布の中央値に収束する値で
あり、詳細は後述する)と、同じく気筒毎に設定された
定数K(ただし、この値も後述のステップにおいて適切
な方向へ適宜修正されていく。)とを用いてVref=K・
の関係で作成される。従ってノック判定レベルは気
筒毎に異なるが、この方がすべての気筒のノックを精度
良く検出できる。なおKの初期値はエンジン回転数Nと
気筒の2次元マップとしてROM内にストアされている。
次にステップ1100において、直前の点火サイクルの値と
して取り込まれたノック強度値Vと、前記ノック判定レ
ベルVrefとを大小比較し、点火毎のノック判定をおこな
う。その結果に応じて点火時期の遅角量Rを計算するス
テップが1200である(詳細後述)。次にステップ1300に
おいて現在のノック判定レベルの適否を判断して、これ
を常に適切な方向へ修正していく(詳細後述)。この
後、ステップ1400においてリターンする。
次に、ノック状態を検出する前記ステップ800について
第14図を用いて詳細説明する。ステップ801において、
今回取り込まれたノック強度値Vをその気筒に対応する
前記の上側のしきい値Vと比較し、V>Vの場合に
は、その超えた回数Nを1つだけ増す(ステップ80
2)。それ以外の場合はステップ803に移り、今度はノッ
ク強度値Vと下側のしきい値Vとを比較する。V<V
の場合にはその下まわった回数を1つだけ増し(ステ
ップ804)、ステップ805に移る。それ以外の場合にはそ
のままステップ805にいく。次にステップ805において、
累積50%点の値Vを更新する。更新の方法はすでに述
べたとおりである。すなわち、ノック強度値Vがその気
筒に対応する現在のVを超えたら(V>V)、V
をΔVだけ増加させ、逆にV<VならばVと同じ
ΔVの量だけ減少させる。こうすることにより、V
は常に累積50%点に追従するように逐次更新される。
次にステップ806において、ノック状態を検出すべき時
期に達したかどうかを調べる。すなわちノック状態の検
出は所定のインターバル毎に実行される。本実施例では
このインターバルを約0.7secにしている。インターバル
をサイクル数にせずに時間間隔にしている理由は2つあ
る。第1の理由は、ノック状態を極力、人間の官能評価
に近い形で検出するためである。一般に、人間がノック
状態を評価する場合は、ある時間内にどれだけノックが
多発したかによって決めている。すなわちエンジンのサ
イクル経過は、車のドライバーにとってみれば無縁の概
念であり、その間の時間のみがドライバーの知りえる評
価基準になる。こうして時間単位でノック状態を検出す
ることにより、車のドライバーに不快感を与えることな
く、最良の出力、燃費を引き出すことができる。
第2の理由は、この後に実行されるしきい値V,V
更新に関係する。上述したように、ノック状態が目標値
よりも大きいか小さいかを調べるためには、下側のしき
い値Vを目標のノック状態におけるノック発生頻度と
同じ%の累積%点に設定する必要がある。ところが一般
に目標ノック状態はエンジン回転数が高くなるほど小さ
く設定されるのが普通である。エンジンの低速域ではノ
ックが比較的多く発生してもエンジンの損傷には到ら
ず、かえって出力、燃費が改善される。ところが、高速
域になると、比較的頻度の少ないノック状態でも、プレ
イグニッションを誘発し、エンジンに損傷を与える場合
がある。このために高速域では比較的小さなノック状態
に抑える必要がある。従って高速になるほど下側のしき
い値Vは小さな%の累積点に設定することが望まし
い。このVを小さな%に設定するためには、すでに作
用で述べたとおり、Vの更新サイクル数Cを大きくし
てやればよい。Vの更新を時間毎に実行すれば、その
間のサイクル数Cは高速になるほど大きくなり、従って
前述の目的が達成できる。
次にステップ807において、検出インターバルの間にエ
ンジン条件が急変しているかどうかを調べる。すなわ
ち、0.7secの間にエンジン回転数、およびエンジン負荷
が所定値以上変化しているかどうかをチェックするわけ
