JPH0678596B2 - 溶接性、接着性に優れた缶用クロムめっき鋼板 - Google Patents
溶接性、接着性に優れた缶用クロムめっき鋼板Info
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- JPH0678596B2 JPH0678596B2 JP21442587A JP21442587A JPH0678596B2 JP H0678596 B2 JPH0678596 B2 JP H0678596B2 JP 21442587 A JP21442587 A JP 21442587A JP 21442587 A JP21442587 A JP 21442587A JP H0678596 B2 JPH0678596 B2 JP H0678596B2
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Description
【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は、溶接性、特にシーム溶接性に優れ、かつ接着
性にも優れた缶用鋼板に関するものである。
性にも優れた缶用鋼板に関するものである。
〈従来技術とその問題点〉 缶用鋼板としては、従来一般にぶりきと称される錫めっ
き鋼板が広く用いられて来た。特に、錫を2.8〜11.2g/m
2のように厚くめっきしたぶりきは耐食性が格段に優れ
ており、製缶時の溶接性も良好なので汎用されていた。
き鋼板が広く用いられて来た。特に、錫を2.8〜11.2g/m
2のように厚くめっきしたぶりきは耐食性が格段に優れ
ており、製缶時の溶接性も良好なので汎用されていた。
しかしながら、近年、食品容器素材として、例えばポリ
エチレン、アルミニウム、ガラス、紙などの低価格競合
材料の進出がめざましい。
エチレン、アルミニウム、ガラス、紙などの低価格競合
材料の進出がめざましい。
従って、上記の如き、高価な錫を厚くめっきしたぶりき
缶は、格段にすぐれた耐食性を有しているとはいえ、製
造コストが高くなってしまうので、近年の低価格材料に
対して苦しい競合的立場を強いられてきた。
缶は、格段にすぐれた耐食性を有しているとはいえ、製
造コストが高くなってしまうので、近年の低価格材料に
対して苦しい競合的立場を強いられてきた。
そこで、最近溶接缶用として錫めっき量を1.0g/m2以下
にした薄錫めっき鋼板が開発され、実用に供せられる様
になって来た。
にした薄錫めっき鋼板が開発され、実用に供せられる様
になって来た。
しかし、薄錫めっき鋼板は、錫めっき量が減らされてい
るのに応じて耐食性が劣る。従って、耐食性の付与のた
めに塗装することが必要不可欠となるが、塗料の密着性
が十分ではないので十分な耐食性の改善がなされ得ない
という問題点がある。そこで、錫めっき鋼板の用途は比
較的腐食性の弱い内容物に限定されているのが現状であ
る。
るのに応じて耐食性が劣る。従って、耐食性の付与のた
めに塗装することが必要不可欠となるが、塗料の密着性
が十分ではないので十分な耐食性の改善がなされ得ない
という問題点がある。そこで、錫めっき鋼板の用途は比
較的腐食性の弱い内容物に限定されているのが現状であ
る。
一方従来から用いられている缶用鋼板として、上記ぶり
きのほかにティンフリースチールと称される薄クロムめ
っき鋼板がある。これは鋼板に電解クロメート処理を施
し、表面に金属クロムとクロム水和酸化物層を形成させ
たものである。
きのほかにティンフリースチールと称される薄クロムめ
っき鋼板がある。これは鋼板に電解クロメート処理を施
し、表面に金属クロムとクロム水和酸化物層を形成させ
たものである。
ティンフリースチールは塗料密着性に優れているので、
その製缶方法としては接着性による接着法が好適に用い
られるが、シーム溶接等の溶接法は用いることができな
いという問題点を有する。これは、ティンフリースチー
ルの表面に存在するクロム水和酸化物が高電気抵抗物質
であるためシーム溶接性が非常に悪く、溶接製缶できな
いからである。
その製缶方法としては接着性による接着法が好適に用い
られるが、シーム溶接等の溶接法は用いることができな
いという問題点を有する。これは、ティンフリースチー
ルの表面に存在するクロム水和酸化物が高電気抵抗物質
