JPH0680367U - 同期電動機の回転子 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 永久磁石を内蔵した回転子内に溶融アルミニ
ウムをくまなく充填させるものである。 【構成】 永久磁石１５の形状を一部切欠くことにより
孔内に空隙１８を生じさせ、アルミニウムをけい素鋼板
５ａのスリット１６に行きわたらせる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、三相同期電動機の回転子に内蔵される永久磁石の形状に関する。

【０００２】

【従来の技術とその課題】

図４，図５は電動機の全体構成及び回転子（けい素鋼板）正面を示している。 図４において、１はフレーム、２は固定子鉄心、３は固定子巻線、４はブラケ ット、５は回転子鉄心、６は回転子羽根片、７はシャフト、８はベアリング、９ は波形バネ、１０は端子箱、１１は外カバー、１２は羽根車、１３はアイボルト 、１４はダンパー、１５は永久磁石を示し、永久磁石同期電動機を示す。 かかる電動機において、回転子鉄心のけい素鋼板５ａに着目した場合、その平 面は図５に示すように構成され、シャフト７を中心に永久磁石１５が配置され、 ダンパー１４が備えられている構成を有する。

【０００３】 回転子鉄心５の軸方向には、図５に示す極間スリット１６にて極数に対応して ばらばらになっているけい素鋼板５ａのブロックが回転中の自己遠心力にて飛散 しないように、図６に示す円形のＳＵＳ板５ｂが、例えば図７に示すように適宜 介在されている。そして、アルミダイキャストにてけい素鋼板５ａと極間スリッ トがない円形１枚板のＳＵＳ板５ｂとが一体化されて各々のブロックが固着され ている。

【０００４】 しかし、ＳＵＳ板５ｂは、ダンパー１４の外、永久磁石１５配置用の孔が形成 されるのみで、スリット１６が形成されていないため、ダイキャストにて一体成 形するに当りＳＵＳ板５ｂの永久磁石１５にじゃまされてけい素鋼板５ａのスリ ット１６にアルミニウムが流れ込みにくいという現象が生じている。 そして、円周側端のスリット１６にアルミニウムが鋳込まれない状態では、製 作の工程で図８（ａ）に示すように回転子外径を所定の寸法に切削仕上げを行な う際、削り部が飛び散ることなく図８（ｂ）の如くスリット内側に切削バリ１７ として残ってしまう。そして、このバリ１７は完全に取り除かないと、運転中飛 びだし固定子コイルを傷付けたりすることになり、電動機を焼損させることがあ る。 このため、バリ取り作業は大変面倒で工数がかかり、また、見落しやすい性質 のものでもあるので品質が問題となる。

【０００５】 本考案は、アルミニウムをまんべんなく充填してスリット内側に切削バリが発 生しないようにして運転上、作業上の不都合を除くようにした同期電動機の回転 子の提供を目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上述の目的を達成する本考案は、 軸方向にけい素鋼板を積層し、このけい素鋼板に挟まれてＳＵＳ板が介在され 、上記けい素鋼板及びＳＵＳ板のスロットやスリットにアルミニウムが鋳込まれ る構成の回転子において、 上記ＳＵＳ板及びけい素鋼板に放射状に形成された孔及びスリット内に配置し た永久磁石を周面側にて切欠いたことを特徴とする。

【０００７】

【作用】

ＳＵＳ板での永久磁石が配置される孔が、永久磁石の切欠きにより溶融アルミ ニウムが流れ込むに充分な空隙を有することになるので、溶融アルミニウムがＳ ＵＳ板にて止められることなく通り、このためけい素鋼板のスリット内にもアル ミニウムを充填することができる。

【０００８】

【実施例】

ここで、図１ないし図３を参照して本考案の実施例を説明する。なお、図４〜 図８と同一部分には同一符号を付す。 図１において、回転子の一部を構成するＳＵＳ板５ｂは、一枚板の円板形状を 有し、このＳＵＳ板５ｂにはダンパー１４の他に放射上に永久磁石１５の孔が形 成されている。 図１の場合には４極であるので４個の永久磁石用の孔が開けられている。そし て、この孔には、永久磁石１５が挿入配置されるのであるが、この永久磁石１５ の肩の部分が図２に示すように切欠かれており、この部分が空隙１８となってい る。

【０００９】 この空隙１８は溶融アルミニウムが通るに充分な大きさでしかもけい素鋼板５ ａ（図５参照）のスリット１６と連通するように、換言すればＳＵＳ板５ｂを介 してけい素鋼板５ａのスリットにアルミニウムが注入できるような構造となって いる。 すなわち、図２（ａ）に示す空隙１８によりその向う側に存在する図２（ｂ） に示すけい素鋼板５ａのスリット１６とつながって、図２（ｃ）に示すようにス リット１６にアルミニウムを充填することができる。

【００１０】 図３は、空隙１８を作るための永久磁石１５の切欠きの例を示しており、図３ （ａ）は片方の肩の部分の切欠き、図３（ｂ）は両肩の部分の切欠き、図３（ｃ ）は中央丸形の切欠き、図３（ｄ）は中央Ｖ形の切欠きの例を示している。なお 、切欠きによる空隙にてアルミニウムの注入が容易にできれば良いため、永久磁 石の切欠き位置及び形状は多種のものが考えられる。

【００１１】

【考案の効果】

以上説明したように本考案では、永久磁石の切欠きにより永久磁石の孔に空隙 を形成することができて、アルミニウムがくまなく充填されることになり、切削 代を仕上げても切削バリが発生せず削り部が溝（スリット）の内へだれ込まず、 バリ掃除が不要となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】ＳＵＳ板及び永久磁石の正面図。

【図２】アルミニウム未充填、充填時の切欠き、空隙の
状態図。

【図３】永久磁石の形状例を示す図。

【図４】全体構成図。

【図５】けい素鋼板の正面図。

【図６】ＳＵＳ板の正面図。

【図７】回転子鉄心の部分構成図。

【図８】バリ生成の説明図。

【符号の説明】

５ａ けい素鋼板 ５ｂ ＳＵＳ板 １５ 永久磁石 １６ スリット １８ 空隙

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 軸方向にけい素鋼板を積層し、このけい
   素鋼板に挟まれてＳＵＳ板が介在され、上記けい素鋼板
   及びＳＵＳ板のスロットやスリットにアルミニウムが鋳
   込まれる構成の回転子において、 上記ＳＵＳ板及びけい素鋼板に放射状に形成された孔及
   びスリット内に配置した永久磁石を切欠いたことを特徴
   とする同期電動機の回転子。