である。本実施例では例えばエンジン回転数の許容変化
を±300rpm、エンジン負荷の許容変化を圧力換算で±15
0mmHgに設定している。このステップ807において順定常
と見なされた場合にはステップ808においてノック状態
の検出を行う。
このノック状態の検出は、前記回数NとNを気筒毎
に比較することにより実施される。すなわちNとN
がほぼ等しければ、その気筒のノック状態は目標値より
も小さいと判断され、NがNに比べべて誤差分を考
慮してもなおかつ大きいならば、目標値よりも大きなノ
ック状態と判断される。この検出されたノック状態は気
筒毎にフラグとして記憶されるとともに、ノック状態を
検出したというノック状態検出完了フラグをセットす
る。
次にステップ800において上側のしきい値Vと下側の
しきい値Vを更新する。更新の方法は以下のとおりで
ある。まずVとVは作用で述べたとおり、V/V
=V/Vの関係にある。この等比数をAとして(V
/V=V/V=A)、Aを更新することによりV
を更新することができる。V=V/Aであるか
ら、この検出インターバルの間にノック強度値VがV
を一回でも下まわった場合(すなわちステップ804にお
いてカウントされたNが1以上の場合)にはAをΔA
だけ増加させることによりVをΔVだけ減少させ、
=0の場合はAをΔAだけ減少させることによりV
をΔVだけ増大させる。こうすることにより、V
を必要な累積%点に設定することができる。そして上側
のしきい値VはV=A・Vで作ることができる。
こうして気筒毎にV,Vが更新される。
次にステップ810においてN,Nをクリア(N
0、N=0)したのち、検出インターバル0.7secを作
り出しているカウンタをクリア(ステップ811)する。
次に第15図を用いて、第13図のステップ1200における点
火時期の遅角量Rの計算方法について詳細説明する。
まず、ステップ1201においてノック強度値Vがノック判
定レベルK・Vを超えたならば、このサイクルがノッ
クサイクルであると見なして基本点火時期からの遅角量
RをΔR1だけ増加させる)ステップ1202)。このΔR1
一般のノックコントロールでも使用されるもので、普通
0.5゜〜2゜CA程度であるが、本実施例では1゜CAとし
ておく。次にステップ1203において、ノック判定回数の
カウンタとインクリメントする。これは、ノックサイク
ルと見なされた回数をカウントするもので、後述のノッ
ク判定レベル修正の判断材料として使用される。
ステップ1201において、V≦K・Vの場合には非ノッ
クサイクルと見なされ、ステップ1204に移る。ステップ
1204では、非ノックサイクルと見なされた場合が所定時
間(一般的には1sec程度)だけ継続した場合に限り、R
をΔR1だけ減少させることにより点火時期を進角方向に
修正する。その他の場合は現在の遅角量Rをそのまま保
持する。
次にステップ1205において、前述の平均的なノック状態
が検出されたかどうかを第14図のステップ808のノック
状態検出完了フラグによりチェックする。まだ検出され
ていない場合(すなわち前述の検出インターバルの間)
にはステップ1213に移るが、検出完了フラグが立ってい
る場合には、ステップ1206においてノック状態の大小を
調べる。即ち、ノック状態が目標値よりも大きいという
フラグが立っていたならばステップ1207において、遅角
量RをΔR2だけ大きくする。このΔR2は、前述のサイク
ル毎にノック判定して遅角させるΔR1とはちがい、ノッ
クの平均的状態によって点火時期を修正するための修正
量であるから、ΔR1より小さめの値、たとえば0.5゜CA
程度が良い。その結果、遅角量Rは、平均的ノック状態
に応じてゆっくり修正されると共に、これを中心にして
サイクル毎のノック発生有無によってすばやくノックを
回避するよう小きざみに修正されていく。
遅角量Rが気筒毎に設定されている場合(すなわち気筒
別点火時期制御の場合)には、前述のように、その気筒
のノック状態に従ってその気筒の遅角量Rを増減すれば