であるためシーム溶接性が非常に悪く、溶接製缶できな
いからである。
ティンフリースチールの溶接性を向上させる方法として
は、その表面に突起状Crを形成させる方法（特開昭61−
213399号公報）があるが十分な溶接性が得られるには到
っていない。また、鋼板にクロムめっきし、そのクロム
めっき上に錫めっきする方法（特開昭60−190597号公
報、特開昭60−262975号公報）も開示されており、この
方法では十分な溶接性が得られる。しかし、その反面、
錫によって塗料密着性が低下するので接着による製缶が
困難になってしまうという問題点を有する。
は、その表面に突起状Crを形成させる方法（特開昭61−
213399号公報）があるが十分な溶接性が得られるには到
っていない。また、鋼板にクロムめっきし、そのクロム
めっき上に錫めっきする方法（特開昭60−190597号公
報、特開昭60−262975号公報）も開示されており、この
方法では十分な溶接性が得られる。しかし、その反面、
錫によって塗料密着性が低下するので接着による製缶が
困難になってしまうという問題点を有する。
以上のように、従来の缶用鋼板には溶接性と接着性の双
方に優れたものはない。従って、製缶にあたっては使用
する缶用鋼板の特性によって製缶方法を選択せねばなら
ず、缶用鋼板の使用者は多大なる不便を強いられるとい
う問題点がああり、溶接法、接着法いずれにも使用でき
る缶用鋼板が望まれていた。
方に優れたものはない。従って、製缶にあたっては使用
する缶用鋼板の特性によって製缶方法を選択せねばなら
ず、缶用鋼板の使用者は多大なる不便を強いられるとい
う問題点がああり、溶接法、接着法いずれにも使用でき
る缶用鋼板が望まれていた。
〈発明の目的〉 本発明の目的は、上記の従来の缶用鋼板に伴う問題点を
解消しようとするものであって、溶接法、接着法のいず
れにおいても良好に製缶できる溶接性、接着性に優れた
缶用鋼板を提供することにある。
解消しようとするものであって、溶接法、接着法のいず
れにおいても良好に製缶できる溶接性、接着性に優れた
缶用鋼板を提供することにある。
〈発明の構成〉 本発明者はティンフリースチールの溶接性を向上させる
手段を種々検討した結果、鋼板上にめっきした金属クロ
ム上に金属錫を存在させることにより良好なシーム溶接
性が得られることを既に見い出している（特開昭60−26
2975号公報参照）が、さらに溶接性、特に近年製缶用溶
接法として急速に普及しているワイヤーシーム溶接法に
おける溶接性について検討した結果、金属錫を鋼板の両
面に存在させなくとも、片面側だけに存在させれば十分
な溶接性が得られることを新規に見い出した。加えて、
金属錫を片面だけに存在させることにより、金属錫のな
い面は従来の錫めっきされていないティンフリースチー
ルと同様の塗料密着性を示すので、接着法による製缶に
も十分な接着性が得られることも見い出した。
手段を種々検討した結果、鋼板上にめっきした金属クロ
ム上に金属錫を存在させることにより良好なシーム溶接
性が得られることを既に見い出している（特開昭60−26
2975号公報参照）が、さらに溶接性、特に近年製缶用溶
接法として急速に普及しているワイヤーシーム溶接法に
おける溶接性について検討した結果、金属錫を鋼板の両
面に存在させなくとも、片面側だけに存在させれば十分
な溶接性が得られることを新規に見い出した。加えて、
金属錫を片面だけに存在させることにより、金属錫のな
い面は従来の錫めっきされていないティンフリースチー
ルと同様の塗料密着性を示すので、接着法による製缶に
も十分な接着性が得られることも見い出した。
本発明は上記のような知見に基づき完成されるに至っ
た。
た。
すなわち、本発明は鋼板の一方の面に50〜500mg/m2の金
属クロム層を有し、その金属クロム層上に５〜30mg/m2
のクロム水和酸化物層を有し、鋼板の他方の面に50〜50
0mg/m2の金属クロム層を有し、その金属クロム層上に0.
05〜0.50g/m2の錫層を有し、さらにその錫層上に５〜30
mg/m2の金属クロムおよび５〜30mg/m2のクロム水和酸化
物からなるクロメート層を有することを提供する。
属クロム層を有し、その金属クロム層上に５〜30mg/m2
のクロム水和酸化物層を有し、鋼板の他方の面に50〜50
0mg/m2の金属クロム層を有し、その金属クロム層上に0.