良いが、全気筒一律の点火時期制御の場合には、遅角量
Rはひとつしかなく、このときには各気筒のノック状態
を総合的に判断して増減すれば良い。たとえば4気筒の
エンジンならば2つ以上の気筒でノック状態が大のとき
に全体のノック状態が大きいと判断することもできる。
あるいは前述のN,Nを気筒別にもたず、ひとつのN
,Nで数をカウントすることにより全体のノック状態
を直接知ることもできる。
この場合でも2つのしきい値V,Vは気筒毎に持ち、
比較も気筒毎に行って比較結果のみ(すなわちN,N
のみ)全気筒共通に使用することが望ましいが、ノック
状態の検出精度を多少犠牲にするならば、V,Vを全
気筒に共通にすることも可能である。
次にステップ1208において遅角量Rを最大遅角量制限Rm
axと比較する。一般に遅角量Rはノックコントロールに
よる過大な点火時期変動をさけるため、及び排気温上昇
をさけるために制限をつけるのが普通であるが、従来、
この制限値Rmaxは予め定められた固定値であった。しか
しながら、本例ではこれを平均的ノック状態により学習
していくようにしている。すなわち、遅角量Rを最小遅
角量制限Rminと最大遅角量制限Rmaxの範囲におさえ、点
火時期が不必要に進角したり逆に不必要に遅角したりし
ないようにする。そしてこれを季節の変化、ガソリン性
状のちがい、エンジンのバラツキ等を吸収するように学
習してゆくわけである。点火時期が遅角しすぎると(す
なわちRが大きくなり過ぎると)、排気温が上昇して問
題になるが、実際にノックが多発している場合にはさら
に遅角させないと、エンジンが損傷する恐れがある。こ
の場合には、エンジン保護を優先させるわけである。ま
たこの状態を検出して異常ランプを点灯させることも可
能である。
ステップ1208は、遅角量Rの制御範囲をより遅角方向に
修正させるべきかどうかを判断するためのステップであ
る。すなわち、Rが最大遅角量Rmaxより大きい値を要求
され、しかも平均的ノック状態が大きい場合にはステッ
プ1209においてRmaxをΔRmax(たとえば0.2゜CA程度)
だけ増し、同時にRminをΔRmin(これもたとえば0.2゜C
A程度)だけ増すことにより、Rの制限範囲をより遅角
方向に修正する。この制御範囲は例えば5゜〜7゜CA程
度が良い(Rmax−Rmin≒5゜CA〜7゜CA)。
さて、ステップ1206によってノック状態が目標よりも小
さいと判断された場合には、前述の逆の操作をする。す
なわちステップ1210によってノック状態によるRの減少
(すなわち進角方向への修正)を行い、ステップ1211,1
212において遅角量Rの制御範囲を進角方向に修正す
る。
こうしてステップ1213に移り、ここで最終的に遅角量R
の制限を行う。すなわちR>Rmaxの場合にはR=Rmaxで
おきかえ、R<Rminの場合にはR=minでおきかえる。
次に第16図を用いて、本発明の主要部をなす第13図のス
テップ1300におけるサイクル毎のノック判定に使用され
るノック判定レベルを常に適切な方向へ自動修正してい
く過程について説明する。
まずステップ1301において、前記ノック状態検出完了フ
ラグにより平均的なノック状態が検出されたかどうかを
チェックする。検出されていた場合にはステップ1302に
おいてノック状態の大小をチェックする。ノック状態が
目標よりも大きいと判断された場合には、ステップ1303
においてノック判定状況としてのこれまでのサイグル毎
のノックの判定回数(即ち、頻度)を調べる(この判定
回数は第15図のステップ1203においてカウントされてい
る)。
このノック判定回数が所定値以下の場合にはノック判定
レベルが高すぎると判断してノック判定レベルを下げる
べく前述のKをΔKだけ減少させ(ステップ1304)。す
なわち、ノック状態が大きくて、しかもノック判定回数
が少ない場合には、ノック判定レベルが高すぎて、ノッ
ク判定を誤っているわけである。この場合、ノック判定
回数が比較的多いならば、正常にノック判定しているた
めKをそのまま保持する。
ステップ1302において、ノック状態が目標よりも小さい
と判断された場合には、ステップ1305においてノック判
定回数が多すぎないかどうかをチェックする。ノック判
定回数が多すぎる場合には、ノック判定レベルを高目に
修正すべくKをΔKだけ大きくする(ステップ1306)。
すなわちノック状態が小さくて、ノック判定回数が多す
ぎる場合はノック判定レベルが低すぎて、ノイズサイク
ルをノックと誤判定しているわけである。ノック判定回
数が少ないならば、これは実際にエンジンにノックが発
生していないだけであるから、ノック判定レベルの適否
は不明である(適切か、もしくは高すぎる場合が考えら
れる)。従ってこの場合にはKはそのまま保持すること
により、前述のようにノック判定レベルが過度に上げら
れることをなくし、オクタン価の変化によるノックの多
発性を防止する。
このノック判定レベルの修正は気筒毎におこなわれる。
すなわち気筒毎のノック状態と、気筒毎のノック判定回
数を基にして、それぞれの気筒に対応するKをそれぞれ
適切な方向に修正していく。もちろん、遅角量Rの計算
方法のところで述べたものと同じような考え方で、Kを
気筒毎に持たずひとつの共通Kとして修正していくこと
も同様に可能である。また、ノック判定回数の大小判断
(ステップ1303と1305)はその間にノック判定があった
か、なかったかのように「0」、「1」的に判断しても
良い。
次にステップ1307においてノック判定回数がクリアさ
れ、続いてノック状態検出完了フラグばクリアされる
(ステップ1308)。
以上述べてきたように、ノックコントロールが実行され
る。
なお、上記実施例では、第16図においてノック判定状況
の検出をノック判定の回数(ステップ1303,1305)で行
ったが、第17図(a),(b)に示すようにノック制御
要因の値がノックの発生しやすい方向、または、しにく
い方向に変化していることを判別して、ノック判定状況
とすることもできる。即ち、第17図は点火時期制御を行
う場合を示し、ステップ1303′では所定のT秒前より遅
角量が減っているか否かを判別し、ステップ1305′では
遅角量が増えているか否かを判別するようにしており、
前述の点火時期のハンチング等を未然に防ぐことが可能
となる。
また、上記実施例ではノックを制御するための要因とし
て点火時期を扱っているが、これは空燃比、吸気圧力
(たとえばターボ等の過給圧)、EGR、アンチノック剤
等のノック制御要因に広く適用することができる。この
場合には、サイクル毎のノック判定結果に応じて点火時
期等の即効性のあるノック制御要因を制御し、平均的ノ
ック状態の検出結果に応じて、過給圧等の平均的なノッ
ク発生状態を左右する要因を制御するというような種々
のアレンジも可能になる。もちろん、点火時期、空燃
比、吸気圧、EGR、アンチノック剤等のうち、どれかひ
とつのみを制御しても良い。
また、上記実施例では、対数変換器を用いない装置を示
したが、対数変換器もしくはそれに替って対数変換する
ソフトウエアの使用が、コスト等の制約条件を考慮して
も許容されるならば、さらに種々の装置を考えることが
できる。たとえば、ノック強度値Vの対数変換値logVの
平均値と同中央値との大小関係によってノック状態を検
出することも可能である。すなわち、ノック状態が小さ
い場合には、logVの分布はほぼ正規分布になるため、正
規分布の中央値と平均値は一致する。しかしノック状態
が大きくなると、中央値よりも平均値の方が大きくなる
ため、ノック状態の識別が可能になる。
また、上記実施例では、ノックセンサとしてエンジンブ
ロックの振動を検出するタイプのセンサを使用したが、
これについてもすでに詳細説明したごとく、マイクロフ
ォン、筒内圧センサ、燃焼光センサ等を使うことができ
る。
また、すでに説明したごとく、想定する分布は対数正規
分布とは限らなく、2項分布、ガンマー分布等、適当な
変換をほどこすことによって、おおよそ対数正規分布と
して扱っても、実用上さしつかえないような分布につい