05〜0.50g/m2の錫層を有し、さらにその錫層上に５〜30
mg/m2の金属クロムおよび５〜30mg/m2のクロム水和酸化
物からなるクロメート層を有することを提供する。
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
第１図に示したように、本発明では、鋼板１両面にまず
金属クロム層2a,2a′が設けられている。ここで、鋼板
としては、特に制限的でなく、通常のぶりき、ティンフ
リースチール用原板等が使用される。
金属クロム層2a,2a′が設けられている。ここで、鋼板
としては、特に制限的でなく、通常のぶりき、ティンフ
リースチール用原板等が使用される。
鋼板上の金属クロム層2aにより、鋼板の耐食性を向上さ
せることができるとともに、溶接性を向上させるために
鋼板に設けられる錫５を有効に活用することができる。
即ち、錫めっきされた鋼板を塗装焼付後溶接する場合に
は、塗装焼付時に素地鉄と錫とが合金化して高融点化合
物が生成されるので、もともと溶接性を向上させるため
にめっきされている錫が浪費されてしまうという問題点
があったが、鋼板と錫層との間に金属クロム層を設ける
ことにより素地鉄と錫との合金化が防止されるので、溶
接性を向上させる錫の有効利用が図られるのである（特
開昭60−262975号公報参照）。
せることができるとともに、溶接性を向上させるために
鋼板に設けられる錫５を有効に活用することができる。
即ち、錫めっきされた鋼板を塗装焼付後溶接する場合に
は、塗装焼付時に素地鉄と錫とが合金化して高融点化合
物が生成されるので、もともと溶接性を向上させるため
にめっきされている錫が浪費されてしまうという問題点
があったが、鋼板と錫層との間に金属クロム層を設ける
ことにより素地鉄と錫との合金化が防止されるので、溶
接性を向上させる錫の有効利用が図られるのである（特
開昭60−262975号公報参照）。
このような金属クロム層2a,2a′の金属クロム目付量や5
0〜500mg/m2とし、好ましくは50〜150mg/m2とする。即
ち、50mg/m2未満では十分な耐食性が得られないので好
ましくない。耐食性は、50mg/m2以上で十分なものとな
り、さらに金属クロム目付量が多い程向上する。しか
し、500mg/m2を超えると耐食性向上の効果は飽和してし
まうので不経済となり、加えて、金属クロム層に電着応
力によるクラックが入り易くなるので好ましくない。
0〜500mg/m2とし、好ましくは50〜150mg/m2とする。即
ち、50mg/m2未満では十分な耐食性が得られないので好
ましくない。耐食性は、50mg/m2以上で十分なものとな
り、さらに金属クロム目付量が多い程向上する。しか
し、500mg/m2を超えると耐食性向上の効果は飽和してし
まうので不経済となり、加えて、金属クロム層に電着応
力によるクラックが入り易くなるので好ましくない。
鋼板上に金属クロム層を施す方法は任意であり、公知の
電気めっき法、例えば無水クロム酸を主成分としS
O4 2-、F-を適量添加した水溶液中で陰極電解する方法等
を用いれば良い。
電気めっき法、例えば無水クロム酸を主成分としS
O4 2-、F-を適量添加した水溶液中で陰極電解する方法等
を用いれば良い。
本発明では金属クロム層が設けられた鋼板の片面側にの
み錫層５を設けることが重要である。
み錫層５を設けることが重要である。
錫層は良好な溶接性を得るために施す。
すなわち、金属Snは融点が低いので溶接時に容易に溶融
し、溶接圧力によって広がり、鋼板同志の接触面積を広
げるとともに金属同志の相互融合を容易にする。従っ
て、局所的な溶接電流集中による「散り」発生が起り易
く、また強固な溶接接合が形成されるので、広い適正溶
接電流範囲が得られるのである。
し、溶接圧力によって広がり、鋼板同志の接触面積を広
げるとともに金属同志の相互融合を容易にする。従っ
て、局所的な溶接電流集中による「散り」発生が起り易
く、また強固な溶接接合が形成されるので、広い適正溶
接電流範囲が得られるのである。
錫の目不量は0.05〜0.50g/m2、好ましくは0.15〜0.50g/
m2とする。即ち、0.05g/m2未満では十分な溶接性が得ら
れないので好ましくない。0.05g/m2以上であれば十分な
溶接性が得られるが、金属錫は塗装焼付時に金属クロム