ては、上記実施例をそのまま適用できるし、対数ではな
く、そのまま正規分布になるような分布では、より扱い
が簡単になる。すなわち、等比の関係を等差の関係にお
きかえてやれば良い。
〔発明の効果〕
以上詳細に述べたように、本発明は、ノック強度値Vを
多サイクルサンプリングしたときの分布形状を判別して
平均的なノック状態を検出するようにしているので、従
来困難であったノックセンサあるいはエンジンのバラツ
キ、経時変化等に左右されることなく、非常に精度良く
真のノック状態を検出することができ、さらに、ノック
判定レベルの過補償によるハンチングを防ぎ、燃料のオ
クタン価の違いによるノックの多発生を効果的に低減す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、ノック信号の最大値及びその分布状態を示す
図、第2図はノック信号の最大値の累積分布及びこの分
布を対数正規確率紙上に示した図、第3図はノック信号
の積分値の累積分布を対数正規確率紙上に示した図、第
4図は第3図と同一のノック状態でノック信号の最大値
の累積分布を対数正規確率紙上に示した図、第5図は目
標よりもノックが小さい場合と大きい場合のノック強度
値の分布を比較するための図、第6図は点火時期とノッ
ク判定レベルのハンチング状態を示す図、第7図は本発
明の構成を明示するためのブロック図、第8図は本発明
の一実施例を示す構成図、第9図は第8図中の制御回路
の詳細構成図、第10図は第9図中のノック強度値検出回
路の詳細構成図、第11図はノック強度値検出回路の差動
説明に供する信号波形図、第12図乃至第16図は制御回路
におけるノックの検出及び制御の手順を示すフローチャ
ート、第17図は本発明の他の実施例を示す要部フローチ
ャートである。 1……エンジン,3……イグナイタ,点火コイル,4……ノ
ックセンサ,7……インジェクタ,8……ターボチャージ
ャ,9……O2センサ,10……制御回路,10−1……CPU,10−
2……ROM,10−3……RAM,10−10……ノック強度値検出
回路,10−10−2……整流器,10−10−3……積分器。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジンのノックを検出するためのノック
    センサと、 このノックを判定するためのノック判定レベルを作成す
    るノック判定レベル作成手段と、 このノック判定レベルと前記ノックセンサの信号とに応
    じてノックを判定するノック判定手段と、 前記ノックセンサの信号からノック強度値Vを取り出す
    ノック強度値検出手段と、 前記ノック判定手段によるノックの判定状況を検出する
    ノック判定状況検出手段と、 前記ノック強度値を多サイクルサンプリングした時に得
    られる分布形状よりノックの発生状態を判別するノック
    発生状態判別手段と、 前記ノックの判定状況及びノックの発生状態に応じて前
    記ノック判定レベルを補正するノック判定レベル補正手
    段と、 前記ノック判定手段によるノックの判定結果に応じてエ
    ンジンのノック制御要因の値を制御する制御手段とを備
    えることを特徴とする内燃機関用ノッキング制御装置。
  2. 【請求項2】前記ノックの判定状況はノック有無の判定
    の頻度により検出することを特徴とする特許請求の範囲
    第1項記載の内燃機関用ノッキング制御装置。
  3. 【請求項3】前記ノックの判定状況はノック制御要因の
    変化により検出することを特徴とする特許請求の範囲第
    1項記載の内燃機関用ノッキング制御装置。
  4. 【請求項4】前記ノック判定レベル補正手段は、前記ノ
    ック判定レベル作成のための定数Kを補正することを特
    徴とする特許請求の範囲第1項乃至第3項のいずれかに
    記載の内燃機関用ノッキング制御装置。
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