層中のピンホールを通じて下の鋼板１の素地鉄と合金化
することにより浪費されることがあるので、錫の目付量
は0.15g/m2以上にしておくことがより好ましい。一方、
錫の目付量が多いと溶接性には問題ないが、塗料密着性
が低下するので0.50g/m2より多くすることは好ましくな
い。
m2とする。即ち、0.05g/m2未満では十分な溶接性が得ら
れないので好ましくない。0.05g/m2以上であれば十分な
溶接性が得られるが、金属錫は塗装焼付時に金属クロム
層中のピンホールを通じて下の鋼板１の素地鉄と合金化
することにより浪費されることがあるので、錫の目付量
は0.15g/m2以上にしておくことがより好ましい。一方、
錫の目付量が多いと溶接性には問題ないが、塗料密着性
が低下するので0.50g/m2より多くすることは好ましくな
い。
錫層を金属クロム層上に施す方法は、本発明者に係る特
開昭60−130500号公報に記載のように錫イオン（Sn2+）
1.5〜10g/を含みpHが0.5未満である強酸性錫めっき浴
を用いて20〜50A/dm2でめっきすれば良い。
開昭60−130500号公報に記載のように錫イオン（Sn2+）
1.5〜10g/を含みpHが0.5未満である強酸性錫めっき浴
を用いて20〜50A/dm2でめっきすれば良い。
一般に、クロムめっきの表面にはクロム水和酸化物が存
在するので通常の電気錫めっき方法では満足な錫めっき
を施すことはできない。
在するので通常の電気錫めっき方法では満足な錫めっき
を施すことはできない。
しかし、前記の方法のように低錫濃度かつ高酸性の錫め
っき浴を用いると、クロムめっき表面上のクロム水和酸
化物が完全に除去され、同時に、錫が電着されるので、
密着性よく錫層が形成されるのである。
っき浴を用いると、クロムめっき表面上のクロム水和酸
化物が完全に除去され、同時に、錫が電着されるので、
密着性よく錫層が形成されるのである。
本発明では上記錫層５上に、さに、金属クロム2bおよび
クロム水和酸化物3bからなるクロメート層４が設けられ
ており、一方、錫層５のない鋼板面上には、前記金属ク
ロム層2a上にクロム水和酸化物層3aが設けられている。
これらのクロメート層４およびクロム水和酸化物層3aは
塗料密着性の向上、塗装後の耐食性の向上をもたらす。
クロム水和酸化物3bからなるクロメート層４が設けられ
ており、一方、錫層５のない鋼板面上には、前記金属ク
ロム層2a上にクロム水和酸化物層3aが設けられている。
これらのクロメート層４およびクロム水和酸化物層3aは
塗料密着性の向上、塗装後の耐食性の向上をもたらす。
金属クロム層2a上のクロム水和酸化物層3aの目付量は５
〜30mg/m2とする。5mg/m2未満であると十分な塗料密着
性、塗装後耐食性が得られないので好ましくない。一
方、30mg/m2を超えるとクロム水和酸化物は高電気抵抗
物質であるので溶接性が低下し好ましくない。
〜30mg/m2とする。5mg/m2未満であると十分な塗料密着
性、塗装後耐食性が得られないので好ましくない。一
方、30mg/m2を超えるとクロム水和酸化物は高電気抵抗
物質であるので溶接性が低下し好ましくない。
錫層５上のクロメート層４における金属クロム2bの目付
量は５〜30mg/m2とする。
量は５〜30mg/m2とする。
5mg/m2未満では顕著な塗料密着性の向上が図られないの
で好ましくない。一方、クロメート層４中の金属クロム
2bの目付量は多いほど塗料密着性、塗装後耐食性は向上
するが、30mg/m2より多くなると塗料密着性、塗装後の
耐食性向上効果が飽和してしまい不経済となるので好ま
しくない。
で好ましくない。一方、クロメート層４中の金属クロム
2bの目付量は多いほど塗料密着性、塗装後耐食性は向上
するが、30mg/m2より多くなると塗料密着性、塗装後の
耐食性向上効果が飽和してしまい不経済となるので好ま
しくない。
クロメート層４におけるクロム水和酸化物3bの目付量は
５〜30mg/m2とする。5mg/m2未満であると、十分な塗料
密着性、塗装後の耐食性の向上が図れないので好ましく
ない。一方、クロム水和酸化物は高電気抵抗物質なの
で、30mg/m2より多くなると溶接性が低下するので好ま
しくない。
５〜30mg/m2とする。5mg/m2未満であると、十分な塗料
密着性、塗装後の耐食性の向上が図れないので好ましく
ない。一方、クロム水和酸化物は高電気抵抗物質なの
で、30mg/m2より多くなると溶接性が低下するので好ま
しくない。
金属クロム層2a上のクロム水和酸化物3aと錫層５上の金
属クロム2bおよびクロム水和酸化物3bからなるクロメー
ト層４の形成は別々に形成させても良く、又、同時に形
成させても良い。
属クロム2bおよびクロム水和酸化物3bからなるクロメー
ト層４の形成は別々に形成させても良く、又、同時に形
成させても良い。
別々に形成させる場合には、本発明の缶用クロムめっき
鋼板は、例えば、以下のような工程で製造することがで
きる。すなわち、まずCrO360g/程度の低濃度クロム酸
浴にSO4 2-、F-等を適量添加した浴を用いて鋼板の両面
に金属クロムをめっきすると同時にその金属クロム層の
外側にクロム水和酸化物を形成させる。次に、一方の面
だけに、前記特開昭60−130500号公報に記載の方法によ
り、金属クロム層上に密着した錫層を形成する。そし
て、その錫層上に、もう１度低濃度CrO3にSO4 2-、F-等
を適量添加した浴を用いて金属クロムおよびクロム水和
酸化物からなるクロメート層を形成させればよい。
鋼板は、例えば、以下のような工程で製造することがで
きる。すなわち、まずCrO360g/程度の低濃度クロム酸
浴にSO4 2-、F-等を適量添加した浴を用いて鋼板の両面
に金属クロムをめっきすると同時にその金属クロム層の
外側にクロム水和酸化物を形成させる。次に、一方の面
だけに、前記特開昭60−130500号公報に記載の方法によ
り、金属クロム層上に密着した錫層を形成する。そし
て、その錫層上に、もう１度低濃度CrO3にSO4 2-、F-等
を適量添加した浴を用いて金属クロムおよびクロム水和
酸化物からなるクロメート層を形成させればよい。
金属クロム層上のクロム水和酸化物3aと錫層上のクロメ
ート層４を同時に形成させる場合には、本発明の缶用ク
ロムめっき鋼板は、例えば、以下のような工程で製造す
ることができる。すなわち、まず、鋼板の両面に金属ク
ロム層を形成するにあたり、金属クロム層の表面にクロ
ム水和酸化物を形成させにくい、CrO3200g/程度の高
濃度クロム酸浴にSO4 2-、F-等を適量添加した浴を用い
て金属クロムをめっきをする。次に前記と同様にその片
面にのみ錫をめっきした後、その鋼板の両面に、前記と
同様に低濃度CrO3にSO4 -、F-等を適量添加した浴を用い
て、電解クロメート処理を施せば良い。この場合、電解
クロメート処理をする前の金属クロム層の表面にクロム
水和酸化物が形成されていても、電解クロメート処理に
より、クロム水和酸化物上でなく金属クロム上にクロメ
ート層が形成される。従って、この電解クロメート処理
により、鋼板上の金属クロム層2aおよび錫層５それぞれ
の上に金属クロム層とクロム水和酸化物層が形成され
る。
ート層４を同時に形成させる場合には、本発明の缶用ク
ロムめっき鋼板は、例えば、以下のような工程で製造す
ることができる。すなわち、まず、鋼板の両面に金属ク
ロム層を形成するにあたり、金属クロム層の表面にクロ
ム水和酸化物を形成させにくい、CrO3200g/程度の高
濃度クロム酸浴にSO4 2-、F-等を適量添加した浴を用い
て金属クロムをめっきをする。次に前記と同様にその片
面にのみ錫をめっきした後、その鋼板の両面に、前記と
同様に低濃度CrO3にSO4 -、F-等を適量添加した浴を用い
て、電解クロメート処理を施せば良い。この場合、電解
クロメート処理をする前の金属クロム層の表面にクロム
水和酸化物が形成されていても、電解クロメート処理に
より、クロム水和酸化物上でなく金属クロム上にクロメ
ート層が形成される。従って、この電解クロメート処理
により、鋼板上の金属クロム層2aおよび錫層５それぞれ
の上に金属クロム層とクロム水和酸化物層が形成され
る。
この際、鋼板上の錫層が形成されていない金属クロム層
2a側における金属クロム量はクロメート処理により形成
される金属クロム量との総和で500mg/m2を超えないよう
にすればよい。500mg/m2を超えると前記のように金属ク
ロム層に電着応力によるクラックが入り易くなるからで
ある。なお、錫層５が形成されない金属クロム層2a側に
ついて、クロムめっきした後電解クロメート処理する前
にクロムめっき浴中で陽極処理（逆電解）を行っておく
とより一層塗料密着性が向上しかつ安定する。
2a側における金属クロム量はクロメート処理により形成
される金属クロム量との総和で500mg/m2を超えないよう
にすればよい。500mg/m2を超えると前記のように金属ク
ロム層に電着応力によるクラックが入り易くなるからで
ある。なお、錫層５が形成されない金属クロム層2a側に
ついて、クロムめっきした後電解クロメート処理する前
にクロムめっき浴中で陽極処理（逆電解）を行っておく
とより一層塗料密着性が向上しかつ安定する。
〈実施例〉 以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
（実施例１〜５および比較例１〜４） 以下の製造方法Ｉ〜IIIにより、表１に示すような本発
明の実施例、比較例となる種々のめっき量の供試材を作
成した。さらに比較例として製造方法Ｉにおいて両面と
も錫めっきを行なわなかったもの（ティンフリースチー
ル）および製造方法IIにおいて両面ともに錫めっきを行
ったものを作成した。
明の実施例、比較例となる種々のめっき量の供試材を作
成した。さらに比較例として製造方法Ｉにおいて両面と
も錫めっきを行なわなかったもの（ティンフリースチー
ル）および製造方法IIにおいて両面ともに錫めっきを行
ったものを作成した。
（製造方法Ｉ） 通常のぶりき・ティンフリースチール用原板を電解脱
脂、酸洗した後以下に示す（Ａ）の条件でCrめっきを行
い、その後直ちに（Ｃ）の条件で片面にのみ錫めっきを
行った。引き続いて（Ｄ）の条件で錫めっき面にのみ電
解クロメート処理を行った。
脂、酸洗した後以下に示す（Ａ）の条件でCrめっきを行
い、その後直ちに（Ｃ）の条件で片面にのみ錫めっきを
行った。引き続いて（Ｄ）の条件で錫めっき面にのみ電
解クロメート処理を行った。
（製造方法II） 通常のぶりき・ティンフリースチール用原板を電解脱
脂、酸洗した後（Ｂ）の条件でCrめっきを行い、その後
直ちに（Ｃ）の条件で片面にのみ錫めっきを行った。引
続いて（Ｅ）の条件で両面に電解クロメート処理を行っ
た。
脂、酸洗した後（Ｂ）の条件でCrめっきを行い、その後
直ちに（Ｃ）の条件で片面にのみ錫めっきを行った。引
続いて（Ｅ）の条件で両面に電解クロメート処理を行っ
た。
（製造方法III） 製造方法IIにおいてCrめっき後、錫めっきを施さない面
にのみクロムめっき浴中で5A/dm2×0.2secの陽極処理
（逆電解）を行い、その後直ちに（Ｃ）の条件で片面に
のみ錫めっきを行った。引きき続いて（Ｅ）の条件で両
面に電解クロメート処理を行った。
にのみクロムめっき浴中で5A/dm2×0.2secの陽極処理
（逆電解）を行い、その後直ちに（Ｃ）の条件で片面に
のみ錫めっきを行った。引きき続いて（Ｅ）の条件で両
面に電解クロメート処理を行った。
条件（Ａ）浴組成 CrO3 60g/ H2SO4 0.16g/ Na2SiF6 0.8g/ 浴温度 40℃ 電流密度 30A/dm2 （Ｂ）浴組成 CrO3 200g/ H2SO4 1g/ Na2SiF6 6g/ 浴温度 50℃ 電流密度 60A/dm2 （Ｃ）浴組成 SnCl2 5g/ HCl 100g/ 浴温度 40℃ 電流密度 30A/dm2 （Ｄ）浴組成 CrO3 30g/ H2SO4 0.25g/ 浴温度 45℃ 電流密度 15A/dm2 （Ｅ）浴組成 CrO3 20g/ NH4F 2g/ 浴温度 40℃ 電流密度 20A/dm2 （評価） 上記処理した各鋼板の性能を以下の方法で評価した。結
果を表１に示す。
果を表１に示す。
（１）溶接性評価 溶接速度40m/分、溶接加圧力40kgf、オーバーラップ幅
0.4mmでシーム溶接を行い、「散り」を発生せずかつ十
分な強度の接合を形成する溶接電流の上限と下限との範
囲（適正溶接電流範囲）を求めた。尚、塗装焼付処理を
想定して、溶接前に各鋼板を210℃で20分処理した。
0.4mmでシーム溶接を行い、「散り」を発生せずかつ十
分な強度の接合を形成する溶接電流の上限と下限との範
囲（適正溶接電流範囲）を求めた。尚、塗装焼付処理を
想定して、溶接前に各鋼板を210℃で20分処理した。
溶接性はこの適正溶接電流範囲が大きい程良好とされ
る。
る。
（２）塗料密着性評価 エポキシフェノール系塗料を50mg/dm2塗装し、焼付けし
た後、反対面どうしをナイロン系接着剤で接着し、5mm
巾の接着試験片として引張試験機で引き剥し接着強度を
求めた。
た後、反対面どうしをナイロン系接着剤で接着し、5mm
巾の接着試験片として引張試験機で引き剥し接着強度を
求めた。
（３）塗装後耐食性評価 エポキシフェノール系塗料を50mg/dm2塗装し、焼付けし
た後、トマトジュース中に55℃で２週間浸漬し、板面の
腐食状態で塗装後の耐食性を以下のように評価した。
た後、トマトジュース中に55℃で２週間浸漬し、板面の
腐食状態で塗装後の耐食性を以下のように評価した。
〇……ブリスター発生、変色ともになし △……ブリスター微小、わずかに変色 ×……ブリスター発生大、変色著しい 〈効果〉 本発明によれば、溶接性法、接着法のいずれにおいても
良好に製缶できる、溶接性、接着性に優れた缶用クロム
めっき鋼板が提供される。
良好に製缶できる、溶接性、接着性に優れた缶用クロム
めっき鋼板が提供される。
従って、製缶時に所望の製缶方法を用いることができ、
缶用鋼板の使用者の便宜が著しく改善される。
缶用鋼板の使用者の便宜が著しく改善される。
【図面の簡単な説明】 第１図は、本発明の缶用クロムめっき鋼板の断面図を表
わす。 符号の説明 １……鋼板、 2a,2a′,2b……金属クロム層、 3a,3b……クロム水和酸化物層、 ４……クロメート層
わす。 符号の説明 １……鋼板、 2a,2a′,2b……金属クロム層、 3a,3b……クロム水和酸化物層、 ４……クロメート層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大和 康二 千葉県千葉市川崎町１番地 川崎製鉄株式 会社技術研究本部内
Claims (1)
- 【請求項１】鋼板の一方の面に50〜500mg/m2の金属クロ
ム層を有し、その金属クロム層上に５〜30mg/m2のクロ
ム水和酸化物層を有し、鋼板の他方の面に50〜500mg/m2
の金属クロム層を有し、その金属クロム層上に0.05〜0.
50g/m2の錫層を有し、さらにその錫層上に５〜30mg/m2
の金属クロムおよび５〜30mg/m2のクロム水和酸化物層
からなるクロメート層を有することを特徴とする溶接
性、接着性に優れた缶用クロムめっき鋼板。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP21442587A JPH0678596B2 (ja) | 1987-08-28 | 1987-08-28 | 溶接性、接着性に優れた缶用クロムめっき鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP21442587A JPH0678596B2 (ja) | 1987-08-28 | 1987-08-28 | 溶接性、接着性に優れた缶用クロムめっき鋼板 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS6456895A JPS6456895A (en) | 1989-03-03 |
| JPH0678596B2 true JPH0678596B2 (ja) | 1994-10-05 |
Family
ID=16655577
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP21442587A Expired - Fee Related JPH0678596B2 (ja) | 1987-08-28 | 1987-08-28 | 溶接性、接着性に優れた缶用クロムめっき鋼板 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH0678596B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP3093917B2 (ja) * | 1993-11-11 | 2000-10-03 | 東洋鋼鈑株式会社 | ラミネート鋼板およびその原板 |
-
1987
- 1987-08-28 JP JP21442587A patent/JPH0678596B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS6456895A (en) | 1989-03-03 |
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